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計画的市街地における密集住宅街区の土地・建物利用の変化に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)計画的市街地における密集住宅街区の土地・建物利用の変化に関する研究 田中宏弥. 1. 研究の背景と目的. 治 44 年から大正 16 年にかけて整備された埋立市街. 我が国の都市住宅政策における課題として、密集市. 地である。街区形状は明治後半の市街地割の骨格を残. 街地の住環境整備をいかに進めるかは重要な課題であ. しており、両地区共に同様の街区形状をなしている。. る。本研究の対象とする北九州市には、明治期以降の. 若松区では現在「歩いて暮らせるまちづくり」とし. 急激な都市化の過程で形成された密集市街地が多く存. て街なかの再生や街なか居住の促進を進めており、街. 在する。当市の住環境整備に関する既往研究. では. 区基盤が最も整っている当エリアは、今後良好な住環. データベース GIS を用いた町丁単位の住環境評価によ. 境を形成し居住機能の回復を行うことが必要な地区と. り、住環境の課題を有する地区(73 町丁)を抽出し、. 言える。両地区は中心市街地の中でも、特に人口減少. これまで住環境整備事業の対象であった非計画的市街. が進行する地区であるが、浜町二丁目は人口減少率・. 地だけでなく、道路基盤が比較的整った計画的市街地. 少子高齢化率ともに高いのに対し、桜町は人口減少率・. においても住宅更新の停滞や高齢化・人口減少が進行. 少子高齢化率がやや低く、衰退に差がみられる。. する地区が存在することを明らかにしている。また、. 用途地域は大部分が近隣商業地域(200/80)、一部. 計画的市街地のうち、耕地整理事業や旧法規区画整理. 商業地域(400/80)に指定されており、現在も商店. 事業の施行地区について、地区の変容過程に関する調. などの事業所が点在している。また、老朽化した長屋. 査・分析から計画課題を指摘している。一方、住環境. 住居などが残留している一方で近年新築された建物も. の課題を有する計画的市街地のうち、整った筆構成を. みられ、画地ごとに状況が大きく異なっており、適切. もつ戦前期の埋立市街地については詳しい研究がなさ. な更新誘導を図る必要がある。. れていない。. 2.2 研究方法. よって本研究では、こうした埋立市街地である若松. 本研究は図 1 に示す手順で調査・分析を行った。. 区中心市街地を対象とし、調査対象街区の土地・建物. なお、調査対象時期としては北九州市の産業構造の転. 利用の変化について筆(権利界)と画地(利用界)の. 換が始まり八幡製鉄所が再編された 1970 年以降を対. 対応関係に着目して分析し、建物更新・停滞の要因を. 象とした。また調査対象街区として、両地区において. 考察することで、今後の市街地更新に関する知見を得. 共通する街区形状を持つ街区グループから、準工業地. ることを目的とする。. 域を除外したエリアを選定した。. 2.1 調査対象地区と概要. 3. 土地・建物利用の変化の現況. 調査対象地区として、若松区中心市街地※ 2 の北部. まず、1970 年から現在までの 40 年間における対象. に位置する桜町と浜町二丁目を選定した。両地区は明. 地区の変化に関して分析を行う。図 3 に、2009 年時. ※1. 1970 年 ,1990 年 ,2009 年における ベースマップの作成. 住宅地図:1970,1990,2009 現地踏査. 土地利用 建物形態・外形. 建築計画概要書. 建物更新. 航空写真:1968,1989,2005. 画地構成. 公図:1970,2009. 筆構成. 基本図:2009. 街区・道路構成. 対象街区. 桜町. N. ベースマップより、1970 年から 2009 年までの 40 年間における対象地区の画地構成. 0m. の変化、土地利用の変化、筆構成の変化を関連させて分析し、建物更新との関係を探る。. 図 1. 研究方法の概要. 浜町二丁目. 中心市街地 範囲. 200m. 400m. 800m. JR 若松駅. 図 2. 若松区中心市街地と対象地区 27-1.

