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ハ ー バ ー ド大 学 中 国研 究 管 見

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ハ ー バ ー ド大 学 中 国研 究 管 見(樋 口)91

ハ ー バ ー ド大 学 中 国 研 究 管 見

は じめ に

ニ ハ ーバ ー ド大学 の講 義

三 イエ ンチ ン研 究所 と儒学 討 論会 四 中 国語教 育

五 おわ りに

樋 口 勝

一 一 は じ め に

1999年4月 か ら一 年 間 、 創 価 大 学 の 在 外 研 究 制 度 を 利 用 して 、 ハ ー バ ー ド大 学 イ エ ンチ ン研 究 所 に 留 学 した 。 そ の 研 究 所 長 の杜 維 明教 授 の下 で 、 現 代 新 儒 学 の研 究 をす る のが 目的 で あ った 。

私 が ハ ーバ ー ド大 学 に在 外 研 究 を した い と思 った 動 機 は 、6、7年 前 に遡 る。 当時 、 集 中 的 に創 価 大 学 の創 立 者 で あ る池 田 大 作 博 士 の 書 物 を読 ん で い た 。 そ の 中 で 、特 に生 命 の 問 題 、幸 福 の 問 題 、 道 徳 の 問 題 に関 心 が 寄 せ られ て い った 。 そ れ まで の私 は 、 中 国哲 学 の 中 で も朱 子 学 に お け る宗 教 性 の 問 題 に 関 心 が あ った た め 、 『文 公 家 礼 』 を め ぐ っ て 朱 子 の宗 教 性 の 問 題 を模 索 し て い た 。 しか し、 方 法 論 で 行 き詰 ま りを 感 じて い た 。 そ ん な時 期 に 、杜 維 明 教 授 のr儒 家 伝 統 的 現 代 転 化 』 を読 了 した 。

遅 ま き なが ら、 これ が 私 の現 代 新 儒 学 と の 初 め て の 出会 いで あ った 。 こ の 書 物 を読 ん で 、 実 に 驚 い た。 な ん と池 田博 士 の 思 想 と共 通 点 が 多 い こ と か と。

周 知 の如 く、 池 田博 士 は大 乗 仏 教 、 な か ん ず く法 華 経 を 中 心 に した 日蓮 仏 法

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の信奉 者で あ り、杜 教授 は儒 教 の現代 的意 義 を探 求す る現代 新儒 学 の旗手 で あ る。 私 の心 の 中で 、大 乗仏 教 と儒教 との対話 が始 ま った。 そ うは言 うもの の、大乗仏教 は宗派 性 を有 す る宗教で あ り、儒教 は祭祀 や葬 送儀礼 を除 けば、

道 徳 の教 え とい う観 念 が ま とわ りっ い て いた私 に は、両者 の対 話 の土俵 を ど の よ うに設 定す れ ば よい のか迷 っていた 。

ち ょう どそ の よ うな時期 に、牧 口常三郎 の全集 を読 む機 会 が あ った。 中 で も、 「 価 値 論 」 に注 目 した 。 さま ざ ま な特 色 が あ る牧 口価 値 論 の 中で 、私 に と って価値 と宗 教性 の問題 は新 鮮で あ った。 っ ま り、人 間 に と って価 値創 造 す る ことが幸 福 で あ り、価 値 の究 極 は宗教 性 に結合 す るとい う観 点 は 、宗 教 と哲学 あ るいは宗教 問対 話 に応用 す る ことが で き るので は ないか と感 じた の であ る。そ の後 、牧 口価値 論 と現 代新儒 家 との比較 研究 を行 い、何 本か それ に関す る論 考 を試み た。 しか し、 また しても宗 教性 の難 問 にぶ っか った。 そ ん な時期 に、念願 が か な って、ハ ーバ ー ド大学 へ 留学 で き る ことに な った の であ る。

本報告 は、本来 で あれ ば 、上 記の 問題 解 決 の研究 経過 を報 告す べ きで あ ろ うが、不 明 に して まだそ の研究経 過 を報 告で きる段 階 にはない。 更に言 えば、

や っと現代新 儒学 にお け る宗教 性 と価値 の問題 の研 究 は緒 にっ いた ばか りで

くの

あ る。 そ こで 、 本 報 告 で は 、 私 が ハ ー バ ー ド大 学 で 見 聞 した こ と を 中 心 に紹 介 して い き た い と思 う。 と は 言 っ て も、 ハ ー バ ー ド大 学 に お け る中 国研 究 の 現 状 にっ い て 詳 細 に 調 査 した わ け で は な い の で 、 こ こで は 私 が 受 講 した 講 義 、

イ エ ンチ ン研 究 所 の儒 学 研 究 会 、 中 国 語 教 育 な どの 一 端 を体 験 的 に紹 介 して い く こ と に した い。

ニ ハ ー バ ー ド大 学 の 講 義

ハ ー バ ー ド大 学 で は 二 期 制 の た め 、私 が ボ ス トン に着 い た 頃 に は 後 期 授 業

もほ ぼ終 了 に近 か った 。 例 年 、 後 期 授 業 は5月 初 め に は 終 了 し、5月 中 に学

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ハ ー バ ー ド大 学 中 国研 究 管 見(樋 口)93

年 末 試 験 を行 って い る。

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と 、 以 下 の 通 り で あ る 。

FreshmanRegistration GSASRegistration UpperclassRegistration AcademicYaerBegins StudyCardDay

Holiday‑ColumbusDay Holiday‑Veterans'Day

ThanksgivingRecess

WinterRecess

FallReadingPeriod

Holiday‑M.L.KingDay MidyearExaminations

因 み に1999年 度 〜2001年 度 の 一 年 の 学 事 表 を 見 る

SecondTermBegins StudyCardDay

Holiday‑Presidents'Day SpringRecess

SpringReadingPeriod

1.999‑‑2000 Sept.13(M) Sept.15{W}

Sept.17(F}

Sept.21(Tu) Sept.28{Tu) Oct.11(M) Nov.11(Th) Nov25(Th)‑

Nov.28(Su) Dec.22(W)‐

Jan.4{Tu) Jan.S{W}‑

Jan.16{Su) Jan.17{M) Jan.18{Tu)‑

Jan.26{W) Feb.2{W}

Feb.9{W}

Feb.21(M}

Mar.25(Sa}‑

Apr.2(Su}

May6{Sa)‑

May17(W)

2000‑200].

Sept.11{M}

Sept.13(W) Sept.15(F) Sept.18(M) Sept.22{F) Oct.9{M}

Nov.10(F) Nov.23{Th}‑

Nov.26{Su) Dec.20{W)‐

Jan.1(M) Jan.2{Th)‑

Jan.12{F) Jan.15{M}

Jan.13{Sa}一 Jan.23{Tu)

Jan.31{W}

Feb.7{W) Feb.19(M) Mar.24(Sa)‑

Apr.1{Su) May5{Sa}‑

May16(W}

2001‑2002 Sept.3(M) Sept.4{Th) Sept.10(M}

Sept.12(W}

Septl19(W) Oct.8{M) Nov.12(M}

Nov.22{Th)‑

Nov.25{Su) Dec.14(F)‐

Jan.1(Th) Jan.2{W)‑

Jan.13(Su}

Jan.21(M}

Jan.14(M}‑

Jan.23(W) Jan.30(W}

Feb.6{W}

Feb.18(M}

Mar.23(Sa)‑

Mar.31.(Su) May4(Sa}‑

May15(W)

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FinalExaminations

Holiday‑MemorialDay Commencement

SummerSchool

May18(Th)‑May17(Th)‑May16(Th)‑

May26{F}May25(F)May24{F}

May29(M)May28{M}May21{M) June8{Th)June7(Th)June6{Th) June26{M}‑June25{M)‑June24(M)‑

Aug.18(F}Aug.17{F}Aug.16(F)

学 事 表 が 示 す よ う に 、5月 初 旬 に は 後 期 授 業 が 終 了 し、 そ の 後Spring ReadingPeriodと い う試 験 の 準 備 期 間 を 経 て 、5月 下 旬 に は 学 年 の 全 日程 が 終 了す る。 それ ゆ え 、 日本 の 新 学 期 で あ る4月 に 、 ア メ リカ に在 外 研 究 に 行 った 私 に と って 、何 と も拍 子 抜 け した もの だ った 。 しか し、9月 ま で の 間 、 E.S.L(EnglishasaSecondLanguage)の 学 校 に通 っ て 、 英 語 の 勉 強 を

した り、 ハ ー バ ー ド大 学 の 様 々 な機 関 が 主 催 す る研 究 会 や 講 演 会 に参 加 す る こ と が で き た 。

(1)エ ク ス テ ン シ ョ ン ・ス ク ー ル

ハ ー バ ー ド大 学 の エ ク ス テ ンシ ョン ・ス ク ー ル で は 、 主 に夜 間 に 授 業 が 行 わ れ 、13000人 以 上 の 様 々 な年 齢 層 の学 生 に学 ぶ 機 会 を提 供 して い る。 彼 等 は ニ ュー イ ン グ ラ ン ドの各 州 か ら通 学 し、 そ の 多 くが 一 っ か 二 つ の コー ス を 選 択 して新 しい も の を学 ん だ り、仕 事 上 の ス キ ル の 向上 を 目指 して い る。 ま た 、 様 々 に用 意 され た カ リキ ュラ ム は 、 各 レベ ル の学 位 取 得 も可 能 に な って い る。

エ ク ス テ ンシ ョン ・ス ク ー ル の教 員 の 大 多 数 は 、昼 間 、 ハ ー バ ー ド大 学 の 各 カ レ ッジ で 同 じ講 義 を担 当 して い る。 そ の カ リキ ュラ ム は 、学 部 、 大 学 院 、 単 位 の な い科 目等 、 様 々だ が 、50以 上 の フ ィー ル ドの550以 上 の コー ス が あ り、 コー ス の範 囲 は人 類 学 か ら トル コ語 まで 、 また 行 政 や マ ネ ー ジ メ ン ト、

