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走法(ランニングフォーム)の学習を取り入れた長距離走の授業

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走法(ランニングフォーム)の学習を取り入れた長距離走の授業

- 3000

m

ペース走をとおしてー

岡 本 昌 規 合 田 大 輔 藤 本 隆 弘 三宅 理 子 代 信 光 幸 田 宅 古 同 一 二 今日のランニングブームのなかで,長距離走の授業においてペースコントロールやトレーニング方法 だけでなく,合理的に走るための走法(ランニングブオーム)について学習することは,生徒がこれか ら将来にわたってジョギングを実施したり市民マラソン大会に参加するなど様々な目的を持って長距離 に取り組む時に,記録の向上はもちろんリラックスして楽しく走ることや故障の防止にもつながり意欲 を持って取り組むのに必要なことであると考えるO これまでの長距離走の授業実践では走法について取 り組んだものは見られない。今回はこれまで実践してきたベース走にランニング時の姿勢作りを中心に して,肩甲骨からの腕振り,骨盤からのストライドといった体の動き作りを課題として取り上げた授業 を行った。

1

.はじめに

当校では,長距離走の授業においては, 1971年より 「ベース走」という概念を取り入れ,改善を重ねなが ら中 ・高 6ヶ年一貫教育の中に定着させ,成果を上げ てきた。それは, 2008年に中学 2年生男子を対象に 「心と体の変容に対する認識を育てる授業-2000 mペ ース走を通して一」として,広島大学附属福山中・高 等学校発刊の中等教育研究紀要 49巻にまとめた。 長距離走の授業の実践例は,ベースに関するもの,イ ンターパル走やレベテショントレーニングなどの練習方 法を主題としたもの また それらを組み合わせたもの がほとんどで,走法に焦点を当てた実践は見られない。 今日のジョギングブーム 市民マラソンブームのなか で,素人ランナーを対象にした書籍もここ数年で見られ るようになった。その中には「骨盤ランニングJ(中島 靖弘, 2010)や r-r体幹』ランニングJ(金哲彦, 2007) など走法について専門的なことをわかりやすく解説した ものもある。バイオメカニクスの研究が進み,ピッチ, ストライドなどをキーワードにした走法から,体幹,骨 盤,腸腰筋などをキーワードにした走法のとらえ方に変 わってきたこともある。 長距離走の授業においてペースやトレーニング方法だ けでなく,よりリラックスして合理的に走るための走法 について学習することは,今日のランニングブームなど の社会の流れを考えると,生徒が現在から将来にわたっ てジョギングを実施したり市民マラソン大会に参加する など長い距離を走ろうとするときに,楽しく安全に走る の授業研究」として,短距離走において,接地と軸を中 心としたインナーマッスルの使い方を身体感覚としてと らえる授業研究を行った。そこから 今回は走るという ことは短距離走も長距離走も体の使い方の基本は同じで あると考え,長距離走の授業の中で接地と軸という考え 方を走法の学習に取り入れ,生徒一人ひとりに応じたペ ースづくりと走法の改善の両面から長距離走の授業改善 に取り組んだ。 2006年の短距離走の研究では,速く走るためには, 「素早く足を振り下ろし,出来るだけ速く接地しその上 に軸をつくる事が重要であるO そしてそれを繰り返すた めには次の足を速く出すことが重要である」として,連 続した素早い接地に必要な腸腰筋とハムストリングの利 用の活性化を行うための股関節の使い方を意識させるド リルを多く行って, 自分のからだの使し、かたを意識させ ながら合理的な走り方を考えさせた。つまり,速く走る ということは合理的に走る(エネルギーをロスせずに走 る)ということで 走る距離の長い短いに関係なく基本 は同じであると考え 長距離走における合理的な走りか たを次のように考えた。「走るとは一歩一歩の着地の時 の衝撃で地面から跳ね返ってくる力を体を一本の軸にし て受け止め, 重心を前に傾けることでそのエネルギーを 推進力に変えていくこと」であり,そのための姿勢づく りを核において,肩甲骨,骨盤といった体幹を中心とし た腕ふり,脚の動きを大切にした 3000mペース走の授業 を構成し実践した。その結果は「心と体の変容に対する 認 識 と 論 理 的 思 考 力 を 育 て る 授 業 -3000

