高等学校
平 成10年 度
教 育 研 究 員 研 究 報 告 書
國
東 京 都 教 育 委 員 会
平成10年 度
教 育 研 究 員 名 簿
商業部会
学 校 氏 名
都 立 赤 坂 高 等 学 校 須 原 吉 隆
都 立 赤 羽 商 業 高 等 学 校 封 馬 秀 男
都 立 葛 飾 商 業 高 等 学 校 山 田 和 人
都 立 五 日 市 高 等 学 校 寺 嶋 快 昌
都 立 第 五 商 業 高 等 学 校 亀 井 光 太 郎
担 当 教育庁指導部高等学校教育指導課 指導主事 高 田 憲 一
主 題 「21世 紀 を見 据 えた商 業 教 育 」
目 次
I H 皿
主 題 設 定 の 理 由
ア ン ケ ー ト調 査
ビ ジ ネ ス マ ナ ー
21世 紀 を 見 据 え た 商 業 高 校 の 授 業
1
2
3情 報 処 理
IVお わ り に
簿 記 の 知 識 を 基 礎 と した 財 務 分 析
りρ277
2 1 4 1 2 2
1主 題 設 定 の 理 由
商 業 高 校 で は 、 従 来 、職 業 生 活 に必 要 な実 務 的 な知 識 や 技 術 を習 得 させ る こ とに重 点 を 置 い た教 育 課 程 を編 成 し、 そ の役 割 を担 っ て きた。
そ して 、今 日の社 会 は 、 国際 化 、情 報 化 が 急 激 に 進 む と と もに、技 術 の 進 歩 や経 済 の発 展 に よ り、 文 化 水 準 の 向上 と物 質 的 な豊 か さ価 値 観 の多 様 化等 の様 相 を呈 して い る。 また 、 商業 高校 に 入 学 して く る 生 徒 も多 様 化 して い る 。
こ う した社 会 状 況 や生 徒 の変 化 に対 応 し、 ま もな く迎 え る21世 紀 には どの よ うな 「商 業 教 育 」 が 望 ま れ 、実 施 した ら よい の だ ろ うか 。
授 業 を通 して生 徒 の個 性 や 自発 性 を高 め 、 幅 広 い視 野 を もっ た柔 軟 性 の あ る人 間 を育 成 す るた め に 、 従 来 か らの 商業 の基 礎 ・基 本 の学 習 内 容 を分析 し、将 来 に 向 けた 学 習 内 容 に つ い て検 討 して い く こ とが 重 要 で あ る 。
今 年 度 の教 育 研 究 員 は 、 この よ うな理 由 か ら 「21世紀 を見 据 え た商 業 教 育 」 につ い て具 体的 に研 究 し、
考 察 す る こ とを 目的 と して主 題 の設 定 を行 った 。
Eア ン ケ ー ト調 査 1ア ンケ ー ト調 査 の ね らい
商 業教 育 に つ い て の現 状 を把 握 し、今 後 の 商 業 教 育 を考 え る た め に 、学 校 と企 業 に対 して 、 商 業 高 校 の 主 要 な 科 目で あ る 「簿 記 」 と 「情 報 処 理 」 を 中心 と した ア ンケ ー トに よ る実 態 調 査 を行 っ た。 調 査 を 行 う こ と に よ って 、 「理 想 と現実 」 あ る い は 「社 会 の ニ ー ズ と商 業 高 校 に お け る 教 育 内 容 」 との 関 係 を 明確 化 し、 将 来 の 展望 を見 据 える こ とに あ っ た。
2ア ンケ ー ト調 査 結 果
ア ンケ ー トは 、 東京 都 内 の 商業 高 校 と企 業 に対 して行 っ た 。そ の 結 果 、都 立 商業 高 校20校(全 日制!5 校 、 定 時 制5校)及 び 私 立 高校6校 の合 計26校 と42社 の企 業 か ら回答 を得 た 。 調 査 方 法 は 、 選 択 式 及 び 記 述 式 に よ った 。
(1)商 業 高 校 に対 す る ア ンケ ー ト結 果
① 簿 記 の 指 導 に つ い て
ア 「特 色 あ る指 導 法 と して どの よ うな工 夫 を して い ます か」(複 数 回答 あ り)
〔都 立 高 校 の 場 合 〕 〔私立 高 校 の場 合 〕
① 習熟度別学習11校 ① 補 習 4校
② 補 習 7校 ② 習熟度別学習 2校
③ 教材の工 夫 3校
○ 習 熟 度 別 学 習 に は 、 テ ィ ー ム ・テ ィ ー チ ン グ や1ク ラ ス2展 開 、2ク ラ ス4展 開 等 が あ っ た 。
イ 「検 定 試 験 を評 価 に加 え て い ます か」
〔都 立 高 校 の 場 合 〕 〔私 立 高 校 の 場 合 〕
① は い
15校
① はい 4校② い い え 5校 ② いい え 1校
ウ 「 簿 記 の 学 習 と検 定 試 験 の 関 係 に つ い て どの よ う に 考 え ま す か 」(18校 回 答)
・ 「 検 定 試 験 は 商 業 教 育 の 生 命 で あ り 、 簿 記 の 検 定 は 社 会 的 に 認 知 さ れ て お り今 後 も重 要 な 位 置 を 占 め る 。 」
・ 「 全 国 商 業 高 等 学 校 協 会 に よ る 検 定 試 験 は
、 学 習 指 導 要 領 に 基 づ い て お り、 授 業 の 達 成 目 標 と し て の 簿 記 技 能 や 能 力 を測 る 手 段 で あ り 、 教 育 シ ス テ ム と して の 合 理 性 が あ る 。 」
・ 「 生 徒 の 到 達 目標 で あ り 、 教 師 の 指 導 目標 で も あ る 。」
・ 「合 格 に よ っ て 生 徒 に 自信 を つ け させ 、 学 習 意 欲 を 向 上 させ る 。 」
・ 「目標 に 向 け た 指 導 を 通 し て 生 徒 との か か わ り を 深 め る こ と が で き る
。」
・ 「資 格 取 得 に つ な が る とい う 目標 が 明 確 な ほ う が 取 り組 み 易 い よ う で あ る
。 」
・ 「将 来 、 税 理 士 や 公 認 会 計 士 へ の 道 に つ な が る 基 礎 作 り と し て 位 置 付 け て い る 。 」
・ 「 推 薦 入 学 等 を 希 望 す る 際 に 評 価 が 高 い の で 、 検 定 の 位 置 付 け は 高 く な る 。」
・ 「合 格 率 の 問 題 もあ る が 、 簿 記 だ け で は な く社 会 が 認 め る 資 格 を 取 得 さ せ て い く こ と は 大 切 な こ と だ と 思 う 。」 等15校 か ら肯 定 的 な 回 答 が あ っ た 。
一 方 、
・ 「 検 定 は テ ク ニ ッ ク で しか な く
、 検 定 に 受 か っ て い て も簿 記 が わ か っ て い る こ と と は ほ ど 遠 い 生 徒 が 大 多 数 で あ る 。 学 習 の 通 過 点 と考 え る ぐ らい で 、 も っ と応 用 力 を 簿 記 の 学 習 で 付 け る さ せ る べ き で あ る 。 」
