小径エンドミル加工用ハイブリッド主軸に関する研 究

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(1)小径エンドミル加工用ハイブリッド主軸に関する研 究 著者 ファイル(説明). 学位授与番号 URL. 尾田 光成 博士論文全文 博士論文要旨 最終試験結果の要旨 論文審査の要旨 17701甲理工研第462号 http://hdl.handle.net/10232/00030340.

(2) 小径エンドミル加工用 ハイブリッド主軸に関する研究. 2018 年 9 月. 尾 田 光 成.

(3) Study on hybrid spindle system for milling with small end mill. September 2018. Mitsunari ODA.

(4) 目. 次. 記号および用語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 第 1 章. 緒論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2. 1.1. 研究の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2. 1.2. 従来の研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3. 1.2.1. 象限突起・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3. 1.2.2. びびり振動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7. 1.2.3. 主軸の軸受・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9. 1.3. 研 究 の 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 10. 1.4. 論 文 の 構 成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 11. 第 2 章. ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 を 用 い た 象 限 突 起 の 低 減 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 18. 2.1. 諸 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 18. 2.2. ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 の 概 要 と 特 徴 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 19. 2.3. ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 の モ デ ル 実 験 機 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 19. 2.3.1. 実 験 機 の 概 要 と 構 成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 19. 2.3.2. 主 軸 系 の 構 造 と 振 動 特 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 19. 2.3.3. 制 御 磁 気 軸 受 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 20. 2.4 2.4.1. 制 御 磁 気 軸 受 の 制 御 系 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 22 制 御 系 の 仕 様 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 22.

(5) 2.4.2. PID 制 御 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 23. 2.5. 実 験 方 法 と 実 験 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 23. 2.6. 結 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 25. 第 3 章. ハイブリッド主軸を用いた小径エンドミル工具の コ ン プ ラ イ ア ン ス の 制 御 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 38. 3.1. 諸 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 38. 3.2. ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 の 概 要 と 特 徴 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 38. 3.3. ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 の モ デ ル 実 験 機 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 39. 3.3.1. 構 造 と 工 具 系 の 自 由 振 動 特 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 39. 3.3.2. 工 具 系 の 運 動 方 程 式 と 状 態 方 程 式 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 39. 3.4 3.4.1. 周 波 数 応 答 関 数 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 40. 3.4.2. 極 配 置 法 に よ る コ ン プ ラ イ ア ン ス の 設 計 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 41. 3.5. 第 4 章. 状 態 フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 40. 結 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 44 結 論 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 51. 参 考 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 53.

(6) 記号および用語 e :スイッチ回路に入力する電圧 i :電磁コイルに流れる電流 I0 : バ イ ア ス 電 流 X0 : 電 磁 コ イ ル と ケ イ 素 鋼 板 円 筒 間 の 隙 間 x :エンドミルの変位 Lc : 電 磁 コ イ ル の イ ン ダ ク タ ン ス Rc : 電 磁 コ イ ル の 抵 抗 fEM : 電 磁 力 KEM : 電 磁 力 の 定 数 KP : 比 例 ゲ イ ン KI : 積 分 ゲ イ ン KD : 微 分 ゲ イ ン :質量 :エンドミル工具下端での加振力 :ケイ素鋼板円筒部に作用する電磁力 :ばね定数 :減衰係数 :状態フィードバックゲイン. -1-.

(7) 第1章 1.1. 緒論. 研究の背景. 人々が日常使用しているスマートフォン,家電製品,プラスチック製品や,自 動車,鉄道車両,航空機,船,さらには人工衛星,医療器具,人工関節など, 様々な工業製品は,複雑な形状をもつ部品で構成されている.これらの部品や金 型は,工作機械により,素材(主に金属材料)または鋳物を削る,穴をあけるな どの加工がおこなわれる.この工作機械は,工業製品の性能や安全性を左右する 構成部品を高い精度で加工するという使命があり,マザーマシンと呼ばれている. さらに,これらの工業製品が多くの人々に普及する速度が速くなるのに伴い,生 産速度も速くなっており,工作機械の加工時間や加工後の後工程(加工面の磨き や表面処理)の時間の短縮といった生産性の向上が求められている. 工作機械における加工方法うち,切削加工は切削工具(以後,工具と呼ぶ)を 用いて加工対象物(以後,ワークと呼ぶ)を削る方法であり,工作機械を用いた 代表的な加工方法である.切削加工を行う工作機械は,工具を回転させて加工す る機械,ワークを回転させ,工具を押し当てて加工する機械,更にその両方が行 え る 機 械 も あ る . 何 れ も 工 具 の 自 動 交 換 装 置 が 装 備 さ れ , 計 算 機 で 数 値 制 御 (CNC) されるマシニングセンタ,およびターニングセンタと呼ばれる工作機械が主流と なっている. (1). .一方,工業製品の高性能化・省エネのための軽量化,費用対効果. 向上のニーズに伴い,構成する部品点数は減り,部品の形状は複雑になる傾向で, 工具を回転させて切削加工を行うマシニングセンタの需要が伸びている. (2). .. 工具を回転させるユニットを主軸と呼ぶが,ワークの要求精度が高くなり,形 状が複雑化することで,小径の工具を使用する工程が増え,主軸の回転速度は速 くなっている.主軸の軸受は一般に転がり軸受が採用されているが,高速回転時, 軸受の発熱によって発生する熱変位が問題となっている.また小径の工具を使用. -2-.

(8) する場合,工具の剛性不足によりびびり振動が発生し,加工精度および工具寿命 の低下が問題となる.さらに送り軸と呼ばれる工具やワークを移動する軸におい て,移動方向が反転する時に発生する象限突起と呼ばれる運動誤差がワークの加 工精度を低下させるとして問題になっている.びびり振動や象限突起は,マシニ ングセンタに要求されている切削加工の高精度化を困難にし,切削加工後の磨き 処理に時間が必要になる,不良品が発生し歩留まりが下がるなど,切削加工の生 産性を低下させる要因になっている.. 1.2. 従来の研究. 1.2.1. 象限突起. 象限突起はマシニングセンタの送り軸の方向反転時に生じる運動誤差である. 象 限 突 起 が 発 生 し , 加 工 精 度 に 影 響 し た 例 を 図 1.1 , 図 1.2 に 示 す . 図 1.1 は 金 型の 3 軸加工の例で, Z 軸に象限突起が発生し,加工面に乱れが発生している. こ の 例 で は 象 限 突 起 の 大 き さ と し て は 1μm 程 度 で あ る が , 加 工 面 の 乱 れ と し て 見 えるため,意匠性を重視する金型では問題となる.生産現場では,この乱れを見 えにくくするようにサンドペーパーや砥石等で人が磨く工程が必要なため,生産 性 が 下 が っ て い る . 図 1.2 は , 同 時 5 軸 加 工 に よ る 複 雑 な 形 状 を も つ 部 品 加 工 の 例である.例では C 軸で旋回させながら B 軸と X , Y , Z 軸を同期させ,「く」 の字状に折れ曲がった円筒の外周を,エンドミルを周回させながら切削する.こ の時, B 軸が加工の途中(毎周)で方向が反転する動作が入り, B 軸の象限突起 が加工面に乱れ(写真では縦スジ状のはっきり見える食込み状の乱れ)となって 生じている.回転軸の象限突起は角度誤差として発生するため,切削点が回転軸 の 中 心 か ら 離 れ る ほ ど , 大 き な 加 工 誤 差 が 生 じ る . こ の 例 で は 角 度 誤 差 で 1000 分 の 2 度 程 度 の 誤 差 が , 加 工 点 で 数 十 μm の 誤 差 と し て 発 生 し て い る . こ の よ う に 象限突起は,加工面の品位を下げる誤差として,生産現場で問題になっている.. -3-.

(9) 象 限 突 起 の 発 生 メ カ ニ ズ ム を 図 1.3 に 示 す . 図 で は 送 り 軸 の 代 表 的 な 例 と し て , ボールねじと回転モータで構成されるタイプの軸を示す.送り軸の可動部として テーブルがあり,それはモータから発生するトルクにより,ボールねじを介して 駆動される.テーブルの実位置はスケールと呼ばれる位置センサにより,制御器 にフィードバックされ,指定位置に対し誤差があると制御器から誤差を低減する よう補正電流がモータに出力されるといったフィードバック制御が行われる.こ の制御方法はフルクローズドループと呼ばれ,高精度な加工が要求されるボール ねじを使用した送り軸に使用される. 図 1.3 で 示 し た よ う に , 送 り 軸 の 可 動 部 の ボ ー ル ね じ を 支 え る 軸 受 部 , ナ ッ ト 部,テーブルを支えるガイド部などに摩擦が存在する.これらの摩擦は,送り軸 の方向反転時にステップ状の外乱としてフィードバック制御ループに入力される た め , 指 令 位 置 に 対 し , 実 位 置 が 遅 れ る ( 図 中 の ① で 示 す 遅 れ ). ま た 摩 擦 に よ り送り軸の各部品はいくらか変形する.例えば,モータがある角度回転しても, テーブルを支えるガイドに内在する摩擦や,ボールねじ・ナットの溝の面とボー ルの接点で生じる摩擦によりボールねじは僅かに伸び,実際のテーブルの位置に 誤差(ロストモーション)が発生し,実位置が遅れる (図中の②で示す遅れ ) . この誤差も最終的には制御ループに入力されるので,方向反転時などに顕著に生 じる過渡的な誤差として現れる.象限突起とは,送り軸方向反転時の①と②の過 渡的な誤差の総和になるが,根本原因は送り軸に存在する摩擦である.一方,位 置センサとしてモータに接続されたロータリエンコーダの角度信号にボールねじ のリードを掛けてフィードバックする制御方法は,セミクローズループと呼ばれ, 高価なスケールを使用しないため,コストを抑えられる反面,②がフィードバッ クされない分,精度がフルクローズループより劣る.ボールねじを介さないリニ アモータを使用した軸の場合,②の遅れはほぼ存在しないが,①は発生する. 回転軸にも象限突起が存在し,発生メカニズも同様である.回転軸の場合,ボ ールねじの代わりにギアやウォームホイールといった伝達機構が減速器として用. -4-.

