《抄 録》
本研究は、新教育課程の移行期間における総合的な学習の時間の実施状況を調査し、
その実態を把握するとともに、調査の結果を分析・考察することで、実施上の課題を明 らかにし、各学校が今後取り組むべき方向性を示すことをねらいとする。
研究を進めるにあたっては、総合的な学習の時間の創設の趣旨やねらいに則った実施 に向けて、各学校が自己点検するための視点を次のように示した。
◎児童・生徒が学ぶ喜びを感じながら自ら学習の内容を高めていく活動が保障されて いる
◎学習を通して児童・生徒が学び方やものの考え方を身に付けたり、自己の在り方や 生き方を考えたりすることができるように指導や評価が工夫されている
◎教科等の内容を関連付けたり実施内容を把握・評価したりするなど、児童・生徒の 学びの質を維持し向上させるための組織的な取り組みが確立している
アンケートにより、各学校の準備状況と学習活動のplan(計画の段階 ・do)
(実施の段階 ・see(評価の段階)における実施状況を調査し、その結果を分析・) 考察した。
研究の結果、総合的な学習の時間の実施に向け、各学校で次のことを重視する必要が あることが明らかになった。
①児童・生徒の学びの視点から
○児童・生徒が学習の内容を高めていくことができるように、興味・関心や問題意 識に応じた様々な体験的な活動を積極的に取り入れていくこと
②教師の指導や評価の視点から
○児童・生徒にどのような力を身に付けさせたいのかを明確にして、年間指導計画 を作成すること
○評価の観点や規準について十分に共通理解し、学びの質を高めるような指導・援 助に結び付けること
③学校の組織的な取り組みの視点から
○知の総合化を図るために、各教科等の学習内容と関連させた総合的な学習の時間 の指導計画を作成すること
○校内の組織を効果的に機能させ、指導内容や評価の充実を図ること
本研究の成果は、各学校が総合的な学習の時間の創設の趣旨やねらいに則った実施を するために、自校の学習活動について自己点検を行う際の基本的な考え方となる。
目 次 研究の基本的な考え方
Ⅰ
1 研究のねらい 75
2 研究を進めるにあたって 75
76 3 研究の方法
(1) 調査の方法 (2) 調査の内容
小学校・中学校・高等学校における総合的な学習の時間の実施状況
Ⅱ
1 実施に向けての準備状況 78
(1) 小学校・中学校・高等学校の実施校数及び時数 (2) 準備状況の調査の内容
(3) 調査の結果から
2 plan(計画の段階)の実施状況 81 (1) 調査のねらい
(2) 各学校が考えている児童・生徒に身に付けさせたい力
(3) 学習の内容を決めるにあたり、各学校で重点をおいているもの (4) 学習の内容と身に付けさせたい力との関係
(5) 年間指導計画と身に付けさせたい力との関係 3 do(実施の段階)の実施状況 85
(1) 調査のねらい (2) 学習活動
(3) 指導・援助の工夫 (4) 教師の指導体制 (5) 家庭・地域との連携
89 4 see(評価の段階)の実施状況
(1) 調査のねらい
(2) 評価についての共通理解の状況
(3) 評価についての共通理解と組織の機能との関係
(4) 評価についての共通理解と身に付けさせたい力との関係
Ⅲ
研究のまとめ 91研究の基本的な考え方
Ⅰ
1 研究のねらい
「生きる力」の育成を目指した総合的な学習の時間が小学校・中学校では平成14年度から 本格的に実施され、高等学校では平成15年度入学生から順次実施となる。それに向けて、平 成12・13年度の2年間にわたり多くの学校で様々な実践が行われてきた。
言うまでもなく総合的な学習の時間は、各学校の創意工夫に任されている部分が大きい。
そうであるからこそ、この時間が創設の趣旨やねらいに則って実施されているかどうか、各 学校は常に自己点検をしていかなければならない。
本研究は、総合的な学習の時間の各学校の準備状況がどのようになっているのかを把握す るとともに、この2年間の移行期間における実践を通してどのような課題があるのかを明ら かにし、その解決に向けた考え方を示すものである。併せて、各学校が総合的な学習の時間 の実践を顧みるための視点を整理し、今後取り組むべき方向性を示すことをねらいとした。
2 研究を進めるにあたって
本研究では、総合的な学習の時間が創設の趣旨やねらいに則って実施されているかどうか 分析・考察するために次の3つの視点を設定した。この視点は、各学校が効果的な学習活動 を展開しているかどうか自己点検するための視点としても活用できると考える。
第1は 「児童・生徒の学び」の考え方に立った視点である。、
児童・生徒は学習の対象とかかわる中で、驚いたり、疑問をもったりしながら、自分の課 題を見付け膨らませていく。その課題を解決することを通して学ぶ喜びを感じるとともに、
新たな好奇心や探究心をもって活動の範囲を広げたり、学習を深めたりしていく。
このように、児童・生徒が学ぶことの喜びを味わいながら自分自身で学習の内容や質を高 めていくことが、総合的な学習の時間に求められている学びの姿である。教師はこうした学 習を保障していく必要がある。
第2は 「教師の指導や評価」の考え方に立った視点である。、
児童・生徒は学びの過程で様々な困難に直面する。そうした場面で、教師は一人一人の状 況に応じた適切な評価に基づく、指導・援助をしていかなければならない。この教師の働き かけが、児童・生徒の学びの成立に大きく影響する。
総合的な学習の時間のねらいを考えたとき、こうした教師の働きかけは、一人一人の児童
・生徒が学び方やものの考え方を身に付けたり、自己の在り方や生き方を主体的に考えたり 児童・生徒が学ぶ喜びを感じながら自ら学習の内容を高めていく活動が保障されている
○
学 習を通し て児童 ・生徒が 学び方 やものの考え方を身に付けたり、自己の在り方や生き方
○
を考えたりすることができるように指導や評価が工夫されている
教 科等の内 容を関 連付けた り実施 内容を把握・評価したりするなど、児童・生徒の学びの
○