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ペース走をと おして一J(岡本昌規他, 2011) にまとめた。それは, ために大切なことであると考える。 3000mベース走に取り組む中で生徒は何を考えたのか, 私たちは 2006年に「みんなで走りを科学する短距離走 そして体や内面がどう成長したのかに焦点を当ててまと

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めた。今回はその授業実践の中から,走法の学習をどの ( 3 )着地 ように進めたのかに焦点を当てて報告する。 ・前にある空き缶をまっすぐに踏みつぶす要領で, 真上

2 長距離走における合理的な走法

2006年 の 短 距 離 走 の 実 践 を ふ ま え 金 哲 彦 の ラ ン ニ ング・メソッド(金哲彦, 2009)J I~ 体幹』ランニング (金哲彦, 2007) J I骨盤ランニング(中島靖弘, 2010)J を主に参考にしながら 長距離走における走法の学習を 次のように考えた。 ( 1 )よい姿勢づくり 前方への推進力を得るには,体をまっすぐな一本の 軸とし,地面からのエネルギーを無駄なく受け取ること が大切である。ランニングは,腕振り(肩甲骨の動き) によって始まり,骨盤に伝わり,脚が動く。全身を使う ことで,疲れにくい軽快なフォームになる。 ①良い姿勢で立つ ・骨盤を前傾させ,背すじを伸ばして,重心を 「丹 田」におき,軽く力を入れるO -両肩を軽く後ろに引き胸をひらくようにする0 .目線はまっすぐに前を向いて重心を高くする。 ②よい姿勢で歩く -骨盤を前傾し,胸を張った良い姿勢(まっすぐな 軸)のまま,踏み出した足に体重を載せながら歩くO ③よい姿勢で走る ・よい姿勢を維持したウォーキングからしだいにラン ニングへつなぐようにする。 ( 2 )合理的な体の使い方 体全体を使うことで、エ不ルギーをロスせず合理的なラ ンニングになるO 特に体幹を中心とした動きを考える ①腕振り(肩甲骨) .背中の筋肉を使って肩甲骨をしっかり動かすことで, 腕を振ることができるO -肩の力を抜き脇を締めて,肘をしっかり引くO -肘は体側より前に,拳は体側より後ろに行かない。 ②脚の動き(骨盤) -骨盤の上部は脊椎と腰関節を,下部は両側に大腿骨と 股関節を形成し,それぞれをたくさんの筋肉で結んで おり,前後,左右,ひねりなどの複雑な動きができる が,意識して動かさないといくつかの筋肉がうまく力 を発揮しなくなったり,柔軟性が低下してきたりするO -ランニングでは大腿骨を引き上げる中心となる胸の下 の背骨についている腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)の働き を意識する。 -骨盤を動かすことで自動的に脚が前に出るようになる。 ③肩甲骨と骨盤の連動(図1・8) 肩甲骨を背中の中央に向かつて引くと,同じ側の骨盤 から地面に力を加える。 ・つま先をまっすぐに前を向けて,骨盤の下に地面を踏 みつけるように着地するO -着地した足の上に上半身をまっすぐに載せることで, 地面からのエネルギーを効率よくもらえる。つまり, 体幹の筋肉に力を入れ足から頭までを一本の棒のよう にした状態で足を地面につくことで,地面からもらっ た反発力をロスせずに使って進むことができるO つま り, 着地の衝撃を体幹の筋肉を使って受け止めるよう にすることであるO これらを整理してよいランニングフォームのチェッ クポイントを次のようにして生徒に提示した。 ①肩,腰がリラックスした状態で,腕を振ったときに肩 甲骨がしっかり動いているO ②上半身がまっすぐに保たれて,骨盤から動いて脚が前 に出ているO ③骨盤と体全体が少し前傾して重心が前にある。 ④着地の瞬間に体が一本の線のようになって, 着地の衝 撃を体幹で受けている。 ⑤体が宙に浮いているときに,骨盤から脚が前に出て大 きく前進しているO ⑥上下動や左右の揺れが少なく,頭の位置が動かない。

3.

