都 下 三 多 摩 地域 にお け るNPOと 行 政 の 協 働 型 政 策 連携 に 関す る基 礎 的研 究
『地域 福 祉 計 画 』 の 策 定 プ ロ セ ス を 中心 と して一
有 里 典 三
1は じ め に
近 年,NPOと 行 政 の協 働型 政 策連 携 に注 目が集 まっ てい る。 国や 自治体 に とっ て は,NPOな どの民 間 セ ク ター との協 力 に よっ て,地 域 の持続 可 能 な発展 のた め の条件 づ く りや基 盤整 備 を行 な うこ とが重 要 な課 題 となっ て きた。 しか しなが ら, 理 念や 考 え方 の整理 が進 ん でい る反 面,肝 心 の協 働 の ル0ル や仕 組み づ く りが不 十 分 なた め に,現 状 で は本 来 あ るべ き協働 に結 びつ い てい ない場 合 が多 い。 た とえ ば,① 協 働 とい って も,行 政か らの提 案 ばか りであ る。② 行政 が主 導 でNPOが 下 請 けにな ってお り,対 等 な関係 にな ってい ない。③行 政職 員の 間 に民 間 と協働 す る 意味 やNPOに 対 す る理解 が ない。④ 行政 が 関わ るべ き事業 か どうかの検 証 が な さ れ ていな い,と い った問題点 が指摘 されてい る。
本研 究 は,こ う した現 時点 にお け る問題点 を念 頭 に置 きなが ら,こ れ までの 「行 政主導 型 の参 加」 か ら 「市民 主導型 の協働 」へ の枠組 み転換 を図 るための基礎 作 業 と して,NPOと 行 政 の 間 の協 働 型 政 策連 携 に関す る要件 と課 題 を考察 してい る。
具体 的 に は,都 下 三多摩 地域 在住 の 自治 体 と福 祉 関連 のNPO団 体 を調査対 象 に選 び,NPO団 体 の実態 と問題 点 公民 協働 の現状,行 政 側 の 関わ り方 や支援 の方 向 性 な どにつ いて分析 し,併 せ て今後 の展 望 を明 らか に したい。
2調 査研 究の概要
表一1に 示 した よ うに,本 稿 の基 とな った社 会 調査 は,2006年3月6日 か ら4月 8日 まで の32日 間 にわた って実 施 され た 「『地域福祉 計画』 の策定 プ ロセス に関す る実 態 調 査 」 で あ る。 本 調 査 で は,福 祉 関 連NPO団 体 の 実 態 を踏 ま え なが ら, NPOと 行 政 の協 働 関 係 の 現 状,協 働 に 関 す る 両 者 の 評 価,そ して 『地 域 福 祉 計 画 』
の 策定 プロセ ス につ い て の一連 の質 問 を通 じて,「 公民 の協 働 」が どの程度 実現 さ れ てい るか探 求 した。 この課 題 を解 明す るため に,NPO団 体 と行政 の双 方 に対 し て別 々 に実 態調 査 を行 な い,現 状 ・課 題 ・今後 の方 向性 につ いて分 析 を試 み てい る。
75
通信 教 育 部 論 集 第9号(2006年8月)
表一1NPOと 行政 の 協 働 型 政 策 連 携 に 関 す る 調 査 票 調 査 の 概 要
調査対象 都 下 三 多 摩 地 域 在 住 の30の 自治 体 と460の 福 祉 関 連NPO団 体 調査方法 調 査 票 に よる 郵 送 調査(督 促 状 を2回 発 送)
調査期間 平 成18年3月6日 〜 平 成18年4月8日 主
調な 査 項目
自治体 「「地域 福 祉 計 画』 の 策 定 状 況 」 「市 民 参 加 へ の 自治体 の 取 り組 み 」 「行 政 とNPO との協 働 の あ り方 」 「市 民 自治 の拡 充 」 を 中心 に設 問 を作 成 した 。
NPO 「福 祉 関 連 のNPO団 体 の 活 動 状 況 」 「行 政 との 協 働 の あ り方 」 「「地 域 福 祉 計 画』
へ の参 画 お よ び政 策 連 携 」 を中 心 に設 問 を作 成 した 。
回 収 状 況
自治体 有 効 回 収 数24自 治 体,有 効 回収 率:li%
NPO 有 効 回 収 数168団 体,有 効 回 収 率36.5%
具 体 的 な 調 査 項 目 に つ い て 簡 単 に 説 明 し て お こ う 。 ま ず,自 治 体 用 の 調 査 票 は, 1.『 地 域 福 祉 計 画 』 の 策 定 状 況 に つ い て の 質 問 群,II.現 在 の 市 民 参 加 へ の 取 り組 み 状 況 に つ い て の 質 問 群,皿.行 政 サ ー ビ ス に お け るNPOと 自 治 体 と の 協 働 に つ い て の 質 問 群,IV.市 民 自 治 の 拡 充 に つ い て の 質 問 群 を 中 心 に 構 成 さ れ て い る 。 他 方,NPO団 体 用 の 調 査 票 に つ い て は,1.福 祉 関 連NPO団 体 の 概 要 お よ び 活 動 に つ い て の 質 問 群,II.行 政 と の 協 働 に つ い て の 質 問 群,皿,『 地 域 福 祉 計 画 』 策 定 へ の 参 画 お よ び 政 策 連 携 に つ い て の 質 問 群 を 柱 に し て 設 計 し た 。
今 回 の 調 査 対 象 は,都 下 三 多 摩 地 域 在 住 の30の 自 治 体 と 当 該 地 域 で 福 祉 活 動 を し て い る460の 東 京 都 認 証NPO団 体(2006年2月28日 現 在)で あ る 。 以 上 の 調 査 対 象 に 対 し て,質 問 紙 形 式 の 調 査 票 を 使 っ て 郵 送 調 査 を 実 施 し た 。 全 体 の 回 収 状 況 は,有 効 回 答 が192ケ ー ス で,回 収 率 は38.0%で あ っ た 。 調 査 対 象 別 に み た 回 収 状 況 の 内 訳 は,自 治 体 関 係 が24ケ ー ス,80.0%,NPO関 係 が168ケ ー ス,36.5%で あ っ た 。