コ ン ピ ュー ター 、作 文 、 外 国 人 の た め の 英 語 、 予 備 医 学 な ど、 大 学 院 や 学 部

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ハ ー バ ー ド大 学 中 国 研 究 管 見(樋 口)95

の 学 位 も用 意 され て い る。

日本 人 研 究 者 に と って 必 要 に な る の は 、 も ち ろ ん 英 語 プ ロ グ ラ ム で あ る。

そ れ 以 外 の プ ロ グ ラ ム に 、 わ ざ わ ざ学 費 を 払 って 参 加 す る人 は い な い で あ ろ う か ら。

コ ー ス は 秋 と春 の 二 回 募 集 す る。 秋 は8月 末 ま で 、 春 は12月 末 ま で に は 申込 書 と学 費 を添 え て 申 し込 み 、 申 し込 み 後 、 全 員 に プ レス メ ン トテ ス トを 行 って 、 ク ラス 分 け をす る。 ク ラ ス は 、A(初 心 者)、B(中 級)、C(中 上 級)、D(上 級)、E(最 上 級)の 五 つ の レベ ル に 分 け られ て い る。 在 外 研 究 に行 って 英 会 話 を 学 ぶ 場 合 、 多 くの 研 究 者 が このCかDの レベ ル に 集 中 して い る よ うだ 。 レベ ルCは 、 弱 点 を克 服 し、 様 々 な場 面 の 中 で 、 会 話 や 英 作 文 の 精 度 、 範 囲 、複 雑 性 を増 す こ と に主 眼 を置 く。 レベ ルDは 、 言 語 に 関 す る 知 識 を 充 分 に表 現 で き、 そ の熟 練 の 度 合 い を 増 して 、 学 術 的 に も職 業 的 に も 表 現 能 力 を 拡 張 す る レベ ル と な って い る。

こ の レベ ルCとDの ク ラ ス に は 、 「ListeningandSpeaking」 「Academic Discussion」 「AcademicWriting」 「CommunicationinBusiness」 の4コ ー一 ス が 設 け られ 、 それ ぞ れ 週2回 で1回2時 間 、1学 期(3ヶ 月)の 学 費 は1

コー ス570ド ル に な っ て い る。 そ の 他 、 週4回 の コ ー ス も あ り 、 授 業 料 は 1140ド ル で あ る。

(2)ESL

ハ ーバ ー ド大 学 エ ク ス テ ンシ ョン ・ス ク ー ル の英 語 プ ロ グ ラ ム に 相 当す る の が 、 各 市 の 教 育 セ ン タ ー が 主 催 す るESLの プ ロ グ ラ ム で あ る。 各 市 の 教 育 セ ンタ ー に は 、ESLだ け で は な く、ハ ー バ ー ド大 学 の エ ク ス テ ンシ ョン ・

ス ク ー ル と同 じよ う に様 々 な プ ロ グ ラ ムが 用 意 され て い るが 、 日本 人 研 究 者

や そ の 家 族 、 あ る い は 日本 人 学 生 に と って も一 番 お 世 話 に な る の が 、 こ の

ESLで あ る。 ボ ス トン ・エ リア で 最 もESLの プ ロ グ ラ ム が 充 実 して い る の

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は 、 や は りハ ー バ ー ド ・ス ク ウ ェ ア に近 い ケ ンブ リ ッジ教 育 セ ン ター(The CambridgeCenterforAdultEducation)で あ ろ う。

ク ラ ス編 成 は 、入 門 コー ス(レ ベ ル1〜3)、 中 級 コー ス(レ ベ ル1,2)、

上 級 コー ス の6っ の レベ ル に分 け られ る。 各 ク ラ ス16名 が 上 限 で 、 週2回 、 1回1時 間 半 、10週 間 で 授 業 料 は155ド ル 。 週3回 や4回 の 授 業 が あ っ た り、 ボ キ ャ ブ ラ リー や 会 話 中心 、 ア メ リ カ文 化 や ラ イ テ ィ ン グ中 心 の 授 業 が あ っ た りで 、ESLだ け で も全 部 で40以 上 の 授 業 を 設 置 して い る。

授 業 料 が 安 い の と、 ク ラ ス が 多 く 自分 の ス ケ ジ ュー ル に 合 わ せ て選 択 で き る の で 、 私 も妻 も年 間 を 通 じて このESLに お 世 話 に な った 。 問 題 は 教 学 の 質 だ が 、 これ は 担 当 教 員 に よ る の は 言 う まで も な い ◎ 私 を 担 当 して くれ た 何 人 か の教 員 は 、 言 語 学 の 修 士 号 を 取 得 し、ESLで 教 え る こ と に 情 熱 的 な教 員 で あ った 。

この 他 、ハ ーバ ー ド大 学 の外 国 人研 究 者 、大 学 院生 の配 偶 者 を対 象 に 、 ハ ー バ ー ド ・イ ン タ ー ナ シ ョナ ル ・オ フ ィス(HIO)が 主 催 して 、ESLの 授 業 を 行 って い る。 レベ ル は3っ に分 け られ 、 前 も って プ レス メ ン トテ ス トを した 上 で 、 ク ラ ス編 成 が され る の は 、 ど こ も 同 じで あ る。 授 業 料 は 週3時 間 、1 回1時 間 半 なの で 週2回 の授 業 が12週 間 で150ド ル。 テ ィー チ ン グ ・ス タ ッ

フ は3人 で 少 な い が 、 経 験 豊 富 な ス タ ッフ を揃 え 、 受 講 者 に は 人 気 が あ る よ うだ 。

(3)講 演 会

ハ ー バ ー ド大 学 の 講 演 会 の 予 定 は 、 大 学 が 毎 週 発 行 す る 「ガ ゼ ッ テ 」

(Gazette)に 基 本 的 に 掲 載 さ れ る 。 こ の 「ガ ゼ ッ テ 」 は 、 ハ ー バ ー ド大 学

の 各 図 書 館 と ホ リ ヨ ー ク ・セ ン タ ー(ハ ー バ ー ド ・ス ク ウ ェ ア に あ る オ フ ィ

ス ビ ル)の1階 に 置 い て あ る 。rガ ゼ ッ テ 」 に は 、 大 学 の ニ ュ ー ス 、 最 近 の

科 学 的 発 見 の 紹 介 、 人 物 紹 介 、 ハ ー バ ー ドの コ ミ ュ ニ テ ィー 紹 介 、 ス ポ ー ツ 、

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ハ ー バ ー ド大 学 中 国 研 究 管 見(樋 口)97

美 術 、 コ ンサ ー ト、 シ ア タ ー な どが 紹 介 され て い る。 ま た 「カ レ ン ダー 」 欄 に は 、 そ の週 の 会 議 、 講 演 会 、 コ ンサ ー ト、 展 示 会 、 教 会 の 集 会 、 有 料 の 授 業 な どの ス ケ ジ ュー ル が 掲 載 され て い る。 該 当す る講 演 会 や シ ンポ ジ ウ ム に 関 連 す る部 署 に 属 して い な い 限 り、 個hの 講 演 会 な どの お 知 らせ が くる こ と

は な い の で 、 毎 週 、 こ の 「ガゼ ッテ」 を チ ェ ックす る必 要 が あ る 。

私 の 場 合 は 、 興 味 対 象 が ア ジ ア 関 連 な の で 、 イ エ ンチ ン研 究 所 に あ る掲 示 板 や お 知 らせ で 、 情 報 収 集 は ほ ぼ 網 羅 で きた の だ が 、 他 の 分 野 の 講 演 会 、 例 え ば 宗 教 関係 の講 演 会 な どは 、 こ の 「ガ ゼ ッテ」 を活 用 した 。 そ れ に して も 、 多 い 時 は 週 に100以 上 も あ る と 思 わ れ る講 演 会 や 、300以 上 も あ ろ う そ の 他 の催 しに は 圧 倒 さ れ る。 大 小 様 々 な形 式 の 講 演 会 の 中 で 、 私 が 最 も多 く参 加 した の は 、 中 国 大 陸 や 台 湾 か ら来 た 研 究 者 の 講 演 会 で あ った 。 テ ー マ も さ る こ と なが ら、 中 国 語 で行 わ れ た の も私 に と っ て は よ か った 。

そ の 他 、 日本 か ら 自民 党 の 加 藤 紘 一 氏 や 橋 本 竜 太 郎 氏 な ども ハ ー バ ー ドに 講 演 に来 て い た 。 受 け 入 れ は 、 そ れ ぞ れ ハ ー バ ー ド ・ケ ネ デ ィ ・ス ク ー ル 、 ア ジア セ ン ター な どで あ った 。

(4)受 講 科 目

私 の 専 門 は 中 国 哲 学 な の で 、 「中 国 史 」 「儒 家 倫 理 思 想 」 「比 較 宗 教 」 「総 合 講 座 ジ ャ ス テ ィス 」 そ れ に 「中 国 語 」 な ど、 中 国 や 宗 教 、 哲 学 に関 連 あ る講 義 を聴 講 した 。 ど の講 義 も さす が ハ ー バ ー ドの教 授 と思 わ せ る名 講 義 で 、 拙 い英 語 能 力 しか な い私 で も思 わ ず 聞 き惚 れ て しま った ほ ど。 また 、 そ れ に も ま して学 生 の 聴 講 態 度 に は 感 心 させ られ た も の で あ る。

そ れ ぞ れ の 講 義 科 目に は も ち ろ ん 教 材 や 参 考 書 は あ るの だ が 、 そ れ が 一 冊

で あ った り、 十 数 冊 で あ った り。 ま た 、 講 義 の始 め に シ ラバ ス が 配 られ 、 毎

回 そ れ に沿 って 講義 が 進 め られ る。 多 くの 講 義 は 講 義 時 間 が60分 で 、 日本

の大 学 に較 べ て 短 い せ い か 、 教 授 は ほ とん ど余 談 な どせ ず に粛 々 と講 義 を 進

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め る。(も っ と も 、 余 談 を交 え る の は 私 だ け か も しれ な い が)。 ハ ー バ ー ドで は 講 義 の 合 間 の 休 み 時 間 を 設 け て い な い た め 、 始 め の10分 程 度 は 、 学 生 が 入 室 して 多 少 騒 が しい面 は あ るが 、 着 席 す る とす ぐ ノー トを 出 して 聴 講 す る 姿 は 、 さす が ハ ー バ ー ドの 学 生 だ と感 心 。 また 、 教 授 は 講 義 の 中 で 、 ユ ー モ ア を交 え て 学 生 を笑 わ せ た り、 時 に は机 に座 っ て学 生 と対 話 しな が らフ ラ ン