授業の展開方法

( 1 ) 対 象 広島大学附属福山高等学校 1年生男子 76名

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)期間 2010年 10月"-'12月 ( 3 )単元の概要と各時間の授業展開 表1 単元の概要 時間 学習内容 1 オリエンテーション 授業の進め方, 3000m走 2 長距離走の走法の研究 3000m走のビデオから走法の課題設定 3 ウォーミングアップの方法 ぺアで走法の改善 4 3000mペース走 戸 、d ペースの組み立て方の理解と設定 8 走法の改善 チャレンジ走の準備 9 5000mチャレンジ走 1 0 学習のまとめ

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表2.各 時 間 の 授 業 展 開 第 1時 オリエンテーション 。学習の目標を提示して,今回の授業のねらいと進め方を説明した。 学習目標 ① 自分の体調や体力 ・技能に応じた運動を計画 ・実践する習慣をつくろう。 ② 3000 mを自分の体力に応じてベースを保ちながら合理的に走る力を高めよう。そしてチャレンジ走 (5000 m)に挑戦しよう。また,合理的なフォーム(走法)を身につけ,軽快な走りをめざそう。 ③ 運動中や運動後の身体の変化(呼吸,脈拍,苦しさ等)を知ろう。そして,心肺機能,全身持久力, 脚力, 走力を高めようO ④ お互いに助け合って運動をする習慣をつくろう。また,自分ばかりでなく友人の体調や健康 ・安 全 に も気を配りながら学習しようO ⑤ 自分を見つめ直しながら,強い意志力,忍耐力,根気強さ,運動に対する積極性などの精神力を高め ょう。 。4月に行った新体力テストの 1500m走のタイム(全員),昨年の 3000mペース走,5000mチャレンジ走(昨年の記録の あるもの)の記録を確認し,それぞれの400mのラップタイムを計算して,これから走る 3000mベース走の400mをどれ くらいのペースで走れるのかを考えさせた。 。 3000mペース走を行い,ゴールライン通過時に真横と斜めからビデオ撮影をしたO 第 2時 長距離走の走法の研究 。走法の理論学習 ①ランニング姿勢について(図 1-4,図 1-5と北京オリンピックの陸上競技女子 5000mのビデオ) -胸を張って背筋を伸ばした前傾の姿勢 ・上体が揺れずに安定しており,頭が動かないフォームの確認 -下腹部(丹田)に力を入れ,胸を張り少しお尻を引きあげるようにすることで,骨盤を前に傾けた良い姿勢が取 れる。 -良い姿勢をランニングにつなぐためのウォーキングで背筋を伸ばしたまっすぐな姿勢のままで,腕を振り骨盤を 動かしながら歩くo (図ト6) ②ランニング時の体の使い方 0肩甲骨からの腕ふり (図 1-7) -肩の力を抜いて肩甲骨を動かすことでスムーズな腕ふりが出来る。 ・そのために肩甲骨を動かす運動をして,肩をリラックスさせて柔軟に動かせるようにするO ・肘は体側から前に出ないように,拳は体側

