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52ー高

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Academic year: 2021

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【52-高】

広島高裁平成 9 年 12 月 26 日判決(平成 7 年(ネ)第 400 号、実用新案権侵害差止等請求控訴事件) 先使用権認否:○ 対象 :凹溝付カッター(実用新案権) 〔事実〕 ・昭和 59 年頃 被控訴人は、チップドレッサー(スポット溶接用の電極研磨装置)の製造販売の 事業を開始。被控訴人は、システム・エンジニアリング株式会社及びアイエスの 代表取締役を兼任し、システム・エンジニアリング株式会社は開発、オートメー ション等を行い、アイエスはチップドレッサーを製造販売。 ・昭和 60 年 12 月 28 日 被控訴人は、考案の名称をスポット溶接機の電極研磨装置とする電動ドレッサー の実用新案の出願。 ・昭和 61 年後半 アイエスは、電動ドレッサーの製造販売を開始。 ・昭和 61 年終わり頃から昭和 62 年初め頃 アイエスは、広島近辺から東海地方へ進出。東海地方では、 東海溶材株式会社(以下、「東海溶材」という。)の各営業所の者とともにキャン ペーンを行い、その中で自動車車体等の製造を業とする会社である平田プレスの、 主に本田技術工業株式会社に納入する自動車車体の製造を行っていた亀山製作所 (工場)との取引を開始。 ・昭和 62 年 1 月 27 日 被控訴人は、電動ドレッサーに使われるカッター(溝なし)の形状について、考 案の名称をスポット溶接棒削取機とする実用新案登録出願をした(後に意匠登録 に切り替えた)。セールスポイントとしてこれを前記実用新案出願中の電動ドレッ サーとともにパンフレットに載せ、キャンペーンを実施。 ・昭和 62 年 2 月 5 日 被控訴人は、名古屋で、当時控訴人の専務取締役であり現在代表取締役の草野和 義(以下、「草野」という。)と知り合い、草野も被控訴人のキャンペーンに同行 することになった。 ・昭和 62 年 3 月 被控訴人は、アイエスの取扱店としてアイエスと取引を始め、平田プレスの亀山 製作所がホンダシビックの車体の製造ラインを三菱電機株式会社に請け負わせて 立ち上げた際、同製造ラインのスポット溶接の電極チップの研磨具としてアイエ ス製の電動ドレッサー及びこれに付属するカッター28 台をラインと一括して平田 プレスに販売。 ・昭和 62 年 6 月頃 上記カッターが切れにくいという問題が生じたため、亀山製作所工場内の通称保 全グループと呼ばれる溶接設備の修理・改善を担当するグループ(メンバーは、 生産技術課長森谷憲弘(以下「森谷」という。)、太田光哉(以下「太田」とい う。)、佐久間ら数名の者)がその改善を検討。 ・昭和 62 年 6 月頃 上記グループは、被控訴人に対してカッターの硬度の検討等を依頼。 ・昭和 62 年 6 月頃から 草野は、被控訴人と一緒に営業活動することを止めた。 ・昭和 62 年 7 月頃 上記グループは、控訴人の草野にも同様の依頼。 ・昭和 62 年 7 月 7 日 控訴人は、上記依頼に基づき、渡辺精密工業株式会社に製作させたカッター(凹 溝のないもの)10 個を納入し、上記グループは、これを試験するなどした。同時 に、控訴人は、同納入に係る凹溝のないカッターの図面(甲 2)を作成して平田

