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弘前大学大学院保健学研究科保健学専攻

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全文

(1)

「高齢者の介護予防としての口腔機能向上事業にお ける姿勢・頸部機能への介入効果」

弘前大学大学院保健学研究科保健学専攻

提出者氏名: 藤 原 健 一

所 属: 健康支援科学領域 老年保健学分野

指導教員: 對 馬 均

(2)

目次

序 論

... 3

1

章 健常成人の姿勢と呼吸機能および口腔機能の関係

... 6

目 的 ... 7

方 法 ... 7

結 果 ... 14

考 察 ... 16

まとめ ... 18

2

章 健常高齢者と虚弱高齢者の姿勢と呼吸機能および口腔機能の関係 ... 20

目 的 ... 21

方 法 ... 21

結 果 ... 26

考 察 ... 28

まとめ ... 28

3

章 虚弱高齢者の口腔機能向上を目的とした姿勢・バランス機能改善プロ グラムの効果

... 30

目 的

... 31

方 法 ... 31

結 果 ... 37

考 察 ... 40

まとめ ... 42

総 括 ... 43

謝 辞 ... 45

引用文献 ... 46

英文要旨 ... 53

(3)

略語一覧

FVC

:努力性肺活量(

forced vital capacity

FEV1.0

1

秒量(

forced expiratory volume in one second

FEV1.0%:1秒率(forced expiratory volume in one second as percent of FVC)

GOHAI :general oral health assessment index

PCEF:咳嗽時の最大呼気流量(peak cough expiratory flow)

PEF:最大呼気流量(peak expiratory flow)

%FVC:percent forced vital capacity

RSST:反復唾液嚥下テスト(Repetitive Saliva Swallowing Test)

(4)

序 論

日本人の死因順序は,第

1

位が悪性新生物,第

2

位が心疾患であり,肺炎は脳 血管疾患を抜いて第

3

位である

1

.特に,摂食・嚥下機能低下が関与する誤嚥性 肺炎は,高齢者の主要な死因になっており,入院を必要とした市中肺炎症例の

60.1%,院内肺炎症例の86.7%で嚥下機能が低下しており,誤嚥が肺炎の原因で

あることが示唆されている

2

.また,健常人であっても約

50%に睡眠中の不顕

性誤嚥が起きているとされ

3

,この不顕性誤嚥が毎食または毎晩起きることが肺 炎を繰り返す原因になっている

4

.高齢者では,加齢によって咽頭期嚥下の惹起 遅延と嚥下運動の予備能力の低下を背景として誤嚥しやすくなる

5

ため,誤嚥 を未然に防ぐための摂食・嚥下機能の維持・向上が重要な課題となっている.

しかし,高齢者は嚥下障害を自覚して医療機関を受診するのではなく,むせな どの誤嚥の状態が多角的にはっきりしない不顕性誤嚥によって誤嚥性肺炎を発 症してから受診し,そこで初めて嚥下障害が発見されるケースが多い

6

さらに,口腔機能は,身体機能を支える栄養摂取のための摂食・嚥下機能に 加えて,呼吸機能,コミュニケーションのための構音機能を含むため,QOL に 大きな影響を与える

7-11

.そのため,平成

18

年度の介護保険において,地域支 援事業と予防給付に新たに口腔機能向上プログラムが加えられた

12

.しかしな がら,口腔機能向上プログラムは,高齢者自身が運動機能に比べて口腔機能向 上の必要性を十分認識していないことや事業提供者が効果を具体的にイメージ できない等の理由により,十分普及しているとは言えない

13)

.厚生労働省によ る介護給付費実態調査(平成

23

2

月審査分)によれば,運動器機能向上サー ビス,口腔機能向上サービス,栄養改善サービスの算定状況は,介護予防通所 介護において運動器機能向上サービスが

90.4%であり,口腔機能向上サービス

1.4%,栄養改善サービスが0.08%であり,その他2

種類以上のサービスを算

定しているのが

7.9%,3

種類全てのサービスを算定しているのが僅か

0.18%で

(5)

と比較して非常に低いため,口腔機能向上サービスの効果検証は運動器機能向 上サービスに比べて十分とはいえない状況である.

一方,口腔機能障害に対するリハビリテーションでは,姿勢調整が簡便で非 侵襲的であるため,摂食・嚥下リハビリテーションの第一選択枝になることが 多い

15

.これは,嚥下障害を併発する疾患が脳血管障害や神経疾患が多く

16

, これらの疾患では姿勢障害を合併するためである.さらに,嚥下障害のある者 に対して姿勢障害に介入する理由は,姿勢障害が頭頸部および体幹のインアラ イメントを来すため,頸部や体幹に起始・停止を持つ嚥下運動に関与する筋群 に影響を及ぼすためである

17

.そのため,頸部の回旋や屈曲角度と嚥下機能と の関係に関する報告

18-20

や,頭位や姿勢変化と嚥下機能との関係に関する報告

21,22

が認められ,頭頸部と体幹のアライメントや頭頸部の運動が嚥下運動に影

響することが示唆されている.

これに対して介護予防事業における口腔機能向上サービスの主なアセスメン トは,問診(咀嚼,むせ,口の渇き) ,咬筋の触診,歯や義歯の汚れ,舌の汚れ,

ブクブクうがい,反復唾液嚥下テスト,Oral Diadochokinesis で構成されており

13

,頭頸部や姿勢に関するものがない.また,主なプログラムの内容は,口腔 体操の指導,口腔清掃の指導,唾液腺マッサージ指導,咀嚼訓練(指導) ,嚥下 訓練(指導) ,発音・発声に関する訓練(指導) ,食事姿勢や食環境についての 指導であり

13

,アセスメント同様,姿勢に対する介入が少ない.このように口 腔機能向上サービスに姿勢に対する評価や介入が含まれていない理由は,介護 予防事業の対象者が脳卒中などの神経疾患に罹患していないものが大多数を占 め,著しい姿勢障害を来していないためである.そのため,口腔機能向上サー ビスは,介護予防マニュアルにおいて歯科衛生士等が看護職員,介護職員等と 協働して実施することとされており

13

,理学療法士や作業療法士等の姿勢に対 する評価・介入の専門家が含まれていない.

しかしながら,高齢者は,加齢によって姿勢保持に必要な背筋力の低下を来 し,円背などの脊柱の後彎が徐々に進行しやすい

23,24

.さらに,脊柱の後彎は,

下肢筋力や立位バランスにも影響する

25,26

だけではなく,

QOL

にも影響を及ぼ

(6)

すことが報告されている

27,28

以上のことから,介護予防において高齢者の口腔機能の維持・向上を図るた めには,頭頸部のみならず,姿勢全体の改善を含めたプログラムも有効である と考えられる.しかし,円背姿勢と呼吸機能との関連を調査した報告

29

は認め られるが,加齢による円背姿勢と嚥下機能との関連を検討した報告は国内外に おいて見受けられない.

そこで本研究は,姿勢が口腔機能と呼吸機能に影響を及ぼすのかを健常成人,

健常高齢者,虚弱高齢者について明らかにすると共に,虚弱高齢者に対する姿 勢改善を目指した介入が嚥下機能に及ぼす効果を検証することを目的とした.