3結 果 の考 察1都 下三 多摩地 域 にお ける福 祉 関連NPO団 体 の実態
3‑1設 立 年 数
ま ず,有 効 回 答 者 数168の NPO団 体 の 特 徴 に つ い て 見 て お
こ う 。 図 一1の 設 立 年 数 に 注 目 す る と,3年 未 満 が59件,35.1%,
3年 以 上5年 未 満 が45件, 26.8%,5年 以 上 が62件,36.9%, 無 回 答 が2件,12%で あ っ た 。
日 本 のNPOは 活 動 を 始 め て ま だ 歴 史 が 浅 い 。1990年 代 の 初 頭
図 一1設 立 年 数N=168
無 回答
有 里 典 三 都 下 三 多摩 地 域 に お け るNPO
にNPO団 体 の存在 が注 目され 始 め,新 聞紙 上で 連 日報道 され る ように なった の は 90年 代 の後 半 にな ってか らの こ とで あ る。5年 以上 の歴 史 を持 つNPO団 体 は全 体 の3割 にす ぎない。
2000年 の5月 に社会福 祉 法が制 定 され,「地域福 祉 」が注 目され る ようにな った。
≡三多摩 地域 にお い て も,福 祉 関係 のNPO団 体が 設立 され活動 が盛 ん になっ た時期 は,最 近5年 以内(61.9%)に 集 中 してい る こ とが調査 結果 か ら窺 える。
3‑2年 間 事 業 規 模
2005年 度 の 年 間 事 業 規 模 別 に み る と,1000万 円 以 上 が 最 も 多 く76件,
45.2%,次 い で100万 円 以 上 一300万 円 未 満 が24件,14.3%,500万 円 以 上 一1000万 円 未 満 が18件 ,10.7%,50
万 円 以 上 一100万 円 未 満 が17件, 10.1%,50万 円 未 満 が15件,8.9%と い う 結 果 と な っ た(図 一2参 照)。
全 体 的 な 傾 向 と し て は,年 間 の 事 業 規 模 が300万 円 に 満 た な い 小 規 模 の NPO団 体56件,33.3%と,1000万 円 以 上 の 比 較 的 大 規 模 なNPO団 体76
図 一217年 度 の 事 業 規 模N=168 無 回答
50〜100万 円未 満
100〜300万 円 未 満
500〜1000万 円 未 満
件,45.2%に 二 極 分 化 し て い る こ と が わ か る 。
3‑3資 金 源 の 内 訳 と 割 合
各NPO団 体 が,現 在 ど の よ う な 資 金 源 を 基 礎 に し て 運 営 さ れ て い る か 尋 ね て み た と こ ろ(複 数 回 答),「 会 費 」 が110件,26.5%,「 事 業 収 入 」 が109件,26.3%と ほ ぼ 同 程 度 の 高 い 割 合 を 示 し,両 者 が 二 大 資 金 源 で あ る こ とが わ か っ た 。 次 い で 高 い 割 合 を 示 し た の が,「 補 助 金 」(68件,16.4%)と 「寄 付 金 」(67件,16.1.%)で あ っ た 。 以 上 の 回 答 結 果 か ら,現 時 点 で の 主 要 な 資 金 源 が 自助 的 な も の で あ り,NPO 団 体 に 対 す る 行 政 そ の 他 か ら の 補 助 金 や 寄 付 金 は,ま だ 低 い 割 合 に 留 ま っ て い る 傾 向 が 読 み 取 れ る 。 こ れ は,一 面 で は 行 政 の 側 の 信 頼 度 の 低 さ を示 し て い る と 考 え ら れ る が,そ の 理 由 は 単 にNPO活 動 の 歴 史 の 浅 さ だ け に 由 来 す る も の だ ろ う か 。
で は,将 来 増 や し た い と 思 っ て い る 資 金 源 は 何 で あ ろ う か 。 第1位 は 「事 業 収 入 」 で87件,45.5%と 突 出 し て 高 い 割 合 を 示 し て い る 。 事 業 規 模 を 拡 大 し て,財 政 的 に も 自 立 し たNPO活 動 を 推 進 し た い と の 当 事 者 の 意 向 が 反 映 さ れ た 結 果 で あ
ろ う。 第2位 は 「補 助 ・助 成 金 」 で49件,25.7%と 比 較 的 高 か っ た 。 こ れ は,現 時 点 に お い て は 二 次 的 な も の で しか な い が,今 後 有 望 な 資 金 源 と し て 伸 び が 期 待 で き る と 判 断 し て い る か ら で あ ろ う 。 そ れ に 対 し て,現 時 点 で 主 要 な 資 金 源 と な っ て い る 「会 費 」 は,将 来 の 伸 び が あ ま り期 待 で き な い と の 認 識 か ら,18件,9.4%と 比 較 的 低 い 割 合 に 留 ま っ て い る 。
一77一
通 信 教 育 部 論 集 第9号(2006年8月)
図一3主 な事 業 内 容(複 数 回 答)
(件 数) 一80 (%)
18「
706050403020100
15.4%
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医療・保健
福祉調査研究
福祉相談・コンサルティング
福祉分野の人材育成
福祉に配慮したまちづくり
福祉施設運営
デイサービス
子育て関連福祉
居宅介護支援
その他
高齢者福祉
各種講習会・学習会
ホームヘルパー派遣
障害者福祉
00疏V49自0