ク に講 義 す る と ころ な ど、 内 容 と共 に そ の魅 力 に濫 れ た 授 業 運 営 に も 感 心 し た 。

「中 国 史 」 の 講 義 は 週3回 行 わ れ 、 半 期 で 通 史 を 終 らせ る。 今 季 は 、 先 秦 か ら明 代 まで を 東 ア ジ ア学 部 の 学 部 長 で あ る ピー ター ・K・ ボ ー ル 教 授 、清 代 と近 代 史 を歴 史 学 部 の学 部 長 で あ る ウ ィ リア ム ・C・ カ ー ビー教 授 が 担 当 して い た 。 「中 国 史 」 とは 言 う もの の 、 「講 義 要 項 」 よれ ば 、 歴 史 研 究 の 副 題 に 「中 国 、 東 ア ジ ア 文 明 に お け る伝 統 と形 成 」 と い う タ イ トル が 付 け られ て い た 。 そ して、 「伝 統 的 な 哲 学 、 宗 教 の 形 態 や 社 会 的 、 政 治 的 思 考 を 考 察 す る こ と に よ って 、 中 国 文 明 が 如 何 に形 成 され た か 、 また 近 代 世 界 にお い て如 何 に 中 国 を理 解 す べ き か 」 と い う視 点 か ら、 「中 国 史 」 が 語 られ て い た 。 講 義 が3回 あ る と は 言 え 、 半 期 で 通 史 を完 結 させ る の は 難 しい が 、 毎 回 、 要 点 を ま と め た プ リ ン トが 配 られ 、 要 領 よ く通 史 を学 生 に理 解 させ て い た よ う に 思 う。 因 み に、 か っ て 留 学 した 北 京 大 学 歴 史 学 部 で は 、 週2回 の通 史 の 講 義 を2年 間 か け て学 ん だ こ と と対 照 的 で あ った 。

「比 較 宗 教 」 の 講 義 は 、 仏 教 、 キ リス ト教 、 ユ ダ ヤ 教 、 儒 教 に お け る 宗 教

体 験 、理 念 、 道 徳 実 践 な どを紹 介 しな が ら、 多 様 な異 文 化 間 に生 き る人 間 の

普遍 的 な道徳 性 、 倫理 性 を探 求 しよ うと試 み て いた。 そ して 、そ の教 授(チ ャー

ル ズ ・ハ リ ッセ イ教 授)の 結 論 と して 、 学 期 の最 終 講 義 で仏 教 と儒 教 の倫 理

に 言 及 し、 「他 者 のた め に生 き る こ と こそ 、 自分 自身 の た め の 最 善 の道 で あ

り、 そ こ に理 想 人 格 が顕 現 され る。 そ して 、 そ の た め に は 、 永 遠 に学 び 、 永

遠 に道 徳 実 践 を行 う必 要 が あ るが 、 そ れ を 目標 に努 力す れ ば 、 あ な た も そ う

(9)

ハ ー バ ー ド大 学 中 国 研 究 管 見(樋 ロ)99

なれ る」 と 言 わ れ て い た こ とが 印 象 的 で あ った 。

総 合 講 座 「ジ ャス テ ィス」 の 講 義 は シ ア ター で 行 わ れ 、ハ ー バ ー ドの コア ・ カ リキ ュラ ム の 一 っ だ け あ って 、 千 名 ほ どが 入 る シ ア タ ー が い っ も 一 杯 だ っ た 。 圧 巻 な の は 、 そ の 千 名 ほ どの 学 生 が 、 講 義 す る教 授 の 話 に 一 心 に耳 を傾 け 、 時 に 笑 い 、 時 に 思 索 しな が ら講 義 を 聞 き 、 教 授 は 千 名 の 学 生 に 意 見 を 求 め な が ら、 時 に は 討 論 に も な る 授 業 風 景 だ った 。 基 本 教 材 は 、J.S.ミ ル の

「功 利 主 義 」 と い う 小 冊 子 の み だ が 、 そ の他 ア リス トテ レス 、 ロ ック 、 カ ン トな ど と比 較 しなが ら、 自由 と正 義 、 人 権 と所 有 権 、 富 の 分 配 、 政 治 的 義 務 な どに っ い て 考 察 して い た 。 中 で も、 これ らの 問 題 を 現 代 の 問 題 と絡 ませ な が ら、 学 生 に思 索 させ る 講 義 は 、 今 も私 の脳 裏 に新 鮮 な感 動 を も た ら して く れ る。

「儒 家 倫 理 思 想 」 は 、 私 の 受 け 入 れ の 指 導 教 授 に な っ て頂 い た杜 維 明 教 授 の 担 当 で あ った 。 主 に 、 大 学 院 生 を対 象 に した プ ロ ・セ ミナ ー 形 式 で あ った が 、 講 義 の 大 半 は 杜 教 授 が 講 義 し、 そ れ に 対 す る質 疑 応 答 とい う形 で 講 義 が 進 ん だ 。 週 に一 回 の 講 義 で あ った が 、0回 に3時 間 行 わ れ た 。 全 体 を通 して 、 杜 教 授 が 強 調 さ れ て い た こ と は 、 ① 儒 教 の 現 象 の み を 追 う の で は な く、 儒 教 倫 理 に 見 られ る精 神 性 の 探 求 が 必 要 で あ る 、 ② 儒 教 は 、 人 間 を 中 心 に 、 人 間(自 身)、 コ ミ ュ ニ テ ィー 、 自然 、 天 の 四 者 の 関 係 を 説 い て お り、 そ れ に よ っ て儒 教 の ヒ ュ ー マ ニ ズ ム が 完 成 す る 、 ③ 儒 教 の 今 後 の 課 題 と して 、 生 態 系 の 問 題 、 フ ェニ ミズ ム の 問 題 、 宗 教 間 対 話 を 推 進 して い く こ とが 必 要 で あ り、 グ ロ ー バ ル 化 を 進 め る上 で 重 要 で あ る、 ④ 如 何 に 自身 を カ ル テ ィ ベ ー テ ィブす るか 、 ⑤ 儒 教 の 方 法 は 自己 教 育 で あ り、 儒 教 は99%が 教 育 で あ る、 な どで あ った よ う に 思 う。 い っ も なが ら、 中 国 思 想 と古 今 東 西 の 思 想 や 現 実 の 問 題 と を 比 較 して 、 如 何 に あ るべ き か を 語 る杜 教 授 の雄 弁 さ に は 舌 を 巻 い た も の で あ る。

そ の 他 、 「ジ ャパ ン ・ア ズ ・ナ ンバ ー ワ ン」 の 著 者 で 有 名 な エ ズ ラ ・ボ ー

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ゲ ル教 授 の 「東 ア ジ ア の 産 業 」 や イ レー ヌ ・ブ ル ー ム教 授 の 「中 国 と人 権 」 の 講 義 も聴 講 した が 、 この 二 つ の 授 業 は 共 に春 学 期 の も の で あ った の で 、 最 初 の 数 回 しか 出 席 で き なか った 。 特 に 印 象 深 か った の は 、 「中 国 と 人=権」 の 授 業 で 、 毎 回 、 教 授 が い くっ か の新 聞 記 事 を持 参 し、 い くっ か の グ ル ー プ に 分 け て そ の 記 事 を討 論 させ 、 各 グ ル ー プ毎 に意 見 を ま と め て 発 表 させ る と い うセ ミナ ー 形 式 で 行 わ れ た 授 業 で あ った 。 学 生 も積 極 的 に討 論 に 参 加 し、 教 授 は よ く意 見 を 聞 い た 上 で 、 多 少 コ メ ン トす る程 度 で あ った が 、 学 生 に思 索 させ る と い う点 で 興 味 深 い も の が あ った 。 また 、 天 安 門 事 件 の 際 の 北 京 大 学 の リー ダー で あ った 王 旦 氏 も 、 ハ ー バ ー ド大 学 の 学 生 と い う身 分 で 聴 講 して い て 、 自身 の 体 験 を話 して い た 。

また 、 そ の 他 に 、 「中 国 語 」 の 授 業 も聴 講 した が 、 これ は 後 述 す る 「中 国 語 教 育 」 の章 で 紹 介 す る こ と に して 、 ハ ー バ ー ド大 学 の 講 義 内 容 で 一 番 感 心 した こ とは 、 どの 講 義 も知 識 の教 授 の み で な く、学 生 に 考 え させ る こ と、 で き るだ け 現 実 生 活 と の 関 連 付 け を す る こ とで あ った 。 社 会 科 学 の 講 義 で あ れ ば 、 現 実 との 接 点 を 取 り出す こ とは さ ほ ど困 難 で は な い が 、 人 文 科 学 の 分 野 、 例 え ば 中 国 史 や儒 家 倫 理 思 想 な ど、 特 に近 代 以 前 を 講 義 す る場 合 は 、 現 代 と

の 関 連 を 考 え る こ と は 難 しい 。 そ れ で も 、 「中 国 史 」 で は 、 中 国 の 社 会 、政 治 、 思 想 を歴 史 的 に概 観 しな が ら、 常 に現 状 の 中 国文 明 や 中 国 民族 を理 解 し て い こ う とす る ス タ ン ス は あ った 。 ま た 、 「儒 家 倫 理 思 想 」 で は 、 前 述 した よ う に これ ま で の 現 状 を踏 ま え た 上 で 、 如 何 にす べ きか を 考 え させ られ る講 義 で あ った 。 更 に 、他 の講 義 も 同様 で あ った 。