質を維持し向上させるための組織的な取り組みが確立している
することができるようなものでなければならない。
第3は 「学校の組織的な取り組み」の考え方に立った視点である。、
総合的な学習の時間は、各教科等の枠を超えた横断的・総合的な活動内容が設定され、実 施されていく。そのためには、すべての教職員が一体となった取り組みが不可欠である。学 習指導要領解説の総則編では、保護者や地域などの外部の協力を得つつ、学校全体として取 り組んでいくことの重要性を述べている。
総合的な学習の時間の学習活動はあくまでも児童・生徒が主体的に進めるものである。そ の学びの質を維持し向上させるために、学校内はもちろん、家庭や地域と協力した指導体制 をつくり上げなければならない。
3 研究の方法
本研究では、各学校の総合的な学習の時間の実施状況をとらえ、校種ごとに見られる特徴
、 。
や課題及び課題の解決に向けた考え方などを明らかにするため 次のような調査を実施した
(1) 調査の方法
① 総合的な学習の時間の実施上の課題の把握
過去2年間の研究推進校の研究紀要などから、総合的な学習の時間の成果及び課題を整 理・分析し、アンケート調査の構造及び項目を検討する。
② 実施状況の調査
都内公立小学校・中学校・高等学校を対象に、総合的な学習の時間の実施状況について のアンケート調査を実施する。
調査方法 標本調査
調査期間 平成13年7月~8月
調査対象 都内公立小学校 配布450校 回収416校 中学校 配布250校 回収226校
高等学校 32校(平成13年度実施校のみ)
(2) 調査の内容
本アンケート調査は、総合的な学習の時間の本格的な実施に向けての準備状況とplan
( 計 画 の 段 階 ・ d o ( 実 施 の 段 階 ・ s e e ( 評 価 の 段 階 ) に お け る 実 施 状 況 の 2 つ の 観) ) 点で、調査項目を作成した。
次のページの図は、具体的な調査項目を示したものである。平成13年度における準備状況 と実施状況の結果を自己点検のための3つの視点から分析・考察することによって、実施上 の課題及びその解決に向けた考え方を明らかにし、平成14年度の計画、実施に生かしていく ことができるように考えた。
① 準備状況の調査
総 合 的 な 学 習 の 時 間 に 向 け て 、 各 学 校 の 準 備 が ど こ ま で 進 ん で い る か 、 学 校 全 体 と し て 何に取り組まなければならないのかを把握するための調査である。
、 「 」
そこで 総合的な学習の時間を実施する上で必要であると考えられる 趣旨の共通理解
「 指 導 計 画 「 校 内 の 指 導 体 制 「 外 部 と の 連 携 」 な ど の 観 点 か ら ア ン ケ ー ト 調 査 の 項 目 を」 」 作成した。
② 実施状況の調査
総合的な学習の時間の各学校での取り組み状況を、plan・do・seeのそれぞれ の段階ごとに把握するための調査である。
<plan> 総合的な学習の時間を実施する際には、ねらいをもって学習活動を決定し、
年 間 指 導 計 画 を 作 成 し な け れ ば な ら な い 。 そ こ で 、 各 学 校 が 「 児 童 ・ 生 徒 に 身 に 付 け さ せ た い 力 「 学 習 の 内 容 の 決 定 」 な ど を ど の よ う に 関 連 さ せ て い る か 、 実 態 を 明 ら か に す る」 ために、質問項目を作成した。
<do> 総合的な学習の時間を実際に進める中で、児童・生徒の学びの質を高めていくた め に は 、 活 動 内 容 と 指 導 の 方 法 、 指 導 体 制 を 効 果 的 に 関 連 付 け る こ と が 大 切 で あ る 。 そ こ
「 」「 」「 」「 」
で 取り入れている活動 指導・援助の困難な場面 指導体制 家庭・地域との連携 などについての実態を明らかにするために、質問項目を作成した。
<see>「この時間における評価はテストの成績によって数値的に評価することは適当で は な い 」 と 教 育 課 程 審 議 会 答 申 で 指 摘 さ れ て い る 。 教 師 が 児 童 ・ 生 徒 の 活 動 の 状 況 を 適 切 に 評 価 し て 指 導 に 結 び 付 け 、 児 童 ・ 生 徒 が 自 ら 設 定 し た 課 題 や 追 究 の 過 程 を 振 り 返 り 改 善 を 図 る こ と が で き る よ う に す る こ と が 大 切 で あ る 。 そ こ で 各 学 校 の 「 評 価 に つ い て の 共 通 理解」の実態を把握するために、質問項目を作成した。
準備状況
児童・生徒に身に付けさせたい力 学習の内容を決める際の重点事項 実施への準備(中)
年間指導計画(小・中)
学習のねらいの設定(高)
取り入れている活動 課題設定の方法
指導・援助の困難な場面(小・中)
教職員の指導体制(小・中)
学習の進め方(高)
弾力的な学校運営(小・中)
次年度
前 年 度 の 取 り 組 み
※ゴシック文字は小・中・高 共通の質問項目
評価についての共通理解 来年度の実施時間(中)
単位認定の観点(高)
自由記述
小学校・中学校・高等学校における総合的な学習の時間の実施状況
Ⅱ
1 実施に向けての準備状況
(1) 小学校・中学校・高等学校の実施校数及び時数
来年度より、本格的に実施される小学校・中学校の総合的な学習の時間の平成13年度にお け る 実 施 状 況 を 調 査 し た 。 そ の 結 果 、 小 学 校 で は 回 答 の あ っ た 416校 の す べ て の 学 校 で 総 合 的 な 学 習 の 時 間 が 実 施 さ れ て い る こ と が 分 か っ た 。 中 学 校 で は 回 答 の あ っ た 226校 の う ち 、 1 学 年 で は 224校 、 2 学 年 で は 225校 、 3 学 年 で は 195校 で 実 施 さ れ て い る 。 ま た 、 小 学 校 ・ 中学校とも実施時数については学校によってかなりの開きがあり、小学校では各学年36〜70 時間、中学校では35時間の実施が最も多かった。
