57-1 可撓部分 剛体 剛体 可 撓 長 さ 開 口 高 さ ho L 開 口 高 さ ho R
歴史的組積造建築物の耐震診断における保有水平耐力の評価方法に関する研究
辻 一 輝 1. はじめに 歴史的組積造建築物の耐震性を評価する規準の一つで ある重要文化財(建造物)耐震診断指針1)では組積造建築 物に対する診断法は示されておらず、 現状では個々の ケースに応じて様々な手法を用いて耐震診断が行われて いる。 そこで須山らは文献 2 で構造耐震性能指標 Is に より耐震性能を評価する歴史的組積造建築物の耐震診断 法を提案した。 須山ら手法では保有水平耐力を、 剛床が 並進、 開口部壁のみが変形、 壁体はすべてせん断破壊 する事を仮定し、 同一層間水平変位(ある壁体が最初に せん断破壊を生じる時の層間水平変位)の各壁体の負担 せん断力の和として算定している。 本研究はこの須山ら の保有水平耐力の算定手法に、 剛床の捩れの考慮、 開 口上部壁 ・ 開口下部壁の変形の考慮、 壁体の面内曲げ 破壊の考慮の 3 つの改善を施すものである。 またその改 善法の適用性の検証を目的に九州大学内に所在する煉 瓦造建築物(第一庁舎、 第三庁舎)の保有水平耐力の算 定を行った結果を示す。 2. 改善方法 2 . 1剛床の捩れの評価方法 組積造では、 壁体の変形能力が小さいため、 さほど不 整形でない建築物でも剛床の捩れの影響が大きくなる可 能性がある。 そこで本研究では、 剛床の捩れを考慮し各 壁体の層間水平変位を算出する。 剛床と壁体が線形弾性体であると仮定すると、 剛床の 捩れ変形を考慮したY方向の各壁体の層間水平変位iは 剛心の水平変位 Kを用いて以下のように表される(X 方向 も同様)3)。 ここで、 KYは Y 方向の各壁体の水平剛性の和、 exは 重心と剛心の X 方向偏心距離、 KRはねじり剛性(=(kXi・ ― ― ― ― Yi2)+(kYi・ Xi2))、 Xi,Yiは各壁体の剛心からの X,Y 方向 距離、 kXi,kYiは X,Y 方向の各壁体の水平剛性である。 2 . 2 水平剛性の評価方法 文献 2 では組積造設計規準4)に従い、 壁体の可撓長 さを開口高さの平均値、 開口上部壁 ・ 開口下部壁を剛体 として壁体の水平剛性 krigを算出をした。 これは、 一般的 に開口上部壁や開口下部壁に対して開口部壁の変形が 非常に大きいため妥当ではあるが、 図 1 に示す第一庁 舎に存在する壁体のように開口高さの小さい開口が取り付 く場合では、 開口部壁の変形量が非常に大きいとは考え にくい。 そこで本研究では開口上部壁 ・ 開口下部壁の変 形を考慮し壁体の水平剛性 kdefを算出する。 図 2 に壁体を開口の上下端で分割した 5 分割モデルを 示す。 kdefは開口上部壁および開口下部壁(図中の A,E区 画)のせん断変形と、 開口部壁(図中の B,C,D 区画)の曲 げ変形とせん断変形を考慮し算出する。 壁体の曲げ変形 はたわみによる変形とたわみ角による変形の和とし、 反 曲点高さ hcは両側の開口中心位置 L0L,L0Rの平均値とす る 。 開口高さと高さ幅比が水平剛性に与える影響を検討する ために、 krigとkdefの比krig/kdefについてパラメトリックスタディを行う。 変数は両側の開口高さの平均値 h0と階高 h の比 h0/h、 高さ幅比 h0/D とする。 階高 h および開口間中心距 離 D’ は実情を踏まえそれぞれ 4m、 D+1m とする。 図 3 に第一庁舎の開口の形状を示す。 第一庁舎の h0/h およ び h0/D の分布傾向を踏まえ、 図中のプロットで示す点で 検討を行う。 なお開口高さ比 h0L/h0Rは 1、 開口中心位置 は階高の中央とする。 K i R x Y i X K e K 1 図 1 第一庁舎軸組図( 抜粋) 図 2 壁体の 5 分割モ デル h o L h o R A B C E D L o L Lo R h c D D'=D+1m せん断変形 曲げ変形 せん断変形 A B C E D h o L h o R せん断変形 D'=D+1m D L o L L o R h c