本研究は,第

1

章から

3

章で構成され,第

1

章では健常成人を対象に,姿勢と 呼吸機能および口腔機能との関係を検討した.第

2

章では,健常高齢者と虚弱 高齢者を対象に,姿勢と呼吸機能および口腔機能との関係を検討した.第

3

章 では虚弱高齢者を対象に姿勢改善による介入が嚥下機能に及ぼす効果を調査し,

口腔機能の向上に有効なプログラムを検討した.

なお,本研究は弘前大学大学院医学研究科倫理委員会の承認(整理番号

2011-249)の下で行なわれ,研究実施に当たり,全対象者からインフォームドコ

ンセントを得た.

(7)

第 1 章

健常成人の姿勢と呼吸機能および

口腔機能の関係

(8)

目 的

1

章では,健常成人の姿勢と呼吸機能および口腔機能を調査し,それらの 機能の関連性から姿勢が呼吸機能や口腔機能に影響を与えるのかを検討するこ とが目的である.

方 法

1.対象

対象は,嚥下障害,呼吸器疾患,整形外科疾患,口腔関連疾患のないボラン ティア大学生

8

名であり,性別が全員男性, 年齢

20.9

で標準偏差が

0.6

歳である.

対象者の利き手は右利きが

7

名,左利きが

1

名であった.

2.研究方法

対象者の姿勢,呼吸機能,口腔機能を測定し,それぞれの測定値の相関関係 を検討した.

(1) 姿勢の評価

脊柱後彎の定量的評価は,Kyphosis Index

30 を用いて定量的に測定した.

Kyphosis Index は,足底非接地の安楽座位にて,長さ60

㎝の自在曲線定規(LINEX

社)を第

7

頸椎棘突起(C7)から第

4

腰椎棘突起(L4)までの脊柱背部の彎曲 に合わせ,その彎曲の形状を紙上にトレースし

31

,トレースした彎曲の

C7

L4

を結ぶ直線を

L(cm)

,直線

L

から彎曲の頂点までの距離を

H(cm)とし,

H/L×100

の式によって算出した値とした(図

1)

Kyphosis Index

は,

3

回測定し,

平均値を採用した.なお,L の長さは脊柱が後彎している部分とした.

(9)

1 Kyphosis Index の算出方法

喉頭の位置は相対的な甲状軟骨の位置を測定した.甲状軟骨の位置は,頸部 最大伸展位時のオトガイと甲状軟骨上端の距離(genio-thyroid distance; GT ) ,甲 状軟骨上端と胸骨上端の距離 (thyroid-sternum distance; TS) を

5

㎜単位で計測し,

GT/(GT+TS)の式によって算出した値を視標とした32

(2) 筋力の評価

頸部屈曲筋力の測定は,徒手筋力計(

Isoforce GT310

OG GIKEN

)を使用し た.測定肢位は座位とし,頸部屈曲筋力の測定点を前額部中央とした.被験者 は頸部屈曲位をとり,検者に最大筋力を発揮するよう説明され,その際の最大 等尺性筋力を

break test

の手技で

3

秒間測定された.頸部屈曲筋力は,3 回測定 し,平均値(N)を採用した.

腹筋の筋力は,文部科学省の新体力テスト実施要項(20 歳~64 歳対象)にお

ける上体起こし

33

を実施した.被験者は,マット上で仰臥姿勢をとり,両手を

軽く握り両腕を胸の前で組み,両膝屈曲角度を

90 ゜に保つ.その際,補助者は

被検者の両膝をおさえ,固定する.被検者は検者の「始め」の合図で,仰臥姿

勢から両肘と両大腿部がつくまで上体を起こし,すばやく開始時の仰臥姿勢に

戻す運動を

30 秒間出来るだけ多く繰り返す.30

秒間繰り返した回数を腹筋回数

(10)

として採用した.

握力測定は,立位にてスメドレー型握力計を使用し,左右交互に

3

回測定し,

その平均値(

kg

)を握力として採用した.

口唇筋力は,舌筋力計(

T.K.K.3355

;竹井機器工業株式会社)を使用して測定 した.舌筋力計の測定器には,直径

3

㎝のボタンを糸で取り付け(長さ

30cm),

ボタンを口唇と前歯の間に入れた.被検者にはボタンが抜けないように口唇に 力を入れて努力させ,検者が測定器で糸を引っ張った際の最大筋力を測定した.

口唇筋力は,3 回測定し,平均値(kg)を採用した.

舌圧は,舌圧測定器(TPM-01;株式会社

JMS)を使用して測定した.被験者

には,舌圧プローブの先端のバルーンを舌と口蓋皺襞の間に設置させ,検者の 合図でバルーンを口蓋皺襞に向かって舌を挙上して押し潰し,その際の圧力を 測定した.舌圧は

3

回測定し,その平均値(kPa)を採用した.

咬合力は,歯科用咬合力計(OCCLUSAL FORCE-METER GM10;長野計器株 式会社)を使用して測定した.咬合力の測定は,被験者の臼歯部で計測部を

3

回最大で噛ませ,平均値(N)を採用した.なお,咬合力は有歯顎者において左 右に統計学的な差がない

34

ため,測定は左右どちらか一方のみとした.

(3) 呼吸機能の評価

呼吸機能は電子スパイロメータ(CHESTGRAH Jr HI‐101;CHEST 株式会社)

を使用して,努力性肺活量(Forced Vital Capacity:

FVC),%FVC,1

秒量(Forced

Expiratory Volume 1.0(sec) :FEV1.0)

,1秒率(FEV1.0%) ,最大呼気流量(Peak

Expiratory Flow:PEF) を立位にて計測した.なお,%FVC

は[ (27.63-0.112×年

齢)×身長]の予測値に対する

FVC

の割合を示す.また,咳嗽力は,咳嗽時の

最大呼気流量(Peak Cough Expiratory Flow:PCEF)を計測した.PCEF の測定方

法は,立位にてマウスピースをくわえさせ,最大吸気位から努力性に咳嗽を行

わせ,その際の最大呼気流量を測定した.呼吸機能の測定は,3 回実施し,平均

(11)

(4) 口腔機能の評価

嚥下機能の評価は反復唾液嚥下テスト(the Repetitive Saliva Swallowing Test:

RSST

35

を実施した.被験者には,頸部位置は特に制限されず,リラックスさ せた椅子座位をとらせた.検者は被験者に「なるべく速く,

10

回繰り返して飲 み込むこと」を指示した.その際の

10

回連続嚥下に要する時間を計測した.

RSST

3

回計測し,平均値(秒)を採用した.

口腔機能における舌と口唇の協調運動は,Oral Diadochokinesis

36

の回数を測 定した.音節は/pa/ta/ka/とし,被検者に/pa/ta/ka/の音節を連続して

5

秒間可能な 限り速く続けて発音するように指示した.Oral Diadochokinesis は,IC レコーダ

(ICD-UX523;SONY)に記録(MP3 192kbps)し,/pa/ta/ka/が多少の歪みにか かわりなく,検者が聴覚的に弁別できる程度であれば

1

回として測定し,

5

秒間 の音節反復回数をカウントした.

Oral Diadochokinesis

3

回測定し,平均値を採 用した.

