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雑誌名 国立民族学博物館研究報告

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(1)

服装専門検索語辞書(MCDシソーラス)の構造

著者 大丸 弘, 高橋 晴子

雑誌名 国立民族学博物館研究報告

巻 10

号 3

ページ 681‑723

発行年 1986‑02‑22

URL http://doi.org/10.15021/00004396

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大 丸 ・高 橋   服 装 専 門 検 索 語辞 書 (M CD シ ソ ー ラス ) の構 造

服 装専 門検 索 語 辞 書 (M CD シ ソ ー ラス) の構 造

弘 * 高 子 **

The Structure of Costume Thesaurus (MCD Thesaurus)

Hiroshi DAIMARU and Haruko TAKAHASHI

In this paper some ideas on structure of concepts concerning clothing and costume are discussed, and a trial thesaurus pro- posed. The structural features are follows :

The concepts are framed and thus given their theoretical bases by the "Special Classification Table of Clothing."

No descriptor is selected in this thesaurus. Groups of synonyms are arranged in descending order of appearance. If necessary, the first word can be used, in principle, as a discriptor.

In place of descriptors, groups of synonyms are changed to retrieval codes.

1 . 服 装 専 門分 類表 の成 立経 過 と構 成 2. 分 類 表 と検 索 語 辞書 との 関係 3. M CD との統 合 に おけ る諸 問 題

4, 検 索 語辞 書 に お け る概 念構 成 の一 般 論 5. 辞 書 の 具体 的 構成

1. 服装専門分類表 の成立経過 と構成

  服 装 , 衣 料 品 関 連 資 料 の 整 理 を 目 的 と して , わ れ わ れ が 服 装 専 門 分 類 表 を 考 案 し た の は , 1977年 の こ とで あ っ た 。 そ れ 以 前 に , わ れ わ れ は 大 阪 樟 蔭 女 子 大 学 被 服 学 科 に , . 衣 料 情 報 室 を 開 設 し, 活 動 を は じ め て い た 。 衣 料 情 報 室 を つ く っ た 目 的 に つ い て は , す で に 何 回 か の べ て い る の で , 繰 り か え さ な い [大 丸   1977a,1977b,1984:58−60]。

情 報 室 に お い て は , わ れ わ れ は専 門 分 類 表 を , さ しあ た り図 書 の 排 架 基 準 と して 用 い た 。 し か し非 図 書 形 態 資 料 , と り わ け 情 報 室 で は 重 要 な 位 置 を 占 め る フ ァ イ リ ン グ 資

* 国立 民 族 学博 物 館第 5研究 部      ・   、

**大 阪 樟 蔭女 子 大 学 ,国立民族学博物館研究協力者

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国立民族学博物館研究報告  1 0巻 3号

料 につ いて は, 自然 語 に よ る辞 書 体排 列 を行 った 。 わ れ わ れ が その 時 期 に,服 装 専 門 分 類 表 を 作 らな けれ ば な らな か った 最 大 の 理 由 は 77年 4月 に第 1号 を 刊 行 した 抄 録 索 引 誌 〈衣 料 情 報 レヴ ュー〉 の なか で の , 文 献 の排 列 の た め で あ る。 この専 門分 類 表 に つ いて は, 上 記二 次 資 料 誌 の 創 刊 と同 時 に , 高 橋 に よ って 発 表 が な さ れ た [高 橋 977。 そ の の ち現 在 まで 8年 の経 過 の 中で , わ れ わ れ の資 料 整 理 はい くつ か の あ た ら しい環 境 を 経 験 して きた 。 そ の ひ とつ は 当然 の こ とな が ら, わ れ わ れ がか か え る資 料 の蓄 積 で あ る。〈衣 料 情 報 レビ ュ ー〉は最 近 号 (985年 1月 一 No.18) ま で に1,320

文献 を掲 載 した 。 この文 献 数 にた い して は ,能 率 的 な累 積 検 索 の 手 段 を あた えな けれ ば な らな い。 また 自 然語 排 列 を行 って きた フ ァイル 資料 は ,資 料 自体 とあ わせ て 見 出 し語 の無 制 限 な増 加 と, 見 出 し語 と見 出 し語 の関 係 の非 論 理 性 のた め, 整理 者 以 外 が 検 索 す る こ とは困 難 にな りつ つ あ る。他 の あ た ら しい環境 とは , われ わ れ の蓄 積 して きた 資料 を, 国立 民 族 学 博物 館 のデ ー タ ベ ース の一 部 と して利 用 す る, プ ロジ ェク ト の着 手 で あ る。 この プ ロ ジ ェク トは大 丸 の個 人 研 究 と して行 わ れ て きた の で あ るが , そ の 内容 は,文 献 ,標 本 , 映 像 (造 形 ) 等 の 資料 形 態 に共 用 の検 索 語 辞 書 を 用 い て の , 服装 関係 資料 の ア ー カ イ ブズ の 構想 で あ る。 この よ うな条 件 に うな が され て , わ れ わ れ は これ まで の 服装 専 門 分 類 表 を再 検 討 す る と と もに , この 分 類 表 に もとつ いて , 服 装専 門検 索 語 辞 書1)の素 案 を 提 出 す る に至 った の で あ る。

表 1 旧

服 装 専 門 分 類 表

f l ow− s t ep

A総 記

B消 費 ・行 政 教 育 ・情 報

C流 通

Dデ ザ イ ン ・生 産 計 画 E工 学 ・工 業

F小 売

em

P 総

Q 素

R メ ン ズ ウ ェ ア S ウ イ メ ンズ ウ

ェ ア T 子 供 服 ・ベ ビ

ー 服

U ア ン ダ ー ウェア

V 和

W ア ク セ サ リ ー X ヘ ア ー ・化 粧

助 記 1参 考 図 書 2一 般 図 書

3雑 誌

4新 聞

5ノぐン フレ ッ ト 6B4 カ ー ド 7B6 カ ー ド 8特 殊 資 料

0歴 史

地 理

1) 図書 館 学 的 にい え ば, これ は 服装 専 門件 名 標 目表 とい って もよ い 。件 名標 目表 と検索 語 辞 書 とは歴 史 的 に もお な じもの とは いえ な い が, 今 日で は これ を 強 いて 区 別 す る必 要 は な いで あ ろ う。

  なお ,本 稿 で 用 いて い る用語 の う ち,索 引語 と検 索 語 の 関係 に つ いて は ,坂 本 徹 朗 『 情 報 検 索 』 [ 坂 本   1976:77−79]の 説 明 が要 領 を得 て い る。 た だ し本 稿 で はそ の 資 料 対象 の理 由 か ら,

文献 語 とい う いい か た は もち いず , す べて 自然語 と よんで い る。

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大 丸 ・高 橋   服 装 専 門 検 索 語 辞 書 (M CD シ ソー ラ ス) の 構 造

  以 上 に の べ た 経 過 か ら して , 最 初 に 服 装 専 門 分 類 表 の 説 明 を す る必 要 が あ ろ う 。 こ の 分 類 表 は , ふ た つ の 面 ( f acet)の 組 み 合 わ せ 構 造 に な って い る 。 す な わ ち , 服 装 , 衣 服 に 関 連 す る諸 概 念 を ふ た つ の 分 析 枠 に よ っ て と ら え る 。 分 析 枠 の 第 1 は , 衣 服 の 生 産 か ら消 費 へ の 流 れ ( f l ow− st ep) で あ り, 第 2 は , 物 と して の 個 々 の 衣 服 ( i t em )

で あ る 。 こ れ に助 記 を 組 み 合 わ せ る の で あ る が , 本 分 類 表 に お け る 助 記 の う ち 形 式 区 分 は 歴 史 区 分 と地 理 区 分 の み で , 実 際 に は 使 用 しな か った か ら, 2面 の カ テ ゴ リ ー の 組 み 合 わ せ に よ る , フ ァ セ ッ ト分 類 と い え る 。 そ れ 以 前 の い く つ か の 服 装 専 門 分 類 表 2 )は , わ れ わ れ の 知 る 範 囲 で は す べ て 一 次 元 分 類 で あ っ た 。 こ れ は ひ と つ に は , 博