57-2 0 0.5 1 1.5 2 2.5 1 1.5 2 2.5 ho/D=3.5 ho/D=2.0 ho/D=0.5 ho/h=0.4 kL 0 L /L 0 R /k1 開口中心位置比L0L/L0R 0 0.5 1 1.5 2 2.5 1 2 3 4 5 6 7 8 ho/D=3.5 ho/D=2.0 ho/D=0.5 kh0 L /h 0 R /k1 開口高さ比h 0L/h0R ho/h=0.4 図 4 に krig/kdefと高さ幅比 h0/D の関係を示す。 なお図中 には h0/h が 0.4、 0.6、 0.8 の時に h0/D を変化させた場合 も併せて示す。 h0/D および h0/h が小さいほど krig/kdefの値 は大きくなることから、 高さ幅比や開口高さが小さい壁体で は開口上部壁 ・ 開口下部壁の変形が大きい事がわかる。 開口高さ比と開口中心位置比が開口部壁の水平剛性に 与える影響を検討するために、 両側の開口高さが異なる 壁体の水平剛性 kh0L/h0Rおよび開口中心位置が異なる壁体 の水平剛性 kL0L/L0Rと開口高さが等しく開口中心位置が階 高の中央にある壁体の水平剛性 k1の比 kh0L/h0R/k1 , kL0L/ L0R/k1についてパラメトリックスタディを行う。 h0/h は 0.4 に 固定し、 開口高さ比 h0L/h0R、 開口中心位置比 L0L/L0Rは 実情を踏まえそれぞれ 1 ~ 8、 1.0 ~ 2.3 まで変化させる。 開口上部壁および開口下部壁は剛体とする。 階高 h およ び開口中心間距離 D’ は前述と同様である。 開口高さが異なる壁体の水平剛性比と開口高さ比の関係 を図 5 に、 開口中心位置が異なる壁体の水平剛性比と開 口中心位置比の関係を図 6 に示す。 開口部壁の水平剛 性がせん断変形で支配されている h0/D が 0.5 の横長の壁 体では、 開口高さ比 h0L/h0Rや開口中心位置比 L0L/L0Rが 大きくなると、 せん断変形する領域が増えるため、 水平 剛性は低下する。 開口部壁の水平剛性に曲げ変形が大 きく影響を与えている h0/D が 3.5 の縦長の壁体では、 開 口高さ比 h0L/h0Rが 3、 開口中心位置比 L0L/L0Rが 1.5 ま では図 2 で示す C 区画の曲げ変形が急激に小さくなるた め、 水平剛性は増大するがそれ以降では、 図 2 で示す B, D 区画の曲げ変形やせん断変形が大きくなることで、 水平剛性は低下する。 2 . 3 面内曲げ 耐力の算定方法 歴史的組積造建築物の耐震診断事例では保有水平耐 力 Qu を各壁体のせん断強度の和としている5)。 本研究で 改良を行う須山らの方法も、 全ての壁体がせん断破壊す ることを前提として、 Qu の評価方法を提案している。 しか し高さ幅比が大きい壁体では曲げ破壊が先行して生じるこ とも考えられ、 本研究ではどのような壁体で曲げ破壊が先 行するか検証し、 加えて曲げ破壊する壁体の保有耐力の 算定方法を提案する。 曲げ耐力は直交壁を考慮した曲げひび割れ耐力 Mc と 終局曲げ耐力 Mu の両方で評価する。 Mc および Mu は それぞれ、 図 7(a), (b )に示す平面保持の応力状態を仮 定する。 Mc は壁体を線形弾性体とし、 引張縁の応力度 を引張強度とする。 Mu は壁体を剛塑性体とし、 圧縮側 の応力度を圧縮強度の 0.85 倍とする。 なお Mu の応力度 分布は引張を無視する。 