英 国 にお け る民 営化 政 策 と社 会 福祉 行 政 の動 向(2)
英 国 に論 け る民 営 化 政策 と
社 会 福祉 行 政 の動 向(2)
山 本
隆
V 地 方 自 治 体 社 会 福 祉 行 政 と新 管 理 体 制 主 義 の 胎 動 地 方 自 治 体 社 会 福 祉 行 政 の 合 理 化 をめ ぐ る情 勢 監 査 委 員会 の設 置 を契 機 と して、 社 会 サ ー ビス 部 に 対 して企 業 的 マ ネ ー ジ メ ン トの奨 励 を近 年 強 力 に 進 め よ うとす る新 管 理体 制 主 義(New Man agerialism)が 導 入 され つ つ あ る。 社 会 福 祉 に お け る新 管 理 体 制 主 義 の構 図 は 人 口の 高 齢 化、 支 出 抑 制 を背 景 に して、 監 査 委 員 会 の諸 活 動 が展 開 さ れ、 財 政 危機 が あ お られ る中 で、 管 理 の シ ス テ ム を導 入 しよ うとす る もの で あ る。 そ の 中身 は施 策 の優 先 順 位 づ け、 国 基 準 に よ るサ ー ビ ス の 平 準 化、 単 位 費 用(unit cost)の 抑 制、 割 当 て、 料 金、 サ ー ビス の販 売 等 か ら成 り立 って い る。 本 節 で は、19-0年 代 の末 か ら始 ま る支 出抑 制 と社 会 サ ー ビス 部 のサ ー ビス供 給 へ の影 響 を、19-9年 か ら1986年 の時 期 に わ た っ て、 監 査 委 員会 が推 奨 す る新 管 理体 制 主 義 の導 入 とい う視 点 か ら み て み る(4)。 19-9年 以 降 特 徴 的 な点 は、 保 守 党 政 権 下 で サ ッチ ャー リズ ム の5つ のE が唱 え られ 実 施 され た こ とで あ る。五 つ のEと は経 済 性(economy), 能 率 性(efficiency)、 優 秀 性(excellenee)、 進 取 性(enterprise)、 効 果 性 (effectiveness)で あ る。 これ らが 重 視 され、 福 祉 サ ー ビ ス の供 給 に 当 っ て、 徹 底 的 に経 済 合理 性 の 追 求 が 行 われ た。 今 日行 政 サ ー ビス の質 が 問 わ れ る 中 で、 実 績 志 向 の政 策 が と られ て い る。 と りわ け 「費 用 価 値 」 の概 念密 教 文 化 が提示 され、 コス ト ・パ フ ォー マ ンス の実 効 が強 調 され て い る。 現 代 国 家 の財 政 危機、 支 出 削 減 との 関連 で、 福 祉 行 財 政 の ア ー トが 重 視 され て い る と指 摘 で き よ う。 と くに英 国 で は、 二 重 の圧 カ ー 人 口動 態 の変 化、 予 算 削 減 が政 策課 題 の 中 心 とな り、1970年 代 か ら中 央 政 府 の ガイ ダ ン ス の核 とな って い る。 ま た ソー シ ャル ・ポ リシ ー の領 域 に限 らず、 これ まで 述 べ た よ うに、 国 家 の役 割 を制 限 しよ うとす る政 策 が実 行 され て きた。 疑 似 市 場 原 理 が取 り 入 れ られ、 そ の シ ミ ュ レー シ ョ ン化 が行 われ て きた。 福 祉 分 野 で言 え ば、 そ の具 体 策 は民 間 委 託、 競 争 入 札、 料 金 化 等 の 実 施 で あ る。 これ らの施 策 の徹 底 か ら、 ビジ ネ ス ラ イ クな運 営 管 理 の 確 立 とそ の 実績 の 向上 が そ の主 要 な 狙 い とされ て き た。 ニ ー ドの優 先、 効 率 ・節 約 の要 請、 費 用 効 果 の 追 求 が 行 われ、 実 際 に は、 社 会 サ ー ビス 部 の 運 営管 理 の改 善 の 奨 励、 市 場 機 構 へ の接 近、 コ ミュ ニ テ ィ ・ケ ア を通 した福 祉 資 源 の再 配分 が 実 施 され よ
うと して い る。 注 目 され る の は、 デ レク ・レイ ナ ー 卿(Sir Derek Rayn-er)の 任 用 に よ り、「レイ ナ ー リズ ム 」 が 実行 され始 め た こ とで あ る。 そ れ は、 よ り少 な い 費 用 で 同 レベ ル の サ ー ビス を維 持 す る とい う理 念 で、 福 祉 行 政 の 合 理 化 が企 図 され て い る。 実 務 的 には、 地 方 政 府 へ の財 政統 制 が 断行 され、 そ の影 響 か ら、 市 場 の 機 構 に 福 祉 を委 ね る こ と とな り、支 出超 過 と費 用 価 値 の改 善 か ら経 営 的 革 新 が 実 行 され る とい うシナ リオ で あ る。 そ の た め、 競 争 入 札、 料 金 制 の 徹 底、 福 祉 サ ー ビス の 公 的 買 い 上 げ が実 施 され る わ け で あ る。 実 際、 そ の 展 開 の 流 れ と して は、1983年 の監 査 委 員 会 の設 置 が 重 要 で あ り、福 祉 行政 の 分 水 嶺 と指 摘 され て い る。 監査 委 員会 は番 犬 的 役 割 を担 い、「好 ま し い 実 践 」 の奨 励 を行 って き た。 これ ま で保 守 党 政 府 は公 的 サ ー ビ ス の評 価 ・査 定 を行 い、 監 査 委 員会 が 行 政 サ ー ビス の新 管 理 体 制 主 義 を促 進 して きた。 同 時 に、 福 祉 全 般 の動 き と して は、 サ ー ビス ・デ リバ リー(サ ー ビ ス送 達)の 方 法 が 問 わ れ て お り、供 給 側 の シ ス テ ム か ら利 用 一 消 費 側 の シス テ ム へ とそ の 革 新 性 が求 め
-116-英 国 に お け る民 営 化 政 策 と社 会 福 祉行 政 の動 向(2) られ て い る。 監 査 委 員会 は、 福 祉 行 政 の合 理 化 の 中 で、 社 会 サ ー ビス部 の マ ネ ー ジ メ ン トの 「文 化 」 を問 題 視 して お り、 そ の 中 か ら福 祉 サ ー ビ ス の 供 給、 単 位 費 用、 料 金 等 の あ り方 を課 題 に しな が ら、福 祉 サ ー ビ ス の標 準 化 を試 行 して い る。 福 祉 サ ー ビス の供 給 につ い て は、 地 方 政 府 の支 出 抑 制 が基 本 問 題 とな っ て お り、単 位(unit)別 に影 響 が 異 な って きて い る。 詳 細 な検 討 は後 段 に て 行 うが、 国 家 基 準 の適 用 の 具体 策 と して、 七 つ の 施 策 が 列 挙 され る。 す な わ ち、 そ の 第 一 は優 先 順位 に よ る施 策 で あ り、例 え ば老 人福 祉 施 策 の 中 で も、健 康 老 人 か 非 健康 老 人 か の政 策 選 択 が あ り得 る。 第二 は 目標 指 数 化 に よ る施 策 で あ り、国家 に よ る指 数 基 準 化 に よ り一 定 の ター ゲ ッ ト指 数 が 設 け られ る。 英 国 で は、 精 神 病 院 の病 床 数 の 削減 が そ の例 で あ る。 第 三 は 効 率 性 の 追 求 に よ る施 策 で あ る。 結 食 サ ー ビ ス、 保 育 時 間 数 に お いて コス ト削減 が 著 しい。 第 四 は 費 用 効 果 性 を重視 す る施 策 で あ り、施 設 か らデ イ ・ケ ア へ の 切 り換 えが 議論 され て い る。 第 五 は料 金 に よ る施 策 で あ る。 ま 第 六 は歳 入 調 達 に よ る施 策 で あ り、あ る 自治体 か ら他 の 自治 体 へ福 祉 サ ー ビ ス を販 売 す る こ とが で きる。 第 七 は供 給 の外 部 化 に よ る施 策 で あ り、供 給 の多 元 化、 民 間委 託、 ボ ラ ンタ リー(非 営利 民 間)団 体 お よび企 業 か ら の 買 い 上 げ等 が含 まれ る。 社 会 福 祉 行 政 にお け る新 管 理 シ ス テム の導 入 の背 景 サ ッチ ャー 主 義 は地 方 自治 体 社 会 福 祉 行 政 の合 理 化 の促 進 を標 傍 して い た。 具 体 的 には 公 的 な福 祉 サ ー ビス 供 給 の シ ス テ ム を改 変 し、外 部 委 託、 競 争 入札、 料 金 制 の 利 用、 企 業 部 門 お よび ボ ラ ン タ リー部 門 か らの社 会 的 ケ ア の公 的購 入 等 の 手段 を通 して、 市 場 機 構 の 導 入 や シ ミュ レー シ ョン化 を実 施 す る こ と を内容 と して い た。 そ の結 果 国 家 の 独 占的 供 給 形 態 に代 わ り得 る も の と して、 企 業 部 門 の管 理 形 態 や 技 術 が奨 励 され 導 入 さ れ て い る。 運 営 管 理 の方 法 は ビジ ネ ス ラ イ ク で、 経 営 効 率 を重 視 し、実 績 志 向 で あ る よ うに要 請 され て い る。