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から後ろに引かないようにする。 0骨盤からの脚の動き -脚を合理的に動かすためには,日却を動かす腸腰筋の活動とそれに繋がる骨盤の動きが重要になる。骨盤を動 かすことで腸腰筋が動き合理的な脚の動きとなる。 0肩甲骨と骨盤の連動 (図 1-8) -肩甲骨を引くことで骨盤が前に出る。そして,~却が前に出るO ③着地(図1-5,図1-9) -着地は地面からの力を受け取るために大切なところであるO -前にある空き缶をまっすぐに踏みつぶす要領で,真上から地面に力を加える。 ・つま先をまっすぐに前を向けて,骨盤の下に地面を踏みつけるように着地する。

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-着地した足の上に上半身をまっすぐに載せることで,地面からのエネルギーを効率よくもらえる。 ④呼吸 ・呼吸のやり方に決まりはないが,吸うよりも吐くことを意識する。 ・息を吐くことで空気は肺に入ってくる。吐かなければ入ってこない0 .呼吸のリズムで走るリズムを整えようO ⑤ピッチとストライド ・速く走るためには,脚の回転数(ピッチ)をあげることと,歩幅(ストライド)を大きくすること0 ・ピッチ走法はストライドより脚の回転スピード(ピッチ)を重視して走る方法。 ・ストライド走法は,大きなフォームでストライドを大きくとる。 -自分の走りやすい走り方で走ればよい。 ・タイムがよいときと悪いときを比較すると,ほとんどの場合ストライドが影響している。特に骨盤が上手く使え ているかどうかは,ストライドに大きく影響するO ⑥デッドポイントとセカンドウインド ・走るということは当然,安静時よりも心拍数は高くなる。いざ走り始めると心拍数は急に上昇していき,走りは じめてしばらくすると苦しくなる(~デッ ドポイント j) のは,運動負荷に対してまだ慣れていない身体が,必要 な酸素量に対して,十分な酸素を取り込めていない状態だからである。心肺機能が運動負荷に追いついていない ために,走り始めはどうしても苦しく感じる。身体が走ることに対してまだ適応できていないためである。 -走り始めてからしばらくすると,身体も温まり酸素摂取量も安定してきて,フッと楽に感じるようになる。この 状態を 『セカンドウインド』と言う。酸素の需要量に対して供給量が追いつき急に全身が軽く感じられるように なる。 ⑦ ペース に つ い て ( 図 1-3) -長 距 離 を 走 る 時 に 大 切 な の は ペ ー ス を 安 定 さ せ る こ と。 。ランニングフォームとベースについての課題設定 ①前の時間に撮影した 3000mペース走のビデオを見て, 学習した走法と比較して自分のフォームについての課題を設 定した。(表3) ②ペースグラフの書き方を説明し,ビデオを見ながら前の時間に走った 3000m走の各自のベースグラフを学習ノート (図ト1)に作成し,今後自分のベースをどのように組み立てるかを考えた。 第 3時 ウオーミングアップの進め方と走法の改善 。ウォーミングアップの進め方 ペアをつくりウォーミングアップの進め方の説明をしながら,前時に学習した「骨盤の前傾した良い姿勢J["肩甲骨 の動きJ["骨盤の動きJ"[着地」などの動きを実際に行いながら確認をした。

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ウォーミングアップの内容 ①肩甲骨と骨盤が十分に動くよう刺激を与えるO -肘を広げて肩甲骨を動かす。 -腕の上下振りで肩甲骨を動かす0 .ツイスト運動で骨盤を動かす。 ②よい姿勢を作って歩こう ・丹田を意識して体幹を伸ばした姿勢を作るO -肩甲骨を動かして腕を振るO ・骨盤を動かして脚を前に出す。 ③ウォーキングからランニングへ ・よい姿勢でのウォーキングから,そのままの姿勢で肘を曲げた少し速いウォーキングへ0 .肘を曲げたウォーキングから軽いランニングへ。

