平 成 3 0 年 10 月 1 日
6 年生の保護者のみなさまへ
河内長野市立三日市小学校
校 長 西 田 哲
「平成30年度全国学力・学習状況調査」の結果について
木々の葉も色濃くなってきましたが、保護者の皆さまにおかれましては、益々ご清祥のこと
とお慶び申し上げます。
さて、本年4月17日(火)に実施しました「全国学力・学習状況調査」の分析結果につい
て、別紙の通りお示しいたします。分析から見い出した成果や課題を踏まえ、保護者の皆さま
と連携しながら、教育活動に努めてまいります。今後とも一層のご理解とご協力を賜りますよ
う、よろしくお願いいたします。
《 基 本 的 な 考 え 方 》
本調査については、「義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児
童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。」
「そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。」「学校
における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。」と文部科学省の目
的にあります。これらをふまえて、本校では、次に挙げるような成果が期待されると考えて
おります。
○子どもたちは、それぞれの学習の到達状況を知ることで、学習意欲を高め、自ら目標
を持って今後の学習の改善や励みになる。
○学校は、自校の状況をより詳細に分析することで、子どもたちの確
かな学力及び教員の指導力・授業力の向上につながる。
《 調 査 結 果 の 取 り 扱 い 》
◇本調査により測定できるのは、学力の限られた一部分であり、学校における教育活動の一
つの側面です。すべての学力を捉えられているものではないことに十分留意して取り扱う
ことが必要です。
◇今年度も昨年度と同様、全国学力・学習状況調査の結果を提供いたします。「子どもにど
のような力がついてきたのか」「学校がどのような教育を進めているのか」「子どもの学
習状況や生活習慣等にどのような良い点・課題があるのか」など、一人ひとりの学力向上
の取り組みの改善とともに、学校における課題を整理して、課題改善する取り組みを進め
ていきます。
◇昨年度より、3年後の中学3年時に小学6年時に受けた調査の個人票コードを中学校へ送
付することにより、同一児童生徒に関する調査結果の関係について文部科学省が分析を行
い,分析結果を提供することが可能となりました。本市では、その分析結果を中学3年時
に提供するために、河内長野市立の中学校へ進学する児童について、今回の個人票コード
を中学校へ送付しますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
《 お
願
い 》
□学習への意欲は、子どもの自尊感情と大きな関係があります。友だちや兄弟姉妹と比較す
ることは自尊感情を傷つけ、意欲を低下させる場合があります。子ども個人の成長を認め、
さらなる課題を意識させることで、学習意欲を高められるよう、ご対応お願いします。
□学力の向上は学校が主にその役割を担いますが、各家庭におかれましても、今回の結果を
子どもたちの基本的な生活習慣の見直しや今後の家庭学習の進め方等の参考にしていた
だきますようよろしくお願いします。
□調査結果のうち、正答率については、調査に参加した子ども並びに 保護者の方にのみ提
供しているものです。学校間の序列化や過度な競争につながらないよう、その取り扱いに
ついては、十分にご留意いただきますようお願いします。
調査結果を受けて
~全国学力学習状況調査とそれに伴う児童アンケートより
~
全国学力・学習状況調査(以下学力調査)の結果において、「話す・聞く」領域は 3 年連続で 80% の正答率を維持しています。算数についても全国平均に比べて記述式の正答率が上がっています。 これらの成果は、何に起因しているのかを分析しました。 本校では、「思いやりの心をもって、つながり合い学び合う子どもの育成」を教育目標に、日々 子どもたちと学んでいます。授業の中に「つながる」場面を設定し、子どもたちが意見を発表し、 それを聞く活動を大切にしています。主体的に学びに取り組めるよう、課題に対しての自分の考え を持つように指導もしています。昨年度の児童アンケートによると、「友達の前で自分の考えを発表 することは得意ですか。」