密 教 文 化 民 営 化 と運 営 管 理 の変 革 は国 家 の福 祉 支 出 の削 減 を もた らす 手 段 で あ り、同 時 に国 家 の歳 出 削 減 は福 祉 国 家 の組織 上 の経 営 革 命 を もた らす 戦略 の一 部 をな して い る。 た だ こ う した 運 営管 理 の イ ニ シ ャテ ィブ は、19-9年 の 選 挙 の 頃 よ り以 前 に 行 わ れ て は い た。 以 前 の そ れ と大 き く異 な る の は、 19-0年 代 中 葉 以 降、 英 国 政 府 と くに 大 蔵省 内 で提 示 され た 見解 は、 公 的部 門 を め ぐる運 営管 理(の 危 機)の 問題 とそ の対 応 で あ る。 厳 密 に 言 え ば、 公 的 部 門 にお け る運 営 管 理 は そ れ 自体 地位 が低 く、 同時 に そ の シ ス テ ム は 経 済 観 念 に欠 ける とい う批 判 が 行 わ れ て きた。 当時、 公 共、 民 間組 織 い ず れ の領 域 にお い て も支 出 お よび 財 源 には余 り注意 が払 われ て こな か った。 こ うした 姿 勢 は批 判 を受 け、 変 更 を求 め られ て きた の で あ る。 実 際 財 政 危機 が 公 的 支 出 の 拡 大 を抑 制 す るが、 公 的 部 門 の運 営 管 理 を変 革 す る上 で、 従 前 に お い て も計 画 は あ る程 度 財政 危 機 とい う状 況 で つ く ら れ て きた。 地 方 自治体 社 会 サ ー ビス 部 の社 会 福 祉 サ ー ビス の場 合、 模 範 的 運 営 管 理 は人 口高 齢 化 と支 出 削 減 とい う二 つ の圧 力へ の対 応 策 と して み ら れ た。1977/8年 の 「地 方 税 支 援 補 助 金 法 」 で は、 こ う した環 境 の下 で、 福 祉 サ ー ビス の標 準設 定 は単 位 費 用 の増 大 を制 限 した り、 サ ー ビス供 給 の 効 果 的 な方 法 を考 案 した り、派 生 的部 分 を 削減 す る こ とに よ る と され た。 一 方1974年 か ら1978年 に か け て、 保 健 社 会 保 障 省(当 時)は 社 会 サ ー ビス 部 に対 して、 児 童 虐 待 の よ うな 危 険 な 状 態 にあ る(at risk)児 童 を保 護 す るサ ー ビス、 施 設 ケ ア に重 点 的 に対 応 す る具 体 的 ガ イ ダ ン ス を配 布 して い る。 い ず れ に して も1970年 代 で は、 中央 政 府 の指 導 は効 率 的 援 助 の必 要 性 や コ ミ ュニ テ ィ ・ケ ア の戦 略 を通 した費 用 効 果 性 の追 求 に よ る優 先 順 位 策 を強 調 して い た。 この 点 で、1979年 か ら中央 政 府 は地 方 公 共 団 体 の社 会 サ ー ビ ス に 対 し て、 同様 の政 策 を さ らに強 化 して い る。 中 央 政 府 は社 会 サ ー ビ ス部 に対 し て合 理 的 運 営 管 理 の実 践 を奨 励 した が、 同 時 に福 祉 サ ー ビス の提 供 を市 場 に任 せ る よ う通 告 して い た。 こ の こ とは競 争 入 札、 料 金制 の導 入、 民 間 部 門 か らの買 上 げ等 を実 施 す る よ うに との指 導 で あ った。
-114-英 国 に お け る民 営 化 政 策 と社 会 福 祉 行政 の動 向(2) この よ うな動 きは、 国 家 の独 占的 供 給 へ の代 替 策 を模 索 す る 中 で、 民 間 部 門 の運 営 形 態 や 技術 を直 接 導 入 して い く姿 勢 の反 映 とな って い る。 そ の た め必 然 的 に、 社 会 サ ー ビス部 の運 営 管 理 は ビジネ ス ライ ク とな り、経 営 効 率 に関 心 を も ち、 実 績 志 向へ と要請 され て い った。 サ ッ チ ャ ー主 義 的 運 営 管 理 の 初 期 の 例 と して、 首 相 の ア ドバ イ ザ ー の 役 割 を果 た した マ ー ク ス ・ア ン ド ・ス ペ ンサ ー 会 長 の デ レ ク ・レイ ナ ー 卿 の助 言 に つ い て は先 に触 れ た。 レイ ナ ー リズ ム と呼 ばれ た政 策 コン セ プ トの 特 質 は、 同 じ水 準 の サ ー ビス の提 供 を よ り安 価 な費 用 で行 うこ とに あ り、 レイ ナ ー 的 手法 は、 諸 活 動 の運 営 管 理 に対 して費 用 意 識 を染 み 込 ませ る こ とに あ っ た。 1979年 以 来、 中 央 政 府 は地 方 自治体 へ の 支 出 を削 減 し、 自治 体 機 構 の再 編 成 を促 進 した。1986年、 「政 府、 計 画 お よ び土 地 法 」 を制 定 し、支 出 に対 す る ニ ー ドの評 価 や 国 の水 準 を超 え る支 出 に対 す る 罰則 規 定 を設 け、 資 本 支 出 に関 して 制 限 を強 化す る等 の 内容 を決 定 して い る。 これ らの 財 政 的 な 統 制 は、 コス ト ・パ フ ォ ーマ ン ス あ るい は経 営 効 率 の改 善 や 超 過 支 出 自治 体 の 活 動 を抑 制 す る に必 要 と考 え られ て い た。 さ らに、1984年 の 「地 方 税 」法 は、 中 央 政 府 に地 方 自治体 の地 方 税 課 税 の制 限 を行 う権 限 を与 え た。 そ の後、 中央 一 地 方 政 府 間 で、 技 術 的行 政 と法 的 戦 略 の複 雑 な仕 組 み を含 む地 方 支 出 に 関す る激 しい 闘争 が展 開 され て い った の は 周 知 の とお りで あ る。 こ う した 中 央 政 府 の統 制 的 姿 勢 は地 方 自治 体 に過 大 な 負担 を もた ら した の は言 うまで も ない。 た だ わが 国 の中 央 一 地 方 関 係 と違 って、 英 国 の地 方 自治 体 は 直 接 支 配 され る中 央 政 府 の 機 関 で は ない の で、 地 方 行 政 にお け る 合 理 化 は 間 接 的 に促 進 され て い った。 中 央 政 府 か らの指 導 は比 較 的 自治 権 を もつ地 方 自治体 に は 不 可 能 で あ る た め、 社 会 サ ー ビ ス に お け る新 管 理 体 制 主 義 は 国民 保 健 サ ー ビス(NHS)に お ける グ リフ ィ ス ・ス タ イ ル の よ うな具 体 的 な主 導 力 を伴 っ て い な か っ た よ うで あ る。 こ う して 社 会 福 祉 サ ー ビ ス の運 営 管 理 の改 革 は、 間 接 的 な方 法 で進 め られ、 企 業 や 事 業 の価 値 の 全 般 的 奨 励 が 行 われ、 支 出 抑 制 の推 進 と結 合 して い った の で あ る。 この
密 教 文 化 よ うに地 方 自治 体 の歳 出抑 制 の時 期 に、 監 査 委 員 会 は 地 方 自治 体 の社 会 福 祉 サ ー ビス供 給 の 実績 を批 判 し、運 営 管 理 の革 新 と模 範 的 実 践 を奨 励 して い った。 地 方 自治 体 社 会 福 祉 行 政 の合 理 化 は、 地 方 政 府 の 運 営 管 理 に お け る危機 感 をあ お る こ とに よ って、 大 々的 に実 行 され て い った の で あ る。 監 査 委 員 会 と社 会 福祉 サ ー ビス に お け る新 管 理 体 制 主 義 保 守 党政 権 が1982年 「地 方 政 府 財 政 法 」 に よ り監 査 委 員 会 を設 置 した こ とは既 に触 れ た。 そ れ は、 地 方 支 出 にお け る応 責 性(accountability)を 履 行 す る上 で の 法 的 役 割 は 別 と して、 地 方 自治体 の諸 活 動 の効 果 性 お よび そ れ らを規 定 す る取 り決 め を調 査 す る こ と を要 請 して い た。 監 査 委 員 会 は、 運 営 管 理 上 の不 備 を点 検 す る調 査 を基 に した 主要 な政 策 記 録 の 刊 行、 あ る い は供 給 実 績 と需 給 バ ラ ン ス に関 す る比 較 統 計値 を各 社 会 サ ー ビス 部 に年 1回 配 布 す る こ とに よ って、 社 会福 祉 サ ー ビス に お け る新 管 理 体 制 主 義 を 確 立、 促 進 しよ う と して い た。 監 査 委 員 会 の社 会 福 祉 サ ー ビ ス に対 す る評 価 は、 と りわ け効 率 性 の追 求 に置 かれ て い た。 