              

物 館 的 な ,即 物 的 な観 点 か らの もの の 整理 の伝 統 , また そ の必 要 が つ ね に先 行 した た

              

め で あ ろ う。 した が っ て 今 日で も, 静 止 画 像 的 な も の と し て の 服 装 観 が , 研 究 者 の 間 に さ え ゆ きわ た っ て い る よ う に 認 め られ る3) 。 従 来 の 分 類 表 に お け る 分 類 規 準 の 交 錯 の 主 な 理 由 が , 分 析 枠 の こ の 一 次 元 性 に あ っ た と み て , わ れ わ れ は 第 2の 分 析 枠 一 衣 服 の 生 成 と 流 れ 一 を 提 起 し た の で あ っ た 。

  と こ ろ で , 対 象 分 野 の な か で 予 想 さ れ る あ ら ゆ る主 題 概 念 を 分 析 的 に と らえ る た め , 仮 り に 2面 の 分 析 枠 を 設 け る と し て , そ の 2面    ふ た つ の カ テ ゴ リ ー一 の 内 容 の 妥 当 性 は , ど の よ う に して 保 証 さ れ る だ ろ う か 。 分 析 枠 に つ い て の 一 般 論 , す な わ ち 基 本 カ テ ゴ リー に つ い て は ,著 名 な Ranganat han の そ れ 以 後 , さ ま ざ ま な 構 想 が 提 出 さ れ て き た が , そ れ らを 集 約 して 森 は , (1) per sonal i ty,(2) 部 分 , ( 3) 物 質 , ( 4)

運 動 , (5) 作 用 , ( 6) 性 質 , (7) 操 作 , ( 8) 空 間 , ( 9) 時 間 , (10) 構 造 の 10を 主 張 して い る [ 森 1957:26−30]。 しか し森 を は じめ , 分 析 枠 の 研 究 が 専 ら 自 然 科 学 , 工 学 技 術 の 領 域 を 対 象 に 議 論 さ れ て き た た め か , こ れ ら の カ テ ゴ リ ー は , 人 文 , 社 会 科 学 の 諸 分 野 に と っ て は , い くぶ ん 抽 象 的 で , 比 喩 的 で あ る よ う に 感 ぜ られ る。 仮 り に わ れ わ れ の 理 解 が 不 十 分 で あ っ た と し て も, 実 際 に こ れ ら10面 の カ テ ゴ リ ー の な か の , さ ら に ま た 相 当 数 の メ ンバ ー ( 面 を 構 成 す る 区 分 概 念 ) を た が い に相 乗 して , 最 終 的 な 複 合 的 主 題 概 念 を 得 る と な る と , そ の 分 析 操 作 の プ ロ セ ス に お い て , と く に 人 文 , 社 会 科 学 分 野 の 場 合 , か な り の 主 観 的 判 断 の ま ぎ れ こ む こ と は 避 け られ な い の で は な い か 。 こ こ に お い て わ れ わ れ は , わ れ わ れ の 分 析 枠 の 客 観 的 妥 当 性 を , 基 本 カ テ ゴ リ ー 論 に求 め る こ と は 一 応 放 棄 した 4) 。

 2) 文化 女 子 大 学 ・文 化 服装 学院 図書 館 編 『 被 服 に 関す る雑誌 記 事 索 引』, 昭 和 女 子大 学 編 『生   活 美 学研 究 年 報』,東 洋 紡 績株 式 会 社社 会 経 済研 究 所 編 『 繊 維 文 献 目録 』

3) もの と して の 衣服 のみ を 対象 とす る 分類 に は ,微 視 的 で, 完 壁 的な 分 類表 を数 え る こ とが で   き る。 日本 規 格 協会 『JI s 用語 辞 典   VI 繊 維編 』, 通 産省 『日本標 準 商 品分 類 』

4) 基 本 カ テ ゴ リー に も とつ いて の , 分析 枠 設 定 の方 法 につ い て は ,坂 本 が そ の手 順 を具 体 的 に   のべ て い る [ 坂 本  1 976:7 0]。

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国立民族学博物館研究報告  1 0巻 3号   i t em の 面 は , そ う し た 面 を 設 け る こ と 自 体 に異 論 は な い と お も う が , 問 題 は 且OW・

s t ep の 面 で あ る。 こ の よ う な 分 析 枠 を 設 け る こ と に つ い て ,前 稿 で 高 橋 は つ ぎ の よ う に 説 明 した 。

  そ の構 想 の基 本 的 理念 は,服 装 ・衣 料 品の もつ社 会 的性 格 の重 視 で あ り, そ れ と関 連 して,

衣 服 を女 の家 事 の一 部 と して と らえ よ う とす る従 来 の観 念 の 払拭 を はか る ことで あ った [ 高 橋    1 977:369] o

  衣 服 の生 産 か ら消 費 に 亘 る諸 問題 を, 現実 的, か つ総 合 的に と らえ る には, 服 装 の もつ 産 業 社 会 的側 面 が ,専 門 分 類基 準 の 不 可欠 な要 素 と して と りあげ られ な けれ ば な らな い 。 と く に,従 来 の生 産 志 向的 な繊 維 ・衣 料 産業 の と らえ方 に 対 して ,流 通 段 階 につ いて の ,周 到 的 な分 析 が望 まれ る [ 高 橋   1 977:37 2]。

  わ れ わ れ の 産 業 志 向 的 服 装 認 識 は , i t em 中 の メ ンバ ー 概 念 に も示 さ れ る 。 メ ン ズ ウ ェ ア , ウ ィ メ ン ズ ウ ェ ア , 子 供 服 ベ ビ ー 服 , ア ン ダ ー ウ ェ ア , 和 服 と い う区 分 は , 図 書 分 類 論 的 な 論 理 性 を 欠 い て い て , そ の 点 は 本 分 類 表 を 口 頭 発 表 した さ い に も, 指 摘 さ れ た 5) 。 こ の 分 け か た は 図 書 分 類 的 観 点 と い う よ り も, 産 業 分 類 的 観 点 な の で あ る 。 した が っ て 文 献 資 料 の 分 類 に あ た っ て は , 和 服 一 子 供 服 ベ ビ ー 服 1   ア ン ダ ー ウ ェ ア     メ ンズ ウ ェ ア お よ び ウ ィ メ ン ズ ウ ェ ア の 順 に , 優 先 順 位 が つ け られ る。 こ う した 分 析 枠 の 妥 当 性 に つ い て の 結 論 は , わ れ わ れ は む しろ そ の 実 用 性 に よ っ て , き め られ る べ き も の で は な い か と 考 え る 。 わ れ わ れ が こ の 分 類 表 に よ っ て 文 献 を 整 理 し た く衣 料 情 報 レ ビ ュ ー 〉 は , ま も な く10年 を 迎 え る 。 そ の 間 に こ の 分 類 の 合 理 性 に つ い て , 二 , 三 の 肯 定 的 な 意 見 を 耳 に した ほ か , 最 近 で は 依 頼 した 著 者 抄 録 に , こ の 分 類 記 号 を つ け て 返 送 し て くれ る人 も あ らわ れ だ した 。 少 く と も 現 在 ま で の と こ ろ , そ

