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腸内フローラからみたこどもの健康 金子 一成

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Academic year: 2021

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 最近、 『腸内フローラ(腸内細菌叢とも言います)』という言葉をよく耳にします。腸内フローラとは ヒトの腸内で一定のバランスを保ちながら共存している多種多様な腸内細菌の集団のことです。近年 の研究によってヒトの体内で果たす役割が明らかになるにつれ、ワクチンや抗生物質にも匹敵する人 類にとって重要な発見とも言われています。

 腸内細菌研究の歴史は、顕微鏡で糞便中に細菌を観察した17世紀に遡りますが、21世紀に入って 細菌に特異的な16S rRNA遺伝子の分子生物学的解析手法が導入されてから飛躍的に進展しました。

そしてそれまで便の培養によって確認されていた腸内細菌は実際の腸内フローラ全体の20〜50%程 度でしかないことがわかってきました。ヒトの腸内フローラに関して、近年明らかになったこととし ては、①腸内細菌の種類は1000種類以上(ヒト一人あたり約160種類)存在すること、②腸内細菌の菌 数もヒトの体を構成する細胞数(約60兆個)を上回る100兆個以上存在すること、③成人の腸内フロー ラを構成する主な菌種はBacteroidetes とFirmicutes の2門であること、④出生直後の新生児の腸管 は無菌的ですが、生後1か月までに急速にビフィズス菌が定着すること、⑤しかし母体の産道を通過 せずに帝王切開で出生した新生児の腸内フローラは母体の皮膚常在菌が主体となってしまうこと、な どがあげられます。

 腸内フローラは、ヒトが消化できない難消化性食物などの発酵を行い、有機酸として乳酸や酪酸、

ビタミンなどを産生する重要な役割を担っています。したがって腸内フローラに菌種の変化や構成比 率の変化といった異常が生じると、様々な病気の引きがねになることが分かってきました。最近の臨 床研究では、こどもの病気に限っても、新生児壊死性腸炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、小児肥 満、小児自閉症、若年性特発性関節炎や小児の炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)などは腸内 フローラの異常が発症に深く関与していると考えられています。

 そこで本講演では、まず新生児期から成人期にかけての正常な腸内フローラとその役割についてお 話しし、次に腸内フローラの異常が招く様々なこどもの病気を紹介したいと思います。そして最後に 私たち小児医療従事者がこどものためにできる正常な腸内フローラ形成の手助けについて考えてみた いと思います。

会頭講演

座長:神崎 晋 鳥取大学 周産期・小児医学

腸内フローラからみたこどもの健康

金子 一成

関西医科大学 小児科学講座

The 64th Annual Meeting of the Japanese Society of Child Health 69

会頭講演

Presented by Medical*Online

参照

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