自ら学び続ける授業の創造
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(2) 理. 科. 論. 文. 自ら学び続ける授業の創造. 科 学 す る楽 しさを 味わ う理 科 授 業 の創 造. Ⅰ研 究 の 目的…51 1研 究 の 背 景…51 2研 究 の 方 向…52 研 究 内 容…53 Ⅱ 1科 学 す る楽 し さ を味 わ う理科 授 業 とは…53 (1)科 学 す る楽 し さ を味 わ う とは (2)科 学 す る 楽 し さ を味 わ う理科 授 業 とは 2科 学 す る楽 し さ を味 わ う理科 授 業 創造 の基 本 的 な考 え方…54 (1)科 学 す る 楽 し さを 味 わ う子 ど もの姿 の 設定 (2)科 学 す る 楽 し さ を味 わ うた め の 学習 内容 (3)科 学す る 楽 し さを 味 わ うた め の指 導 方 法 Ⅲ. 研 究 の 方 法…55 1研 究 の 手順 と方 法…55 2研 究 計 画…56 研 究 の 実際…57 Ⅳ 1実 践 の 立場…57 2実 践 結 果 と考 察 3実 践 結 果 と考 察. 第5学 第3学. V研 究 の 成果 と課 題…64 1研 究 の成 果…64 2研 究 の課 題…64. 年 年. 「て この働 き」…57 「 磁 石 の性 質 」…61.
(3) 理 一l. 千 /. 二 子. 本研究は,子どもが科学する楽しさを味わうことで,科学的な見方や考え方を自ら 高めていく理科授業を目指してい る。そのために ,教材の特性と培いたい資質 ・能力 から科学する楽しさを味わう子どもの姿と学習内容や指導方法を探っていく。本年度 は,本研究において目指す子ども の姿を明確にしていく。 J. 一 ノ. ¥ 一 こ. I 研究の目的 (1 研究の背景. ) 国際化,情報化,科学技術の発展,環境問題の多様化など,現代社会の状況は急速 自 に変化 している。それに伴って, 知識は,安易に手に入る状況にあるが,吟味されな 巻 い ま ま 受け入れられ,忘れ去ら れていく ものも多い。 また,社会生活は ますます便利 記 になり,特に身の回りの道具は高機能化・ ブラックボックス 化が進んでいる。そのた 今 め,わたしたちはその仕組みを知らなくても利用できるため, 仕組みよりも活用法ば り か り を 重視する ようになってきた。その ような中で自分や他人の生命を大切にしない な 事件などの低年齢化 も進んでいる。 と 学校教育に目を向けると,自 ら学ぶ意欲が減退し 学ぶ意義 を見失 っている 子 ども を の 増 加が指摘されている。それらを受けて中央教育審議会では,確かな学力と豊かな 警 心,健やかな体のバランスのとれた育成を目指し,自ら学ぶ意欲の向上や各教科の到 し 達目標の明確化等が強調されている。本県の基礎 ・基本定着度調査でも,自然事象に 目 ついて興味 ・関心があるが,それを主体的に調べ ようとする子どもは多くないという 学 結果が出ている。これらのことから,学年が進むにつれて理科好きの子どもが減少し 円 ていく状況と,理科の学習が生活の中でなかなか活用されていないという状況への打 這 開策は明確になっていないと考えられる。 究 子 どもは,本来自 然が大好きであり r すごいな。J r なぜだろう 。J r 不思議だな。 」 議 と 思 う 豊かな感性をもっている 存在である。本校の子どもたちを見ても,理科が好き け な子どもが多く,理科を学ぶ意味についても, r 将来役に立つから J r 自分にとってた 完 めになるから」と考えている子どもも多い。しかし r 不思議 に思うことが身の 回 り を にある 。」と 考える児童は少なく, 疑問に思ったことをとことん追究 し続 けるような 子 どもはさらに少ない 。 時代の背景 保護者や教師の願い 子どもの実態 子 この ような現在の子ども 変化のスピード が速い I 確かな学力 I 理科好きな子 どもは多い を取り巻く環境や授業の 勾 活できる 主 体 恩うことを見つけ を 実態を考える と,子 ども 翠 昔話 減退 学ぶ意 の向上 l 戸 し 続 ける子ど. 3 E. 章 が も っ て い る 豊かな感性 る を基にして, 自然への「な. 2 2 ; 2 2 2 2 ? 2 12 2 5 15 5 rf ! ! ? 2 3 1 5 2 3l T ; l : 2 2 可. 子 ども. ¥迫 然が好きで豊かな感性をもっている存在. 『ーーー‑‑. 手 ぜJ を科学的に追究し 続 添ける力をつけるために, 璽 自ら学ぶ意欲をもち自然 苓への「なぜ」を科学的に あ追究していくことの楽 し 売さを味わわせる理科授業 を展開する必要がある。. 【 図 1 研究の背景】. 5 1.
(4) 理 一2. (2. 研究の方向 平成 1 1年度から平成 14年度までの研究で,科学的な方法や手続き の発達特性を明 5 らかに し, 内容の系統性 を考 えて単元 を配列し ,授業 プラ ンを作成できた。平成 1 年度から平成 1 7年度までの研究では,科学的な方法や手続きの発達特性を踏まえ,. 智 子 どもが 自然のきま りを追究し 続け るための学習 内容 を設定することができた。特に す 学習内容を設定する中で,各区分における中心概念が明確になり,学習内容の特性に 雲 応じた指導方法を具体化することができた。. し │. その結果,子どもの 思考の流れに沿った学習内容を設定することで,自然のきまり J. 空 を追究し続ける子どもが増え. 科学的な見方や考え方が高まる授業が展開されるよう. 長 になってきた。しかし,日々の授業を振り返ると 一部の子どもの発言 ばかりが中心と 争 なって授業が進んでしまう場合もあるなど,一人一人の子 どもが毎時間 の授業で科学 三 す る こ と が楽 しいと感 じることができているのか については必ず しも 十分 とは言 えな ど い。このような授業が展開されてしまう原因について分析すると,以下の よ うなこと 話 が考えられる。. ぎ10 教師のねらいは明確であるが,子どもの学習の道筋が柔軟に想定されていな 目 │ いために子ども主体の授業になっていない。 苧1 0科学的な方法や手続きには発達特性もあるが,個人差も大きい。教師が子ど ¥ │. 授. 業 で. の. 姿 を 設 定 し. もに対する具体的な働きかけをもたないまま授業に臨んでしまい,問題や考え 方が分からないまま活動を進めている子どもがいる。. O. 子どもの論理による説明をつなげていくためには,教師が学習内容の構造を. 意識して子どものつかんだ事実を引き出す必要がある。教師の子どもの実態を 把握した上での教材研究が不足している。 O 以上のことから r なぜ」が解決することの楽しさや,. r なぜ」を見付ける楽. しさを味わった経験が少ない。. て …. そこで,本研究では前研究の成果を踏まえ,子 どもが, 科学する 楽 しさを味わう こ. 蓄 と が で き る 授業づくり を目指し研究を行っていく。自ら「なぜ」を見いだし,追究し 内 続けることができるような科学する楽しさを味わう子どもを育てていきたい。そのた 雪 めには,まず各単元の各授業場面におけ る科学する 楽 しさを 味わって いる子 どもの姿 指 を 明 らか にする 必要がある。次に,科学する 楽 空 し さ を 味 わ う た め に必要な学習 内容を,昨年度 法 ま での研究を基に検証して分析し,子どもの実 高 態に応じて新しく設定していく必要がある。そ ぶ して,その学習内容に応じて指導方法や評価の か 在り方 を充実 させて いく必要があると考えた。. じ. 以上,これまで述べてきたことを踏まえ,科 て 学する楽しさを教児ともに味わえる授業を目指 : して,研究主題を次のように設定した。 暗. 究主題. 科学する楽しさを味わう理科授業の創造 ‑ 52‑.