(10) いられ,① + ②の遅れが生じる.減速器を使用しないダイレクト・ドライブ機構 の回転軸では②の遅れはほぼ生じない. 図 1.4 の 左 図 は XY 平 面 上 の 反 転 に よ り 生 じ た 象 限 突 起 で , ① + ② の 遅 れ が Y 軸 で生じた場合,実線で示したように破線で示した円弧(指令軌跡)から外れるが, 遅れにより Y 軸が破線で示した指令通り動いていないため,制御器 ( 積分要素 ) に よ り 指 令 軌 跡 に 戻 る . 図 1.4 の 右 図 は , 半 径 方 向 の 誤 差 ( 指 令 軌 跡 と 実 軌 跡 の 差 ) を拡大した図(真円度グラフ)である.象限突起が突起と呼ばれるのは,誤 差が真円度グラフで表示した場合に象限境界付近に突起状に現れるためである. 図 1.3 の 例 と し て , テ ー ブ ル の 案 内 が す べ り の 送 り 軸 と 転 が り の 送 り 軸 の 真 円 度 グ ラ フ を 図 1.5 と 図 1.6 に そ れ ぞ れ 示 す . 図 1.5 , 図 1.6 と も 象 限 突 起 補 正 無 し でフルクローズド制御を行った場合の測定結果である.各図において,左に真円 度グラフ,右に真円度グラフの各象限切替え部( 4 箇所)を拡大した図を示して あり,青い線はテーブルの位置(スケールの信号)の真円度グラフで,赤い線は モータの回転角度(ロータリエンコーダの信号)にボールねじのピッチをかけた 位 置 ( 以 後 , モ ー タ の 位 置 と 呼 ぶ ) の 真 円 度 グ ラ フ で あ る . 図 1.3 に 示 し た よ う に,テーブルとモータの間には,ボールねじが介在しており,②のロストモーシ ョ ン が 存 在 す る . よ っ て , 図 1.5 , 図 1.6 に お い て 赤 い 線 が 真 円 か ら 象 限 切 替 え 部以外でも外れているのは , 送り軸の制御器がテーブルの位置を制御しているた め , モータは常にロストモーション分,テーブルより先行して ( 行き過ぎて ) 動 く よ う 制 御 さ れ る た め で あ る . 図 1.5 の す べ り 案 内 を も つ X 軸 , Y 軸 と も , モ ー タの位置は象限切替え部で行き過ぎるため,回転方向の動作に伴って象限切替え を境にして内側に入っている.それに対し,テーブルの位置は X 軸, Y 軸とも象 限切替え部で象限突起(遅れ)が発生している.従って,モータが象限切替え時 に方向反転する際,ロストモーション分の距離を瞬時に移動できないため,テー ブルの動き出しが遅れ,象限突起が発生していると推定される.それに対し,図 1.6 の 転 が り 案 内 を も つ X 軸 , Y 軸 と も モ ー タ の 位 置 は 象 限 切 替 え 部 で 象 限 突 起. -5-.

(11) (遅れ)が発生していており,テーブルの位置においても同等の象限突起が生じ ている.ただし, X 軸については象限の後半でモータの位置が行き過ぎ傾向を示 しており,テーブルの位置で発生する象限突起もモータの行き過ぎが止まるまで 発 生 し て い る . 従 っ て , 図 1.6 の X 軸 , Y 軸 の 象 限 突 起 の 発 生 要 因 は , 主 に 摩 擦 に よ る 遅 れ ( 図 1.3 の ① ) で あ る が , X 軸 に つ い て は ロ ス ト モ ー シ ョ ン に よ る 遅 れ ( 図 1.3 の ② ) の 影 響 も 受 け て い る こ と が 分 か る . 象限突起を低減させるための補正方法は数多く研究されている 方 法 を 特 徴 別 に ま と め , 表 1-1 に 示 す . 佐 藤 ら. (3). (3) ~ (15). .補正の. は,反転付近の微小変位領域の. 変位-摩擦トルクの関係をモデル化してフィードフォワード補償を行っており, モデルと実機が一致していれば補正精度は良いが,摩擦特性が変化すると補正精 度が劣化する.岩下ら. (4). が提案する方法は,位置指令が方向反転する時に補正ト. ルクをかけ始めるため ( 常に補正が掛かっているわけではない ) ,前述のロスト モーションの遅れが補正しきれない分,補正精度は佐藤らの方法 また岩下ら. (5). (3). よりやや劣る.. は,学習制御(繰返し制御)を用いて方向反転の補正量(速度)を. 推定する方法も提案しており,摩擦特性が変化しても学習制御により摩擦モデル パラメータを合わせることができる.しかし,学習制御は加工中にできないため, 加 工 と は 別 の 工 程 が 必 要 に な る . 樋 口 ら (6) は , 摩 擦 オ ブ ザ ー バ に よ り 補 正 す る 方 法を提案しており,摩擦がない理想モデルから算出されるトルクと実際の機械の トルクとの差分を補正トルクとしてフィードバックしているので,摩擦特性の変 化に追従できるが,フィードバックの応答の遅れが大きく,補正精度自体は十分 とは言えない.板垣ら. (7). は,機械系の共振を抑えてフィードバック制御の外乱抑. 制能力を高める方法を提案しており,フィードバック制御のゲインを大きくして 摩擦の外乱に対する遅れを小さくし,また機械系の共振周波数を状態フィードバ ックにより抑えている.しかし,送り軸のサイズが大きくなるとロストモーショ ンが大きくなり,ゲインを高くすることが難しくなる.また,補正を組み合せた. -6-.

(12) 方法もあるが. (10),(12). ,各補正の欠点は残っており,完全な補正が行えているとは. いえない.. 1.2.2. びびり振動. 工業製品の部品を成形する金型は,工業製品を安く大量生産するために欠くこ とのできない工具である.近年,タイムリーに製品を市場に投入するため,製品 の開発期間は急速に短くなっており,工業製品の金型に対しても加工能率の向上 (納期の短縮)が極めて重要になっている.これまで,複雑な形状をした精密金 型は放電加工によって作られてきたが,高速切削加工が実用化され,マシニング センタを用いるエンドミル加工によって作られるようになった.しかし,金型の 深リブ溝,深隅部などについてはエンドミル工具を細長くする必要があるため, 工具の剛性不足によるびびり振動が発生しやすく,高能率加工の障害となってい る.このびびり振動は一般に自励振動であり,被削材と工具間の切取り厚さの変 動 に 起 因 す る 再 生 び び り は , Tlusty (16) に よ り , 単 純 な モ デ ル に よ る 安 定 限 界 が 定 式化されている . エンドミル加工において,再生びびり振動が発生する 2 自由度の振動モデルを 図 1.7 に 示 す . 図 中 に tooth( j ) で 示 し た 波 形 は , 現 時 点 で の 切 れ 刃 ( j ) の 振 動 変 位 , tooth( j - 1 ) は 一 つ 前 の 切 れ 刃 ( j - 1 ) の 振 動 変 位 で あ る . 切 れ 刃 ( j - 1 ) の振動変位よりも切れ刃 ( j ) の振動変位が大きくなると,振動振幅は徐々 に 大 き く な り , 再 生 び び り 振 動 が 発 生 す る . 図 1.8 は 切 れ 刃 ( j ) 近 傍 の 拡 大 図 で , ℎ (t) は 切 れ 刃 ( j ) の 瞬 間 切 り 取 り 厚 さ で あ り , 切 れ 刃 ( j - 1 ) の 振 動 変. 位 と 切 れ 刃 ( j ) の 振 動 変 位 の 差 と し て 得 ら れ る . ま た , 図 1.8 に 示 し た ε は , エ ンドミル加工における位相差であり,切れ刃 ( j ) の振動変位と切れ刃 ( j- 1 ) の振動変位の位相の差である . び び り 振 動 の 低 減 に 対 し , 多 く の 抑 制 方 法 が 示 さ れ て い る (17). ~ (26). . Altintas ら (17). は 主 軸 の 回 転 数 と 最 小 切 込 み 深 さ の 関 係 を 示 す 図 ( chatter stability lobes ) を 求 め ,. -7-.

