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Academic year: 2021

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(1)

A remark on Alexander criterion of bi-orderability

伊藤 哲也

(東京大学数理科学研究科)

1. Introduction

3次元多様体の基本群についての(左または両側)不変順序の存在は、Foliation,

Laminataion

の存在などと密接に関連した興味深い問題であることが認識され、近

年盛んに研究されている。最近では、Heegaard Floer Homology(特に

L-space)

との関連などが観察され、今後の発展が大きく期待される研究分野である。この 記事では、(ねじれ)アレキサンダー多項式を用いた群の

bi-orderability

の議論に ついて、筆者の結果を簡単にまとめる。詳しくは論文

[3]

を参照の事。

定義

1.

G

上の全順序

<

が任意の

G

の元

a, b, c

に対して、

a < b = ca < cb, ac < ab

が成り立つ時、<

G

の両側順序

(bi-ordering)

と呼ぶ。群

G

が少なくとも一つの 両側順序を持つとき、G

bi-orderable group (BO group)

であるという。また、

G

と両側順序

<

の組

(G, <)

を順序つき群と呼ぶ。

Ordering

の存在から

G

のいくつかの性質が導かれる。例えば、BO groupは有

限位数の元を持たない。(gN

= 1

とすると

1 < g < g

2

· · · < g

N

= 1

となり矛盾)。

2. Clay-Rolfsen obstruction

Fibered knot(Fibered 3-manifold)の基本群が BO-group

になるための十分条件 がアレキサンダー多項式を用いて

Perron-Rolfsen

により与えられた。

定理

1 (Perron-Rolfsen [4]). K

S

3内の

fibered knot

とする。Kのアレキサン ダー多項式

K

(t)

のすべての解が正の実数ならば、π1

(S

3

K)

BO-group

ある。

この定理より、例えば、Figure eight knotの補空間の基本群が

BO-group

であ ることが分かる。

2010

年のプレプリントで、

Clay-Rolfsen

fibered knot

(fibered

3-manifold)の基本群が bi-orderable

になるための必要条件を与えた。これは、上

Perron-Rolfsen

の定理の弱い意味での逆である。

定理

2 (Clay-Rolfsen [1]). K

S

3内の

fibered knot

とする。π1

(S

3

K)

BO-

group

ならば、Kのアレキサンダー多項式

K

(t)

は少なくとも一つの正の実数解

を持つ。

この定理より

torus knot

の補空間の基本群は

BO-group

ではないことが分かる。

一方で、上の二つの定理からだけでは

BO

かどうかを決定できないような

fibered

153-8914

 東京都目黒区駒場

3-8-1 e-mail: [email protected]

web: http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~tetitoh/

(2)

knot

も多数知られている。一番簡単な例では、62

-knot

Bi-orderability

は現在 分かっていない。

はじめに、Clay-Rolfsenの定理の証明の概略を(オリジナルの証明とは少し異 なる観点で)述べる。まず、準備として順序つき群についての

maximal Abelian

quotient

に対応物について説明する。

定義

2. H

を順序つき群

(G, <

G

)

の正規部分群とする。すべての

h, h

H, g G

に対し

h <

G

g <

G

h

g H

が成り立つとき、Hが凸

(convex)

であると呼ぶ。このとき商群

G/H

上に順序

<

G/H

aH <

G/H

bH ⇐⇒

Def

a <

G

b

により定義する。これは、剰余類の代表元

a, b

によらず

well-defined

であり、G/Hの両側順序となる。順序つき群

(G/H, <

G/H

)

を順序つき商群と呼ぶ。

定義

3. (G, <

G

)を順序つき群とする。 (G, <

G

)

convex commutator subgroup C

G を、commutator subgroup [G, G]を含む

G

convex subgroup

全体の

intersection

として定義する。G

C

Gについての順序つき商群

(G/C

G

, <

G/CG

)

(G, <

G

)

maximal ordered abelian quotient

と呼ぶ。

(Clay-Rolfsen

の定理の証明のスケッチ).

π

1

(S

3

K)

BO-group

であることと、

モノドロミー

ϕ

: π

1

g,1

) π

1

g,1

)

の作用で保たれる

π

1

g,1

)

の両側順序が存 在することが同値であることが知られている。G

= π

1

g,1

)

ϕ-不変な両側順序

<

Gを一つとる。するとモノドロミー

ϕ

Q -ベクトル空間の同型 ϕ

G/CG

id

Q

: (G/C

G

) Q (G/C

G

) Q

を誘導する。

ϕ

G/CGが順序付き可換群の同型であることから、線形写像

ϕ

G/CG

id

Q

が正実数の固有値を持つことが示される。従って、

(t) = det(tI ϕ

G/CG

)

ϕ

G/CG の固有多項式とすると

(t)

は少なくとも一つの正の実数解を持つ。一方、K アレキサンダー多項式

K

(t)

(t)

を割り切ることが分かり、∆K

(t)

が正の実 数解を少なくとも一つ持つことが示される。

以上の観点から見ると、Clay-Rolfsenの議論は、モノドロミーが

maximal or-

dered abelian quotient

に誘導する線形写像の特性多項式を調べること鍵になって

いることが分かる。とくに、ordering

(meta abeilan

な)情報を持っているのは アレキサンダー多項式の一部、∆

(t)

である。

3. Twisted Alexander polynomial

ねじれアレキサンダー多項式は、アレキサンダー多項式の拡張であり、線形表現

ρ : π

1

(S

3

K) GL(n; Q )