(5) 理. E 研究内容. (2. 科学する楽しさを味わう理科授業とは. 科 ( 1) 科学する楽しさを味わうとは 学 理科学習では,子ども自ら │科学する楽し す が確かな問題意識をもって観 柔 察 ・実験による問題解決活動 し を行い,科学的に妥当な知を さ つくる。科学するとは,わた 議 したち人聞が自然事象に疑問 わ をもち,それを科学の方法を ? 用いて分かろうとする営みそ ほ のものである。 そして,科学する楽しさと は , その 営みの 過程におい て事実 【 図 2 科学する楽しさを味わう子どもの姿】. 笠 酌. こ ! 去 す る. ℃. 示 楽. ぷ と 認 知 し. を基に科学的に考 える 楽 しさとその結果自ら の知が更新さ れて いく楽 しさである 。 それは,わたしたちが,疑問が解決 したとき「分かりた い」という 欲望が満たさ れ ることで得 られる満足感 と,獲得 した知識がさらに興味を呼び起 こし ,興味がより 多 くの知識をもた らすと いう,意欲そのものでもある 。 さらに,科学する楽しさを味わうとは科学する行為そのものが楽しいことを自ら 認知していることであり,この状態にある子どもは,科学的な見方や考え方が高ま りつつあると考えられる。そして,科学する楽しさを味わうことができる子どもは, これからの様々な状況の中でも自ら問題を発見し,科学的な方法や手続きを用いて 追究し続けることができると考える。 そこで, 科学する 楽 しさを味わう 子 どもの姿は , r 自然事象への関心・ 意欲 ・態度」 「自然事象への知識 ・理解 J r 科学的な方法や手続 きJ の 3つの 資質 ・能力が発揮さ れた次のような姿であると考える。. 科 学 的 な 見 方 や 考 え 方 を つ く り ︑ も つ ことである︒. O. 自然事象との出会いにおいて,既有の見方や考え方で説明できないことや, 根拠が少ないことに気付き,問題の所在を明らかにして,学習問題を設定でき る子ども。 【 つかむ】 O 学習問題に対する仮説を立て,それを検証するための方法を考え,見通しを もって追究し ようとする子ども。 ( 見通す】 O 問題を解決するために必要な科学的な方法や手続きを用いて,試行錯誤しな がら観察 ・実験を行い,確かな事実をつかむまで根気強く調べ続ける子ども。 【 調べる } O 友達と事実を基に考えることを通して,問題となった自然事象について最も よく説明できる仮説を構築することができる子ども。 【 吟味する,まとめる 】 O 分かつた過程を説明でき,達成感が認知できる子ども。そして,構築した科 学的な見方や考え方のよさを実感し,次からの授業・日常生活で生かし,さら に自然とかかわることができる子ども。 【 ふりかえる,生かす】 この ような子どもの姿が現れる授業を目指すことが,子どもが科学する楽しさを 味わい,科学的な見方や考え方をつくり,もつことにつながっていくと考える。な お,この科学する 楽 しさを味わう 子 どもの姿は,各単元のもつ中心概念に よって変 化する と考えられる 。 一. 53‑. 3.
(6) 理 一4. ( 2 ) 科学する楽しさを味わう理科授業とは. 教師は子どもの実態からとらえた教材観を基に︑ねらいを明確にもつ必要がある︒. 科学する楽しさを味わう理科授業とは,子 どもにとって解決すべき問題が明確で あり,子どものもつ科学的な方法や手続きが十分発揮 され 自然事象や友達,教師と かかわり ,科学的に妥 当な知を構築できたと 実感できる 授業である といえる。この ような授業が展開されるためには,子ども,教材,教師が次の ようなかかわりをも たなければならない。 子どもは,本来多種多様な 「 なぜJ をもっている。そのため授業では,教師が教 材を吟味し,事象提示や情報を収集する活動を設定することで,子どもの教材に対 する 問題意識を焦点化 していくことが必要である。そのためには子どもは,自分の 見方や考え方を明確にもつ必要があり 教材は,子どもの 「 なぜ」が引き 出せる よ うな特性をもっている必要がある。こうした教材を選定するには,教師が子どもの 発達特性と教材の価値とを研究しておく必要がある。その際に, どのような仮説を どのような科学的な方法で確かめればよいのかといった追究の見通しを子ども 自身 が 自覚することで,学習意欲が顕在化し ,科学する 楽 しさを味わう 姿が現れる ので ある。 追究の過程では,子どもは,自然事象について観察や実験を通してかかわり,事 実を基に考えることや, 友達とのかかわりの中で, 事実 を根拠として 自分の考えを 説明する必要がある 。そして 教材は子どもの発揮する科学的な方法や手続きで事 実を調べられる 可能性をもっ ている必要がある。この際,教師は,教材の特性から 子 どもの調べる方法を想定し,準備する必要がある。 また,子どもが事実を基に考 える過程を構造的に理解して,多様な思考過程に対応するための評価活動を行う必 要がある。 まとめ,生かす段階では,子 どもは,分かつた過程を 説明できることが必要であ る。そのことで,達成感を得たことと,科学的な方法や手続きのよさを実感するこ とで,科学的な見方や考え方を今後の学習や日 常生活に生かしていくことができ,そのことが さらなる意欲を喚起し ていけると考える。その ためにも,教材は子どもの身近に存在する自然 事象であることが望 ましく, また教師は,子ど もがっくり,もった科学的な見方や考え方が次 に生かせる ように単元を配列し,学びの足跡を 評価,蓄積していく必要がある。. (2. 科学する楽しさを味わう理科授業創造の基本的な考え方 ( 1 ) 科学する楽しさを味わう子どもの姿の設定 理科は,自然事象を対象として仮説 ・演鐸的に活動し問題 を解決 していく 教科で ある 。だから 子 どもは 自然事象 を統一的に見 る必要がある 。そのため科学する楽し さを味わう子どもの姿は 対象とした自然事象と構築した中心概念とかかわってい る。そこで,本研究では, まず区分毎に中心概念を設定し,科学する楽しさを味わ う子どもの姿を想定する。そ して,授業実践を通して子どもの姿を検証することに よ り,科学する楽しさを味わう子どもの姿を設定 していくことにした。 また,単元 によってはいくつかの中 心概念にまたがるものもあり,単元一つ一つの教材研究を した上で子どもの姿を設定することが必要である。 ‑54‑.