また 、 授 業 風 景 で 感 心 す る の は 、学 生 が ま じめ に授 業 を 聞 き 、熱 心 に ノ ー トを 取 る姿 で あ った 。 教 授 は 出席 を取 る こ と も な く、授 業 時 間 に な る と講 義 を始 め る のだ が 、 時 間 に な る と私 語 は 止 め 、 講 義 を聞 くの で あ る。 講 義 科 目 に も よ るが 、私 が 受 講 した 講 義 の 中 で 、聴 講 者 の層 が ま ち ま ちで あ った の は 、

「比 較 宗 教 」 と 「儒 家 倫 理 思 想 」 で あ った。 「比 較 宗 教 」 は300名 ぐ らい の

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ハ ー バ ー ド大 学 中 国研 究 管 見(樋 口)101

大 教 室 で 行 わ れ た が 、 そ の う ち1割 ぐ らい の 聴 講 者 が 年 配 者 で あ った 。 また r儒 家 倫 理 思 想 」 は30名 ほ どの 聴 講 者 の 内 、半 分 ほ どが 年 配 者 で あ った り 、 他 大 学 の 大 学 院 生 で あ った 。 こ う い う と こ ろ に も 、 生 涯 教 育 や 他 大 学 との 単 位 互 換 制 度 の 定 着 が 表 わ れ て い る の か も しれ な い 。

三 イ エ ンチ ン研 究 所 と儒学 討論 会

ハ ー バ ー ド大 学 は 文 理 学 院(Arts&Sciences)の 下 に あ る学 部(Faculty ofArtsandSciences)と 、10の 大 学 院(文 理 学 、 ビ ジ ネ ス 、 デ ザ イ ン 、 神 学 、 教 育 学 、 ケ ネ デ ィ(政 治 学)、 法 学 、 医 学 、 歯 学 、 公 衆 衛 生 学)か ら 構 成 さ れ 、 文 理 学 院 の 中 に あ る学 部 に は31の デ パ ー トメ ン トが 置 か れ て い

る。 そ れ ゆ え 、 文理 学 院 の 規 模 が 他 の学 院 に較 べ て異 常 に大 き くな っ て い るQ 中 国学 に 関 連 す る学 科 で あ る東 ア ジ ア言 語 ・文 明学 部(中 国 語 で は 東 亜 系 と 言 う の で 、 学 部 相 当 と して扱 わ れ て い る)や 、 ア ジ ア セ ン タ ー 、 イ エ ンチ ン 研 究 所 、 フ ェ アバ ン クセ ン タ ー な どの 研 究 機 関 も 、 こ の文 理 学 院 に併 設 され て い る。

(1)東 ア ジ ア 言 語 ・文 明 学 部

こ の 学 部 は 、 主 に 中 国 、 日 本 、 韓 国 、 チ ベ ッ ト 、 ベ ト ナ ム の 言 語 、 歴 史 、 文 学 、 思 想 宗 教 な ど を 学 ぶ 学 部 で あ る 。 カ リ キ ュ ラ ム の コ ー ス 分 け を 見 る と 、 主 に 仏 教 研 究 コ ー ス 、 中 国 史 コ ー ス 、 中 国 文 学 コ ー ス 、 日 本 史 コ ー ス 、 日 本 文 学 コ ー ス 、 韓 国 史 コ ー ス 、 韓 国 文 学 コ ー ス 、 各 国 の 言 語 コ ー ス に 分 か れ て い るQ

こ こ で は 、 中 国 史 コ ー ス の 授 業 科 目 を 列 挙 し て お こ う 。 ForUndergraduatesandGraduates

ChineseHistory111.IntroductiontoChineseHistoryPre‑‑lmperial

andImperialChina,ca.1700B.C.‑A.D.755

(12)

ChineseHistory112.IntroductiontoChineseHistory:LateImperial China,755‑1700

ChineseHistory114.IntroductiontoInnerAsianHistory:Conference Course

ChineseHistory115.IntellectualChangein17th‑CenturyChina ConferenceCourse

ChineseHistory116a.IntellectualHistoryofChinatotheMidT'ang Dynasty

ChineseHistory116b.IntellectualHistoryofChina,VIII‐XVIII Century:ConferenceCourse

ChineseHistory116c.ModernChineseIntellectualHistory ChineseHistory117.HistoryofRelationsbetweenChinaandInner

AsiaI

ChineseHistory118,HistoryofRelationsbetweenChinaandInner AsiaII

ChineseHistory119.TheSilkRoad:CulturalandPoliticalInteraction ontheTradeRoutesAcrossCentralAsia.

ChineseHistory120.HistoryoftheMongolConquest ChineseHistory121.GodandHumaninChineseHistory

ChineseHistory124.ChinaandHumanRightsPrimarilyforGraduates ChineseHistory211.MaterialsandMethodsofSinologyProseminar ChineseHistory223.SocialandCulturalHistoryofChineseReligion

'Seminar

ChineseHistory224.IntroductiontoT'angandSungHistorical Sources

ChineseHistory225r.TopicsinSungHistory:Seminar

(13)

ハ ー バ ー ド大 学 中 国 研 究 管 見(樋 口)103

ChineseHistory226.introductiontoSourcesforLocalHistory ChineseHistory227z.TopicsinMiddle‑PeriodSocioculturalHistory

Seminar

ChineseHistory22$.IntroductiontoNeoconfucianism=Seminar ChineseHistory229r.TopicsinMingHistory

ChineseHistory231.ReadingsintheChineseClassics:Mencius ChineseHistory232.TopicsinHanHistory:Seminar

ChineseHistory235.TopicsinWarringStatesHistorySeminar ChineseHistory237.IntroductiontoShangandWesternZhou

InscriptionalMaterialsSeminar

ChineseHistory240r.ReadinginChineseIntellectualHistory ChineseHistory251.ConfucianEthics=Proseminar

ChineseHistory260.TaoismConferenceCourseCross‐listedCourses HistoricalStudyA‑13.TraditionandTransformationinEastAsian

CivilizationChina

History1824a.ChinainModernTimesConferenceCourse

History2830a.LateImperialandModernChineseHistory:Conference Course

History2831r.ResearchTopicsinModernChineseHistory:Conference Course

History2847.20th‑CenturyChina .:Se血nar

History2848a.IntroductiontoArchivalResearchinChineseHistory ConferenceCourse

History2848b.IntroductiontoArchivalResearchinChineseHistory Seminar

LiteratureandArtsC‑40.TheChineseLiterati

(14)

MoralReasoning40,ConfucianHumanism:Self‑Cultivationand MoralCommunity

こ れ ら の 科 目 は 、99年 度 の 秋 、 春 学 期 、2000年 度 の 秋 、 春 学 期 の 開 講 科 目で あ り 、 且 っ 学 部 と 大 学 院 の 科 目で あ る か ら、 中 国 の 歴 史 と 思 想 の コ ー ス と して の 開 講 数 で 見 れ ば 、 そ れ 程 多 い と は 言 え な い か も しれ な い 。 しか し、

こ の 学 部 に は 、 中 国 文 学 や 仏 教 、 そ して 中 国 語 な ど の 中 国 関 連 の 科 目が 置 か れ て お り 、 ま た 、 コ ア ・カ リ キ ュ ラ ム や 他 の 学 部 の 講 義 、 更 に 講 演 会 や 研 究 会 な ど を 入 れ れ ば 、 中 国 関 連 の 科 目 は 相 当 豊 富 で あ る。

(2)イ エ ンチ ン研 究 所

ハ ー バ ー ド大 学 に は 、 ア ジ ア セ ン ター 、 フ ェアバ ン クセ ン タ ー 、 イ エ ンチ ン研 究 所 の 三 っ の 中 国 関連 の研 究 所 が あ る。 従 来 あ った フ ェアバ ン クセ ンター と イ エ ンチ ン研 究 所 に 加 え 、 ア ジ ア セ ン ター は1997年7月1日 に 設 置 され た 。 ア ジ ア の 経 済 成 長 とそ の世 界 経 済 に与 え る影 響 を 鑑 み 、 南 ア ジ ア も含 め た セ ン ター を 設 置 して 、 ハ ー バ ー ド大 学 で の ア ジ ア 研 究 と教 育 を サ ポ ー ト、

発 展 させ る 目的 で 設 立 され た 。 セ ンタ ー 長 は 、 フ ェ アバ ンク セ ン ター の セ ン タ ー 長(設 立 当 初)と 兼 務 で 、 エ ズ ラ ・F・ ボ ー ゲ ル教 授 が 担 当 し、 委 員 会 に は ハ ー バ ー ド大 学 の 中 国 学 研 究 の 主 だ った 教 授 が 名 を連 ね て い る。 ま た 、 フ ェ アバ ン クセ ンタ ー は 、1955年 に ジ ョン ・キ ング ・フ ェアバ ン ク に よ って 設 立 され 、 東 ア ジ ア 、 特 に 近 代 の 台 湾 や 中 国 大 陸 の 研 究 と教 育 の 発 展 を 支 え て き た 。 最 近 で は 、 現 代 政 治 か ら古 代 史 に至 る まで 、 そ の守 備 範 囲 は広 く、

定 期 的 に講 演 会 や セ ミナ ー や 会 議 を 開 き 、 奨 学 金 支 給 の プ ロ グ ラ ム も実 施 し て い る。

因み に こ こで 、 ア ジ ア セ ン ター の エ グゼ クテ ィブ委 員 会 の メ ンバ ー を列 記 して お く こ と に した い。

EzraF.Vogel,HenryFordIIProfessoroftheSocialSciences(Chair}

(15)

ハ ー バ ニ ド大 学 中 国 研 究 管 見(樋 口)105

WilliamP.Alford,HenryL.StimsonProfessorofLaw,Harvard LawSchool

PeterK.Bob,ProfessorofChineseHistory HaroldBolitho,ProfessorofJapaneseHistory JamesCheng,LibrarianoftheHarvard‑YenchingLibrary CarterJ.Eckert,ProfessorofKoreanHistory