れ ほ ど 根 本 的 な 矛 盾 は , 分 類 作 業 者 の 立 場 か らは , み い だ さ れ て い な い 。

2. 分 類 表 と検 索 語 辞 書 との関 係

  分 類 表 の ほ か に , 索 引 ・検 索 語 の 整 備 が 必 要 と な っ た お も な 理 由 は , ま え に の べ た よ う に , わ れ わ れ の か か え る 資 料 量 の 増 加 で あ る 。 そ の ひ と つ , フ ァ イ ル 資 料 の 整 理 に 関 す る 問 題 を , 最 初 に と り あ げ る 。 衣 料 情 報 室 で は 最 初 , B4 と B6 の ふ た つ の 形 態 の フ ァ イ ル 資 料 を も っ て い た が , 前 者 は 主 と して パ ン フ レ ッ ト, リ ー フ レ ッ ト資 料 , 後 者 は 切 り抜 き資 料 の 整 理 に も ち い られ た 。 これ らの フ ァ イ ル に は 資 料 そ の も の が 貼

5 ) 高 橋 晴 子 〈服 装 関連 分 野学 術 情 報 の 機 械 検 索 に お け る問 題 点一 Di al o9 シス テ ムを 中心 と   して 〉 日本 風俗 史 学会 関 西支 部 1980 年 4月26日例 会 。 対 象 の交 錯 につ いて , 柴 田実 氏 ( 京 都 大   学) よ り指摘 があ った。

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大 丸 ・高 橋  服 装 専門 検 索 語 辞 書 (M CD シ ソー一ラス) の構 造

布 , ま た はバ イ ンデ ィ ン グ され, 資 料 の主 題 に もとつ いて ,専 門分 類 表 に よ って分 類 , 排 列 され た。 これ らの 資 料 の殆 ど に は当 然 , い くつ か の 副主 題 が析 出 され るの で あ る が , そ の 結果 と して フ ァ イル数 の数 倍 にな る主 題 概 念 へ の ガ イ ドと して , 別 に索 引 カ ー ドが 作 成 され ,アルフ ァベチカル排列 を行 った。 この主題概念 は,無統制の 自然語 で あ り, それ が そ の ま ま, 見 出 し語 と して 用 い られ た ので あ る。 資料 の主 題 分 析 は高 橋 ,大 丸 が 行 った か ら,主 題 概 念 を あ らわす こ とば に, なん らかの 統制 の意 図 は反 映 して いた はず で あ る。 しか し代 表 語 に な に をえ らぶ か とい う こと よ り も,概 念 間 の 階 層 ,類 縁 関 係 の 判 断 と, そ の表 記 法 につ ね に動 揺 が あ り, これ らの統 制 が もは や猶 予 を ゆ る さぬ 問 題 とな って きた。

  一 方 く衣 料 情 報 レ ビ ュー〉 にお いて は , その No.15か らは じま って, 紀 要 論文 等 の 執筆 者 に た い して , 抄 録 と と も に 6語 以 内 の キ ー ワー ドの 提 出 を依 頼 した 。 〈衣 料 情 報 レ ビ ュー〉 は ま え にの べ た よ うに, 民博 の コス チ ュ ー ムデ ータ ベ ー ス と して入 力 され ,機 械 検 索 が可 能 と な って い るが, 主題 検 索 に もち い られ るの は,主 と して分 ち が き され た タ イ トル と, 上 記 の ,執 筆 者 に よ って提 出 され た キ ー ワー ドとで あ る。 こ の うち , タ イ トル に ふ くまれ た 単 位語 につ いて は後 述 す る と して , 執筆 者 のつ くった キー ワ ー ドの ,大 体 % く らい は, その概 念 内容 が あ ま りに限 定 的 す ぎた り,逆 に また 意味 が 汲 み と り に くか った り して , 索 引語 と して 必 要 な一 般 性 を欠 いて い る (表 2)。

こ う した キ ー ワ ー ドが提 出 さ れ る理 由 の ひ とつ は,主 題 概 念 の 野放 し状 態 とい う, わ れ わ れ編 集 者 の 側 の不 用 意 さ とあわ せ て , キ ー ワ ー ドが検 索 者 の能 率 の た め の もの と い う, キ ー ワ ー ドにつ いて の認 識 の不足 が , い くぶ ん か は執筆 者 の側 に もあ る よ うな 気 が す る。

  以上 に の べた よ うな状 況 の も とに, わ れ わ れ は専 門 分 類 表 と併 用 す るか た ち で の , 専 門検 索 語辞 書 の作 成 に着手 した ので あ る。 わ れ わ れの 概 念構 成 の基 本 方 針 は, つ ぎ の よ うな もの で あ った 。

1. 服 装 専 門 分 類 表 に も と つ く こ と。

2.   と り あ げ る概 念 は 実 用 的 な も の で あ る こ と。 す な わ ち 実 際 に 出現 した も の を 尊     重 す る こ と。

3. す べ て の 資 料 形 態 に 共 通 す る , 検 索 語 を 与 え る こ と。

      表 2  執筆 者 提 出 キ ー 一 ・一 ワー ド中, 不適 切 な 例

奇 態停 滞 ;停 滞 的発 展 3対 立 の排 除 ;m類 ;朱 の 丸 い 印 ;大 きな違 い ; 同 じ事 柄 ;シ ャネ ル と女性 の地 位 向上 ;シ ャネル の生 い立 ち ;基 礎 技 術 の 重 要性 ;高 年 の 男 子 A型者 は最 大量 3特 大 ・特 小 ;範 囲価 値 3意 味 ; 特 徴 ;工 学

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国立民族学博物館研究報告  1 0巻 3号

  4. 民 博 の デ ータ ベ ー ス と して の ぞ ま れ る条 件 を み た す こと。

  これ らの う ち, 本 節 で は まず , 1.につ いて 検 討 す る。 図 書 館 にお け る件 名 の歴 史 そ れ は ほ とん ど合 衆 国 にお け る もので あ るが一 を みれ ば, 実 際 に購 入 , 排架 し

た 図書 につ いて の み の , 当該 図 書館 に お け る件 名 目録 が , その 発展 の 中心 を な して き た 。 これ らの 件 名 になん らか の 統制 が行 わ れ た にせ よ , 図書 の 増加 に と もな って 件 名 数 が あ る量 を 超 え る と, 排 列 の 論理 性 を もた な い辞 書 体 目録 で は,検 索 率 (再 現率 ) の低 下 が避 け られ な い。 これ を救 う手 段 と して は,件 名 だ けを リス トァ ップ して全 体 の 一覧 性 を 与 え る方 法 な ど もあ るが , そ れ で カバ ーで き る 件 名 数 に も限 りが あ る。

『SubecH eadings』 の著 者 Petceは, 合 衆 国 にお け る伝 統 的 な辞 書 体 目録 の 普及 の 前提 と して は,分 類 排 架 され た書 架 へ の開 架 式 閲 覧 とい う条 件 の あ った こ とを ,指 摘 して い る [PETTEE  l946:10]。 す なわ ち, 件 名 は その主 題 を もつ 図 書へ の, ク イ ック ア ク セ スの 方 法 と して 実 用 的 で あ るが , そ れ は一 方 で分 類排 架 の論 理 性 , お よ び 完備 した 各 種 の主 題 書 誌 の 存 在 に支 え られ て の こ とだ っ た, と い う事 実 を忘 れ て は な らな い。 坂 本 に よ る と,現 在 の 商 業 デ ー タ ベ ース に お け る, 主 題概 念 の整 理 法 の 傾 向 は,大 きな 区分 に は分 類 記 号 を使 い ,個 々の 物質 名 ,装 置名 , 実験 条 件 な ど は, 言 葉 で記 述 す る, と い う こ とで あ る [坂本   1976:92。 JlcsT の科学 技 術 分 類 表 も,

分 類表 と して の 構 成 は と って い るが ,第 3階 層 以下 は ,件 名 的 な と らえ かた にな って い る [日本 科 学 技 術情 報 セ ンタ ー  1981