・ 「 受 験 者 の5割 以 上 合 格 し な い 検 定 で な け れ ば
、 全 員 受 験 は 望 ま し く な い 。 」
・ 「 確 実 に 受 か る だ ろ う と思 わ れ る 生 徒 だ け で は な く
、 読 み 書 き も し く は 字 を 書 く こ と さ え 難 し い 生 徒 が 多 い 。 」 等3校 か ら 、 肯 定 的 と は い え な い 意 見 も あ っ た 。
② 情 報 処 理 の 指 導 に つ い て
ア 「授 業 で は 、 どの よ うな ワ ー プ ロ ソ フ トを利 用 して い ま す か 」(複 数 回 答 あ り)
〔都 立 高 校 の 場 合 〕 〔私 立 高 校 の 場 合 〕
① 一 太 郎
21校
① 一 太 郎 5校② ワ ー ド 10校 ② ワ ー ド
上父ネー
③ そ の他 2校 ③ そ の 他 1校
イ
ウ
工
「授 業 で は、 どの よ うな表 計 算 ソ フ トを使 用 して い ま す か」(複 数 回 答 あ り)
〔都 立 高 校 の場 合 〕 〔私 立 高 校 の 場 合 〕
① エ クセ ル18校 ① ロー タス1233校
② ロー タス1239校 ② エ クセ ル2校
③ そ の 他1校
「プ ロ グ ラ ミ ング学 習 は必 要 だ と思 い ま す か」
〔都 立 高 校 の場 合 〕 〔私 立 高校 の場 合 〕
① 必 要4校 ① 必 要0校
② 基 礎 的 な学 習 は必 要9校 ② 基 礎 的 な学 習 は必 要4校
③ 不 要5校 ③ 不 要2校
④ そ の 他2校
「情 報 に 関 す る学 習 の到 達 目標 をどの程 度 と考 え て い ま す か」(複 数 回 答 あ り)
〔都 立 高校 の場 合 〕 〔私 立 高 校 の場 合 〕
① キ ー ボ ー ドに触 れ る程 度2校 ① ワー プ ロ を使 い こ なせ る
② ワー プ ロを使 い こ なせ る7校 ② 表計算ソフ トを使いこなせる
③ 表計算 ソフ トを使いこなせる16校
④ プnグ ラム を組 め る3校
⑤ そ の 他4校
2校
6校
(2>企 業 に 対 す る ア ン ケ ー ト調 査
ア 「貴 社 で は 、 商 業 高 校 で 取 得 で き る 資 格(簿 記 、 ワ ー プ ロ 、 珠 算 、 電 卓 、 情 報 処 理 、 コ ン ピ ュ ー タ 利 用 技 術 検 定 な ど)が プ ラ ス に な り ま す か 。」
① 大 変 プ ラ ス に な る21社 ② プ ラ ス に な る16社 ③ い い え2社
④ わ か ら な い3社
イ 「コ ン ピ ュー タ で作 業 を行 う場 合 、 どの よ うな能 力 が必 要 です か」(複 数 回 答 あ り)
・ハ ー ドや ソ フ トの 基 本 的 な操 作 が で き る
・企 業 の 事 務 に必 要 な基 本 ソ フ トが 使 え る
・情 報 を処 理 して提 案 書 等 が作 成 で きる
・簿 記 の 知 識 が あ る
・そ の 他(不 要 、根気 、意欲等)
12社 14社 6社 5社 9社
ウ 「21世 紀 の 高 校 生 に は 、 どの 程 度 の情 報 処 理 能 力 を期 待 しま す か」
13社 回 答(複 数 回答 あ り)
・イ ン タ ー ネ ッ トの 活 用 が で き る
・ワ ー プ ロ 操 作 が で き る
・表 計 算 操 作 が で き る
・ソ フ トの 活 用 が で き る
・プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン能 力 が あ る
・デ ー タ ベ ー ス 操 作 が で き る
5社 4社 4社 4社 2社 2社
な お 、 「表 計 算操 作 が で き る」 具 体 的 な 内容 と して 、「情 報 処 理 を行 う際 に、 使 用 す る ソ フ トの 選 択 、処 理 方 法 に つ い て の 知 識 と能 力 が 必要 で あ る 。」 とい う回 答 が あ った 。
エ 「商 業 高 校 に 、 今 後 どの よ うな教 育 を期 待 しま す か」(複 数 回 答 あ り)
・マ ナ ー
・情 報 処 理(ワ ー プ ロ と 表 計 算 ソ フ ト)
・簿 記
・そ の 他
24社 5社 4社 13社
「マ ナ ー 」 の 具 体 的 な 内 容 と して は 、 挨 拶 、礼 儀 作 法 、 電 話 の 応 対 、 手 紙 の 書 き方 、 名 刺 の 授 受 の 仕 方 な ど で あ っ た 。 ま た 、 「そ の 他 」 に は 「記 憶 さ せ た も の は 忘 れ て し ま う の で 、 考 え さ せ る 教 育 が 必 要 で あ る 。 大 学 の 卒 業 論 文 の よ う な 、 何 か に つ い て 調 べ させ 研 究 させ る 学 習 。」 「柔 軟 な 思 考 能 力 」 「回 覧 事 項 は 電 子 メ ー ル に よ る 手 法 に 移 行 しつ つ あ る 。 パ ソ コ ン の 操 作 能 力 が 優 れ て い る ほ ど社 内 で は 重 要 視
さ れ 、 パ ソ コ ンが 使 用 で き な い と業 務 の 範 囲 が 縮 小 さ れ る 。 」 な どが あ っ た 。
3ア ン ケ ー トの分 析 と授 業 の 試 み
ア ンケ ー トの 集 計 結 果 か ら、企 業 は 「ビジ ネス マ ナー 」 の 教育 に つ い て学 校 に大 きな期 待 を して い る こ とが 分 か っ た 。 こ の こ とか ら、 これ か らの商 業 教 育 は 単 なる技 術 の習 得 の ため の 授 業 だ けで は い け な い とい う こ とを感 じ取 る こ とが で きた 。 また 、 こ の こ とは昨 年 度 の教 育 研 究 員 の 研 究 報 告 書 に今 後 の 課 題 と され て い た 内容 で もあ る 。
さ らに 、実 務 や 企 業 内 シス テ ムの 理 解 とは直 接 関係 が ない と仮 定 して い た 「資 格 」 が 大 い に役 立 ち 、 学 校 で の 「イ ンタ ー ネ ッ ト ・通 信 」 の 教育 が期 待 されて い るな ど予 想 外 の 回答 も多 く寄 せ られ た 。
この ア ンケ ー トの実 施 と時 期 を同 じ く して 、平 成10年7月 に 「教 育 課 程 審 議 会 」 の 答 申 と今 後 の 専 門 高 校 に お け る教 育 の在 り方 等 につ い て 「理 科 教 育 及 び 産 業 教 育 審 議 会 」 の 答 申 が 発 表 され た 。 教 科