AndrewGordon,ProfessorofHistory

HelenHardacre,ReischauerInstituteProfessorofJapaneseReligions andSociety

WilliamC.Hsiao,K.T.LiprofessorofEconomics,HarvardSchool ofPublicHealth

WesleyM.Jacobsen,ProfessorofthePracticeoftheJapanese Language

WilliamC.Kirby,ProfessorofHistory

ArthurKleinman,ProfessorofAnthropology;MaudeandLillian PresleyProfessorofIVIedicalAnthropologyandProfessorof Psychiatry,HarvardMedicalSchool

PhilipA.Kuhn,FrancisLeeHigginsonProfessorofHistoryandof EastAsianLanguageandCivilizations

LeoOu‐FanLee,ProfessorofChineseLiterature

RoderickMacfarquhar,LeroyB.WilliamsProfessorofHistoryand PoliticalScience

StephenOwen,IrvingBabbitProfessorofCompara七iveLiterature andProfessorofChinese

DwightH.Perkins,HaroldHatchingsBurbankProfessorofPolitical Economy,FrankW.TaussigProfessorofEconomics

(16)

ElizabethJ.Perry,ProfessorofGovernment

SusanJ.Pharr,EdwinO.ReischauerProfessorofJapanesePolitics OktorP.Skjaervo,AgaKhanProfessorofIranian

Hue‑TamHoTai,KennethY.YoungProfessorofSino‑Vietnamese History

Wei‐mingTu,ProfessorofChineseHistoryandPhilosophy LeonardW.J.vanderKuijp,ProfessorofTibetanandHimalayan

Studies

JamesL.Watson,JohnKingandWiimaCannonFairbankProfessor ofChineseSociety

MichaelY.Yoshino,HermanC.KrannertProfessorofBusiness

Administration,HarvardGraduateSchoolofBusinessAdministration

前 述 の2研 究 所 に 対 して 、 イ エ ンチ ン研 究 所 は 、 ハ ー バ ー ド大 学 の学 長 の 同意 を 得 て 、 中 国 の燕 京 大 学 の 遺 産 とチ ャー ル ズ ・M・ ホ ー ル の遺 産 を基 に 、 独 立 した 機i関 と して1928年 に設 立 され た 。 当 初 は 、 中 国 文 化 、 ア ジ ア 大 陸 、 日本 、 トル コ、 バ ル カ ン な どの 調 査 、 教 育 、 出版 の管 理 や 準 備 が そ の 目的 で あ った 。1949年 以 前 、 研 究 所 の 一 部 の 基 金 は 、 中 国 に あ る5つ の キ リス ト 教 系 の 大 学 を 支 援 して いた が 、 共 産 革 命 後 は 燕 京 大 学 な どが 廃 校 に な った た め 、 ハ ー バ ー ド大 学 にお い て専 ら東 ア ジ ア研 究 に従 事 し、 イ エ ンチ ン図 書 館 の 拡 充 ・発 展 を 推 進 し、 有 名 な 「吟 佛 燕 京 学 社 引 得 」 を刊 行 した 。1950年 代 か らは 、 そ の 活 動 の 重 点 は フ ェ ロ ー シ ップ ・プ ロ グ ラ ム に な り 、1954年

に訪 問 学 者 プ ロ グ ラ ム が 用 意 され て か ら現 在 に 至 る ま で に 、 ほ ぼ600名 近 く の 海 外 研 究 者 に奨 学 金 を 支 給 し、 ハ ー バ ー ド大 学 で の1年 間 の研 究 生 活 を サ ポ ー トして き た 。 現 在 は 、 こ の訪 問 学 者 プ ロ グ ラ ム 以外 に 、 ビジ テ ィ ン グ ・

フ ェ ロー ズ ・プ ロ グ ラム と ドク トラル ・ス カ ラー シ ップ ・プ ロ グ ラ ム が あ る。

(17)

ハ ー バ ー ド大 学 中 国 研 究 管 見(樋 口)107

また 、 ハ ー バ ー ド大 学 か ら奨 学 金 の 支 給 を 受 け な い ア ソ シ エ イ ツ と い う資 格 もあ る。 これ は 、 奨 学 金 の 支 給 は な い も の の 、 ハ ー バ ー ド大 学 で の 設 備(図 書 館 や コ ン ピ ュー ター)の 使 用 や 講 義 へ の 出席 な ど、 他 の プ ロ グ ラ ム と全 く

同 様 の 待 遇 を受 け る こ とが で き 、 本 国 の 大 学 で 在 外 研 究 制 度 の 適 用 を 受 け た 研 究 者 な どが この待 遇 で あ った 。 私 は対 外 的 に は 訪 問学 者 の 扱 い で あ った が 、

ハ ー バ ー ドの学 内 的 に は 奨 学 金 を 受 給 しな い ア ソ シエ イ ツで あ った 。 こ の ア ソ シ エ イ ツ と い う身 分 で あ れ ば 、 ハ ー バ ー ド大 学 の 受 け 入 れ 単 位 の 責 任 者 が 許 可 す れ ば 、 比 較 的 易 し く留 学 す る こ と が で き る よ う に 思 う。

(3)杜 維 明

イ エ ンチ ン研 究 所 所 長 。1940年 、 中 国 ・雲 南 省 昆 明 市 に 生 れ る。1961年 台 湾 ・東 海 大 学 を 卒 業 後 、ハ ー バ ー ド ・イ エ ンチ ン奨 学 金 に て ア メ リカ に 留 学 。1968年 ハ ー バ ー ド大 学 で 博 士 号 取 得 。 そ の 後 、 プ リ ン ス トン大 学 、 カ リフ ォル ニ ア大 学 バ ー ク レー 校 を 経 て 、1981年 ハ ー バ ー ド大 学 中 国 史 、 中 国哲 学 教 授 。 ハ ー バ ー ド大 学 宗 教 委 員 会 主 席 、 東 ア ジ ア言 語 ・文 明学 部 長 を 歴 任 。1988年 ア メ リ カ文 理 ア カ デ ミー 会 員 。1990年 ハ ワ イ東 西 セ ン タ ー 主 任 研 究 員 、 文 化 研 究 所 所 長 を歴 任 。

杜 維 明教 授 は 、 現 代 新 儒 学 の 第 三 世 代 の旗 手 と して 、 ア ジ ア のみ な らず ア メ リカ、 ヨー ロ ッパ な ど東 奔 西 走 し、儒 学 の 現 代 的 意 義 の 探 求 、東 西 文 化 の 交 流 の促 進 に 挺 身 して い る。 杜 教 授 の 主 な主 張 と して は 、70年 代 に提 唱 し た 「儒 学 の 第 三 期 の 発 展 」 が挙 げ られ る。 そ れ に よれ ば 、 第 一 期 は 原 始 儒 家 の 時 代 、 第 二 期 は イ ン ド文 化 で あ る仏 教 に刺 激 され て 発 展 した 宋 明儒 学 。 そ の 第 二 期 は 、 異 文 化 で あ る仏 教 の 挑 戦 に対 す る応 戦 と して 、 イ ン ド文 化 を 消 化 し、 中 国特 有 の 思 考 様 式 を提 起 した の が 宋 明儒 学 で あ った 。 そ れ に対 して 、 今 後 、 儒 学 の第 三 期 の発 展 を 志 向 す る な らば 、 西 洋 文 化 を正 視 し、 西洋 文 化

の挑 戦 に 対 して 、儒 学 が 如 何 に応 戦 して い くか が 重 要 で あ る と 言 う 。

(18)

そ して、以下 の次 元 でそ の応戦 が行 われ てい くと して い る。 第一 に、超 越 の次元 。儒学 は、超越 と内在 の面 を有 す るが 、西洋 の宗 教 の伝統 に対 す る応 戦 が必 要 に な る。第 二 に、社 会 、経済 、政 治 の次 元。 これ は儒学 の社 会 的役 割 の面 と関係 し、特 に儒 学 とマ ル クス主義 との対話 が 必要 に な る。第 三 に、

人 間性 の暗部 を探 求 した 心理学 との対話 が 必要 で あ り、儒 学 は フ ロイ トの学 説や存 在主義 との対 話が可能 か どうかが 問題 に なる。 更 に、英 米 の分析哲 学 、 言語哲学 、現象学 、解釈学 、構 造 主義 な ど、 また政 治学 の 思潮や 自由、 人権 な どに対す る態度 を表 明 しなけれ ば な らない と言 う。

以上 の こ とか らも明 らか なよ うに、杜 教授 のス タ ンスは 、儒 学 の現代 的 意 義 を探 求 し、中 国 の現代化 に貢献す る とい うものだ け では な く、 グ ローバ ル な立場 か ら現代 社会 が直面す る危 機 的 な諸 問題 を分析 し、儒 家 伝統 の 中 にそ の新 た な解 決 の方途 を見 出そ う とす る もので あ る。 それ故 に、文 明間対話 の 重要性 を強調 し、中 で も儒 教 の中 に見 られ る宗教性 を探求す る ことによ って、

宗教 間対話 の橋 渡 し的役 割 が果 たせ ると主張 して い る。

(4)儒 学 討 論 会

バ ー一 バ ー ド儒 学 討 論 会(HarvardSeminarinConfucianStudies)は 、 現 在 、 特 に 大 陸 の 中 国哲 学 の学 術 界 で 大 き な反 響 を 呼 ん で い る。 そ れ も そ の は ず で 、 多 くの 大 陸 の学 者 が ハ ー バ ー ドに 留 学 し、 そ の 多 くは毎 週 行 わ れ る 杜 維 明教 授 主 催 の この 儒 学 討 論 会 に参 加 し、 儒 学 を 中心 に東 西 文 化 比 較 を行