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-よいランニングフォームのチェックポイント① ⑥を意識して走る。 -骨盤の動きとストライド,肩甲骨の動きと腕ふりなどの体の使い方を試す。 。良い姿勢でのランニング 学習したフォームや体の使い方を意識して 1,600m""--' 2000mを 70%の力で走るO 第4時 第 8時 3000mペース走 ①グランドに来たものからウォーミングアップをする。 -肩甲骨,骨盤の可動域を広げる運動 -姿勢と骨盤,肩甲骨の動きを意識したウォーキング ・ウォーキングからジョギング (400m) ②学習ノートを受け取って,走法とペースについて各自が課題設定をし,ペアでペースと課題の確認をする。 ③前半のグルーフ。の 3000mペース走 ・各自でストレッチを行った後,もう一度肩甲骨,骨盤の可動域を広げる運動をしたあとスタート。 ・べアのものはラップタイムを取ってペースグラフを作りながらベースの変動を走者に伝えて,ベースコントロー ルをする。 -走法について走者に助言する。 ④後半のグルーフ。の 3000mベ ー ス 走 -前半が終わったら役割を交代して同様に後半の 3000mベース走を行う。 ⑤ 3000mペース走の反省 -走法と 3000mベース走についての反省を学習ノート(図 1-1)に記入するO ⑥整理運動をして解散 第 8時にはチャレンジ走のペースカードを作成する。 第9時 チャレンジ走 ①グランドに来たものからウオーミングアップをする。 -肩甲骨,骨盤の可動域を広げる運動からはじめて毎回行っている準備運動を行うO ② 5000mチャレンジ走を行うo (ビデオ撮影) .前 時 に 作 成 し た ペ ー ス カ ー ド で ペ ー ス を 考 え な が ら 周 回 数 も 各 自 で カ ウ ントする。 ③ チ ャ レ ン ジ 走 の 反 省 ・チャ レ ン ジ 走 の 反 省 を 学 習 ノ ー ト (図 ト2)に 記 入 す る。 第 10時 学習のまとめ 。学習のまとめプリント(図 1-10) に記入をするO ①チャレンジ走のビデオをみながら, 5000mチャレンジ走のペースを記録するとともにランニングフォームについて の分析を行う。 ② 5回の 3000mペース走の記録の変化をグラフにして考察する。 ③ 5回の 3000mペース走のペースの変化を一つのグラフに転記して,自己のペースの作り方について考察するO ④ 長 距 離 走 の 授 業 の ま と め を 記 入 す る。

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授業で使った資料 岡 崎 11 Ii 噌 明 男輯 帽 車開冒町融事 骨 唱量調軸v申4'" 持 田申 岡 田 捕 事 掴 l昭島 I i ,; j ii ,; i • l.1盟国I

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チ ャ レ ン ジ 走 の 学 習 ノ ー ト

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正しい着地

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学習のまとめプリント 表3. 生徒が設定した課題 0姿勢について (64) 背筋を伸ばす(20) 前傾姿勢を保つ(8) 姿勢をよくする (6) 胸を張る(6) あごを出さない(4) 丹田を意識する(3) 地面との反発を体幹で受ける (3) 体に軸をつくる(2) 骨盤を前傾させる(2) 顔を上げる(2) 目線は20m先を見る(2) 重心を前に置く (2) 腰が落ちている , 腰を前に出す, 重心の安定 重心を骨盤に乗せる 0腕ふりについて (57) 腕ふりをよくする (30) 肩甲骨を動かす (12) リラックス (7) 腕の位置が高い (4) 肩が上がっている (2) 左手が振れていない,左肩が上がっている 0ストライド(脚のうごき)について (48) 骨盤を動かす(12) 足をまっすぐに着地する(9) ストライドを大きく (7) 足の動かし方(5) 足が後ろに流れている(3) 足をぽんと前に出す(3) 足をしっかり振り下ろす(3) 足音を立てすぎない,股関節を動かす,足を上げる 足を上げすぎない,ストライドが大きすぎる, 地面を蹴る O上体の安定について (17) 上にはねている(6) 体のブレを無くする(6) 頭を固定する (5)