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プレスに提出。 ・昭和 62 年 8 月、9 月 控訴人は、同様に凹溝のないカッター合計 30 個を納入。上記グループは、カッタ ーの切削刃の形状についても検討し、納入に係るカッターをエアリューターなど の工具を用いて手作業で削る等して、切削刃の形状を変えてみたり、切削刃の頂 面に溝を掘るなどの工夫をして、試験をするなどして、同年 9 月頃には、上記グ ループ内では、切削刃の頂面に凹溝を掘るのが有効であるとの認識が固まりつつ あった。 ・昭和 62 年 9 月 17 日 被控訴人、平田プレスの佐久間及び太田、三菱電機株式会社の担当者は平田プレ スの事務所においてチップドレッサーについて打合せの会合を持ち、今後ともア イエスがカッターの切削改良に努力することを確認。 ・昭和 62 年 9 月 25 日 平田プレスの森谷は、被控訴人に対しファックスで、アイエス製カッターの不具 合を指摘し、その改良として溝付きのものを図示し、溝の加工は、平田プレスで 試作することとして、このための溝のないカッターを SKH 材で 24 個同月 28 日ま でに製作して送ってほしい旨依頼。その送付を受け、平田プレスは、これに凹溝 を切削し、熱処理して切削性及び刃具の寿命について検査。 ・昭和 62 年 10 月 7 日 被控訴人東海溶材株式会社の西中、平田プレスの森谷及び佐久間は、アイエス製 チップドレッサーの不具合について打合せし、上記 9 月 25 日のファックスで切削 刃の角度を 45 度と図示していたのを 30 度位に狭め、材質を SK3 から SKH58 とい う固いものに変え、その際森谷が図示した仕様でアイエスがカッターを製作し、 更に検討することになった。 ・昭和 62 年 10 月頃 平田プレスの太田は、控訴人の草野に対し、平田プレスで試作した凹溝付きカッ ターを手渡し、これを見本にしてカッターを製作するように要請。控訴人は、橋 周機器製作所にこれを見本として示し、同様のカッターを製作するように依頼。 ・昭和 62 年 11 月 10 日 橋周機器製作所は、これと同様の凹溝付きカッターを SK4 という材質の鋼材で製 作し、控訴人は、平田プレスに、同凹溝付きカッター5 個を納入。平田プレスの 上記グループは、これを溶接機のラインで試用して、その切削刃の形状や硬度等 を検討し、切れ味や耐久性の試験を実施。控訴人は、同納入に際して、従前の図 面(甲 2)を基に同納入に係る凹溝付きカッターの図面(乙 1)を作成して平田プ レスの購買部門に提出。控訴人は、昭和 62 年中に、橋周機器製作所に、平田プレ スに納入されたものと同様の凹溝付きカッターの他、大きさや形状の異なる電極 チップに対応する凹溝付きカッターの製作や、図面(乙 2)を示してハンドドレ ッサー用の六角形の形状をした凹溝付きカッターの製作を依頼し、同製作所は、 相当数を製作して控訴人に納入。 ・昭和 62 年 11 月 21 日 平田プレスは、刃が切削できない等の不具合を洗い出し、その対策を内部で検討。 その結果、刃が切削できない点については、材質、形状について見通しが出てき たが、その他の点についてはさらに対策を立てたり実施したりする必要があると 判明。 ・昭和 62 年 11 月 23 日 平田プレスは、上記打合せ議事録をファックスでアイエスの社長である被控訴人 に送付。

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・昭和 63 年初め頃 平田プレスは、凹溝付きカッターは実用に耐え得るものとして、控訴人からさら に凹溝付きカッターを買い入れ、既に設置された凹溝のないカッターをこれと交 換して使用し、控訴人は、平田プレスに対し、その後も、凹溝付きカッターを継 続的に販売。 ●出願日 昭和 63 年 2 月 5 日 ・昭和 63 年 2 月 13 日 アイエスは、三和株式会社(以下、「三和」という。)から、平田プレスに納入す るアイエス製チップドレッサーの注文を受けた。その際、三和からチップドレッ サーの刃の形状がどのようなものになるか検討し、連絡を乞う旨要望を受けた。 アイエスは、この注文に基づき、平田プレス向けの電動ドレッサー、カッター(溝 なし)を三和に納入したが、その後は平田プレスからの注文はなく、アイエスが 平田プレスに電動プレッサー及びカッターを納入することはなく、被控訴人の本 件出願以降、凹溝付きカッターを納入したこともなかった。 ・昭和 63 年 3 月 22 日 控訴人は、凹溝付きカッターについて、考案の名称をスポット溶接のチップ研磨 用カッターとする実用新案登録を出願。控訴人は、同出願に際し、平田プレスの 了解を得た。 ・平成 3 年 4 月 17 日から同 6 年 10 月 16 日まで 控訴人は、イ号製品を合計 8,689 個販売。 〔判旨〕 「三 先使用の抗弁について 1 証拠(甲二、三、五ないし七、八の1ないし4、一〇ないし一四、一五の1、2、一八の1、2、一九 の1ないし4、乙一、二(乙一の原本の存在及び成立、乙二の成立の認定は後記のとおり。)、三、五、二 九の1ないし4、三〇ないし三二、三五ないし三九、四〇の1、2、検甲一、二の1、2、検乙一、証人森 谷憲弘(原審)、同橋本道明(原審)、同太田光哉(当審)、被控訴人(原審)、控訴人代表者(原審及び 当審))により認められる事実は、次のとおり付加、訂正、削除するほかは、原判決八枚目裏六行目の初め から同一一枚目表四行目の終わりまでに認定するとおりであるから、これを引用する。 (一) 原判決八枚目裏六行目の「チップドレッサー」の後に「(スポット溶接用の電極研磨装置)の製造 販売」を加え、同七行目から同八行目にかけて「株式会社アイエス(以下「アイエス」という。)」とある のを「アイエス」と改め、同一〇行目の「昭和六〇年一二月二八日、」の後に「考案の名称をスポット溶接 機の電極研磨装置とする」を加える。 (二) 同九枚目表三行目から同四行目にかけて「平田プレス工業株式会社(以下「平田プレス」という。)」 とあるのを「、そのころ、平田プレスの亀山製作所(工場)」と、同六行目の「意匠出願をし」を「考案の 名称をスポット溶接棒削取機とする実用新案登録の出願をし(後に意匠出願に切り替えた。)」とそれぞれ 改め、同七行目の「であること」を削り、同九行目の「原告は」の前に「控訴人は、溶接関連の制御機器、 工作機器の開発製造、仕入れ及び販売等を業とする会社であるところ、」を加え、同裏四行目の初めから同 七行目の終わりまでを次のとおり改める。 (二) 平田プレスは、自動車車体等の製造を業とする会社であり、その亀山製作所は、主に本田技術工業 株式会社に納入する自動車車体の製造を行っていた。右工場は、昭和六二年三月に、ホンダシビックの車体 の製造ラインを三菱電機株式会社に請け負わせて立ち上げたが、その際、前記(一)のとおり、右製造ライ ンのスポット溶接の電極チップの研磨具としてアイエス製の右電動ドレッサー及びこれに付属するカッター 二八台がラインと一括して納入された。ところが、同年六月ころから、右カッターが切れにくいという問題