い 、 中 国 文 化 の 発 展 をめ ぐ って 討 論 して い る の で あ る。

こ の ハ ー バ ー ド儒 学 討 論 会 の 淵 源 は 、 杜 教 授 が ハ ー バ ー ド大 学 教 授 に就 任

す る 以 前 の10年 間 、 カ リフ ォル ニ ア 大 学 バ ー ク レー 校 に 勤 務 して い た 頃 に

ま で 遡 る と 言 う。 当時 、 西 海 岸 と い う地 域 性 は あ った が 、 杜 教 授 を 中 心 に し

て 何 人 か の 研 究 者 が 集 ま っ て 討 論 会 を 行 っ て い た 。 そ して 、1982年 に 杜 教

授 が ハ ー バ ー ド大 学 の教 授 に就 任 す る に 当 た って 、 大 学 当 局 に 「ハ ー バ ー ド

(19)

ハ ー バ ー ド大 学 中 国 研 究 管 見(樋 口)109

儒 学 討 論 会 」 を組 織 す る こ と の承 諾 を 得 た と 言 う 。 しか し、 現 在 の よ う に 、 毎 週 行 わ れ る よ う に な った の は5年 前 か らで 、 そ れ ま で は1年 に1回 、 一 週 問 ほ どの 集 中 的 な読 書 会 、 勉 強 会 を行 って い た よ うで あ る。

現 在 は 、 毎 週 月 曜 日の 午 前9時 半 か ら、 ハ ー バ ー ド大 学 の 東 ア ジ ア 言 語 ・ 文 明学 部 の 会 議 室(イ エ ンチ ン図 書 館 の 裏 手 の建 物)で2時 間 半 に わ た って 行 わ れ て い る 。 毎 回 、20〜30名 の 研 究 者 が 集 ま り、報 告 者 が1時 間 の 発 表 を した 後 に 、 質 疑 応 答 が 行 わ れ る。 質 疑 応 答 と言 っ て も、 質 問 者 は 自分 の 意 見 を と う と う と開 陳 す る こ とが 多 く、 確 か に討 論 会 の様 相 で あ った 。 参 加 者 は 、 イ エ ンチ ン研 究 所 、 フ ェアバ ン クセ ン タ ー 、 東 ア ジ ア 言 語 ・文 明 学 部 な

どに訪 問 学 者 、 客 員 研 究 員 と して 留 学 して い る大 陸 、 台 湾 、 香 港 か らの研 究 者 が 主 体 で 、 他 にハ ー バ ー ドの 儒 学 研 究 者 も参 加 して い た が 、 ほ ぼ 全 員 が 中

国人 で もあ り、 使 用 言 語 は 中 国語 で あ った 。

98年 度 の 年 間 テ ー マ は 「儒 学 に お け る 中 心 価 値 の 現 代 社 会 に対 す る対 応 」 で あ り、99年 度 はr儒 学 と 自 由主 義 」 と い う テ ー マ で あ った 。 私 は98年 度 の 最 終(5月)か ら、99年 度 の 後 半(3月)ま で 参 加 す る こ と が で き た 。 年 間 の 中心 テ ー マ を 見 れ ば わ か る よ う に 、 主 に 現 代 新 儒 学 の 立 場 か ら儒 学 を 捉 え 、 儒 学 の 現 代 的 意 義 は 何 か 、如 何 に 中 国 文 化 を 発 展 させ る か とい う問 題 を 、 西 洋 思 想 と の 比 較 を 通 して探 求 して い こ う とす る ス タ ンス で あ った 。 因 み に 、 私 が 参 加 した 討 論 会 の 個 別 の テ ー マ は 、 「思 想 史 の 方 法 に お け る認 識 と価 値 の 問 題 」、 「性 学 と心 性 の 学 」、 「中 庸:普 遍 的 倫 理 と して の 考 察 」、r儒 学 に お け る形 而 上 学 」、 「現 代 化:科 学 技 術 革 命 か ら伝 統 の 復 興 まで 」、 「儒 学

と科 学:科 学 史 か らの探 求 」、「国 家 と社 会 関 係 か ら見 た 中 国農 民 の政 治 参 加 」、

「学 術 の体 制 、 西 洋 の経 験 、 文 化 の 守 成:一 つ の 知 識 集 団 の 過 程 」、 「人 道 主

義 か ら見 た 儒 家 の仁 学 と 自由 主 義 と の 対 話 の 可 能 性 」、 「人 間 と 自然 と の 関 係 ら

の 再 構 築 」、 「新 枢 軸 時 代 に お け る文 明 対 話 」 な どで あ った 。 新 儒 家 的 なテ ー

マ が 主 体 で は あ るが 、参 加 研 究 者 の専 門 は儒 学 に 限 らず 、 哲 学 、 歴 史 、文 学 、

(20)

政治 、経 済 、社会学 な ど多 岐 にわた って いた 。

杜教 授 によれ ば、討論 の方式 は 「問題 意識」 を形 成す る ことが大事 で あ る か ら、 その ため に報 告 者 は前 も って中心課 題 と大綱 を知 らせ る必 要 が あ る。

また、討 論 の立場 の正 否 は大 き な問題 で は な く、問題 に対す る切 り口を重 視 し、対 話 力 の水 準 や 内容 の レベ ル を高め る ことを企 図 してい る との こと。 そ れ ゆえ 、討論 会 での発 言 は外 に漏 らさない ことが原 則 であ る。 また討 論会 の 内容 の公表 にっ い ては、年度 末 に発表 者 が執筆 す る原稿 に集約 され 、それ を イエ ンチ ン研究 所 が 出版 す るこ とに してい るよ うで あ る。

一年 間の受 講 を通 して、杜 教授 の報告 や意 見 を聞 く機 会 を得た 。私 の今 回 の留学 の大 き な 目的 は、新儒 学 に見 られ る宗教 性 と価値 の 問題 にっ い て、 ま た儒 家 の宗 教性 と儒 家倫 理 に見 られ る普遍 的意義 との関係 につ いて探求 す る ことで あ った。 その 問題 にっ いて、直接 的 な回答 が得 られ たわ けで は ないが 、

① これ まで の文 化 の普遍 的 意 義 は 西洋 的 意義 に 由来 して きた が 、今 後 は文 化 の地 方性 、特 殊性 の中 に普遍 的意義 が包含 され て いる と見 るべ きで あ り、

そ の意 味 で儒 家 文 化 の 普遍 的意 義 を探 求す る ことが 必要 で あ る。 ② 儒 家 が

今後 、発展 して い くた め には、現 代世 界 で問題 に な ってい る生態系 ・環 境 問

題 、 女性主 義 の問題 、宗教 多元主 義 の問題 、人類 の普遍 的精神 の問題 に対 し

て 、儒 家 の 立場 か ら回 答 して い くこ とがで き るか どうか に よ る、③ 人 間 の

尊厳 と 自由の問題で は、人間は様 々な環境 を通 して 自己を拡大 し、それ によ っ

て個 人 の 自由を獲 得 で き る。 また 、 その基 本 は、全 て の環 境 の中心 点で あ る

自己 にあ り、 自愛 にあ る。 ④ 人 間 は宇 宙 の大 化 発 展 にお け る宇 宙 の参 与 者

で あ り、それ 故 に人 間 は宇宙 の創造 者 、 あ るいは破壊 者 で あ る、 な どの観点

は、私 の 問題意pを 大 い に刺 激 して くれ た。(こ の杜教 授 の見 解 は討 論会 の

みで な く、著作 や個 人 的 に面 談 した時 にも言及 してい る)ま た、討 論会 に参

加 した他 の研究 者 の意 見 も大 いに参考 にな った ことは 言 うまで もな い。

(21)

ハ ー バ ー ド大 学 中 国研 究 管 見(樋 口)111

四 中国語教 育

本 章 で は 、 ハ ー バ ー ド大 学 の 中 国 語 教 育 の 概 略 に つ い て 紹 介 した い。 と い うの も、 三 つ の レベ ル の 中 国 語 授 業 に 参 加 して 、 ア メ リカ人 の 語 学 能 力 に対 す る私 の偏 見 を 修 正 し なけ れ ば な ら ない と痛 切 に感 じた か らで あ る。 か つ て 私 が 北 京 大 学 に 留学 して いた 頃 、 ア メ リカ人 留 学 生 は優 秀 な学 生 で あ っ て も 、 会 話 は で き て も文 献 は あ ま り読 め な い とい う 印象 が あ った 。 ア メ リカ人 に と っ

て中 国語 の 読 解 は極 め て 難 しい と 、私 自身 が 勝 手 に解 釈 して い た ので あ ろ う。

また か つ て 、 日米 貿 易 摩 擦 の 際 に、 ア メ リカ 人 の語 学 の 勉 強 不 足 を批 判 の 対 象 にす る こ とは な か った だ ろ うか 。 恥 ず か しなが ら、 当 初 そ れ が 、 ハ ー バ ー

ドの 語 学 教 育 に も 当 て は ま る よ う な錯 覚 を 多 少 抱 い て い た よ う に思 う。

率 直 に言 え ば 、 中 国 語 を履 修 して い るハ ーバ ー ドの学 生 の 中 国語 レベ ル は 、 日本 の 中 国語 学 科 の平 均 的学 生 よ りも 高 い か も しれ な い。 も ち ろ ん 、 中 国語 の学 習 意 欲 が あ る学 生 のみ が 継 続 して履 修 す る の で 単 純 に比 較 す る こ と は で き な い。 た だ 、ハ ーバ ー ドの学 生 の 場 合 、 東 ア ジ ア 言 語 ・文 明学 部 の学 生 に 限 らず 、 文 理 学 院 に お け る他 学 部 の 学 生 も受 講 す る こ とが で き 、大 学 入 学 後 、 初 め て 中 国 語 に 接 した 学 生 で あ っ て も、 レベ ル は 極 め て 高 い の で あ る。 そ の

一端 を 紹 介 して 、 今 後 の 参 考 の 用 に多 少 な りと も供 す る こ とが で きれ ば 幸 い で あ る。

(1)中 国 語 プ ログ ラ ム の 概 略

ハ ー バ ー ド大 学 の 中 国 語 教 育 は 、他 の東 ア ジ ア の 言 語(日 本 語 、韓 国 語 、

ベ トナ ム 語 、 モ ン ゴル 語 な ど)と 共 に 、 東 ア ジ ア 言 語 ・文 明学 部(中 国 語 で

東 亜 系 と い う)が 管 轄 す る プ ロ グ ラ ム で あ る 。 そ れ ゆ え 、教 員 も東 亜 系 に所

属 して い るが 、 専 任 の 語 学 教 員(プ ロ グ ラ ム 主 任1名 と各 レベ ル の コー デ ィ

ネ ー ター5名)で あ って も任 期 は8年 間 との こ と。 また 、 この 外 、 各 レベ ル

(22)