監 査 委 員 会 は、 公 的 部 門 の 運 営管 理 の実 績 に対 して 幅 広 い多 面 的 な評 価 を行 って お り、毎 年 社 会 サ ー ビス 部長 に多 くの 文 書 を与 え て い る。 そ れ に は、 各 社 会 サ ー ビス部 の諸 活 動 の実績 内 容 とそ の比 較 評 価 が記 録 され て い る。 さ らに監 査 委 員会 の刊 行 物 『費 用 価値 』(VFM)は、 児童 お よび老 人 に対 す る サ ー ビス の案 内、 各 ク ライ エ ン ト・ グル ー プの た め の サ ー ビス の改 革 案 等 を提 示 して い る。 基 本 的 に は、 監 査 委 員会 は地 方 自治 体 の変 革 を行 うほ どの 指 導 お よび 影 響 力 の行 使 は行 っ て は い な い。 む しろ そ の ア ブ ロー チ は、 経 営 効 率 とい う 点 で、 近 年 実績 を上 げ て い る機 構 的 刷新 の調 査 に関 心 を寄 せ て い る程 度 と 言 え よ う。監 査 委 員会 の戦 略 は現 代 の組 織 的 分 析 に顕 著 な 「文 化 的 変 容 」 の強 調 に置 い て い る。 そ の主 眼 は、 正 式 な機 構 改 革 とい うよ り組 織 の 環 境 を変 えて い く構 造 上 の 信 念 の 上 に あ る と言 われ て い る。 監 査 委 員 会 は 従 来 の社 会 サ ー ビス 部 の運 営 管 理 文 化 の 根 本 的 信念 を変 えて い くこ とに 腐 心 し
-112-英 国 に お け る民 営 化 政策 と社 会 福 祉 行 政 の動 向(2) て い る。 需要 拡 大 の 時期 に、 歳 出 が大 き く抑 制 され る とい う状 況 に 適 切 に 応 え、 かつ 自治体 の行 政 改 革 の 必要 性 を説 明 す る上 で の有 効 策 だ か らで あ る。 監 査 委 員 会 の理 念 は経 済 性 お よ び効 率 性 の追 求 に あ り、施 策 目標 の一 層 の 明 確 化 や 効 率 の よい サ ー ビス供 給 を行 うた め の組 織 的 調 整 の改 善 を要 求 して い る。 そ の指 導 は、 地 方 自治 体 の浪 費 を指 摘 し、危 機 感 をつ く り出す 形 を と って、「模 範 的 実 践 」 を報 奨 して い る と言 え る。 また 監 査 委 員 会 は、 そ の 目標 の 幅 広 い 評 価 か ら、 地 方 自治体 に対 して 指 導 を行 って い る。 それ は、 自治 体 の運 営管 理 の現 状 を批 判 的 に評 価 し、上 級 職 管 理 に 関 す る疑 問 点 を質 問 した り、 そ の問 題 を明確 に す る こ とに よ って、 社 会 サ ー ビス 部 を 変 革 しよ う と して い る。 取 り組 むべ き課 題 と して、 コ ミュ ニ テ ィ基 盤 の 代 替策 と施 設 ケ ア の積 極 的 利 用、 もっ とも困 窮 す る者 に資 源 を特 定 し集 中 す る こ と、 コ ミ ュ ニテ ィ ・サ ー ビ ス の運 営 管 理 にお い て 目標 を 明確 化 す る こ とを挙 げ て い る。 一 方、 監 査 委 員会 は地 方 自治 体 が 政 策 を明 らか に し、 地 方 自治 体 の情 勢 に関 す る有 確 な 情 報 に 基 づ い て 政 策 を実 行 す る こ と を奨 励 して い る。 ま た 適 宜 改 善 が示 され、 政 策過 程 の 中 に フ ィー ドバ ッ ク して い くよ うに、 政 策 変 更 を モ ニ タ ー す る シ ス テ ム の 発 展 を望 ん で い る。 この よ うな経 営 管 理 的 戦 略 を進 め る上 で、 監 査 委 員会 は社 会 サ ー ビス部 の伝 統 的 運 営 管 理 の モ デ ル か ら革 新 的 で柔 軟 かつ 実 績 重 視 の運 営 管 理 へ と切 り換 え る こ と を要 請 し て い る。 た だ監 査 委 員 会 の設 置 前 に は、 社 会 サ ー ビス 部 の 運 営 管 理 に関 し て、 行 政 的 運 営 管 理 モ デ ル と専 門 的 ソー シ ャ ル ワー クの価 値 との 潜 在 的 な 相 克 が あ った の は確 か で あ る。 危 機 感 が あ お られ る 中 で、 運 営 管 理 の改 革 の 必要 性 とい う方 向 は、 これ ま で位 階 制 や 統 制 的 管 理 を受 け 入 れ る の に抵 抗 した機 構 組 織 を、 目標 基 盤 の柔 軟 な運 営 管 理 の形 態 へ と誘 導 して い った と考 え られ る(5)。 新 管 理 体 制 主 義 は測 定 可 能 な 目標 の具 体 化 と達 成 を強 調 す る こ と がそ の 主 な特 徴 で あ る。 これ らの 目標 に即 して、 福 祉 サ ー ビ ス が評 価 され る わ け
密 教 文 化 で あ る。 ま た ス タ ッ フの プ ロモ ー シ ョンにつ い て は、 経 営 革 新 の努 力 の 見 返 りで あ り、具 体 的達 成 の報 奨 で あ る と して い る。 一 方 効 率 性 の基 準 に即 して、 社 会 サ ー ビス部 で の専 門的 ニ ー ドの判 断 あ るい は 料 金 制 に よ っ て 資 源 を割 当 て る こ とが強 調 され て い る。 さ らに新 管 理体 制 主 義 は、 効 果 性 と 費 用 効 果 を実 行 す る上 で、 外 部 資 源 の利 用 を奨 励 して い る。 内部 の組 織 の 問 題 よ りは、 行 政 機 関 で あ ろ う とボ ラ ン タ リー 団体 で あ ろ うと周 辺 の環 境 と の組 織 的 につ な が り とそ の調 整 に関 心 を抱 い て い る。
Aidan Kelly, Expenditure Restraint and the New Managerialism in Social Services Departments:the Impact on Service Provision 1979-19 86 p.6 新 ・旧 の管 理 体 制 主 義 の対 照 が図2に 要 約 され て い る。 運 営 管 理 形 態 の 変 化 は 長 期 の支 出 抑 制 の時 代 の結 果 と言 え るが、 社 会 サ ー ビ ス部 の機 構 改 革 は 社会 サ ー ビ ス部 の管 理 す る福 祉 諸 活 動 の 再編 成 を導 く も の とな って い る。 具体 的 に は、 福 祉 サ ー ビ ス供 給 の優 先 性 の 問 題、 料 金 制 の導 入、 人 口 図1新 ・旧管 理 体 制 主 義 の対 照
-110-英 国 に お け る民 営 化 政策 と 社会 福 祉 行 政 の動 向(2) 動 態、 指 標 と密 接 に関 連 した サ ー ビス水 準 の 標 準 化、 コ ミュ ニテ ィ ・ケ ア の充 実 等 の 問 題 が組 上 に の ぼ る こ とに な る。 新 管 理 体 制 主 義 の導 入 は社 会 福 祉 サ ー ビ ス の供 給、 単 位 費 用、 料 金 制 等 に対 して 測 定 可 能 な結 果 を もた らす。 エ イ ダ ン ・ケ リー(Aidan Kelly) は、 新 管 理 体 制 主 義 の運 用 面 で の特 徴 を 以下 の よ うに 項 目的 に 説 明 して い る。1)未 充 足 の ニ ー ド,歴 史 的 に過 小 な供 給、 需要 の増 大 に応 え きれ な い サ ー ビス に対 して優 先 順 位 づ け を行 う。2)福 祉 機 関 の 実績 に 照 ら して、 サ ー ビ ス水 準 に対 す る 資 源 配 分 を特 定 化 す る。3)効 率 性 をあ げ る た め に、 単 位 費 用 の増 大 を抑 制 し、 既 存 の資 本 施 設 を最 大 限 に 活 用 す る。4)費 用 効 果 性 の追 求 の た め に、 施 設 ケ ア に代 わ る コ ミュ ニ テ ィ基 盤 の代 替 策 を 進 め る。4)実 額 コス トの 変 化 を利 用 者 に意 識 させ、 供 給 側 に は顕 在 化 した 需 要 に対 して敏 感 に させ る こ と に よ り、希 少 な資 源 の割 当 て を行 う。6)単 位 費 用 に連 動 させ て、 料 金 を引 き上 げ る こ と に よ って 歳 入 の調 達 を 図 る。7)未 利 用 の施 設 ケ ア を他 の社 会 サ ー ビ ス部 に販 売 す る こ とに よ っ て歳 入 の調 達 を図 る。8)他 の 社会 サ ー ビ ス部、 私 的 お よ び ボ ラ ン タ リー組 織 との協 働 を 通 して サ ー ビ スの 提 供 を行 う。9)地 方 の保 健 当局 と共 同 して、 歳 入 の調 達 を図 る(6)。 社 会 サ ー ビス部 の歳 出 抑 制 と サ ー ビ ス供 給 地 方 自治 体 の歳 出 動 向 と福 祉 抑 制 との 関連 は、 社会 サ ー ビ ス部 に おい て広 い 関心 を呼 んで い る。 周 知 の とお り、歳 出抑 制 は地 方 税 や 中央 政 府 の補 助 金 か ら得 られ た 純 支 出 に お け る割 合 の変 化 に よ って操 作 され る。 表1は 社 会 サ ー ビス部 の諸 活 動 の範 囲 に お ける年 間 の歳 出 を 示 し て お り、 これ ら の指 標 は歳 出 増 加 を表 して い る。 イ ンフ レー シ ョ ン を考 慮 に い れ る と、1983年 前 後 の時 代 の相 違 が表 れ て い る。1983年 ま で は、 社 会 サ ー ビス部 に よ る全 体 の純 歳 出 は1年 につ き平 均3.9%の 増 加 で あ っ た が、1983 年 以 後 は純 歳 出 は1年 につ き0.6%に 低 下 して い る。 重 要 な の は、 サ ー ビ ス歳 出 の低 下 は1983年 以 来、 児 童 と老 人 のた め の施 設 ケ ア に お い て み られ