(2) 浜町二丁目  2009 年. 桜町 2009 年. 凡例. N. 1970 年以降に分筆が起きた筆 1970 年以降に合筆が起きた筆. 25m. 0m. 100m. 50m. 図 3. 筆構成の変化 1970 年. 1970 年. Case-1. Case-5. Case-3. Case-4. Case-6. Case-2. 2009 年. Case-7. 2009 年. Case-8 桜町. 凡例 長屋 共同住宅. 戸建住宅. 浜町二丁目. 長屋住宅. 共同住宅. 1970 年. 画地境界 住宅 併用住宅. 2009 年. 事業所. 併用住宅 事業所 駐車場. 駐車場 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 図 4. 画地構成と土地利用の変化 点での両地区における筆構成と、1970 年以降に合筆・. ている例や複数の画地が統合され駐車場となっている. 分筆が行われた筆を示す。また図 4 に、1970 年時点. 例がみられ、画地構成が大きく変化していることがわ. と 2009 年時点における両地区の画地構成、建物形態、. かる。また土地利用に関してみると、両地区とも 1970. 及び土地利用面積とその分布を示す。. 年では長屋住宅及び事業所の割合が高く、連坦する複. 図 3 より、両地区ともこの間に筆構成の変化がほと. 数筆を所有する地主による土地経営が多く為されてい. んど起きていないことがわかる。また、1970 年時点で. たと考えられる。しかしその後減少し、2009 年には戸. 四間×八 - 十間(約 7.3m × 14.5m-18.2m)の形で割. 建住宅、併用住宅、及び駐車場へと変化している。地. られている筆が多く、その形状が筆割の際の標準形状. 区別にみると、桜町では 2009 年時点で戸建住宅の割. であったと考えられる。. 合が高い。一方浜町二丁目では戸建住宅の割合が桜町. 一方、図 4 より画地構成に関してみると、1970 年. ほど高くなく、代わりに長屋住宅や駐車場化の割合が. に長屋であった画地が分割され複数の戸建住宅となっ. 高い。. 27-2.

(3) よって、当初の画地規模が異なる耕地整理事業や区. TypeA. TypeB. TypeC. TypeD・E. TypeF. 画整理事業が施行された地区と異なり、開発当初全て. 標準画地. 間口長. 狭小 不整形. 奥行短 接道不良. 中・大規模. の街区が標準形状によって整然と筆割されていたと推. 間口. 4間. 8間. 4 間未満 その他. 4 間以上. 4 間以上. 測される。それが複数筆をまとめて地主に取得され、. 奥行. 8-10 間. 8-10 間. 8-10 間. 4-6間. 10 間以上. 筆境界を跨ぐ形で長屋や事業所を建築する土地経営が. C. なされたと考えられる。しかし、1970 年以降には長屋・. A. 角地 東西接道. D G. E. B. H. 事業所の経営が立ち行かなくなり、長屋の払い下げや. D C. 除却による土地・建物の分譲、事業所の併用住宅化が 起きたと思われる。一方、 両地区の変化には差異があり、. TypeG・H. F. E. 接道部分. 図 5. 画地形態による類型化. 桜町では長屋住宅の戸建住宅化が多く地区全体が戸建. 表 1. 画地形態と建物更新との関係. 住宅地化しているのに対し、浜町二丁目では長屋住宅 の残留や画地の統合による駐車場化が多い。. 浜 町 二 丁 目. 4. 画地形態の類型化と建物更新 次に、近年建物の更新が行われた画地の空間的特性 を把握するため、建築計画概要書より明らかとなって. 更 新 統合 あ り 分割. いる 1990 年以降の 20 年間において更新された建物・ 桜 町. 画地に関して分析を行う。 更新と画地形態との関係を明らかにするため、画地. 