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屋外ロボット用力センサの開発

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Academic year: 2021

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屋外ロボット用力センサの開発 

磁気ひずみ効果を利用した力センサに関する基礎検討 

古賀文隆*1  末廣利範*1  

Development of Force Sensors for Outdoor Robots

A Basic Study of Force Sensors Based on Magnetostrictive Effect Fumitaka Koga, Toshinori Suehiro

 

力制御を必要とする作業を行うロボットにとって,力センサは不可欠である。特に様々なノイズが存在する屋外 においてロボットに用いる力センサには,耐ノイズ性向上のための高感度化や過負荷に対する耐性が求められ,ま たロボットのメンテナンス作業のための装着及び着脱の容易性が求められる。これらの要求を満たす方策の一つと して,磁気ひずみ効果の利用があげられる。ここでは,この原理に基づきMetglas2605SCアモルファス薄帯と4個の8 の字コイルを組み合わせた力センサの試作を行った。本試作センサの感度特性を試験した結果,励磁周波数100 kHz,

励磁電流30mAのとき高感度となり,721のゲージ率が得られた。 

 

1  はじめに 

屋外で作業を行うバッテリー駆動のロボットでは,

エネルギーの有効利用が課題となる。したがって,マ ニピュレータや把持機構を適切な動力でエネルギー効 率良く動作させることが求められるため,力センサが 不可欠である。また,屋外には電磁波を含めた様々な ノイズが存在することから,耐ノイズ性の向上のため に信号の大幅な増幅が不要な高感度なセンサ素子が要 求される。更に,装着容易性のための小形化や,過負 荷に対する耐性を考慮すると,磁気ひずみ効果を用い て力印加部のひずみ(応力)から力を換算するセンサが 有望な候補の一つである。磁気ひずみ効果を利用する 高感度な力またはひずみセンサとして,SIセンサ1) 磁気弾性効果を用いたひずみセンサ2),及び超磁歪薄 膜を用いた力センサ3)等がある。しかし,ロボット装 着後のメンテナンス作業の容易性を考慮すると,力印 加部に固定する磁気ひずみ材料以外の,コイルや電線 類は着脱容易であることが望ましい。そこで,本稿で は磁気ひずみ材料に直接通電する必要のない,アモル ファス磁気ひずみ薄帯と8の字コイルを重ねた構造の 力センサの試作と評価を行った。試作した力センサの 感度特性を試験した結果,励磁周波数100 kHz,励磁電 流30mAのとき高感度となり,721のゲージ率が得られた。 

 

2  検出原理4)

図1に示すような形状の8の字コイルを,磁気ひずみ

を有するアモルファス薄帯に重ねて,応力σx,σy 加わる方向に対して(a)または(b)のように配置する。

アモルファス薄帯が正の磁気ひずみ定数を持つとする と,矢印の向きに張力が加わったとき,x方向に一軸磁 気異方性Ku が誘導され,x方向の透磁率が増加,y方向 の透磁率が減少する。その結果,(a)のコイルのインダ クタンスは増加,(b)のコイルのインダクタンスは減少 する。このように差動的に変化するコイルのインダク タンス変化をブリッジ回路等を構成して検出する。実 際には(a)と(b)のコイルは重ねて使用することができ,

小形,省スペース化を図れる。また,(a),(b)それぞれ

x y

Ku

張力 

図 1  8の字コイルの配置  (b)

(a) σy

Ku

張力  σx

σx

σy

σx

σy

σx

σy

σσy:応力  Ku:一軸磁気異方性

*1  機械電子研究所 

(2)

2個ずつのコイルを用いると,図2のようにフルブリッ ジを構成することができる。図中,破線で囲まれてい る部分が8の字コイルである。応力の印加によってバラ ンスが崩れて生じるブリッジ出力電圧Vは同期整流さ れ,応力の正負に対応した直流電圧に変換される。 

 