直交壁の有効な長さは、 片側に つき直交壁厚さの 6 倍、 または隣接する当該壁までの内 法長さの 1/4、 もしくは直交壁の開口端まで長さのうち最 小値とする。 当該壁の軸力 No および直交壁の有効軸力 Ne はそれぞれの壁体の図心に作用するとし、 軸力の偏 心による曲げを考慮する。 直交壁考慮の曲げ耐力は直 交壁を含んだ断面の図心回りの曲げモーメントとする。 図 8 に直交壁考慮なしの MN 曲線を示す。 軸圧縮応力 度 vがおおよそ 0.8N/mm2以下の範囲では、 Mc に対し て Mu が小さく、 煉瓦造では終局曲げ耐力が曲げひび割 れ耐力よりも小さい場合がある事を示唆している。 図 9 に本研究で用いる壁体断面の曲げモーメント M と 曲率 の関係のモデルを示す。 Mu が Mc よりも小さい場 図 4 水平剛性比 kr i g/ kd e f と高さ幅比の関係 図 7 応力度分布 (a) 曲げひび割れ耐力 (b) 終局曲げ耐力 図 5 水平剛性比 kh o L / h o R/ k1 と開口高さ比の関係 C ec xn t do 0.85σcu N Mu D C ec xn t do σc N Mc D T et σtu ※N=No+Ne 0 M Mc MuA φ MuB (Mc≦Mu) (Mc>Mu) 曲げひび割れ 図 9 壁体断面の 曲げ モ ーメント と曲率の関係 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 曲げひび割れ耐力 終局曲げ耐力 軸 圧 縮 応 力 度 V (N /m m 2) M/D2t(N/mm2) ※ tu=1.34 , cu=11.27(N/mm 2) 直交壁考慮なし 図 8 M N 曲線 0 0.5 1 1.5 2 2.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 ho/h=0.4 ho/h=0.6 ho/h=0.8 kri g /kd e f 高さ幅比ho/D 図 6 水平剛性比 kL o L / L o R/ k1 と開口中心位置比の関係 h= 4m ho ho/D =2.0 ho/D =0.5 ho/h=0.4 hL/hR=1 開口位置は階高の中央 ho/D =3.5 D'=D+1m D D'=D+1m D D'=D+1m D ho/D =0.5
ho/h=0.4 hoL/hoR=1 LoL/LoR=2.3
L o L( R) ho/D =3.5 ho/D =2.0 ho/h=0.4 hoL/hoR=3 開口位置は階高の中央 ho/D =0.5 ho/D=2.0 ho/D=3.5 ho L (R ) 図 3 第一庁舎の開口形状 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 開 口 高 さ の 平 均 値 / 階 高 h0 /h 高さ幅比h0/D ※▲■◆:検討点
57-3 合は赤点線で示すように曲げひび割れ後、 徐々に耐力 低下しながら Mu に達すると考えられるが、 本研究では赤 実線のように曲げひび割れ後は急激に耐力低下し Mu に 達するモデルとする。 Mu が Mc よりも大きい場合は青点 線で示すように曲げひび割れ後、 剛性低下しながら Mu に達すると考えられるが、 本研究では青実線のように曲 げひび割れ後は弾性状態のまま Mu に達するとする。 図 10 に曲げ破壊する壁体のヒンジ状態を示す。 ヒンジ 状態は、 一端が曲げひび割れ耐力に達する時、 一端が 終局曲げ耐力でもう一端が曲げひび割れ耐力に達する 時、 両端が終局曲げ耐力に達する時の 3 種類が考えら れ、 それぞれの状態のせん断力を Qmce、 Qmcu、 Qmuuとす
る。 Qmce、 Qmcu、 Qmuuのうち最大値を曲げ破壊する時の