密 教 文 化 る こ と で あ る。 表1の 最 後 の 二 つ の 欄 は、 全 体 の 純 歳 出 を 減 額 し て い る項 目 の 中 で99の 社 会 サ ー ビ ス 部 の 割 合 に お い て、 い か に こ う し た 手 段 が 反 映 さ れ て い る か を 示 して い る。 社 会 サ ー ビ ス 部 の う ち3%だ け、1983年 以 前 に、 純 資 源 に お け る 低 下 を 示 して い る が、 社 会 サ ー ビ ス 部 の う ち62.6%が 1983年 か ら1986年 の 問 に 影 響 を 受 け て い る(7)。 表1 対 人 福 祉 サ ー ビ ス の歳 出: 1979年 一1986年 間 の社 会 サ ー ビス部(イ ン グ ラ ン ド)の 実質 純 支 出 の平 均水 準 の推 移 平均純支出 歳出の平均1年 当 りの実 質 社 会 サ ー ビス部め実質歳 出削減 1979 1983 1986 79-83 83-86 79-83 83-86 Cipfa 1979-1986
-108-英 国 に お け る民 営化 政 策 と社 会福 祉 行 政 の 動 向(2) 保 健 社 会 保 障 省(当 時)の2%の 成 長 基 準 を、 サ ー ビス に対 す る ニー ド の 変 化 を表 す 水 準 と して 使 う場 合、 財 政 上 の 圧 迫 は一 層 大 き く な っ て い る。1979年 か ら1983年 の 期 間 で は、 社 会 サ ー ビ ス部 の12%の 数 字 が成 長 基 準 に対 応 で きて い な い こ と を示 して い る。 そ して1983年 か ら1986年 の 間 に は、 数 字 的 に は86%に ま で上 昇 して い る(8)。 次 に、 表2は 社 会 サ ー ビス部 の一 人 当 りの供 給 に対 す る支 出 の影 響 を示 して い る。 非 常 に興 味 深 い 点 で あ るが、 国 民 一 人 当 り供 給 は、 児 童 お よ び 老 人 の施 設 ケ ア お よび ホ ー ム ヘ ル プ時 間 にお い て、大 き く減 額 され て い る。 困 窮 者 や 精 神 病 者 へ の サ ー ビス に お い て、 最 も大 きな増 加 が み られ る。 表 2は サ ー ビス減 少 をな く して い る社 会 サ ー ビス部 の比 率 を示 す こ とに よ っ て、 この こ とを追 認 して い る。 人 口変 化 を考 慮 す る と、児 童 の施 設 ケ ア、 児童 の 地 域 内 措 置(commUnity placement)、 ホー ムヘ ル プ、 食 事 サ ー ビス に お い て、 大 幅 なサ ー ビ ス減 少 が み られ る。 一 人 当 りの数 字 は、 老 人 の た め の サ ー ビス提 供 が 拡 大 して い る もの の、 ま さ に老 人 の要 援 護 状 態 の深 刻 化 が考 慮 され な い ま ま、老 人人 口の増 加 のペ ー ス に追 いつ くの に十 分 で な か っ た こ と を示 して い る。1983-86年 の 時 代 に は、 調 査 対 象 の社 会 サ ー ビ ス部 の中 の78%が、74歳 以 上 の老 人 に提 供 す る施 設 ケ アの 週 単 位 の時 間 数 を減 ら して い る。 要 す る に、 歳 出 の増 加 と言 って も、 一 人 当 りの供 給 を維 持 す る上 で す べ て の社 会 サ ー ビス部 に とっ て十 分 で な い こ と、 新 管 理 体 制 主 義 が 純 歳 出 に お け る削 減 と効 果 性 を あ げ る上 で、 社 会 サ ー ビス 部 に カバ ー させ る こ とが で きて い ない ので あ る(9)。 表2 1979年-1986年 間 の社 会 サ ー ビス部(イ ン グ ラ ン ド)の 歳 出 抑制 下 の、 一 人 当 りの サ ー ビス供 給 の 推移 一 人 当 め の 平均供給 一 年 当 りの 平 均 供給削減 を行 った社会 サ ー ビス鄙 の割 合 1979 1983 1986 79-83 83-86 79-83 83-86
密 教 文 化 ま た歳 出抑 制 は 明 らか に フ ィー ル ドワー ク の減 少 に関 連 して お り、1983 年 以 前 に は、 児 童 の託 児 日数 とホ ー ムヘ ル プ時 間 の減 少 に関 連 して い た。 こ の時 期 に は、 運 営 管 理 上 の影 響 は ほ とん どみ られ ない。 資 源 を拡 大 して 割 当 て る よ りむ しろ、 社 会 サー ビス部 のマ ネ ー ジ ャー は 他 の機 関 や コ ミュ ニ テ ィに ケ アの 水 準 を確 保 し、対 象 者 を限 定 しそ の ニ ー ズ や 供 給 方 法 を絞 った形 で、 ニ ー ズ の充 足 を行 うよ うに、 資源 を集 中 させ る こ と を決 めて い る。 児 童 の地 域 内措 置、 学 習 困難 な者 の施 設 ケ ア の よ うな サ ー ビス が、1979 年 以 来、現在 も優 先 され て い る。1983年 以 降 の優 先 順位 に つ い て は、多 くの 社 会 サ ー ビス部 が予 算 割 当て の純 配 分 を増 加 した た め、 ア ドミニ ス トレー シ ョン、 成 人 教 育、 学 習 困 難 な人 た ち のケ ア、 高 齢 者 の た め の コ ミュ ニ テ ィ ・ケ アが 重 視 され て い る。 抑 制 を受 けた 社 会 サ ー ビス 部 は フ ィー ル ドワ Cipfa 1979-1986
-106-英 国 に お け る民 営化 政 策 と社 会 福 祉 行 政 の動 向(2) 一 クや 訓 練 お よ び児 童 施 設 ケ アや ホ ー ムヘ ル フ・ サ ー ビ ス に 当 て られ た 配 分 を増 や して い る。 七 つ の 運 営 管 理 戦 略 ケ リ ー の 「支 出 抑 制 と社 会 サ ー ビ ス 部 の 新 管 理 体 制 主 義: 1979-86年 間 の サ ー ビ ス 供 給 へ の 影 響 」 に よ れ ば,監 査 委 員 会 の 推 奨 す る 新 管 理 体 制 主 義 の 導 入 に よ り、 社 会 サ ー ビ ス 部 に 対 して 企 業 的 運 営 管 理 の 実 施 が 近 年 強 力 に 進 め られ て い る こ と が 指 摘 さ れ て い る。 そ の 中 身 は 七 つ の 運 営 管 理 戦 略 か ら構 成 さ れ て い る。 公 共 財 政 及 び 会 計 公 認 研 究 所(The Charterd Ins-titute of Public Finance and Accountancy:CIPFA)の 資 料 に 基 づ い た ケ
