ベクトル解析
電場や磁場は3次元空間において、3つの成分を持つ量(ベクトル)として定義 される。電場ベクトルを
𝑬=(𝐸
𝑥,𝐸
𝑦, 𝐸
𝑧)
、磁場ベクトルをB =(𝐵
𝑥,𝐵
𝑦, 𝐵
𝑧)
と表す。𝐸
𝑥(𝐵
𝑥), 𝐸
𝑦(𝐵
𝑦), 𝐸
𝑧(𝐵
𝑧)
はそれぞれ電場(磁場)ベクトルの𝑥
成分、𝑦
成分、𝑧
成 分を表す。これらの量はそれぞれ 𝑥, 𝑦 および 𝑧の関数である。𝜵は偏微分を表すベクトルであり、ナブラと読む。𝜵=(∂/ ∂x, ∂/ ∂y, ∂/ ∂z)。
𝜵・𝑬 を divergence(ダイバージェンス)E と読み、 𝑬の「発散」あるいは「湧
き出し」と訳されている。
𝜵・𝑬 =
∂𝐸𝑥∂x
+
∂𝐸𝑦∂y
+
∂𝐸𝑧∂z
はスカラー(1つの大きさだけをもつ量)である。(ベクトルからスカラーへの 変換)
例)
𝑬 = (𝑥 + 𝑦 + 𝑧, 2𝑥 + 3𝑦 + 𝑧, 𝑧
2)
とすると、𝜵 ・ 𝑬=
𝜕𝜕𝑥
(𝑥 + 𝑦 + 𝑧) +
𝜕𝜕𝑦
(2𝑥 + 3𝑦 + 𝑧) +
𝜕𝜕𝑧
𝑧
2=1+3+2z=4+2z
(練習問題)
𝑬
が以下のとき、𝜵 ・ 𝑬
を求めなさい。(1)𝑬 = (1 + z, 2𝑥𝑦 + 1, −𝑦2
𝑧)
(2)𝑬 = (cos 𝑥 + sin 𝑦, sin 𝑥 cos 𝑦, cos 𝑧 cos 𝑦)
𝜵×𝑬
を rotation(ローテーション)E と読み、𝑬
の「回転」と訳されている。𝜵×𝑬 = (
𝜕𝐸𝑧𝜕𝑦
−
𝜕𝐸𝑦𝜕𝑧
,
𝜕𝐸𝑥𝜕𝑧
−
𝜕𝐸𝑧𝜕𝑥
,
𝜕𝐸𝑦𝜕𝑥
−
𝜕𝐸𝑥𝜕𝑦
)
はベクトルである。(ベクトルからベクトルへの変換)
例)
𝑬 = (𝑥 + 𝑦 + 𝑧, 2𝑥 + 3𝑦 + 𝑧, 𝑧
2)
とすると、𝜵×𝑬=(0 − 1, 1 − 0, 2 − 1) = (−1,1,1)
完全反対称テンソル
𝜀
𝑖𝑗𝑘= 1 𝑓𝑜𝑟 (𝑖, 𝑗, 𝑘) = (1,2,3), (2,3,1), (3,1,2)
= −1 𝑓𝑜𝑟 (𝑖, 𝑗, 𝑘) = (2,1,3), (3,2,1), (1,3,2)