(7) 理 一5. 【 表 1 中心概念と科学する楽しさを味わう子どもの姿】. 中心概念毎の科学する楽しさを味わ. 区 分. A 区 分. B 区 分. C 区 分 内/﹄. つ. 子 ど. 中心概念 生物は生きるための 知恵 をもっている。. 科学する楽しさを味わう子どもの姿 生物の多様性と共通性,連続性に意味を見いだし,生物がもっ 生きていくための知恵について考えることを楽しみ,生命を大切 にする子ども。. 物やエネルギーには. 身の回りのさまざまなものを物質としてとらえ,物質の性質や,. 特有の性質があり,物. 物質の 量的変化や質的変化 ,物質とその性質の保存について考え. は絶対になくならない。. る子ども。また日に見えない エネルギーをその働きからイメージ. 自然はバランスょくで. でき,生活に生かしていく子ども。そして,自然界のバランスに. きている。. ついて考えることを楽しむ子ども。. 自然 は 長 い 年 月 や 広. 天体の運動や水の循環,天気や土地の変化について,実際の空. い範囲の中で変化して. 聞の広がりや時間の長さを推論して考えていくことを楽しみ,自. いる。. らの時間 ・空間概念を広げていく子ども。. 科学する楽しさを味わうための学習内容 科学する楽しさを味わうためには,子ども の思考の流れに沿って,中心概念へと 迫らせていく学習内容が必要である。. 3年生の「磁石の性質 Jでの中心概念は「磁石には,鉄. き. や異極を引きつけたり,同極を退けたりする力がある。」. 姿. と考えることができる。このように磁石という教材の特性 から中心概念を設定すると,学習内容は「磁石のもつ普段 感じることのない目に見えない力を十分実感させる。 」 こ とを柱に構造的に設定することができる。 以上のような基本的な学習内容設定の考え方を基にして,教材研究を進め学習内. の. 差 と. 号. 五. 容の多様な在り方について,授業実践を通して探っていく必要がある。 3 ) 科学する楽しさを味わうための指導方法 め ( 一人一人が科学する楽しさを味わうためには,学習 内容に応 じて,個々の子 ども 習 に対応した指導方法の具体化を図ることが大切である 。その中でも特に教師が,子 堕 どもの活動を授業中に見取りながら,子どもの理論を整理していくために行う発問 谷 や板書などは, I } 頁序性と関係性を明確にしながら構造化していくことが重要である。 指 また ,個々の子どもの活動 を見取るためには, 子どもが 』 i. 2. 門. 空 去 ;. 思考していることを表現させていく手立てと,それを見取 る評価方法の具体化が重要である。現在,実験 ・観察中の 子どもの状況に応じて,考える道具としての教具を提供す る学習過程で個に応じた教具の活用法について研究を進め ている。. E 研究の方法. (1. 研究の手順と方法 ) 科学する楽しさを味わう子どもの姿を設定するためには,理科の目標を 三つの資質. から分析的に設定していく必要がある。その際子 どもの実態 とその背景を把握するこ とや,中心概念 と子 どもの思考の流れを想定するための教材研究が必要不可欠である。 目標が明らかになり,概念,科学的な方法や手続き,自然事象への興味 ・関心の方向 民U.
(8) 理 一6. について子どもの実態が把握されると,子どもの思考の流れがある程度想定でき,学 習内容を想定することができる。. ? 、. IL. 以上のねらいと子どもの実態を基に,科学する楽し さを味わう子どもの姿を科学的. 概な見方や考え方が高│目標の 令まった姿から想定し, I 具体化 ¥ 学習 内容に合わせた. 完り,想定した姿や学 れ習前の実態と比較し 喜ていくことで,科学 差する楽しさを味わう す子どもの姿を設定し 三ていく。. め. 授業実践を通して. り設定した科学する楽 話しさを味わう姿は, 研その単元の目標の具 実体化された姿であり. :. 科学する楽しさを味わ う子どもの姿の設定. 思行っていく。授業中 考に子どもの姿を見取. 子どもの既有の見方や考え方とその背景. │. 理科の目標│ 科学的な見方や考え方. ど指導方法を具体的に き準備して授業実践を. I. の関心・意 欲・態度. 子どもの 思考の流れに沿った学習内容 d. 科学する楽しさを味わう子 どもの姿の想定 学習過程 学習形態. 学習の場. │UI. 子どもの姿の見取り(指導評価). 忌今後の授業実践での. 【 図 3 研究の方法】. 要 目 指 す 子 ど も の 姿 と な る 。そ して,授業において学習内容を設定する際や指導・支援 する際の規準となっていく。ここで,設定された子どもの姿が授業においてどのよう に現れるかを見取ることで,研究を評価していく。. (2 研究計画 科. 研究の期間は 3年間を考えている。. ). 1年次は,研究の基本的な考え方の構築と,科. 笠学する楽しさを味わう子どもの姿を実践授業を通して探っていく 。 2年 次は ,. 1年 次. るの研究を基に科学する楽しさを味わうことのできる学習内容の考え方を構築し,設定. z. きする。 3年次は,科学する楽しさを味わうことのできる指導方法や評価の在り方を具 体化していく。. 味 わ. っ. 子. ど も の 姿. を 設 定 す る. 研究内容. O 年 O 目 O O 2 年 O 目 O O 3 年 O 目 O 1. 研究の基本的な考え方の構築 科学する楽しさを味わう子どもの姿の設定 学習内容 ・ 指導方法の基本的な考え方の構築と実践 授業実践による科学する楽しさを味わう子どもの姿の検討 科学する楽しさを味わい,中心概念へと迫ることができる学習内容設定 学習内容に合わせた指導方法の具体化 授業実践による科学する楽しさを味わう子どもの姿の検討 科学する楽しさを味わい,中心概念へと迫ることができる学習内容の検討 学習内容に合わせた指導方法や評価の在り方の具体化 h 円 u. ﹁ ひ.