リー の 分 析 に 従 っ て、 新 管 理 体 制 主 義 下 の 運 営 管 理 戦 略 を み て お く。 1. 優 先 順 位 づ け に よ る運 営 管 理 監査 委 員 会 は社 会 福 祉 サ ー ビス の運 営 管 理 にお い て 同 じサ ー ビ スの 内容 で あ って 異 な った 安 価 な形 態 で 提 供 され 得 る か ど うか を追 求 して い る。 歳 出抑 制 とい う状 況 の中 で、 支 出 抑 制 の 効 果 が 議 論 され て い る が、 目的 設 定 の 一 つ の施 策 が'優先 順位 づ け(prioritization)で あ る。 優 先 順 位 づ け施 策 で は、 各 々の福 祉 諸 活 動 を等 分 に実 施 す る よ り、 また 資 源 を増 分 主 義 的 に配 分 す る よ りむ し ろ、 資 源 を特 定 の クラ イ エ ン ト・ グ ル ー プ に紋 った り、小 規 模 な程 度 で ニー ズ を満 た す よ うに決 定 を下 す 方 向 が示 され て い る。 あ るい は他 の 機 関 に 委 託 した り、同 じ レベ ル の ケ ア の提 供 を保 証 して くれ る福 祉 組 織 に委 託 す る こ と も可 能 で あ る。 優 先 順 位 づ け施 策 は次 の領 域 を基 準 と して 実 施 され る。1)効 率 性 の よい もの と して 広 く受 け入 れ られ た サ ー ビス、2)効 果 的 と広 く認 め られ た サ ー ビス、3)明 らか に 公 的 責 任 とみ な され た サ ー ビ ス、4)高 度 に専 門 化 した サ ー ビス、5)歴 史 的 に未 発 達 な サ ー ビス、6)代 替 不 可 能 な サ ー ビス。 表3か ら、 児 童 の 措置 や 学 習 因 難 な 者 の 施 設 サ ー ビ ス が、1979年 以 来 優 先 され て い る こ とが 分 か る。 と りわ け1983年 以降、 ア ドミニ ス トレー シ ョン、 成 人 訓 練 や 学 習 困 難 な 者、 老 人 地 域福 祉 が 重 点 策 とされ て い る。 実 際1983年 以
密 教 文 化 降、 これ らの領 域 で割 当 て られ た純 予 算 の割 合 が増 加 して い る(10)。 歳 出 抑 制 につ い て は、1983年 以 前 の 状 況 と比 較 して それ 以 降 で は、 大 き な変 動 が生 じて い る。 抑 制 を受 け た社 会 サ ー ビス部 に お い て、 フ ィー ル ド ワー ク、 児 童 施 設 ケ アや ホ ー ムヘ ル プ ・サ ー ビス に 当 て られ た 配 分 が増 加 して い た。 ま た高 齢 者 の施 設 ケ ア に配 分 され た 純 予算 の割 合 が 減 少 して お 表3 目標 指 数 化 に よ る運 営管 理;, 1979年-1986年 間 の社 会 サ ー ビ ス部(イ ン グ ラ ン ド)の 歳 出 抑 制下 の、 供 給 の 国基 準 か らの平 均 乖 離 基 準か らの偏差 偏差の平均推移 近 接値を示す社会サ ー ビス 部 の割 含 1979 1983 1986 79-83 83-86 79-83 83-86 概 要 表 示 6.8 16.2 Cipfa 1979-1986
-104-英 国 に お け る民 営 化 政 策 と社 会福 祉 行 政 の 動 向(2) り, 老 人 福 祉 関 係 の フ ィ ール ドワー ク も影 響 を受 けて い る。 支 出 抑 制 は児 童 の コ ミュ ニテ ィ ・ケ ア を抑 制 す る よ うで あ るが、 高 齢 者 の た め の施 設 ケ ァ とホ ー ム ヘ ル プ時 間 の 予 算 資 源 の 切 り換 え を奨 励 して い る。 こ の こ とは サ ー ビス に責 任 の あ る専 門職 者 に よる優 先 順位 づ け が サ ー ビス 合 理 化 の分 野 を指 示 で き、非 専 門 的 な ワー カー は運 営管 理 上 の政 策 変 化 に 抵 抗 で き な い こ とを示 して い る。 2. 目標 指 数 化 に よ る運 営 管 理 目標 指 数 化(targetting)に よ る運 営管 理 は も っ と も大 き な ニ ー ド を 持 つ 者 に 資 源 を振 り向 け る も ので、 効 果 的 運 営 を追 求 す る上 で 好 まれ る施 策 と言 わ れ て い る。 資 源 割 当 て の 「適 切 さ」 を評 価 す る場 合、 一 人 当 りの基 準 を使 うこ とは 目標 指 数 化 を評 価 す る基 本 的 手 段 とな る。 費 用 効 果 性 を最 大 化 す る た め に、 資 源 は ニ ー ズ ・評 価 とマ ッチ され る べ き と され、 監 査 委 員 会 の1984年 報 告 「老 人 福 祉 サ ー ビス の 効果 的運 用 」 に お い て推 奨 され て い る。 目標 指 数 化 に よ る施 策 を追 求 す る た め に、 監 査 委 員 会 は統 計 か ら引 き出 され た 基 準 に関 連 させ て、 各 社 会 サ ー ビス部 の姿 勢 を示 す プ ロフ ィー ル を 刊 行 して い る。 これ ら の プ ロ フ ィ ー ル は、 全 国 的 な一 人 当 りの基 準 とそ の 乖 離 が 問題 と され、 供 給 の 「正 常 な」 レベ ル か らの 乖 離 を是 正 す る た め に 作 成 され て い る。 具体 的 に言 うな ら ば、 「過 剰 供 給 」と判 断 され る サ ー ビス か ら 「過 小 供 給 」 の サ ー ビス へ と社会 サ ー ビス 部 に,資 源 を移 行 さ せ る よ う奨 励 して い る の で あ る。 こ こ で使 われ た 目標 指 数 化 の基 準 は よ り正 確 に一 般 に認 め られ た給 付 水 準 に見 合 うよ う対 象 を定 め て い る と説 明 され て い る。 仮 に 国 民 の 基 準 に従 って、 サ ー ビス の供 給 レベ ル を 引 き上 げ る た め に資 源 の 割 当 て を行 う戦 略 を実 施 す るな ら、サ ー ビス給 付 の標 準 に関 して、 そ の多 様 性 は な くな っ て い くで あ ろ う。 福 祉 諸活 動 の年 次 記 録 が表4に 示 され て い る。 そ れ に よ る と19-9年 と比 較 して1986年 で は、13の サ ー ビ ス の うち-つ が国 の平 均 値 に近 づ い て い
密 教 文 化 る。 さ ら に国 基 準 か ら乖 離 して い るの は 主 に未 発達 の サ ー ビス 分 野 で あ り 学 習 困 難 な 者 と精 神 病 者 へ のサ ー ビス の 進展 につ いて は ば らつ きが あ る。 精 神 病 の場 合、 施 設 ケ ア の発 展 に停 滞 が み られ る。1983年 以前 で は 社 会 サ ー ビ ス部 の38%で あ った の に対 し、83年 以降 で は社 会 サ ー ビス 部 の18 .4% の み が 国 基 準 に向 か って い た(11)。 一 方、 児 童 施 設 ケ ア お よび 高齢 者 サ ー ビス は一 人 当 りの 基 準 に接 近 して い る。 例 え ば児 童 の地 域措 置 に 関 して は、1983∼6年 の 間 に、 社 会 サ ー ビ 表4 効 率性 に よ る運 営 管理: 1979年-1986年 間 の 社 会 サ ー ビ ス部(イ ン グ ラ ン ド)の 歳 出 抑 制 下 の、 単 位 費 用 の 推移 総単位費用 実1年 当 りの平 均 会 サ ー ビ ス部 の 割 合質 一推 移 費用削減を行 った社 1979 1983 1986 79-83 83-86 79-83 83-86 Cipfa 1979-1986
-102-英 国 に お け る民 営 化 政策 と社 会 福 祉行 政 の動 向(2) ス部 の74%が 国 基 準 に近 づ き、 ホ ー ム ヘ ル プ(61%)、 食 事 サ ー ビ ス(-3 忽)も 類 以 した数 字 を示 して い る。 優 先 順 位 に基 づ く場 合、 児 童 施 設 ケ ア と高 齢 者 福 祉 サ ー ビス は国 民 一 人 当 りの基 準 に即 した運 営 管 理 上 の戦 略 に 好 都 合 の 分 野 とな る。 表4か ら各 社会 サ ー ビ ス部 に おい て 格 差 がみ られ な い こ とが 分 か るが、 そ れ は 資 源 配 分 戦 略 と して 対 象 の 目標 指 数 化 に利 用 さ れ る こ と を示 して い る。 3. 効 率 性 の追 求一 コス ト抑 制 に よ る運 営 管 理 公 的 サー ビス に お け る効 率 性 の追 求 は関 心 の 高 い テ ー マ で あ り、 コス ト 抑 制 に よ る運 営 管 理 が実 施 され る。 歳 出 増 加 を抑 制 す る要 請 は単 位 費 用 の 増 加 を減 額 す る圧 力 とな る。 単 位 費 用 にお け る変 化 は表5に 示 さ れ て い る。 これ か ら分 か るの は、1979年、83年、86年 の期 間 に い か に 平均 的 コ ス トが 増 加 した か とい うこ とで あ る。 これ らの 実 質単 位費 用 の全 般 的 な増 大 をみ る と、社 会 サ ー ビス の供 給 コス トが政 府 サ ー ビス全 般 よ りも上 昇 して い る こ とが 分 か る。 しか し社 会 サ ー ビス の単 位 費 用 の増 加 率 は、1979-83 年 よ りも1983-86年 の 方 が 概 して低 い。 唯 一 の例 外 は老 人 施 設 サ ー ビス の ケ ー ス で あ る。 表5 費用 効 果 に よ る運 営管 理: 1979年 一1986年 間 の社 会 サ ー ビ ス部(イ ン グ ラ ン ド) の歳 出 抑 制下 の、 コ ミ ュニ テ ィ ・サ ー ビス の割 合 の 推 移 平 均 割 合 実 質1年 当 りの平 均 会 サ ー ビス部 の割 合推 移 比率増加 となった社 1979 1983 1986 79-83 83-86 79-83 83-86