(5) 一回嚥下における筋電図および嚥下音の測定

嚥下運動は,舌骨上筋群と舌骨下筋群から表面筋電図を導出して記録した

37

. 舌骨上筋群と舌骨下筋群の筋活動は,電極間距離が

20mm

に固定された銀

-

塩化 銀皿電極を筋線維の走向に沿って添付し,双極導出した.舌骨上筋群の筋活動 は,顎二腹筋前腹相当部から導出し,舌骨下筋群の活動は甲状軟骨の側方約

1cm

の胸骨舌骨筋相当部から導出した(図

2)

.筋電図のサンプリング周波数は

1kHz

2 筋電図の電極および咽喉マイクの位置

(12)

とし,小沢医科器械製

EMG

マスターを使用してコンピュータに記録した.被検 者は,検者が嚥下開始の「はい」と合図したら

1

回嚥下を行うよう指示された.

コンピュータには開始の合図と同時にトリガーが入力された.また,嚥下音は 筋電図と同期してコンピュータにサンプリング周波数

44.1kHz

で記録された.嚥 下音は,輪状軟骨直下の気管外側の周辺からエレクトレットコンデンサ型咽喉 マイク(SH-12ik;南豆無線電機)を使用して計測した

38,39

(図

2)

.咽喉マイク の

Sensitivity

は-40~-45dB,Frequency range は

200~3000Hz

であった.

記録した筋電図は帯域通過フィルタ(150~500Hz) ,全波整流処理を行った後,

低域通過フィルタ(10Hz)処理を行った.筋活動開始点は,トリガー点より

1

秒前の

baseline activity

の平均振幅に

2

倍の標準偏差を足した値より大きい時点,

筋活動静止点は

baseline activity

の平均振幅に

2

倍の標準偏差を足した値に戻った

時点とした

40

.筋電図データは,トリガー点から筋活動開始点までの時間を潜

時,筋活動開始点から静止点までを活動時間として求めた(図

3)

(13)

嚥下音は,波形を描画し視覚化して

5mm

秒以上連続して音が出現している時 点を嚥下音開始点,無音となった時点を終了点とし,筋電図と同様にトリガー 点から嚥下音開始点までの時間を潜時,嚥下音開始点から静止点までを持続時 間として求めた(図

3

) .筋電図の潜時と活動時間および嚥下音の潜時と持続時 間は,3 回試行した平均値を採用した.

3.統計学的分析

各評価項目の関係は,Pearson の順位相関係数を用いた.評価項目間の比較は,

t

検定を用いた.なお,有意水準は

5%未満とした.

4

.検者内信頼性について

各評価項目は,予備実験で検者内信頼性を級内相関係数にて確認した(表

1)

1 各評価項目における級内相関係数

評価項目 級内相関係数 P値

単一測定

0.964

3回平均測定

0.988

単一測定

0.719

3回平均測定

0.885

単一測定

0.871

3回平均測定

0.953

単一測定

0.682

3回平均測定

0.865

単一測定

0.919

3回平均測定

0.972

単一測定

0.813

3回平均測定

0.929

0.000

0.000 0.000

0.000 0.000

0.000

Kyphosis Index

頸部屈曲筋力

握力(利き手)

口唇筋力

舌圧

咬合力

(14)

1 各評価項目における級内相関係数(つづき)

評価項目 級内相関係数 P値

単一測定

0.799

3回平均測定

0.923

単一測定

0.591

3回平均測定

0.813

単一測定

0.825

3回平均測定

0.934

単一測定

0.896

3回平均測定

0.963

単一測定

0.831

3回平均測定

0.937

単一測定

0.900

3回平均測定

0.964

単一測定

0.649

3回平均測定

0.847

単一測定

0.510

3回平均測定

0.757

単一測定

0.652

3回平均測定

0.849

単一測定

0.622

3回平均測定

0.832

単一測定

0.682

3回平均測定

0.866

単一測定

0.697

3回平均測定

0.874

単一測定

0.529

3回平均測定

0.771

単一測定

0.324

3回平均測定

0.590

0.000 0.000

0.007 0.066 0.000 0.000

0.001 0.009

0.001 0.002 0.000 0.003

0.000 0.000

嚥下音の潜時

嚥下音の持続時間 RSST

Oral Diadochokinesis

舌骨上筋群の潜時

舌骨上筋群の活動時間

舌骨下筋群の潜時

舌骨下筋群の活動時間 FVC

%FVC

FEV1.0

FEV1.0%

PEF

PCEF

(15)

結 果

各測定値間の

Pearson

の相関係数は表

2

に示した.

Kyphosis Index

は,甲状軟骨の位置,

PCEF

と負の相関関係が認められた.ま

た,Kyphosis Index は,体幹筋力である頸部屈曲筋力や腹筋回数と相関が認めら れず,呼吸機能である

FVC,%FVC,FEV1.0,FEV1.0%,PEF

とも相関が認め られなかった.しかし,頸部屈曲筋力は,%FVC,FEV1.0 との間に正の相関関 係が認められた.

なお,利き手および非利き手の握力は,利き手握力と非利き手握力との間に 相関関係が認められ,利き手握力と腹筋回数との間に負の相関関係が認められ た.

次に,口腔機能との関係では,甲状軟骨の位置は,PCEF,RSST と正の相関 関係が認められた.また,口唇筋力は,舌圧との間に正の相関が認められた.

さらに,

Oral Diadochokinesis

は,口唇筋力,舌圧との間に負の相関関係が認めら

れた.

筋電図および嚥下音と各測定値との関係では,舌骨上筋群の活動時間と

FVC

,%

FVC

FEV1.0

PEF

との間に正の相関関係が認められた.また,嚥下

音の潜時は舌骨上筋群の潜時と,嚥下音の持続時間は舌骨上筋群の活動時間と 正の相関関係が認められた.

なお,本研究では咳嗽力として

PCEF

を測定したが,PCEF は

PEF

と有意差

(t=-0.20,df=7,p=0.85)が認められず,ほぼ同値を示した.

(16)
(17)

考 察

Kyphosis Index

は,甲状軟骨の位置と負の相関関係が認められ,円背傾向が強

いほど喉頭の位置が高位にある結果となった.通常,円背を呈した姿勢は,胸 腰椎が後彎するため頸椎の前彎が増強しやすい

41

.そのため,円背による頸椎 前彎の増強がオトガイと甲状軟骨上端や胸骨上端との距離を延長させるが,健 常成人の場合は甲状軟骨の位置が低下していないため,相対的に甲状軟骨上端 と胸骨上端の距離が延長したためだと考えられる.

また,円背傾向が強いと咳嗽力が弱いことが明らかになった.咳嗽力は,吸 気を伴って胸壁と腹壁が同時に拡張する時相(吸入期) ,同一肺気量で腹壁が縮 小し胸壁が拡張する時相(準備期) ,呼気を伴って胸壁と腹壁が同時に縮小する 時相(呼出期)がある

42

.特に呼出期は,声門閉鎖と呼気筋が強く収縮する準 備期を経て,横隔膜の弛緩と声門の解放と呼気筋収縮による爆発的な呼気が起 こる

43

.そのため,咳嗽力は,呼気筋である腹筋群の筋力発揮が重要となる.

