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論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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氏 名 ( 本 籍 )

きょう

とう

(中国)

学 位 の 種 類 博士(経済学)

学 位 記 番 号 甲 経第 25 号 学 位 授 与 年 月 日 平成 31 年 3 月 20 日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項

論 文 題 目 日系コンビニエンスストアに対する日中の顧客知覚価値に関する 研究

論 文 審 査 委 員 主査 原口 俊道 教授 副査 衣川 恵 教授

副査 岩永 忠康(佐賀大学名誉教授)

論文内容の要旨

平成 30 年 12 月現在における龔涛(きょうとう)氏の研究業績は、既刊査読制学術 論文が 8 点ある。国内外の学会・国際学術研討会での口頭報告が 12 回となっている。

このたび龔涛氏が提出した博士学位請求論文(題目「日系コンビニエンスストアに対 する日中の顧客知覚価値に関する研究」)は、既発表論文や学会報告をベースとして大 幅に加筆・修正し体系化したものである。

提出された論文は、A4 横書きの総頁数 273 頁で約 23 万字からなり、序論、本論(7 章)、結論、参考文献、添付資料(アンケート調査票)などから構成され、上記の題目 において一定の体系化がなされている。

序論では,本研究の問題意識、研究目的、研究の独創性、研究対象、研究課題と方 法など,本研究の概要を説明している。

第一章「コンビニエンスストアに関する理論的考察」では、小売商業の理論を整理 したうえで、日本におけるコンビニエンスストアの発展と特徴を述べ、さらに中国に おける日系コンビニエンスストアの発展を考察している。

第二章「消費者行動の理論的考察」では、消費者行動の概念を整理したうえで、マ ーケティングおよび心理学における消費者行動の分析視点を提示し、顧客満足の概念 とその諸説の見解を整理している。

第三章「顧客知覚価値」では、顧客知覚価値について考察している。具体的には,

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顧客知覚価値の理論とモデル、顧客知覚価値の測定、顧客知覚価値の影響要因等に関 する研究成果を整理している。

第四章「先行研究の整理」では、本論文の研究目的として、消費者タイプ、日系コ ンビニの経営ノウハウイノベーションに対する知覚、顧客知覚価値、顧客満足に関す る先行研究を整理し、問題点を提出し、それを踏まえて本研究における研究モデルと 仮説の構築を行っている。

第五章「定量的研究の概要と方法」では,本研究で行われるアンケート調査の概要 とデータの統計分析方法を説明している。

第六章「測定尺度の開発」では,定性的手法と定量的手法を用いてアンケート調査 票を作成し、アンケート調査を実施し、収集したデータを統計分析し、統計的手法に よって測定尺度の妥当性を確認し、潜在変数を解明している。

第七章「仮説検証」では、構造方程式モデルを用いて潜在変数間の直接・間接的な 影響関係を明らかにしたうえで、仮説を検証している。それによって先行研究との共 通点と相違点を考察している。

結論では、仮説検証結果を通して副問に解答し、副問の解答を整理して主問への解 答を行っている。また、本研究の理論的貢献・実践的貢献、日系コンビニ企業への提 言、および本研究の限界・不足点を提示している。

審査結果の要旨

鹿児島国際大学大学院の「博士学位論文審査基準」に基づき、以下の 6 項目につい て、審査意見を提出する。

1.研究テーマの適切性について

コンビニエンスストアは便宜性(時間・距離・品揃え・各種サービス提供等)を特 質として消費者(顧客)満足を充足している小売業態である。コンビニエンスストア はアメリカで発生・成長したものであるが、日本では独自のノウハウを開発して日本 型(日系)コンビニエンスストアとして発展している。現在、日系コンビニエンスス トアは、日本市場を基盤として世界市場で展開し、中国においても経済発展に伴って 日系コンビニエンスストアが進出・展開している。

この論文は、日系コンビニエンスストアが世界市場で展開しているなかで、消費者

(顧客)知覚価値の視点からアンケート調査に基づく統計資料を駆使して分析してい

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る点に独自性と適切性がある。同時に現代の小売国際化の進展状況から鑑みて日中(国 際)比較分析は研究テーマとして適切である。