また、新教育課程への移行期間である平成13年度の都立高等学校で総合的な学習の時間を 実 施 し て い る 学 校 は 32校 で あ る 。 学 科 別 に み る
、 。 、
と普通科は24校 専門学科は8校である また 全 日 制 定 時 制 別 か ら 見 る と 、 定 時 制 普 通 科 が 13 校 と 最 も 多 く 、 次 い で 全 日 制 普 通 科 11校 、 定 時 制専門学科の6校と続いている。
実 施 時 数 に つ い て は 35単 位 時 間 が ほ と ん ど で ある。
今年度「総合的な学習の時間」を何時間行いますか。
(小学校)
ア 35時間以下
イ 36時間以上〜70時間以下 ウ 71時間以上〜90時間以下
エ 91時間以上〜104(109)時間以下 オ 105(110)時間
今年度「総合的な学習の時間」を何時間行いますか。
(中学校)
ア 34時間以下 イ 35時間 ウ 36時間以上〜
69時間以下 エ 70時間 オ 71時間以上
高等学校 調査32校の内訳
全日制普通科 11校
全日制専門学科 2校
定時制普通科 13校
定時制専門学科 6校
( 教 育 庁 指 導 部 「 高 等 学 校 学 校 経 営 に 関 す る 資 料 )」
3・4年
ア 1%
イ ウ 53%
24%
エ 5%
オ 17%
5・6年
ア 1%
イ 51%
ウ 24%
エ 9%
オ 15%
1年
ア 11%
イ 66%
ウ 8%
エ 15%
オ 0%
2年
ア 11%
イ 66%
ウ 9%
エ 13%
オ 1%
3年
ア 21%
イ 64%
ウ 6%
エ 9%
オ 0%
(2) 準備状況の調査の内容
準備状況の調査においては、総合的な学習の時間の趣旨について教職員の理解ができてい るのか、児童・生徒に身に付けさせたい力が明確になっているのか、年間指導計画ができて いるのかなど、各学校では具体的にどのような準備が進んでいるのかを校種ごとに明らかに することをねらいとした。
調査の内容として、各学校で準備が必要と考えられることを9項目に整理した。具体的に
「 」
は計画段階の準備として 総合的な学習の時間の趣旨について教職員の理解が図られている
「 自 校 の 児 童 ・ 生 徒 に 身 に 付 け さ せ た い 力 が 明 確 に な っ て い る 「 年 間 指 導 計 画 が で き て い」 る 「 総 合 的 な 学 習 の 時 間 と 教 科 ・ 領 域 と の 関 連 が 図 ら れ て い る 」 の 4 項 目 、 実 施 の た め の」 準 備 と し て 「 実 施 に 向 け て 学 校 全 体 の 組 織 が 機 能 し て い る 「 実 施 に 向 け て 学 年 と し て の 組」 織 が 機 能 し て い る 「 テ ィ ー ム テ ィ ー チ ン グ に よ る 授 業 が 日 常 的 に 実 施 可 能 で あ る 「 地 域」 」 の 人 材 や 外 部 の 諸 機 関 と の 連 携 を 図 っ た 学 習 が 可 能 で あ る 「 地 域 の 施 設 や 文 化 財 等 を 活 用」 した学習が可能である」の5項目で調査した。
下のグラフ1は この9項目がどの程度できているかについて 十分できている から で、 『 』 『 きていない』までの4つの選択肢から選んだ回答を、小学校・中学校・高等学校の校種ごと に集計したものである。
質問ごとの回答状況を見ると、どの校種でも「総合的な学習の時間の趣旨について教職員 の理解を図ること」については『できている』と回答した割合が高いことが分かる。一方、
グラフ1 <実施に向けての準備の状況 小・中・高>
十分できている できている あまりできていない できていない
「総合的な学習の時間」の趣旨につ いて教職員の理解が図られている
0% 50% 100%
小 高
自校の児童・生徒に身に付けさせたい 力が明確になっている
0% 50% 100%
小 中 高
「総合的な学習の時間」の年間指導計 画ができている
0% 50% 100%
小 中 高
「総合的な学習の時間」と教科・領域 との関連が図られている
0% 50% 100%
小 中 高
「総合的な学習の時間」の実施に向け て学校全体の組織が機能してい
0% 50% 100%
小 中 高
「総合的な学習の時間」の実施に向け て学年としての組織が機能している
0% 50% 100%
小 中 高
ティームティーチングによる授業が 日常的に実施可能である
0% 50% 100%
小 中 高
地域の人材や外部の諸機関との連携を 図った学習が可能である
0% 50% 100%
小 中 高
地域の施設や文化財等を活用した学習 が可能である
0% 50% 100%
小 中 高
「総合的な学習の時間と教科・領域との関連が図られている という項目では できている」 『 』 という回答の数値は低い。
小 学 校 で は 「 地 域 の 人 材 や 外 部 の 諸 機 関 と の 連 携 を 図 っ た 学 習 が 可 能 で あ る 「 地 域 の 施」 設や文化財等を活用した学習が可能である」の数値は80%を超えている。この2つは校種が 上がるにつれて数値が下がっていく。特に中学校では「総合的な学習の時間と教科・領域と の関連が図られている」という数値は20%にとどまっている。また「総合的な学習の時間に 向けて学年としての組織が機能している」の数値は小学校・中学校では「学校全体の組織が 機 能 し て い る 」 と い う 数 値 よ り も 高 く な っ て い る が 、 高 等 学 校 で は 逆 の 値 を 示 す 「 年 間 指。 導 計 画 の 作 成 が で き て い る 」 と い う 設 問 に 対 し て 『 で き て い る 』 と 回 答 し た 学 校 は 高 等 学、 校は80%を超えているが、中学校は61%である。