3  実験及び結果 

3-1  力センサの構成と実験方法 

図3に実験に用いた磁気ヘッドを示す。溝加工を施し たMn-Znフェライトコアに,2個ずつが同じ配置の計4 個の8の字コイルを埋め込んだ構造になっている。コイ ルの巻き数は各16回である。この4個のコイルで図2に 示したフルブリッジを構成した。フルブリッジは,同 じ配置のコイル(#1と#2または#3と#4)が対角に位置す るように構成されている。同期整流器の同期位相は,

センサ出力が最も大きくなるように設定した。 

アモルファス薄帯には電気機械結合係数の大きなFe 基を用い,図4に示すアルミニウム製の棒に接着剤で固 定した。この試料に,図のように磁気ヘッドを磁極面

がアモルファス薄帯に対向するように,アモルファス 薄帯と0.05mmの空隙を設けて先端部から70mmの位置に 配置した。 

センサ出力は,同一アルミ棒上に接着したストレイ ンゲージの出力と比較を行うという方法で評価した。

また,センサ出力は,同期整流器を含む測定系の増幅 率が1となるように換算した。アルミ棒には,図4の左 側端部を固定し,アモルファス薄帯が接着されている 右側端部から70mmの位置に±0.392Nmの曲げモーメン トが生じるように右側端部に上下方向に力を印加した。

0.392Nmの曲げモーメントが加わっているときのアモ ルファス薄帯部でのひずみは約320μεである。 

3-2  実験結果及び検討 

まず,磁気ひずみを有するFe基アモルファスである Metglas2605SC,2605CO,2825MBの3種類についてセン サ出力の比較を行った。2605SCと2605COは2個,2825MB は1個の試料を用いた。図5に比較結果を示す。横軸は 励磁電流,縦軸はアモルファス薄帯部に±0.392Nmの曲 げモーメントが生じるように力を印加したときのセン サ出力の差である。励磁周波数は100kHzとした。2825MB に比べ,2605SC及び2605COは大きなセンサ出力が得ら

図3  磁気ヘッドの構造 

6 mm

6 mm

Mn-Zn 

フェライトコア 

#1 

#2 

#3 

#4 

図2  4個の8の字コイルを用いたフルブリッジに よる力センサ回路構成 

E V

#1 

#2 

#3 

#4 

参照信号 

同期整流器 センサ 

3 15 30 70 unit:mm ストレインゲージ

アモルファス薄帯 アルミニウム 0.05

磁気ヘッド 出力電圧

V:ブリッジ出力電圧

#1〜#4:8の字コイル

埋込 

#1〜#4:8の字コイル

図4  力印加試料の形状 

f = 100 kHz

0 500 1000 1500 2000 2500

0 20 40 60 80 10

2605SC-1 2605SC-2 2605CO-1 2605CO-2 2825MB-1

O u tput vo lt age (mV)

Excitation current (mA)

0

図5  アモルファス薄帯の種類による センサ出力の比較 

(3)

れた。2605SCと2605COに関しては,2605COの中には若 干センサ出力が小さい場合が存在したが,両者の間に 特に大きな差は見られなかった。そのため,以後,電 気機械結合係数が大きいとされる2605SC5,6)を採用す ることとした。 

次に2605SCについて励磁周波数及び励磁電流を変え てセンサ出力の比較を行った。図6にその結果を示す。

縦軸は図5と同様にアモルファス薄帯部に±0.392Nmの 曲げモーメントが生じるように力を印加したときのセ ンサ出力の差である。励磁周波数を上げるとコイルの インダクタンスが大きくなるため電流を流すのが困難 になったが,大きなセンサ出力が得られた。 

ここで,力印加により図2のコイル#1,#2のインピー ダンスZがΔZ1増加し,コイル#3,#4のインピーダンス Z がΔZ2減少したとすると,ブリッジ出力電圧Vは次式 となる。 

Z E Z Z 2

Z V Z

2 1

2 1

∆ +

∆ +

= ∆

 

