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地域博物館における来館者の利用状況と意向に関する研究 その2

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Academic year: 2022

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A Study on the Users’ Conditions and the Intention at the Local Art Museum ISHIKAWA Hiroyuki -A Case Study of the Hachinohe City Art Museum-

地域博物館における来館者の利用状況と意向に関する研究 その2

─八戸市美術館を事例として─

正会員 ○石川宏之*

地域美術館 利用者 利用圏域 リピーター 立ち寄り場所 美術書の所持数

1.研究の目的と方法

今日の地域美術館は、地域住民のアイデンティテ ィの形成を図り、衰退した中心市街地を活性化する 新たな集客施設としての役割を期待されている。こ れまでの既往研究として、美術館の展示方式とその 構成に関する研究1)や、美術館の展示壁面の配置 方法と利用者の評価に関する研究2)などが見られ る。

本研究では、地域美術館における市民の利用状況 と意向を捉えリピーターを増やし、中心市街地を活 性化するための手がかりを得ることを目的とする。

研究方法として、先ず美術館における利用者の属 性を把握し、利用者の要望と立ち寄り状況を捉える。

調査対象は八戸市美術館3)とする。2006 年 10 月 31 日~11 月 5 日の期間に、八戸市美術館利用者に 対してアンケート調査を実施した。回答者数は 325 人で、その概要は以下の通りである4)

表1 回答者の属性 (単位:人)

若年層 29 歳以下

中年層 30~59 歳

高年層

60 歳以上 合計

合計 25 141 159 325

割合 8% 44% 48% 100%

2.美術館利用者の属性及び要望

2.1 利用者の属性と美術館の利用回数

図1から利用圏域をみると、美術館を中心として 遠くなるほど利用者数は減少する。年齢層でみると、

八戸市北部を除く4つの地域において高年層の占め る割合が大きい。また、図2から美術館への交通手 段をみると、高年層は、自動車の他にバスを利用す る割合が大きい。このことから、高年層は、公共交 通の良し悪しで美術館の利用に大きく影響されると 考えられる。

図3から3年間における美術館の利用回数をみる と、2~3回と回答した利用者が最も多く、4回以 上の利用者数は 148 人と全体の5割弱がリピーター である。しかし年齢層別にみると、利用回数が多く なるほど高年層の利用者の占める割合が大きくなる。

図4から利用者が持っている美術書の冊数との関係 をみると美術館の利用回数が増えるにつれて多く美

図 1 利 用 者 の 利 用 圏 域

* 円 の大 き さ は美 術 館 に 訪 れた 利 用 者 数 を表 す 。

0 50 100 150 200

自動車 徒歩 バス 電車 タクシー 自転車 その他

      人 若年層 中年層 高年層

図2 美術館への交通手段

0 20 40 60 80 100 120 6回以上

4~5回 2~3回 1回 今回初めて来館(新規)

       人 若年層 中年層 高年層

図3 3年間における美術館の利用回数

―123―

5062

日本建築学会大会学術講演梗概集

(九州) 2007年 8 月

(2)

*八戸工業大学工学部建築工学科講師

博士(工学)

*Lecturer, Dept.of Architectural Engineering, Faculty of Engineering, Hachinohe Institute of Technology, Dr. Eng.

術書を持っている人の割合が大きくなり、リピータ ーであることが分かる。よって高年層で多くの美術 書を持っている人がリピーターになると思われる。

2.2 利用者の要望

図5から美術館へ来館するにあたっての要望をみ ると、駐車場を増やしてほしいという回答が最も多 い。続いて市の広報や新聞・テレビなどで常設展、

特別展について宣伝を増やしてほしいという回答が 多く、中年層の占める割合も大きい。以上のことか ら利用者は美術館に対する車でのアクセスの改善と 美術館の催しについて多様な情報提供を望んでいる。

図6から美術館の施設に関する要望をみると、

「常設展示室を広げてほしい」が最も多い。年齢層 別にみると、高年層は「軽食をとれるレストランが ほしい」の占める割合が大きいことから、喫茶的な 場所で休憩し、展示について語り合える場所を望ん でいると思われる。