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生徒の設定した課題

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時 に 走 法 の 学 習 の 後 自 分 の 走 り を ビ デ オ で み て 設 定 し た 課 題 を 学 習 ノ ー ト に 記 述 し た も の か ら キ ー ワ ー ド を 抜 き 出 し て 集 計 し た も の が 表3であるO 合 計 で186件, 一人あたり 2.4件の課題を挙げている。内訳は「姿勢」 に つ い て が 合 計64件 , 次 に 「 腕 振 り 」 に つ い て 57件, 「ストライド」についてが 48件 「上体の安定」が 17件 で あ っ た 。 こ れ ま で,走 る と き に 姿 勢 に つ い て 考 え た り 意 識 し た こ と は ほ と ん ど な か っ た の か 走 法 の 学 習 を し た こ と も あ り 「 姿 勢 」 に つ い て の 課 題 意 識 は と て も 高 く 数 も 多 か っ た 。 中 に は 「 軸JI体 幹JI骨 盤 」 と い っ た 言 葉 を 使 っ て 記 述 し た 生 徒 も い た 。 第2時 で , 実 際 に 体 の 動 き と し て 取 り 組 ん で な い も の の 走 法 の 学 習 成 果 と い え よ う。「姿勢」と同様に「腕振り」についても課題意識が 高 か っ た 。 こ れ も 走 法 の 学 習 で 学 ん だ 「 肩 甲 骨 を 動 か す 腕 振 り が 骨 盤 か ら 脚 の 動 き に つ な が る 」 と い う こ と か ら 長 距 離 走 の 走 り に は 腕 振 り が 重 要 で あ る こ と を 理 解 し た からであろう。「腕の位置が高いJI肩が上がっている」 「左手が振れていない」といった自分のフォームの欠点 を 具 体 的 に あ げ た も の も い た 。 ス ト ラ イ ド ( 脚 の 動 き ) に つ い て は , 走 法 の 学 習 で 学 ん だ 「 骨 盤 の 動 き 」 に つ い てが 12件 あ っ て , 骨 盤 を 動 か す と い う 意 識 付 け も あ る 程 度 で き て い た。また 「ストライドを大きくJIストライ ドが大きすぎるJI足 が 後 ろ に 流 れ て い る 」 と い っ た 具 体 的 な 欠 点 を あ げ て い る も の も い た。次 に 課 題 と し て 出 たのが「上体の安定」である。「上にはねているJI体の ぶ れJI頭 の 固 定 」 と い う い く ら か 違 っ た 表 現 で 記 述 し て い た が , ビ デ オ で 自 分 の 走 り を 見 て , 上 下 動 や 左 右 の 揺 れ な ど に 気 づ い た よ う で あ るO ほ と ん ど の 生 徒 が 自 分 が 走 っ て い る 姿 を ビ デ オ な ど で 見 た こ と は な く , ま た , こ れ ま で に ラ ン ニ ン グ フ ォーム に つ い て 学 習 し た こ と も な く , ビ デ オ や 写 真 に よ る 姿 勢 作 り を 中 心 と し た 走 法 に つ い て の 学 習 や ビ デ オ で 自 分 の 走 り を み て 比 べ た こ と は , 生 徒 に と っ て 新 鮮 で あ っ た よ う で , 長 距 離 走 に 取 り 組 む 課 題 意 識 を 高 め る こ と が で き たと思うO 特 に 自 分 の ラ ン ニ ン グ フ ォ ー ム を 見 せ た の は 効果的であった。