  分 類 表 と件 名 表 とを組 み 合 わ せ る場合 , 分 類 はそ こで と りあ げ る概 念 の全 体 に, 論 理 的 な構 造 性 を付 与 し,一 方 件 名 は ,分 類 法 の もつ 本質 的 な分 析 的傾 向 に ,資 料 出現 の 現状 に も とつ いて の歯 止 めを か け , よ り実 用 的 な方 向 へ とた ぐり よせ るので あ る。

また , か って 金属 工学 関係 文 献 にた い して, UDC 分 類 と件 名 とを併 用 した 谷 の 場 合 は,①   UDC に よ って 適 切 な標 数 を与 え うる もの は UDC で処 理 し,そ れが む ず か しい もの にた い して は,件 名 を与 え る,②  金 属 加 工 の プ ロ セス に は UDC の 標 数 を 与 え , そ の前 後 の 関 連 プ ロ セス に は件 名 を 与 えて 区 別 す る, と い う使 い わ け を した

谷   1973二258,261。 この 試 み に お いて も,一 方 で は UDC 分 類 の み で は いか に厳 密 な標 数 づ けを して も, 検 索 洩 れ を 防 ぐの に は限界 が あ る こと,一 方 で は件 名 の もつ 融 通性 , と い う点 に着 目 した もの で あ る。 と もあ れ ,件 名表 の前 提 に は論 理 的 な分 類 体 系 が必 要 で あ って ,件 名表 は その 補完 以 上 で あ るべ きで は な い, と い う結 論 は うこ か な い で あ ろ う。

  逆 の見 方 で もあ るが, その 背後 に分 類 的 な体 系性 が あ るか らこそ ,件 名 が 現 実主 義 に徹 し うる, と もい え る。 現 に書 架 に存 在 しな い本 の件 名 は, そ の 図書 館 の件 名 表 に

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大 丸 ・高 橋   服 装 専門 検 索 語 辞 書 (M CD シソ ー ラ ス )の 構 造

はみ い だせ ない の が件 名表 のた て まえ で あ る。 た とえ ば ,・oリの Biblothさquenato−

nale の 件 名 目録 (vedetdes m atさr) は, 合 衆 国 の 国会 図書 館 の subct head−

ngs,直 接 に は これ を フ ラ ンス語 に翻 訳 した , ケ ベ ックの Raval大 学 附 属 図 書 館 の件 名表 を, そ の ま ま用 いて い るの だ が,BN に存 在 しな い本 の 件 名 は欠 け て い る, と い

う点 が Rava1件 名表 と相 異 す るの で あ る。 た しか に, ほん らい件 名 表 が論 理 性 を犠 牲 に して, 実 用志 向 に徹 す る以 上   論 理上 そ こに存 在 しう る 主 題 概念 を あ らか じめ 羅 列 して お くこ と は, 自 己撞 着 とい わ な けれ ば な らな い。 そ こで 整 理 者 は, 目 の ま え にお か れ た文 献 を分析 して , い くつ か の主 題 とな る概 念 を ぬ き出す とい う作業 の段 階 で , 横 の壁 に貼 って あ る分 類 表 の な か で の , それ らの 概 念 の適 切 な居 場 所 を考 え る こ と にな るの で あ る。 も っ と具体 的 に い うな ら,文 献 中か ら, 現在 の検 索 者 に と って , よ りの ぞ ま しい こと ば に よ って主 題 概 念 を と らえ , それ につ づ い て ,分 類 記 号 に は じ ま る検 索 語 を,付 与 す るの で あ る。

  い うまで もな く,件 名 の有効 性 は,分 類 表 へ の この よ うな末 端 補 足 的機 能 に とど ま る もの で はな い 。件 名 の もっ と も重 要 な機 能 は,分 類表 に よ って 分 割 され た概 念 と き に は とび離 れ た い くつ か の枠 にま た が る概 念 の 組 み合 わせ を, さ し しめ す こ との で き る能 力 で あ る。 この 場合 は, 分類 表 の もつ 論 理 的 体 系 性 とは, べ つ の 観 点 が あ る こ と にな る。 服 装 専 門 分類 表 につ いて い え ば, その 産 業志 向 的 な面 構 造 の た め に, か え って 常 識 的 な人 文 科 学 系 統 の概 念 の居 場所 が み つ け に くい, とい う難 点 が あ った。

そ の た め に そ う した概 念 の 多 くが , いわ ば とい う ことで ,総 記 の 中 にお かれ た。

こ う した 事 実 は,分 類 表 の もつ論 理 的体 系 性 な ど とい って も, 実 は はな は だ不 完 全 な もの で , そ の不完 全 さの ゆ え に, そ の体 系 に よ って は包 み きれな い別 の観 点 が , い く らも存在 す る こ とを意 味す るの で あ る。 ラ ンガ ナ タ ンに は じま る基 本 カ テ ゴ リー論 の 系 譜 は, あ らゆ る概 念 に論理 的 な居 場 所 を与 え るた めの 努 力 と もい え よ う。 しか しそ の結 果 と して の ,基 本 カ テ ゴ リーの 万 華 鏡 的 な多 次 元 交 錯 が ,仮 りにす べ て の 概 念 を 完 全 な体 系 の も とに総 括 した と して も, 果 して整 理 者 や 検 索 者 に幸 せ な結 果 を もた ら す か ど うか 。 そ の点 か らいえ ば ,分 類 区 分 にか か わ らず ,交 錯 的 な主 題 概 念 を と る こ との で き る, 件 名 の機 能 は, さ きの末 端 補 足 的機 能 と同様 ,分 類 表 の論 理 性 志 向 の 陥 る,非 実 用 的 晦 渋 さを 救 う もの とい え よ う。 具 体 的 にい う と,服 装 専 門 分 類表 に お い て ,人 文 科 学 系 の 諸 概 念 を メ ンバ ー とす る, 第 3の 面 (カ テ ゴ リー) を 設 け る構 想 も あ った の で あ るが , 結 局 は そ の組 み合 わせ の 複 雑 さを怖 れ て , これ らの 概 念 は, い く ぶん 非 論 理 的 で はあ るの だが  AP (総 記 X総 記 )や   DP (デザ イニ ング ×総 記 ) 等 に配 分 した の で あ る。

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国立民族学博物館研究報告  1 0 巻 3号

  と ころで , 分 類 表 の もつ論 理 性 と は, と くに その 全 体 と して の体 系 構 造 に あ らわれ る。 もっ と具 体 的 に は, そ の 区分 肢 の展 開論 理 で あ る。件 名表 が け っ して没 論 理 で あ るわ けで はな い 。 しか し この区 分 肢 の 展 開論 理 にお い て ,件 名表 は は るか に恣 意 性 を も って い る。 件 名 , な い し索 引語 も, 上部 概 念 (BT), 下 部概 念 (NT)の ,小 さ な三 角 構 造 は もつ 場 合 が あ る。 索 引語 (以 下 と くに断 わ らな い と きは件 名 につ い て もほぼ 同様 の こ とが いえ る) が この三 角 構 造 を もつ と して も, あ る語 W の NT を w1w2

Wnと して , w1十 w2十 ..w、の 総 和 が べ つ にW とな る必 要 はな い。 殊 に索 引語 を 出現主 義 で エ ン トリー して い る場 合 は当然 の こ とで あ る。 分 類 表 の, 煉 瓦 の壁 面 の よ うな完 全 分 割 性 か らみ れ ば , この点 での索 引語 の構 造 は, 論理 的 に はた しか に ゆ る い もの とい え るだ ろ う。 しか しそ のた め に一 方 で ,索 引 語 に お いて は概 念 の交 錯 は常 態 的 と もい えて , この 交 錯 の処 理 一 具 体 的 に は類 縁 概 念 の 位 置関 係 を指 示 す る こ とが , 検 索 語辞 書 に要 求 され る重 要 な論 理 性 で あ る。 した が って検 索 語 辞 書 の も っ と素 朴 な 部 分 は,言 葉 の もっ と もつ よ い類 縁 関 係 , す な わ ち同 義 異語 を あ つ め る こ とで あ る。