「商 業 」 に お け る改 善 の視 点 と して 、 「商業 に関 して は 、経 済 の 国 際 化 、情 報 化 、サ ー ビ ス化 の 急 速 な進 展 に と もな い 、市 場 の 国際 化 、 オ フ ィス の情 報 化 、サ ー ビス 産 業 の拡 大 等 の変 化 が 生 じて い る 。 ま た 、 国 際 的 な会 計 基 準 へ の移 行 、流 通 シス テ ム の合 理 化 、新 た な ビ ジネ ス の創 造 な どグ ロ ーバ ル経 済 へ の 対 応 が 一 層 求 め られ て い る 。
この よ うな状 況 を踏 ま え 、経 済 社 会 の 変 化 に柔 軟 に対 応 で き る人材 の育 成 を 図 る観 点 か ら、 実 践 的 な 語 学 力 、情 報 ・会 計 リテ ラ シ ー な ど、 ビ ジ ネス の基 礎 ・基 本 につ い て の 内容 を充 実 す る と と もに 、 情 報 化 の 進 展 に対 応 し、販 売 ・会 計 等 の 経 営 活動 に か か わ る情 報 の 分析 と活用 に 関す る 内容 の改 善 を 図 る 。」
こ とが あ げ られ る 。
我 々の 調 査 結 果 を基 に 、 こ う した改 善 の 方 向 を 睨 み なが ら、 これ か らの 商業 教 育 の 内容 と して 次 の よ うな学 習 内容 につ い て研 究 した 。
(1)社 会 に 出 て 役 立 つ 「ビ ジ ネ ス マ ナ ー 」
最 近 電 車 内 で の 携 帯 電 話 の 使 用 な ど 公 共 の 場 所 で の マ ナ ー の 悪 さ が 目立 っ て い る 。 今 年 度 の ア ン ケ ー ト結 果 で も 、 企 業 で は 礼 儀 や 挨 拶 な ど とい っ た マ ナ ー を 重 視 して い る 。 こ の こ と を 踏 ま え て 、 社 会 に 出 て 役 立 つ 「ビ ジ ネ ス マ ナ ー 」 に つ い て の 授 業 展 開 に つ い て 研 究 した 。
(2}「 簿 記 」 で学 習 した知 識 を基 礎 と した財 務 分 析
過 去2年 間教 育 研 究 員 が 行 っ た ア ンケ ー トや今 年 度 の ア ンケ ー ト結 果 か ら、社 会 に 出 て役 立 っ て い る と回 答が あ っ た 「簿 記 」 につ い て 、今 年 度 は 「簿 記 」 で 学 習 した 知 識 を基 礎 と して企 業 が 求 め る 財 務 分 析 につ い て の授 業 展 開 に つ い て研 究 した。
(3)情 報 化 社 会 に 対 応 し た 情 報 処 理
コ ン ピ ュ ー タ を 活 用 した 授 業 に は 、 ワ ー プ ロ操 作 、 ア プ リケ ー シ ョ ン ソ フ トの 活 用 、 プ ロ グ ラ ミ ン グ
作 成 な ど が あ る 。 ア ン ケ ー ト調 査 結 果 か ら 、 企 業 が 求 め る 情 報 処 理 能 力 を は ぐ くむ 学 習 内 容 に つ い て 研
究 し た 。
皿21世 紀 を見据 えた商業高校 の授 業
1ビ ジ ネ ス マ ナ ー
ヤ
ア ンケ ー ト調 査 の 中 に、 「礼 儀 作 法 が で きて い な い。 で きれ ば高 等 学 校 で 礼 儀 作 法 を 身 に つ け て ほ し い」 とい う回 答 が 多 数 あ った 。 また 、 理 科 教育 及 び 産業 教 育 審 議 会 の 答 申の 中 で も、 「ビ ジ ネ ス に 関 す る基 礎 的 な知 識 と技 術 を習 得 させ 、 経 済 社会 の一 員 と しての 望 ま しい 心構 えや マ ナ ー を理 解 させ る と と
もに 、 ビ ジ ネス の 諸 活 動 に適 切 に対 応 す る 能 力 と態 度 を育 て る こ と をね らい とす る。」 と して 、 「ビ ジ ネ ス基 礎 」 を基 礎 的 な 科 目と して 位 置 付 け て い る 。
こ う した こ と を踏 ま えて 、 「ビ ジ ネス 基礎 」 に お い て期 待 さ れ るマ ナー の 指 導 内 容 ・方 法 に つ い て 、 本 年 度 、 「課題 研 究 」 の 授 業 で 「話 し方 ・作 法」 を通 して研 究 した。
(1)課 題研 究(話 し方 ・作 法)に つ い て
学 習 内容 は 、 平 成8年 度 に実 施 した 課 題 研 究(話 し方 ・作 法)受 講 者 の 学 習 終 了 時 の 生 徒 の ア ンケ ー ト結 果 と10年 度 受 講 者 の 事 前 面 談 の 結 果 に基 づ い て 、次 の よ うに計 画 を たて た 。
1学 期 ・ ・1対1又 は 集 団 に お け る 話 し方 ・作 法(就 職 の 面 接 試 験 を 意 識 して)
2学 期 ・ ・お 茶 の 出 し方 、 電 話 の 応 対
3学 期 ・ ・役 立 つ 話 し方 ・作 法 に つ い て 、 生 徒 に よ る ビ デ オ 制 作
授 業 を 行 う場 合 、 ビデ オ教 材 、OHP、 コ ン ピュ ー タ等 を講 義 の 中 に取 り入 れ る こ と に よ っ て 生 徒 の 理 解 が増 し、 教 育 効 果 が 高 ま る。 しか し、 「課題 研 究 」 は教 科 書 が ない の で 、 教 材 の 選 定 ・作 成 に 苦 労 す る 。今 回 は 、 特 に、 ラ ジオ 講 座 と ビデ オ 教材 、書 籍 教 材 を用 いた 効 果 的 な指 導 方 法 につ い て考 察 した 。
学 習 を 進 め る に当 た っ て は 、 少 人 数 の授 業 の特 性 を生 かす と と もに、 生徒 の 自主性 を尊 重 した 授 業 展 開 を した 。 また 、 ビデ オ機 材 を中 心 に、 各種 の教 育 機 材 を積 極 的 に使 用 して教 育 効 果 を上 げ た 。そ して 、 学 習 の 定 着 を図 るた め に、3学 期 に は 、1、2学 期 に学 習 した知 識 や 技 術 を ビデ オ撮 影 に よ る作 品 制 作 を行 っ た 。 ビデ オ撮 影 に よ りロー ル プ レン グ等 を チ ェ ックす る指 導 方 法 は 、企 業 で も講 師 を養 成 す る際 に よ く活 用 され て 、 効 果 を上 げ て い る。
(2)学 習 教 材 と活 用
① ラ ジ オ教 材
毎 年 、話 し方 に関 す る ラ ジ オ講 座 がNHKで 放 送 され てお り、 録 音 して 必 要 部 分 を使 用 した 。 放 送 の スケ ジ ュー ルは 、 以 下 の とお りで あ る 。授 業 計画 と放 送 内容 の 順 番 が 一 致 しない た め 過 去 に 録 音 し た もの を上 手 に組 み 合 わ せ て 活 用 した 。