(13) 安定限界が高くなる主軸回転数を選択する方法を提案している . この方法では, 主軸の回転速度が速いほど安定限界が高くなるため,アルミなどの軟質金属の高 速加工には適しているが,チタンなど主軸の回転数が低い難削材の加工では,安 定 限 界 が 低 く , ま た chatter stability lobes の 間 隔 が 狭 い た め , 安 定 限 界 が 高 く な る 速 度 を 求 め 難 い と い っ た 課 題 が あ る . 白 瀬 ら (18) は 理 論 的 に 解 析 し た 結 果 に 基 づ く 不 等ピッチ間隔の切れ刃をもつエンドミル工具による加工でびびり振動を低減させ る方法を提案した.しかし,不等ピッチ間隔は,加工条件,工具系のコンプライ アンスに依存するため,加工工程に応じて,ピッチを変更した工具を準備する必 要 が あ り , 多 品 種 少 量 の 加 工 に 対 し て は 不 向 き で あ る . 竹 村 ら (19) は 主 軸 回 転 速 度 を周期的に変動させ,振動により発生するエネルギーを主軸の回転速度の変動に より小さくすることで振動を低減させている.しかし,振動の低減効果を高める ためには,回転速度の変動幅を大きくとる必要があり,加工精度,加工面品位が 重要な仕上げ加工では,1刃当たりの送りを一定にしたとしても,送り速度が変 動することで発生する追従誤差の影響により高精度な加工は難しい.一方,工具 系のコンプライアンスを小さく抑えることで,びびり振動を低減させる方法が幾 つ か 示 さ れ て い る . 石 山 ら (20) は マ シ ニ ン グ セ ン タ の テ ー ブ ル の 転 が り 案 内 に 電 界 に よ り 見 か け 上 の 粘 性 が 変 化 す る 可 変 減 衰 発 生 機 構 ( ER 流 体 ダ ン パ ) を 付 加 す る 方 法 を 提 案 し た . こ の ER 流 体 ダ ン パ に 数 kV/mm の 電 界 を 加 え た 場 合 , テ ー ブ ルシステムの動コンプライアンスの最大実部が小さくなること示し,びびり振動 抑制の可能性を示した.しかし,減衰能は任意に制御できるが,剛性に関しては 任意に制御できないため,テーブルシステムの動コンプライアンスは任意に設定 できない.一方,動吸振器を利用する方法も提案されており. (21), (22), (23). , 中 野 ら (23). はエンドミル工具を保持するコレットチャックの周りに動吸振器を複数取付ける 方法を提案し,切削実験および固有値解析により発生限界を求め,再生びびり振 動を低減できることを示した.この方法は,エンドミルの形状の変化への対応が 難しく,また動吸振器の設置スペースの確保も難しいため実用化には至っていな. -8-.

(14) い . Monnin ら (24) は 圧 電 素 子 を 利 用 し , 加 速 度 セ ン サ の 信 号 を 用 い た 外 乱 オ ブ ザ ー バによりびびり振動を低減する方法を提案した.しかし,圧電素子に掛かる負荷 が弾性力の場合,入力電圧に対する変位の関係が変化し,また圧電素子の非線形 性のため制御が難しい. 磁気軸受を使った主軸は,既存の軸受の置き換えが可能で,制御性に優れてお り,びびり振動の低減にも用いられている. (25), (26). . Huang ら (25) は , 既 存 の 軸 受 を. 全て磁気軸受けにした主軸を用い,びびり振動を低減できることをシミュレーシ ョ ン に よ り 示 し た が , 大 き な 切 削 力 が 必 要 な 加 工 は 困 難 で あ る . ま た Dijk ら (26) は 既存の転がり軸受に磁気軸受を追加した主軸で,びびり振動を低減できることを 示したが,既存の転がり軸受で主軸の両端を支持しているため主軸端の剛性が高 く,エンドミル工具先端に大きな変位を発生させるのが困難であり,また機械構 造のモデルが高次になり,制御性を高めようとすると制御系が複雑になるという 問題がある.. 1.2.3. 主軸の軸受. 転 が り 軸 受 , 特 に 玉 軸 受 は 安 価 で 信 頼 性 も 高 く (27) , マ シ ニ ン グ セ ン タ の 主 軸 と し て 一 般 に 広 く 用 い ら れ て い る (28) . 高 速 高 精 度 加 工 用 の 主 軸 の 構 造 と し て は , 主 軸の中央にダイレクト・ドライブモータを配し,その両端を転がり軸受で保持し ている.さらに,工具側(フロント側)は,切削力を受け止める目的でアンギュ ラ玉軸受を複数列で使用し,玉の自転軸が八の字に成るよう各列を配して,必要 な予圧を掛けている.工具と反対側(リア側)は,主軸を支える目的で,玉軸受, もしくは円筒ころ軸受で保持している.主軸は,回転することで発熱するが,そ の要因としては,転がり軸受部の摩擦熱(潤滑油の攪拌熱も含む)によるもの, モータの発熱によるものがあり,主軸方向の変位が生じる.対策としては,モー タ の ロ ー タ 部 の 冷 却 (29) や , 軸 受 部 へ の 潤 滑 油 の 供 給 方 式 の 工 夫 (30) で , 主 軸 の 変 位 を 抑 え つ つ , 数 万 min-1 の 高 速 回 転 を 実 現 し て い る . し か し , 冷 却 能 力 の 上 限 な ど. -9-.

(15) で , 数 万 min-1 以 上 の 高 速 回 転 の 実 現 は 難 し い . さ ら に , 軸 受 各 部 の 精 度 ( 溝 の 真 円度,玉の真球度,さらにはリテーナーと呼ばれる樹脂製の玉の保持器の設計) が , 高 速 回 転 で 回 転 精 度 に 影 響 を 与 え る (30) . ま た , 転 が り 軸 受 の 特 徴 で あ る 玉 や コロが内輪と外輪に点や線接触しているため,減衰を大きくすることが難しい. これらの課題に対し,コストは高くなるが,油や空気による静圧軸受や動圧軸受, さらに磁気軸受が用途に応じて用いられている.高速回転においては,軸受け部 の発熱が基本的に無い,エア軸受,磁気軸受が適している.高減衰については, 油による静・動圧軸受が適している.回転精度については,油や空気の静圧軸受 が優れている.一方,磁気軸受は,他の軸受にない特長として位置制御機能があ り,主軸の回転中心のオフセット量,主軸系の剛性や減衰を電磁力により制御す ることが可能である.しかし,転がり軸受に比べて負荷容量が小さく,制御系に よる性能向上に限界があり,またコストが高い , 緊急時や磁気浮上前に通常の軸 受 が 必 要 に な る と い っ た 問 題 も 指 摘 さ れ て い る (31) . 鈴 木 ら (32) の 研 究 に よ る と , 磁 気軸受けの切削性能を高めるためには,エンドミル工具の軸方向の切込み量を浅 くし,送り速度を高くする加工方法が有効である.これは,アルミ材などの高速 切削が可能な軟質金属材には有効であるが,チタンなどの難削材には現状の工具 の性能から見て有効な加工方法ではない.また,負荷容量を大きくする(磁気軸 受のサーボ剛性を大きくする)ためには,主軸自身の剛性を高める必要があり, 主軸の回転モーメントが増加し,回転モータや磁気回路の大型化を招くこととな り,コスト面で不利である.. 1.3. 研究の目的. 本研究は,工作機械の中でも複雑な形状をした部品や金型を加工するマシニン グセンタ(工具が回転しながら切削加工する自動化に対応した機械)が抱える課 題のうち,小径エンドミル加工の生産性の低下および加工精度の劣化の原因とな っている,象限突起とびびり振動の発生を低減することを目的とする.そのため,. -10-.

(16) 本研究では,マシニングセンタの主軸として新たに玉軸受と磁気軸受で支持され るハイブリッド主軸を提案し,ハイブリッド主軸のモデル実験機を用いて,磁気 軸受の電磁力の制御による象限突起の低減と,びびり振動の発生を低減させるた めのエンドミル工具のコンプライアンスの制御について実験または理論計算によ り,その有効性を示す.. 1.4. 論文の構成. 第1章は,マシニングセンタの主軸,および生産現場で大きな問題になってい る象限突起とびびり振動,および主軸について,課題をまとめ,本研究の目的を 示した. 第2章は,小径エンドミル加工における象限突起の低減を目的として,転がり 軸受主軸の安価で信頼性が高いという特長,また磁気軸受主軸の位置制御機能を 有するという特長を併せ持った主軸として,転がり軸受と磁気軸受で支持される ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 を 提 案 し , モ デ ル 実 験 機 を 用 い て 磁 気 軸 受 の 電 磁 力 の PID 制 御 によりエンドミル工具先端での象限突起形状のトレースを行った.その結果、ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 を 用 い る こ と に よ り , 象 限 突 起 の 大 き さ は 1/3 以 下 に 低 減 で き る 可能性があることを実験により確認した. 第3章は,小径エンドミル加工におけるびびり振動を低減するためのコンプラ イアンスの制御を目的とし,電磁力を受けるケイ素鋼板円筒部と小径エンドミル 先端部に集中質量を持つ2自由度の振動系のモデルで, 磁気軸受の電磁力による 状態フィードバック制御系を構築した.また状態フィードバック制御を適用しな い場合と適用した場合の小径エンドミル先端でのコンプライアンス(周波数応答 関数)の計算値を求め、極配置法により求めた状態フィードバック係数により, コンプライアンスの特性を任意に設定できることを示した.. -11-.

(17) 第4章は,小径エンドミル加工における象限突起の低減と小径エンドミル工具 のコンプライアンス制御のために考案したハイブリッド主軸の適用の効果につい て総括した.. -12-.

(18) Quadrant glitches Y. X. End-mill Z. Z-axis is turn to reverse direction. Z-axis is turn to reverse direction. X Fig.1.1 Quadrant glitch caused by z-axis turning to reverse direction. B-axis is turn to reverse direction Quadrant glitches. Fig.1.2 Quadrant glitch caused by B-axis turning to reverse direction during simultaneous 5-axis machining. -13-.

(19) Fig.1.3 Mechanism of generation of quadrant glitch. Fig.1.4 Quadrant glitch. -14-.