という項目は全国平均に比べて 12.8%高く、「友達と話し合うとき、友 達の考えを受け止めて、自分の考えを持つことができていますか。」という項目も 6.5%高い結果と なっていました。さらに今年は、70%が、「話し合うことで自分の考えを深めたり広げたりするこ とが出来る」と考えています。「つながり合い学び合う」ことを大切にしてきた取り組みが、子ども たちの成長につながってきていると考えています。 一方、国語・算数どちらにおいても、情報を読み取る力に課題があることがわかりました。内容 の中心を明確にしたり、複数の情報の中から条件に合ったものを選んだりすることは難しいようで す。アンケートからも約 45%が、発表の際に自分の考えがうまく伝わるよう、資料や文章,話の 組立てなどを工夫して発表できていないと答えています。情報を読み取ったり活用したりする力の 育成は、今後改善していくべき教育課題の一つとしてとらえ、方策を検討していきます。 最後に、教科ごとの細かい分析結果については、次頁以降にまとめています。また、分析を総括 し、今後学校で取り組んでいくこと、児童のみなさんに頑張ってほしいこと、保護者のみなさまに ご協力いただきたいことを下記にまとめました。子どもたちの成長のために、今後ともご理解ご協 力のほどよろしくお願いいたします。 ≪学校が重点的に取り組んでいくこと
≫ 〇安心して学ぶことができるような環境づくりを推進します。 〇「つながり合い学び合う」ために考えを持ち、それを伝え合うような授業を目指します。 〇校内研修の場を設け、授業実践を全教員で振り返り、適宜改善していきます。 〇朝学習や三小ベルトの時間を活用し、計算・漢字などの基礎学力を定着させていきます。≪児童のみなさんにしっかり取り組んでほしいこと≫
〇家庭学習の手引きを確認して、宿題をきちんとやりとげましょう。 〇先生やおうちの人、友達に聞いて、わからないことをそのままにしないよう心がけましょう。 〇興味のあることや、苦手としていること、頑張りたいと思うことを自主勉強で取り組みましょう。≪保護者のみなさまに協力していただきたいこと≫
〇規則正しい生活習慣が定着できますよう、ご指導・ご支援をお願いいたします。 〇子どもたちの頑張りにむけた、温かな励ましを引き続きお願いいたします。平成 30 年度全国学力・学習状況調査の分析 河内長野市立三日市小学校 学力調査の概況
国語A
設問番号 問題の概要 1 図書館への行き方の説明として適 切なものを選択する 2 物語を書くときの構成の工夫の説 明として適切なものを選択する 3 【オムレツを作ったあとの感想】を 踏まえ,【オムレツのページ】をど のように読めばよいか,適切なもの を選択する 4 『くらやみの物語』を読んで心に残 ったことを一文を取り上げて説明す る際に,その一文が心に残った理 由として適切なものを選択する 5 【春休みの出来事の一部】の中で, 部と 部とのつながりが合っ ていない文を選択し,正しく書き直 す 6 慣用句の意味と使い方として適切 なものを選択する(心を打たれる) 7 【話を聞いている様子の一部】の ア , イ に入る内容の組み 合わせとして適切なものを選択す る 8 ア 文の中で漢字を使う (せい造) 8 イ 文の中で漢字を使う (せつ備) 8 ウ 文の中で漢字を使う (しょう毒) 8 エ 文の中で漢字を使う (かん理) 8 オ 文の中で漢字を使う (せっ極的)概要
問題の特性によって正答率の差異はあるも
のの、言語に関する基礎的理解がある程度定着
している。
領域や観点別で全国平均と比較してみると、
「読むこと」において課題が見られたが、「言
語についての知識・理解・技能」と「書く」に
ついては、成果として表れていた。
特に成果が見られた問題例
設問5は、主語と述語の関係に注意して文を
書くものである。正答率は数値として50%を
下回っているが、全国の実態と比較すると大き
く上回っている。今後さらなる定着を図るため
に、文章を書く上での原則をしっかりと指導し
ていきたい。
また、設問7は、場面に応じて適切な敬語を
選択する問題であり、ここでも比較的正答率が
高かった。日常における敬語の適切な活用場面
を経験して、豊かなコミュニュケーション力の
素地を身に付けてきていると考えられる。
特に課題が見られた問題例
情景描写をもとにして、登場人物の心情を
読み取る力に課題が見られた。会話文などの直
