血清中の2ABと4‑0xopentanoateはうつ病患者を高率 で分離する
著者名 喜田 光洋
発行年 2014‑03‑14
URL http://hdl.handle.net/10470/30634
主論文の要約
血清中の2ABと4-Oxopentanoateはうつ病患者を高率で分離する
東京女子医科大学大学院 内科学系専攻神経精神医学分野
(指導:石郷岡純教授)
喜田 光洋
【目的】
DSMで規定される大うつ病性障害の診断手法の一つとして、低侵襲で客観的 な分子マーカーが今後は有益と考えられる。脳内代謝の異常は血中の代謝異常 も引き起こしている可能性が考えられ、今回、我々は低分子を網羅的に測定で きるメタボローム解析技術を用いて、うつ病を健常から見分けることができる 血清中代謝物マーカー探索を実施した。
【対象および方法】
イオン性代謝物を網羅的に測定できるキャピラリー電気泳動・質量分析装置 を用いて、健常者(n=13)、治療中うつ病患者(n=26)の血清の代謝物の定量を行っ た。ここでうつ病患者はDSMⅣにて大うつ病性障害と診断された患者を示す。
【結果】
合計133の物質を定量し、そのうち12の物質で2群間に有意差(p<0.05,
Mann-Whitney検定, False discovery rate補正)があった。多重ロジスティック回 帰分析(MLR)では、2AB、4-oxopentanoateの物質の組み合わせで、ROC曲線以 下の面積(AUC)が0.929 (95% CI: 0.851 – 1.01, p<0.0001)で2群を分離すること
ができた。また、クロスバリデーションでは平均AUC値は0.896±0.00894(S.D.)、
bootstrap検定では0.936±0.0395(S.D.)と、いずれも高いAUC値を示した。
【考察】
GABA、Citrate、5-oxoprolineの3物質は、既存の研究でそれぞれうつ病群 で健常群より血中濃度が減少することが報告されており、本研究でも同様の傾 向を認めた。年齢に関しては健常群とうつ病群でマッチしている45歳以下だけ のデータでも全体と同様のデータの傾向が保たれていた。今回マーカー候補と なった2ABについては、アミノ酸の一部の骨格構造と類似しており、生合成過 程は不明である。またマーカーとしての報告例も認めないことから、マーカー 候補となり得るか、今後慎重に検討を必要とする。4-Oxopentanoateについて は、calcium levulinateをカルシウム剤として摂取した場合に尿中へ排出される報告 以外に目立った報告はない。本物質についても引き続き今後慎重に検討を必要とす る。
【結論】
本研究で大うつ病性障害と関係のある血清中の代謝異常を見つけた。高精度 なMLRの値から、血清中の2ABと4-Oxopentanoateでうつ病患者を分離する 本方法は臨床現場にて他の診断法を補完しうる価値があると考えられる。