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米子市公共用地等問題検討委員会
本庁舎部会報告書
平成23年9月
企 画 部 企 画 課
米子市淀江地域審議会 平 成 2 3 年 9 月 2 6 日 企 画 部 企 画 課1 米子市公共用地等問題検討委員会本庁舎部会報告書目次 1 はじめに ・・・・・・・・・・・・2 2 現在の庁舎を継続して使用する場合について ・・・・・・・・・・・・2 (1) 位置について ・・・・・・・・・・・・2 (2) 施設の状況について ・・・・・・・・・・・・3 ア 本庁舎及び第2庁舎の概要 ・・・・・・・・・・・・3 イ 建築物の耐久性について ・・・・・・・・・・・・4 ① 耐用年数について ・・・・・・・・・・・・4 ② 耐震性について ・・・・・・・・・・・・4 ウ 将来的な修繕費について ・・・・・・・・・・・・5 (3) 借地料について ・・・・・・・・・・・・5 ア 借地料の推移について ・・・・・・・・・・・・5 イ 借地料の解消策について ・・・・・・・・・・・・6 ① 買い取りについて ・・・・・・・・・・・・6 ② 交換について ・・・・・・・・・・・・6 ③ 移転について ・・・・・・・・・・・・6 (4) 現在の庁舎を継続使用する場合に必要な経費の試算について ・・・・・7 3 新庁舎を建設する場合について ・・・・・・・・・・・・7 (1)庁舎建設事業費について ・・・・・・・・・・・・7 ア 用地取得費について ・・・・・・・・・・・・7 ① 用地について ・・・・・・・・・・・・7 ② 用地取得費用の試算について ・・・・・・・・・・・・8 イ 庁舎建設費について ・・・・・・・・・・・・8 ① 庁舎の規模について ・・・・・・・・・・・・8 ② 庁舎建設費の試算について ・・・・・・・・・・・・9 ウ 事業費及び一般財源の試算について ・・・・・・・・・・・・9 4 まとめ ・・・・・・・・・・・・11 ① 買取について ・・・・・・・・・・・・11 ② 交換について ・・・・・・・・・・・・11 ③ 移転について ・・・・・・・・・・・・11 ④ 今後の取り組み ・・・・・・・・・・・・12 ・・・・・・・・別添比較表
2 1 はじめに 本庁舎をはじめとする公共施設用地の多額な借地料負担が、市の財政を圧迫している ことや、米子市・淀江町合併協議会において「本庁舎敷地の特殊性に鑑み、新市の庁舎 の位置とそのあり方について検討を行うこと」とされたことなどを受け、本市の内部検 討組織として「米子市公共用地等問題検討委員会本庁舎部会」を設置し、庁舎の位置と そのあり方等、様々な問題点について検討を重ねてきた。 この報告書は、現在の庁舎を継続して使用する場合と新庁舎を建設した場合の事業費 及び一般財源について、比較検討した結果を記述したものである。 2 現在の庁舎を継続して使用する場合について (1)位置について 地方自治法第4条では、「庁舎の位置は、住民の利用に最も便利であるように、交通 の事情、他の官公署との関係等について適当な考慮を払わなければならない」とされ ている。 現在の庁舎は、市の中心部に位置しており、近隣には公共公益施設や商業施設が集 積しているほか、広域交通の拠点であるJR米子駅まで約 700mと近く、本市の路線バ スは、すべて市役所前を経由しているなど公共交通の結節点であり、市民がアプロー チする際の利便性は高い状況にある。 また、税務署等国の機関が所在する合同庁舎は至近距離にあるなど、他の官公署と の位置関係も満足できるレベルにあると考えられる。 現在の庁舎に移転する際、借地であった現在地を選択した理由として、当時、設立さ れた米子市庁舎建設協議会等で検討を重ねた結果、市民の利便性のほか、中心市街地へ の影響を重視し、「市庁舎の建設位置は市街地の中心部またはその周辺地域とする」と いう結論に達したという経緯もあり既に本市が賃借権を持っていた博愛病院跡地の利