= 0 for others
(ただし、
(1,2,3) = (𝑥, 𝑦, 𝑧)
)を用いて表すと、(𝜵 × 𝑬)
𝑖= 𝜀
𝑖𝑗𝑘𝜕
𝑗𝐸
𝑘 ただし、𝜕𝑗≡
𝜕𝜕𝑗
𝑓
をあるスカラー関数とすると、𝜵f = (
𝜕𝑓𝜕𝑥,
𝜕𝑓𝜕𝑦,
𝜕𝑓𝜕𝑧)
を
gradient
(グラディエント)f
と読み、f
の「勾配」と訳されている。𝜵f
はベ クトルである。(スカラーからベクトルへの変換)例)
𝑓 = 𝑥
2+ 𝑦
2+ 𝑧
2とすると、𝛁𝑓 = (2𝑥, 2𝑦, 2𝑧)例題)f=xyzのとき、∇fを求めなさい。答
𝛁f = (𝑦𝑧, 𝑧𝑥, 𝑥𝑦)
∆を Laplacian(ラプラシアン)と読む。𝛁
2E と書くこともある。
∆ =
𝜕2𝜕𝑥2
+
𝜕2𝜕𝑦2
+
𝜕2𝜕𝑧2
ラプラシアンはスカラーにもベクトルにも作用する。(スカラーはスカラーとし て、ベクトルはベクトルとして返す)
例)
f = 𝑥
2+ 𝑦
2+ 𝑧
2とすると、∆f = 2 + 2 + 2 = 6基本公式
以下、
𝑬 = (𝐸
𝑥, 𝐸
𝑦, 𝐸
𝑧)
をベクトル関数、𝑓
をスカラー関数とする。(1) 𝜵
・(𝜵×𝑬
)=𝜕𝜕𝑥
(
𝜕𝐸𝑧𝜕𝑦
−
𝜕𝐸𝑦𝜕𝑧
)
+𝜕𝜕𝑦
(
𝜕𝐸𝑥𝜕𝑧
−
𝜕𝐸𝑧𝜕𝑥
)
+𝜕𝜕𝑧
(
𝜕𝐸𝑦𝜕𝑥
−
𝜕𝐸𝑥𝜕𝑦
) = 0 (2) 𝜵×𝜵f = (
𝜕𝜕𝑦
𝜕𝑓
𝜕𝑧
−
𝜕𝜕𝑧
𝜕𝑓
𝜕𝑦
,
𝜕𝜕𝑧
𝜕𝑓
𝜕𝑥
−
𝜕𝜕𝑥
𝜕𝑓
𝜕𝑧
,
𝜕𝜕𝑥
𝜕𝑓
𝜕𝑦
−
𝜕𝜕𝑦
𝜕𝑓
𝜕𝑥
) = (0,0,0) ≡ 𝟎 (3) 𝜵×(𝜵×𝑬)= 𝜵(𝜵・𝑬)− ∆𝑬
証明)
(𝜵 × (𝜵 × 𝑬))
𝑥= 𝜕
𝜕𝑦 ( 𝜕𝐸
𝑦𝜕𝑥 − 𝜕𝐸
𝑥𝜕𝑦 ) − 𝜕
𝜕𝑧 ( 𝜕𝐸
𝑥𝜕𝑧 − 𝜕𝐸
𝑧𝜕𝑥 )
= 𝜕
𝜕𝑥 ( 𝜕𝐸
𝑦𝜕𝑦 + 𝜕𝐸
𝑧𝜕𝑧 ) − ( 𝜕
2𝜕𝑦
2+ 𝜕
2𝜕𝑧
2) 𝐸
𝑥(𝜵(𝜵 ∙ 𝑬))
𝑥
− (∆𝑬)
𝑥= 𝜕
𝜕𝑥 ( 𝜕𝐸
𝑥𝜕𝑥 + 𝜕𝐸
𝑦𝜕𝑦 + 𝜕𝐸
𝑧𝜕𝑧 ) − ( 𝜕