(20) Fig.1.5 Measured chart of circularity of actual position and motor position during full-closed loop in case of machine tool with feed-axis of box guide. Fig.1.6 Measured chart of circularity of actual position and motor position during full-closed loop in case of machine tool with feed-axis of rolling guide. -15-.

(21) Fig.1.7 Model of end milling process with regenerative chatter vibration. Fig.1.8 Detail of vicinity of tooth ( j ). -16-.

(22) Table 1-1 Advantages and disadvantages of compensations for a quadrant glitches Related study and patent. Compensation Method. Accuracy of compensation. Robustness of compensation. Compensation of torque using a model of friction. ◎. ×. △. ×. ○. △. △. ○. High disturbance suppression using high gain servo. × ~ ○. × ~ ○. ◎ : Very good. × : Bad. (3),(8), (10), (11), (12), (14) (4) (5). To impress a curve of compensation at reversed position To impress a calculated curve of compensation by learning control at reversed position. (6), (10),. Compensation of torque using a friction observer (12) (7), (9). ○ : Good. △ : Medium. -17-.

(23) 第2章. ハイブリッド主軸を用いた 象限突起の低減. 2.1. 諸. 言. 象限突起と呼ばれる加工誤差は,送り軸に内在する摩擦とロストモーションに よって発生し,加工精度を劣化させる.象限突起を補正するこれまでの研究にお い て , 1 章 の 表 1-1 に 示 し た よ う に , 補 正 の 精 度 と ロ バ ス ト 性 の 両 立 が 原 理 的 に 可能な補正方法は見当たらない.補正の精度に関しては,ロストモーションが大 きい送り軸に対する補正が十分でない,反転する前から補正できない,補正信号 作成回路の応答が遅いなどの課題があり,ロバスト性に関しては,象限突起の根 本原因である送り軸系の摩擦が,環境や時間経過で変化することに対し,対応で きていないという課題がある.また補正は,象限突起を発生している送り軸で行 うという研究が殆どで,補正の程度は,送り軸の応答性に左右されている. 本研究の目的は,モデルの正確さや送り軸のロストモーションによらず効果的 である革新的な象限突起用の補正方法を開発することである.そこで本研究にお いては,象限突起補正の高精度化とロバスト性の両立,および送り軸の応答性に 左右されない方法として,主軸の軸受に位置制御機能をもつ制御磁気軸受を用い て象限突起を補正する.しかし,磁気軸受の短所である負荷容量が大きくとれな いという問題点があるため,主軸の軸受の全てを磁気軸受とはせず,工具側の軸 受けのみを磁気軸受とし,反対側の軸受は従来から使用している転がり軸受を残 した,ハイブリッド主軸を考案した.ハイブリッド主軸は,主軸の弾性を利用す ることで,磁気軸受の主軸の振動モデルを低次元化して制御系を簡素化できると いう利点もある.本研究では,ハイブリッド主軸のモデル実験機により,マシニ. -18-.

(24) ングセンタのテーブルの円弧運動で得られた象限突起の時系列データを用いて, 象限突起の低減効果を検証する.. 2.2. ハイブリッド主軸の概要と特徴. 図 2.1 は , 考 案 し た ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 の 概 念 図 で あ り , エ ン ド ミ ル の 近 く の 軸 受 は 制 御 磁 気 軸 受 , 他 方 の 端 の 軸 受 は 玉 軸 受 に な っ て い る . 図 2.1 に 示 し た 主 軸 , 制 御磁気軸受そして玉軸受から構成されるハイブリッド主軸は,微少運動の制御が 可能であり,粗動装置であるテーブルの送り軸の摩擦とロストモーションによっ て発生した象限突起を補正することができる.. 2.3. ハイブリッド主軸のモデル実験機. 2.3.1. 実験機の概要と構成. 図 2.2 は 本 研 究 で 提 案 す る ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 の モ デ ル 実 験 機 で あ る . 本 モ デ ル 実験機は,転がり軸受として主軸の軸受を用い,主軸としての工具ホルダー,制 御磁気軸受,そしてエンドミルから構成される.制御磁気軸受は,電磁力を加え るケイ素鋼板円筒,位置検出用のアルミニウム合金製のリング,そして電磁コイ ルから成る.電磁コイルはケイ素鋼板円筒との隙間が,周方向で一定になるよう に主軸頭に治具を介して固定されている.. 2.3.2. 主軸系の構造と振動特性. モデル実験機の主軸(工具ホルダー)の自由振動のパラメータは,インパルス ハンマを用いてケイ素鋼板円筒を打撃する打撃試験によって測定した.周波数応 答関数は,測定された加振力とケイ素鋼板円筒の加速度信号を高速フーリエ変換 (FFT) し て 求 め た . 図 2.3 は 得 ら れ た 円 筒 部 で の 周 波 数 応 答 関 数 で あ る . 上 図 は コ ン プ ラ イ ア ン ス , 下 図 は 位 相 で あ り , 図 の 横 軸 は 周 波 数 で あ る . 590Hz , 625Hz ,. -19-.

(25) 1240Hz の 3 つ の 周 波 数 で コ ン プ ラ イ ア ン ス に ピ ー ク を 生 じ て い る . ケ イ 素 鋼 板 円 筒 の 固 有 振 動 数 は , 図 2.3 で 示 し た よ う に , 打 撃 試 験 に よ っ て 得 ら れ た 3 つ の コ ン プ ラ イ ア ン ス の ピ ー ク 値 の 中 で 最 も 高 い 590Hz で あ る . ま た エ ン ド ミ ル の 固 有 振 動数は,エンドミルの打撃試験で得られたコンプライアンスにおいて最もピーク 値 が 高 く な っ た 625Hz で あ る こ と が 分 か っ た . 図 2.4 は , ケ イ 素 鋼 板 円 筒 に 加 え る 荷 重 を 徐 々 に 増 加 さ せ , ま た 減 少 さ せ と き の 荷重とケイ素鋼板円筒部における主軸のたわみの関係である.荷重は治具を介し て動力計を使って測定し,たわみはレーザー変位センサを使って測定した.たわ みが増加するときの荷重は,たわみが減少するときの荷重よりやや大きくなった. 図 2.4 は 最 小 二 乗 法 を 用 い 得 ら れ た 線 形 化 さ れ た 荷 重 と た わ み の 関 係 が 示 さ れ て お り , そ の 傾 き は , ケ イ 素 鋼 板 円 筒 部 に お け る 主 軸 の バ ネ 定 数 で , 3.503MN/m で あ る . 従 っ て , ケ イ 素 鋼 板 円 筒 の 等 価 質 量 は , 固 有 振 動 数 590Hz と , バ ネ 定 数 3.503MN/m か ら 約 0.255kg と し た .. 2.3.3. 制御磁気軸受. 図 2.5 は , 制 御 磁 気 軸 受 内 に 円 環 状 に 配 置 さ れ る 8 極 の 電 磁 コ イ ル を 示 し て い る . 各コイルは①から⑧とし,各コイルの組(例えば②と③)は,コイル②と③は工 作 機 械 の テ ー ブ ル の +X 方 向 と 一 致 す る よ う に , そ し て コ イ ル ⑥ と ⑦ は -X 方 向 と 一致するように各コイルの組はそれぞれ直列に接続してある. 図 2.6 は , 電 磁 コ イ ル に 電 流 を 流 す こ と で N 極 に 磁 化 さ れ た 電 磁 石 が , ケ イ 素 鋼 板 円 筒 を 右 側 に 吸 引 す る 場 合 の 磁 気 軸 受 の 概 念 図 を 示 し て い る . 図 2.6 に お い て i は電磁コイルを流れる電流であり, e は電流アンプへの入力電圧である.もし右 側の電磁石が N 極に磁化されると,ケイ素鋼板円筒の右側は S 極に磁化され,エ ンドミルを右側に変位させる吸引力が発生する.電流アンプによって電磁コイル に加えられる電圧 e は次式で表される.. -20-.

(26) e Lc ここで. di Rci dt. (2-1). Lc は 電 磁 コ イ ル の イ ン ダ ク タ ン ス , R c は 電 磁 コ イ ル の 抵 抗 で あ る . 電 圧. e は 振 幅 E1 の ス テ ッ プ 関 数 と 見 な し 式 (2-1) を 解 く こ と に よ り 式 (2-2) を 得 る .. i. E1 1 et / T Rc. (2-2). こ こ で T は Lc /Rc で あ り , 1 次 遅 れ 系 に な る . Rc と T の 値 は 電 流 の ス テ ッ プ 応 答 を 計 測 す る こ と に よ っ て 求 め る こ と が で き る . 図 2.7 は , 2.4V の 入 力 電 圧 E1 を 電 磁 コ イ ル に 付 加 し た と き の 電 流 の ス テ ッ プ 応 答 の 測 定 結 果 で あ る . 図 2.7 中 の 式 は , 測 定 で 得 た 応 答 を 非 線 形 関 数 の 最 小 二 乗 法 を 用 い て 近 似 し た 式 で , 改 め て 式 (2-3) に 示す. i. 2.79 1 e. 249t. (2-3). よ っ て , 式 (2-2) と 式 (2-3) か ら , Rc は 0.86Ω , T は 0.4ms , L は 0.34mH と な っ た . 図 2.8 は 制 御 磁 気 軸 受 の 概 略 図 で あ る . 図 2.8 に お い て , i+ , と i- は , ケ イ 素 鋼 板 円 筒 の 図 正 面 か ら 見 て 右 側 と 左 側 の 各 々 の 電 磁 コ イ ル を 流 れ る 電 流 で あ り , X0 は 電磁コイルとケイ素鋼板円筒表面との間の隙間, e はスイッチ回路(後述)の入 力 電 圧 , e+ と e- は , 右 側 と 左 側 の 電 磁 コ イ ル へ 電 流 を 流 す 電 流 ア ン プ へ の 各 々 の 入力電圧, x はエンドミルの変位である.ケイ素鋼板円筒の右側の電磁石が,円 筒に向かって N 極になるように磁化された場合,円筒は電磁石に向かって S 極に なるように磁化され,結果としてエンドミルが右に変位するような吸引力が発生 す る . こ の 制 御 磁 気 軸 受 は , 図 2.8 に 示 す ス イ ッ チ 回 路 が あ り , 入 力 電 圧 e の 正 負 に 応 じ , 電 流 ア ン プ に 入 力 す る 電 圧 e+ と e- を ス イ ッ チ 回 路 が 切 換 え て , エ ン ド ミ ル が 左 右 に 変 位 す る よ う 右 と 左 の 電 磁 力 を 切 換 え る . 電 磁 力 fEM は 次 式 で 与 え ら れる.. -21-.