3 用計画の議論も重なり、土地の買取についても議論、交渉は行われたが実現せず、借地 のまま現在の位置が最適であるとの決定をし、市議会の了承も得た。 (2)施設の状況について 米子市には、庁舎機能を有する施設として本庁舎及び第2庁舎のほか、旧庁舎、米 子市保健福祉センター(ふれあいの里)、下水道部、淀江支所などがあるが、今回の 検討にあたっては、本庁舎及び第2庁舎を対象とすることとした。 ア 本庁舎及び第2庁舎の概要 本市の本庁舎並びに第2庁舎の状況は、下表のとおりである。 平成22年4月1日現在 本 庁 舎 第 2 庁 舎 合 計 建築年次 昭和57年 昭和50年 - 構 造 鉄筋コンクリート (地上6階、地下1階) 鉄筋コンクリート (地上5階、地下1階) - 延床面積 12,382.95 ㎡ 2,427.76 ㎡ 14,810.71 ㎡ 敷地面積 17,270.25 ㎡ 1,599.18 ㎡ 18,869.43 ㎡ 庁舎部分 10,606.43 ㎡ 1,599.18 ㎡ 12,205.61 ㎡ うち借地部分 10,045.93 ㎡ 1,599.18 ㎡ 11,645.11 ㎡ 駐車場部分 6,663.82 ㎡ - 6,663.82 ㎡ うち借地部分 4,735.24 ㎡ - 4,735.24 ㎡ 借地契約年 60 年(~平成 53 年) 30 年(~平成 46 年) - 正 職 員 数 488人 115人 597人
4 本市の庁舎は、行政需要の拡大に伴って不足してきた執務面積を補うため、第2庁 舎、さらには旧庁舎へと事務室の分散配置を余儀なくされており、一施設で総合的に サービスを提供するケースと比較すれば、市民にとっての利便性は必ずしも良い状態 とはいえない。 また、施設の老朽化に伴い、将来的な大規模修繕が必要となるとともに、ランニン グコストが大幅に増加しており、会議室不足も慢性化した状況にある。 イ 建築物の耐久性について ① 耐用年数について 現在、建築物の耐用年数として一般によく知られているものとしては、「減価償 却資産の耐用年数」(昭和 54 年大蔵省令第 16 号)があり、鉄骨鉄筋コンクリート 造又は鉄筋コンクリート造の事務所等の耐用年数は 50 年とされている。 一方で、財団法人建築保全センターによる「建築物のライフサイクルコスト」で は、鉄筋コンクリート造の事務所の耐用年数は 65 年とされ、社団法人日本建築学 会による「建築工事標準仕様書・同解説」では、構造体の計画供用期間は「標準供 用級」の場合、およそ 65 年とされている。なお、計画供用期間とは、大きな修繕 をしなくても使える期間を表している。 これらを考え合わせると、本庁舎は今後 22~37 年程度、第2庁舎は今後 15~30 年程度の継続使用が可能であると考えられる。 ② 耐震性について 耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)が施行され、特定建築物(昭和 56 年 5 月 31 日以前の基準で建築された建築物であって、階数が3以上かつ床面積 の合計 1,000 ㎡以上の耐震改修促進法で定められた用途のもの)の所有者は、建築
5 物が現行の耐震基準と同等以上の耐震性能を確保するよう耐震診断や改修に努め ることが求められるようになった。 本庁舎については、その建築工事は昭和 55 年 12 月 3 日に着工されているが、確 認申請書により新耐震設計法による構造計算がなされていることが確認でき、現行 の耐震基準を満たした建築物と考えられる。 第2庁舎については、平成 20 年に策定された米子市耐震改修促進計画に基づき、 今後、耐震診断を実施する必要がある。 ウ 将来的な修繕費について 本庁舎及び第2庁舎については、設備や外壁については適切な修繕が必要であり、 現段階で見込まれる今後必要な修繕費の合計額は、約 11.5 億円(参考資料①)となる。 なお、第2庁舎については、耐震診断を行っておらず、修繕費について算定して いない。 (3)借地料について ア 借地料の推移について 昭和 57 年の庁舎建設当時、市の中心部に立地することを最優先としたため、当初 から借地料という問題を抱えることとなった。 本庁舎及び第2庁舎に関する借地料の過去5年間の推移をみると、平成 18 年度か ら平成 21 年度までは年間1億円を超えているが、鑑定評価を導入したことにより、 平成 20 年度の評価額を基に、本庁舎については平成 26 年度、第2庁舎については平 成 23 年度までに、段階的に借地料を減額していくことで地権者と合意している。 このため、本庁舎及び第2庁舎を合わせた平成 22 年度の借地料は1億円を下回り、 今後さらに下降し、平成 26 年度には 78,800 千円となる見込みである。(参考資料②)