3‑4主 な 事 業 内 容
図 一3で 整 理 し て 示 し た よ う に,主 な 事 業 内 容 と し て は,「 障 害 者 福 祉 」 が67件, 15.4%と 最 も 多 く,次 い で 「ホ ー ム ヘ ル パ ー 派 遣 」 が48件,II.0%,「 各 種 講 習 会 ・学 習 会 」 が 同 じ く48件,11.0%,「 高 齢 者 福 祉 」 が43件,9.9%,「 居 宅 介 護i支 i援」 が38件,8!7%,「 子
育 て 関 連 福 祉 」 が37件,
図一4事 業 を展 開 す る上 で の 課 題(複 数 回 答)N=1688 .5%,「 デ イ サ ー ビ ス 」 が
(件 数) 一一,120
(pro) 35r3
㎜806040200
一
一
一
一
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一 32.1%
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,181陶ll1需 無回答 一
特にない
その他
市場規模が小さい
情報不足
事業ノウハウ不足
行政のバックアップが不足
資金不足
302520151050
25件,5.7%,「 福 祉 施 設 運 営 」 が19件,4.4%の 順
と な っ た 。
事業展開の際 の課
5
3題 スタッフ不足
次 に,現 在NPO団 体 が 事 業 を 展 開 す る 上 で 特 に 問 題 だ と 感 じ て い る 内 容 に つ い て 質 問 し て み た(複 数 回 答)。 図 一4を 参 照 す る と, 最 も多 か っ た の は 「ス タ ッ フ不 足 」 で114件,32.1%,
有 里 典 三 都 下 三 多 摩 地 域 にお け るNPO
次 が 「資 金 不 足 」 で86件,24.2
%と い う 結 果 と な っ た 。 す な わ ち,現 状 で は,人 的 資 源 の 整 備 と 財 政 基 盤 の 確 立 と い う 最 も 基 礎 的 な 要 素 が 不 完 全 なNPO団 体 が 比 較 的 多 い と い う こ と で あ る 。 そ れ に 続 い て,「 行 政 の バ ッ ク ア ッ プ が 不 足 」 し て い る と 回 答 し た も の が70件,19.7%あ っ た 。 こ れ に 対 し て,「 事 業 ノ ウ ハ ウ 不 足 」(30 件,&5%)や 「情 報 不 足 」(18件,
5.1%)と い っ た ソ フ ト面 の 不 備 を 指 摘 す る 声 は 少 な か っ た 。
で は,「 ス タ ッ フ 不 足 」 と 答 え た114件 を 対 象 に し て,具 体 的 に ど の よ う な 人 材 を 必 要 と して い る の か 考 察 し て み よ う(複 数 回答)。
最 も必 要 と さ れ て い る の が 福 祉 活 動 そ の も の を専 門 の 立 場 か ら推 進 す る 「福 祉 専 門 職 ス タ ッ フ 」 で 51件,22.4%,次 い で 「事 務 ス タ ッ フ 」 と 「ボ ラ ン テ ィ ア 」 が と も に49件,21.5%と 比 較 的 高 い 割 合 を 示 し て い る 。 そ れ に 対 し て,NPO活 動 を 財 政 的 に 支 え る
「経 営 戦 略 ス タ ッ フ 」 は41件, i%,情 報 の 運 営 ・管 理 を 担 当 す る 「IT運 営 管 理 ス タ ッ フ 」 は 24件,10.5%と 相 対 的 に ニ ー ズ が 低 い こ と が わ か る(図 一5参 照)。
次 に,ソ フ ト面 の 不 備 と は 何 を 指 して い る の だ ろ う か 。 こ の 点 を 明 ら か に す る た め に,「 事 業 ノ ウ ハ ウ 不 足 」 と答 え た30件 を 対 象
図 一5必 要 と す る 人 材(複 数 回 答)N=114 (%)
25
20
15
la
5
0
22.4%21
,521.5 尺
◆ ◆\̲
一51
49
・(鰯̀
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・∫:i・v :1
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10.5一
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4
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福祉専門職スタッフ 事務スタッフ ボランティア 経営戦略スタッフ IT運営管理スタッフ
(件 数) 60
その他
50 40 30 20 10 0
図 一6必 要 と す る ノ ウ ハ ウ(複 数 回 答)N=30 (%)
25
20
15
10
5
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8.4
1
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1.7%‑
2
組織マネジメント能力 広報・宣伝能力 事務・管理能力 人材育成能力 集金・財務・経理能力 専門技能・技術開発能力 情報通信技術 1
(件 数) 25
20
15
1fl
5
〇
一その他