しかし,円背による脊柱後彎は,胸郭が腹部を圧迫し横隔膜の動きを阻害する ため,吸気が不十分となる.さらに,腹筋群は,円背姿勢によって胸壁と骨盤 の距離が近くなるため,筋長が短縮し,筋の長さ-張力の関係から収縮効率が 低下する

29

.これらの結果,円背姿勢が強い場合は,充分な吸気と腹筋群の効 率的な収縮が得られず,咳嗽力が低下していると考えられる.なお,

PCEF

PEF

と有意差が認められず同値を示し,咳嗽時の呼気気流量は最大呼気気流量にほ ぼ等しいとした朝戸らの報告

42

と一致する.そのため,咳嗽力の測定は,PEF でよいと示唆される.

一方,伊藤らの報告では円背姿勢は呼吸機能に影響を及ぼす

29

とされるが,

本研究では円背姿勢と呼吸機能との関係が認められなかった.これは,伊藤ら の対象者が高齢者であり,本研究の対象者に比べて

Kyphosis Index

が高値である ことが影響していると考えられる.しかしながら,頸部屈曲筋力は%FVC や

FEV1.0

と相関関係が認められたことから,姿勢保持に関連する筋力が呼吸機能

にも関連すると推察される.特に,頸部屈曲筋力は呼吸補助筋でもあることが

(18)

大きく影響していると予想される.また,Shaker らは,背臥位での頭部挙上訓 練を実施した健常高齢者で食道入口部開大量の増加と甲状軟骨の前方方向への 可動性拡大が認められることから,頭部挙上訓練が舌骨上筋群を強化している ことを報告している

44,45

.したがって,頸部屈曲筋力は,呼吸機能に加えて嚥 下機能にも影響を与えることが示唆される.

次に,喉頭の一部である甲状軟骨の位置は,PCEF や

RSST

と相関関係が認め られた.喉頭は,加齢に伴いその位置が下降する

46,47

.また, 65 歳以上の者は 若年者に比べて声門閉鎖時間と舌骨の垂直移動時間が延長することや,頸椎の 前彎が舌骨の垂直方向の偏位に関連する

48

ことが報告されている.したがって,

甲状軟骨の下降や頸椎の前彎は,舌骨の偏位や喉頭の移動距離を延長させ嚥下 機能の低下を来すと予想されるため,甲状軟骨の位置や頸部前彎の程度を把握 することが嚥下機能の評価にとって意義があると考えられる.

口唇筋力と舌圧については,両者に正の相関関係が認められたが,Oral

Diadochokinesis

とは両者ともに負の相関関係が認められ,筋力が強いほど

/pa/ta/ka/の交互反復運動が遅い傾向が認められた.Oral Diadochokinesis

は,口唇

や舌の構音器官の運動速度と規則性を評価するものであり,音節の反復回数を 測定する検査である

36

.そのため,

Oral Diadochokinesis

は,舌や口唇の最大筋 力ではなく,筋の協調的運動の速度を測定しているため,正の相関関係が認め られなかったと考える.梅本らは,最大舌圧値と口腔通過時間や舌移動量に有 意な相関関係が認められる疾患と認められない疾患があることを報告している

49

.このことからも,嚥下機能には単に筋力の強さではなく筋収縮のタイミン グも重要であることが推察される.

最後に,筋電図および嚥下音と各測定値との関係では,舌骨上筋群の活動時

間と

FVC,%FVC,FEV1.0,PEF

との間に正の相関関係が認められ,舌骨上筋

群と呼吸機能とが関連していた.舌骨上筋群は前述した通り頸部屈曲筋力と関

連する

44,45

とされ,頸部の屈曲筋は吸気の呼吸補助筋でもあるため呼吸機能と

(19)

嚥下音が出現していることから,嚥下音も嚥下筋活動を予測するデータとして 有用であることが示唆される.

なお,本研究では

Kyphosis Index

と舌骨上筋群や舌骨下筋群の活動には相関関 係が認められなかったが,頭頸部の伸展位では舌骨上筋が引き伸ばされるとと もに咽頭腔が広がるため嚥下に不利となる

50

と言われている.さらに,喉頭挙 上は舌骨上筋および舌骨下筋の活動によって行われるため,頸部筋力が弱くな ると飲み込む力も弱くなりやすいことが示唆されている

50

.したがって,頸部 が伸展位となりやすい円背姿勢の評価は,嚥下機能の評価にとっても重要であ ると考える.

以上のことから,円背姿勢は呼吸機能と口腔機能に影響を及ぼすことが示唆 された.また,口腔機能の評価は,Kyphosis Index,甲状軟骨の位置や頸椎の前 彎の程度,頸部屈曲筋力,スパイロメトリー,Oral Diadochokinesis,舌骨上筋群 の筋電図または嚥下音の測定など,体幹機能や呼吸機能も含めた総合的な評価 が必要であるとともに,それに基づく介入が重要であると考えられた.

まとめ

1

章では,健常成人

8

名を対象に姿勢,呼吸機能,口腔機能の調査を行い,

それぞれの関連を相関関係から検討した.その結果,円背姿勢は甲状軟骨の位

置や咳嗽時の最大呼気流量と,頸部屈曲筋力は%FVC や

FEV1.0

との間に相関関

係が認められた.また,甲状軟骨の位置は咳嗽時の最大呼気流量や反復唾液嚥

下テストとの間に相関関係が認められた.筋電図および嚥下音と各測定値との

関係では,舌骨上筋群の活動時間と

FVC,%FVC,FEV1.0

と,舌骨上筋群の潜

時および活動時間と嚥下音の潜時および持続時間との間に相関関係が認められ

た.このことから,姿勢(Kyphosis Index,甲状軟骨の位置)は口腔機能と呼吸

機能に影響を及ぼすことと,嚥下音が舌骨上筋群の活動を表していることが示

唆された.したがって,口腔機能の評価には,Kyphosis Index,甲状軟骨の位置

や頸椎前彎の程度,頸部屈曲筋力等の姿勢に関連する評価,スパイロメトリー

(20)

等の呼吸に関連する評価,

Oral Diadochokinesis

等の筋の協調性に関する評価,嚥

下動態を示す舌骨上筋群の筋電図または嚥下音,反復唾液嚥下テストの測定が

重要であり,体幹機能や呼吸機能も含めた総合的な視点で捉え,それに基づく

介入が重要であると考えられた.

(21)

第 2 章

健常高齢者と虚弱高齢者の

姿勢と呼吸機能および口腔機能の関係

(22)

目 的

1

章では,健常成人において姿勢が呼吸機能や口腔機能に影響を及ぼして いることが示唆されたため,第

2

章では高齢者や要支援または要介護と認定さ れている虚弱高齢者においても姿勢が口腔機能や呼吸機能に影響を及ぼすのか を調査し検討することが目的である.

方 法

1

.対象

対象は,中枢性疾患,呼吸器疾患,整形外科疾患のない者で,且つ口腔関連 疾患のない

65

歳以上の健常高齢者(健常高齢者群)11 名と,口腔関連疾患はな いが要介護認定を受けてデイケアを利用している虚弱高齢者

9

名(虚弱高齢者 群)であった.

健常高齢者群の性別は全員女性,平均年齢71.1

歳で標準偏差

6.6

歳であった.虚弱高齢者群の性別は女性

8

名,男性

1

名,平均年齢

84.3

歳で標 準偏差

4.9

歳であった.虚弱高齢者群の要介護度は,要支援

1

5

名,要支援

2

1

名,要介護

1

2

名,要介護

2

1

名であった.

