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論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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別紙1

論 文 審 査 の 要 旨

報告番号 甲 第

2980

馬目瑶子

論文審査担当者

主査 教授 嶋根俊和 副査 教授 美島健二

副査 教授 桑田啓貴

(論文審査の要旨)

学位申請論文「TLR7 agonist R848 inhibits malignant melanoma cell invasion of bone in manner dependent on inflammatory cytokines produced from bone marrow mac rophages」

(TLR7 リガンドの R848 は悪性黒色腫細胞の骨浸潤を抑制する)について上記の主査 1 名、副 査 2 名が個別に審査を行った。

【目的 】

悪性腫瘍の予後は遠隔転移により著しく悪化する。一方、生体防御機構である Toll like receptor (TLR)は、病原体由来の分子を認識することで、免疫システムを活性化する。本研究 ではマウス癌骨転移モデルを用いてTLR7のリガンドであるR848の骨浸潤に対する効果を検 討した。

【方法 】

高骨転移性悪性黒色腫細胞B16F10をマウスの左心室に注射し、3日毎に R848(500 g)

を腹腔内に投与し、14日後に下肢を採取したのち骨端の癌浸潤組織切片を作製し、B16F10 細胞の浸潤面積を計測した。マウスの大腿骨・脛骨から採取した骨髄細胞を M-CSFで刺激し て誘導した骨髄マクロファージ(BMMs)で、B16F10細胞の増殖に対する効果を検討した。

【結果 】

R848 投与群はコントロールと比較し、B16F10細胞の浸潤巣が有意に縮小し、骨浸潤面積 も有意な低下が認められたため、R848B16F10細胞の骨浸潤を強力に抑制することが示唆 された。R848を腹腔内投与したマウスの血清中のサイトカイン濃度を測定したところ、IL-6、

IL-12、IFN-γが有意に上昇していた。R848を添加した BMMs培養系でもこれらのサイトカ インの上昇が確認された。R848 を添加し培養した BMMs の上清を B16F10 の培養に加えた ところ、増殖が有意に抑制された。このB16F10の培養に IL-6、IL-12、IFN-γの中和抗体を 加えることで、それぞれの抗体で増殖抑制作用は解除された。

【考察 】

以上の結果より、R848BMMsに作用し IL-6、IL-12、IFN-γの産生を誘導し、これらの サイトカインが B16F10 の骨髄内での増殖を低下させることで、骨浸潤が抑制されることが 示唆された。

(主査が記載)

(2)

本論文の審査において副査の美島委員および桑田委員から多くの質問があり、その一部と それらに対する回答を以下に示す。

美島 委員の質問 とそれらに 対する回答

R848TLRを介してマク ロファージ のサイトカ イン産生能 を上昇する メカニズム は何が 考え られるか。

R848 を添加すると、JNK、AKT、I-kBのリン酸化が促進されていることがウエスタンブ ロットで確認されたため、JNK、AKT、NF-kBがサイトカイン産生に関わっていると考えら れる。今後はこれらの経路に対する阻害剤を加えてマクロファージから産生されるサイトカイ ンの発現に変動があるか研究を進める予定である。

癌の 移植局所に おけるマク ロファージ の集積像は 認められる のか。

B16F10を移植しVehicleを投与したコントロール群では骨髄腔ががん細胞で満たされてい

たのに対し、R848投与群ではがん細胞の浸潤は抑えられ、周囲に骨髄細胞が 認められた。

桑田 委員の質問 とそれらに 対する回答

異な るサイトカ インの中和 抗体が同じ 効果を示す 理由。

培養上清の実験では、マクロファージから分泌された IL-6、IL-12、IFN-γの 3つが重なる ことで細胞増殖を抑制する効果を発揮する濃度に達したと考えられる。

骨 転移を評価 する意義 。

骨転移は痛みや病的骨折、脊髄圧迫による麻痺など患者の QOL に大きく関与する症状が見 られるため、骨転移を評価し予防や転移機序の解明には意義があると考え る。

転 移は骨以外 にはどこに 見られたか 。

肝臓や精巣、腸管への転移が見られました。厳密には比較していませんが、R848投与群で は減少傾向にありました。

両副査は、上記を含めた質問に対する回答がいずれも満足のいくものであることを確認した 。

主査 嶋根委員の 質問とそれ らに対する 回答

骨浸 潤が抑制さ れるとある が直接浸潤 に関しては どうなのか 。

皮下に悪性黒色腫を移植したマウスにR848と同じイミダゾキノリン系のR837を作用させた ところ、生存曲線がコントロールと比較して延長したとの報告があるため、直接浸潤に対して も効果を示すと考えられる。

TLR7以外のものでは同様 の結果が得 られる可能 性はないの か。

大腸がんは TLR3、胃がんは TLR2、肝がん、子宮頸がん、頭頸部がんには TLR4が関係する との報告があるが骨転移への効果を報告した論文は ない。

主査の嶋根委員は、両副査の質問に対する回答の妥当性を確認するとともに、本論文の主張 をさらに確認するために上記の質問をしたところ明確かつ適切な回答が得られた。

以上の審査結果から、本論文を博士(歯学)の学位授与に値するものと判断した。

(主査が記載)

参照

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