2.情報収集の度合いについて

本論文は、本論文の基本的・理論的な部分である第一章「コンビニエンスストアに 関する理論的考察」では多くの文献を踏まえて小売商業の理論、日系コンビニエンス ストアの特徴と展開等を考察している。第二章「消費者行動の理論的考察」や第三章

「顧客知覚価値」では多くの内外文献を紹介・整理しながら分析している。第四章「先 行研究の整理」においては諸説を整理・分類したうえで、様々な分析手法の有用性に 関して若干の指摘を加えて独自の仮説とモデルを提示している。

第三章「顧客知覚価値」や第四章「先行研究の整理」に関しては、多くの説明が羅 列的な記述になっており、そこでの重要度や関連性が認められにくいという問題点も 指摘できる。しかし、多くの文献を引用しながら自分なりに整理したことは、審査基 準である「当該テーマに関する先行研究についての十分な知見を有し、立論に必要な データや資史料の収集が適切に行われている」という要求が満たされている。

3.研究方法の適切性について

本論文の研究方法はアンケート調査による統計分析である。SPSS と AMOS のソフト ウェアを利用して記述統計分析、カイ2乗検定、探索的因子分析、検証的因子分析、

共分散構造分析を用いて本研究の仮説を検証している。これらの分析方法は仮説に対 応しており、適切であると認められる。

龔涛氏が大量のアンケート調査票(2400 票配布のうち有効回答数 1995 票、そのう ち日本 1008 票と中国 987 票)に基づいて仮説検証を行ったことも高く評価できる。

4.論旨の妥当性

日系コンビニエンスストアに対する消費者の評価に影響を与える諸要因を検出して その影響力の大きさを確認している。そのために第一章「コンビニエンスストア」、

第二章「消費者行動」、第三章「顧客知覚価値」の知識・理論を踏まえたうえで、日

中の消費者に対するアンケート分析に基づき比較分析を行い、龔涛氏が立てた複数の

仮説の妥当性を個々に検証し、若干の考察を加えている。したがって、オリジナルな

アンケート分析による論理展開は審査基準を満たしていると判断できる。

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5.論文作成能力

本論文は、序論、本論部分である 7 つの章、結論によって構成されており、総頁数 273 頁で約 23 万字を超えた力作になっている。審査基準に要求された「要旨・目次・

章立て・引用・注・図版等に関しての体裁が整っている」という点にはほとんど問題 ないと考える。

しかし、「文章全体が確かな表現力によって支えられているか」という点に関して は、龔涛氏が中国からの留学生で日本語を母国語としない点もあって、日本語による 用語の理解度や日本語表現では多少の問題点が指摘され、さらに注記の参考文献の表 記法でも問題点がみられる。口頭試験の席でも指摘したように、参考文献の表記法の 修正はもちろん本論文の日本語表記も推敲を重ねることによって確実な論文になるこ とが期待できる。

6.学術的価値と研究者能力

本論文は、基礎的理論と先行研究を踏まえたうえで、主要な成果が主問 1 つ、副問 4 つに対する検証と解答に表われている。これらの問題に答えるために、4 つの問題意 識を提示しながら研究モデルと 10 個の仮説を立て、様々な統計分析手法を用いている。

本論文の「理論的貢献」は、以下の 3 点である。

①コンビニエンスストアに対する消費者行動を分析するツールとして、消費者タ イプ,コンビニエンスストアの経営ノウハウイノベーションに対する知覚、顧 客知覚価値、顧客満足の 4 つの変数による測定尺度を開発したこと。

②上記の 4 つの変数間の影響関係を明らかにしたこと。

③日本と中国における日系コンビニエンスストアに対する消費者行動の実態を解 明し、同時にその国際(日中)比較の分析にも貢献していること。

本論文は、結論第五節「本研究の限界と今後の課題」で述べているように、調査サ ンブル、質問事項、幅広い因子抽出、時系列分析といった多くの点で改善する余地も ある。

しかし、本論文は、コンビニエンスストア業界における消費者行動の学問分野にお いて相当高い見識を有し、 「自立した研究者として当該分野の中で活躍していく能力お よび学識が認められる」という審査基準に合致するものと判断した。

7.結論

審査委員全員は以上の 6 点を踏まえて、著者が日本語表記を一部修正することを条

件として、本論文は学位論文に値するものと判断した。

参照

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