(3) 調査の結果から
、 、
この2年間の移行期間中において 各小・中学校ではどのような学習活動が可能であるか 実施のために学校体制をどのように整えていけばよいかなどを考え、時数を確保するととも に、学習環境を整えながら総合的な学習の時間に取り組んできたと考えられる。総合的な学 習の時間をその趣旨やねらいに則って行うためには、今年度の自校の実施状況を点検し、平 成14年度に向けての計画・準備に結び付けていく必要がある。
本調査からは、各校種とも「総合的な学習の時間と教科・領域との関連が図られている」
ことがまだ十分でないことが分かる。平成14年度から本格的な実施となる小学校・中学校で は特に教科・領域との関連をどう図っていくかが重要な課題である。
また高等学校においては、平成13年度に総合的な学習の時間を実施している学校は32校で ある。実施に当たっては、その趣旨やねらいの共通理解はもちろん、教育課程上の位置付け や具体的な実施の方法などについて全体での調整が必要であり、全教師の協力の下、全校体 制で進めていくことが大切である。そうした体制は、実践を積み重ねる中で確立されていく
、 。
ことから 平成14年度より総合的な学習の時間を実施する学校が増加することを期待したい 次 節 以 降 、 総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 取 り 組 む べ き 方 向 性 を 、 p l a n ( 計 画 の 段 階 ・ d o)
(実施の段階 ・see(評価の段階)ごとに調査結果に基づいて述べる。)
2 plan(計画の段階)の実施状況
(1) 調査のねらい
総合的な学習の時間のplan(計画の段階)では、各学校が児童・生徒にどのような力 を身に付けさせるのかを明確にし、それをもとに学習の内容を決定し、指導計画を作成して い く こ と が 大 切 で あ る 。 グ ラ フ 1 < 実 施 に 向 け て の 準 備 の 状 況 > を 見 る と 「 自 校 の 児 童 ・、 生徒に身に付けさせたい力が明確になっている」と回答した学校が小学校では76%、中学校 では67%、高等学校では69%である。そこで具体的にはどのような力を身に付けさせたいと 考えているのか、それらの力を学習の内容と関連付けているのかどうかを明らかにするため に、各校種ごとに以下のような調査を行った。
(2) 各学校が考えている児童・生徒に身に付けさせたい力
下のグラフ2は、各学校が総合的な学習の時間に、児童・生徒に身に付けさせたい力とし て何に重点をおいているかについて調査した結果を示したものである。なおアンケートで取 り上げた身に付けさせたい力の項目は、学習指導要領に示された総合的な学習の時間のねら いや配慮事項を参考に設定したものである。
グラフ2 < 児童・生徒に身に付けさせたい力として重点をおいているもの 小・中・高>
特に重点とした 重点とした あまり重点としなかった 重点としなかった 自ら課題を見付ける力を育てる
0% 50% 100%
小 中 高
課題解決や探究活動に主体的に 取り組む力を育てる
0% 50% 100%
小 中 高
友人やまわりの人と協力して取り組 む社会性や協調性を育
0% 50% 100%
小 中 高
コミュニケーション能力を育てる
0% 50% 100%
小 中 高
各教科等で身に付けた知識や技能を 総合的に関連付ける力を育てる
0% 50% 100%
小 中 高
新たな考えや自分ならではの方法を 創り出す力を育てる
0% 50% 100%
小 中 高
自分のよさに気付き生き方について 考える力を育てる
0% 50% 100%
小 中 高
社会の変化に主体的に対応できる力 を育てる
0% 50% 100%
小 中 高
体験を通して働くことや社会の一員 であることの大切さに気付く
0% 50% 100%
小 中 高
情報の集め方、調べ方、まとめ方等 の学び方を身に付ける
0% 50% 100%
小 中 高
小 学 校 ・ 中 学 校 ・ 高 等 学 校 の す べ て の 校 種 で 重 点 を お い て い る 割 合 が 高 い の は 「 自 ら 課、 題 を 見 付 け る 力 「 課 題 解 決 や 探 究 活 動 に 主 体 的 に 取 り 組 む 力 「 情 報 の 集 め 方 、 調 べ 方 、」 」 まとめ方等の学び方」である。これらは、総合的な学習の時間のねらいに示されている内容 に関連が強い。各学校がこの時間のねらいに着目して、児童・生徒に身に付けさせたい力を 設定していることが分かる。
ま た 「 自 分 の よ さ に 気 付 き 、 生 き 方 に つ い て 考 え る 力 「 社 会 の 変 化 に 主 体 的 に 対 応 で き」 る 力 」 は 、 小 学 校 と 比 較 す る と 中 学 校 ・ 高 等 学 校 で 重 点 を お い て い る 傾 向 が 強 い 「 体 験 を。 通して働くことや社会の一員であることの大切さに気付く」は、特に中学校で重点をおいて いる。中学校で行われている進路指導とのかかわりをうかがうことができる。
(3) 学習の内容を決めるにあたり、各学校で重点をおいているもの
下のグラフ3は、各学校が総合的な学習の時間で、何に重点において学習の内容を決めて いるかを示したものである。
学 習 の 内 容 を 決 め る に あ た り 、 ど の 校 種 と も 「 児 童 ・ 生 徒 の 興 味 ・ 関 心 「 育 て た い 資 質」
・ 能 力 「 体 験 的 な 活 動 」 に 重 点 を お い て い る こ と が 分 か る 。 学 習 指 導 要 領 及 び そ の 解 説 で」 示された総合的な学習の時間の趣旨や配慮事項に即して、児童・生徒の興味や関心をもとに して課題を設定し、様々な体験的な活動を通した学習を行っていることをうかがうことがで きる。
グラフ3 <学習の内容を決めるにあたり重点をおいているもの 小・中・高>