2𝜕𝑥
2+ 𝜕
2𝜕𝑦
2+ 𝜕
2𝜕𝑧
2) 𝐸
𝑥= 𝜕
𝜕𝑥 ( 𝜕𝐸
𝑦𝜕𝑦 + 𝜕𝐸
𝑧𝜕𝑧 ) − ( 𝜕
2𝜕𝑦
2+ 𝜕
2𝜕𝑧
2) 𝐸
𝑥𝑦 および 𝑧 成分も同様。
完全反対称テンソル
𝜀
𝑖𝑗𝑘 を用いて表すと、𝜖
𝑖𝑗𝑘𝜀
𝑘𝑙𝑚= 𝜀
𝑖𝑗𝑘𝜀
𝑙𝑚𝑘= 𝛿
𝑖𝑙𝛿
𝑗𝑚− 𝛿
𝑖𝑚𝛿
𝑗𝑙 より、(𝜵 × (𝜵 × 𝑬))
𝑖= 𝜀
𝑖𝑗𝑘𝜕
𝑗(𝜵 × 𝑬)
𝑘= 𝜀
𝑖𝑗𝑘𝜕
𝑗(𝜀
𝑘𝑙𝑚𝜕
𝑙𝐸
𝑚)
= 𝜀
𝑖𝑗𝑘𝜀
𝑘𝑙𝑚𝜕
𝑗𝜕
𝑙𝐸
𝑚= (𝛿
𝑖𝑙𝛿
𝑗𝑚− 𝛿
𝑖𝑚𝛿
𝑗𝑙)𝜕
𝑗𝜕
𝑙𝐸
𝑚= 𝜕
𝑗𝜕
𝑖𝐸
𝑗− 𝜕
𝑗𝜕
𝑗𝐸
𝑖= 𝜕
𝑖𝜕
𝑗𝐸
𝑗− 𝜕
𝑗𝜕
𝑗𝐸
𝑖= (𝜵(𝜵 ∙ 𝑬) − ∆𝑬)
𝑖関数の積の微分
(4) 𝜵 ∙ (𝑬𝑓) = (𝜵 ∙ 𝑬)𝑓 + 𝑬 ∙ ∇𝑓
(5) 𝜵 ∙ (𝑨 × 𝑩) = 𝜕
𝑖𝜀
𝑖𝑗𝑘𝐴
𝑗𝐵
𝑘= 𝜀
𝑖𝑗𝑘((𝜕
𝑖𝐴
𝑗)𝐵
𝑘+ 𝐴
𝑗(𝜕
𝑖𝐵
𝑘)) =
𝜀
𝑘𝑖𝑗((𝜕
𝑖𝐴
𝑗)𝐵
𝑘) − 𝜀
𝑗𝑖𝑘(𝐴
𝑗(𝜕
𝑖𝐵
𝑘)) = (𝜵 × 𝑨) ∙ 𝑩 − 𝑨 ∙ (𝜵 × 𝑩) (6)
(𝜵 × (𝑨 × 𝑩))
𝑖𝜀
𝑖𝑗𝑘𝜕
𝑗(𝑨 × 𝑩)
𝑘= 𝜀
𝑖𝑗𝑘𝜕
𝑗(𝜀
𝑘𝑙𝑚𝐴
𝑙𝐵
𝑚)
= 𝜀
𝑖𝑗𝑘𝜀
𝑘𝑙𝑚𝜕
𝑗(𝐴
𝑙𝐵
𝑚) = (𝛿
𝑖𝑙𝛿
𝑗𝑚− 𝛿
𝑖𝑚𝛿
𝑗𝑙) ((𝜕
𝑗𝐴
𝑙)𝐵
𝑚+ 𝐴
𝑙(𝜕
𝑗𝐵
𝑚))
= (𝜕
𝑗𝐴
𝑖)𝐵
𝑗− (𝜕
𝑗𝐴
𝑗)𝐵
𝑖+ 𝐴
𝑖(𝜕
𝑗𝐵
𝑗) − 𝐴
𝑗(𝜕
𝑗𝐵
𝑖)
ガウスの定理
ある体積要素
𝑉 がなめらかな境界 𝑆 をもつとする。このとき
∫ 𝛁 ∙ 𝑬
𝑉
𝑑𝑉 = ∫ 𝑬 ∙ 𝒏 𝑑𝑆
𝑆
ただし
𝒏 は 𝑆 の単位法線ベクトルである(𝒏 𝑑𝑆 を 𝑑𝑺 と表すこともある)。
ストークスの定理
ある面積要素 𝑆 がなめらかな境界 𝐶 をもつとする。このとき
∫ (𝛁 × 𝑬) ∙ 𝑑𝑺 = ∮ 𝑬 ∙ 𝑑𝒍
𝐶 𝑆
ただし