2.研究方法

全対象者に対して姿勢,呼吸機能,口腔機能を測定し,それぞれの測定値の 相関関係を検討した.

(1) 姿勢の評価

脊柱後彎および頸椎前彎の程度は,それぞれ

Kyphosis Index30)

Forward head

posture51)

を用いて定量的に測定・評価した.

Kyphosis Index は,足底非接地の安楽座位にて,長さ60

㎝の自在曲線定規

(LINEX 社)を第

7

頸椎棘突起(C7)から第

4

腰椎棘突起(L4)までの脊柱背

(23)

とし,H/L×100 の式によって算出した値とした. なお,L の長さは脊柱が後彎 している部分とした.

Forward head posture

は,安楽座位にて前方正面を向いた際における矢状面上の

外耳孔と第

7

頸椎棘突起を結んだ線と,第

7

頸椎棘突起を通る水平線の

2

本の線 のなす角度である.

Forward head posture

は,対象者に安楽座位にて前方正面を向 かせ,第

7

頸椎棘突起がレンズの中心に位置するようカメラ(K860FCM1PKC;

CASIO

社製)の高さを調整するとともに角度測定水平器でカメラを水平に設置

し,

2m

離れた側方から撮影した画像を

ImageJ52,53

を使用して角度を計測した(図

4)

.なお,画像は

50mm

光学ズームにて撮影した.Forward head posture は,角度 が小さいほど脊柱に対して頭部が前方に位置し,頸部が前彎していることを示 す.そのため,

Forward head posture

は,頸部の状態が嚥下運動に影響を与えるの かが検討できる. なお, 検者内信頼性における級内相関係数は, 単一測定で

0.924,

3

回測定で

0.973

であった(p<0.01).

喉頭の位置は相対的な甲状軟骨の位置を測定した.甲状軟骨の位置は,頸部 最大伸展位時のオトガイと甲状軟骨上端の距離(genio-thyroid distance; GT) ,お よび甲状軟骨上端と胸骨上端の距離(thyroid-sternum distance; TS)を

5

㎜単位で 計測し,

GT

(GT

TS

)の式によって算出した値を指標とした

32)

4 Forward head posture の計測方法

(24)

(2) 呼吸機能の評価

呼吸機能は電子スパイロメータ(CHESTGRAH Jr HI‐101;CHEST 株式会社)

を使用して,

Forced Vital Capacity

FVC

) ,%

FVC

Forced Expiratory Volume 1.0sec

FEV1.0

),

FEV1.0%

Peak Expiratory Flow

PEF)

を座位にて計測した.

(3) 口腔機能の評価

嚥下機能については安静座位で反復唾液嚥下テスト(Repetitive Saliva

Swallowing Test:RSST)35)

30

秒間実施し,嚥下回数と

3

回繰り返して飲み込

むのに要した時間(3 回嚥下時間)を計測した.RSST は,3 回/30 秒がカット オフ値として妥当とされている

54

舌と口唇の協調運動は,被検者に/pa/ta/ka/の音節を連続して

5

秒間可能な限り 速く続けて発音するように指示し,Oral Diadochokinesis の回数を測定した

36)

Oral Diadochokinesis は,IC

レコーダ(ICD-UX523 ;

SONY)に記録(MP3 192kbps)

し,/pa/ta/ka/が多少の歪みにかかわりなく,検者が聴覚的に弁別できる程度を

1

回とし,5 秒間の音節反復回数をカウントした.

被検者の口腔機能に関連した包括的な

QOL

評価は,General Oral Health

Assessment Index

GOHAI

55,56

を使用した.

GOHAI

は,世界で広く使用され ている口腔分野の

QOL

尺度で,スコアの総得点で評価し,口腔の健康に関連し た包括的な

12

項目で構成された

5

件法の評価尺度である(添付資料参照).

(4) 嚥下時の筋活動と嚥下音の評価

嚥下運動については,表面筋電図による筋活動と嚥下音の解析により評価し た(図

5)

嚥下時の筋活動は,小沢医科器械製

EMG

マスターを使用し,舌骨上筋群と舌

骨下筋群から

1kHz

のサンプリング周波数で表面筋電を導出して記録した

37

.舌

骨上筋群の筋活動は,顎二腹筋前腹相当部から導出し,舌骨下筋群の活動は甲

(25)

5 筋電図および嚥下音の解析方法

指示された.記録した筋電図は帯域通過フィルタ(

60

350Hz

) ,全波整流処理 を行った後,低域通過フィルタ(

10Hz

)処理を行った.得られた筋電図データ を基に,トリガー点から筋活動開始点までの時間(潜時)と筋活動開始点から 静止点までの時間(活動時間)を求めた.なお,筋活動開始点は,トリガー点

より

1

秒前の

baseline activity

の平均振幅に

2

倍の標準偏差を足した値より大きい

時点,筋活動静止点は

baseline activity

の平均振幅に

2

倍の標準偏差を足した値に 戻った時点とした

40

嚥下音は,輪状軟骨直下の気管外側の周辺からエレクトレットコンデンサ型 咽喉マイク(SH-12ik;南豆無線電機)を使用して筋電図と同時に採取し,サン プリング周波数

44.1kHz

で記録された

38,39

.得られた嚥下音の波形データに基づ いて,トリガー点から嚥下音が最大となるまでの時間を潜時として計測した.

咽喉マイクの

Sensitivity

は-40~-45dB,Frequency range は

200~3000Hz

である.

(26)

なお,筋電図および嚥下音は,休憩を挟み

3

回計測し,トリガー点から最も 早く嚥下が可能であったものを採用した.

3

.統計学的分析

各評価項目の関係は,Spearman の順位相関係数を用いた.健常高齢者群と虚

弱高齢者群の比較は

Mann-Whitney

U

検定を用いた.なお,有意水準は

5%未

満,有意傾向は

10%未満とした.

(27)

結 果

健常高齢者群における姿勢(

Kyphosis Index

Forward head posture

,甲状軟骨 の位置)と呼吸機能,口腔機能の関係では,姿勢と呼吸機能との間に有意な相 関関係が認められなかったが,甲状軟骨の位置が嚥下回数および

3

回嚥下時間 と有意な相関関係が認められた(表

3)

一方,虚弱高齢者群では,Forward head posture と

FEV1.0%および甲状軟骨の

位置と

FEV1.0%の間に有意な相関関係が認められた.また,Kyphosis Index

Oral Diadochokinesis

および

Kyphosis Index

と舌骨下筋群の活動時間との間にも有

意な相関関係が認められた(表

3)

したがって,健常高齢者群と虚弱高齢者群は,両群ともに姿勢が口腔機能と 関連することが分かった.

次に,健常高齢者群と虚弱高齢者群の比較では,Kyphosis Index,甲状軟骨の 位置,%FVC に有意差が認められ,舌骨上筋群の潜時に有意傾向が認められた

(表

4)

また,健常高齢者群と虚弱高齢者群の反復唾液嚥下テストにおいて,健常高

齢者群で

11

名中

2

名,虚弱高齢者群で

9

名中

3

名が

30

秒間に

3

回未満の嚥下回

数であり,カットオフ値を下回った.