分 類 表 は ほん らい概 念 の 構造 体 で あ って , あ る概 念 を どん な こ とば で い いあ らわ そ う と, そ れ は さ しあた り問 題 で は な い。 分 類記 号 は, 概 念 に た い して付 与 され るの だ か ら。 これ に た い して 索 引 語 は,検 索 者 に と って も っ とも身近 な ,言 葉 に よ って検 索 で き る こ とに大 きな 特 色 が あ る。 ペ テ ィも, 辞 書 体 目録 が 分 類 目録 と ちが う第 1の点 を, この name に よ る排 列 で あ る, とい う こ とを,く りか え し強 調 して い る [PETTEE 946:152,153]。 そ の た め に検 索 語 辞 書 , す なわ ち シ ソー ラス とい え ば , 同 義 語群 か ら代 表語 を え らび , それ を羅 列 した もの , とい う誤 解 さえ生 じた。

  服装 専 門検 索 語 辞 書 にお い て は , これ まで の説 明 とは矛盾 す る よ うで あ るが , 同 義 語 群 の な か か ら代 表 語一 索 引 語 を え らん で い な い。 同義 語 群 の共 有 す る概 念 は,検

図 1 分 類 法 と 件 名 表 の 概 念 図

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大 丸 ・高 橋   服 装 専 門 検 索 語 辞書 (M CD シ ソー ラ ス) の 構 造

索 語 で あ る記 号 (ア ル フ ァ ベ ッ ト2字 と 3な い し 4桁 の数 字) に直 結 す る。 また類 義 語 へ の 『も見 よ』 参 照 も原則 的 に は行 わな い。 これ らの詳 細 につ いて はの ち に説 明 す るが , そ う した 処 置 の もっ と も大 きな理 由 は, 分 類 表 の規 模 , また 検索 語辞 書 にお け る主 題 概 念 の 数 が , そ れ ほ ど大 き くな いた めで あ る。 服 装 専 門 検 索 語辞 書 は, む しろ 服 装 専 門 分 類 表 の細 区分 と い えな いで もな い。 しか し分 類 表 と は っ き り相 異 す る点 は,

細 分 類 で あ れ ば そ のパ タ ー ンが , 図 La,の 如 く にあ らわ され るの にた い して , 検 索 語辞 書 の主 題 概 念 は, 図 1b,の よ うにあ らわす ことが で き, そ こ に, よ り柔 軟 性 に 富 ん だ , キ ー ワ ー ドの 本来 の性 質 をみ て とる ことが で き る とお も う。

3. M CD との統 合 にお け る諸 問題

  本 節 で は,服 装 専 門検 索 語 辞書 の基 本 方針 (P.20)の うち,3.す べ て の資 料形 態 に 共 通 す る検 索 語 を与 え る, とい う点 に つい て の べ る。 衣 料 情報 室 の 索 引 カ ー ド, お よ び 〈衣 料 情 報 レ ビ ュー〉 の イ ンデ ックスす る資料 の ,形 態 と して の 中 心 は,図 書 お よ び雑 誌 の分 解 レ ベル , また はパ ンフ レ ッ ト, リー フ レ ッ ト資 料 で あ って , すべ て 文 献 資料 で あ る。

  しか し服 装 情 報 シス テ ム の構 想 が , 民博 を拠 点 と して の服 装 関 係 資 料 の綜 合 的 ア ー カ ィ ブ ズへ と展 開 す る と と もに, 標 本 資料 お よ び映 像 (造 形 ) 資 料 の もつ ,文 献 と は 性 質 の ち が う, と くに細 部 的情 報 を, 文 献探 索 の た めの 検索 シス テ ム と いか に整 合 さ せ るか が , 困難 な課 題 と して姿 を あ らわ した。

  この 問題 を考 え る まえ に , わ れわ れ が今 回 ,検 索 語 辞書 の作 成 のた め, 直接 に利 用 した 既 成 の検 索 語 辞 書 (に該 当 す る資 料) を ,紹 介 した い。

文 献 資 料 1・ <衣 料 情 報 レ ビ ュ ー > N o」 (1977・4)〜 N o.10 (81・12);N o.13 (83・

        7)〜 N o. 16 (85・12)

        2. 〈L ibrary of C ongres Subject H cadings> 1972, 1974         3. 〈国 立 国 会 図 書 館 件 名 標 目 表 > 1980

        4. <O C M −O utne of C ulural M aterial> 1982 映 像 資 料 5. <C ostum e Index> 1937

      <Costum e Index:SupPlem ent> 1957 標 本 資 料 6. <M C D 標 本 シ ソ ー ラ ス > 1984

す で に説 明 した よ う に  索 引語 の抽 出 にあ た って は, わ れ わ れ は件 名 表作 成 の伝 統        6

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国立民族学博物館研究報告  1 0巻 3号 を ま も り , 出 現 語 主 義 を 原 則 と した 。 た だ し こ の 原 則 に は 例 外 が あ る 。 た と え ば , EP 3. (衣 服 の 保 存 , 手 入 れ に 関 す る主 題 ) の 項 中 に ,

320  〔傷 み , 古 び 一 般 〕 321    汚 れ (1)

322    黄 変 (1)

323    摩 擦 (4)

324    経 年 変 化 (2)

とい う部 分 が あ る。 「汚 れ 」以 下 の概 念 は,〈衣 料 情 報 レビ ュー〉 所 収 の, 文 献 タ イ ト ル 中 に ,実 際 に 出現 した例 で あ るが , そ の 中 に はた また ま や ぶ れ あ る い は や ぶ れ あ な とい った 概 念 が な か った。 図 書件 名 表 が 出現 主 義 に徹 せ られ るの は, 収 集 し た 図書 の 内容 を, 収 集 した 図書 か らえ た件 名 で イ ンデ ックス す るに とど ま って い られ

るた め で あ る。 しか しわ れ わ れ の場 合 ,対 象 とす る資 料 は, 時代 も地 域 も制 限 がな く,

す べ て の資 料 形 態 にわ た って , しか も早急 な整 理 を待 つ もの が 山積 して い る。 それ ら を ,主 と して 〈衣 料 情 報 レ ビ ュー〉 に 出現 した ,和 文 文 献 資 料 の タ イ トル に ふ くまれ

る概 念 だ け で処 理 しよ う とす る と ころ に, 明 らか に無 理 が あ る とい え よ う。 件 名表 作 成 の 伝 統 に立 ち戻 る な らば , す くな くと もわ れ わ れ の手 許 に あ る, 映 像 資料 もふ くめ た 資 料 の ,索 引 づ け が ひ と通 り終了 した 段 階 で , そ こで得 られ た 索 引 語 に も とつ いた , 検 索 語 辞 書 の作 成 が のぞ ま しい , とい う見 方 が あ るか も しれ な い。 しか しな が ら, そ れ で は その 索 引 づ け に あた って , な に をガ イ ドと した ら良 いの か ,全 く白 紙 の状 態 で,

その と きそ の と きの判 断 で 索 引 語 を与 えた 方 が よい の か。 告 白す れ ば , わ れ わ れ は過 去 約 4年 間 ,全 くフ リーハ ン ドの索 引づ け を, 欧 文文 献 資料 約 4,0件 (うち3,200件 は入 力 ず み一 185・7現 在 ) と, ポ ジフ ィル ム約40,00点 とに対 して 行 い, 結 局 は索 引語 の非 論 理 性 へ の 疑 問 か ら, 行 きづ ま って い るの で あ る。 した が って , 資 料 か ら索 引 語 を み い だす の が 先 か , そ のた あの ガ イ ドを作 成 す るの が 先 か , とい う議 論 にな ろ うか。