更 新 統合 あ り 分割. TypeA 45 24.3% 13 38.2% 1 2.9% 1 2.9% 73 33.5% 21 41.2% 7 20.6% 2 5.9%. TypeB TypeC TypeD TypeE TypeF 30 6 28 19 10 16.2% 3.2% 15.1% 10.3% 5.4% 12 1 0 1 0 35.3% 2.9% 2.9% 3 0 0 0 0 8.8% 2 1 0 0 0 5.9% 2.9% 42 4 22 18 5 19.3% 1.8% 10.1% 8.3% 2.3% 11 0 1 0 0 21.6% 2.0% 3 0 0 0 0 8.8% 4 0 0 0 0 11.8% -. TypeG TypeH 34 13 18.4% 7.0% 4 3 11.8% 8.8% 0 0 1 1 2.9% 2.9% 37 17 17.0% 7.8% 13 5 25.5% 9.8% 1 1 2.9% 2.9% 5 2 14.7% 5.9%. 185 100.0% 34 100.0% 4 11.8% 6 17.6% 218 100.0% 51 100.0% 12 35.3% 13 38.2%. 形態を標準画地(標準形状の画地)を基準として、間. である。当初から筆が標準形状で割られていたため、. 口幅や奥行、接道条件から類型化し(図 5) 、両地区で. 長屋住宅を除却し戸建住宅を建築する際に、画地の分. の 2009 年時点における類型別の画地数とその中で建. 割や土地の分譲を行い易かったと考えられる。また、. 物更新が行われた画地数についてまとめた。また、画. 建築された建物は間口の狭さ(四間)と建蔽率の高さ. 地構成の変化と建物更新との関係をみるため、更新さ. (80%)ゆえに隣接画地との境界線近くまで建てられて. れた画地の中で画地の統合や分割により形成された画. いる場合が多い。そのため駐車空間を持たない場合が. 地数を抜き出した(表 1) 。. 多いが、一方で 2 筆を 1 画地とした画地(TypeB)に. これより、多くの更新が TypeA、TypeB 及び TypeG. おいて建物横に駐車空間と庭を確保している例もみら. で 起 き て い る こ と が わ か る。 特 に 標 準 画 地 で あ る. れる。. TypeA の更新割合が高い。また、TypeB 及び TypeG に. Case-3・Case-4 は、筆構成の変化後に戸建住宅化し. 関しては、標準画地以上の間口の広さや二面接道によ. た例である。Case-3 では 1970 年時点での画地構成に. る良好な接道条件が更新につながっているものと考え. 合わせて筆構成が変化している。Case-4 では一度合筆. られる。一方で、標準画地よりも間口幅や奥行が短い. された土地が駐車場化しており、その後戸建住宅を建. 画地、接道不良の画地において更新されている例は少. てる際に再度分筆している。筆構成の変化により拡大. ない。. した画地(TypeB)では空地が確保されているが、一方. 地区別にみると、桜町は TypeA や TypeB の割合が. で間口や奥行が縮小した画地(TypeC・D)では 3 階建. 高い。また、更新された画地の中で画地の統合や分割. や間口の狭い建物あるいは駐車場化がみられ、今後の. を伴った更新が多い。一方で浜町二丁目に関しては、. 更新が難しいと考えられる。. TypeD や TypeE、TypeF が多く、また画地構成の変化. 5.2. 更新停滞の事例. を伴う更新例は桜町と比較して少ない。. Case-5・Case-6 は長屋住宅の一部が現在も残留して. 5. 画地構成の変化と更新・停滞画地の発生要因. いる例である。長屋住宅の払い下げにより筆が細分化. 前章で類型化した画地形態について典型事例を挙げ、. されており、不整形な画地(TypeC)や狭小画地(TypeC・. 1970 年から 2009 年の間の画地構成と土地利用の変化. D)、接道不良画地(TypeE)が発生している。Case-5. について分析を行う(図 6) 。. の一部の画地では建物の更新がみられるが、画地条件. 5.1. 建物更新の事例. が整っていないため、今後の更新は難しいと考えられ. Case-1・Case-2 は、長屋住宅が複数筆に跨る画地が. る。また Case-6 は特に筆構成の複雑化が著しく、老朽. 筆割に合わせて複数の標準画地(TypeA)となった例. 建物が多くみられる。. 27-3.