月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
平 成8年 度 こ とば 第一 歩 面 接 好 感 敬 語 自在
ス ピー チ初 級 音 声 訓練
司 会 さわ や か ス ピー チ 中 級 朗 読 味 わい こ と ば点 検 会 議 堂 々 電 話 好 印 象 ス ピーチ 上 級
◎○○○○
◎
◎
平 成10年 度
フ レ ッ シ ュ マ ン こ と ば 第 一 歩
万全 で す か?あ なた の 敬語ビ ジネ ス マ ン会 話 の マ ナ ー 子 ど もに 本 を読 む
こ とば で子 育 て 初 め て の ス ピー チ 聴 か せ るス ピー チ 会 議 有 意 義
ビジ ネス の こ とば ビジ ネス 電 話 の 心得 面 接 の 基 本
こ とばの 常 識 、 非 常 識
◎○◎
○
◎◎○○
注:○ 及 び ◎ は 、 授 業 で 取 り上 げ た 内 容 で あ る 。 ま た 、 マ ナ ー 教 育 に 効 果 的 な 内 容 の もの に は ◎ を 記 し た 。
〔 学 習 効 果 〕
放 送 の 時 期 と 内 容 は 、 毎 年 同 一 で は な い が 、 社 会 人 と して の 心 構 え 、 ビ ジ ネ ス マ ン と して の マ ナ ー 、 電 話 に お け る ビ ジ ネ ス 会 話 等 、 大 い に 役 立 つ も の を 扱 っ て い る 。
② ビ デ オ 教 材
今 年 度 は 、 次 の よ う な 学 習 内 容 の ビデ オ を活 用 し た 。 ア ビ ジ ネ ス マ ナ ー 全 般 力 笑 顔 の つ く り方
イ 敬 語 の 使 い 方 キ 面 接 で の 自己PR
ウ 接 客 の マ ナ ー ク 面 接 試 験 の キ ー ポ イ ン ト エ お 茶 の 入 れ 方 と マ ナ ー ケ 集 団 面 接 の キ ー ポ イ ン ト オ 電 話 の 応 対
ア 「ビ ジ ネ ス マ ナ ー 全 般 」 で は 、 お 客 様 や 上 司 等 に 対 す る 敬 語 の 使 い 方 や 外 来 者 に 対 す る お 茶 の 出 し方 、 ビ ジ ネ ス 電 話 の 応 対 等 、 ビ ジ ネ ス 全 般 の 初 歩 的 な マ ナ ー に つ い て 説 明 した 後 ビデ オ を 活 用 した 。
イ ウ 「敬 語 の 使 い 方 」 「 接 客 の マ ナ ー 」 で は 、 社 会 人 と し て そ の 場 に 応 じ た 会 話 の 基 本 を 理 解 さ せ る こ と に よ っ て 、 豊 か な コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を は ぐ く む こ と を 目的 と した 。
エ 「お 茶 の 入 れ 方 と マ ナ ー 」 で は 、 お 茶 の 入 れ 方 を 中 心 に 外 来 者 に 対 す る ビ ジ ネ ス マ ナ ー に つ い て 説 明 した 後 、 社 会 人 の 第 一 歩 で あ り 、 実 際 の 新 入 社 員 用 に テ キ ス ト も用 意 さ れ て い る ビ デ オ を 参 考 に した 。
オ 「電 話 の 応 対 」 で は 、 新 入 社 員 に 対 す る ビ ジ ネ ス 電 話 の 注 意 事 項 を 説 明 し た 後 、 ビ デ オ を 見 た 。
さ ら に 、NHKラ ジ オ講 座 平 成9年2月 の 「電 話 好 印 象 」 の 中 か ら2回 分 も使用 して 必 要 な説 明 を加 え、 ビ ジ ネス 電 話 の 実 践 を行 った 。実 践 は総 合 実 践 室 の 室 内 専用 電 話 を使 用 した。 お 客 様 あ る い は取 引 先 社 員 を想 定 して 、 会 社 まで の 地 図案 内 、苦 情 処 理 等 を題 材 に実 施 した 。
カ 「笑 顔 の つ く り方 」 で は 、笑 顔 で接 す る と相 手 の心 を穏 や か にす るが 、同 じ笑 顔 で も形 式 的 な も の は 場 合 に よ る と相 手 に不 快 感 を与 え る こ とす らあ る とい う こ と を理 解 させ る。
形 式 的 で な く、真 心 の あ る笑 顔 を相 手 に贈 る こ との大 切 さ を理 解 させ た。 生 徒 が 社 会 人 に な る にあ た って の心 構 え を指 導 した。
キ クケ 企 業 の 求 め る 人材 を理 解 し、就 職 す る際 の 面接 の知 識 や 技 能 に も役 立 て るた め に活 用 した。
③ 書 籍 教 材
就 職 に 関す る マ ナ ー指 導 を 中心 と した書 籍 教 材 が 多 く、授 業 で もそ れ を使 用 した。 ま た ビデ オ 講 習 会 で 使 用 した ビデ オ カ メ ラや ビデ オ ソ フ ト作 成 ・編 集 の た め の資 料 を使 用 した。
(3)ビ ジ ネ ス マ ナ ー の ビ デ オ 制 作 実 践 事 例
目 標:社 会 人 に な る に あ た っ て 、 ビ ジ ネ ス マ ナ ー を 身 に付 け させ る 。 対 象 学 年:3学 年 商 業 科4名 情 報 処 理 科8名 計12名
段階 時間 学 習 内 容 学 習 活 動 指導上の留意点
・前 時 ま で の 復 習 と今 時 ・撮 影 前 の事 前 準 備 ・服 装 等 の 点 検
導入 5分 の 学 習 内容 の確 認
・ビ デ オ カ メ ラ 等 の 用 具 の
(お茶 の 出 し方) 準備
・簡 単 な リ ハ ー サ ル と 内
・原 稿 内 容 の 確 認 と変 更 ・編 集 等 も考 え て 撮 影 す る 容の再確認 ・各 班 の 役 割 分担よ う に 指 導 す る 。
・ロ ー ル プ レ イ ン グ の 実
演技者2名・演 技 の 表 現 力 も留 意 す る 。
習 撮影者1名 ・撮 影 開 始 後 は 全 体 の 流 れ 展開
40分
監督者1名を 重 視 し、 多 少 の ミ ス は
・撮 影 後 は ビ デ オ の 再 生 ・原 稿 の 内 容 と 実 際 の 行 撮 影 後 に指 摘 す る 。 を して 内 容 等 の 確 認 と 動 が 著 し く異 な る 場 合 ・撮 影 した ビ デ オ を 再 生 し
反 省 を す る 。
は再 撮 影 をす るビ ジ ネ ス マ ナ ー の 大 切 さ
や 実 行 の 難 し さ を 指 導 す
る 。
・ビ ジ ネ ス マ ナ ー(お 茶 ・ロ ー ル プ レ ン グ の 感 想 ・お 茶 の 出 し 方 を 通 し て 、