2.3 利用者の立ち寄り状況

図7から利用者の立ち寄り場所をみると、八戸市 中心市街地に立ち寄る利用者が全回答者の約 50%

という結果が得られ、八戸市美術館利用者は近隣の デパート等への立ち寄ることがわかる。

3.まとめ

これまで地域美術館の利用者の属性及び要望をみ てきて3点が指摘できた。

①美術館に近い地域ほど利用者数が多い。高年層の 多くはリピーターで、公共交通によるアクセスの良 し悪しに影響される。また美術書の所持数が多い利 用者ほどリピーターになっている。

②リピーター増やすためには、中年層では駐車場を 増やすことや展示室を広げること、高年層にはレス トランを設けることが必要である。

③利用者の多くは、中心市街地のデパートへ立ち寄 っていることから、リピーターを増やすために近隣 デパートに展覧会の案内ポスターなどの掲示が重要 である。

以上のことから八戸市美術館は、施設面の改善は もちろんのこと、中心市街地に立ち寄っている利用 者が多いことから、近隣デパートと共同で展覧会を 開くなどの積極的な活動を行うことでリピーターを 確保し、中心市街地に訪れる人が増え、八戸市中心 市街地活性化につながると考えられる。

謝辞 本研究をまとめるにあたり沢田聖君(元八戸工業大学卒業 研修生)に担うところが大きい。ここに記して感謝の意を表する。

0 20 40 60 80 100

今回初めて(新規)

1回 2~3回 4~5回 6回以上

      人 0冊 10冊未満 50冊未満 50冊以上

図4 美術書の所持数と利用回数

0 20 40 60 80 100 120 140 駐車場を増やしてほしい

市の広報や新聞・テレビなどで常設展(コレク ション展)の宣伝を増やしてほしい 市の広報や新聞・テレビなどで特別展の宣伝

を増やしてほしい 市の広報や新聞・テレビなどで市民ギャラリー

の宣伝を増やしてほしい 美術館までの案内表示を増やしてほしい 市の広報や新聞・テレビなどで講座(水彩画・

油絵講座、銅版画教室)の宣伝を増やしてほ 美術館ボランティア活動について紹介してほ

しい

その他

       人 若年層 中年層 高年層

図5 来館にあたっての要望

0 20 40 60 80 100 120 140 常設展示室を広げてほしい

軽食をとれるレストランがほしい 企画展示室を広げてほしい 市民の作品を発表する展示室がほしい 美術館の商品や書籍を購入できるミュージアム

ショップがほしい パソコンで作家の情報を得られる設備がほしい

図書室を充実してほしい アトリエを充実してほしい 講義室を充実してほしい その他

      人

若年層 中年層 高年層

図6 施設面に関しての要望

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 八戸市中心市街地(さくら野、三春屋、

レック、チーノなど)

自宅から、または自宅へ 八戸市にある他の公共施設 八戸市近郊にあるデパート(ラピア、ピア

ドゥなど)

仕事場から(八戸市中心市街地)

八戸市郊外にあるデパート(下田ジャスコ など)

仕事場から(八戸市郊外)

その他

       人

若年層 中年層 高年層

図7 利用者の立ち寄り場所

補注

1)林采震・栗原嘉一郎:美術館における展示方式の構成とその 特性:日本建築学会計画系論文集第 421 号 1991 年 3 月 pp63~68.

2)仙田満・他3名:美術館展示室の建築計画的研究:日本建築 学会計画系論文集第 517 号 1999 年 3 月 pp145~149.

3)1986 年に八戸市は、大蔵省から旧八戸税務署跡地建物等の 買い入れ、改築工事を行い、八戸市美術館として開館させた。

4)調査期間中に特別展「京の四季」が催され、調査期間の入館 者数は 514 人で、回答者数は 325 票(回収率 63%)であった。

―124―

参照

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