(9) 理ー 7. W 研究の実際 (1 実 践 の 立 場. ) ここでは,まず科学する楽しさを味わう子どもの姿を想定し,そのために必要な学 習内容 と指導方法を想定 し,授業実践を行う。そして,授業 中の子どもの姿の分析を 通して子どもが科学する楽しさを味わうことができたか評価し,本単元での科学する 楽しさを味わう子どもの姿とそのために必要な学習内容及び指導方法を設定していく。 ( 1) 実践の視点 ア 科学する楽しさを味わう子どもの姿の設定 目標分析,評価規準の設定による目指す子どもの姿の明確化 イ 科学する楽しさを味わうために必要な学習内容の設定 教材分析,子どもの既有の見方や考え方の把握 ウ 教材の特性を考慮した指導方法の工夫改善 ( 2 ) 実践の評価と見取る方法 d. 学習 内容の設定に よって,子どもが科学する楽しさを味わうことができたか。 ・科学的な方法や手続き ・得られた結果及び概念 ・関心・ 意欲 ・態度. 立工 想定した評価規準(子どもの姿)と照らし合わせて評価する。 (発言・行動記録,ノート記述,振り返りカード,学習後の実態等). (2 実 践 結 果 と 考 察 第 5学年「てこの働き J (対象: 5年に組 3 7名) ( 1 ) 単元の目標の設定 ア 単元の位置とねらい 【5年:動いている物の働き】 O 物の動きの規則性に ついての考えをもっ。. イ. 【5年:てこの働き】 O てこを傾ける働き やてこが釣り合うと きの規則性について の考えをもっ。. O. 【中学校 :力と圧力】 O 力には大きさや向きなどがあ ること. 2力のつり合いの条件 など力の性質について理解し, 力の量的な見方の基礎を養う。. ゆ. 単元の特性. 人は,自分自身で出す力には限りがあるために,様々な道具や機械を利用し,大きな物や小さ な物など様々な物を動かしている。それらの道具や機械の基本原理が「てこ」であり,支点 ・力 点 ・作用点の 3点の位置関係を操作することで,その効率を高めている。支点 ・作用点聞の距離 はなるべく短く,支点・力点間の距離はできるだけ長くする方が効率がよい。つまり,それらの 距離と力点に働く力との関係は,正比例や反比例の関係にある。また,この際の力点及び作用点 に働く力は支点を中心に棒を回そうとするので,てこの回転力(回転モーメント)と呼ばれる。 このてこの回転力を数値化し,左右の関係をとらえさせるためには,実用てこより精度の高い実 験用てこを用いるとよい。そうすると,てこの回転力は. (おもりの重さ) x (支点からの距離) で表すことができ,左右の回転力が等しいときにはてこは必ず釣り合うことをとらえることがで きる。そして,その釣り合いのきまりを利用し,重さを比較したり測定したりできるようにした ものを 「 天秤」と呼んでいる。. 0 < = コ 「Z 左 右i i 守Z E A. な比較. 【本単元における科学する楽しさ】 O 小さな力で大きな仕事をするてこの働きを実感し,規則性を発見する楽しさ O 身の回りの道具をてこのきまりの利用という視点から見直す楽しさ ‑57‑. ).
(10) 理 ‑8. 科学する楽しさを味わうための学習内容の設定に当たって. ウ. O. てこに働く力を実感するための手応えの数量化 てこの支点・力点 ・作用点の位置関係と力点に働く力との関係 をとらえさせる際には,力点を支点からなるべく遠ざけ,作用点 を支点にできるだけ近付けた方がてこの効率が よ くなる ことを 実 感してとらえさせるために まずは実用てこで子どもが一人で持 ち上げることのできない重さの砂袋を用いて調べさせる。さらに, 定性的にとらえていた手応えを数量化させることにより i12kgの 砂袋がわずか 1kgの力で持ち上げられた」と いったて こに働 く力 を実感さ せることが大切である 。 3点の位置関係と力点に働く力の関係の把握 力点で感じる手応えを重さに置き換えて,定量的に比較してい くと,支点 ・力 点間の距離の変化と力点に働く力の変化 は反比例 の関係 に,支点 ・作用点聞の距離の変化と力 点に働く 力の変化は 正比例の関係 にあるという規則性をとらえることができる。この 関係をとらえさせることは でこの 3点の位置関係を変えること でてこの効率を高めるというこれまでの見方や考え方をさらに科 学的なも のに高めることにつながると考える。 また ,それはてと の働きに「支点からの距離」が関係しているという, てこの働き を回転力としてとらえる見方や考え方にもつながっていくと考える。 なお,この実験の際には予想を立てる段階を特に 重視 し,見通し 【定性的な比較から をもった実験を行わせることが大切である。 定量的な比較へ】 O 子どもにとって必然性のある実験用てこの導入 実用てこを 用いて規則性を見 出す実験においては,支点からの距離と力 点に働く力との関 係につ いておおよそと らえる こと ができる。 しかし ,実用てこという暖昧なてこでは自分の 仮説と 実験結果が完全には合致しないため, 子 どもにとってはより精度の高い てこが必要と なる 。そこで,実用てこで見出したきまりをより科学的なものへと高めるために実験用てこ を導入することで, 一見形状の異なる実用てこと実験用てこがつながり,必然性をもって検 証することができる 。 また, それがてこ の釣り合いのきまりの発見につながると共に, 天秤としての活用 にもつ ながっていくものである 。 O てこの活用 てこの仕組みゃ働きを実感させ,身の回りの道具を分析的に見直す態度を養う ために,て この働きを利用した道具を探す活動や簡易なてんびんを作って物の重さを比較したり測定し たりする活動を取り入れる。また てんびんの正確さを実感させるとともに,操作技能を今 後の学習へ生か していけるように,上皿てんびんを正しく扱えるようにしていく 。. o. 一 5. 一斗ノー. 容一糾 内一剖. の ‑ ︼給 別. ι. 仏. J4斜 計 弘 明 ) 楽. f. ︒ほ. 3 1弘子日以枕. ω. にム で が つ に けとゃな. 持でたも. L. J. ‑58‑. 精 一川顧問 柿 み 究. 持. T. 重い砂袋を小指で持ち上げるには,支点と作 用点をできるだけ近づけ,支点、 と力点をできる だけ遠ざけるとよい。. した規則性を分かり やすく説明しよ うと している。 O 分かった過程を振 り返り,てこの働き のよさを感じて いる。. 此一 一日容 由り時一 w ハた や が も も ず 小 げ よ ' ・る つ ‑一 以一 州一 献 駒 市 妙 限 劫 浩 一フ 品 目 は 上 は 上 た つ ‑ き ょ て 町 内 一鵠 習 削 換 砂 口 で ど い 子 僕 ち 僕 ち き え ら で ]一. d t. CT臼始 CC. O 事実を基に見いだ. 十情 T. 3点の位置が関係 するんだね。. 様だけで持ち上がった. は一 耕 一 収 回 日. 8時間. bA. 前 ミ正三. 却 ‑m 一 語学 か校'る演沌 竹報・・ :・・町め ' F一姉一. ~. 針川│. δ[ j. 建一る意にし. /_~---~. 小指で持ち上がった. 二. ‑ .. G. 23. てこの働きときまり. 小指で持ち上がらない. cc‑ . 1 . 4. 俸を使って小指 1本で重い砂袋を持ち上げる には,どのようにしたらよいだろうか。. 一 ノ百. 次. [一 わ 一 一る' て げ題験決 ' 姿 一 斗附 則僻弘 一日丸レ 体一 王 な 一 司 吃 川 一バ生姿そ 持 い 丸 題 竹 一凱再ぶ換 的一 さ 一 本一し一をつ汁問し一 告 を い 交 袋に持寸いい一 倒 識 引 較 則 一 楽一 一一る 一 砂 法 を つう﹂ 許 知 情姿 ‑め i ‑ ︒一 h m ︐﹁紅 寸一 {方識よよJ. 科学する楽しさを味わうために必要な学習内容 1 重い物を楽に動かす工夫を考える。. 一 伊一 0 も ︑一︿ 一手干 一 子↓. 凶‑次. 実践の結果(全 14時間) ※ 凸 は ,.