児童・生徒の興味・関心
0% 50% 100%
小 中 高
育てたい資質・能力
0% 50% 100%
小 中 高
地域の特色
0% 50% 100%
小 中 高
教科等の学習内容との関連
0% 50% 100%
小 中 高
保護者の要望
0% 50% 100%
小 中 高
学校行事との関連
0% 50% 100%
小 中 高
体験的な活動
0% 50% 100%
小 中 高
自己の生き方
0% 50% 100%
小 中 高
今日的な教育課題
0% 50% 100%
小 中 高
特に重点とした 重点とした あまり重点としなかった 重点としなかった
学習で地域教材を取り上げてきているため、ある程度の基盤ができていることに起因してい ると考えられる。
ま た 「 教 科 等 の 学 習 内 容 と の 関 連 」 に つ い て は 、 あ ま り 重 点 と さ れ て い な い こ と が 分 か、 る。特に中学校・高等学校でその傾向が強い。これまで教科担任制によって教科ごとに学習
、 。
を進めてきたため 横断的に学習内容を取り上げることについての難しさがあると思われる 各教科等の内容と関連させて総合的な学習の時間の学習計画を立てることは、知の総合化と い う 視 点 か ら 極 め て 重 要 で あ り 、 今 後 の 課 題 で あ る と 言 え る 。 な お 「 保 護 者 の 要 望 」 に つ、 いては、do(実施の段階)のページの(5)家庭・地域との連携のところで考察する。
(4) 学習の内容と身に付けさせたい力との関係
左 の グ ラ フ 4 は 、 グ ラ フ 3 で 示 し た 学 習 の 内 容 を 決 め る に あ た り 「 児 童 ・ 生 徒 の 興 味 ・ 関 心 」 に ど の 程 度 重 点 を お い た か と 、 グ ラ フ 2 で 示 し た 児 童 ・ 生 徒 に 身 に 付 け さ せ た い 力 と し て 「 自 ら 課 題 を 見 付 け る 力 」 に ど の 程 度 重 点 を お い た か と の 相 関 を 見 た ものである。
「 児 童 ・ 生 徒 の 興 味 ・ 関 心 」 を 重 点 と し た 学 校 の う ち 「 自 ら 課 題 を 見 付 け る 力 」、 を 重 点 と し て い る 学 校 は 65% あ る 。 こ の 数 値 は 「 児 童 ・ 生 徒 の 興 味 ・ 関 心 」 を 重 点 と しない学校になるほど、低くなっていく。つまり「児童・生徒の興味・関心」を重点とした 学校ほど「自ら課題を見付ける力」を重点としているのである。
左 の グ ラ フ 5 を 見 る と 、 学 習 の 内 容 を 決 め る に あ た り 「 学 校 行 事 と の 関 連 」 を 重 点 と し た 学 校 の う ち 、 身 に 付 け さ せ た い 力 と し て 「 課 題 を 見 付 け る 力 」 を 重 点 と し て い る学校が31%である。
反 対 に 「 学 校 行 事 と の 関 連 」 を 重 点 と し て い な い 学 校 の う ち 「 自 ら 課 題 を 見 付 け、 る 力 」 を 重 点 と し て い る 学 校 が 約 2 倍 の 63
% に な っ て い る 。 つ ま り 「 学 校 行 事 と の 関 連 」 を 重 点 と し て い る ほ ど 総 合 的 な 学 習 の 時 間 で は ぐ く む 必 要 の あ る 「 課 題 を 見 付 け る力」が重点とされていない傾向があることが分かる。
ま た 「 学 校 行 事 と の 関 連 」 を 重 点 と し て い る 場 合 に は 、 身 に 付 け さ せ た い 力 の ど の 項 目、 とも相関係数が0.2未満であり、相関が弱いと言える。
、 「 」 、
これらのことから 各学校が必ずしも 児童・生徒に身に付けさせたい力 と関連付けて
0% 50% 100%
グラフ4 (小学校)
重点とした 自ら課題を見付ける力 重点としない
重 点 と し た
重点としない
児童・生徒の興味・関心
N = 1 3 9
N = 2 4 3
N=32
N=1
0% 50% 100%
グラフ5 (中学校)
重点とした 自ら課題を見付ける力 重点としない 重 点 と し た
重点としない
学校行事との関連
N = 5 8
N = 9 8
N = 5 0
N = 1 9
学習の内容を決めているとは言い切れないことが分かる。特に学校行事と関連させた活動で 総合的な学習の時間を実施する際には、特別活動のねらいとの整合性を図りながら、児童・
生 徒 に ど の よ う な 力 を 身 に 付 け さ せ た い の か を は っ き り さ せ て 指 導 を 進 め て い く 必 要 が あ る。
(5) 年間指導計画と身に付けさせたい力との関係
下のグラフ6は、グラフ1<実施に向けての準備の状況>の中の「年間指導計画ができて いる」という項目と「児童・生徒に身に付けさせたい力が明確になっている」という項目と の相関を見たものである。
「 年 間 指 導 計 画 が で き て い る 」 と 回 答 し た 学 校 で は 、 そ の う ち 60% が 「 児 童 ・ 生 徒 に 身 に 付 け さ せ た い 力 が 明 確 に な っ て い る 」 と 回 答 し て い る 。 こ の 数 値 は 、 年 間 指 導 計 画 が で き て い な い と 回 答 し た 学校になるほど低くなっていく。
つ ま り 、 年 間 指 導 計 画 が 十 分 で き て い る 学 校 ほ ど 自 校 の 児 童 ・ 生 徒 に 身 に 付 け さ せ た い 力 を 明 確 に し て い る の で あ る 。