  出現 語主 義 と い う原則 は, た しか に一 見 明快 で, 実 証 的 で あ る よ うに み え る。 けれ ど も実 際 に わ れわ れ が あ る資 料 か ら,主 題概 念 と して の 索 引 語 を抽 出す る と き, わ れ

              

わ れ は け っ して 白 紙 な ど で はな い 。 そ の 意 味 で は , 索 引 語 を ひ き だ す , ぬ き だ す , と い う 表 現 も適 切 で は な く, 所 詮 わ れ わ れ は , と き と して さ して 根 拠 の た し か で は な

              

い判 断 に も とつ い て , え らび だ して い るの で あ る。 この よ うな 無 自覚 的 な論 理 に うこ か され て 作 業 して い るの が現 実 の姿 で あ る な ら, む しろ そ の論 理 を議 論 の水 面 に ひ き あげ る と い う意 味 で ,索 引語 と して の一 種 の 調 整 を加 え た方 が よ いの で はな い か。

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大 丸 ・高 橋   服 装 専 門 検 索 語辞 書 (M CD シ ソ ー ラ ス) の 構造

  も ち ろ ん , こ の 調 整 が 図 1− a の か た ち の , 固 い 構 造 に な れ ば , そ れ は 分 類 表 に な り お わ る 。 わ れ わ れ が 意 図 す る の は そ う で は な く, あ る 上 部 概 念 を 埋 め る べ き , 概 念 と 概 念 の バ ラ ンス と も い う べ き も の で あ る。 た と え ば 図 レb に お い て , 上 部 概 念 (あ る い は分 類 枠 ) W 。,W b,  W dで は , そ の 構 成 概 念 w 1,  w2_ が , 一 応 枠 内 の 大 き な ス ペ ー ス を 埋 め て い る。 こ れ に た い して , W 、 ,  W ,,  W , は そ うで は な い 。 し た が って W .中 に X と い う概 念 内 容 が 出 現 した と き , そ れ が 当 然 ふ く ま れ る は ず の w7 を 示 す

                     

索 引 語 が 辞 書 中 に 見 あ た らな か った た め に ,作 業 者 は う っ か り と これ を , 不 適 切 な w6 で イ ンデ ッ ク ス して し ま う , と い う可 能 性 が あ る。

  こ の 例 は , 不 適 切 な , あ る い は誤 っ た 索 引 化 の ひ と つ の ケ ー ス に す ぎ な い が , 作 業 者 の 判 断 に 任 せ ら れ た 無 統 制 の 出 現 語 主 義 に た い して は , 出 現 語 に よ る概 念 構 造 が あ る か た ち を な した 段 階 で , た と え ば 上 の 例 で い え ば , W , 中 に w 7を 追 加 す る , と い っ た 方 法 で の , 主 と し て 概 念 の 補 足 と い う か た ち の 調 整 は あ っ て よ い 。

  わ れ わ れ の 検 索 語 辞 書 の 場 合 は こ と に , 対 象 が 標 本 , 映 像 も カ バ ー す る の に た い し , 出 現 概 念 を 得 る 〈衣 料 情 報 レ ビ ュ ー〉 が , 文 献 の み を 対 象 と して い る と い う 喰 違 い も あ っ た の で , 相 当 の 補 足 , 調 整 を 必 要 と し た 。 写 真 1 の よ うな 例 の た め に は , EP  320 の 概 念 が 必 要 と な る 。

  概 念 の 補 足 の た め に 本 辞 書 で 直 接 利 用 した の は , 689 頁 に あ げ た 2. 3. 5. の 3種 の 索 引 で あ る 。 2. 3. を え らん だ 理 由 は説 明 す

る ま で も な か ろ う 。 5.は , 図 書 中 に あ らわ れ た 服 装 関 係 の 図 , 写 真 を イ ン デ ッ ク ス した , 例 の 少 な い 索 引 書 で あ る 。 直 接 利 用 した と い う 意 味 は , た と え ば LC の subj   ect  heading に 存 在 す る 概 念 は , 〈衣 料 情 報 レ ビ ュ ー 〉に お け る 出 現 概 念 と全 く平 等 に , 同 義 語 群 に加 え , あ る い は そ れ の み に 対 して も , 実 用 概 念 と み な し て , 検 索 語 ( 記 号 ) を 与 え た 。 さ ら に , 2. 3. 5. に も 存 在 し な い が , 当 然 そ こ に加 え られ て よ い 概 念 と い う も の が あ る 。 前 述 の EP 320 は そ の 例 で あ る。 た だ し こ こ で く り か え し強 調 しな け れ ば な らな い の は , 当 然 そ こ に あ って よ い 概 念 が あ ま り に 強 調 さ れ れ ば , そ れ は と り も な お さ ず 図 1− a の ブ ロ ッ ク 構 造 と な る。 わ れ わ れ が

写 真 1 た 衣        ロ ン ド ン  1985.1

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国立民族学博物館研究報告  1 0巻 3号

表 3 衣 服 標 本 属 性 表

F . 構 造 技 術 マ ー ク

011. 切 りか え に特 色 あ り

012. ウエ ス トライ ンが切 りか え 線 によ って 区分 されて いる 013. 袖 山線 に切 りか え あ り

02.   ま ちを 用 いて い る 03.   縫 目 に特 色 あ り

032.   ミシ ンを 用 いて 縫 った箇 所 あ り

04.   重 ね 縫 い 一 全 体 あ る い は一部 分 で二 枚 かそ れ以 上 の 布 を縫 いあ わせ て い る      接 着 もふ くめ る

05.   ネ ックオ ー プ ニ ングの タ イプ*

06.   カ ラーの タ イ プ*

07.   袖 つ け が , セ ッ トイ ン以 外 * 081. 曲線 裁 ちの部 分 あ り 082. 脇 線 が 曲 線裁 ち 083. 肩 傾 斜 あ り 09.  ダー ツあ り

101. 袖 山以 外 に いせ , の ば しあ り*

102. 袖 山に い せあ り*

1U . 袖 山 ・ウエ ス ト以外 にギ ャザ ー, タ ック , プ リー ツあ り 1 12. 袖 山 にギ ャザ ー等 あ り

113. ウ エス トは ぎ にギ ャザ ー等 あ り

12.   布 は し (袖 口 ・裾 な ど) の 処理 ・縫 い しろ に特 色 あ り 13.   布 を つ ま みま た はた たん で 縫 いつ けた部 分 あ り 1 4.   布 目の 扱 い に特 色 あ り

ユ 51. 身 頃が う ちあわ せ

1 52. う ちあ わ せ の身 頃 に留 め具 あ り*

16.   形 を 支 持 す るた め の別 の構 造体 を もっ

一 そ して 件 名 の 歴 史 が 出 現 に 執 着 し て きた の は , こ の よ う な 分 類 的 ブ ロ ッ ク構 造 に 拘 泥 しな い と こ ろ に , し ば しば よ り 身 近 で , よ り 有 用 な 主 題 概 念 が 得 られ た た め で あ っ た 。 した が っ て , 当 然 そ こ に あ っ て よ い 概 念 に つ い て の 判 断 は , い く つ か の 権 威 あ る資 料 を 参 考 と しつ つ も6) , 欧 文 文 献 , ポ ジ フ ィ ル ム の 分 析 , お よ び 服 装 情 報 サ ー ビ ス の , ドク メ ン タ リス トと し て の 現 場 の 経 験 が 優 先 した の で あ る 。

  標 本 資 料 に つ い て は , 大 丸 が す で に 発 表 し た 属 性 コ ー ド表 を , そ の ま ま 転 用 す る の が 当 初 の 計 画 だ っ た 。  しか し結 果 は , 712 頁 に 示 した EP 2項 を , 属 性 表 F 項 一 構 造 技 術 マ ー ク (表 3) と 比 較 して わ か る よ う に , か な り違 う も の に な っ て い る。 そ