の 出 し方)の 大 切 さ とを 聞 く こ と に よ っ て ビ ビ ジ ネ ス マ ナ ー に 関 す る ま と め
5分難 しさ等 を 再 確 認 す る 。
ジ ネ ス マ ナ ー に つ い て
興 味 を喚 起 す る 。考 え さ せ る 。
少 人 数 に よ る 学 習 形 態 が 、 き め 細 か い 学 習 指 導 を 可 能 とす る 。 ま た 、 知 識 の 定 着 を は か る た め ロ ー ル プ レ イ ン グ を 実 施 した 。 実 施 に あ た っ て は 、 ビデ オ撮 影 を 行 う こ と に よ っ て 記 録 を 残 す と よい 。 そ して 、 そ の ビ デ オ を 見 て 、 自 己 評 価 、 他 人 の 評 価 か ら 、 生 徒 自 身 も改 善 点 を 理 解 す る こ とが で き る 。 ビ デ オ 制 作 に つ い て は 、 お 茶 の 入 れ 方 と ビ ジ ネ ス 電 話 の 応 対 方 法 に つ い て 研 究 し た 。 全 体 的 な 説 明 を ビ デ オ 教 材 等 に よ っ て 理 解 さ せ た 後 、4人 の グ ル ー プ を つ く り 、 制 作 した 。 制 作 に 当 た り、 ビ デ オ カ メ ラ の 使 用 法 ・ ビ デ オ 編 集 の 方 法 ・ビ デ オ 作 品 の 原 稿 の 書 き方 等 の 説 明 に も 数 時 間 を 要 し た 。 ビ デ オ 作 成 の た め の 原 稿 用 紙 を 次 に 示 す 。
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(注)上 段 よ り、No.は 通 し番 号 を ふ る 。 絵 コ ン テ を 書 く(言 葉 で 絵 の 内 容 を 説 明 し て も よ い) 録 画 時 間(単 位 は 秒)や 注 意 事 項 、 コ メ ン トや せ りふ を記 入 す る 。
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〔お 茶 の 出 し方 、 電 話 の 応対 の 仕方 につ いて の授 業風 景 〕
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.爵 翼.
(4)ビ ジ ネス マ ナ ー と検 定 試 験
商 業 高校 にお い て 検 定 試 験 の 比 重 は大 きい 。 そ して 、 ビジ ネ スマ ナー に関 連 す る検 定 試 は秘 書 検 定 と 販 売士 検 定 が あ る。
① 秘 書 検 定 試験(3級)
秘 書 検 定 試 験 に は 、理 論 と実 技 に関 す る試験 が あ る 。理 論 の内 容 と して は、 秘 書 の 資 質 、 職 務 知 識 一 般 知 識 が あ り、実技 に関す る内容 と しては、マナー ・接遇 、技能 につ いて出題 され る。いず れ も筆 記 に よ る試 験 で あ る 。 なか で も、 実 技 編 の マ ナ ー ・接 遇 が ビジ ネ ス マ ナ ー に大 き く関 係 して い る 。
〔試 験 の 主 な 内 容 〕
・人 間 関 係 の 効 用
・話 の 聞 き方 の 基 本
・接 遇 用 語 の 基 本
・接 遇 の 基 本
・不 意 の 客 へ の 応 対
・客 の 見 送 り方 と席 次
・電 話 の か け 方
・報 告 の し か た
・依 頼 の しか た
・弔 辞 の マ ナ ー
・人 間 関 係 を 作 る あ い さ つ
・敬 語 の 種 類 と 使 い 方
・接 遇 で の 人 の 呼 び 方
・来 客 応 対 の 基 本
・来 客 の 案 内 の しか た
・接 遇 の 注 意 点
・電 話 の 受 け 方
・伝 達 、 説 明 の しか た
・忠 告 、 注 意 の 受 け 方
・贈 答 の マ ナ ー な ど で あ る 。
・話 し方 の 基 本
・誤 り や す い 敬 語 表 現
・職 場 で の 身 だ し な み
・来 客 応 対 の 実 際
・茶 菓 の 接 待
・電 話 応 対 の 基 本 心 得
・状 況 別 の 電 話 応 対
・命 令 、指 示 の受 け方
・慶 事 の マ ナ ー
この 内 容 は 、社 会 入 と して習 得 したい ビジ ネス マ ナ ー で あ る 。 で きれ ば実 技 試 験 が 実 施 で きれば よい 。 今 後 、「ビ ジ ネ ス基 礎 」 との 関係 で 秘 書 検 定 が 重 視 され る可 能性 もで て きた 。
② 販 売 士 検 定 試 験3級
販 売 士 検 定 試 験 に は 、筆 記 試 験 と実 技 試験 が あ る。筆 記 試 験 の 内容 は 、一 般 常 識 、販 売 技 術 、 商 品 知 識 、 販 売 事 務 で あ る 。 ま た 、実 技 試 験 と して 、筆 記 試 験 合 格 者 に対 して面接 が 行 わ れ る 。 そ の 内 容
は、 商 品 説 明 を 中心 に社 会 人 と しての 常 識 を問 う もの で あ る。
販 売 士 試 験 は 、「流 通 経 済 」 を軸 に、 「簿 記 」 や 「商 品」 の知 識 が 必 要 で あ る。 商 業 の 総 合 的 知 識 が 問 わ れ る。 そ して 、筆 記 試 験 合 格 者 に対 して 、 ビ ジネ ス マ ン と しての マ ナ ーの 知 識 と実 践 が問 わ れ る。
ま さ に 、 ビジ ネス基 礎 の実 践 で あ る。 是 非 活 用 すべ きだ が 、試 験 は 、7月 と2月 の 平 日(水 曜 日)に 実 施 して い る こ とが 高 校 生 の受 験 の機 会 を奪 っ て い る こ とが残 念 で あ る。
(5>今 後 の課 題
「ビジ ネス基 礎 」 は 、商 業 科 目の基 礎 的 な科 目で あ り、一 斉授 業 に よ り実 施 され る こ とが 予想 され る。
現 行 の 「流 通経 済」 の 商業 の基 礎 に 関す る部 分 は 、 講 義 形 式 の 一斉 授 業 が 効 率 的 で あ る 。 しか し 、 ビ ジ ネ スマ ナ ー に関 す る内 容 につ い て は 、少 人 数 に よ る ロー ル プ レ イ ング 的 な学 習 方 法 に よ り、学 習 の 定 着 を図 る 。 また 、 ラ ジ オ 、 ビデ オ 、 ビデ オ カ メ ラ、 電 話 、 コ ン ピュ ー タ等 な ど、様 々 な教 材 を活 用 した い。
そ して 、 「ビジ ネス基 礎 」 の学 習 を基 礎 に して 、秘 書 検 定試 験 や 販売 士 検 定 試 験 へ とつ な が る指 導 が 望 ま れ る。