(11) 理一 9. 2 支点までの距離と力点に働く力の関係を調べる。. O. 力点に働 く力を数 量化する必要性に 気 づき ,実験によって 問題を解決しようと している。. 力点や作用点の位置を変えると ,砂袋を持ち 上げる力はどれくらい楽になるのだろうか。 作用点を支点に近 づけていくと,砂袋 を持ち上げる力はど れくらい楽になるの だろうか。. 予想に対する解決 の見通しを持ち,計 画的に実験する姿 グループで役割を 分担したり ,情報交 換をしたりしながら 調べる姿. h岨. 二. 一. ﹁ ﹁4. ‑. 一 る仁﹂F 仁 同 ?一 { 川﹂ ベ 一 一 コ一 調コ. 変 一一﹄. て工 工 えEh. 用 ﹁↑﹂均一. 一ド lu‑. をゴ コ. 伝F 一 一. L. a. ﹁ U 均一 点士 ] 王 F U. るベコ 1 B 下十 ム 比一ア. 調 仁 日 ﹂仁. h. て一一 一一 1 えa コ. てこの働きときまり. 11工. を ﹁ト﹂ 比一﹁ ト. 変工. 点 一 日 ‑二 カ コ寸. 次. f i ;E. 力点を支点から違 ざけていくと ,砂袋 を持ち上げる力はど れくらい楽になるの だろうか。. o 3点の位置関係と 力点に働く力との関 係を数量で説明しよ うとしている。. 8時間. 3点の位置関係を 図や実物を用いて説 明する姿 自分と友達の事実 を基に規則性を見い だそうとする姿. O 見いだしたきまり を説明したり,適用 したりしようとする 。. f. 小指 1:本で重い砂袋を 持ち上げるには,どう したらよいだろうか。. 【定量的な比較を うながす教材の工夫】 精度の高い実用てこ では釣り合わせること 自体に手間取ってしま うので, 角材を十字に 組んで支点とした。作 用点に吊り下げる砂袋 は,計算がしやすいよ うに 12kgとし,力 点 に吊り下げるおもりは, 組み合わせによって 様々な重さのおもりに なるように 0 .5, 1, 1 .5, 2kgの水を入れ たペットボトルを活用 した 。 また ,支点から の距離などを棒に直接 記録してよい ことにす ることで定量的な 比較 を行いやすくした。. 一‑ ‑ ‑ ‑ ^. 自分や友達の複数 の事実から,科学的 に妥当なきまりをつ くろうとする姿 きまりのよさに気 付き ,それを生かそ うとする姿. O. 3 てこの釣り合いを利用し,重さを比べたり, 量っ たりする。. AV. w. と. つ︒. 合唱. Agw p e ﹂. 的り・4. よ 1 H' リJ J ''. T則. ヲ﹂. てんぴんと重さ調べ. 支 b ︑ 犬が 棒ろ. 次. ‑1 U川﹂ ‑J. てこを使って物の重さを 量るには , どのよう にすればよいのだろうか。. 戸ヘいヘ O ・. │. │. 支点から等距離の点で 釣り合えば同じ重さだね。. 物の重さを量るに は,重さが分か つている物が必 要だね。上皿てんびんで重さを量ったり,決ま った 重さのおもりを作ろう。. 4時間. 正確に量るに 這 孟 孟 よ位五孟云言 効率よく 量る は,どんなこと 一 主長F司ヨ二ヰ¥; には, どんなこ が大切かな。 / ! ., 一一 とが大切かな。. 物の重さを量る. 決まった重さを量り取る. 自分で作 ったてんぴんとおもりで物の重さを調 べ よう 。. 重さをはかる方法 について問題意識を もち, これまでの 学 習を基に見通しを もって問題を解決し ようとしている 。. てんびんの支点を どこにするとよいか 考え ,調整しながら 設定している姿. O. おもり作りの必要 性に気付き,上皿て んびんを正しく使お うとしている。 正確なおもりを作 るために ,上皿てん びんの使い方を調べ, 正しくまた効率よく 操作する姿 作ったおもりの重 さを別の方法で確か めようとする姿. O. 作ったてんびんを 用いていろいろな物 の重さ調べをし,そ の正確さや有用感に 気付いている 。. てこを使って物の重さを 量るには,支点から 閉じ重さのところで重さが分かっているものを 使って量るとよい。. 【棒の重さを捨象する 必要性に気付かせる 事象提示】. 実用てこを使用する 中で棒の重さだけでお もりが持ち上がる現象 を見つける子どもが見 られる。 この気づきを 取り上げる ことで,棒 の重さを捨象するため に,棒だけで釣り合う ところを支点としなけ ればならないことに気 付かせた。 【天秤の精度の高さを 実感させる】 敏感に動く天秤の振 れか ら精密さや道具と しての有用感を感じさ せるために ,上皿天秤 で量っ た物を 電子天秤 を用いて確かめさせた。. Qd.