(27) f EM. K EM. i2 X0. i2 x. 2. X0. x. 2. (2-4). こ こ で KEM は 電 磁 力 の 定 数 で あ る . (2-4) 式 で 示 し た よ う に , 電 磁 力 は , 電 流 に 対 し て 2 次 曲 線 で 増 加 す る た め , 電 流 ア ン プ へ の 入 力 電 圧 e+ と e- が ゼ ロ 付 近 の 時 , e+ と e- に 比 例 し て 電 磁 コ イ ル を 流 れ る 電 流 i+ と i- に 対 し て , 電 磁 力 は 比 例 せ ず , 変 化 率 は 小 さ い . そ こ で , 入 力 電 流 が ゼ ロ 付 近 で も , 電 磁 力 fEM と 入 力 電 流 と が 比 例 関 係 に な る よ う に バ イ ア ス 電 流 を 加 え た . バ イ ア ス 電 流 I0 を 加 え た 電 磁 力 fEM は 式 (2-5) で 与 え ら れ る .. f EN. K EM. i I0 X0 x. 2 2. i I0 X0 x. 2 2. (2-5). 図 2.9 は , 制 御 磁 気 軸 受 の 電 磁 力 と 電 流 の 関 係 を 測 定 す る た め の 実 験 装 置 で あ る . 主軸の変位はレーザー変位センサによって測定し,電磁コイルを流れる電流は電 流センサにより測定する.まず,波形発生装置からパルス状の入力電圧 e をスイ ッ チ 回 路 に 入 力 す る . 図 2.10 は 電 流 の 大 き さ と 主 軸 の た わ み の 関 係 で , △ 印 は , バ イ ア ス 電 流 I0 が 無 い 時 の 実 験 結 果 で あ る . ま た , 図 2.10 の ○ 印 は , バ イ ア ス 電 流 I0 が あ る 時 の 実 験 結 果 で あ る . 原 点 付 近 の 主 軸 の た わ み と 電 磁 コ イ ル を 流 れ る 電 流 の 関 係 は , バ イ ア ス 電 流 を 付 加 す る こ と で 線 形 化 さ れ , -22μm か ら 22μm 間 の 主 軸 の た わ み と -4.8A か ら 4.8A 間 の 電 流 は ほ ぼ 比 例 す る 関 係 に な っ た .. 2.4. 制御磁気軸受の制御系. 2.4.1. 制御系の仕様. 図 2.1 に 示 し た 送 り 軸 ( X 軸 と す る ) で 象 限 突 起 を 発 生 さ せ る た め , X-Y テ ー ブ ル を 送 り 速 度 8000 mm/min , 直 径 20mm で 円 運 動 を 行 い , 高 い 加 速 度 (1.78m/s2) に お け る 象 限 突 起 を 測 定 し た . 図 2.11 に 測 定 結 果 を 示 す . 図 2.11 よ り , 象 限 突 起 の 最 大 値 ( 約 7 μ m ) に 対 し , 10% か ら 90% に 増 加 す る ま で の 時 間 は 約 12ms で あ り ,. -22-.

(28) そ し て 象 限 突 起 の 最 大 値 の 90% か ら 10% に 減 少 す る ま で の 時 間 は 約 25ms で あ る .. 2.4.2. PID 制 御. 図 2.12 に , オ ペ ア ン プ 回 路 で 構 成 さ れ る 比 例 - 積 分 - 微 分 制 御 器 ( PID 制 御 器 ) を持つ制御磁気軸受の制御装置を示す.制御器への入力信号は信号発生用の計算 機から出力され,エンドミル下部の変位はレーザー変位センサを使って測定した. 図 2.13 に , 図 2.12 で 示 し た フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 系 の ブ ロ ッ ク 線 図 を 示 す . 図 2.13 において, r は制御装置への入力電圧, e は電流アンプへの入力電圧,そして x はケイ素鋼板円筒の変位に比例するアルミニウム合金製のリングの変位である. C と 記 さ れ た ブ ロ ッ ク は , 式 (2-6) で 表 さ れ る PID 制 御 器 の 伝 達 関 数 で あ る .. C. KP. KI s. KDs. (2-6). こ こ で , KP は 比 例 ゲ イ ン , KI は 積 分 ゲ イ ン , KD は 微 分 ゲ イ ン で あ る . 表 2.1 は PID 制 御 器 内 の KP , KI , KD の 各 ゲ イ ン の 値 で , 限 界 感 度 法 を 使 い 試 行 錯 誤 的 に 求 め た . ま た , 図 2.13 の G は , 主 軸 に 見 立 て た 工 具 ホ ル ダ ー に 取 付 け た ケ イ 素 鋼 板 円 筒 の 周 波 数 応 答 関 数 で あ り , Ki , KEM , Ks , H は そ れ ぞ れ ゲ イ ン ( 比 例 定 数 ) で あ る . 図 2.3 に 示 し た 1240Hz の 固 有 振 動 数 が 原 因 で 発 生 す る ス ピ ル オ ー バ ー を 避 け る た め , カ ッ ト オ フ 周 波 数 500 Hz の ロ ー パ ス フ ィ ル タ を フ ィ ー ド バ ッ ク 回 路 に 挿 入している.. 2.5. 実験方法と実験結果. 図 2.14 に , 図 中 の 赤 い 線 で プ ロ ッ ト さ れ た ス テ ッ プ 状 の 入 力 電 圧 に 対 す る ケ イ 素鋼板円筒の立ち上がりのステップ応答を示す.制御回路の入力用のステップ応 答 は 図 2.12 で 示 し た 信 号 発 生 用 の 計 算 機 か ら 出 力 さ れ る . 図 中 の 青 い 線 は , 電 流 アンプへの入力電圧(制御電圧)であり,最初は僅かに振動しているが,立ち上 がり目標値まで素早く到達している.アルミニウム合金製のリング位置で測定し. -23-.

(29) たケイ素鋼板製円筒部の応答は,入力が大きくなる瞬間に振動した.その振動の 周 波 数 は , 図 2.3 で 示 し た エ ン ド ミ ル の 固 有 振 動 数 と ほ ぼ 一 致 し た . 図 2.14 か ら , 振 動 的 で あ る が , ス テ ッ プ 応 答 の 立 ち 上 が り 時 間 は 約 1msec で あ っ た . 図 2.15 の 赤 い 線 は , ス テ ッ プ 入 力 に 対 す る エ ン ド ミ ル 下 部 の 立 ち 上 が り の ス テ ッ プ 応 答 で , 入 力 が 大 き く な る 瞬 間 で 大 き く 振 動 し , そ の 振 動 の 周 波 数 は , 図 2.3 で示したエンドミルの固有振動数とほぼ一致した.以上のことから,ステップ入 力により駆動されるケイ素鋼板円筒によってエンドミルの振動は誘起され,エン ドミルの下部は拘束されていないため,その振動は自由振動のように挙動する. 図 2.15 か ら , 応 答 は 大 き な 振 動 を 伴 っ て い る が , 立 ち 上 が り 時 間 は 約 2msec で あ り , 図 2.11 で 示 し た 象 限 突 起 の 増 加 時 間 ( 12ms ) よ り 十 分 短 い . こ れ は , PID 制 御 器 を 持 っ た ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 が , 図 2.11 に 示 す よ う な 象 限 突 起 に よ っ て 発 生 す る加工誤差を補正するために十分に速い応答性を有していること示している. 図 2.16 の 赤 い 線 は , ス テ ッ プ 入 力 に 対 す る エ ン ド ミ ル 下 部 の 立 ち 下 が り の ス テ ップ応答の実験結果で,入力が小さくなる瞬間に,立ち上がりのときと同様に大 き な 振 動 を 示 し た . 図 2.16 か ら , 応 答 は 大 き く 振 動 す る が , 応 答 の 立 下 り 時 間 は 約 3ms で あ り , 応 答 時 間 は , 図 2.11 に 示 す 象 限 突 起 の 減 少 時 間 ( 25ms ) よ り 十 分 に短い. 図 2.17 の 黒 い 線 で 示 す 象 限 突 起 の 入 力 信 号 が , PID 制 御 器 を も つ ハ イ ブ リ ッ ド 主軸に入力された場合のエンドミル下部の応答の測定結果である.象限突起用の 入力信号は,ステップ応答の時と同様に信号発生用の計算機から出力されるが, 図 2.11 の 象 限 突 起 の 大 き さ は , 図 2.14 と 図 2.15 に 示 す 入 力 電 圧 の ス テ ッ プ と 変 位 の関係を用いて入力電圧に換算した.赤い線で示したエンドミル下部の応答は, 象 限 突 起 の 入 力 信 号 ( 黒 い 線 ) の 形 状 に ほ ぼ 追 従 し て い る が , 約 2ms の 遅 れ を 生 じ , 提 案 し た 装 置 に よ っ て 補 正 さ れ た 最 終 的 な 加 工 面 は , 図 2.17 に 示 す 実 応 答 と 象 限 突 起 の 入 力 信 号 と の 差 ( 青 い 線 ) と な る . 従 っ て , PID 制 御 器 を も つ ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 に よ り , 象 限 突 起 よ る 7μm の 誤 差 が 1μm に 減 少 し た . さ ら に , 0.19s 以. -24-.