6) 参 照 の 分 類 , 索 引 資 料 は つ ぎ の と お りで あ る 。 H arm uth,Loui 1921; H uenefd, Irene p ennington  1967; GibbsSm ih・Char H award  l936;被 服 製 図 編 集 委 員 会 編 )

978; N ienholdtEva;W agneNeum ann,Gretel  1965; Buck,Anne  l982; 日 本 図 書 館 協 会 件 名 標 目 委 員 会 編 )  1983; 日 本 ド ク メ ン テ ー シ ョ ン協 会 編 )  1984

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大 丸 ・高 橋   服 装 専 門 検 索 語辞 書 (M CD シ ソー ラス ) の構 造

の主 な原 因 は, EP 2項 に お け る諸 概 念 が , そ の 出現 頻 度 だ け に も とつ いて 単 純 に羅 列 した の にた い し, 属 性 表 の場 合 は, も と も との根 拠 は お な じ 〈衣 料 情 報 レビ ュ ー〉

な の で あ るが, これ を 民博 の全 衣 服 標 本資 料 の細 部 的 チ ェ ック と並 行 して , 問題 点 と して整 理 し直 した た め で あ る。 EP240以 下 の 出現 語 を み る と,240表地 ;241裏地 , 裏 ;242袷 仕 立 ;243芯 地 , 芯 ;244接 着 芯 地 とな って い る。 属 性 表 作 成 に あた って依 拠 した 資料 も, ほぼ 同 じもの だ った はず で あ る。 しか し実 際 に事例 と して の 標 本 を手 に して , ひ とつ ひ とつ の言 葉 を考 え は じめ る と,居 敷 当や 肩 当 は裏 とど う違 うの か , 見 返 しは ど うか, 芯 と はど ん な機 能 を さ し, どん な機 能 をふ くめ な い か ,な ど と い っ た 議論 が 百 出 し, 結 局 ,属 性 表 で は, F−04.の よ うに,具 体 的 で はあ るが, 通 念 的 な 表 現 を 一 切避 け る表 現 を と った。 検 索 語 辞 書 にお いて は , 出現 語 主 義 とい うた て ま え の 占 め る程度 に お いて , い わ ば 突 き放 した , そ うい う意 味 で の客 観 性 が あ り, それ は べつ の 見 方 を す れ ば, 出現 数 とい う事 実 に下 駄 をあ ず け た ,一 種 の 無 責任 さ , と もい え る。 ま え にの べ た よ うに, わ れ わ れ は索 引作 業 に主 観 的判 断 の は い り こむ余 地 を で きる だ け減 らす方 策 の ひ とつ と して , 出現 概 念 の分 布 地 図 に,多 少 の 調 整 を行 う必 要 を主 張 す る。 しか しそ の こと と,属 性 表 が検 索 語 辞 書 と, こ こまで 別 の もの に な った 理 由 と は違 う よ うで あ る。 属 性 表 は標本 チ ェ ックの た め の マ ー クポ イ ン トで あ って , 現 実 に世 界 中 の衣 服 標 本 が 技 術 者 の手 の 中 に あ る。 そ の 技 術 的関 心 が , 出現 語 の 責 任 な 羅 列 を, よ り納 得 の で きる 内容 へ と,展 開 させ て ゆ くの で あ る。 展 開 に は方 向 が あ る。 属 性 表 の F項 を観 察 す る と, この 構造 技 術 マ ー クの構 造 , の な か に は, 具 体 的 な 関心 の方 向 を しめ す ,技 術 の思 想 が み とめ られ る。

  検 索語 辞 書 へ , 直 接転 用 を意 図 して 作 成 した属 性 表 で あ った が ,結 果 的 に は これ は これ で 独 り歩 きをす る こ と にな った。 しか し属 性 表 か ら辞 書 へ , コ ン ピ ュー タ プ ログ

ラム上 で の記 号 変 換 を行 う こ と は, あ る程 度 まで 可 能 で あ る。

  標 本 資 料 に つ いて , 技 術 の思 想 とい った の で あ るが , 映像 資 料 につ い て もまた , 言 語 的 概 念 と はべ つ の, 意 味 構造 が あ るはず で あ る。 この領 域 に関 して は, コ ン ピュ ー タ に よ る図 形 認識 が ,重 要 な 課 題 の ひ とつ とな る と思 うが , わ れわ れ に と って経 験 の 乏 しい分 野 で あ るの で, 将 来 の 課 題 と した い。 映 像 (造形 ) 資 料 の索 引 と して利 用 し た 〈Cosumendex> は, その 製作 に あ た って 服 装 専 門 家 の直 接 関 与 が ほ とん ど な か った ら し く, い わ ゆ る研 究 者 の 二 次 資料 で は な く, ドク メ ンタ リス トの 二次 資 料 で あ ったせ い もあ って か ,広 般 囲 に利 用 され た よ うで あ る。 しか し利 用 対 象 が 公共 図書 館 を利 用 す る, お そ ら くハ イ ス ク ー ルの 生 徒 が 中心 , とい うこ と もあ って , わ れ わ れ が そ こか ら得 な けれ ば な らな か った主 題 概 念 は, そ れ ほ ど多 くはな か った 。

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国立民族学博物館研究報告   1 0巻 3号 O CM の 扱 い は , わ れ わ れ の 検 索 語 辞 書 に お い て は , 以 上 の 資 料 と は い くぶ ん 違 っ て い る。 わ れ わ れ の 基 本 方 針 の 中 に , 4・民 博 の デ ー タ ベ ー ス と して の ぞ ま れ る 条 件 を み た す こ と , と い う項 目 が あ る が , (686頁 ) O CM の 扱 い は , そ の 方 針 に 沿 う も の で あ る 。

  O CM の 衣 服 に 関 連 す る 項 目 は , 28, 29, 30, と りわ け 29の cl ot hi ng に 集 め られ て い る 。 い ま そ の 29の 中 で の 概 念 の 並 べ か た を み る と, た と え ば 291 norm al   garb を さ ら に 細 区 分 し て ,

—01 nude and covered parts of body

—02 services of clothing (e.g., protection, vanity, modesty)

—03 standard costume

—04 age and sex differences

—05 seasonal variation

—06 styles and fashions

—07 description of individual garments

—08 means of attachment and suspension (e.g., belt)

—09 headbands

の如 くにす る。 この概 念 構 成 が どん な 見方 か ら して も,norm agab とい う上 部 概 念 の , ブ ロ ック分 割 的 な分 類 で な い こ と はあ き らか で あ り, 民族 誌 的 な調 査 , 研 究 の 実 体 験 か ら うま れ た, その 意 味 にお いて は広 義 の 出 現主 義 に よ った ,件 名法 で あ る。 わ れ わ れ は こ う した 特 殊 な観 点 を もつ 概 念 構 成 を , LC や 国会 図 書 館件 名表 の よ うな没 個 性 的 な一 般 件 名表 , また 服 装専 門検 索 語 辞 書 の よ うな, これ は全 く別 の観 点 に した が った専 門件 名表 の概 念 と混 用 す る こと に,多 少 の 躊躇 を感 ず る。 そ こで ,O CM の 概 念 を服 装 専 門検 索 語 辞 書 に直 接利 用 す る こ と は断念 し, しか し辞書 の検 索 語 記 入 と は別 個 に , O CM 記 入 を 行 う こと と した。 尤 も,  OCM の 服 装 関連 概 念 の ほ とん ど は, 実 際 に は検 索 語 辞 書 の概 念 の うちの どれ か と共通 して い る。 した が って 辞 書 中 に,

あ る同 義 語群 の最 後 に O CM の標 数 と索 引語 を加 え て お け ば , 索 引作 業 にお いて は ほ とん ど 自動 的 に OCM 記 入 を行 う こ とが で き る。