6 イ 借地料の解消策について 借地料を解消するためには、借地そのものの買い取りや市有地等との交換、さらに、 本市所有の建物への移転などの方法が考えられるが、いずれの場合であっても現在の 借地契約を解除する必要があり、土地所有者との合意解約以外、法律上一方的な解約 権は認められず、また、土地所有者の借地契約への強い意向がある。 ① 買い取りについて 借地料そのものを回避する方法の一つは借地の買い取りであるが、過去において 土地所有者の強い意向で借地契約を締結した経過があり、買取の可能性は低い。 ② 交換について 市有地等との交換により借地料を回避する方法もあるが、借地の買い取りの場合 同様、土地所有者との合意解約が必要であり、また、市有地に現借地に同価値のも のは存在せず、可能性としては低いものと言わざるを得ない。 ③ 移転について 本市所有の建物への移転という方法も考えられるが、現在のところ、本庁舎及び 第2庁舎の延べ床面積を合わせた面積 14,810.71 ㎡を確保できるものは見当たらず、 仮に現在の借地契約を一方的に解除した場合に、建物買取請求権は行使出来ないた め、庁舎の解体費や契約解除による損害賠償を請求されることも考えられる。 借地料解消策のメリット・デメリット 買 取 交 換 移 転 メリット ・借地料問題の解決 ・借地料問題の解決 ・借地料問題の解決 ・新庁舎建設による事務の一元 化等市民サービスの向上 デメリット ・土地購入費の資金が必要 ・損害賠償請求の可能性 ・普通財産の減少 ・庁舎建設費用、土地取得費の 必要
7 (4)現在の庁舎を継続使用する場合に必要な経費の試算について 資料③に示した条件に基づいて、平成 23 年度から本庁舎の借地契約満了までの今後 30 年間、現在の庁舎を使用した場合に必要と見込まれる経費は約 35.4 億円と算出さ れる。(参考資料③) 3 新庁舎を建設する場合について 新庁舎を建設する場合には、借地料問題の解消の他、現在の庁舎が抱える施設的な課 題である狭隘化並びに老朽化から生じる問題は解消できると考えられ、市民サービスの 向上が期待できる。 その一方で、現庁舎の借地契約は土地所有者との合意解約が絶対条件であり、現庁舎 解体費や損害賠償請求の可能性、新庁舎建設費をはじめとする多額の費用負担が生じる ことになる。新庁舎を建築することに伴う費用について以下に検討する。 (1)庁舎建設事業費について 現時点で、新庁舎を建設するために想定できる事業費としては、用地取得費や庁舎 建設費、基本設計費、実施設計費、附帯工事費(修景・外構工事等)、現在の庁舎の取 り壊し費用などが挙げられる。 これらの事業費の額は、新庁舎に付加する機能、建設する場所、建設時期などによ り大きく変動すると考えられるが、一定の条件を付して試算する。 ア 用地取得費について ① 用地について 新庁舎を建設するための用地を確保する方法としては、市有地の活用、新規の用 地取得、用地の借り受け等が考えられるが、現在のような状況を考慮すると、用地
8 を借り受ける方法は検討から除外する。 基本的には市有地を活用する方法が望ましいが、現在、米子市が保有している市 有地(普通財産)には、現在の本庁舎、第2庁舎及び駐車場の敷地面積を合計した 約 18,800 ㎡を確保できるものは存在しない。仮に、本庁舎部分のみに限定した場 合でも、その敷地面積約 10,600 ㎡を確保できる市有地(普通財産)は存在しない。 また、新規に用地を取得し、移転するということになれば、本市の将来的なまち づくりについての重大な方針決定であり、市民の十分なコンセンサスを得る必要が ある。 現段階では具体的な移転候補地がないことから、借地問題を解消するために庁舎 を新築し移転する方法を選択できるかどうかについて検討するため、中心市街地区 域内と郊外の場合について、費用の概算を試算することとする。 ② 用地取得費用の試算について 現在の本庁舎、第2庁舎及び駐車場の敷地面積を合計した約 18,800 ㎡を確保す ると仮定した場合に、用地取得に必要な費用を公示値、基準地価格(価格時点:平 成 23 年2月)を用いて試算すると、中心市街地に用地を求める場合は約 19~26 億 円、郊外に用地を求める場合でも約 7.5~15 億円の費用がかかる。(参考資料④) イ 庁舎建設費について ① 庁舎の規模について 新庁舎の建設にかかる経費を算出するため、まず、職員数、議員数及び将来の行 政需用を考慮して庁舎の規模を一定の条件のもと算定する。(参考資料⑤) 地方債事業費算定基準で面積を算定すると、約 16,800 ㎡となる(参考資料⑥) が、類似の団体における事例をみると、起債許可に係る標準面積よりも、実際の延
9 べ床面積は広くなっている。これは、市民交流コーナー、銀行や郵便局、イベント スペース、福利厚生施設などの付加機能をもたせたためと考えられ、庁舎の規模を 算定するにあたっては加味する必要がある。 平成 20 年以降に建築された類似の団体の事例における、実際の延床面積と起債 許可標準面積の平均比率 1.30 であり(参考資料⑦)、本市の庁舎の規模は、16,800 ㎡×1.30=約 21,800 ㎡と推計される。 ② 庁舎建設費の試算について 一般的に、起債許可基準の建設単価と実勢単価との間には開きがあるため、現実 的なものとして、類似団体における建設単価の平均値 300 千円/㎡(参考資料⑧) を使用して試算すると、本市の庁舎建設費は、21,800 ㎡×300 千円/㎡=6,540,000 千円(約65.4億円)と推計される。 ウ 事業費及び一般財源の試算について 庁舎建設事業には国・県の補助制度がないため、その財源としては、一般事業債か 合併特例債の2種類が考えられるが不足分には一般財源あるいは基金を充当する必 要がある。なお、どちらの場合でも、新庁舎を建設する必然性が必要となる。 一般事業債(起債充当率75%、交付税措置なし)を仮に利用可能とした場合で試 算すると、一般事業債を 59.0 億円~73.1 億円(利率 1.5%、3 年据置 25 年償還の場合) 借り入れた場合、償還利子の合計額は 12.5~15.4 億円となり、起債償還額の合計は、 71.5~88.5 億円、建設時の一般財源 26 億円以上が必要となる。 本市は、実質公債費比率が18%以上であり、市債を発行する場合には県知事の許 可が必要とされている。そのため、庁舎建設の事業費に合併特例債を充当しようとす
10 る場合、新庁舎を建設する必然性が問題となる。すでに見たように、現在の本庁舎の 立地場所、耐用年数、耐震性などを考慮すると、現在の敷地が借地であるという特殊 性はあるとしても、そのことをもって合併特例債の発行が許可されるとは考え難い。 なお、仮に合併特例債を利用可能した場合に 18,800 ㎡の敷地を新たに確保し、延 べ床面積 21,800 ㎡の庁舎を新築する条件で試算すると事業費、起債充当額及び一般 財源については次のようになる。 (参考資料⑨、⑩) (単位:億円) 事 業 費 内 起債充当額 内 一般財源 用地取得費 7.5~26.3 7.1~25.0 0.4~1.3 設計監理費 2.7 2.6 0.1 庁舎建設費 65.4 28.3 37.1 外構工事等 3.0 2.9 0.1 現庁舎の取り壊し費用 5.3 0.0 5.3 第 2 庁舎の取り壊し費用 1.2 0.0 1.2 計 85.1~103.9 40.9~58.8 44.2~45.1 上記以外に、土地造成費、移転補償費等、備品費、新庁舎への移転費用等を別途積 算する必要があるほか、借地契約解消に伴う損害賠償等の問題が生じる可能性がある が、具体的な算定ができず、上記の試算には反映していない。 なお、新庁舎建設事業のために合併特例債を 40.9~58.8 億円(利率 1.5%、3 年据 置 25 年償還の場合)借り入れた場合、償還利子の合計額は 8.6~12.4 億円、起債償 還額の総額は 49.5~71.2 億円となり、その 70%にあたる部分が普通交付税の基準財 政需要額に算入されることとなっている。 交付税措置額 (49.5~71.2 億円)×70% = 34.65~49.84 億円