2簿 記 で 学 習 した知識 を基礎 と した財 務 分 析 (1)ア ンケ ー トの 調 査 結 果
ア ンケ ー トの 調 査 結 果 か ら、 企 業 で仕 事 を してい く上 で 、 簿記 や会 計 経 理 に 関す る知 識 が必 要 な 場 面 はか な り多 く、 「仕 事 と密 接 に 関 係 して お り、経 理 以 外 の 部 署 で も必 要 が あ る」 とい っ た 回答 が 多 か っ た(回 答 総 数 の86.0%)。 そ の 理 由 と して 、
「顧 客 に対 して積 算 根 拠 を示 す 」 「経 理 及 び 総務 関係 等 決 算 を処 理 す る」 「予 算 を作 成 す る」
「業 務 提 携 、共 同研 究等 相 手 が あ っ てお 金 が 絡 む と き」
「コス トと リ ター ンの 関 係 は ど こで も必 要 」 「税 務 申 告 や融 資 先 の経 営 分 析 をす る」
「新 規 取 引 先 の 経 営 状 況 の 判 断 をす る」 「自部 門の 経 営 的 影響 を 考 え る」
「社 内 で 予 算 申請 をす る」 「全 社 及 び事 業所 単 位 で 事 業 推 移 や 実績 を把 握 す る」
「数 字 に明 る い と顧 客 や 取 り引 き相 手 に絶 対 に信 頼 さ れ る」 な どが あ り、 中で も回答 数 の多 か っ た もの が 「簡 単 な決 算 書 を分 析 す る 力」 で あ り、経 理 や金 融 関 係 以 外 で も営 業 職 に就 い て い る者 に は 必 要 で あ
る とい う結 果 が 出 た 。
(2)「 理 科 教 育 及 び 産業 教 育 審 議 会 」 や 「教 育課 程 審議 会 」 の 答 申等
「理 科 教 育 及 び 産業 教 育 審 議 会 」 や 「教 育 課 程 審 議 会」 の答 申の 中で も、教 科 「商 業 」 の 改 善 の 視 点 と して 「・ ・中略 経 済 社 会 の変 化 に柔 軟 に対 応 で きる 人材 の育 成 を図 る観 点 か ら、 実 践 的 な語 学 力 、 情 報 ・会計 リテ ラ シー な ど、 ビジ ネ スの 基 礎 ・基 本 に つ い て の 内容 を充 実 す る と と も に、 情 報 化 の 進 展 に対 応 し、販 売 ・会 計等 の経 営 活 動 に 関 わ る情 報 の 分析 と活用 に 関す る 内容 の 改 善 を 図 る 。」 とあ り 、 財 務 諸 表 の 見 方 、 分 析 な ど簿記 で 学 ん だ知 識 を どの よ う に生 か し活 用 す る か とい う視 点 が 重 視 さ れ て い る。
この 改 善 の 方 向 の 背 景 に な って い る考 え方 の一 つ に 、政 府 税制 調 査 会 会 長 で 千 葉 商 科 大 学 学 長 の 加 藤 寛 氏 が 提 言 して い る 「未 来 を解 決 す る言 語 」 と して次 の3言 語 が挙 げ られ る 。
自然言 語(英 語)人 工言 語(情 報 処 理)会 計 言語(簿 記)
加 藤 寛 氏 は 、 講 演 の 中で この 会 計言 語 につ い て次 の よ う に言 及 して い る 。 い くつ か の金 融 機 関 の 財 務 諸 表 の 矛 盾 した 内 容 につ い て 指摘 しつ つ 、 「今 の大 学 が 失 敗 して い るの は経 済 学 部 あ る い は 商 学 部 で さ え も、 も う簿 記 会 計 な んて い うの は無視 して 、 こ れ を選 択 に して して しまっ て い る とこ ろ が 多 い 。 こ れ で は駄 目で あ る。 簿 記 会 計 が 分 か ら なけ れ ば 、経 済 社 会 の お 互 い の 交流 は で きな い 。 そ の こ とが 今 、 日 本 で は忘 れ られ て しま っ たの で あ る。 ・ … 中略 住 専 問 題 の 原 因 を調べ た大 蔵省 の 報 告 書 に 、 財 務 諸 表 の 分 析 もで きな い よう な低 劣 な る審 査 能力 が この住 専 問 題 の 元 凶 で あ る と書 い て あ った 。 ・ ・中 略 社 会 と い う もの は お互 い に話 し合 う こ とが 必 要 で あ り、 コ ミュニ ケ ー シ ョンの ツー ル が い る と思 っ て い る。 そ の ツ ー ル の 中 で今 一 番 忘 れ られ て しまっ た の が会 計 言 語 で あ る。 この 会 計 言 語 を私 た ち は 身 に 付 け な け れ ば い け な い 。 そ れ を必 修 に しなけ れ ば い け な い と私 は考 え た。 ・ ・中 略 これ か らは 会 計 言 語 が 出 来 る とい う こ とは非 常 に重 要 であ る。 なぜ 簿記 をや らな けれ ば な らない の か 。 そ れ を勉 強 し な い と、 どん な に21世 紀 の社 会 で 私 た ち は無 力 に な って しま うか とい う こ とを私 は是 非 、先 生 方 が 子 供 達 に教 え て い た だ きた い と思 う。」(平 成9年8月2日 千 葉 商 科大 学 教 育 研 究 会 講 演 よ り 『千 葉 商 科 大 学 教 育研 究 会 会 報 第2号85〜87頁 』)と い うよ うに、 企 業 会 計 を表 す た め の 共 通 言 語 を習 得 す る こ と の重 要 性 を提 言 してい る。
こ う した こ とを踏 まえ て 、 ビジ ネ ス教 育 の基礎 と して の視 点 か ら簿 記 教 育 の 中で 財 務 分 析 の 基 礎 を指 導 す る こ とが 重 要 と考 え 、授 業 展 開 に つ い て考 察 して み た 。
(3)企 業 の財 務 分析 実 践 事 例1
定 時 制 の 「簿 記 」 の授 業 で 、 ス ーパ ー の簡 単 な決 算 書 分析 を取 り入 れ てみ た 。簿 記 や会 計 の 学 習 に お い て生 徒 の興 味 や 意 欲 を喚起 す るた め に は 、具 体 的 なケ ース ス タデ イ を導 入 す る こ とが とて も大 切 で あ る と考 え る 。具 体 的 な企 業 名 を挙 げ て学 習 す る こ とに よ り、生 徒 は企 業 活 動 の イ メ ー ジが つか みや す く、
簿 記 で学 習 した 会 計処 理 が 企 業 の 通 信 簿 で あ る決 算 書 に どの よ うに繋 が っ て い くの か が実 感 で き る。