せん断力 Qmとする。 どのような壁体で曲げ破壊するかを把握するために、 曲げ破壊する時とせん断破壊する時のせん断力の比 Qm/ Qsについてパラメトリックスタディを行う。 変数は、 高さ幅 比 h0/D、 軸圧縮応力度v、 せん断強度 0、 直交壁の 有効な長さDeとする。 軸圧縮応力度vを0,0.5,1.0N/mm2、 せん断強度 0を 1.0,1.5,2.0N/mm2、 直交壁の有効な長さ De を直交壁厚さ te の 0,3,6 倍とし、 それぞれ高さ幅比 h0/ D が 0.2 ~ 2.0 の範囲で検討を行う。 圧縮強度cuおよび 内部摩擦角 にはそれぞれ煉瓦造に適した値の 10.0N/ mm2、 0.5 を用いる。 なお引張強度 tu= せん断強度 0と し反曲点高さは可撓高さの中央とする。 図 11 に軸圧縮応力度、 せん断強度、 直交壁長さを変 数にした時の Qm/Qsと高さ幅比 h0/D の関係を示す。 h0/D が 1 以下の横長の壁体においても Qm/Qsが 1 を下回って いることから、 h0/D が小さい横長の壁体においても曲げ破 壊が先行する可能性があることを示唆している。 このこと から、 煉瓦造では曲げ破壊する可能性が十分にあると言 える。 図 11(a)に示すように、 軸圧縮応力度が大きいほ ど Qm/Qsが上昇するため、 軸圧縮応力度による耐力の上 昇はせん断耐力よりも曲げ耐力の方が大きい事がわか る。 図 11(b)に示すように、 せん断強度が大きいほど Qm/ Qsが低下するため、 せん断強度による耐力の上昇は曲 げ耐力よりもせん断耐力の方が大きい事がわかる。 しか しながらせん断強度の違いによる Qm/Qsの値の変化は顕 著ではなく、 せん断強度は破壊形式に影響を与えないと 言える。 図 1 1 ( c ) に示すように、 直交壁長さが長くなる と Qm/Qsが大きく上昇するため、 直交壁を考慮するかどう か、 および直交壁の有効な長さが曲げ耐力に大きな影響 を与えると考えられる。 図 12 に本研究の曲げ破壊する壁体およびせん断破壊 する壁体のせん断力 Q と変形 の関係のモデルを示す。 曲げ破壊する壁体では壁体の上部と下部の曲げ耐力が 異なり、 前述した M- 関係より Mc と Mu の大小関係も異 なる事から、 曲げ破壊する壁体の Q- 関係は様々なパ ターンが考えられるが、 本研究では Qu算定の簡便化を図 り、 図 12(a)に示すように一端曲げひび割れ耐力時のせ ん断力 Qm ceが両端終局曲げ耐力 Qm u uよりも小さい場合 は、 赤実線のようにモデル化し、 Qmceが Qmu uよりも大き い場合は青実線のようにモデル化する。 せん断破壊する 壁体の Q- 関係は須山らの手法と同様に、 図 12 (b )に 示すせん断強度に達した後は若干の塑性変形後せん断 破壊するモデルとする。 ( a ) 軸圧縮応力度 図 1 2 当該壁の保有耐力 図 1 3 当該階の保有水平耐力 図 1 0 ヒンジ 状態 0 0.5 1 1.5 2 0 0.5 1 1.5 2 0=1.0 0=1.5 0=2.0 Q m /Q s 高さ幅比h0/D ↑せん断破壊先行 ↓曲げ破壊先行 ※ 0の単位:N/mm 2 ※せん断強度 0 =引張強度 tu ※V=0.5N/mm2 0 0.5 1 1.5 2 0 0.5 1 1.5 2 V=1.0 V=0.5 V=0 Q m /Q s 高さ幅比h0/D ↑せん断破壊先行 ↓曲げ破壊先行 ※ Vの単位:N/mm 2 0 0.5 1 1.5 2 0 0.5 1 1.5 2 De=6×te De=3×te De=0×te Q m /Q s 高さ幅比h 0/D ↑せん断破壊先行 ↓曲げ破壊先行 ※De:直交壁の有効な長さ te:直交壁厚 ※V=0.5N/mm2 一端ヒンジ 一端ひび割れ 両端ヒンジ 一端ひび割れ 一端弾性 ○:曲げひび割れ耐力 ●:終局曲げ耐力