密 教 文 化 単 位 費 用 の増 加 率 の落 ち込 み は社 会 サ ー ビス の効 率 性 につ い て の新 管 理 体 制 主 義 の影 響 を は っ き り と示 す 証 拠 を与 えて い る。 単 位 費 用 の抑 制 は, 1983年 以 降 の賃 金 イ ン フ レー シ ョン の沈 静 や 福 祉 諸 活 動 の 質 の低 下 に よ る と言 われ て い る。 も しす べ て の社 会 サ ー ビ ス部 が 類 似 した 賃 金 水 準 を受 け い れ る よ うな ら,資 源 を抑 制 した 社会 サ ー ビ ス部 は 効 率性 の 追 求 とサ ー ビ ス の質 の希 釈 化 とい う手 段 を通 して、 単 位 費 用 の 増 大 を抑 制 した と結 論 す る こ とが で き る。 社 会 サ ー ビス部 は 単 位 費 用 を減 額 で き、 フル タイ ム の フ ィー ル ドワー カー の経 費 を、1983-86年 の 間 に社 会 サ ー ビス 部 の41%へ と 減 ら して い る。 同 じ期 間 に、 多 くの社 会 サ ー ビス 部 が、 食 事(44%)、 保 育(4396)、 精 神 病 施 設 サ ー ビス(同 サ ー ビス の44%)と そ の経 費 を減 額 し て い る。 この よ うに単 位 費用 の 節約 を行 う圧 力 は,抑 制 を 実施 して い る社 会 サ ー ビス 部 に お い て大 きな もの とな って い る(12)。 4.費 用 効果 に よ る運 営 管 理 一 コ ミ ュニ テ ィ ・ケ アへ の資 源 の切 り換 え 監 査 委 員会 は福 祉 サ ー ビス の 安価 で効 率 的 な方 法 を求 め て お り、 コ ミュ ニ テ ィ基 盤 の サ ー ビス へ の資 源 の再 配 分 を助 言 して い る。 た だ実 際 に は、 地 域 ケ ア を積 極 的 に行 って い る社 会 サ ー ビス部 が施 設 サー ビス も積 極 的 に 供給 す る傾 向 に あ る と指 摘 され て お り、そ の よ うな 再 配 分 の証 拠 は 見 当 ら な い とす る 見解 もあ る。 供 給 水 準 の高 い 社 会 サ ー ビス 部 も低 い 社 会 サ ー ビ ス部 も コ ミュ ニ テ ィ ・ケ ア戦 略 を どの程 度 まで 追 求 して きた か を知 る た め に、 施 設 ケ ア お よ び コ ミユ ニ テ ィ・ ケ アの 水 準 を評 価 す る 必 要 性 が 強 調 さ れ て い る。 Cipfa 1979-1986
-100-英 国 に お け る民 営 化 政策 と社 会 福 祉 行 政 の動 向(2) 表6は、 財 政 上 の3年 間 の福 祉 諸 活 動 の動 き を表示 して い る。 学 習 困難 の人 々 へ の サ ー ビス は、 施 設 ケ ア へ の供 給 の均 衡 に お け る変 化 を示 して い る。 高齢 者 へ の サ ー ビス は わ ず か で は あ る が進 展 が み られ る。 学 習 困難 の 人 々 の デ イ ・セ ン タ ーや ホー ムヘ ル プ ・サ ー ビス の 中 で 変 化 が生 じて お り、 コ ミュ ニ テ ィ供 給 に頼 る傾 向 が1983年 以 来、 復 活 して い る こ とが分 か る。 また 社 会 サ ー ビス部 の80%以 上 が、 児 童 サ ー ビス に お い て,施 設 ケ ア の 週 時 間 に 比 して 地 域 内措 置 の割 合 を増 加 させ て い る。 保 育 サ ー ビス の 供 給 に つ い て は、 ほ とん どの社 会 サ ー ビス部(1983∼6年 に は70%)に お い て、 施 設 ケ ア に 関 連 して増 加 させ て い た。 高 齢 者 の コ ミュ ニ テ ィ ・ケ ア戦 略 は 1983年 以来 積 極 的 に追 求 され て い る。 自治 体 のお よそ-0%が、 施 設 ケ ア に 代 わ っ て デ ィ ・ケ ア に多 くの支 出 を計 上 す る よ うに な り、施 設 ケ ア の週 時 間 の代 わ りに食 事 サ ー ビス の 割 合 や ホ ー ム ヘ ル プ の時 間 を増 加 さ せ て い 表6 料 金 に よる 運 営管 理: 1979年 一1986年 間 の 社 会 サ ー ビス部(イ ン グ ラン ド) の歳 出 抑 制 下 の、 料 金 水 準 の推 移 ユ ニ ッ ト別 の 料 金 実質推移 料金 引き上げを行 つ牟 1年 当 り 社 会 サ ー ビス 部 の割 合 1979 1983 1-86 79-83 83-86 79-83 83-86 Cipfa 1979-1986
密 教 文 化 る。 ホ ー ム ヘ ル プ の 場 合、 こ う し た 変 化 は1983年 以 降 の 影 響 で あ る こ と が 明 ら か と な っ て い る(13)。 監 査 委 員会 は 民 間 に よる 施設 サ ー ビス の 供給 の急 速 な拡 大 が主 に社 会 保 障 支 出 で 賄 わ れ、 同 時 に 国 家 の給 付 に対 す る需 要 の大 い さ と広 が りを認 め て い る。1983年 以 降、 抑 制 を受 け た 自治 体 が学 習 困 難 の人 々 の訓 練 サ ー ビ ス、高 齢 者 の施 設 ケ ア あ るい は デイ ・セ ンタ ーへ の支 出 を増 や す 傾 向 に あ る。 4. 料 金 制 に よる運 営 管 理 地 方 自治体 は 希 少 な 資 源 を供給 す る手 段 と、そ れ ら を作 りだす 費 用 を調 達 す る手段 と して、 料 金 制 の導 入 を検 討 して い る。 この こ と は、 過 剰 支 出 とみ な す 中央 政 府 の 決 定 とそ の統 制 が行 われ て 以 降、 料 金 か ら収 入 を上 げ る とい う一 つ の誘 導 が あ った。R. パ ー カー が述 べ て い る よ うに、価 格 は多 くの機 能 を果 たす こ とが で き、 サ ー ビス の濫 用 を阻 止 す る こ と、 需 要 を減 らす こ と、資 源 を移 す こ と等 が可 能 で あ る。 対 人 福 祉 サ ー ビス の料 金 は 「保 健、 社 会 サ ー ビス、 社 会 保 険 裁 定 法 」(19 83)の 制 定 に よ り強 化 され て い る。 これ はは じめ て、 児 童 施 設 ケ ア の料 金 を含 む、 料 金 制 を導 入 す る選 択 の 自 由 を大 き く認 め た もの で あ る。 老 人 施 設 ケ ア の よ うに、 い くつ か の サ ー ビ ス に よ って は、 最 低 料 金 を規 定 す る公 的 義 務 が あ る けれ ども、 料 金 の水 準 や 他 の負担 は 自由裁 量 とな って い る。 そ の結 果、 料 金 の使 用 や 水 準、 支 払 能 力 の評 価 に大 き な格 差 が生 まれ て い る。 また 料 金 が サ ー ビ ス供 給 の 総 費 用 の 中 で そ の割 合 が低 か っ た り、実 際 中 央 政 府 か ら地 方 自治 体 へ の費 用 の 支 払 い が行 われ て い る た め に、 料 金 は 福 祉 利 用 者 の 中 に「依 存 」を育 む 象 徴 的 な機 能 を もつ とい う指 摘 が あ った。 料 金 制 が徹 底 して く る と、非 能 率 な 制度 に対 して 利 用 者 は料 金 の支 払 い を撤 回 し、 そ の た め供 給 者 の雇 用 そ の もの を脅 かす こ とに な る の で、 料 金 増 加 が効 率 性 を もた らす とい う議 論 もあ る。 低 額 の 料 金 は サ ー ビス の質 に 関 して利 用 者 を敏 感 に させ、 行 政 組 織 と民 間 団 体 あ る い は イ ン フ ォー マ ル な供 給 とを厳 密 に比 較 させ る の で、 料 金 は利 用 者 を管 理 して い くこ とに な る。 こ の よ うに料 金 は福 祉 サ ー ビス供 給 の中 に、市 場 管 理 を導 入 す る手 段