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走法についてわかったこと

表4 走 法 に つ い て わ か っ た こ と 0疲れると意識ができなくなる (27) -疲れるとフォームが崩れる ・しんどくなると姿勢が悪くなる .疲れると元に戻る O姿勢をいつも意識することが大切 (22) ・一番苦しいところで意識すると楽になった .意識すると前に進みやすくて楽 -意識することで姿勢を長い時間維持できた O姿勢をよくすることが大切 (16) -頭と体の傾きを意識するとタイムが圧倒的によくなって フォームの重要性を実感した -姿勢,骨盤,腕振り,足をまっすぐにおろすことはつな がっているのではないか .前傾で走ると走りやすい O走り方の大切さ (10) -体の動きに気を配ると疲れなくなった .走りやすいフォームを作るのは大切 -走り方の基本がわかったのは進歩 Oフオームをよくするとタイムは上がる (9) ・フォームだけでもタイムは段違いによくなる .走り方一つでタイムが上がる ・フォームがよくなると走るのが楽になる O腕振りの重要性 (8) -腕の振りと足はリンクしている .腕を振ると股関節を前に出せる -上体を起こし腕を振るとタイムも伸び楽に走れた O着地の仕方の重要性 (6) -足をまっすぐにおろすようにしたら前に進めるような気 がした ・着地の時体を一直線にするのが一番効果があった -反発を利用することははじめ意味がわからなかったがか かとから足先までをしっかり地面につけることで反動が 生まれることに気づいた Oその他(22) -上に跳んでいるからタイムが悪い -丹田を意識すると体に一本芯が通っているようになった どんなスポーツでも使える ・腰のあたりに力を入れると足のけりが楽になった .腰を前に出せたときはものすごく楽に走れた 学 習 の ま と め の な か で 「 走 法 に つ い て わ か っ た こ と は │ ・フォームについて詳しく知ったことが一番勉強になった 何ですか」に記述したものをカテゴリーごとに集計した。 そ の 頻 数 と 代 表 的 な 記 述 を 3件 あ げ た。(表 4) これを見 (1心と体の変容に対する認識と論理的思考力を育てる る と 姿 勢 を い つ も 意 識 す る こ と が 大 切J

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件 姿 勢 授業」岡本昌規他, 2011から) を よ く す る こ と が 大 切J16件 走 り 方 の 大 切 さJ10件

(10)

「フォームをよくするとタイムはあがるJ9件と,姿勢 やフォームについて多くの生徒があげているO また, 「疲れると意識できなくなる」が 27件あがっているがそ の多くが姿勢やフォームについてであるO これらを合わ せると,ほとんどの生徒がフォームや姿勢についてあげ ており,長距離走において姿勢作りの大切さを理解でき たように思う。ま た 疲 れ る と 意 識 が で き な く な る 」 27件 姿 勢 を い つ も 意 識 す る こ と が 大 切 」 の 22件とあ るように,後半になってくると体は動かなくなり,苦し くなって意識がそちらに行って,姿勢について考えるこ と も で き な く な っ て し ま う よ う で あ る 疲 れ る と フ ォ ームが崩れるん「しんどくなると姿勢が悪くなる」とい った記述がある一方で 「一番苦しいところで(姿勢 学 習 に 取 り 組 ん だ よ う に 思 う 。 そ れ は 課 題 設 定 」 や 「走法についてわかったこと」に記述された内容からも うかがえる。 授業後に「走法についてわかったことは何ですか」と 聞いたときにほとんどの生徒が「姿勢」に関わることを 答えた。「走るということは地面から跳ね返ってくる力 を体を一本の軸にして受けとめ そのエネルギーで進 む」。 という走ることの基本原理を出発点にしたランニ ングの姿勢づくりを課題にした今回の授業のねらいは達 成できてきたように思う。一方で,授業の前半では,ウ ォーミングアップでのウォーキングの姿勢づくりなどイ メージがわきにくかったのか,あまり意欲的でなかった 場面もあった。走法の学習を長距離走の授業の中でどう を)意識すると楽になった」と書いている生徒もいるO のように位置づけ進めていけば生徒がより意欲的に取り 課題設定では見られなかった着地について 6件あった。 組むことのできる授業となるのかさらに授業改善を進め 「足をまっすぐにおろすようにしたら前に進めるような ていきたい。 気がしたJI着地の時体を一直線にするのが一番効果が あった」と記述しており,今回の授業の基本となる「走 るとは一歩一歩の着地の時の衝撃で地面から跳ね返って くる力を体を一本の軸にして浮けとめ 重心を前に傾け ることでそのエネルギーを推進力に変えていくこと」が 確認できた生徒もいる。