ただし,E はブリッジへの印加電圧である。(1)式より,

ブリッジ出力電圧Vは印加電圧Eに比例することがわか る。したがって,図6のセンサ出力はブリッジ出力電圧 Vを同期整流した値であるから,高周波ほどセンサ出力 が大きくなったのは,同じ励磁電流を流すのに要する 印加電圧Eが大きくなったことが一因となっていると 考察される。そこで,印加される力からセンサ出力へ の純粋な変換効率を比較するには,ブリッジ出力電圧V  を印加電圧Eで除した値 

2 1

2 1

Z Z Z 2

Z Z E V

∆ +

∆ +

= ∆

 

で評価する必要があるため,図6のセンサ出力を印加電 圧E で除した値を算出した。図7にその結果を示す。図 7より,最も高効率(高感度)にセンサ出力が得られる条 件は,励磁周波数f=100kHz,励磁電流I=30mA,もしく はf=200kHz,I=30mAであることがわかった。ゲージ率 をKs,ひずみをε,ポアソン比をν(アルミニウムでは ν=0.33)とし,ΔZ1= KsεZ,ΔZ2=KsενZとして図7 の結果を基にKsを算出すると,f=100kHz,I=30mAのと き,Ks=721であった。 

図8にf=100kHz,I=30mAのときの入出力特性を示す。

原点近傍の比較的線形性の良い領域のみを使うには,

センサ装着部の構造物にある程度の剛性を持たせ,必 要以上にひずみが生じないようにする必要がある。 

 

0.12 0.14 0.16 0.18 0.2 0.22 0.24 0.26 0.28

0 20 40 60 80 100

500 kHz 200 kHz 100 kHz 50 kHz 20 kHz

O u tput vo lt age / E

Excitation current (mA)

(1)

図 6  励磁条件によるセンサ出力の比較 

図 7  ブリッジへの印加電圧で除したセンサ出力 (2)

Strain (

µε

)

Outp ut vo ltage (V)

0 300

- 300 0 0.2 0.4

- 0.2 - 0.4

100 200 - 100

- 200

0.2 0.4

-0.4 -0.2 0

Bending moment (Nm) 0.6

- 0.6

0 500 1000 1500 2000 2500

0 20 40 60 80 100

500 kHz 200 kHz 100 kHz 50 kHz 20 kHz

O u tput vo lt age (mV)

Excitation current (mA)

図 8  入出力特性  f = 100 kHz

I = 30 mA 

(4)

4  まとめ 

屋外で作業を行うロボットへの搭載に適した,高感 度で装着及び着脱が容易な,Metglas2605SCアモルファ ス薄帯と4個の8の字コイルを組み合わせた力センサの 試作を行った。本力センサは,励磁周波数100 kHz,励 磁電流30mAのとき高感度となり,721のゲージ率が得ら れた。 

 

5  参考文献 

1)L.P.Shen,T.Uchiyama,K.Mohri,E.Kita,K.Bushida:

IEEE Transactions on Magnetics,Vol.33(No.5), 

p.3355(1997) 

2)今村,Shin Kwang-Ho,石山,井上,荒井:電気学会 マ グ ネ テ ィ ッ ク ス 研 究 会 資 料 , MAG-00-191, p.21  (2000) 

3)脇若,山田,渡辺,梅本,清宮,牧村:日本応用磁 気学会誌,Vol.26(No.4),p.543(2002) 

4)I.Sasada,F.Koga:IEEE Transactions on Magnetics, 

Vol.MAG-29(No.6),p.3186(1993) 

5)C.Modzelewski , H.T.Savage , L.T.Kabacoff , A.E.Clark : IEEE  Transactions  on  Magnetics ,  Vol.MAG-17(No.6),p.2837(1981) 

6)井上:日本応用磁気学会誌,Vol.27(No.6),p.748  (2003)

 

図 8  入出力特性 f = 100 kHz

参照

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