(30) 降に発生しているアンダーカットの誤差も減少した.. 2.6. 結言. 工作機械の送り軸の運動によって引き起こされる象限突起を,エンドミルの近 く に PID 制 御 器 で 制 御 さ れ る 磁 気 軸 受 と , も う 一 方 の 端 に 玉 軸 受 を 持 つ ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 を 用 い て 補 正 す る 方 法 を 提 案 し た . 提 案 し た 方 法 に よ り , 最 大 7μm あ っ た 象 限 突 起 に よ る 加 工 誤 差 は 1μm に 減 少 し , さ ら に ア ン ダ ー カ ッ ト の 加 工 誤 差 も 減少した.. -25-.

(31) Hybrid spindle system Spindle motor. Ball bearing Spindle Active magnetic bearing. Workpiece Table (coarse move). End mill (fine move). Ball screw. Servo motor. Fig. 2.1 Conceptual diagram of proposed compensation method of quadrant glitch. -26-.

(32) Spindle head (as rolling bearing) Tool holder (as spindle) Active magnetic bearing Silicon steel cylinder Coil Gap sensor End mill Fig. 2.2 Model experiment device for hybrid spindle system. -27-.

(33) Compliance ( m/N) Phase (deg). 10 8. 590Hz. (a) Compliance. 6. 1240Hz. 4. 625Hz. 2 0 0 -45 -90 -135 -180 -225 -270 -315 -360 250. (b) Phase. 500. 750 1000 Frequency (Hz). 1250. 1500. Fig. 2.3 Frequency response function of silicon steel cylinder of quadrant glitch system. -28-.

(34) 150 F = 3.503x + 1.501. Load F [N]. 100 50 0 -50. -10. 0. 10. 20. 30. Deflection of cylinder x [ m] Fig. 2.4 Stiffness of spindle at silicon steel cylinder. -29-.

(35) Current AMP. Fig. 2.5 Arrangement of electromagnetic coils. Fig. 2.6 Conceptual diagram of electromagnet device. -30-.

(36) Coil current i [A]. 4. i = 2.79 ( 1 - e -249 t ). 3 2 1 0 0.0. Experimental Calculation 0.5 Fig. 2.7. 1.0. Time t [ms]. 1.5. Step response current of magnetic coil. -31-. 2.0.

(37) Fig. 2.8 Conceptual diagram of active magnetic bearing with half wave pass circuit. Fig. 2.9 Experimental apparatus for the measurement of the relationship between the electromagnetic force and the current. -32-.

(38) Spindle deflection x [ m]. 60 40 20. without bias (I0 = 0 A) with bias (I0 = 3 A) i. 0 i- I 0. -20 -40 -60 -12. -8. -4. 0. 4. 8. 12. Current [A]. Height of quadrant litch [ m]. Fig. 2.10 Relationship between the tool displacement and the pulsed input. 12 8. 25 ms. 12 ms. 4 0 0.12. 0.16 0.20 Time [s]. 0.24. Fig. 2.11 Quadrant glitch that occurred on the X-axis with the X–Y table moving in a circular motion -33-.

(39) Table 2.1 Gains of PID controller. Type of controller. KP [V/m]. KI [V/(m・s)]. KD [V・s/m]. PID. 2.79. 190. 0.0013. Spindle head X Current AMP -. Bias. Current AMP +. LPF (500Hz). Shift circuit (Amp). PID control circuit Switch circuit. Gap sensor Laser displacement sensor LPF. PC for measurement. PC for signal generation. Bias. Fig. 2.12 Experimental control system of the active magnetic bearing with PID control. -34-.

(40) AMP. PID +. Kr. C. e. Ki. i. ―. K EM. f EN. LPF (500Hz). Ks. AMP. x. G. H. Sensor. Fig. 2.13 Block diagram of the controller of the active magnetic bearing with PID control. 2.0. Input voltage of current amplifier. 8. 1.6. 6. 1.2. 4. 0.8. 2. 0.4 Input voltage of system. 0 -2 0.40. Displacement of silicon steel cylinder response. 0.42. 0.44 0.46 Time [s]. 0.48. Fig. 2.14 Rising step response of the silicon steel cylinder. -35-. 0.0 -0.4. 0.50. Voltage [V]. 10 Displacement [ m]. r.

(41) 8. 0.5. 6. 0.4. 4. 0.2. 2. 0.1. 0. 0.0. Input voltage of system Displacement of end mill response. -2 0.40. 0.42. 0.44 0.46 Time [s]. 0.48. Voltage [V]. 0.6. Displacement [ m ]. 10. -0.1 0.50. Fig. 2.15 Rising step response of the lower end of the end mill. Input voltage of system Displacement of end mill response. 8. 0.6 0.5. 6. 0.4. 4. 0.2. 2. 0.1. 0. 0.0. -2. -0.1. 0.50. 0.52. 0.54 0.56 Time [s]. 0.58. Fig. 2.16 Falling step response of the lower end of the end mill. -36-. 0.60. Voltage [V]. Displacement [ m ]. 10.

(42) Height [ m ]. 12. 8. Input quadrant glitch signal End mill response Estimated surface with compensation 7 m. 4 1 m 0 0.12. 0.16. 0.20. 0.24. Time [s] Fig. 2.17 Response of the hybrid spindle system with PID control to an input signal of a quadrant glitch. -37-.

(43) 第3章. ハイブリッド主軸を用いた 小径エンドミル工具の コンプライアンスの制御. 3.1. 諸. 言. びびり振動の絶対安定限界は,振動系のコンプライアンスを G としたとき,次 式 で 表 さ れ る (16) . =−. 1 2 Re[ ]. 上式は安定限界での切り込み深さ の切り込み深さ. の理論式であり , 安定な切削が行える最大. は , 振 動 系 の コ ン プ ラ イ ア ン ス の 実 部 の 極 小 値 Re[ ]. によ. って決まることを意味している.小径エンドミル加工におけるびびり振動の発生 を低減することを目的とした研究において,びびり振動の絶対安定限界に大きく 影響するエンドミル工具のコンプライアンスに着目したものはほとんどない. 本研究においては, 2 章で提案した両端を転がり軸受と制御磁気軸受で支持さ れるハイブリッド主軸を用い,状態フィードバック制御を用いて制御磁気軸受の 電磁力により,小径エンドミル先端の動的コンプライアンスを制御する方法を提 案し,その有効性を理論計算により示す.. 3.2. ハイブリッド主軸システムの概要と特徴. 図 3.1 に 著 者 ら が 提 案 し た ハ イ ブ リ ッ ト 主 軸 の 概 略 図 を 示 す . ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 は両端を軸受で支持されているが,上部の転がり軸受により片持ちはりの状態で 支えられ,補助的に下部の制御磁気軸受で支えられている.従って,制御磁気軸 受の電磁力によって主軸の運動制御,主軸に取付けられたエンドミル工具などの 回転工具の運動制御が容易にできる構造になっている.. -38-.

(44) 3.3. ハイブリッド主軸システムのモデル実験機. 3.3.1. 構造と工具系の自由振動特性. 図 3.2 は , ハ イ ブ リ ッ ド 主 軸 の 実 証 用 に 製 作 し た モ デ ル 実 験 機 の 概 略 図 で あ る . 工作機械の主軸の転がり軸受をハイブリッド主軸の上方の転がり軸受,首下の長 さ 60mm , 外 径 21mm の BT30 の ツ ー ル ホ ル ダ を 主 軸 と 見 做 し た 構 造 に な っ て い る . また図 2 の破線の枠で囲んだツールホルダの下方に制御軸受を取付けてある.制 御 磁 気 軸 受 の 電 磁 力 を 受 け る ケ イ 素 鋼 板 円 筒 は 外 径 32mm , 長 さ 30mm で , ツ ー ル ホ ル ダ の 下 端 か ら 7mm の 位 置 で ツ ー ル ホ ル ダ に 固 定 さ れ て い る . エ ン ド ミ ル 工 具 は 直 径 6mm , 突 き 出 し 長 さ 60mm で , ツ ー ル ホ ル ダ に 近 い 位 置 に ケ イ 素 鋼 板 円 筒の変位を検出するためのアルミ合金製のリングが取付けられている. 図 3.3 は , 図 3.2 に 示 し た ケ イ 素 鋼 板 円 筒 部 の 周 波 数 応 答 関 数 で , 円 筒 部 の 打 撃 試 験 に よ っ て 求 め た . 図 3.3 の 上 図 は コ ン プ ラ イ ア ン ス で , 2 箇 所 で ピ ー ク が 見 ら れ る . 表 3.1 は 工 具 系 の モ ー ダ ル パ ラ メ ー タ で , コ ン プ ラ イ ア ン ス の ピ ー ク 近 傍 で の 周 波 数 応 答 か ら 求 め た . ま た 表 3-2 は モ ー ダ ル パ ラ メ ー タ か ら 求めた工具系の自由振動のパラメータである.. 3.3.2. 工具系の運動方程式と状態方程式. 図 3.4 は 制 御 磁 気 軸 と エ ン ド ミ ル 工 具 の 概 念 図 で , 図 中 の 量,. はエンドミル工具下端での加振力 ,. は振動変位,. は質. はケイ素鋼板円筒部に作用する電磁. 力である.また添字の 1 はケイ素鋼板の円筒部,添字の 2 はエンドミル工具先端 の パ ラ メ ー タ で あ る こ と を 示 し て い る . 図 3.5 は 図 3.4 で 示 し た 工 具 系 の 力 学 モ デ ル で,. はばね定数,. は 減 衰 係 数 で あ る . よ っ て , 図 3.4 の 力 学 モ デ ル か ら 式 (3-1). で示される運動方程式が得られる. ̈ =. ̈ =. −. −. (. +. −. (. −. )−. )−. ̇ +. ( ̇ − ̇ ). ( ̇ − ̇ ). -39-. (3-1).