(28)

3 各評価項目間における Spearman の順位相関係数

Kyphosis index

Forward head posture

甲状軟骨の 位置

Kyphosis index

Forward head posture

甲状軟骨の 位置

%FVC -.191 .445 .256 -.267 .017 -.628

FEV1.0% .245 -.291 -.288 .450 .717* .678*

PEF (ℓ/sec) .000 .291 .005 -.067 .317 .025

Oral Diadochokinesis -.242 .087 -.124 -.832** -.580 -.443

GOHAI .060 -.110 -.032 .083 .033 .293

嚥下回数 .224 .373 .674* -.129 .468 .080

3回嚥下時間 .183 -.167 .678* -.486 .029 -.058

舌骨上筋群の潜時 .082 .145 -.100 .100 .167 .109 舌骨上筋群の活動時間 .182 -.255 .160 .533 .417 .410 舌骨下筋群の潜時 -.127 .503 -.140 -.033 .117 -.293 舌骨下筋群の活動時間 .418 -.212 .334 .783* .150 .418 嚥下音の潜時 .545 -.182 .562 .267 .450 .201

健常高齢者 虚弱高齢者

* p<0.05 ** p<0.01

4 各評価項目における健常高齢者群と虚弱高齢者群の比較

健常高齢者 虚弱高齢者

Kyphosis index 8.8 (1.4) 12.3 (1.1) 0.016 *

Forward head posture 48.7 (4.0) 44.7 (6.5) 0.710

甲状軟骨の位置

0.36 (0.02) 0.42 (0.03) 0.007 **

%FVC 100.0 (5.9) 84.7 (8.5) 0.000 **

FEV1.0% 85.1 (4.7) 89.7 (2.9) 0.230

PEF (ℓ/sec) 5.6 (1.4) 3.6 (0.6) 0.112

Oral Diadochokinesis 10.7 (1.1) 10.7 (0.5) 0.882

GOHAI 55.0 (2.8) 53.0 (3.5) 0.656

嚥下回数

3.0 (0.0) 3.0 (0.5) 0.503

3回嚥下時間 (msec)

10203.0 (2986.5) 9666.5 (2309.0) 0.388

舌骨上筋群の潜時(msec)

459.0 (219.5) 801.0 (215.0) 0.067

舌骨上筋群の活動時間 (msec)

1518.0 (558.5) 1791.0 (509.5) 0.175

舌骨下筋群の潜時(msec)

711.0 (241.3) 873.0 (209.5) 0.113

舌骨下筋群の活動時間 (msec)

1465.0 (710.6) 1727.0 (307.0) 0.720

中央値 (四分位偏差)

P値

(29)

考 察

本研究において,虚弱高齢者における姿勢の良し悪しが,健常成人での調査 結果

57

と同様に,呼吸機能と口腔機能に関連していることが示された.高齢者 は,加齢や廃用により背筋群の筋力が低下するため脊柱の後彎をきたし

23

,円 背姿勢となりやすい.本研究においても健常高齢者よりも虚弱高齢者で円背傾 向が強い結果であり,加齢による影響が大きいと予想される.また,円背姿勢 は胸郭の運動を制限し,呼気筋である腹筋群の筋力低下も助長するため,拘束 性換気障害を引き起こし,呼吸機能を低下させる

29

.さらに,胸腰椎の後彎変 形は二次的に頭部の位置を前方に偏位させ,代償的な頸椎前彎の増強を引き起 こす.この頸椎前彎は,加齢による舌骨や甲状軟骨の下降

58

をさらに助長させ ると考えられ,嚥下時の喉頭挙上運動に際して喉頭の移動距離の増加を招いて いる可能性が高い.

このような機序により,円背姿勢を呈する高齢者の嚥下運動は拙劣となり,

嚥下関連筋群の活動時間延長

59

と嚥下運動時間の延長という形で現れるものと 考える.今回の研究結果では,虚弱高齢者において,嚥下関連筋である舌骨上 筋群の潜時が延長する傾向が認められた.これは嚥下のタイミングの遅れをも たらし,誤嚥を引き起こすリスク要因となることが予想される. また,口腔関 連疾患のない健常高齢者群や虚弱高齢者群においても反復唾液嚥下テストの結 果で嚥下機能低下が疑われるものが見受けられることからも,誤嚥予防の対策 が重要であることが伺える.

以上の点からも,高齢者の円背姿勢の改善を図ることを視野に入れた介入は,

口腔機能改善を図る上で重要であることが示唆される.

まとめ

2

章では,健常高齢者

11

名とデイケアを利用している虚弱高齢者

9

名を対

象に,姿勢,呼吸機能,口腔機能の調査を行い,それぞれの関連を検討した.

(30)

その結果,高齢である虚弱高齢者の方が健常高齢者よりも円背姿勢が強く,甲

状軟骨の位置が低下しており,%FVC が低値であることと,嚥下時の舌骨上筋

群の活動開始が遅延する傾向を示すことが明らかとなった.また,健常高齢者

群と虚弱高齢者群は,両群ともに姿勢が口腔機能と関連していることから,高

齢者の円背姿勢の改善を目指した介入は,口腔機能改善を図る上で重要である

ことが示唆され,第

1

章の健常成人と同様の結果を得た.特に,虚弱高齢者群

では,高齢者群よりも円背姿勢を呈しているとともに喉頭が下降しており,嚥

下関連筋の筋活動が遅延しているため,誤嚥を引き起こす要因になるものと考

えられ,より姿勢への介入の重要性が高いと推察された.

(31)

第 3 章

虚弱高齢者の口腔機能向上を

目的とした姿勢・バランス機能改善

プログラムの効果

(32)

目 的

2

章では,健常成人と同様に,健常高齢者や虚弱高齢者においても姿勢が 口腔機能に影響を及ぼしているため,第

3

章では虚弱高齢者に対する姿勢改善 による介入が嚥下機能の改善に効果があるのかを介入を実施して検証すること が目的である.

方 法

1

.対象

対象は,口腔関連疾患はないが要介護認定を受けてデイケアを利用している 虚弱高齢者

9

名(虚弱高齢者群)であった.性別は女性

8

名,男性

1

名,平均年 齢

84.3

歳で標準偏差

4.9

歳であった.要介護度は,要支援

1

5

名,要支援

2

1

名,要介護

1

2

名,要介護

2

1

名であった.なお,対象者は全員,個別訓 練を実施していないものとした.

2

.研究方法

1

) 介入方法

虚弱高齢者群に対して嚥下体操と転倒予防体操による週

1

16

週間の介入を 行い,その効果の検証を行なった.介入はクロスオーバー比較試験に準じて実 施し,虚弱高齢者を

A

群と

B

群に振分けた.A 群に対しては,転倒予防体操を 週

1

回で

8

週間実施した後,嚥下体操を週

1

回で

8

週間実施した.一方,

B

群に 対しては,

A

群とは逆の順で,嚥下体操を週

1

回で

8

週間実施した後,転倒予防 体操を週

1

回で

8

週間実施した.

なお,本研究でクロスオーバー比較試験を導入した理由は,A 群と

B

群に嚥

下体操と転倒予防体操の両体操を実施するための倫理的配慮と,対象者数が少

(33)

(2) 効果判定のための帰結指標

介入の効果判定には,嚥下体操と転倒予防体操の実施前と実施後に姿勢,呼 吸機能,口腔機能,

QOL

を帰結指標として用いた.