(12) 理一 1 0. O 身の回りの道具を. 4 身の回りの道具で,てこの働きを利用している. 分析的に見直し,そ の働きやよさを説明 しようとして いる。. 物を調べる。 身の回りからてこの働きを生かしているもの を見つけよう 。. 》 係 J. 次. 支点 ・力点 ・作用点 があり,小さな力を大 の きな力に変えることが 中 の できる道具だね。 て 生. 活. f. 一 一〈. 支点から遠いところ に力を加えた方が楽だね。 楽に使えるっくりに なっているね。. / I Jム¥. v 」 ー. 2 時 間. ピンセットなどは細 かい作業がしやすいて こだね。 1. 支点が真ん中にない ものもあるんだね。. 身の回りにはて刈きを利用することで 仕事をしやすくした道具がいろいろある。 道具のよさをまとめて,てこ自慢をしよう 。. てこの働きを確認 し,身の回りから見 つけようとする姿 見つけた道具を実 際に使いながら 3 点の位置関係を調べ ょうとする姿 情報交換をしなが ら,自分なりに確か めようとする姿 見つけた道具のよ さをてこのきまりと 関連づけながら ,説 明できる姿. 【身の回りの道具を分 析的に見直す場の設 定 体験を通して働 きやよさを実感させ る】 T: はさみやパール は,てこの働きを 生かしていると 言 えるかな。 C : 言えるよ。 T: どんなところが そうなのかな。 C: 支点 ・力点 ・作 用点があるところ が 。 C: 作用点を支点に 近づけ,力点を遠 ざけると楽に使う ことができるよ。 C: できるだけ支点 から遠いところに 力を加えられるよ うにできているね。 C: 栓抜きも 真ん 中 が支点だと思って いたけど,試して みたら違うことが わかったよ。. ( 3 ) 実践の考察 ア 科学する楽しさを味わう子どもの姿の設定について 実 践 前 に 想 定 し た 本 単 元 に お け る 科 学 す る 楽 し さ に つ い て は , 表 1か ら て こ に 対 す る 概念としては, 中心概念として重視したてこに働く力やその規則性,生活場面での活用 と い う 面 か ら 獲 得 さ れ た も の と 考 え る 。 ま た 表 2か ら , 子 ど も た ち は き ま り を 見 出 す 際 に 発 揮 す る 科 学 的 な 方 法 や 手 続 き と し て , 自 分の予 想 に 対す る 解 決 の 見 通 し を も つ こ と , 条 件 を 制 御 し な が ら 計 画 的 に 実 験 す る こ と を 大 切 で あ る と 認 識 し て い る こ と が わ か った。 この結果から,子どもが本単元において獲得したてこに対する概念や科学的な方法や手 続きは,授業前に想定したものとほぼ一致できたと考える。それは,教材の特性を分析し, 学習内容を構造的にとらえ直すことができたことや各学習過程における科学する楽しさ を味わう姿を想定して授業に臨んだ成果でもあると考える。 【 表 1 子どもが獲得したてこに対する見方や考え方】 【 表 2 きまりを見いだす際に大切にした科学的な方法や手続き】 29 てこは,身の回りで活用されている 29 数量を正確に測定する 26 てこは,便利なものだ 予想、 を立てて調べる 2 1 てこは,力持ちだ 25 20 比べるもの以外の条件を揃えて調べる てとは,不思議なものだ 25 1 1 調べた結果を表やグフフに整理する てとは,正確だ 自分の結果を多くの友達の結果と比べる 2 3 6 てこは,敏感だ 1 3 できるだけ何回も調べる 3 (表1, 2ともに学習後に調査,複数回答,単位は人). イ. 科学する楽しさを味わうために必要な学習内容の設定について 単元導入時に自由試行できる場を設けたことは,既有の知識を再生したり,友達と情 報 交 換 し た り し な が ら 全 員 が 共 有で き る 課 題 を 設 定する ことができ,学習意欲を高める 上 で 有 効 で あ っ た 。 3点 の 位 置 関 係 と 力 点 に 働 く 力 と の 関 係 を 定 量 的 に 比 較 し な が ら 調 べ る 活 動 で は , 力 点 の 位 置 を 移 動 さ せ る 場 合 と 作用 点 の 位置 を 移 動 さ せ る 場 合 と を 分 け て 調 べ さ せ る こ と で 子 ど もの思考 を整 理する こ と が で き た 。 ま た 力 点 に 働 く 力 を 数量化 することにより,自分と友達の得た事実が比較しやすくなり 複数の事実から科学的に 妥当なきまりをつくろうとする姿が見られた。そして ここで得た「てこを傾ける働きは, 支 点 か ら の 距 離 と 力 点 や 作用 点 に 働 く力の大きさの 両 者 に 関 係 が あ る J という科学 的 な 見 方 や 考 え 方 は , 釣 り 合 い の き ま り を 見 出す際にも生かされた 。. ‑60‑.
(13) 理一 1 1. (3 実 践 結 果 と 考 察 第 3学年「磁石の性質」. D. (対象: 3年 は 組 40名. ( 1 ) 単元の目標の設定. ア 単元の位置とねらい 【3年:電気の通り道】 O 電気を通すつなぎ方 1 ~ や電気を通す物を調べ, 1 1 電気の回路についての │ 一γ 考えをもっ。. イ. 【3年 :磁石の性質】. O. 磁石を使い,磁石に 付く物や磁石の働きを 調べ,磁石の性質につ いての考えをもっ。. 【4年:電気と光】 O 乾電池や光電池の働 きを調べ,電気の働き についての考えをもっ。. O. 単元の特性. 「磁石」 とは,鉄・ニ ッケル ・コ バルトなどを引きつける性質をもっ物のことであり,それは, 原子の周りを回る電子の運動によって生じる磁力によるものである。磁石は,鉄片を引き付ける 極という磁極をもち,それらは南北を指し示し,また異極間では引き 働きの強い両端に N極, s 合い,同極間では退け合うという極性をもっている。また,磁極に鉄片を近づけると ,それは磁 気誘導によって磁化されるといった性質をもっている。私たちは,この ような磁石特有の性質を, 例えば,空き缶を材質によって分別したり ,方位磁針 として活用したりするなどして,生活の様々 な場面で生かしている。. 0 < = 二「 叫 i f 君主性高司. 【本単元における科学する楽しさ】. O O. 引き付け合ったり,退け合ったりする磁石のもつ見えない力を実感する楽しさ 磁石の働きについて比較し,その共通性から磁石の性質を発見する楽しさ. ウ 科学する楽しさを味わうための学習内容の設定に当たって. O. 磁石の力をとらえさせるための電気の性質との比較 学習前の実態調査では,磁石に引き付けられる物として金属以外の物を挙げる子どもはい. なかった 。但し,金属と鉄との関係性についてはとらえていないために,引き付けられる物 を調べる際には,それが問題になると想定される。そこで,磁石に 引き付けられる物は塗料 や錆などには関係なく 材質だけが関係ある ことに気付かせるために,子どもが調べる物とし て材質の異なる缶や釘を用意する。その際,金属面と 導線とが接していなければ流れなかっ た電気と比べることで,聞に物があっても働く磁石の力 をとらえさせることが大切である。. O. 磁石に働く見えない力の実感 物と磁石との関係においては,磁石の物を引き付ける力に子どもの興味は向くと想定できる。. また,そこに十分着目させることでエネルギーとしての磁石の力 を感じ取らせたい。そこで, 磁石を物に静かに近付け,引き付ける様子や引き付ける場所を十分に観察させることやその 力を体感させることが大切であると考える。 さらに,磁石と磁石の関係においても,極同士に働く引き合う力や退け合う力を体感する 場面を重視し,磁石を自由に動くようにして調べさせたり,体感したことを表現させること で理解を深めさせたりすることが大切である。. O. 比較の能力を発揮し,磁石の性質の保存や磁化を検証 磁石遊び等を通して,子どもは折れた磁石や磁石に付いた針の性質に興味を抱くと想定さ. れる。そこで,学習を通して得た磁石の性質に関する知識を生かし,磁石の性質と折れた磁 石などの性質を 比較することによ って. r 物はなくならない J という物質観を養う活動を設定. する。その際には,科学的な見方や考え方を高めるために複数の観点から判断 させたり,個々 の理解度を確認し補充的な指導に生かすために検証したととを説明する活動を 重視したりす ることが大切である 。. ‑61‑.