-98-英 国 に お け る民 営 化 政 策 と社 会福 祉 行 政 の 動 向(2) と して み られ て い る。 料 金 水 準 に お け る変 化 は表-に 表 示 され て い る。1979年は社 会 サ ー ビス、 と く に高 齢 者 グル ー プ に対 す る料 金 に お い て、 か な りの増 加 が み られ る。 1979-83年 に は、 社 会 サ ー ビス 部 の うち--%が、 平均 して19-9年 の 水 準 の 2倍 以上、 ホ ー ム ヘ ル プの料 金 を増 加 させ て い る。 保 育 料金 は そ の時期 に 実 質 上 引 き下 げ られ た唯 一 の もの で あ る。 高齢 者 施 設 ケ ア とホ ー ムヘ ル プ の料 金 に お け る急 速 な 引 き上 げ は、 そ の時 期 の後 半 よ り も前 半 に 起 こ って い る。 食 事 サ ー ビス の料 金 は、1983年 以 来 急 速 に増 額 して い る(14)。 表7は 料 金 の導 入 が支 出抑 制 に密 接 に関 連 して い る こ と を示 して い る。 も し料 金 の 引 き上 げ が利 用 者 に これ まで の福 祉 サ ー ビス の利 用 を手 控 え さ せ、 代 替 策 と して イ ン フ ォー マ ル な 団 体 を考 え させ た り、他 の サ ー ビ ス と の優 先 性 を切 り換 え る こ とが で き るの な ら、 抑 制 を受 け た社 会 サ ー ビ ス部 表7 歳 入 調 達 に よる 運 営管 理: 1979年 一1986年 間 の 社 会 サ ー ビス部(イ ン グ ラ ン ド)の 歳 出 抑 制下 の、 料 金 に よ る 費用 回収 率 の 移 推 ユ ニ ッ ト別 の 割 合 1年 当 りの 変 化 比率を増加 させた社 会 サ ー ビス部 の割 合 1979 1983 1986 79-83 83-86 79-83 83-86 Cipfa 1979-1986
密 教 文 化 に と って一 つ の 目的 を も った戦 略 とな る。 支 出 抑 制 を受 けた 社 会 サ ー ビス 部 は、 単 位 費 用 の比 率 か らみ て、 と くに1983年 法 以 来、 高 齢 者 施 設 ケ ア と ホ ー ムヘ ル プ ・サ ー ビス の料 金 を増 加 させ て い る傾 向が あ る こ とが 明 らか とな っ て い る。 社 会 サ ー ビス部 に とっ て一 つ の可 能 な戦 略 は料 金 を通 して 費 用 を大 き く 回収 す る こ とで あ る。 こ の こ とは純 資 源 を有 料 制 の サ ー ビス か ら無 料 制 の サ ー ビスへ と移 転 させ る傾 向 が あ り、必 ず しも有 料 サ ー ビス と同 水 準 で は ない が サ ー ビス水 準 を維 持 す る収 入 を生 んで い る。 回収 した費 用 の 変 化 が 表8で 表 され て い る。 こ の戦 略 は ど こで も学 習 困難 な人 々 の施 設 ケ ア を唯 一 の例 外 と して、 高 齢 者 サ ー ビス にお い て 集 中 的 に展 開 して い る よ うで あ る。1979年 ∼1983年 に は、 障 害 者 施 設 ケ アに料 金 を課 した社 会 サ ー ビ ス部 が、 単 位 費 用 に比 例 して これ ら の料 金 を増 加 させ、 調 査 対 象 の社 会 サ ー ビ ス部 の77%が、 ホ ー ムヘ ル プ と食 事 の料 金 を通 して費 用 回 収 の割 合 を増 加 させ て い る。要 す るに、 抑 制 を受 けた 自治体 こ そ経 費 に関 連 して料 金 を引 き上 げて い る。 と くに1983年 以 前 は ホ ー ム ヘ ル プ と学 習 困 難 な人 た ち の施 設 ケ ア の 料 金 を、1983年 以降 は 高 齢 者施 設 ケ ア の料 金 を増 額 させ て い る。 料 金 と単 位 費 用 の 関 係 は抑 制 が新 管 理 体 制 主 義 の導 入 を奨 励 す る こ とへ の も っ と も明 確 な証 左 とな って い る。 とい うの も よ り抑 制 され た 自治 体 こ そ料 金 を引 き上 げ、 自治 体 の料 金 制 の政 策 を通 して 費 用 の回 収 の割 合 を増 加 させ て い るか らで あ る。 そ の こ とに よ って 自治 体 は老 人 の分 野 に サ ー ビ 表8 総歳入 と総支出の差異の推移 平 均 歳 出 平均割合の変化 増加 させた社会 サ1年 当 り 一 ビス部 の 割 合 1979 1983 1986 79-83 83-86 79-83 83-86 Cipfa 1979-1986
-96-英 国 に お け る民 営 化 政策 と社 会 福 祉 行 政 の動 向(2) ス を集 中 して きて い る。 ブ レデ ィ ン ・デ ィ ビ スは 料 金 を通 した 費 用 の 回収 の 割 合 は 社 会 サ ー ビス部 の マ ネ ー ジ ャー に よ って 福 祉 サ ー ビス に与 え られ た優 先 性、 サ ー ビ ス割 当 て、 サ ー ビ スの 需 要 の阻 止 の た め に 使 わ れ た料 金 制 の 指 標 で あ る と指 摘 して い る。 ソー シ ャル ワー カー は 純 粋 に 割 当 て の 役 割 にあ ま り取 り組 ま ず、 専門 的 ソー シ ャル ワー クの 中 心 と して、 サ ー ビス の 供給 とみ て い る と言 わ れ る。 そ の よ うな 専 門 職 者 に よ る選 好 は、 も し利 用 者 が 中央 政 府 や 他 の機 関 に支 払 い を任 せ る よ うな ら、有 益 な収 入 源 と して料 金 を課 す社 会 サ ー ビ ス部 の マ ネ ー ジ ャー の考 え方 と一 致 す る。 こ の点 で、 一 般 的 な方 法 に よ り歳 入調 達 を分 析 す る こ とが適 切 で あ る。 表9は 純 支 出 と中央 政 府 と地 方 税 か らの歳 入 との差 異 に お け る変 化 を表 し て い る。 表 は この額 が 平均 して230万 ∼500万 ポ ン ド増 加 して い る こ と を示 して い る。 これ は総 支 出 の割 合 に お け る2%の 増 加 を表 して い る。 表9は ま た社 会 サ ー ビス部 の大 多 数が、1983年 以 来 純 支 出 に対 して 収 入 の比 率 を 増 加 させ た こ と を示 して い る。 社 会 サ ー ビ ス部 がケ ア供 給 の た め に 他 の社 会 サ ー ビス部 と契 約 して い るた め に、 必 ず しも こ の収 入 のす べ て が サ ー ビ ス料 金 か ら得 られ る もの で は な い(15)。 表9 歳 入 調 達 に よ る運 営 管理: 1979年 一1986年 間 の社 会 サ ー ビス部(イ ン グ ラ ン ド)の 歳 出 抑 制下 の、 他 の 地 方 自 治体 へ の施 設 ケ アの 売 渡 しか ら 回 収 さ れ た 見 積 歳 入 の 推移 売渡 しの 期簡樋) 総歳入見積 予算見積の割合 比率の推移 売 漢しを増加 さ せ た社 会 サ ー ビ ス部 の割合 1984 1986 1984 1986 1984 1986 84-86 84-86 Cipfa 1979-1986
密 教 文 化 6. 歳 入調 達 に よる運 営管 理一 他 の社 会 サ ー ビス部 へ のサ ー ビ ス の販 売 監 査 委 員会 は、 当該 自治体 の管 轄 下 に な い ク ラ イ エ ン トに よ っ て 消 費 さ れ る経 費 は、 そ の ク ライ エ ン トの 属 す る 自治 体 に よ って 保 証 され る べ きで あ る 旨 を勧 告 して い る。 こ うした サ ー ビス は総 単 位 費 用 で 販 売 され、 そ れ に よ って 生 ま れ る収 入 に つ い て幾 らか の推 計 が あ り、表16で 示 され て い る。 それ に よれ ば、 精 神 病 サ ー ビス を除 いて、 総 量 お よび 関連 予 算 の割 合 が大 部 分 の社 会 サ ー ビス部 に お い て増 加 して い る。 他 の 自治 体 に 児 童 入 所 サ ー ビ ス を販 売 す る こ とに よ り収 入 を増 や して い る 自治体 が あ る。 これ は供 給 主 導 とい うよ りも需 要 主 導 の よ うで あ る。つ ま り、他 の社 会 サ ー ビ ス部 は あ る入所 サ ー ビ ス を必 要 と して お り、そ の サ ー ビス を契 約 す る こ とに よ り、需 給 バ ラ ン スの 関 係 か ら、 そ の利 用 を最 大 化 し よ うと して い る と考 え られ る。 表10 外 部 資 源 の 利用 に よ る運 営 管理: 1979年 一1986年 間 の 社会 サ ー ビス部(イ ン グ ラン ド)の 歳 出 抑 制 下 の、 バ ラ以 外 の 自治 体 あ る い は非 法 定 組 織 に よ り供 給 され た サ ー ビ ス水 準 の 推移 ユ ニ ッ ト別 供給 供給割合 推 移 供給 を増大 し だ粁 会 サ ー ビ ス部 の割合 1984 1986 1984 1986 84-86 84-86 Cipfa 1979-1986