11 ※ 参考資料⑥と⑨で使用した総務省自治財政局地方債課長通知「地方債取扱上の留 意事項」の算定基準は、平成23年度から地方債充当率等の簡素化が実施され、 また、庁舎整備に当たっては、他の公共施設の整備の状況、用地確保の状況、財 源計画の確実な見通し及び緊急度等を十分勘案することとされており、前述した とおり本市の財政状況や現在の本庁舎の立地場所、耐用年数、耐震性などを考慮 すると、無制限に合併特例債を充当すべきものではなく、起債制限のある平成2 2年度までの制度で試算を行ったものである。 4 まとめ ① 買い取りについて 現在の借地を買い取ることについては、過去において土地所有者の強い意向で借地 契約を締結した経過があり、買い取りの合意は困難であると考えられる。 ② 交換について 市有地等との交換については、土地所有者の強い意向で借地契約を締結した経過が あること、市有地に現借地と同価値のものは存在しないことなどから困難であると考 えられる。 ③ 移転について 現在の本庁舎の位置は、市の中心部に位置しており、市民が利用する際の利便性は高 く、業務の分散化というデメリットはあるが、立地条件は良く、同様な条件の市有地も 代替地もなく、中心市街地以外に移転する場合は、土地取得費は安価になるが、現在よ り市民にとっての利便性は低くなると考えられる。 現在の庁舎の耐用年数は、本庁舎は今後 22~37 年程度、第2庁舎は今後 15~30 年程 度の継続使用が可能である。また、今後 30 年間、現在の庁舎を使用した場合に必要と見
12 込まれる経費は借地料を含めて約 35.4 億円であり、毎年度約 1.2 億円と見込まれる。 これに対して、新庁舎を建設する場合に必要な一般財源は、庁舎の建設事業費約 37 億 円をはじめ、現庁舎の取り壊し費用約 6.5 億円など、約 44 億円以上が必要である。合併 特例債の交付税措置があるにしても、概算で少なくとも約 85.1~103.9 億円の債務が生 じることになり、他市の庁舎建設事例を見ても、建設基金なく、起債だけで庁舎を建設 する例は稀有である。 以上の結果、現状の本市の財政状況で新庁舎の建設を行う場合、合併特例債を他の事業 に使用することが制限されるとともに多額の債務を背負うこと、現在の本庁舎の位置は、 市民が利用する際の利便性が高いこと、中心市街地以外に移転する場合は、現在より市民 にとっての利便性が低くなると考えられることから、現庁舎を移転し、新庁舎を建設する 必要性は低いと考えられる。 ④ 今後の取り組み 本市は、合併後の、活力と魅力あるまちづくりを着実に進めるため、新市まちづくり 計画等に示された各種基盤整備事業を着実に進めていく必要がある。本市の現在の財政 状況等を踏まえて検討すれば、生活・産業基盤整備よりも新庁舎の建設を優先すべきと の結論を導きだすことは困難である。 耐用年数は厳然としてあることから、いずれ建替えの問題は出てくるが、建設の目標 年次及び場所については、現庁舎の耐用年数、使用可能な年数、大規模修繕の可否など の判断だけでなく、将来的な自治体の変容、たとえば広域合併や地方自治制度の変革(道 州制など)といった社会情勢の変化を見据えたものでなければならない。 また、財政的に考えて、昭和40年代から50年代にかけて建設された学校施設や公 民館などの公共施設が老朽化に伴い修繕や建替が必要となることや、今後、図書館、美 術館、公会堂等の大規模投資的事業が必要となり、これ以上の債務を負担することは難 しい。
13 このような方向性を踏まえた具体的な対応策としては、地方自治体を取り巻く諸情勢 の動向を見極めながら、現庁舎を当分の間は使用し、次の3点について確実に取り組ん でいくことが必要であるとの検討結果となった。 (別紙比較表参照) 〇 買取、交換については、困難であると考えられるため、借地料の適正化に引き続き 努めること 〇 都市戦略に必要な情報の収集に努め、情勢の変化を見極めるとともに、庁舎機能に ついて、淀江支所、ふれあいの里などを含めた今後のあり方を継続して検討すること 〇 将来的には建設計画を立案し、財政状況の改善に努めながら基金積立などの方法に より財政基盤を作り上げることが必要である。