に し て,今 後 も っ と 強 化 す る 必 要 が あ る 具 体 的 な 能 力 を 調 べ て み た(複 数 回答)。 図 一6は 複 数 回 答 の 結 果 を 整 理 し た も の で あ る 。 そ れ に よ る と,第1位 が 「組 織 マ ネ ジ メ ン ト能 力 」 と 「広 報 ・宣 伝 能 力 」(と も に23件,19.3%),第3位 が 「事 務 ・管 理 能 力 」(19件,16。0%)と い う 結 果 が 得 ら れ た 。 現 状 で は,活 動 内 容 を よ り多 く の 人 々 に ア ピ ー ル し て 理 解 を 図 る ノ ウ ハ ウ や 組 織 を 管 理 ・運 営 す る ノ ウ ハ ウ が 不 足 し
79一
通信 教 育 部 論 集 第9号(2006年8月)
て い る と 考 え ら れ て い る 。 続 い て 第4位 に,「 人 材 育 成 能 力 」 と 「集 金 ・財 務 ・経 理 能 力 」(と も に18件,15.1%)が 挙 げ ら れ て い る が,こ れ は 言 う ま で も な く現 在 の NPO団 体 の 後 継 者 不 足 や 財 政 的 基 盤 の 脆 弱 性 を 危 惧 す る 声 と み な す こ とが で き る 。
4結 果 の考 察 皿NPOと 行政 の協働 関係 の現 状
4‑1NPOと 行 政 の 協 働 の 実 態 [4‑1‑1]NPOと 行 政 の 協 働 の 有 無
ま ず 最 初 に,NPOと 行 政 の 協 働 の 実 態 に つ い て 検 討 し て み よ う。NPOの 側 か ら 見 た 協 働 の 有 無 を 調 べ て み る と,
予 想 以 上 にNPOが 行 政 と 積 極 的 図一7行 政 との協 働 の 有 無N=168
に 協 働 し て い る 実 態 が 明 らか と な 無回答
っ た(図 一7参 照)。 す な わ ち,「 現 在 協 働 し て い る 」NPO団 体 は 103件,61.3%,「 今 は な い が 以 前 に 協 働 し た こ とが あ る 」 と答 え たNPO団 体 は14件,8.3%あ り, 両 者 を 合 わ せ る と実 に7割 近 く の 団 体 が 行 政 と の 協 働 を 経 験 し て い る 。 反 対 に,こ れ ま で 「一 度 も協 働 し た こ と が な い 」NPO団 体 は 43件,25.6%と,全 体 の4分 の1 に す ぎ な い こ と が わ か る 。
こ れ を 自 治 体 の 側 か ら検 討 し た 場 合 も,ほ ぼ 同 様 の 結 果 が 得 ら れ た 。 た だ,厳 密 に 言 う と,自 治 体 の 方 がNPOよ り も 協 働 に 対 し て 醒 め た 見 方 を し て い る と 判 断 で き
る 。
[4‑1‑2]NPOの 側 か ら見 た 協 働 の 形 態
で は,行 政 と 協 働 し た こ と が あ る と 回 答 し た117件,69.6%の
NPO団 体 は,ど の よ う な 形 態 に よ る 協 働 を し て い る の だ ろ う か 。 複 数 回 答 に よ る 質 問 を し て み た と
こ ろ,比 較 的 多 か っ た 回 答 は,
「専 門 的 事 業 の 委 託 に よ る 行 政 支
協 働 した こ とが な い
(%) 30
25 Za 15 10 5
以 前 協 働 した こ とが あ る
図 一8協 働 の 形 態(複 数 回 答)N=117
] 専門的事業の委託による
行政支援
0
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103 補助・助成 1
(件 数) 7a
その他
公共施設の管理運営
一般的業務の委託による
請負事業
審議会など政策・計画
立案への参画
研修・出向による人材交流・情報交換
イベントの共催・後援
60 50 40 30 20 10 0
有里 典 三 都 下 三 多 摩 地域 にお け るNPO
援 」 の64件,28.2%,次 い で 「補 助 ・助 成 」 の55件,24.2%,「 イ ベ ン トの 共 催 ・ 後 援 」 の40件,17.6%で あ っ た 。 そ れ に 対 し て,「 研 修 ・出 向 に よ る 人 材 交 流 ・情 報 交 換 」 や 「審 議 会 な ど 政 策 ・計 画 立 案 へ の 参 画 」 は,そ れ ぞ れ20件,8.8%と さ
ほ ど多 く な い こ とが わ か る(図 一8参 照)。
最 も 回 答 が 多 か っ た 「専 門 的 事 業 の 委 託 に よ る 行 政 支 援 」 に つ い て 具 体 的 な 事 業 内 容 を 質 問 し て み た と こ ろ,「 福 祉 施 設 の 運 営 」 と 「介 護 ・看 護 ・保 健 」 が と も に 19件,20.7%と 最 も多 か っ た 。 次 い で 「イ ベ ン トの 実 施 」 が10件,10.9%,「 福 祉 活 動 を 担 う 人 材 の 研 修 ・育 成 」 が8件,8.7%,「 福 祉 ・医 療 相 談 」 が7件,7.6%と い う順 番 で あ っ た 。
ま た,行 政 に 対 し て 「ア ドボ カ シ ー 」(行 政 に働 きか け た り政 策提 言 活 動 をす る こ と) を し た こ と が あ る か ど う か を 尋 ね て み た と こ ろ,「 な い 」 が 最 も 多 く76件,45.2%, 次 い で 「あ る 」 が61件,36.3%,「 し よ う と し た が で き な か っ た 」 が15件,8.9%
と い う 結 果 と な っ た 。
[4‑1‑3]行 政 がNPO活 動 に 対 し て 行 っ て い る 支 援