(45) よ っ て , 式 (3-1) か ら 状 態 方 程 式 (3-2) が え ら れ る . ま た 出 力 方 程 式 は 式 (3-3) と す る. ( ). =. ( )+. ( )=. ⎡ ⎢− =⎢ ⎢ ⎢ ⎣. ( )=. ( )= 3.4. ̇. =. ( )+. ( ). (3-2). 0 ⎡1⎤ ⎢ ⎥ = ⎢ ⎥, ⎢0⎥ ⎣0⎦ ̇. 0. +. −. 0. 1. 0. 0. 0. + −. ( )=. , ( ). = [0 0 1 0]. 0 ⎡0⎤ ⎢ ⎥ =⎢ 0 ⎥ ⎢1⎥ ⎣ ⎦ 0. ⎤ ⎥ ⎥ 1 ⎥ − ⎥ ⎦. (3-3). 状態フィードバック制御. 3.4.1. 周波数応答関数. 状態フィードバック制御の理論によれば,磁気軸受の電磁力により工具系を制 御することにより,エンドミル工具先端でのコンプライアンスを制御することが で き る . よ っ て , 式 (3-2) で 示 し た 状 態 方 程 式 に お い て ( ) = − (3-4) が 得 ら れ る . ( ). =. =. =. ( )+. ( )+. {−. ( ). ( )} +. ( ). (3-4). −. -40-. ( ). と置けば,式.

(46) =[. ]. ここで,. は フ ィ ー ド バ ッ ク ゲ イ ン で あ る . よ っ て , 式 (3-3) の 出 力 方 程 式 と 式. (3-4) の 状 態 方 程 式 を フ ー リ エ 変 換 す れ ば , 式 (3-5) の 周 波 数 伝 達 関 数 が 得 ら れ る .. (. ( ) = ( ( ). )=. − ). (3-5). ま た , 本 状 態 フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 系 の ブ ロ ッ ク 線 図 を 図 3.6 に 示 す .. 3.4.2. 極配置法によるコンプライアンスの設計. 状態フィードバック制御を行っていない場合のシステムの特性方程式の根は, 式 (3-2) で 示 し た シ ス テ ム 行 列. |. + +. +. − |= +. 1 1. 1. ( (. (. −. +. −1. +. 0. +. −. +. ) +. +. の固定値として得られる .. +. 0. 0. +. +. 0 −1. ). =0. + ). (3-6). よ っ て , 式 (3-6) に 表 3-2 に 示 し た 工 具 系 の 自 由 振 動 の パ ラ メ ー タ を 代 入 す れ ば 特 性方程式の根. ~. の値は以下のようになる .. ,. = −36.32 ± 4019. ,. = −46.98 ± 3622. 状 態 フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 を 掛 け た と き の シ ス テ ム の 状 態 方 程 式 は 式 (3-5) で あ り , シ ス テ ム 行 列 は 式 (3-6) と な る . 式 (3-5) の 特 性 方 程 式 の 根 は , 式 (3-6) の 固 有 値 と し て 与 え ら れ る . よ っ て , 固 有 値 は|. −( − -41-. )| = 0. の根である..

(47) ⎡ ⎢− ⎢ ⎢ ⎢ ⎣. 0. 0 0 0 0 0 0 − 0 0 0 0 0 0 1. 0. 0. +. −. 0 ⎡1⎤ ⎢ ⎥ +⎢ ⎥[ ⎢0⎥ ⎣0⎦. ここで,定数項を. +. = = = =. 1 1 1 1. +. +. (. +. 0. ⎤ ⎥ ⎥ −1 ⎥ = 0 − ⎥ ⎦. − ] s~. ,また. は以下のようになる.. +. 0. s+. +. =0. の係数をそれぞれ ~. (3-7) ). (. +. +. +. +. (. +. +. +. +. (. +. +. 表される. −(. +( −(. +. +. + +. +. ). + +. +. ,. ,. +. ~. ,. ) +. ). の値により,特性方程式の根の値は変わ. を根とする4次の代数方程式は,次のように. +. +. )+. +. 制御系の特性根を任意の固有値. +. ). +. よって , 状態フィードバック係数 る.一方,4つの固有値. とおくと,特性方程式. ,. ,. ,. ). =0. (3-8). と す る た め に は , 式 (3-7) の 各 項 の 係 数 が. 対 応 す る 式 (3-8) の 係 数 に 一 致 し な け れ ば な ら な い . よ っ て , 次 の 連 立 方 程 式 が 得. -42-.

(48) られる. =. = −( =. = −(. 0. +. +. +. +. +. +. + ). +. +. +. +. ). (3-9). 状 態 フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 を 行 っ て い な い 場 合 の シ ス テ ム の 特 性 方 程 式| の特性根のうち,. ,. と の 虚 部 の 値 は 4019 rad/s で あ り , 約 640Hz に な る .. よ っ て , 表 1 に 示 し た エ ン ド ミ ル 工 具 の 固 有 振 動 数 625Hz に 近 い の で , ンドミル工具の固有振動数に対応する根になると考えられる.一方, の値は減衰に対応するので,特性根λ 特性根λ. , ,. 3,4. ~. ,. 1,2. の値は,. の値のままとした.. ,. ,. ,. はエ の実部. の実部を 3 倍にした値とし,. = −109.0 ± 4019. = −46.98 ± 3622. よって,λ して. の値は,. − |=. =[. 1,2. とλ. 3,4. の 値 を 式 (3-9) に 代 入 し , 得 ら れ た t0 ~ t3 の 値 を 式 (3-7) に 代 入. について解けば,状態フィードバック係数 ] = [24363 203.36. が得られる.. −11798 −30.32]. 図 3.7 は , 得 ら れ た 状 態 フ ィ ー ド バ ッ ク 係 数 K の 値 と , 表 3-2 示 し た 工 具 系 の 自 由 振 動 の パ ラ メ ー タ を 式 (3-5) に 示 し た 周 波 数 応 答 関 数 の 計 算 式 に 代 入 し て 求 め た コ ン プ ラ イ ア ン ス |Ga| で , 図 中 に は 赤 い 曲 線 で 示 し て あ る . ま た 図 3.7 に は 比 較 の た め , 状 態 フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 を 行 わ な い 場 合 の コ ン プ ラ イ ア ン ス |Gb| が 黒 い 曲 線 で 示 し て あ る が , エ ン ド ミ ル 工 具 の 固 有 振 動 数 に 対 応 す る 約 640 H z の |Gb| の ピ ー ク 値 は , 状 態 フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 を 行 う こ と に よ り , 約 1/3 に 低 下 し た . こ れは,エンドミル工具に対応する特性方程式の根の実部の値を 3 倍とし,極配置 法で状態フィードバック係数 K を求めたことと対応している.従って,エンドミ. -43-.

(49) ル工具の任意のコンプライアンス特性は,極配置法で特性方程式の根を任意のコ ンプライアンス特性に対応して決め,状態フィードバック係数を求めれば得られ ることになる. 図 3.8 は , 得 ら れ た 状 態 フ ィ ー ド バ ッ ク 係 数 K の 値 と , 表 3-2 示 し た 工 具 系 の 自 由 振 動 の パ ラ メ ー タ を 式 (3-5) に 代 入 し て 得 ら れ た 周 波 数 応 答 関 数 の 実 部 Re[Ga] で , 図 中 に 赤 い 曲 線 で 示 し て あ る . ま た 図 3.7 に は 比 較 の た め , 状 態 フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 を 行 わ な い 場 合 の 周 波 数 応 答 関 数 の 実 部 Re[Gb] が 黒 い 曲 線 で 示 し て あ る が , エ ン ド ミ ル 工 具 の 固 有 振 動 数 に 対 応 す る 約 640Hz の Re[Gb] の 極 小 値 は , 状 態 フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 を 行 う こ と に よ り , 約 1/3 に な っ た . こ れ は , 再生びびり振動の理論によれば,再生びびり振動の発生限界が約 3 倍になるこ と を 意 味 し て い る . ま た 図 3.7 で は , エ ン ド ミ ル 工 具 の 固 有 振 動 数 に 対 応 す る コ ン プ ラ イ ア ン ス の ピ ー ク 値 は 約 1/3 に 低 下 し た が , ケ イ 素 鋼 板 円 筒 部 の 固 有 振 動 数 に 対 応 す る 約 580Hz で の ピ ー ク 値 は 逆 に 増 加 し , エ ン ド ミ ル に 対 応 す る 約 640Hz で の ピ ー ク 値 よ り も 大 き く な っ た . し か し , 図 3.8 に 示 し た よ う に 約 580Hz で の 極 小 値 は , 約 640Hz で の 極 小 値 よ り 絶 対 値 は 小 さ い た め , 約 580Hz で再生びびり振動は発生しない.. 3.5. 結. 言. エンドミル工具から遠い軸受は転がり軸受,近い軸受は制御磁気軸受で支持さ れるハイブリッド主軸を用い,制御磁気軸受の電磁力による状態フィードバック 制御で小径エンドミリのコンプライアンス制御の理論計算を行い,以下の結果が 得られた. (1). 工具系は,制御磁気軸受のケイ素鋼板円筒部と小径エンドミル先端に等価集. 中質量を持つ2自由度振動系で近似できることを示した.. -44-.