Qmce Qmcu Qmuu
図 1 1 Q m / Q s と高さ幅比の関係 ( b ) せん断強度 ( c ) 直交壁の有効な長さ
0
Q
Qu
δ
壁2(曲げ壁B) 壁1(曲げ壁A) 各壁の負担 せん断力の和 ×壁3(せん断壁)0
Q
Qu
δ
壁2(曲げ壁B) 壁1(曲げ壁A) 各壁の負担 せん断力の和 × 壁3(せん断壁)× 壁4(せん断壁)0
Q
δ
×0
Q
Q
mce ×:せん断破壊Q
muuAδ
Q
sQ
muuB 曲げ壁B 曲げ壁A せん断壁 一端曲げひび割れ (Qmce>Qmuu) (Qmce<Qmuu)Q
sQ
mce ( a ) 曲げ壁 ( b ) せん断壁 N Mc De=6×te t2 圧縮側に直交壁 曲げひび割れ耐力57-4 3 . 保有水平耐力の算定 3. 1 算定方法 保有水平耐力 Quは同一層間水平変位(剛床の捩れを考 慮する場合は同一の剛心の水平変位)に各壁体が負担す るせん断力の和のうち最も大きい値とする。 ただしせん断 壁がある場合はそのうち最初にせん断破壊を生じる時の 変位までとする。 面内曲げ破壊を考慮する場合は Quが 面内曲げ破壊で決定する場合とせん断破壊で決定する場 合が考えられる(図 13 )。 保有水平耐力は、 須山らの手法の剛床の並進、 開口 下部壁 ・ 開口上部壁を剛体、 壁体はすべてせん断破壊 を仮定して算出する QuA、 その仮定に、 剛床のねじれ、 開口上部壁 ・ 開口下部壁の変形、 面内曲げ破壊をそれ ぞれ考慮する QuB、 QuC、 QuDの 4 パターンで算定する。 対象建築物の平面図は文献 6 を参照されたい。 3 . 2 算定結果の考察 表 1 に保有水平耐力 Qu の算定結果を示す。 剛床のねじれを考慮する場合では、 その影響が大きい と考えられる偏心率が 0.15 以上の階でも QuB/QuAはほぼ 1.0 である。 これは、 最初にせん断破壊を生じる壁体と剛 心の位置が離れてなく、 かつそれらが中央に位置してい ることにより、 各壁体の負担せん断力が剛心よりも重心側 参考文献 1)文化庁文化財部:重要文化財(建造物)耐震診断指針 ,2001 2)須山 貴志 他:歴史的組積造建築物の耐震診断手法に関する研究 その 1, その 2,AIJ 大 会学術講演梗概集 ,2014 3)(財)日本住宅 ・ 木材技術センター:木造軸 組工法住宅の許容応力度設計 ,2008 4)日本建築学会:組積造設計規 準・同解説 ,1952 5)須山:歴史的組積造建築物の耐震診断手法に関する 研究 , 九州大学修士論文 ,2014 6)貴志:九州大学箱崎キャンパス内の歴史 的組積造建築物の耐震性能に関する研究 , 九州大学卒表論文 ,2014 表 1 保有水平耐力の算定結果 にある場合では上昇し、 剛心よりも重心と反対側にある場 合では、 低下するためである(図 1 4 )。 開口下部と開口上部の変形を考慮する場合では、 QuC/ QuAは第三庁舎 Y 方向 1 階を除き 1.0 を上回っており、 特 定の壁体に集中していた負担せん断力が緩和されたと言 える(図 15 参照)。 面内曲げ破壊を考慮する場合では、 QuD/QuAは第三庁 舎 Y 方向 PH 階および B1 階を除き著しく低下しているが これは、 高さ幅比 h0/D が 1 以下でも面内曲げ破壊するこ とや面内曲げ破壊後の耐力低下が大きいためである( 図 16 参照)。 すべての壁体に直交壁が取り付く第三庁舎 Y 方向 B1 階では、 曲げ耐力が大きく、 全ての壁体がせん 断破壊先行になるため、 保有水平耐力に変化はない(図 17 参照)。 4 . まとめ 須山らの保有水平耐力の算定手法に改善を施した。 