①姿勢の評価

脊柱後彎および頸椎前彎の程度は,それぞれ

Kyphosis Index30)

Forward head

posture51

を用いて定量的に測定・評価した.

Kyphosis Index は,足底非接地の安楽座位にて,長さ60

㎝の自在曲線定規

(LINEX 社)を第

7

頸椎棘突起(C7)から第

4

腰椎棘突起(L4)までの脊柱背 部の彎曲に合わせ,その彎曲の形状を紙上にトレースし

31

,トレースした彎曲 の

C7

L4

を結ぶ直線を

L(cm)

,直線

L

から彎曲の頂点までの距離を

H(cm)

とし,H/L×100 の式によって算出した値とした. なお,L の長さは脊柱が後彎 している部分とした.

Forward head posture

は,安楽座位にて前方正面を向いた際における矢状面上の

外耳孔と第

7

頸椎棘突起を結んだ線と,第

7

頸椎棘突起を通る水平線の

2

本の線 のなす角度である.

Forward head posture

は,対象者に安楽座位にて前方正面を向 かせ,第

7

頸椎棘突起がレンズの中心に位置するようカメラ(K860FCM1PKC;

CASIO

社製)の高さを調整するとともに角度測定水平器でカメラを水平に設置

し,

2m

離れた側方から撮影した画像を

ImageJ53,54

を使用して角度を計測した.

なお,画像は

50mm

光学ズームにて撮影した.

喉頭の位置は相対的な甲状軟骨の位置を測定した.甲状軟骨の位置は,頸部 最大伸展位時のオトガイと甲状軟骨上端の距離(genio-thyroid distance; GT) ,お よび甲状軟骨上端と胸骨上端の距離(thyroid-sternum distance; TS)を

5

㎜単位で 計測し,GT/(GT+TS)の式によって算出した値を指標とした

32)

②呼吸機能の評価

呼吸機能は電子スパイロメータ(CHESTGRAH Jr HI‐101;CHEST 株式会社)

を使用して,

Forced Vital Capacity

(FVC) ,%FVC,

Forced Expiratory Volume 1.0sec

(FEV1.0),FEV1.0%,Peak Expiratory Flow(PEF) を座位にて計測した.

(34)

③口腔機能の評価

嚥下機能については安静座位で反復唾液嚥下テスト(Repetitive Saliva

Swallowing Tset

RSST

35

30

秒間実施し,嚥下回数と

3

回繰り返して飲み込 むのに要した時間(

3

回嚥下時間)を計測した.

RSST

のカットオフ値は,

3

/30 秒が妥当とされている

54

舌と口唇の協調運動は,被検者に/pa/ta/ka/の音節を連続して

5

秒間可能な限り 速く続けて発音するように指示し,Oral Diadochokinesis の回数を測定した

36

Oral Diadochokinesis

は,

IC

レコーダ(ICD-UX523 ;

SONY)に記録(MP3 192kbps)

し,/pa/ta/ka/が多少の歪みにかかわりなく,検者が聴覚的に弁別できる程度を

1

回とし,5 秒間の音節反復回数をカウントした.

被検者の口腔機能に関連した包括的な

QOL

評価は,General Oral Health

Assessment Index(GOHAI)55,56)

を使用した.GOHAI は,世界で広く使用されて

いる口腔分野の

QOL

尺度で,スコアの総得点で評価し,口腔の健康に関連した 包括的な

12

項目で構成された

5

件法の評価尺度である.

④嚥下時の筋活動と嚥下音の評価

嚥下運動は,表面筋電図による筋活動と嚥下音の解析により評価した.

嚥下時の筋活動は,小沢医科器械製

EMG

マスターを使用し,舌骨上筋群と舌

骨下筋群から

1kHz

のサンプリング周波数で表面筋電を導出して記録した

37

.舌

骨上筋群の筋活動は,顎二腹筋前腹相当部から導出し,舌骨下筋群の活動は甲

状軟骨の側方約

1cm

の胸骨舌骨筋相当部から導出した.被検者は,検者が嚥下

開始の「はい」と合図したら(トリガー点)速やかに唾液を

1

回嚥下するよう

指示された.記録した筋電図は帯域通過フィルタ(60~350Hz) ,全波整流処理

を行った後,低域通過フィルタ(10Hz)処理を行った.得られた筋電図データ

を基に,トリガー点から筋活動開始点までの時間(潜時)と筋活動開始点から

静止点までの時間(活動時間)を求めた.なお,筋活動開始点は,トリガー点

(35)

戻った時点とした

40

嚥下音は,輪状軟骨直下の気管外側の周辺からエレクトレットコンデンサ型 咽喉マイク(

SH-12ik

;南豆無線電機)を使用して筋電図と同時に採取し,サン プリング周波数

44.1kHz

で記録された

38,39

.得られた嚥下音の波形データに基づ いて,トリガー点から嚥下音が最大となるまでの時間を潜時として計測した.

咽喉マイクの

Sensitivity

は-40~-45dB,Frequency range は

200~3000Hz

である.

なお,筋電図および嚥下音は,休憩を挟み

3

回計測し,トリガー点から最も早 く嚥下が可能であったものを採用した.

(3) 介入に用いた体操の実際

介入に用いた嚥下体操は,介護予防マニュアル

13

を参考に日本摂食・嚥下リ ハビリテーション学会でまとめた嚥下体操

60

に唾液腺マッサージを加えたもの を実施した(表

5)

5 嚥下体操

No. Exercise menu

1

口すぼめ深呼吸

2

首の回旋運動

3

肩の上下運動

4

両手を頭上で組んで体幹を左右側屈

5

頬を膨らませたり引っ込めたりする

6

舌を前後に出し入れする

7

舌で左右の口角にさわる

8

強く息を吸い込む

9

パ,タ,カの発音訓練

10

口すぼめ深呼吸

11

唾液腺マッサージ(耳下腺,舌下腺,顎下腺)

(36)

転倒予防体操は,体幹筋力,下肢筋力,体幹の柔軟性やバランスの改善を目 的とした“弘前大学てんとう虫体操”

61

を実施した(表

6)

.転倒予防体操は,18 項目から構成されているが,被験者の耐久性を考慮し,

1

から

14

までと

18

の体 操を実施した.

なお,嚥下体操および転倒予防体操の実施中,

A

1

名が肺炎を発症し,

B

1

名が自宅にて転倒による外傷のため,途中から不参加となった.