  例   DPO19 製 品 開発 ;新 製 品 ;1 innovaton

  な お, この例 が示 す よ う に, わ れ わ れが い う共 通 す る概 念 と は, 必 ず し も28〜 30項 中 に のみ あ るわ けで はな い。 服 装 を物 質 文 化 の 中の 一 領域 と して の近 視 眼 的 な と らえ かた をす るの で な く,社 会 , 文 化 的事 象 の あ らゆ る問題 との ,相 関 の 可能 性 を, われ わ れ は前 提 とす る。 とす れ ば, 逆 説 的 で は あ る が, コス チ ュ ー ムデ ー タベ ー ス を利 用

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大 丸 ・高橋   服装 専門 検 索 語 辞 書 (M CD シ ソー ラス ) の構 造

す る検 索 者 に は む しろ, 29項 は不 必 要 と さ え いい う るか も しれ な い。

4. 検 索 語 辞 書 にお け る概 念 構 成 の 一般 論

  概 念 の 類 縁 関 係 の 表 記 法 に つ い て の 一 般 論 を , こ こ に 論 ず る 必 要 は な い と思 う か ら,

本 節 で は , わ れ わ れ の 検 索 語 辞 書 の , 直 接 の 基 盤 と な る べ き シ ス テ ム を , 検 討 す る 。   概 念 の 類 縁 関 係 の 表 記 , と く に 参 照 の あ り か た は , そ の 検 索 語 辞 書 の 規 模 と , 検 索 者 の 能 力 を ど の あ た り に 設 定 す る か で , 変 っ て く る も の で あ る 。 そ の 点 の 考 慮 の う え で わ れ わ れ が 参 考 と した の は , 〈Cos t um e Index> で あ っ た 。

  件 名 法 は分 類 法 と は ち が う が , そ れ に も か か わ らず , 件 名 も局 所 的 な 分 類 構 造 , す な わ ち BT と N T と で か た ち つ く られ る三 角 構 造 を もつ の が ふ つ う で あ り, 有 用 で あ る こ と が 多 い 。 し か し こ の 局 所 分 類 構 造 も, あ ま り に 多 用 し, ま た 複 雑 な も の と な る と, か え っ て 件 名 の 概 念 列 自体 の 非 論 理 性 が 問 題 と な っ て , 件 名 法 の 長 所 が 崩 れ て し ま う危 険 が あ る 。 服 装 関 係 資 料 を 豊 富 に 所 蔵 し て い る, パ リの フ ォ ル ネ イ 図 書 館 の 件 名 目録 の 場 合 , そ の 見 出 し語 以 下 の 構 成 は , つ ぎ の よ う に な っ て い る 。     A (見 出 し語 一 i tem ) + B,  C … ( 限 定 語 ) +X ( 地 理 区 分 ) + Y ( 時 代 区 分 )   問 題 は 限 定 語 B,C … で あ っ て , 見 出 し語 が 必 ず し も i tem と は か ぎ らず , 限 定 語 の 中 に も服 装 の 種 類 を 示 す 概 念 が あ る の で , そ の 判 断 の 必 要 の た め に , 検 索 能 率 が 落 ち る 結 果 に な る [高 橋   1981:24,25]。

  この 点 〈Cost um e Index> の 場 合 , 原 則 と して 見 出 し語 の N T は , 地 理 区 分 と 歴 史 区 分 の み で あ る た め , は る か に 検 索 能 率 は よ い 。 N T を 作 っ て い る 例 外 は ,   Fancy and s tage cost um e ( NT は char act er)・D ol 1(同 charact曾r)・M i l i tary  cos t um e (同 部 隊 ), M onks(同 s ect ),  Bi bl i cal  cos t um e (同 charact er),Archi bi shops(同 s ect ),

D ancer (同 t ri be),   Eccl es i as t i cal  cos tum e (同 church),   M us i ci an (同 t ri be),

N aval  cos t um e(同 特 殊 グ ル ー プ ),  Shakespear i an cos tum e (同 charact er)の み で あ る。 こ れ らを み る と , Naval  cos t um e 以 外 の N T は す べ て 固 有 名 詞 で あ り,

N aval 一 の 場 合 も ,   N aval  Res erve,   N ur se corpsな ど , き わ め て 特 殊 な も の で あ る。

す な わ ち 〈Cost um e Index> の 局 所 三 角 構 造 は , そ の 下 位 区 分 を 総 括 す る , 上 位 の 普 通 名 詞 (dol l ,  dancerな ど) の 方 が 周 知 性 が つ よ く , 検 索 者 が そ れ を 経 過 し て 個 々 の character に 到 達 す る こ と に な ん の 問 題 も あ り え な い よ う な , ご く少 数 の 見 出 し語 に か ぎ られ て い る 。

  そ れ が 見 出 し語 に 存 在 す る の か , あ る い は 他 の見 出 し語 の N T に 入 っ て い る の か ,

695

(17)

国立民族学博物館珊究報告   10 巻 3号 と い う迷 い は , 検 索 者 に と っ て は つ ね に迷 惑 な もの で あ り , ま た 『を 見 よ 』 参 照 の 増 加 の 原 因 と な る。 服 装 専 門 検 索 語 辞 書 で は , 原 則 と し て 索 引 語 の N T は で き る だ け 避 け る よ う に つ と め た 。 そ し て そ の 例 外 も 〈Cos t um e Index> と お な じ く, 索 引 語 を 経 由 し て 検 索 さ れ る こ と が 自 明 の , 固 有 名 詞 に か ぎ った 。 尤 も こ の 区 別 は , 図 書 形 態 の 辞 書 と, 機 械 お よ び カ ー ド検 索 と で は 扱 い 方 が ち が うわ け で あ る。 機 械 お よ び カ ー ド検 索 で は , BT も N T も 同 じ水 準 に な らぶ の で , た と え ば カ ー ドを 検 索 す る と き , 紳 士 服 メ ー カ ー も , そ の N T の メ ル ボ 紳 士 服 も 区 別 な く,辞 書 体 排 列 で あ れ ば そ れ ぞ れ の S,M ,部 分 に 並 ぶ 。 た だ し紳 士 服 メ ー カ ー の カ ー ド に お い て は ,   N T で あ る メ ル ボ 紳 士 服 へ の , 『も 見 よ 』 が 記 入 さ れ る 。

  つ ぎ に , 類 縁 概 念 の 参 照 関 係 に つ い て の べ る。 〈Gos tum e Index> に お け る 参 照 法 を , H eaddr es s を 中 心 に お い て 整 理 す る と , 表 4の よ う に あ らわ す こ と が で き る 。 H eaddre ss を 囲 む 類 縁 語 は , こ れ を 1. 〜 IV .の 4群 に わ け る こ と が で き よ う。 1.は 同 義 語 群 で あ る。 こ れ ら は 単 純 に headdr es sへ 『を 見 よ 』 参 照 さ れ る 。た だ し , こ こ で い う 同 義 語 と は , 索 引 語 整 理 上 の 同 義 語 で あ っ て , 共 通 の 資 料 を イ ンデ ッ ク ス す る こ と が 便 利 で あ る ,と い う意 味 で あ る 。 II.は , これ も 一 種 の 同 義 語 な の だ が ,  head−

dres s の 中 の , 地 理 + 時 代 区 分 へ の 『を 見 よ 』 参 照 で あ る。 こ れ は 三 角 構 造 の と こ ろ

表 4  〈Cosum endex> に お け る 類 義 語 の 参 照 構 造

beret kerchief nightcap sombrero tricorne turban hennin hood

comb aigrette hair ornament wig

cap bonnet hat

fez escoffion

petasus phrygian bonnet pileus

tarboosh beehive bonnet bonnet rouge chaperon steeple headdress kennel headdress lilipipe dutch cap butterfly headdress commode calash

( 注  一 『を 見 よ 』参 照 , :一『も見 よ 』参 照)

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