2時 間 の授 業 の 中 で 、 新 聞 に掲 載 され た 決算 公 告 を教 材 に用 い て 「どち らの会 社 が効 率 良 く利 益 を上 げ て い る か 」 とい うテ ー マ で 簡 単 な財 務 分析 を行 っ てみ た。授 業 を実 施 した結 果 、生 徒 た ちの 興 味 ・関 心 は多 様 で あ る に もか か わ らず 、 ほぼ 全員 が夢 中 で教 材 に向 か い 、 電 卓 を叩 い て い る姿 を見 る こ と が で
きた な ど、 生 徒 た ちの 反 応 が とて も良 か った 。
分析 に当 た って は、 「収 益 性 」 と 「安 全性 」 を着 目す べ き重 要 な視 点 と考 え 、 会 計 の 教 科 書 の 中 か ら 初 歩 的 で あ りか つ 大 規 模 ス ーパ ーマ ーケ ッ トの特 性 上 、重 要 と思 われ る次 の8つ の 指 標 を用 い た。
① 総 資 本 経 常 利 益 率 ② 売 上 高 経 常 利 益 率 ③ 売上 高 営 業 利 益 率 ④ 総 資 本 回転 率
⑤ 棚 卸 資 産 回 転 率 ⑥ 流 動 比 率 ⑦ 固 定比 率 ⑧ 自己 資 本 比 率
初 め て 分 析 を体 験 す る生 徒 た ち なの で 使 用 す る指 標 は ご く初 歩 的 な もの に と どめ た。 そ れ ぞ れ の 数 値 を算 出 す る前 に 、各 指 標 の持 つ 意 味 を プ リン トを使 って 説 明 し、
「100円 売 り上 げ て い く らの 儲 けか 」 「どの 程 度 借金 依 存 の体 質 な のか 」
「100万 円の 支 払 い に対 して 、幾 ら く らい す ぐにお 金 が用 意 で きる か」
な ど と理 解 しや す い表 現 をす る こ とに配 慮 した。 そ して8つ の指 標 を算 出 し、 プ リ ン トに記 入 した と こ ろで 、そ の 数 字 か ら どん な こ とが い え る のか 、同 じ業 種 で あ りなが らなぜ こ ん な に違 うの か 、 両 者 の 特 徴 な ど につ い て生 徒 た ち と考 察 を行 っ た 。 この よ う な身 近 にあ る教 材 を用 い る こ とに よっ て生 徒 た ち が 興 味 を もっ て取 り組 ん だ の は次 の よ うな理 由 か らで あ った 。
① 生 徒 た ち の生 活 に密 着 した企 業 で あ り、両 社 と も生 徒 た ち が在 住 して い る地 域 に あ る こ と。
② ス ーパ ーY店 とD店 で は 同 じ業 種 で あ る の に利 益 額 が まっ た く違 っ て い る こ と。
③ 特 に生 徒 た ちが 驚 い て い た の は 、店 舗 数 の違 い はあ る にせ よ売上 高 で はD店 の方 が 多 い の に 、 利 益 額 や 売 上 高 利 益 率 はY店 よ りも低 い こ と。 ま た、 そ の 他 の指 標 の数 値 も両 社 は大 き く乖 離 して い る こ
と。
④ 生 徒 た ち の 中 に ス ーパ ー で働 い て い る者 が3〜4人 い た た め 関心 が強 か っ た こ と。
⑤ 教 材 が 目新 し く、簿 記 の記 帳 の知 識 が な い生 徒 で もそ れ ほ ど問題 な く分 析 に取 り組 む こ とが で き る こ と。 な どが 考 え られ る 。
今 後 の 課 題 と して は 、有 価 証 券 報 告 書 を用 い て 勘 定 科 目の細 か い 中 身 を考 察 させ た い。
学 習 指 導 案
目 標:決 算 公 告 を利 用 して企 業 の 経営 状 態 を財 務 分 析 の 視 点 か ら考 察す る方 法 を学 ぶ 。 対 象 学 年:定 時 制3学 年(2単 位)3級 の学 習 を終 了後
1
時間 学 習 内 容 学 習 活 動 指導上の留意点
・学 習 す る 内容 の 概 要 説 明
・そ の 企 業 の 業 界 の 特 性 と ・学 習 内 容 へ の 関 心 を
導 ・貸 借 対 照 表 と損 益 計 算 書 現 状 につ い て 簡 単 に触 れ
持 た せ る 。
15分
の 構 造 と借 方 貸 方 の 意 味 る 。・資 金 調 達 、 運 用 、 利
入を 理 解 す る 。
・分 析 対 象 企 業 の 決 算 公 告 益 の 意 味 を説 明 す る 。と財 務 分析 表 を配 布 す る
・分 析 方 法 と分 析 に用 い る ・分 析 に 用 い る 指 標 の 意 味
・分 か り や す い 表 現 に
指標の確認
を 理 解 さ せ る 。 留 意 す る 。
・財 務 分 析 の 実 習 ・決 算 公 告 か ら 電 卓 を使 い ・ グ ル ー プ 学 習 に よ り 、
展
'
各 指 標 を算 出 させ 、 財 務 協 力 して 作 業 を す す 分析 表 に記 入 させ る。
め る よ う指 導 す る 。
・数 値 を 算 出 す る 際 決
指 標 名 単位 平均値 Y店 D店 算 書 の 数 字 を 見 て 電
卓 に 入 れ る 過 程 を 大
1
総資本経常利益率% 2.4
切 に す る 。 60分 2
売上高経常利益率% 2.4
i
13
14
売上高営業利益率 総資本回転率
% 回転
3.3 1回 転 以 上
・事 前 に 情 報 処 理 の 授
… 業 で 表 計 算 ソ フ ト を
3
5
棚卸資産回転率 回転16.8
学 習 し て い る 。
6
流動比率% 200以 上
7
固定比率% 100以 上
開 8 自己資本比率
% 30
・表 計 算 ソ フ ト を 用 い て 分 ・適 切 な グ ラ フ の 種 類 に つ
析 数 値 を グ ラ フ化 す る 。い て 考 え さ せ る 。
1
・デ ー タ の 考 察 と 授 業 内 容 ・作 成 した 表 、 グ ラ フ と分
・同 じ業 種 で も経 営 方1ま
1 の再確認 析 に 用 い た 決 算 広 告 を 確 針 の 違 い が 数 値 に 現
}と
15分
1
認 しな が ら考 察 さ せ る 。
れ て る こ と を 説 明 すめ 1
1
る 。*財 務 分 析 表 で 用 い た 平 均 値 は 『産業 別 デ ー タハ ン ドブ ック1997年 度版 』(日 本 開 発 銀 行)よ り引 用 し た平 均 値 また は理 想 値 で あ る。
平成9年5月23日
第39期 決 算
貸 借 対 照 表 の 要 旨 (平成9年2月28日 現在)
(単 位=億 円)
公 告
東京都港区芝公園 株式会社Y 代裂取締役社長
損 益 計 算 書 の 要 旨 (翠震 §雛 月幽昌鎚)
(単 位:億 円) 資 産 の 部 負 債 お よ び 資 本 の 郁
科 目 金 額 科 目 金 額
流 動 資 魔 固 定 資
舞 嬬
醒有 形 固 定 資 實
董 具 備 箆
土 地