年間指導計画は各学校が1年間の学習を見通して作成し、児童・生徒の学びの実態や学習 の状況を見ながら修正や改善を加えていくものである。総合的な学習の時間の望ましい実施 をしていくためには、学年や学校全体で、自校の児童・生徒に身に付けさせたい力を明確に し、学習活動に応じた具体的な言葉として年間指導計画に位置付けていく必要がある。その ことによって、身に付けさせたい力がねらいや学習活動と関連付けられるだけではなく、教 師が常に意識しながら指導・援助や評価に生かしていくことができると考える。
0% 50% 100%
グラフ6 (小学校)
明確である 身に付けさせたい力 明確でない
で き て い る
できていない
年間指導計画
N=51
N=258
N=97
N=8
3 do(実施の段階)の実施状況
(1) 調査のねらい
総合的な学習の時間のdo(実施の段階)では、児童・生徒がそれぞれの課題をもって主 体的に学んでいく活動が行われることが重要であり、そのためには一人一人の児童・生徒の 学びを保障するための教師の指導・援助の体制が整えられていなければならない。
グラフ1<実施に向けての準備の状況>では、ティームティーチングによる授業を日常的 に実施することが『十分可能である』と回答した学校は、各校種とも20%程度である。また 地域の人材や施設等にかかわる質問でも『十分できている』と回答した学校は少なく、特に 校種が上がるに従って十分ではない状況を読み取ることができる。
ここでは、実際の学習活動の内容を明らかにするとともに、教師がどのように指導・援助 を行うための体制を整えていったらよいかについて分析・考察する。
(2) 学習活動
総合的な学習の時間においては、様々な体験的な学習を行うことが重視されている。そこ で 各 学 校 で は 、 ど の よ う
な 学 習 活 動 が 取 り 入 れ ら れ て い る か 調 査 す る こ と に し た 。 調 査 項 目 と し て 学 習 指 導 要 領 の 総 則 に 示 さ れ た 「 学 習 活 動 の 展 開 に 当 た っ て の 配 慮 事 項 」 を も と に 7 つ の 活 動 を 設
。 、
定した 右のグラフ7は 各 学 校 が そ れ ぞ れ の 活 動 を ど の 程 度 取 り 入 れ て い る か の 回 答 を 調 査 学 年 ご と に 集 計 し た も の で あ る。
質 問 ご と の 回 答 状 況 か ら 見 る と 、 す べ て の 校 種 で 「 発 表 ・ 討 論 」 を 多 く 取 り 入 れ て い る こ と が 分 かる。
校 種 ご と に 見 る と 、 小 学 校 で は 「 観 察 ・ 実 験 」
「 自 然 体 験 「 も の づ く」 多く取り入れた 取り入れた あまり取り入れなかった 取り入れなかった
グラフ7 <取り入れている活動 小・中・高>
観察・実験
0% 50% 100%
小3・4 小5・6 中1 中2 中3 高校
校外での見学・調査
0% 50% 100%
小3・4 小5・6 中1 中2 中3 高校
自然体験
0% 50% 100%
小3・4 小5・6 中1 中2 中3 高校
ボランティ ア活動等の社会体 験
0% 50% 100%
小3・4 小5・6 中1 中2 中3 高校
ものづくり・生産活動
0% 50% 100%
小3・4 小5・6 中1 中2 中3 高校
発表・討論
0% 50% 100%
小3・4 小5・6 中1 中2 中3 高校
職業体験(インターンシッ プ)
0% 50% 100%
小3・4 小5・6 中1 中2 中3 高校
り ・ 生 産 活 動 」 を 多 く 取 り 入 れ て お り 、 中 学 校 で は 「 職 業 体 験 ( インターンシップ 」 を 取 り 入 れ、 ) ている割合が、他校種よりも高い。
小 学 校 ・ 中 学 校 と も に 「 校 外 で の 見 学 ・ 調 査 「 発 表 ・ 討 論 」 が 多 く 取 り 入 れ ら れ て い る」 ことから、見学・調査をして追究した内容をまとめて発表するという型の総合的な学習の時 間が実施されていることをうかがうことができる。
高 等 学 校 で は 「 発 表 ・ 討 論 」 以 外 は 、 ど れ も 50% に 達 し て い な い も の の 、 様 々 な 活 動 を、 取り入れている傾向を読み取ることができる。
右下のグラフ8は、高等学校でどのような学習の進め方をしているかについての調査結果 を 示 し た も の で あ る 。 学 習 を 進 め る に あ た り 「 学 校 図 書 館 や 校 内 情 報 機 器 」 な ど 校 内 の 施、 設 を 活 用 し て い る 学 校 が
、「 」
多く 地域の学習素材 は あ ま り 活 用 さ れ て い な い こ と が 分 か る 。 総 合 的 な 学 習 の 時 間 の ね ら い を 考 え る と 、 学 校 以 外 の 人 と か か わ る 活 動 や 地 域 の 施 設 を 利 用 す る 活 動 な ど
を積極的に取り入れていくことが必要である。今後どのような活動を中心に総合的な学習の 時間を実施していくか、各学校で検討することが課題である。
3) 指導・援助の工夫 (
総合的な学習の時間において、児童・生徒が自ら課題をもち、学ぶ喜びを感じながら学習 の内容を高めていくことができるようにするためには、教師の適切な指導・援助が不可欠で あ る 。 右 の グ ラ フ 9 は 、 問 題 解 決
的 な 学 習 に お け る 学 習 過 程 の 4 つ の 場 面 の う ち 、 指 導 ・ 援 助 を 行 う 上 で 最 も 困 難 だ と 感 じ て い る 場 面 を 1 つ 選 ん だ 回 答 を 示 し た も の で あ る 「 個 々 が 課 題 を も つ 場 面 」。 と 回 答 し た 学 校 は 小 学 校 で は 4 7
% 、 中 学 校 で は 49% で 最 も 多 く な っ て い る 「 課 題 解 決 の 見 通 し を。 も ち 計 画 を 立 て る 場 面 」 と 合 わ せ