今 後は組み合わせた評価法を提案することが望まれる。 QuA (kN) 偏心率 QuB (kN) QuC (kN) QuD (kN) 保有水平耐 力決定要因 QuB QuA QuC QuA QuD QuA 2 37,427 0.04 34,378 39,156 12,135 曲げ破壊 0.92 1.05 0.32 1 43,705 0.06 43,828 54,398 23,318 曲げ破壊 1.00 1.24 0.53 2 28,970 0.04 29,200 35,683 12,172 曲げ破壊 1.01 1.23 0.42 1 35,493 0.05 35,161 57,407 25,633 曲げ破壊 0.99 1.62 0.72 PH 4,102 0.31 4,179 4,261 1,762 曲げ破壊 1.02 1.04 0.43 2 8,129 0.31 8,373 9,422 2,787 せん断破壊 1.03 1.16 0.34 1 13,650 0.10 13,797 15,928 4,865 曲げ破壊 1.01 1.17 0.36 B1 23,774 0.12 29,894 33,182 16,076 曲げ破壊 1.26 1.40 0.68 PH 3,693 0.31 4,573 8,756 4,353 曲げ破壊 1.24 2.37 1.18 2 18,112 0.04 18,585 21,004 10,435 曲げ破壊 1.03 1.16 0.58 1 21,241 0.05 20,837 20,758 12,634 曲げ破壊 0.98 0.98 0.59 B1 15,231 0.09 16,797 33,171 15,231 せん断破壊 1.10 2.18 1.00 開口上部と 下部の変 形を考慮 面内曲げ破壊考慮 須山らの手法 本研究の手法 剛床の ねじれ 考慮 並進、全てせん 断破壊、開口上 部と下部を剛体 加力 方向 X Y 保有水平耐力比 対 象 建 築 物 第 三 庁 舎 第 一 庁 舎 階 X Y 図 1 4 第三庁舎 2 階平面図 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 0 1 2 3 4 5 6 各壁体の負担 せん断力 各壁体の負担 せん断力の和 層間水平変位(mm) 第三庁舎Y方向2階 Qu Q (k N ) 図 1 6 Q - δ関係 0.5 1 1.5 2 2.5 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 PHF 2F 1F B1F 水 平 剛 性 比 krig / kde f 水平剛性k rig/断面積(kN/m 3×10-6) 第三庁舎 X方向 0.5 1 1.5 2 2.5 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 2F 1F 水 平 剛 性 比 krig / kde f 第一庁舎 Y方向 水平剛性k rig/断面積(kN/m 3×10-6) ※数値は各壁体の負担せん断力比 QiB/QiA 図 1 5 水平剛性比 図 1 7 曲げ ひび割れ耐力 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1 1.5 2 2.5 3 PHF 2F 1F B1F 第三庁舎 Y方向 引 張 側 の 曲 げ ひ び 割 れ 耐 力 M c/ D 2t 直交壁を含んだ断面積/当該壁断面積 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1 1.5 2 2.5 3 2F 1F 引 張 側 の 曲 げ ひ び割 れ 耐 力 M c /D 2t 直交壁を含んだ断面積/当該壁断面積 第一庁舎 Y方向