に 、 コー デ ィネ ー タ ー を 補 佐 す る ネ イ テ ィブ の ドリル ・イ ンス トラ ク タ ー (任 期1〜2年)、 テ ィー チ ン グ ・ア シ ス タ ン トが い て 、 総 勢15名 の フ ル タ イ ム教 員 で ハ ー バ ー ド大 学 の 中 国 語 教 育 を担 当 して い た 。

学 生 は 東 亜 系 に限 らず 、 他 学 部 や 文 理 学 院 以 外 の大 学 院 か らも履 修 す る こ と が で き 、 実 際 、 私 が 受 講 した 授 業 で は大 半 が 東 亜 系 以 外 の 学 生 で あ った 。 っ ま り、 中 国 語 あ る い は 外 国 語 を 履 修 す る場 合 、 どの学 部 の 学 生 で あ ろ う と 同 じよ う に履 修 す るわ け で あ る か ら、 日本 の 大 学 の よ う に 、 第 一 、 第 二 外 国 語 な どの教 養 科 目と して の 語 学 で は な く、 本 格 的 に語 学 を学 ぶ た め に履 修 す る の で あ る。 それ は 、東 亜 系 の場 合 は1言 語 は 必 須 科 目(3年 間)で あ る が 、 他 学 部 の 場 合 は 語 学 科 目は 必 ず しも 必 須 で は な い こ と か らも知 れ る。 語 学 科

目の 負 担 は 大 き い の で 、 他 学 部 の学 生 は語 学 科 目を 履 修 す る前 に、 イ ンス ト ラ ク タ ー と相 談 して 履 修 す るか ど う か を決 め る と の こ とで あ った 。

レベ ル は 初 級 、 中 級 、 中 上 級 、 上 級 に 分 か れ 、基 本 的 に は 各 学 年 に そ れ ぞ れ が 配 当 され て い る。 因 み に 、 各 レベ ル の コー ス名 を挙 げ る と 以下 の よ う に

な る 。

ElementaryChinese

ChineseAabイ ンテ ンシ ブ コー ス 、1日2時 間 、 週10時 間 5日 間 の 内(2日 文 法 、2日 ドリル 、1日 会 話) 半 期 で 通 常 コー ス を終 了

ChineseBa

ChineseBb ChineseBx

通 常 コー ス(秋 季 科 目)、1日1時 間 、 週5時 間 5日 間 の 内(2日 文 法 、2日 ドリル 、1日 会 話) 春 季 科 目、Baの 継 続

中 国語 既 習 者 の コー ス。 主 に 中 国 系 の た め の コ ー ス で 、 会 話 は で き る が 、読 み 書 き が で き な い 学 生 の コー ス

1日1時 間 、 週5時 間

(23)

ハ ー バ ー ド大 学 中 国 研 究 管 見(樋 口)113

IntermediateChinese

Chinese101a2年 次 の 通 常 コ ー ス(秋 季 コ ー ス)、 時 間 配 分 は 同 上 Chinese101b同 上(春 季 コ ー ス)

Chinese101x中 国 語 既 習 者 の コ ー ス 、Bxの 継 続 科 目 Chinese102abイ ン テ ン シ ブ コ ー ス 。Aabの 継 続 科 目 AdvancedChineseI

Chinese105a3年 次 の 通 常 コ ー ス(秋 季 コ ー ス)、 時 間 配 分 は 同 上 Chinese105b同 上(春 季 コ ー ス)

AdvancedChineseII

Chinese110a4年 次 の リー デ ィ ン グ コ ー ス 、 週3時 間 Chinese110b同 上(春 季 コ ー ス)

AdvancedChineseConversation113a上 級 会 話 、 週3時 間 AdvancedChineseConversation113b同 上(春 季 コ ー ス) Chinese200中 国 語 教 育 法 、 半 期 コ ー ス

そ の 他 、 広 東 語 や 中 国 の 文 学 、 文 化 の リー デ ィ ン グ コ ー ス も 設 け られ て い る ◎

単 位 は1コ ー ス(週5時 間)の 半 期 で4単 位 な の で 、 通 年 で8単 位 に な る 。 東 亜 系 の 学 生 で あ れ ば 、3年 間 は ア ジ ア の 言 語 を 履 修 す る 必 要 が あ る の で 、

1言 語 で24単 位 は 取 得 し な け れ ば な ら な い わ け で あ る 。 ま た 、 学 生 が1時

間 の 授 業 を 受 講 す る た め に 、2〜3時 間 は か か る 宿 題 の 提 出 を 義 務 付 け て い

る と の こ と 。 要 す る に 、 彼 ら は 少 な く と も1日 に3時 間 の 語 学(も ち ろ ん1

言 語)の 勉 強 を3年 間 続 け る の で あ る 。 しか も 、 全 員 ネ イ テ ィ ブ か ネ イ テ ィ

ブ に 近 い レベ ル の 教 員 が 、 初 級 の 前 期 以 外 は 直 説 法 で 教 え る 。1年 次 の 後 期

は50%近 く 、2年 次 は80%、3年 次 以 降 に な る と 会 話 は 当 然 と し て 、 文 法

や 語 句 な ど の 種 種 の 説 明 も 完 全 に 中 国 語 で 教 え る の で あ る 。 そ の た め 、 事 前

に 宿 題 を し て い な い と 、 授 業 に つ い て い け な く な っ て し ま う と の こ と で あ っ

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た 。

日本 で あ れ ば 、 語 学 の 専 門 コ ー ス の学 生 で も 、1日3時 間 以 上 学 習 す る学 生 は それ ほ ど多 くは な い と思 う。 ま して や 、他 学 部 の学 生 も選 択 す る の で あ る。 中 国語 プ ロ グ ラ ム の教 員 に よれ ば 、例 年 、 中 国語 を履 修 す る学 生 は 、 初 級 が100名 前 後 、 中 級 、 中 上 級 が 各50名 前 後 、 上 級 は20名 前 後 で あ る と の こ と。 こ う 見 る と、6000名 以 上 い る学 部 生 の 中 国 語 履 修 率 は 高 くは な いが 、 それ だ け 中 国語 習 得 に意 欲 の あ る学 生 が 履 修 す る と い う こ と で あ ろ う。

(2)授 業 参 観

1年 間 のハ ーバ ー ド大 学 に お け る在 外 研 究 の 期 間 中 、 特 に秋 学 期 か ら中 国 語 プ ロ グ ラ ム の 先 生 方 に ご許 可 を頂 い て 、3つ の レベ ル の 授 業 にそ れ ぞ れ 何 回 か 出席 し聴 講 させ て 頂 い た 。 初 級 は李 愛 民 先 生 、 中級 は ク レイ グ先 生 、 上 級 は 劉 月 華 先 生 が 担 当 され る授 業 で あ った 。 夏 前 に 、杜 維 明教 授 の ご 自宅 で 行 わ れ た イ エ ンチ ン研 究 所 のパ ー テ ィー で 劉 先 生 と初 め て お 会 い し、 話 が 弾 ん だ 。 と言 う の も、 私 が 日本 で 中 国 語 文 法 の授 業 を担 当 して い た 時 、 劉 先 生 の こ著 作 で あ る 『実 用 現 代 漢 語 語 法 』 を 参 考 書 に してい た か らで あ る。 ま た 、 私 の知 り合 い の ハ ーバ ー ド大 学 の 研 究 員(ア メ リカ人)が 共 通 の友 人 で あ り、

彼 女 の 中 国語 の堪 能 さが 話 題 に な った り も した 。 と も あ れ 、 劉 先 生 の 計 らい で 李 先 生 と ク レイ グ先 生 に ご紹 介 して頂 き 、 本 来 、 授 業 参 観 で き な い と こ ろ を 曲げ て ご許 可 頂 い た 次 第 で あ る。 こ こで 、 改 め て三 先 生 に感 謝 した い 。

語 学 の 授 業 で最 も重 要 且 っ 難 しい の は 、 初 級 レベ ル の 授 業 で あ ろ う と思 う 。

そ の 意 味 で 、 ハ ー バ ー ド大 学 で 中 国 語 の授 業 を 参 観 す る に 際 し、 初 級 中 国 語

の レク チ ャー 、 っ ま り文 法 や 精 読 の授 業 に興 味 が あ った 。 特 に 、 漢 字 を知 ら

な い ア メ リカ人 に どの よ う に漢 字 の 書 き 方 や 読 み 方 を教 え る の か 、 日本 人 に

中 国 語 を教 え る の と ど う い う違 いが あ るか な ど、興 味 は 尽 き なか った 。 しか

し、 前 述 した よ う に ネ イ テ ィブ の 教 員 が 直 説 法 で 教 授 す るの で あ れ ば 、 ア メ

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ハ ー バ ー ド大 学 中 国 研 究 管 見(樋 口)115

リカ 人 で あ れ 日本 人 で あ れ 、 そ ん な に 違 い が あ るわ け が な い の だ が 、 私 の頭 に は どう も偏 見 が ま とわ りっ い て い た よ う に 思 う。

Baの 授 業 は 李 愛 民 先 生 が 担 当 され て い た 。 李 先 生 は も と も と 南 京 で 英 語 を教 え て お られ た が 、88年 に ア メ リ カ に 来 られ て か ら言 語 学 の 博 士 号 を取 得 さ れ 、 ハ ー バ ー ドに来 られ る前 は 、 ア メ リカ の地 方 の 大 学 で も 中 国語 を教 え られ て い た と の こ と。 も と も と英 語 の 先 生 で あ った せ い か 、 英 語 の 発 音 も 流 暢 さ も ネ イ テ ィブ に近 く、 しか も 中 国 語 の初 級 文 法 を 要 領 よ く教 え 、 授 業 全 体 が 引 き締 ま っ て い た の が 印 象 的 で あ った 。