(14) 理一 1 2. ( 2 ) 実践の結果(全 12時間) 「 一 一 一 一. ※ 亡 コ は , 子 ど も の 具 体 的 な 姿 亡 コ は 付加 し た 学 習 内 容. 科学する楽しさを味わうために必要な学習内容. 次. O 磁石の性質に興味をも. 1 磁石を使って遊ぶ。 次. 科学する楽しさを味わう姿 教師の具体的な働きかけ. (磁石を使って遊ぼう 。j. 磁. 石 遊 び. ち, 自由試行や情報交換 を通して, 自分なりの気 付きを得ょうとしている。 試行錯誤している姿 知識を再生し ,確かめ ている姿 情報交換をしている姿. 2 時 間. O 磁石に付く物について 問題意識を持ち,付く物 と付かない物とを比較し て,その共通性を見付け ようとしている。 物を磁石に付くかとい う視点で分類・整理しよ うとする姿 付く物の材質に着目し, その共通性を説明しよう とする姿. 鉄でできた物は,磁石にどのように付く のだろうか。 次 物 と 磁 石. 3. 時 │ 間. 離れていても操れるよ。 磁石を付けなくても 缶引き競争ができるよ。 クリップのフラダンスだ。 鉄は磁石に「付く 」 と 言 う よ り 引 き 付 け られる 」 と言 った方がいいね。磁石には,見え ない力があるんだ。 1 1. O. 磁石に付 く物の磁石へ の村き方について問題意 識をもち,引き付けられ 方を進んで調べようとし ている。. 磁石と物を注意深く近 づけ ,引き付けられる様 子を観察したり ,体感し たりして ,その力を感じ ている姿 磁石の引き付ける力を 自分なりの言葉で説明し ようとする姿. 鉄でできた物は磁石に引き寄せられるよ うに付く 。磁石には ,離れている物も引き 付ける力がある 。 1本の磁石の中で ,鉄を引き付ける力が 強いのはどこだろうか。. O 磁力が強く働く場所に ついて問題意識をもち, 鉄の付き方や量を比較し ながら,その共通性を見 付けようとしている 。 鉄を引き付ける力の強 い場所を鉄の付く量など を比較して調べようとす る姿. 1本の磁石の中で ,鉄を引き付ける力が 強いのは端の方であり ,そこを極という 。. 磁石には,N極と S極という 2つの極があるんだね。. ‑62‑. 【問題を共有する自由 試行の場の設定】 まず子どもたちに フェライト磁石を与え, 自由試行で得た気付き を類型化し学習計画を 立てていくことにより, 学習問題の共有化 を 図った。 【材質への焦点化を図 る教具の導入】 学習前の実態調査で は,鉄と金属の関係が 理解できていない子ど もが多く見られた 。そ こで, 鉄釘,ステンレ ス釘 ,真鍛釘 ,銅釘 , 錆びた鉄釘をもち込ん だ ところ,次のように 材質に着目して吟味す る姿が見られた。 C: 釘や缶にも磁石 に付く物と付かな い物があるよ。 C : 色が関係あるん だよ。 C: やすりで色を溶 としても 付 かな かった物はやっぱ り付かないよ。 C: 錆や色があって も付く物は付くよ。 T それじゃあ, さっき話題になっ たはさみのプラス チックの部分が付 くのは。 C: 中に鉄があるから 。 C: 磁石は聞にある 物は関係ないんだ。 【引き付ける力を体感 させる教具】 糸の張り具合により 物が引き付けられる力 を手で感じ取らせるた めに, 釣り糸を結び付 けたクリップを用意 し た。釣り糸側は,机な どに貼り付けるよりも 手で持つようにした方 が,その 引き具合をよ りいっそう感じとるこ とができる また,磁 力の強い場所を調べる 際にもその引き付けら れ方から判断すること ができ,有効であった。 Q.