(4) 5.3. 駐車場化の事例. Case-1. Case-7 は事業所や長屋が混在した地区が大規模に駐. 1970-2009. 車場化した例である。1970 年時点での細分化された複. ※以下同様. Case-2.  の変化. 雑な画地構成に合わせて筆構成も変化している。筆構. Case-3. 凡例. 成の複雑さから更新が困難であり、二度に分けて駐車. 画地境界. 場化している(Type-F) 。建物が残留している狭小画地. なし. 長屋. 筆境界. (Type-D)の更新も期待できず、今後除却され駐車場と. 駐車場. 道路. 一体化すると推測される。 Case-8 も同様に、細分化され画地構成が複雑化した. 住宅. 事業所. Case-4. 地区の更新が停滞し、大規模に駐車場化された例であ ※Case-4,7 のみ. る(Type-F) 。1970 年時点で標準形状であった筆割が、. 1970-1990-2009 にかけての変化. その後駐車場化と共に合筆されている。戸建住宅用地 としての分譲には再度分筆が必要となるため、共同住 宅等の大規模な更新以外は難しいと思われる。. Case-5. Case-8. 5.4. 典型事例からの分析 以上の事例から、対象地区において埋立地特有の整 然とした筆割が当初から為されていることで、長屋や. Case-6. 事業所などの画地を分割する際に分筆をする必要がな く、容易に戸建住宅地化していると考えられる。. N. 一方で長屋の払い下げなどにより筆割を変更した画 地に関しては、筆構成の複雑さから更新が停滞する傾. 0m. 向にある。特に浜町二丁目でその例が多く、更新停滞. 25m. 50m. Case-7. からまとめて駐車場化する例も複数みられ、人口流出 の大きな要因となっている。 また更新された建物に関しては、標準画地の間口が 四間と狭いため、建築上の制約が大きいと考えられる。 建蔽率が 80%と高いため最低 32 坪という狭い敷地に おいても更新が成立しているが、駐車場や庭などの空 地を確保するのが難しく、今後建て詰まる可能性があ る。また、筆割の変更により拡大した画地において空 地が確保されている例もみられるが、他の画地の縮小 に繋がるため、良好な例とはいえない。. 図 6. 典型事例 (3) 建物更新の多くが標準画地で起きているが、画地が やや狭小であるため空地の確保が難しく、今後建て詰 まる可能性がある。 今後、対象地区を良好な戸建住宅地とするためには、 不整形な筆を合筆・分筆によって標準形態に戻す必要. 6. まとめ. があると考えられる。また標準画地において駐車場な. 本研究から得られた考察の結果を以下にまとめる。 (1) 対象地区は埋立市街地という特性から、開発時に 街区全体を標準画地で整然と筆割されていたと考えら れる。当初の土地利用は長屋や事業所が主であったが、 予め筆割されていたことが戸建住宅への変更を容易に し、現在戸建住宅化しつつある。. どの空地を確保するために、適切な建築計画により建 物更新を誘導していくことが必要であるといえる。 ※ 1 賀来郁子「GIS を活用した市街地住環境データベースの構築と住環境評価―北九 州市におけるケーススタディ―」(平成 14 年度九州大学修士論文) ※ 2 若松区中心市街地の範囲としては、若松区中央小学校区 20 丁目のうち山手の斜 面地及び沿岸の工業専用地域を除外した 13 丁目を規定した。. (2) 長屋の払い下げなどにより筆割が変更された画地に 関しては、建物更新が停滞する場合やまとめて駐車場. 謝辞 調査にあたり、北九州市役所建築都市局指導部にご協力いただきました。ここに記 して感謝致します。. 化する場合が多く、桜町と浜町二丁目の衰退に差が生. 参考文献. じる要因となっている。また建物が更新された場合で. 山下賢一郎「土地・建物の連動性からみた計画的市街地の変容過程に関する研究」(平. も、不整形な画地や狭小な画地の発生を伴うため、今. ゼンリン住宅地図 北九州市若松区 ,1970,1980,1990,2000,2009. 後の更新停滞へ繋がると考えられる。. 成 16 年度九州大学修士論文) 公図 北九州市若松区 桜町 , 浜町二丁目 .1970,2009 航空地図 北九州市若松区 1968,1979,1989,1999,2005. 27-4.

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