自 治 体 がNPO活 動 に 対 し て 行 な っ て い る 具 体 的 な 支 援 内 容 を 複 数 回 答 の 形 で 調 べ て み た(図 一9)。 そ れ に よ る と,「 情 報 の 支 援 」 が18件,21.4%と 最 も 多 く,次 い で 「場 所 の 支 援J(15件,17,9%),「 資 金 の 支 援 」(12件,14.3%),「NPOセ ン タ ー な ど の 中 間 支 援 組 織 の 設 立 ・充 実 」(12件,14.3%)も 比 較 的 多 い こ と が 判 明 し た 。 こ う し た 内 容 以 外 で は,「 人 材 の 支 援 」 や 「さ ま ざ ま な 分 野 の 市 民 団 体 を 結 び つ け る ネ ッ ト ワ ー ク の 構 築 」(と もに9件,10.7%)な ど も行 な っ て い る が,「 組 織 の 支 援 」 は わ ず か に5件,6.0%と 最 も 少 な い 結 果 と な っ た 。
図 一9NPO活 動 に対 して行 って い る支 援(複 数 回 答)N=24 (%)
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情報の支援
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場所の支援 資金の支援 NPOセンターなど
の中間支援組織の設
立・充実 組織の支援
さまざまな分野の市
民団体を結びつけるネットワークの⁝構築
人材の支援
(件 数) 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 無 回 答
・
通 信 教 育 部 論 集 第9号(2006年8月)
[4‑1‑4]行 政が重 点 的 に取 り組 んでい る協 働事 業
こ こで は,現 在,三 多摩 地域 の 自治 体が取 り組 んでい る主 な協働 事業 の内容 と協 働 の形態 につ いて簡単 に紹 介 してお きた い。 まず,八 王 子市 で は,地 域 内の課 題 の 解決 や よ りよい市 民 生活 の実現 のた め にNPO自 ら企 画立 案 ・実施 す る事 業 に市 が 一部 を 《補 助》 してい る。 この 【市民 企画事 業 に対 す る補 助 金】 は,公 開 プ レゼ ン テー シ ョンを開催 して市民 の審査 に よ り決定 してい る。
府 中市 で は,NPO団 体 が市 の指 定 したテ ーマ に沿 って事 業企 画 を提 案 し,審 査 を経 て決 定 した 【NPOと の協 働推 進事 業】(た とえば,① 邦楽を生か した福祉活動 ② 介護i予防のリーダー養成講座 など)に つ いて 《委 託》 を行 な ってい る。
また,西 東 京市 で は,市 民 の発 想 に基 づ く市 との協 働 を推 進す るため に,【NPO 企画提 案事 業】 を募 集 し,提 案 され た企 画案 を選考 した上 で,採 用 され た事業 につ い ては企画 したNPO団 体 と委託 契約 を締 結 し 《事 業 を委託》 してい る。
さ らに,武 蔵野 市 で は,【NPO活 動促 進 基 本計 画 】(す なわち,NPOと 行政が対等 の立場で連携 し,地 域の課題解決や公的サービスの提供 に取 り組むための計画)の 策定 に 際 して,策 定 委員 会 にNPOが 《参加 》 して企 画立 案 を行 な って い る。 当該 計画 の 中で,NPO活 動 の促進 や協働 のあ り方 に関す る市 の 目標 と方針 が示 されて い る。
4‑2NPOと 行 政 の 協 働 に 関 す る 評 価 [4‑2‑1]NPOと 行 政 が 協 働 す る 意 義
ま ず,NPO団 体 は 行 政 と協 働 す る 意 義 を ど の よ う に 考 え て い る の だ ろ う か 。 複 数 回 答 の 形 式 で 答 え て も ら っ た 結 果 を 図 一10に ま と め た 。 そ れ に よ る と,最 も多 か っ た 回 答 は 「事 業 活 動 に 対 す る 地 域 住 民 の 理 解 が 高 ま る 」(90件,18.2%)で,次 が
「地 域 の 福 祉 課 題 や 住 民 の ニ ー ズ を 発 掘 す る こ と が で き る 」(81件,16.4%),3番 目 が 「よ り質 の 高 い 多 様 な 公 共 ・福 祉 サ ー ビ ス を 展 開 す る こ と が で き る 」(74件,14.9
%),4番 目 が 「住 民 が 主 体 と な る 地 域 社 会 を 作 る こ と が で き る 」(71件,14.3%)と い う 結 果 で あ っ た 。 主 と し て,NPO団 体 が 行 っ て い る 福 祉 活 動 に 対 す る 理 解 と 実 効 面 で の メ リ ッ ト を挙 げ る も の が 多 い 。
そ の 一 方 で,「 地 域 と 行 政 と の 距 離 感 が な く な る 」(44件,8.9%)や,「 地 域 と 行 政 と の 〈対 等 な 関 係 〉 を 作 り 出 す こ と が で き る 」(42件,&5%)と い っ た 意 見 は わ ず か で あ っ た 。 ま た,行 政 と の 協 働 に よ っ て 「新 た な 社 会 経 済 活 動 を 創 出 す る こ と が で き る 」 と期 待 す る も の は,38件,7.7%と ご く一 部 に 留 ま っ て い る 。
で は,協 働 の 意 義 を 自治 体 側 は ど の よ う に 見 て い る の だ ろ う か 。 同 じ よ う に 自 治 体 側 の 複 数 回 答 の 結 果 を 図 一11に 整 理 し た 。 そ の 結 果,「 住 民 が 主 体 と な る 地 域 社 会 の 形 成 や 市 民 自 治 の 向 上 に 寄 与 で き る 」 が16件,19B%と 最 も多 く,次 い で 「地 域 に お い て 福 祉 や 環 境 保 護 な ど の 活 動 を 盛 ん に す る こ と が で き る 」 と 「地 域 住 民 と