ると、小学校・中学校ともに75%以上の学校が計画段階における指導・援助が困難であると 回答している。
困 難 と 感 じ る 具 体 的 な 理 由 に つ い て 自 由 記 述 で 回 答 を 求 め た と こ ろ 「 教 師 も 子 ど も も 問、 題 解 決 的 な 学 習 の 経 験 が 不 足 し て い る た め 課 題 を 自 分 で つ く る の が 難 し い。」「 学 習 の 課 題
グラフ9 <指導・援助の困難な場面 小・中>
ア 個々が課題をもつ場面
イ 課題解決の見通しをもち計画を立てる場面 ウ 課題を追究する場面
エ まとめ発表の場面 グラフ8 <学習の進め方 高>
1 地域の学習素材の活用
2 学校図書館や校内情報機器の活用 3 個人・グル−プ・学級・学年での学習 4 異学年との協同、他校との交流 5 課題解決の筋道の具体的な計画 6 学習の成就感を大切にする
よくあてはまる あてはまる あまりあてはまらない あてはまらない
0% 50% 100%
1 2 3 4 5 6
小学校
ア 47%
イ 30%
ウ 19%
エ 4%
中学校 オ 1%
ア 49%
イ 26%
ウ 20%
エ 4%
ない 」などの記述が見られた。。
学習を進めるに当たっては、一人一人の児童・生徒にどのようにして課題をもたせるか、
学びの質を高めるような課題解決に向けての計画をどう立てさせるか、という指導・援助の 工夫が求められていると言える。
(4) 教師の指導体制
児童・生徒の学びの質を維持し向上させていくためには、学校全体の教師が協力して、指 導 で き る 体 制 を つ く っ て い く こ と が 重 要 で あ る 。 左 の グ ラ フ 1 0 は 、 小 学 校 に お い て 校 内 の 教 職 員 が ど の よ う な 協 力 体 制 で 授 業 を 行 っ て い る か に つ い て 調 査 し た 結 果 で あ る 「 ア。 特 に 計 画 は し て い な い が 、 必 要 に 応 じ て 複 数 の 教 師 が 協 力 し て 授 業 を 行 っ て い る 」 か ら 「 エ 計 画 の 段 階 か ら 、 実 施 、 評 価 ま で の 協 力 体 制 を 明 確 に し て 授 業 を 行 っ て い る」まで含めると、複数の教師が何らかの形で協力して授業を行っている学校が90%以上で ある。小学校においては複数の教師による指導が積極的に取り入れられていることをうかが うことができる。しかし、計画段階から協力体制を明確にしている学校は10%にとどまって いる。doの段階ではもちろんであるが、plan・seeの段階においても教職員が協力 して総合的な学習の時間の充実を目指していくことが重要である。
右 の グ ラ フ 11は 、 中 学 校 で 行 わ れ て い る 指 導 形 態 に つ い て の 調 査 結 果 で あ る 。
「 イ 学 級 を 越 え て 学 年 単 位 で 実 施 し 、 複 数 の 教 師 が 協 力 し
て指導している」が最も多く、90%近い数値となっている。ほとんどの学校で学年単位で協 力した指導が取り入れられているが、学年を越えて学校単位で実施している学校は少ないと いうことが分かる。
こうした指導体制を整える上で難しいと考える具体的な理由について自由記述で回答を求 め た と こ ろ 「 総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 取 り 組 み が 一 部 の 教 師 の み に な って い る、 。」「 各 教 師 の 総 合 的 な 学 習 の 時 間 に 対 す る と ら え 方 に 差 が あ り 、 指 導 内 容 や 方 法 に つ い て も 差 が あ る 」。
「多くの教師が指示待ちであり、意欲に欠けている 」などの回答が見られた。。
2つの調査結果から、学校全体での指導体制の確立が大きな課題であることが分かる。
グラフ10 <校内教職員の協力体制 小>
ア 特に計画はしていないが、必要に応じて複数の教師が協力して 授業を行っている
イ 複数の教師が協力して授業を行っ ているが、授業の中での役割分担 は特に決めていない
ウ 複数の教師の役割分担を具体 的に決め、協力して授業を 行っている
エ 計画の段階から、実施、評価 までの協力体制を明確にして 授業を行っている
オ 特に協力体制は決めず、学級担任 が行っている
カ その他
−複数回答−
グラフ11 <指導形態 中 >
ア 学級単位で実施し、担任又は教科 担任等が一人で指導している イ 学級を越えて学年単位で実施し、
複数の教師が協力して指導している ウ 学年を越え、学校単位で実施し、
複数の教師が協力して指導してる エ その他
小学校
ア 41%
イ 11%
ウ 30%
エ 10%
オ 7%
カ 1%
19.5%
89.8%
15.5%
1.3%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
ア
イ
ウ
エ
(5) 家庭・地域との連携
グ ラ フ 3 < 学 習 の 内 容 を 決 め る に あ た り 重 点 を お い て い る も の > で は 「 保 護 者 の 要 望 」、 を重点としている学校は小学校で17%、中学校で24%、高等学校で22%と非常に低い。
グラフ12は、総合的な学習の時間のねらいや内容について保護者へ知らせる方法について の調査結果である。
質 問 ご と の 回 答 状 況 か ら 見 る と 、 小 学 校 ・ 中 学 校 と も に
「 ア 学 校 便 り な ど の 文 書 で 伝 え る 「 イ 保 護 者 会 な ど で」 説 明 す る 」 が 80% を 超 え て い る 。 校 種 別 に 見 る と 、 小 学 校 で は 「 オ 保 護 者 に 授 業 に 参 加 し て も ら う 」 は 60% の 学 校 で行われているが、中学校では17.3%である。さらに小学校では、18.1%の学校で保護者が 授業の計画にも参加している。総合的な学習の時間の授業を公開するだけでなく、授業に参 加を求めたり、さらに計画段階から参加してもらったりするなど、保護者との連携をどう強 化していくか、各学校での取り組みが期待される。