テ キ ス トは 、 「大 学 漢 語 」(CollegeChinese)と い うハ ー バ ー ド大 学 が 出 版 した4冊 本 を 使 用 して い た 。 語 彙 数 は1000字 程 で あ る 。 第 一 冊 は ピ ン イ ン表 記 の 本 文 と英 語 に よ る文 法 解 説 、 語 句 解 説 な ど、 第 二 冊 は繁 体 字 と簡 体 字 に よ る語 句 と課 文 、 第 三 冊 は コ ンパ ニ オ ン ブ ック 、 っ ま り手 引 書 と して 語 句 や 文 法 事 項 の例 文 集 、 第 四 冊 は 練 習 問題 と漢 字 練 習 帳 で あ る。 文 法 の授 業 は 「大 課 」 と 言 わ れ 、30名 程 度 の 学 生 が 聴 講 す る の だ が 、 こ の 「大 課 」 で は 基 本 的 に第0冊 を使 用 して い た 。

授 業 時 間 は 、 他 の 講 義 科 目と 同 様 に60分 で あ る 。 毎 回 、 授 業 始 め に 単 語 の小 テ ス トを 行 い 、 そ の後 そ の 単 語 の解 説 や 用 例 を示 し、 単 語 の 定 着 と 語 彙 を増 や す よ う に して い る。1週 間 に2課 の ペ ー ス で 進 み 、1課 に っ き約20 前 後 の 新 出 単 語 が あ る の で 、1週 間 に40前 後 の 単 語 を 覚 え れ ば 、 半 期 で 約 500の 単 語 を覚 え る こ と に な る 。 こ の 文 法 の 授 業 以 外 に ドリル の 授 業 と会 話 の授 業 が あ る の で 、 そ の 中 で 語 彙 の 定 着 を 図 る こ と が で き る よ う に な って い る。 も ち ろ ん 、宿 題 が あ る の で 、 定 着 率 は ア ップす るわ け で あ る。

ま た 、 毎 回 行 う単 語 の 小 テ ス ト以 外 に 、 フ ァイ ナ ル 試 験 を含 め て半 期 で6

回 試 験 を 行 う。 つ ま り、4課 毎 に テ ス トを行 う わ け で あ る。 更 に 、 漢 字 と聴

力 の テ ス トも別 途 行 う との こ と。 す る と 、1年 間 に 大 き な テ ス トだ け で も

10〜12回 行 う こ と に な る。 教 員 も大 変 で あ るが 、学 生 も よ く これ だ け の 授

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業 に つ い て く る も の だ と感 心 した も の で あ る。 そ れ だ け に 、1年 が 終 っ て2 年 目に な る と 、 履 修 者 が半 減 す るの も う なず け る。 一 方 、2年 目以 降 も食 ら

い っ い て い く学 生 の 中 国 語 の レベ ル は 、 推 して知 るべ しで あ る。

中 級 の テ キ ス トは 、 『学 漢 語 談 中 国 文 化 』 と い う ハ ー バ ー ドの 中 国 語 プ ロ グ ラ ム が 作 成 した 教 材 で あ る。 課 文 と語 彙 の 二 冊 に分 か れ て お り、 一 年 間 に 学 ぶ 新 出単 語 は 約1250語 で あ る。 教 材 の 内容 は テ ー マ か らも わ か る よ う に 、 一 人 の ア メ リカ 人 が 中 国 に行 って経 験 す る こ とや 中 国 の 文 化 に つ い て の こ と

で あ る。 担 当 は 、 ア メ リカ人 の ク レイ グ先 生 が 担 当 され て いた 。 か つ て 台 湾 に2年 間 留 学 され た こ とが あ る と の こ とで あ った が 、 お 世 辞 で は な く、 中 国 人 と ほ とん ど変 わ らな い 中 国語 を話 され て い た 。 か っ て この 中 国語 プ ロ グ ラ ム の教 員 と して 、 ハ ー バ ー ドで 中 国語 を 教 え て い た私 の ア メ リカ人 の 友 人 も、

そ の 中 国 語 は 見 事 な も ので あ った が 、 ク レイ グ先 生 の 中 国語 に も驚 か され た 。 中級 の ク ラ ス は10人 程 度 で 行 わ れ 、 ク レイ グ先 生 は80%以 上 とい う か 、 ほ ぼ 全 て 中 国語 で 授 業 して い た 。 しか も、 学 生 は ゆ っ く りで は あ るが 、 質 問 に 対 して 的確 に 回 答 して いた 。 授 業 の進 め 方 と して は 、 最 初 の 単 語 の テ ス トが な い 分 、初 級 に較 べ て 少 しゆ った り して い た よ う に 思 うが 、 レクチ ャー 以 外 の ドリル や 会 話 の授 業 も受 講 す るわ け で あ る か ら、 か な りハ ー ドで あ る こ と に は変 わ りが な い 。

上 級 の授 業 は 主 に4年 生 を 対 象 にす る の で あ る が 、4年 生 で な く と も 中 国 語 のバ ック グ ラ ン ドが あ る 中 国系 ア メ リ カ人 な ど も履 修 して い る。 教 材 は プ リ ン トを 使 用 して い た が 、 レベ ル 的 に 見 る と 、 北 京 語 言 文 化 大 学 出版 社 の

『中 級 漢 語 教 程 』 の 上 ・下 冊 に相 当 す る よ う に 思 う。 この 教 材 は 、 中 国 で1 年 間 中 国語 を学 習 した 者 が 学 ぶ 教 材 で あ るか ら、 漢 字 を知 らなか った ア メ リ

カ人 が 学 ぶ 教 材 と して は 、 か な り高 度 な も の で あ る 。 しか し、 学 生 は よ く読

め て い た し、 読 解 もで き 、 語 句 も よ く知 って い た 。 担 当 の 劉 月 華 先 生 に よ れ

ば 、 全 て 中 国語 で 説 明 し、 しか も話 す 速 度 も 中 国 人 に 話 す 速 度 と同 じで あ っ

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ハ ー バ ー ド大 学 中 国研 究 管 見(樋 ロ)117

て も、学 生 は理 解 で き るとの こと。授 業 で学生 が話す 中 国語 を聞 いて いて、

学 生 の会話 力 は1年 間 の留学 レベ ル ぐ らいで あ ろ うか と推測 した。 その こと を劉 先生 にお伺 いす る と、会 話 力 も含 めて全体 的 な中 国語 レベ ル は、留学1

〜2年 レベル との こと。劉 先生 は も とも と北京 語 言学 院 の教授 を され ていた 先生 で 、外 国人 に中 国語 を教 え るため の文法研 究 の権 威 で あ る。 北京 大学 出 身 で あ るか ら、北京 大学 の陸剣 明教授 と も懇 意で 、 よ く論争 を され た との こ とで あ った。 以前 出版 され た 『実用 現代漢 語 語法』 の改訂版 の執 筆や 、新 た な著 作 も精 力 的 に執 筆 され て い る。

(3)中 国 語 の 試 験

中 国 語 の 成 績 評 価 は レベ ル に よ っ て 多 少 異 な る が 、 ほ ぼ 以 下 の よ う な 成 績 評 価 を 行 う 。

且omework:15%

AttendanceandClassPerformance:10%

OralInterviewsandPresentation:14%

CharacterQuizzes:6 ReviewTests:30%

Finalexams{Audio&Written):25%

こ れ は 初 級 ク ラ ス の 評 価 基 準 で あ る が 、 中 級 ク ラ ス の 場 合 、 漢 字 試 験 と 宿 題 の パ ー セ ン トが 多 少 上 が る だ け で 、 基 準 の 内 訳 は 同 じで あ る 。 っ ま り 、 前 述 した 授 業 で 行 わ れ る こ と 全 て に 対 して 成 績 評 価 を 行 う わ け で あ る 。 そ れ ゆ え 、 どれ か が 欠 け て も 成 績 に 影 響 す る の で 、 学 生 は 日常 的 に も 語 学 の 学 習 を 欠 か さ ず に 行 う の で あ る 。

で は 、 ハ ー バ ー ド大 学 に お け る 中 国 語 の 試 験 は どの よ う な も の で あ ろ う か 。 幸 い 、 担 当 教 員 の ご 好 意 で 、 ア メ リ カ で は 公 開 し な い こ と を 条 件 に 、 初 級

(秋 学 期)の レ ビ ュ ー テ ス トや フ ァ イ ナ ル テ ス トを 入 手 す る こ と が で き た 。

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こ こで は 、半 年 勉 強 した学 生 が 受 け る フ ァイ ナ ル テ ス トを示 して 、 ド大 学 に お け る中 国 語 プ ロ グ ラ ム の レベ ル の 一 端 を紹 介 した い 。

ノ\一 バ ー一

Forthisexamination,youmaywriteyouranswerseitherinPinyin orincharacters,unlessspecifiedotherwise.

1

可 ⊥ ∩ ∠ 0 0

II

1.

2.

O e ﹂ 4

5.

TranscribethefollowingintoChinesecharacters.Writeasclearly aspossible.(10%}

Laoshigiantianjiaowomendeneixieshengcihenyouyong.

ZuotianwoshiqizixingcheIaixuexiaode.

Zaitushuguanlinikeyijieshu,danshibunengtiaowu,yebuneng dagiu.

Choosetheappropriatewordstofillintheblanks.Awordcan onlybeusedonce.

ZhuozishangbiaryouyiRenminRibaoheliangZhong

guoHuabao.(ben,zhang}

Hezuoshemeiyouzheimaobi.WozaiDongfangshudian maileyitzhi,zhong}

Wodepengyouyouhenduozazhi.(Riben,Riwen)

Womenkaishishangkedeyinggaishishidianguo、qifen.

Danshijintianwolaishangkedelaoshiyijingzuowan shengcikaoshile.(shihou,shijian)

XiaoXiebuzaizher.TadaoBeijingle,mingtianhuibu

(lao,qu}

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