接的表現のみならず、物語の流れや行間から
も、「深く読み取る」力を養っていきたい。
設問8オの「せっ」は「積/績」の使い分け
を誤って理解してしまいがちな漢字と言える。
同じ部首・読みをもつ漢字をきちんと区別して
理解させるために、日々の漢字学習において細
部までこだわり、定着を図っていきたい。
平成 30 年度全国学力・学習状況調査の分析
【河内長野市立三日市小学校】平成 30 年度全国学力・学習状況調査の分析 河内長野市立三日市小学校 学力調査の概況
国語B
設問番号 問題の概要 1一 【話し合いの様子の一部】にお ける木村さんの発言の意図と して,適切なものを選択する 1二【話し合いの様子の一部】にお
ける司会の発言の役割とし
て,適切なものを選択する
1三 これから言葉をどのように使って いきたいかについて,北川さん, 小池さんのいずれかの意見を取 り上げ, を書く 2一 「かみかみあえ」についての【お すすめする文章】の最初の部分 に のように書いた理由と して適切なものを選択する 2二 【おすすめする文章】の に,むし歯を防ぐ効果について, 【保健室の先生の話から分かっ たこと】を取り入れて詳しく書く 2三 【紹介する文章】を基にして【おす すめする文章】を書くときの工夫 として適切なものを選択する 3一 山下さんは,どのようなことが知り たくて【自伝「旅人」の一部】を読 んだのか,その説明として適切な ものを選択する 3二 【伝記「湯川秀樹」の一部】を読 んで,【ノートの一部】C 最も心が ひかれた一文とその理由の文章 の に入る内容を書く概要
全体的に選択式の問題について、正答率が高
かった。出題の意図をつかみながら、条件に合
わせて選択肢を取捨選択することが出来てい
る。
記述問題は例年難解であるが、無答率が昨年
度同様低くく、子どもたちの頑張りが表れてい
る。
特に成果が見られた問題例
「話すこと・聞くこと」に関する問題では、
ここ 3 年間で確かな成長を見て取れる。今回
は1の一、二がともに 80%を超える正答率で
あり、質問の意図や話し合い活動における司会
者の役割をつかむことができるようになった。
国語の学習では、話し合いの役割を決めたり、
進め方や交流の仕方を学んでいる。そのような
取り組みが結果になって表れてきたと思われ
る。
2三の結果からは、「比較することの良さ」
をとらえることができていると思われる。
特に課題が見られた問題例
1三、2二に見られるように、考えを記述す
る問題に関しては課題が見られた。特に、2二
のような条件に合わせて情報を読み取り、それ
を文章にまとめることは非常に困難であった
ように思われる。概要でも述べた通り、無答率
はここ数年低くなってきており、一生懸命書こ
うという子どもの気持ちが表れている。作文の
条件を設けたり、作文を基にして思いや考えを
交流する活動を通して、多様な文章を書く機会
を設け、指導していきたい。
平成 30 年度全国学力・学習状況調査の分析
【河内長野市立三日市小学校】平成 30 年度全国学力・学習状況調査の分析 河内長野市立三日市小学校 学力調査の概況
算数A
設問番号 問題の概要 1(1) 針金0.2mの重さと針金 0.1mの重さを書く 1(2) 針金0.4mと,0.4mの重 さの60gと,1mの重さが, それぞれ数直線上のどこ に当てはまるかを選ぶ 1(3) 針金1mの重さを求める式 を選ぶ 2 答えが12÷0.8の式で求 められる問題を選ぶ 3 3桁の整数どうしの大きさを 比べ,十の位に入る適切な 数字を書く 4(1) 面積がそろっている㋐と㋑ の二つのシートの混み具合 について,正しいものを選 ぶ 4(2) ㋒と㋓の二つのシートの混 み具合を比べる式の意味 について,正しいものを選 ぶ 5(1) 角 い の角の大きさが,何 度であるかを選ぶ 5(2) 分度器の目盛りを読み,1 80°よりも大きい角の大き さを求める 6 空間の中にあるものの位置 を正しく書く 7(1) 円周率を求める式として正 しいものを選ぶ 7(2) 円の直径の長さが2倍にな ったとき,円周の長さが何 倍になるかを選ぶ 8 200人のうち80人が小学 生のとき,小学生の人数は 全体の人数の何%かを選 ぶ 9 示された事柄が両方当て はまるグラフを選ぶ概要
全国的な実態と同じような様相が見られる。そ
れは「数と計算」領域において比較的高い正答率
であり、反対に「図形」領域では、正答率が低く