(50) (2). 小径エンドミル工具のコンプライアンスの特性は,制御磁気軸受の電磁力に. よる状態フィードバック制御を行う制御システムの特性方程式の根を任意の値に 設定することにより,変えられることを理論計算により示した. (3). 状態フィードバック制御を行う制御システムの特性方程式の任意の根の値. は,極配置法により状態フィードバック係数を求めることで,簡便に得られるこ とを示した. (4). 小径エンドミル工具を持つハイブリッド主軸に状態フィードバック制御を適. 用した理論計算より,状態フィードバック制御を行わない場合の小径エンドミル 工 具 の 固 有 振 動 数 付 近 に 対 応 す る 周 波 数 応 答 関 数 の 実 部 の 極 小 値 が 約 1/3 な り , 再生びびり振動の発生限界が約 3 倍になること示した.. -45-.

(51) Spindle motor. Ball bearing Spindle Active magnetic bearing. Rotary tool (End mill) Fig. 3.1. Schematic of proposed hybrid spindle system with ball and active magnetic bearings. Spindle head (as rolling bearing) Tool holder (as spindle) Active magnetic bearing Silicon steel cylinder Coil Aluminum ring End mill Fig.3.2. Schematic of model experiment device for hybrid spindle system. -46-.

(52) Table 3.1. Modal parameters of end mill system. Silicon steel cylinder End-mill at bottom end. Table 3.2. End-mill at bottom end. Compliance ( m/N). 590 Hz 1.5% 15 % 625 Hz 0.7 %. Free vibration parameters of end mill system. Silicon steel cylinder. Phase (deg). Natural frequency Damping ratio Natural frequency Damping ratio. Mass Spring constant Damping coefficient Mass Spring constant Damping coefficient. 1.4 kg 155.7 0.01. 155.7 0.55. 10 8 6 4 2 0 0 -90. -180 -270 -360 200. Fig. 3.3. 400. 600 Frequency (Hz). 800. 1000. Frequency response function of spindle at silicon steel cylinder. -47-.

(53) Spindle head. Electromagnet. Tool holder (spindle) Silicon steel cylinder(m1). fa. x1 End-mill(m2). f2 Fig. 3.4. x2. Schematic of active magnetic bearing and end mill system function (Simulation). Fig. 3.5 Dynamic model of spindle with magnetic bearing and end mill. -48-.

(54) Fig. 3.6 Dynamic model of hybrid spindle with end-mill. -49-.

(55) Compliance. m/N. 400. K a= [24363 20 3.36 -11798 -30.32] K b= [0 0 0 0]T. 300. T. |G | b. 200. |G a |. 100 0 300. 400 Fig. 3.7. 200. 500 600 Frequency H z. 700. Compliance at lower end of end mill. Ka=[24 63.3 203.36 -11798.1 -30.32] T Kb=[ 0 0 0 0 ]. 150. 800. T. Re[G]. 100 50 0. Re[G a ]. -50 -100. Re[G b]. -150 -200 300. Fig. 3.8. 400. 500 600 Frequency H z. 700. 800. Real part of frequency transfer function of end mill at lower end. -50-.

(56) 第4章. 結論. 本研究は,産業を支えている工作機械に関する研究であり,工作機械の中でも 今後ますます需要が高まることが見込まれるマシニングセンタ(工具が回転しな がら切削加工する自動化に対応した機械)が抱える問題のうち,小径エンドミル 加工における象限突起とびびり振動と呼ばれる生産性と加工精度を劣化させる問 題を低減することを目的とした.問題の解決方法として,転がり軸受と磁気軸受 で支持されるハイブリッド主軸を提案し,ハイブリッド主軸のモデル実験機を用 いて,実験また理論計算により磁気軸受の電磁力の制御による象限突起の低減と びびり振動の抑制の有効性について検討を行った. 第 2 章では,象限突起の発生メカニズムが送り軸に内在する摩擦と送り軸の剛 性に依存した応答遅れ(ロストモーション)であり,その摩擦や剛性は環境変化 や送り軸の可動部品の磨耗により変動する特徴に着目した.そこで,送り軸の応 答遅れを送り軸とは関係のない主軸にて,非接触(摩擦のない状態)で位置制御 が行える制御磁気軸受によりエンドミルの切削点を直接制御し,且つ加工に必要 な剛性を得るため,エンドミルと遠い軸受は既存の転がり軸受を残したハイブリ ッド主軸を提案した.このハイブリッド主軸のモデル実験機を用い象限突起の低 減に対する有効性を実験にて検証し,一般的なマシニングセンタに採用されてい る転がりガイドとボールねじで構成される送り軸において,高加速度な円運動時 (1.78m/sec2 : F = 8000mm/min, 直 径 20mm) で 発 生 し て い る 最 大 7μm あ っ た 象 限 突 起 が 1μm に 減 少 す る こ と を 示 し た . ま た , ア ン ダ ー カ ッ ト の 誤 差 に 対 し て も 低 減 で き ることを確認した.従来の研究では,送り軸の摩擦と剛性の変化への対応が課題 であったが,常に送り軸の誤差を,送り軸とは独立したハイブリッド主軸により 低減することで,抜本的に且つ高精度に象限突起を補正できることを示した.. -51-.

(57) 第 3 章では,びびり振動の問題に対し,工具系のびびり振動の原因となってい るコンプライアンスを抑制し,振動振幅を十分許容できる方法として,エンドミ ル工具から遠い軸受は転がり軸受、近い軸受は制御磁気軸受で支持されるハイブ リッド主軸を適用し,制御磁気軸受の電磁力による状態フィードバック制御で小 径エンドミルのコンプライアンスを制御する方法を提案した.極配置法により状 態フィードバック制御のフィードバック係数を求めることで,小径エンドミル工 具のコンプライアンスの特性を任意に変えられることを理論的に示した . そし て,ハイブリッド主軸のモデル実験機のモデルを用いた理論計算により,小径エ ンドミル工具の固有振動数付近に対応する周波数応答関数の実部の極小値が約 1/3 な り , 再 生 び び り 振 動 の 発 生 限 界 が 約 3 倍 に な る こ と を 示 し た . 以上の結果から,本研究の成果はマシニングセンタの高精度化,高能率化に寄 与し,最終的には工業製品の生産性向上,生産コスト削減,性能向上に貢献でき ると考える.. -52-.

(58) 参考文献 (1). 日 本 の 工 作 機 械 産 業 2018, 日 本 工 作 機 械 工 業 会 , 2018.. (2). 工 作 機 械 業 界 の 現 状 と 今 後 の 展 望 , Mizuho Industry Focus, Vol.180, 2016.. (3). 佐藤隆太,寺島義道,堤正臣 , 微小変位領域の摩擦特性を考慮した象限突起 補 償 器 , 精 密 工 学 会 誌 , 2008, 74, pp. 622-626.. (4). 岩 下 平 輔 , サ ー ボ 制 御 装 置 , 日 本 国 特 許 第 2664432 号 , 1988.. (5). 岩下平輔,河村宏之,湯志,サーボモータ駆動制御装置 , 日本国特許第 3805309 号 , 2003.. (6). 樋口拓郎,真鍋佳樹,佐藤隆太,堤正臣 , NC工作機械の運動精度向上に関 する研究 — トルク変化に対応する自律形象限突起補償器の開発 — , 精密工学 会 誌 , 2010, 76, pp.535-540.. (7). H. Itagaki, M. Tsutsumi and H. Iwanaka, Improvement of Response Characteristics of Linear Motor Servo Systems Using Virtual Friction, Proceedings of International Conference on Leading Edge Manufacturing in 21st century: LEM21 2011(6), "3344-1"-"3344-6", 2011-11-08.. (8). 樋口拓郎,国貞宏通,国井嘉仁,佐藤隆太,堤正臣 , マシニングセンタの円 弧 補 間 運 動 に お け る 二 山 象 限 突 起 の 補 正 , 日 本 機 械 学 会 論 文 集 C 編 , 2012, 78, pp.1211-1220.. (9). Z.Jamaludin, H. van Brussel and J. Swevers, Tracking performances of cascade and sliding mode controllers with application to a XY milling table, PROCEEDINGS OF ISMA2006, 2006, pp.81-92.. (10) Z. Jamaludin, H. Van Brussel, G. Pipeleers and J. Swevers, Accurate Motion Control of XY High-Speed Linear Drives using Friction Model Feedforward and Cutting Forces Estimation, CIRP Annals. Manufacturing Technology, 2008, 57, pp.403-406. (11). N.A Rafana, Z. Jamaludina, T.H Chiewa , L. Abdullaha and M.N. Maslana, Contour error analysis of precise positioning for ball screw driven stage using friction model feedforward, Procedia CIRP, 2015, 26, pp.712-717.. -53-.

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