の 関 係 が 緊 密 に な り,住 民 の ニ ー ズ を 的 確 に 把 握 す る こ と が で き る 」 が13件, 16.0%,「 地 域 住 民 に よ り質 の 高 い,き め の 細 か い サ ー ビ ス を 提 供 す る こ と が で き る 」 が12件,14.8%と そ れ ぞ れ 上 位 を 占 め た 。 自 治 体 側 は,市 民 活 動 の 一 翼 を 担 うNPO団 体 と協 働 す る こ と に よ っ て,地 域 住 民 と の 関 係 が 緊 密 化 し,住 民 の ニ ー
有里典三 都 下三多摩地域 におけるNPO
図 一10行 政 と協 働 す る意 義(複 数 回 答)N=・:
(件数) 100 90 80 70 60 50 (%)
20r,
403020100
一
一
一
18.2%
90
16.4 一
14,914 .3
81=
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38
一
一
1 ■ 1 1 1 1 1
一
1.61 .4%
▲ 一
,「 蓉/‑・ 羽 15
10
5 無回答
その他
新たな社会経済活動を創出することができる
労力や費用負担を軽減することに
より活動の活発化が図れる
住民と行政との﹁対等な関係﹂を作り出すことができる
地域と行政との距離感がなくなる
住民が主体となる地域社会をつく
ることができる
より質の高い多様な公共・福祉サ
ービスを展開することができる
地域の福祉課題や住民のニーズを
発掘することが期待できる
事業活動に対する地域住民の理解
が高まる
0
NPOと 協 働 す る意 義(複 数 回答)N=24
図 一11
(件数) rl8 (%)
25r 16141210OOρ04ユ(∠(U
19.8%
16
一
\1b. ,
16,016.0
〜 14.8{▲
一
一
13
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12
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1
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き
1.21.21.2%
111 1,111◆;ll勲
2015105 無回答
その他
施策・事業の優先順位を明確にすることができる
行政事業に対する地域住民の理解が得られやすい
新たな社会経済活動を創出するこ
とができる
労力や費用負担を軽減することにより︑自治体の財政支出を軽減す
ることができる
地域住民により質の高い︑きめの細かいサービスを提供することができる
地域住民との関係が緊密になり︑
住民のニーズを的確に把握することができる
地域において福祉や環境保護などの活動を盛んにすることができる
住民が主体となる地域社会の形成や市民自治の向上に寄与できる
0
一83一
通 信 教 育 部 論 集 第9号(2006年8月)
ズ にあ った よ り質の 高いサ ー ビス を提供 で きる こ とや,地 域社 会 に対 す る住 民 の主 体 的 な活動 を引 き出す こ とが で きる と判 断 してい る。
[4‑2‑2]NPOと 行 政 が 協 働 を 効 果 的 に 推 進 す る た め の 要 件
次 に,NPOと 行 政 が 協 働 を 効 果 的 に 推 進 す る た め に は ど の よ う な 要 件 が 重 要 に な る だ ろ う か 。 こ の 質 問 をNPO側 と 自 治 体 側 の 双 方 に 対 し て 行 な っ た 。 回 答 の 形 式 は,そ れ ぞ れ の 要 件 ご と に5段 階 の 評 定 尺 度 を 作 成 し て,そ の 重 要 度 を 答 え て も
ら っ た 。 す な わ ち,1の 「全 く不 要 」 に は1点,2の 「あ ま り 必 要 で は な い 」 に は 2点,3の 「ど ち ら と も い え な い 」 に は3点,4の 「多 少 は 必 要 」 に は4点,5の
「大 い に 必 要 」 に は5点 の ス コ ア を 与 え 重 み 付 け を 行 な っ て い る 。 図 一12はNPO側 か ら み た 要 件 ご と の 重 要 度 の 累 計 を,図 一13は 自 治 体 側 か ら み た 要 件 ご と の 重 要 度 の 累 計 を,そ れ ぞ れ レ ー ダ ー チ ャ ー トの 形 に ま と め た も の で あ る 。
図一12行 政 との 協 働 を効 果 的 に 推 進 す る た めの 要 件Nニ168
お互 いの特性 や違 い を理 解す る
魏 撫 艶 目的を明灘
669 選択 基準 や業務 内容 を公 開す るNPOに対 し税 制上 の優 遇措 置 をとる
響 獲欝
N・・と行政 の役割分 担 を騰 ・す る ・。・il蘇 轟 撫 縢 謀念藁 。499公 募や 審査 に競争原理 を導 入す る
叢 灘澱 襟
㎜ 棚 ㈱ 鰯 驚欝 欝 懸
60権 利 ・権 限の面で の対等 関係 を保 つ 政策 の立案段 階 か ら協働 を推進 す る537'儲 遅544協 働 の仕組 み を制度化 する581
協働事 業 の評価 システム を確 立す る 行政 内 に協働 推進 の部署 を設置 し, 職員 の意識 を変 える
図一13NPOと の 協 働 を効 果 的 に推 進 す る た めの 要 件Nニ16
お互 いの特性 や違 い を理解 す る
協働 の 目的 を明確 にす る
NPOと 行 政 の役 割 分 担 の 明確 化71・ 踊.