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が生じたため、工場内の通称保全グループと呼ばれる溶接設備の修理・改善を担当するグループ(メンバー は、生産技術課長森谷憲弘(以下「森谷」という。)、太田光哉(以下「太田」という。)、佐久間ら数名 の者)が、その改善を検討することになった。 そして、右グループは、同年六月ころ、被控訴人に対してカッターの硬度の検討等を依頼し、また、同年 七月ころ、控訴人の草野にも同様の依頼をした。控訴人は、右依頼に基づき、同年七月七日ころ、渡辺精密 工業株式会社に製作させたカッター(凹溝のないもの)一〇個を納入し、右グループは、これを試験するな どした。同時に、控訴人は、右納入にかかる凹溝のないカッターの図面(甲二)を作成して平田プレスに提 出した。また、控訴人は、同年八月、九月にも、同様に凹溝のないカッター合計三〇個を納入した。右グル ープは、カッターの切削刃の形状についても検討し、納入にかかるカッターをエアリューターなどの工具を 用いて手作業で削るなどして、切削刃の形状を変えてみたり、また、切削刃の頂面に溝を掘るなどの工夫を して、試験をするなどした。そして、同年九月ころまでには、右グループ内では、切削刃の頂面に凹溝を掘 るのが有効であるとの認識が固まりつつあった。 (三) 同九枚目裏八行目の冒頭に項目の「(三)」を加え、同行目の「外一名」を「及び太田」と、同一 一行目の「生産技術課長」から同一〇枚目表一行目の「という。)」までを「森谷」とそれぞれ改める。 (四) 同一〇枚目表三行目の「これを」を「溝の加工は、平田プレスで試作することとして、このための 溝のないカッターを」と改め、同五行目の「これに」の後に「凹溝を切削し、」を、同七行目の「東海溶材」 の後に「株式会社」をそれぞれ加え、同裏一行目の「二三日」を「二一日」と、同四行目の「二八日」を「二 三日」とそれぞれ改め、同五行目の「そして」から同六行目の終わりまでを削り、同七行目の初めから同行 目の終わりまでを次のとおり改める。 (四) 一方、平田プレスの太田は、同年一〇月ころ、控訴人の草野に対し、平田プレスで試作した凹溝付 きカッターを手渡し、これを見本にしてカッターを製作するように要請した。控訴人は、橋周機器製作所に これを見本として示し、同様のカッターを製作するように依頼した。右製作所は、これと同様の凹溝付きカ ッターをSK4という材質の鋼材で製作し、控訴人は、同年一一月一〇日、平田プレスに、右凹溝付きカッ ター五個を納入した。平田プレスの前記グループは、これを溶接機のラインで試用して、その切削刃の形状 や硬度等を検討し、切れ味や耐久性の試験を行った。控訴人は、右納入に際して、従前の図面(甲二)を基 に右納入にかかる凹溝付きカッターの図面(乙一)を作成して平田プレスの購買部門に提出した。また、控 訴人は、昭和六二年中に、橋周機器製作所に、右と同様の凹溝付きカッターのほか、大きさや形状の異なる 電極チップに対応する凹溝付きカッターの製作や、図面(乙二)を示してハンドドレッサー用の六角形の形 状をした凹溝付きカッターの製作を依頼し、右製作所は、そのころ数回にわたり、同様に相当数を製作して 控訴人に納入した。 平田プレスは、遅くとも昭和六三年初めころには、凹溝付きカッターは実用に耐え得るものとして、控訴 人からさらに凹溝付きカッターを買い入れ、既に設置された凹溝のないカッターをこれと交換して使用し、 控訴人は、平田プレスに対し、その後も、凹溝付きカッターを継続的に販売してきた。 (五) 同一〇枚目裏八行目の項目の「(四)」を「(五)」と、同行目の「右検討」を「前記(三)の平 田プレスとの検討」とそれぞれ改め、同九行目の「をした。」の後に「しかし、右出願に際し、被控訴人は、 平田プレスの了解を得たり、その旨の通知をしたりすることはなかった。一方、平田プレスは、そのころ、 電極チップの形状を異にする新たな溶接機のラインの増設を計画していた。」を加える。 (六) 同一一枚目表一行目の「原告は」を「アイエスは」と、同三行目の「その後」から同行目の「同社 に」までを「その後は平田プレスからの注文がなく、アイエスが平田プレスに」と、同四行目の「なかった」