(15) 理一 1 3. O 磁石 同士を近づけたと. 3 磁石と磁石の関係について調べる。 磁石と磁石は , どんなときに付いたり離 れたりするのだろうか。. 次 磁石と磁石. 3時 間. 磁石同士が引き付け合 う場合と退け合う場合と を比較し,共通性を見付 けようとする姿 同極同士が引き付け合っ たり退け合ったりする様 子を観察したり ,体感し たりして,その力を感じ ている姿. て 三T. 磁石を自由に動 くようにす ると ,引き付け合ったり退け 合ったりしておもしろいな。. 磁石は,ちがう極同士は引き付け合い, 同じ極同士は退け合う 。. 磁石の N極と S極は, どんなところがち がうのだろうか。. 方位磁針も自分から南 北を指すから ,磁石なん. 棒磁石も U型磁石も必 ず同じ方向を向くよ。. きの様子について 問題意 識をもち, 引き合うとき や退け合うときの共通性 を見付けようとしている。. だね。. o N極と S極の性質につ いて問題意識をもち,複 数の事実から共通性 を見 付けようとしている 。. 【磁石の力に十分浸ら せる場の確保】 磁石 同士の関係を調 べる際には,磁石の力 を感じ取らせるために, 磁石 同士が互いに 引き 合ったり,退け合った りする現象を 体感する 場 を 十 分 に 確 保 した。 そのために ,水に浮か べる,糸で吊す,並べ たストローに乗せる, 時計皿 に乗せるなど磁 石を自由に動かせるよ うにする 方法を紹介し たところ,磁石の動き に夢中になって活動す る姿が見られた。また, この活動は次時の活動 につながりをもたせる 上でも有効であった。. 自由に動くようにした 磁石の様子を注意深く観 察し ,方位磁針との比較 から仮説を検証しようと する姿. 磁石の N極は北を向き , S極は南を向く 。. 4 折れた磁石や磁石に付いた針の働きについ て調べる。 磁石は折れてもまだ磁石なのだろうか。 磁石の性質 ・鉄を引き付ける .端が磁力が強い。 .N極と S極がある。 .南北を指し示す。. 折れた磁石の性質 四. 次 磁石の性質の保存と磁化. •. I~. 磁石だと言うには,何 を確かめたらいいかな。 1 1. 細か く砕いた磁石も磁. 1 ¥: t J の 性 質はな くなってい I l なり杢土. 磁石は折れても ,まだ磁石だ。. I. 折れても磁石の性質はなくならないんだ。 (磁石に付いた針は,磁石になったのだろうか。 ). O 折れた磁石の性質や磁 化 された鉄の性質につい て問題意識をもち,複数 の事実から確証を得よう としている 。. d. '4. ﹀. 折れた磁石の性質につ いて,複数の観点から仮 説を検証しようとする姿 磁化された針の性質に ついて ,折れた磁石の性 質調べの際の調べ方や考 え方を生かして,仮説を 検証しようとする姿 折れた磁石の性質や磁 化された針の性質につい て,事実を基に説明しよ うとする姿. ι υ. 苛同叶つ. 昨什 日. 一一 磁石の性質 磁石に付いた針の性質 I 前の 固圃圃同 町園田 聞 い鉄を引き付ける 。 時間と ~ ~・哩 ハ ・ 端が磁力が強い。 同じ調 咽け .N極と S極がある。 べ方が F事~"' 1 .南北を指し示す。 できそ [ 1 " " l!T' ‘~ II・ 折れても磁石である。 うだ。 ̲ , ̲ 1'. E二: h E4 F. ' 1 1. 5 磁石の性質を生かしたおもちゃ作りをする。. O. ものづくり 2時間. 磁石の性質をおもちゃ 作りに生かそうとしている。 おもち ゃの仕組みを磁 石の性質を基 に説明しよ うとす る姿. ‑63‑. 【説明活動を重視し, 複数の観点から検証】 C 折れた磁石も やっぱり磁石だよ。 T : どうしてそう言 えるの。 C: 鉄を 引き付 けた から。 T: なるほど。 他に もそれが磁石だっ て言えるところが あるかな。 C: あるよ 。それは なところ ね , 00 だよ。 ここでは,複数の観 点から検証することを 重視した。また,磁石 であると言える理由を 説 明 させることで,磁 石の性質についての 個々の理解度を再確認 でき, 個 に応じた指導 に生かすことができた。. 【学びを見取る発問】 C: 先生,これ見て。 T: それ,すごいなあ。 ど うして,そんな ことができるの。 C: だ 、 っ て, 00 だから。.
(16) 理 一14. ( 3 ) 実践の考察 ア 科学する楽しさを味わう子どもの姿の設定について 実践前に想定した本単元における科学する楽しさについては,表 3から磁石に対する概 念として重視した磁石のもつ 力という面から獲得 されたものと考える。このことは,授業 中に子どもたちが,磁石が鉄を引き付けたり,異極同士が引き付ーけ合い同極同士が退け合っ たりする現象そのものに非常に興味を抱き その際に感じる磁力を 手応えとして体感 した り,その性質を生かして遊んだ りすること に夢中になっていた姿からも読み取れる。また, 磁石の性質を見いだす際にはより多くの事実から共通性を見いだそうとしたり,折れた磁 石等の性質を検証する際には複数の観点から検証し ようとする姿が見られた。これは,子 どもが科学的であると判断する ためにはある 程度の情報量の確保が必要であり,本実践で は,形状の異なる磁石や別な観点においても吟味する活動が有効であったといえる。 【 表 3 子どもが獲得した磁石に対する見方や考え方】 [ 表4 きまりを見いだす際に大切にした科学的な方法や手続き ] 磁石には,見えない力が働いている 37 調べた結果をノートなどに整理する 34 32 磁石の力は,端の方が強い 37 予想、を立てて調べる 磁石には,離れている物も引き付ける力がある 32 できるだけいろいろな方法で調べる 31 磁石には,いつも南北を指す性質がある 自分の結果を他の人と比べる 3 1 32 2 8 磁石には,鉄を磁石にする力がある 32 比べながら調べる 1 9 磁石の性質は,小さく折れてもなくならない 30 できるだけ何回も調べる ( 表 3, 4ともに学習後に調査,複数回答,単位は人) 科学する楽しさを味わうために必要な学習内容の設定について 単元導入時に自 由試行 の場を設けたことにより 一人一人が磁石に対する気付きを十 分に得ることができ,それが, 問題を共有化し ,追究への見通しをもつ ことにつながった。 また,引き付けられ方や引き付ける力が強い場所を吟味していく活動を意図的に位置づ けることで,子どもは磁石 のもつ力をより 意識す ることができ たと考える。さらに,物 と磁石との関係や磁石と磁石との関係を調べる際には,磁力を体感できるように教具等 を工夫したことにより,引き付けたり退け合ったりする様子に焦点化することができた。 そして,それらの様子を表現する言葉についても吟味するなかで「付く,付かない」か ら「引き付け合う,退け合う」など事象を適切に言い表す表現を共通の概念 としてっくり , もつことができた。. イ. V 研究の成果と課題. II 研究の成果. ). O. 教材の価値を中心概念と子どもにとっての科学する楽しさから構造的にとらえて いくことに よ って,科学する楽しさを味わう子どもの姿を設定できた。 O 科学する楽しさを味わう子どもの姿を設定したことで,明確なねらいをもって学 習内容や指導方法を考えていくことができる よ うになった。 O 見通しをもたせる段階で子どもにとっての活動の目標が明確になったときに,子 どもの活動のねらいと教師のねらいとが一致し 子 ど も の 思 考 が 活 性 化 し た 授 業 が 展開できていくことが分かった。. (2 研究の課題 .. •. ). 各単元で設定した科学する楽しさを味わう子どもの姿を基に学習内容を個に応じ て構造的に再設定し,その妥当性を見取る必要がある。 r 物質と エネルギー」の区分では,目に見えない力や現象を実感させる教材が必要で あり,見えないものを相手に伝わるように表現していく力をさらに高める必要がある。. [ 参考文献及び資料]. 「これからの理科授業実践への提案」 「理科の目標と教育課程」 「 小学校理科指導要領解説理科編」 「 学ぶ意欲の心理学」 「 科学的思考とは何か」. 日本理科教育学会 日本理科教育学会 文部省 市川伸一 竹内均. ‑ 64‑. ( 2 0 0 2年 東 洋 館 出 版 社 ) ( 1 9 9 2年 東 洋 館 出 版 社 ) ( 19 99年 東 洋 館 出 版 社 ) ( 2 0 0 1年 PHP 新書) ( 19 87年 PHP 新書).
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