691:
NPOに つ い て の 広 報 活 動 を 積 極 的 に 推 進 す る
n 政 策 の 立 案 段 階 か ら協 働 を推 進 す る69
協 働 事 業 の 評 価 シ ス テ ム の確 立
情 報公 開 を積極 的 に行な う
̀75
競争原 理 を導 入す る51
対等 の 関係 を確保 す る 70 協働 の仕 組み を制度化 す る 69
横 断的推 進部 局の設置 と 職 員の意 識改 革
有 里 典 三 都 下 三 多 摩地 域 に お け るNPO
ま ず,図 一12か ら 検 討 し て み よ う 。NPO団 体 が 自 治 体 と の 協 働 を 進 め る た め に 最 も 効 果 的 だ と 考 え て い る 要 件 は,「 協 働 の 目 的 を 明 確 に す る 」 で687件,平 均 が 4β4,次 に 重 要 な の は 「NPOに 対 し 税 制 上 の 優 遇 措 置 を と る 」 で669件,平 均 が 4.52と な っ た 。 続 い て 第3位 が 「お 互 い の 特 性 や 違 い を 理 解 す る 」(668件,平 均 4.45),第4位 が 「NPO活 動 の た め の 広 報 に 力 を 入 れ る 」(623件,平 均4.24),第5 位 が 「選 択 基 準 や 業 務 内 容 を 公 開 す る 」 な ど情 報 公 開 を 積 極 的 に 行 な う で618件, 平 均 が4.26で あ っ た 。NPOと 行 政 と の 間 の 「役 割 分 担 を 明 確 に す る 」(606件,平 均4.15)や 「権 利 ・権 限 の 面 で の 対 等 関 係 を 保 つ 」(605件,平 均4.14)こ と を 指 摘 す
る 声 も 比 較 的 多 か っ た 。 つ ま りNPO団 体 の 側 で は,何 の た め に 自 治 体 と協 働 す る の か 明 確 に す る と 同 時 に,自 治 体 と の 特 性 の 違 い を 理 解 し て 役 割 分 担 を 明 確 に す る こ と が 重 要 だ と 考 え て い る 。 そ れ 以 外 に は,税 制 上 の 優 遇 措 置 を と る こ と や 情 報 公 開 を積 極 的 に 進 め る こ と も肝 要 だ と 判 断 し て い る 。
一 方,自 治 体 側 がNPO団 体 と の 協 働 を 効 果 的 に 進 め る た め に 重 要 だ と 考 え て い る 要 件 は,「 お 互 い の 特 性 や 違 い を 理 解 す る 」 が 第1位 で79件,平 均494,第2位 が 「協 働 の 目 的 を 明 確 に す る 」(77件,平 均i・),第3位 が 「情 報 公 開 を 積 極 的 に 行 な う 」(75件,平 均469),次 い で 「政 策 の 立 案 段 階 か ら協 働 を 推 進 す る 」 や 「NPO
と 行 政 の 役 割 分 担 の 明 確 化 」 が と も に(71件,平 均444),「 協 働 の 仕 組 み を 制 度 化 す る 」 が(70件,平 均438)と い う 結 果 に な っ た(図 一13参 照)。 自 治 体 側 もNPO側
と 同 じ様 に,協 働 目 的 の 明 確 化,相 互 理 解 に よ る 役 割 分 担 の 明 確 化,さ ら に は 情 報 公 開 の 積 極 的 な 推 進 な ど を 重 視 し て い る 。 しか し他 方 で,具 体 的 に 協 働 の 仕 組 み を 制 度 化 し て,実 際 に 政 策 の 立 案 段 階 か ら協 働 作 業 に 参 加 で き る よ う に す る こ と も 強 調 し て い る 。 ま た,NPO側 が 強 調 し て い た 税 制 上 の 優 遇 措 置 に 関 し て は,自 治 体
側 は あ ま り重 要 視 し て い な い 。
[4‑2‑3]特 に 重 要 な 要 件
で は,こ れ ら の 要 件 の 中 で,特 に 重 要 な 要 件 は 何 だ ろ う か 。 こ の 点 に つ い て も, NPO側 と 自 治 体 側 を 比 較 対 照 し な が ら考 察 し て み た い 。 今 度 は,特 に 重 要 と考 え る 要 件 を 上 位3位 ま で 選 ん で も ら っ た 。 図 一14と 図 一15の レ ー ダ ー チ ャ ー ト に は, 前 項 と 同 じ 方 法 で そ れ ぞ れ の 要 件 ご と に 最 重 要 度 の 累 計 を 表 示 し て あ る 。 す な わ ち,図 一14に はNPO側 か ら み た 要 件 ご と の 最 重 要 度 の 累 計 を,図 一15に は 自 治 体 側 か ら み た 要 件 ご と の 最 重 要 度 の 累 計 を 表 示 し た 。