-94-英 国 にお け る民 営 化政 策 と社 会 福祉 行 政 の動 向(2) 7. 外 部 資 源 の利 用 に よ る運 営 管 理 一 他 の地 方 自治 体、 営 利、 非 営 利 民 間 団 体、 お よ び地 区保 健 当局 の資 源 の利 用 福 祉 国 家 の見 直 しに取 り組 む保 守 党 政 権 に よ っ て、 財 政 抑 制 の圧 力 が強 め られ て お り、社 会 サ ー ビス部 が民 間 委 託 や 買 い上 げ の対 象 と して 営 利 お よび 民 間 団 体 を利 用 す る可 能 性 は ます ます 強 ま って い る。 この こ と は、 節 約、 柔 軟 性 の 拡 大、 技 術 革 新、 専 門 化、 運 営 管 理 の改 善 等 の 見 地 か ら評 価 され て い る。1980年 代 の 「革 新 的 な 」 社 会 サ ー ビ ス部 長 は、 福 祉 サ ー ビ ス 供 給 プ ロ グ ラ ム を、 様 々 な 可 能 な 方 法 で 計 画 し柔 軟 性 を も って企 画 す る よ うに奨 励 され て い る。 自由 な 資 源 と収 入源 に 目 を向 け、社 会 サ ー ビス 部 を 取 り巻 く広 い環 境 の 中 で、 外 部 で の安 価 な 資 源 を求 め る よ うに 指導 を受 け て い る。 近 年 国 家 は も はや 独 占的 な福 祉 サ ー ビス の提 供 者 と して は み な され な く な って お り、 む しろ営 利、 非 営 利 の民 間組 織、 イ ンフ ォー マ ル な組 織 とそ の サ ー ビ ス の利 用 者 との調 整 者 と して み られ る よ うに な っ て い る。 そ うで あ る か ら社 会 サ ー ビ ス部 の マ ネ ー ジ ャ ー は、 国 家 の一 元 的 な制 度 を運 営 し 活 動 を展 開 す る よ りも、 む しろ多 元 的 な供 給 体 系 の 「指 揮 者 」 と して の 役 割 に 取 り組 も うと して い る。 か って1968年 の シ ー ボ ー ム報 告 に よ っ て描 か れ た コ ミ ュ ニテ ィ の資 源 の創 造 者 と して の社 会 サ ー ビス部 の役 割 は、1980 年 代 の企 業文 化 の 中 で、 新 た な意 味 を も ち始 めて い る の で あ る。 表11か ら予 算 の比 率 と供 給 され た サ ー ビ ス の比 率 を比 較 す る こ とが で き る。 そ こか ら各 ク ライ エ ン ト ・グル ー プへ の 総 予 算 の割 合 が縮 小 され、 サ ー・ビス の 供給 の 割 合 が増 大 す る とい う傾 向 が分 か る。1979-86年 の(抑 制) 期 間 で は、 社 会 サ ー ビス部 に よる 外 部 資 源 の 利 用 の増 加 は あ ま り認 め られ て い な い。 児 童 の施 設 サ ー ビス の 計 画 的 削 減 が実 施 され た が、 そ こ か ら社 会 サ ー ビス部 が適 正 な レベ ル に 入所 占有 率 を維 持 し よ うと努 め、 そ の結 果 他 の セ ク タ ー の支 出 が犠 牲 に な る とい う事 態 に 至 って い る。
密 教 文 化 結 び に 代 え て 以 上、 福 祉 財 政 の 効 率 を考 え る場 合、 短 期 的 な 効 率 と長 期 的 な効 率 の区 別 が重 要 で あ る。短 期 的 効 率 を追 求 す る際、 長 期 的効 率 を も展 望 す る とい う二 元 的 な視 野 が 必 要 で あ る。例 え ば、 福 祉、 医療、 教 育、 交 通 等 の サ ー ビス を、 単 に コス トの 効 率性 を追 求 して、 民 間 の営 利 事 業 に委 託 す る の で は な く、税 金 を通 した公 共 部 門 で行 う場 合 に は、 そ れ が 保 障 す る 「生 活 の' 質 」(quality of life)を 国 民 に対 して 説 得 す る こ とが 重 要 で あ る。 公 務 労 働 者 側 か らす れ ば、 そ の労 働 の営 み を通 して、 公共 部 門 とい う社 会 の基 本 的 な サ ー ビ ス に よ って もた らす 「生 活 の 質 」 が福 祉 の公 共 性 を高 め る こ と に な る。 た と え民 間 部 門 が 凄 ま じい働 きに よ って よ り安 価 に サ ー ビス を供 給 で きる と して も、 そ れ とは対 峙 しな い サ ー ビス の質 が保 障 され な けれ ば な らな い。 ま た公 共 部 門 が新 しい分 野 を切 り開 くこ とも重 要 で あ る。市 場 の取 引 に お い て、 自由競 争 に任 せ て お け ば一 般 の生 活 者 は不 利 に な る ケ ー ス が あ る が、 行 政 の 役割 と して、 オ ン ブ ズ マ ンや 査 察 官 を配 置 す る こ とは 大 切 で あ る。 こ の よ うに行 政 部 門 と りわ け福祉 部 門 の 合 理 化 に つ い て は、 確 か に民 間 委 託 の 持 つ 利 点 と して 経 済 性、 柔 軟 性、 消 費 者選 択、 革 新 性、 特 殊 化 等 々 が 指 摘 で き る。 これ らの 特 性 は い わ ば短 期 的視 点 に立 つ 評 価 で あ る。 一方 民 間 委託 の持 つ 問 題 点 と して、 長 期 的 に み て コス トが少 な くて済 む とい う 保 証 が な い こ と、 よ り重 要 な点 と して、 福 祉 の総 合 性 が 損 な われ る こ と、 福 祉 労 働 者 の勤 務 条 件 が切 り下 げ られ 不 安 定 にな る こ と等 の点 が挙 げ られ る。 こ の両 面 は伝 統 的 な意 味 で の公私 関 係、 非 営 利機 関 と営 利 機 関 に よ る サ ー ビ ス の優 劣、 コ ス トの 比 較 等 々 と言 った 総合 的 な視 野 か ら判 断 す る こ とが 重 要 な こ と は言 うまで もな い。 要 す る に ナ シ ョナ ル ・ ミニマ ム が行 政 に よ って履 行 され る こ と を前 提 条 件 と して、 さ ま ざま な 特 殊 状 況 の 中 で、 公 私 が協 働 関 係 に立 って サ ー ビス の提 供 を行 うこ とが 重 要 で あ る。英 国 に お い て、 労 働 党 支 配 の 自治体 が 直
-92-英 国 に お け る民 営 化 政 策 と社会 福 祉 行 政 の動 向(2) 営方 式 を志 向 して い る こ とか ら分 か る よ うに、 民 間 委 託 を導 入 す る際 の 判 断基 準 と して、 民 間 委 託 は 公 的 サ ー ビス全 般 の 代替 と言 うよ りも足 ら ざる 部 分 の補 完 的 サ ー ビ ス と して利 用 され て い る 点 を留 意 す べ きで あ る。 こ の よ うに 民 間 委 託 を評 価 す る場 合、 公 的 サ ー ビス へ の補 完 的 側 面 を見 る こ とが重 要 で あ る が、 基 本 に立 ち返 っ て考 え て み る と、 行政 の 任 務 は公 立 と民 間 との サ ー ビス水 準 の格 差 を も た らさ な い よ うに し、 さ らに進 ん で サ ー ビ ス 内容 の 向上 に努 め る こ と が大 切 で あ る。 そ の意 味 か ら、財 政 効率 を第 一 義 的 理 由 とす る民 間 の利 用 で あ って は な らな い。 民 間委 託 が安 上 が りな の は、 多 くの場 合 民 間 労 働 者 が ダ ン ピ ン グ の末、 低 賃金 を余 儀 な く さ れ るか らで あ り、 こ うい う性 格 の 委 託 は必 然 的 に サ ー ビス水 準 の低 下 を も た らす。 改 めて 福 祉 の公 共 性 と して の 特 長 で あ る総 合 性、 専 門性、 権 利 性 の三 位 一 体 が 確 認 され な けれ ば な らな い。 注 (4)エ イ ダ ン ・ケ リ ー の 『支 出 抑 制 と 社 会 サ ー ビ ス 部 の 新 管 理 体 制 主 義: 1979 -86年 間 の サ ー ビ ス 供 給 へ の 影 響 』(1989年 バ ・-ス大 学 で のSocial Policy Associa七ionの 発 表)に 負 っ て い る。 ま た ケ リー 氏 と は 『ロ ン ド ン、 パ デ ィ ン トン に て ヒ ア リ ン グ を 行 った。 (5) Ibid., p.7 (6) Ibid., pp.8-9 (7) Ibid., pp.9-10 (8) Ibid., p.12 (9) Ibid., p.14 (10) Ibid., p.16 (11) Ibid., pp.16-17 (12) Ibid., p.17 (13) Ibid., p.18 (14) Ibid., p.20 (15) Ibid., p.22 <キ ー ワー ド>英 国の民営化、地方 自治体社会福祉行政、新管理体制主義。