保護者との連携だけでなく、地域との連携を図った体制づくりも重要な視点である。グラ フ 1 で は 「 地 域 の 人 材 や 外 部 の 諸 機 関 と の 連 携 を 図 っ た 学 習 が 可 能 で あ る 」 と 回 答 し た 学、 校は小学校では89%あるものの、中学校で65%、高等学校では53%と低くなっていく。地域 とどのように連携していくかはすべての校種で考えていかなければならない課題である。
右 の グ ラ フ 13は 、 地 域 の 実 態 を 生 か し た 活 動 を 進 め る た め に 実 施 し て い る こ と に つ い て 調 査 し た 結 果 で あ る 。 小 学 校 で は 「 人 材 リ、 ス ト の 作 成 「 授 業 に 参 加」 し て も ら う 」 は 多 く の 学 校 で 行 わ れ て い る が 「 協 力 者 へ の 説 明 会 を 実 施 し て い
」 。 、
る は少ない 中学校では
「 日 頃 か ら 学 校 の 様 子 を 地
域に知らせている」が最も多く、その他は40%以下である。
総合的な学習を充実させるためには、学校全体での指導体制を整えることはもちろん、日 常的に保護者や地域と連携しながら取り組んでいくことが大切である。
複数回答−
グラフ13 <地域の実態を生かした活動 小・中> − ア 地域の方々の人材リストを作っている
イ 地域の文化や伝統、施設を調査し、地域マップを作っている ウ 時期を決めて協力者を学校に招き、説明会を実施している エ 学習内容に応じて地域の方々に授業に参加してもらっている オ 地域の施設や他校との交流を計画的に実施している
カ 日頃から学校の様子や学校行事について地域住民に知らせている
小学校 中学校
−複数回答−
グラフ12 <保護者への周知 小・中>
ア 学校便りなどの文書で伝える エ 保護者に授業の計画に参加してもらう イ 保護者会などで説明する オ 保護者に授業に参加してもらう ウ 授業参観や学校公開をする カ 学校のホームページで知らせる
小学校 中学校
87. 8%
90 .3%
76 .1%
18 .1%
6 0.6 % 10. 2%
0% 20 % 40% 60% 8 0% 10 0%
ア イ ウ エ オ カ
8 2.3%
8 9.8%
5 8.4 % 6 .6%
17. 3%
7 .1%
0% 20% 4 0% 60% 8 0% 100 %
ア イ ウ エ オ カ
71 .5%
32. 6%
10. 7%
8 8.5 % 36.6 %
6 4.9 %
0% 20% 4 0% 60% 8 0% 100 %
ア イ ウ エ オ カ
34 .1%
17. 3%
2 1.2%
38.5 % 34 .1%
67 .7%
0% 20% 4 0% 60 % 80% 1 00%
ア イ ウ エ オ カ
4 see(評価の段階)の実施状況
(1) 調査のねらい
総合的な 学習 の時 間のsee(評価の段階)では、児童・ 生徒 の学 びの姿からその変容を 把握・評価し、次の学習活動につ なが るよ うな指導・援助をしていくとともに、教師はその 結果を新たな計画づくりに結び付 けて いく 必要がある。総合的な学習の時間は学校によって その活動内容が異なることから、 児童 ・生 徒の実態や身に付けさせたい力、学習活動に合わ せて、各学校がそれぞれの独自性 を発 揮し た評価の観点や規準を作成しなければならない。
そのためには学校全体で評価に関する十分な共通理解を図ることが大切である。
そこで、 今年 度各 学校において、評価の目的や方法、観点 と規 準の 設定等の共通理解がど こまでなされているのかについて の実 態を 把握するため、下の4項目についての調査を行っ た。
(2) 評価についての共通理解の状況
下のグラ フ14は、総合的な学習 の時 間の 評価に関わる共通理解の状況について調査した結 果である。
小学校・ 中学 校で は、どの項目においても共通理解ができ てい ると 回答した学校は50%を 下 回 る 結 果 と な っ た 。 高 等 学 校 で も 「 評 価 の 観 点 と 規 準 の 設 定 」 に つ い て は 、 小 学 校 や 中、 学校と同様に50%に達していない。
ま た 、 評 価 に つ い て の 共 通 理 解 に か か わ る 自 由 記 述 で は 「 子 ど も に ど の く ら い の 力 が 身、 に 付 い た か 分 か る よ う な 評 価 の 仕 方 が 難 し い。」「 評 価 に 関 し て 十 分 な 話 し 合 い が 行 わ れ て いない 」などの回答があった。。
これらの こと から 、学校では評価についての共通理解がま だ十 分で はないというだけでな く 、 評 価 の 困 難 さ を 感 じ て い る と い う 現 状 が 明 ら か に な っ た 。 特 に 「 評 価 の 観 点 と 規 準 の、 設 定 」 に つ い て は 『 で き て い る 』 と の 回 答 が 他 の 項 目 を 下 回 っ て い る 。 総 合 的 な 学 習 の 時、 間は小学校・中学校においては来 年度 から 本格的な実施となる。指導と評価の一体化を図る 上でも、評価の観点と規準につい て学 校全 体で共通理解をしていくことは、早急な課題であ
グラフ14 <評価についての共通理解 小・中・高>
十分できている できている あまりできていない できていない 評価の目的
0% 50% 100%
小 中 高
評価の方法
0% 50% 100%
小 中 高
評価の観点と規準の設定
0% 50% 100%
小 中 高
通知表や指導要録の記入方 法・内容
0% 50% 100%
小 中 高