なるというものである。また、後半になるにつれ
て無答率が高くなっているのは、解答するのに必
要な時間が足りなくなったと考えられる。しか
し、問題の意味を正確に理解できれば、正解を導
き出せる児童が多いこともわかる。
特に成果が見られた問題例
設問2「答えが12÷0.8 の式で求められる問
題を選ぶ」の正答率は 60%でありながら、全国
的な実態と比較するとかなり高い数値である。小
数の除法の意味についてしっかりと理解できて
いると言える。これからも算数の時間はもちろん
のこと、日々の生活の中で折々に「小数」の概念
に触れさせていきたい。
設問3「3桁の整数どうしの大きさ比べ、十の
位に入る適切な数字を書く」においても正答率は
高く、これらの計算に関係する問題に高い成果が
見られることから、日々の計算練習の積み重ね
が、児童の力になっていると考えられる。
特に課題が見られた問題例
設問7(1)、(2)の2問で正答率が低い結
果となった。このことから、直径や半径と円周の
関係が理解でき来ていない児童が多いことがわ
かる。また、設問5(2)「分度器の目盛りを読
み、180°よりも大きい角の大きさを求める」
や図形に関する応用問題の正答率が低いことか
ら、計算し答えを求めるだけではなく、実際に長
さや角を計測し、その数の意味が実感できるよう
な活動を取り入れていく必要がある。
平成 30 年度全国学力・学習状況調査の分析
【河内長野市立三日市小学校】平成 30 年度全国学力・学習状況調査の分析 河内長野市立三日市小学校 学力調査の概況
算数B
設問番号 問題の概要 1(1) 合同な正三角形で敷き詰め られた模様の中から見いだ すことができる図形として,正 しいものを選ぶ 1(2) 一つの点の周りに集まった角 の大きさの和が360°にな っていることを,着目した図 形とその角の大きさを基に書 く 2(1) 全体で使える時間の中で, 「ルールの説明」に使える時 間は何分かを書く 2(2) 1回の玉入れゲームの時間 を3分に最も近い時間にする ための玉を投げる時間を,表 に整理して求める 3(1) メモ1とメモ2は,それぞれ, グラフについてどのようなこと に着目して書かれているの かを書く 3(2) 一つの事柄について表した 棒グラフと帯グラフから読み 取ることができることをまとめ た文章に当てはまるものを選 ぶ 4(1) 「32,40」の二つの数の和が 9の段の数になるわけを,分 配法則を用いた式に表す 4(2) 横に並んでいる七つの数に ついて,示された表現方法を 適用して書く 5(1) 横の長さが7mの黒板に輪か ざりをつけるために必要な折 り紙の枚数が,100枚あれば 足りるわけを書く 5(2) 4色を順に繰り返してつな げ,輪かざり1本を作ったとき の,30個目の折り紙の輪の 色を選ぶ
概要
四則計算や数学的きまりの基礎基本の定
着を見る【算数 A】と比較すると、活用力
を見取る【算数 B】の正答率は低くなって
おり、全国的な様相と同様である。
領域別では、「量と測定」の問題で、全
国の実態と比較すると正答率は高かった。
一方、「数量関係」の問題は、他の領域
と比べると顕著に正答率が低くなるという
結果となった。
特に成果が見られた問題例
記述式の問題に注目すると、全国の実態
と比較した時に高い正答率であったことが
わかる。2(2)・3(1)の「数量関係」
を含む問題の正答率が高いという結果から
も、問題文を的確に解釈し、活用すべき考
え方を理解し、それらを踏まえて文章に表
す力が身に付いてきている。今後も、授業
中の発問を正しく理解し、それに応じた自
分の考えをしっかりと発表・表現する力を
身につけられるよう指導していきたい。
特に課題が見られた問題例
グラフを用いた問題に課題が見られた。
3(2)の 2 つのグラフから読み取られる
ことを理解し、適切に判断するところに課
題が見られる。グラフは数値を可視化し、
変化や様子を一目で分かりやすくした便利
なツールであることを理解させると同時
に、そこから読み取ることができる「様相」
をつかむ力も養なっていきたい。また、自
分で調べたことなどをグラフに表し、プレ
ゼンテーションする際に活用するなどの取
り組みも行っていきたい。
平成 30 年度全国学力・学習状況調査の分析
【河内長野市立三日市小学校】平成 30 年度全国学力・学習状況調査の分析 河内長野市立三日市小学校 学力調査の概況