ま ず,NPO側 に 質 問 し た と こ ろ,最 も 多 い の は 「協 働 の 目 的 を 明 確 に す る 」 で 132件,第2位 は 「税 制 上 の 優 遇 措 置 を と る 」(126件),第3位 は 「政 策 の 立 案 段 階 か ら協 働 を 推 進 す る 」(107件),以 下 「権 利 ・権 限 の 面 で の 対 等 関 係 を 保 つ 」 が 100件,「 お 互 い の 特 性 や 違 い を 理 解 す る 」 が94件 と い う 結 果 で あ っ た(図 一14参 照)。 同 じ 内 容 を 自 治 体 側 に 尋 ね た と こ ろ,や は り最 も 多 か っ た の が 「協 働 の 目 的
を 明 確 に す る 」 で22件,次 が 「お 互 い の 特 性 や 違 い を 理 解 す る 」 で20件,第3位 は 「対 等 の 関 係 を 確 保 す る 」 で16件 と い う 結 果 に な っ た(図 一15参 照)。
全 体 的 な 回 答 の 傾 向 を 調 べ て み る と,前 項 の レ ー ダ ー チ ャ ー ト と 比 較 し て 著 しい
一85一
通信 教 育 部論 集 第9号(2006年8月)
図一14行 政 との協 働 を推 進 す る上 で,特 に重 要 な要 件(上 位3位)N=168無 回答=16
お 互い の特 性や違 い を理解 す る
NPO濁 のた めの広報 に力 を入 れ る71
1071 政策 の立案段 階か ら協 働 を推 進す る
協 働事業 の評価 シス テム を確 立す る
協働 の 目的を明確 にす る 32
選択基準 や業 務内容 を公 開する
公募 や審 査 に競 争原理 を導入 す る 100
権 利 ・権 限の面で の対等 関係 を保 つ
協働 の仕組 み を制 度化す る 行政 内 に協働 推進 の部署 を設
置 し,職 員 の意識 を変 える
図 一15NPOと の 協 働 を推 進 す る上 で,特 に重 要 な要 件(上 位3位)N=16
お 互い の特 性 や違 い を理 解す る NPOに 対す る税制 上の優遇 措置
NPOと 行政 の役割 分担 を明確 にする
NPOに つ いて の広報活 動 を積極 的に推 進す る
政 策立案段 階か ら協働 を推進 する
協働 の 目的 を明確 にす る 22
情報公 開 を積 極的 に行 う
競 争原理 を導 入す る
対等 の関係 を確保 す る
協 働の仕 組み を制度化 す る 横断 的推 進部 局の設
置 と職 員の意 識改革
違 い は 見 ら れ な か っ た 。 も っ と も,情 報 公 開 に 対 す る 積 極 性 が や や トー ン ダ ウ ン し て い る 傾 向 は 窺 え る だ ろ う。 さ ら に,NPO側 と 自 治 体 側 を 比 較 し て み る と ,ど ち ら も共 通 し て,協 働 の 目 的 を 明 確 に し,お 互 い の 特 性 の 違 い を 理 解 し な が ら,対 等 関 係 を 保 つ こ と を 重 視 し て い る こ と が わ か る 。 両 者 の 際 立 っ た 違 い は,NPO側 が 自 治 体 側 と 違 っ て,税 制 上 の 優 遇 措 置 を と る よ う に 強 調 し て い る 点 で あ る 。
[4‑2‑‑4]NPOの 社 会 的 責 任,市 民 自 治 の 担 い 手 と な る た め の 要 件
NPO側 は 自 ら の 社 会 的 責 任 を ど の よ う に 考 え て い る の だ ろ う か 。 そ の 内 容 を 複 数 回 答 の 形 で 尋 ね て み た 。 そ の 結 果,第1位 は 「市 民 の 自 治 力 の 啓 発 ・普 及 」(103 件,2&1%),第2位 は 「公 共 サ ー ビ ス の 役 割 分 担 」(86件,23.5%),第3位 は 「ア ド
ボ カ シ ー(政 策 提 言)活 動 」(62件,16.9%),第4位 は 「当 事 者 や 市 民 団 体 の 権 益 を 代 弁 す る 」(59件,16.1%)と い う 結 果 に な っ た 。 行 政 の 補 完 的 な 役 割 を担 う 団 体 と