そ の 他
無 形 固 定 資 酋
投 資 等
撃 峯 製 価慶 甕 辱期差
お保証竃
2,393 1,198 112573 294 214 5,802 L965
867 74935 87 31 3,805 184967 2,207 445
流 動 負 債 支 払手 形 ・買 掛 金 短 期 借 入 金
宋 払 金
未 払 費 用
そ の 他
固 定 負 僕
転 換 社 債
預D保 証 金
そ の 他
L5ア3 796 92 147 78 458 5go 36 525 28
負 債 合 計 2,164
資 本 金
法 定 準 備 金
剰 余 金
(う ち 当 期 利 益) 460 1,265 4,304 (431)
資 本 合 計 6,030 資 産 合 計 8,195 負 債 ・資 本 合 計 8,195 (注)L有 形 圃定 資 産 の減 価償 却 累計 領1,417億 円
2.1株 当たDの 当期 利 益103円89銭
備考:記 載 金額 は 億 円未 欄 虚切D捨 て て衷 示 して おDま ナ。
目科 益用益益用益益失益等益益額額益
鋸 響 赫 離
営営営営営経特特税法当前中利当
金 額
15,464 14,892凱論諺鶉矧器‑備
平 成9年5月23日
第46期 決 算 公 告
貸 借 対 照 表 の妻 旨 (平成9年2月28日 現在)
神戸 市中央区港島中町 株 式 会 社D 代 表取締役社長
損 益 計 算 書 の要 旨 (自 平 成8年3月1日至 平 成9年2月28日)
(単 位:億 円)(単 位:億 円)
科 目 金 額 科 目 金 額
(賢 魔 の 部) (12,649) (負 債 の 部) (10,049》
流 助 資 魔 a886 漉 動 負 債 5,757
現 金 及 び 預 金 585 買 掛 金 1,529 売 掛 金 336 短 期 倦 入 金 L790
た な 卸 資 産 1,429 1年 内 に返済 する
そ の 他 534 長 期借 入金 275
コマー シヤ〃 ペ ー パ ー 1,120
そ の 他 1,042
固 定 資 塵 9,763 固 定 負 債 4,292
賓 形 固 定 賢 魔 3,271 社 債 1,534
建 物 1,775 転 換 社 債 52
土 地 1,089 長 期 借 入 金 1,759
そ の 地 407 預 り 保 証 金 805
無 形 固 定 資 激 106 退職 給 与 引当金 140 投 箕 等 6,384 (賢 本 の 郁》 (2,60①
投 資 有 価証 券 1,500 資 奉 愈 520 子 会 社 株 式 738 法 定 準 傷 愈 1β54 差 入 保 証 金 3,915 尉 余 愈 426 そ の 他 229 (う ち当期 利益) 〔12)
賢 童 合 齢 12,649 負債 ・資 本合計 12β49
(注)L有 形固 定資 産の減 楢償 却累 計額2,910偉 円 2,1妹 当たり当期 利益1円73銭
備 考:記 載 金額 は億 円 未満 を切 り捨 てて表示 しております。
目
科
益用益益用益益失益税益益額額益難 ⁝尉 晶 軸 蹴
営営営営営経特特税法肖前中中利幽
金 額 25,055 25,029 25 194 214 5 197 176 27 15 12 65 58 0 1B
分 析 上 の留 意 点
ス ーパ ーY店 とD店 を比 較 し、財 務 状 態 が異 な る こ と を 次 の よ うな視 点 か ら理 解 させ 、 決 算 書 に興 味 を もたせ る 。
① 両 店 の 自己資 本 比 率 、流 動 比 率 の相 違 に つ い て 。
② 売 上 高 はD店 の ほ うが大 き いが 利 益 はY店 の ほ うが 大
きい こ と。
③ 総 資 本経 常 利 益 率 は 、D店 の ほ うが 低 い理 由 と して 、 売 上 高 経 常 利 益 率 の低 さに 起 因 して い る こ と。
④ 売 上 高 営 業 利 益 率 もD店 が 低 い の は売 上 高 原価 率 が 高 い こ と。
⑤ 営 業 外 費 用 がY店 よ りD店 の ほ うが 高 い 原 因 。
⑥Y店 は支 払 利 息 よ り営 業 外 収 益 を多 く得 てお り、D店 は金 利 負 担 が 大 きい こ と。
⑦ 商 品 回転 率 もD店 よ りも、
Y店 の ほ うが 高 い こ と。
⑧ 固 定 比 率 は 、Y店 よ りD店 の ほ うが 高 い こ と。
財 務 分 析 表
4 T 3
り6∩0一・︻ U 7 ﹂
﹂弓3 一・2 ρ 0 コ 0
卸資
ロ総資本回 転率 図棚卸資産回転率
2 6 9
︒637375.5 20.6
伽 鋤 鋤 勘 m 励 伽 50
麟流 動比率
■ 固定比率 口 自己資本 比 率
実践 事例2
学 習 指 導 案
目 標:企 業 の財 政 状 態 や経 営 成 績 の良 否 を判 断 す る知識 を学 習 す る 。 対 象 学 年:定 時 制4学 年(2単 位)(表 計 算 ソ フ トを操 作 で きる力 が あ る。)
学 習 内 容 生 徒 の 学 習 活動 指導上の留意点
・前 時 の 授 業 で 作 成 した 財
・表 計 算 ソ フ ト を 使 っ て 作 ・流 動 資 産 、 当 座 資 産 、
務 諸 表 を も と に 、 財 務 分 成 した 財 務 諸 表 をパ ソ コ固 定 資 産 、 流 動 負 債 、
導
析 を す る 。
ン画 面 に呼 び 出 し、 内 容 固 定 負 債 、 自 己 資 本15分 を確 認 す る 。
の説 明 を再 度 す る。入 ・本 時 の 学 習 内 容 を 理
解 さ せ る 。
・関 係 比 率 を用 い た分 析
〈 表 計 算 ソ フ トに よ る学 習 〉
・静 態 比 率 の そ れ ぞ れ1.静 態 比 率(貸 借 対 照 表) の 意 味 を理 解 さ せ る 。
・流 動 比 率 ・公 式 を も と に 、 自 分 で 入
・条 件 文 を 作 成 す る に 展30分 ・当 座 比 率 力 し分 析 を す る 。
当 た っ て の 適 正 割 合・資 本 固定 比 率
・備 考 欄 を 作 り 、 条 件 文 を を 確 認 す る 。
・資 本 負債 比 率 使 っ て 、 比 率 が 適 正 か ど
う か 判 定 す る 。
2.動 態 比 率(損 益 計 算 書 ・ ・プ リ ン トに 、 比 率 と判 定
・動 態 比 率 の そ れ ぞ れ 貸借対照表) 結 果 を記 入 す る。 の意 味 を理 解 させ る・自己 資 本比 率 ・¥100円 当 た り の
30分
・総 資 本利 益 率 金 額 を 出 して い る こ開 ・売 上純 利 益 率 と に 注 意 して 指 導 す
・売 上 総利 益 率 る 。
・売上 原価 率
・財 務 分 析 した 関 係 比 率 に