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を「なく、被控訴人の右出願以降、凹溝付きカッターを納入したこともない」とそれぞれ改め、同行目の次 に行を改めて次のとおり加える。 (六) 控訴人は、昭和六三年三月二二日、凹溝付きカッターについて、考案の名称をスポット溶接のチッ プ研磨用カッターとする実用新案登録の出願をした。控訴人は、右出願に際し、平田プレスの了解を得た。 2 ところで、控訴人は、昭和六二年一一月七日から本件実用新案権の出願以前において、平田プレス以外 にもケミカルジャパン株式会社をはじめ数社に凹溝付きカッターを販売してきたと主張し、控訴人代表者は その旨供述し(原審及び当審)、これについての納品伝票を書証(乙四、六ないし二八)として提出する。 しかしながら、右各納品伝票の記載からでは、これにかかるカッターが凹溝付きのものであったのか否かを 特定することはできない。控訴人代表者は、右各伝票に「CC」の型番が付されているのが凹溝付きのもの であるとか、ラチェット式とあるのが凹溝付きのものであると供述する(原審及び当審)が、右供述によっ ても「CC」の型番が付されたもの全てが凹溝付きであったというものではないし、また、「CC」の型番 の付された株式会社大広に納入されたカッター(伝票は乙一六(甲一三と同じ。))については、同社の作 成にかかる、右カッターは凹溝付きではなかった旨の証明書と題する文書(甲一四)が提出されているが、 控訴人からこれについて有効な反証は提出されていない。さらに、他に、「CC」の型番の付されたものや ラチェット式のものが全て凹溝付きであることを客観的に示す証拠は提出されていないことなどを総合する と、控訴人が本件実用新案権の出願以前において平田プレス以外にも凹溝付きカッターを販売してきたこと を認めるに足りず、控訴人の右主張は採用できない。 3 前記1の認定事実によると、被控訴人は、平田プレスの通称保全グループの発案による凹溝付きカッタ ーの試験等に取引業者として協力し、右発案を基に本件実用新案権にかかる凹溝付きカッターを考案し、昭 和六三年二月五日に本件実用新案権の出願をしたが、一方、控訴人においては、同様に平田プレスの取引業 者として、右保全グループの凹溝付きカッターの試験等に協力し、昭和六二年一一月一〇日、右グループか ら交付された手作りの見本を基に凹溝付きカッター五個を橋周機器製作所に製作されて平田プレスに納入し、 また、同年中に、橋周機器製作所に、右平田プレスに納入されたものと同様のカッターのほか、大きさや形 状の異なる凹溝付きカッターの製作を発注し、相当数を製作させていたのであり、右平田プレスに納入され た五個の凹溝付きカッターが、納入の段階では、実用化に向けてさらに耐久性等の試験を要するいわば試作 品の域を出ないものであったとしても、その後、その実用化に向けてこれに大幅な改良が加えられた形跡は なく、その後の事実経過(前記1(四))と併せると、被控訴人の本件実用新案権の出願時においては、控 訴人は、凹溝付きカッターの製造販売にかかる事業の準備をしていたものと認めるのが相当である。 4 そうすると、控訴人は、本件実用新案権について先使用による通常実施権を有するものというべきであ り、控訴人の主張にかかる抗弁は理由がある。」

参照

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