を定めると決まる多項式

ρK

(t)

である。古典的なア レキサンダー多項式は一次元自明表現により定まるねじれアレキサンダー多項式 として理解される。(ここでは、ねじれアレキサンダー多項式の定義は省略する。

例えば

Friedl-Vidussi

のサーベイ

[2]

などを参照すること。)

(3)

知られている多くのアレキサンダー多項式を用いた議論は(有限表現に付随し た)ねじれアレキサンダー多項式を用いた議論に拡張され、より強力になること が知られている。そのため、Clay-Rolfsenの議論をねじれアレキサンダー多項式 に拡張しようと考える事は自然な発想である。

アレキサンダー多項式を用いた議論をねじれアレキサンダーに拡張する一番基 本的な方法(戦略)は、次のようなものである。

1. G

を有限群、ρ

: π

1

(S

3

K) G

を全射とし、有限表現

ρ

G

: π

1

(S

3

K) G GL( Q G)

を考える。

2.

局所係数ホモロジーについての

Shapiro

の定理より、ρGに付随したねじれ アレキサンダー多項式と全射

ρ

の定める

S

3

K

covering

のアレキサン ダー多項式が一致することがわかる。

3.

通常のアレキサンダー多項式を用いた議論より、表現

ρ

Gに付随したねじれ アレキサンダー多項式についての条件が得られる。

4.

表現

ρ

Gの既約分解を考えることで、一般の表現についてのねじれアレキサ ンダー多項式についての条件が得られる。

このように、有限被覆をとることでアレキサンダー多項式の持つ

(meta) abelian

な情報が増えるということがねじれアレキサンダーの強力さの背景にある。

4. Feature of Clay-Rolfsen obstruction

上で述べた、Alexander polyonomialの議論を

twisted Alexander polynomial

を用 いて精密化する戦略に沿って、Clay-Rolfsenの結果を精密化(強力化)しようと すると、次のような結果が期待される。

定理?

1 (期待される拡張1). K

S

3内の

Fibered knot

とし、ρ

: π

1

(S

3

K) GL(n; Q )

を有限表現とする。π1

(S

3

K)

BO-group

ならば、ρに付随したねじ れアレキサンダー多項式

ρK

(t)

は少なくても一つの正の実数解を持つ。

ところが、これは正しくない。もう少し条件を弱めた、次の形の結果ですら正 しくない。

定理?

2 (期待される拡張2). K

S

3内の

Fibered knot, G

を有限群とし、ρ

: π

1

(S

3

K) G GL( Q G)

を有限表現とする。π1

(S

3

K)

BO-group

なら ば、ρに付随したねじれアレキサンダー多項式

ρK

(t)

は古典的なアレキサンダー 多項式

K

(t)

よりも多くの正の実数解を持つ。

1 (反例). K

Figure-eight knot

とする。

Perron-Rolfsen

の定理より

π

1

(S

3

K)

BO-group

である

(∆

K

(t) = t

2

3t + 1)。今、表現 ρ : π

1

(S

3

K) Z

2

GL( QZ

2

)

をとる。すると、ρに付随したねじれアレキサンダー多項式は

ρK

(t) =

(t

2

+ 3t + 1)(t

2

3t + 1)

であり、新しい正の実数解は現れない。

(4)

このように、Clay-Rolfsen argumentはねじれアレキサンダーを用いても強力に することができない。その背景として、順序付き群の

maximal abelian quotient

についての次の定理を示した。

定理

3 ([3]). (G, <

G

)

を順序つき群とし、H

G

の有限位数部分群とする。<H

を順序

<

G

H

への制限とし、(H, <H

)

を順序つき群と見る。このとき、包含写

i : H , G

の誘導する順序つき群の写像

i

: H/C

H

G/C

G

Q -ベクトル空

間としての自然な同型

i

id

Q

: (H/C

H

) Q

=

(G/C

G

) Q

を誘導する。

この定理は、順序つき群の

maximal abelian quotient

のある種の剛性を表して いる。順序構造を考えない普通の

maximal abelian quotient H

1

(G; Z ) = G/[G, G]

を考えると、rank

H

1

(G; Q ) > 0

の時、Gの有限指数部分群

H

に対して

strict

な不 等式

rank H

1

(G; Q ) = (G/[G, G]) Q < rank H

1

(H; Q ) = (H/[H, H ]) Q

が成り立つ。つまり、有限指数部分群をとる事で

maximal abelian quotient

は真 に大きくなる。

有限表現に関してのねじれアレキサンダー多項式を考えることは、有限被覆の アレキサンダー多項式を考えることであった。上の定理より有限被覆を考えた時 に、順序構造を加味した

Maximal ordered abelian quotient

の持つ情報が増えな いため、順序構造については通常のアレキサンダー多項式以上の情報が取り出せ ないことが分かる。これは

bi-orderability

についての問題がこれまでの多くの問 題とは非常に異なった性格を持つ事を表している。

参考文献

[1] A. Clay and D. Rolfsen, Ordered groups, eigenvalues, knots, surgery and L-spaces, arXiv:1004.3625v2.

[2] S. Friedl, S. Vidussi, A survey of twisted Alexander polynomials, arXiv:0905.0591v3 [3] Tetsuya Ito, A remark on Alexander polynomial criterion for bi-orderability of

fibered 3-manifold groups, arXiv:1012.0635

[4] B. Perron and D.Rolfsen, On orderability of fibred knot groups, Math. Proc. Cam-

bridge Philos. Soc., 135 (2003), 147–153.

参照

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