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おわりに

長距離走の授業は ペース インターバル走やレペテ ショントレーニングなどの練習方法を取り入れたもの, また,それらを組み合わせた実践がほとんどで,今回の ような走法に本格的に焦点を当てた実践は見られない。 私たちもこれまで実践してきたベース走では,他者との 競争よりも自己の能力を最大限に発揮した結果としての 個々の記録(タイム)に焦点を当て,その記録にさらに 挑戦する際のペースの工夫を主眼と してきた。生徒たち は,苦しさと戦いながら走りきったときの「やりきった 感J,さらに自 己の記録を更新したときの 「達成感」や 「満足感」を得て成果を上げてきた。 長距離走には,ベース配分を考えて力を合理的に発揮 することは最も重要なことであるが 走法を合理的なも のにして,無駄な力を省くことは,記録の向上はもちろ ん, リラックスして楽しく走ることや故障の防止にもつ ながる。また,生徒たちが将来にわたってジョギングを 行ったり,市民マラソン大会に参加したりするときに, 走法について理解しておくことは意味があると考え,走 法の学習を取り入れた長距離走の授業を構成した。 今回の授業は,長距離走での走法(フォーム)学習と いうことで,ビデオにより自分の走り方を見たことや, 「走る」という日常的な動きの中にも理論があること, 引 用 ・ 参 考 文 献 1)岡本昌 規他 (2011)心と体の変容に対する認識 と 論 理 的 思 考 力 を 育 て る 授 業 -3000mペ ー ス 走 を とおして一.広島大学学部・附属共同研究紀要, Vol. 39,pp.123-128 2)川本和久 (2010) 足が速くなる「ポンピュン走 法JDVDブック,マキノ出版 3)金 哲 彦 (2009) 金哲彦のランニング・メソッド, 高 橋 書 庖 4)金 哲 彦 (2007) I体 幹 」 ラ ン ニ ン グ , 講 談 社 5)小出義雄 (2002) ジョギング&マラソン入門,幻 A舎 6)高 田 光 代 他 (2007)みんなで走りを科学する短 距離走の授業研究一身体感覚を「探り」・「深め るj こ と か ら の ア プ ロ ー チ 広 島 大 学 附 属 福 山 中・高等学校中等教育研究紀要, Vol.47, pp.157 169 7) 中 島 靖 弘 (2010) 骨 盤 ラ ン ニ ン グ , ベ ー ス ボ ー ル ・ マ ガ ジ ン 社 8)三 宅 幸 信 他 (2009) 心 と 体 の 変 容 に 対 す る 認 識 を 育 て る 授 業 2000mベ ー ス 走 を 通 し て . 広 島 大学附属福山中・高等学校中等教育研究紀要, Vo l.49, pp.265-274

表 2 . 各 時 間 の 授 業 展 開 第 1 時 オリエンテーション 。学習の目標を提示して,今回の授業のねらいと進め方を説明した 。 学習目標 ①  自分の体調や体力 ・ 技能に応じた運動を計画 ・ 実践する習慣をつくろう 。 ②  3000  m を自分の体力に応じてベースを保ちながら合理的に走る力を高めよう 。そしてチャレンジ走 (5000  m) に挑戦しよう 。 また,合理的なフォーム(走法)を身につけ,軽快な走りをめざそう 。 ③  運動中や運動後の身体の変化(呼吸,脈拍,苦しさ等)を知ろ

参照

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