6 転倒予防体操61

方法 目的

1 つま先を交互にあげる運動 足関節の動きの改善

2 膝を伸ばして足を開く運動 股関節外転筋の筋力強化,バランスの改善 3 手足の組み合わせ運動 上・下肢の筋力強化,バランスの改善 4 足で「て・む・し」の文字を書く運動 膝関節伸展筋・股関節周囲筋の筋力強化,

バランスの改善

5 体を大きく回す運動 体幹の柔軟性の改善,バランスの改善 6 片足を踏み出してつま先立ちをする運動 足関節底屈筋の筋力強化,バランスの改善 7 肘と膝をつける運動 バランスの改善,腹筋の筋力強化

8 膝の裏とアキレス腱を伸ばす運動 アキレス腱とハムストリングスの柔軟性の改善 9 椅子につかまり,床上空中に「て・む・し」と文

字を書く運動 股関節周囲筋の筋力強化,バランスの改善

10 足を後ろに上げる運動 股関節伸筋の筋力強化 11 膝の曲げ伸ばし運動 下肢抗重力筋の筋力強化 12 椅子につかまり,後ろに伸ばした足で「て・む・

し」と文字を書く運動 股関節伸筋の筋力強化,バランスの改善 13 足を肩幅に開いて横に体重を移動する運動 股関節外転筋の筋力強化,バランスの改善 14 手と足を伸ばして体をそらす運動 上・下肢・体幹の筋力強化,バランスの改善

15 足踏み 股関節周囲筋の筋力強化,バランスの改善

16 つま先立ち 足関節底屈筋の筋力強化,バランスの改善

17 太極拳歩き 下肢抗重力筋の筋力強化

18 深呼吸 呼吸を整える

椅 子 に 座 って 行 う 体 操

椅 子 の 前 に 立 っ て 行

う 体 操

椅 子 の 後 ろ に 立 っ て 行 う 体 操

運動内容

(37)

3

.統計学的分析

嚥下体操または転倒予防体操における介入の前後比較は

Wilcoxon の符号付き

順位検定を用いた.また,クロスオーバー比較試験による時期の効果の検定に

Mainland-Gart

の検定,時期と介入内容の交互作用の検定には

Hills-Armitage

の検定を用いた.なお,有意水準は

5%未満,有意傾向は10%未満とした.

(38)

結 果

クロスオーバー比較試験では,

1

回目に行われたのか

2

回目に行われたのかと いう時期の効果(

period effect

)と,時期と介入の交互作用(

interaction between period and treatment)が認められる可能性がある.そのため,時期の効果の検定

には

Mainland-Gart

の検定,時期と介入内容の交互作用の検定には

Hills-Armitage

の検定を実施した.その結果,いずれの測定項目も有意ではなく,時期の効果 や交互作用が統計学的には認められなかった(表

7)

7 クロスオーバー比較試験における時期の効果および時期と

介入内容の交互作用の検定

Mainland-Gart

の検定

Hills-Armitage

の検定

Kyphosis index 1.000 1.000

Forward head posture 1.000 1.000

甲状軟骨の位置

1.000 1.000

%FVC 1.000 1.000

FEV1.0% 1.000 1.000

PEF (

/sec) 1.000 1.000

Oral Diadochokinesis 1.000 1.000

GOHAI 0.400 1.000

嚥下回数

1.000 1.000

3回嚥下時間 1.000 1.000

舌骨上筋群の潜時

0.333 1.000

舌骨上筋群の活動時間

1.000 1.000

舌骨下筋群の潜時

1.000 0.333

舌骨下筋群の活動時間

1.000 1.000

P

(39)

次に,虚弱高齢者群に対して,嚥下体操と転倒予防体操の介入を行い,両体 操の介入前の評価と介入後の評価を比較した.虚弱高齢者群の嚥下体操におけ る介入の前後の比較では,

Kyphosis Index

のみが有意であり,その他の評価項目 に改善が認められなかった(表

8

) .これに対して,虚弱高齢者群の転倒予防体 操における介入の前後の比較では,Kyphosis Index,舌骨上筋群の潜時,舌骨下 筋群の潜時が有意に改善した(表

9)

.また,転倒予防体操における介入の前後

の比較で

GOHAI

において有意傾向が認められた.

8 嚥下体操における介入前と介入後の比較

介入前 介入後

Kyphosis index 11.8 (0.4) 10.6 (1.6) 0.025 *

Forward head posture 44.5 (6.7) 50.6 (5.4) 0.123

甲状軟骨の位置

0.45 (0.02) 0.40 (0.03) 0.362

%FVC 84.7 (4.9) 85.7 (8.3) 0.401

FEV1.0% 87.2 (7.3) 88.7 (6.4) 0.674

PEF (ℓ/sec) 3.6 (0.6) 3.5 (0.4) 0.327

Oral Diadochokinesis 11.0 (1.0) 10.3 (0.6) 0.892

GOHAI 58.0 (3.0) 51.0 (5.8) 0.753

嚥下回数

3.0 (0.3) 3.0 (0.0) 0.317

3回嚥下時間 (msec) 10486.0 (2451.8) 7293.5 (2795.3) 0.917

舌骨上筋群の潜時(msec)

510.0 (254.5) 606.0 (162.8) 0.237

舌骨上筋群の活動時間 (msec)

2024.5 (441.1) 2405.0 (392.5) 0.866

舌骨下筋群の潜時(msec)

541.0 (245.9) 650.0 (174.8) 0.237

舌骨下筋群の活動時間 (msec)

1913.0 (323.1) 2270.0 (526.3) 0.735

嚥下音の潜時(msec)

2034.5 (418.1) 1493.0 (587.0) 0.237

嚥下体操 中央値 (四分位偏差)

P値

* p<0.05 ** p<0.01

(40)

9 転倒予防体操における介入前と介入後の比較

介入前 介入後

Kyphosis index 12.4 (0.6) 11.4 (0.7) 0.043 *

Forward head posture 51.7 (3.6) 52.5 (4.3) 0.735

甲状軟骨の位置

0.40 (0.03) 0.45 (0.03) 0.499

%FVC 79.0 (9.7) 85.4 (6.2) 0.327

FEV1.0% 89.7 (1.9) 88.0 (4.9) 0.674

PEF (ℓ/sec) 3.6 (0.2) 3.8 (0.5) 0.575

Oral Diadochokinesis 10.7 (0.3) 11.0 (1.0) 0.596

GOHAI 52.0 (3.5) 58.5 (2.3) 0.058

嚥下回数

3.0 (0.1) 3.0 (0.0) 0.157

3回嚥下時間 (msec) 8715.0 (1557.8) 4575.0 (3375.5) 0.612

舌骨上筋群の潜時(msec)

618.5 (213.9) 329.0 (16.3) 0.028 *

舌骨上筋群の活動時間 (msec)

2235.0 (367.4) 2258.0 (566.0) 1.000

舌骨下筋群の潜時(msec)

773.0 (276.0) 354.0 (60.5) 0.018 *

舌骨下筋群の活動時間 (msec)

1994.0 (461.3) 2049.0 (334.0) 0.612

嚥下音の潜時(msec)

1512.5 (542.5) 1580.0 (703.3) 0.735 * p<0.05 ** p<0.01

中央値 (四分位偏差)

P値

転倒予防体操

図 1  Kyphosis Index の算出方法  喉頭の位置は相対的な甲状軟骨の位置を測定した.甲状軟骨の位置は,頸部 最大伸展位時のオトガイと甲状軟骨上端の距離(genio-thyroid distance; GT ) ,甲 状軟骨上端と胸骨上端の距離 (thyroid-sternum distance; TS) を 5 ㎜単位で計測し, GT/(GT+TS)の式によって算出した値を視標とした 32 ) .  (2) 筋力の評価  頸部屈曲筋力の測定は,徒手筋力計( Isoforce GT310 ;
表 1  各評価項目における級内相関係数(つづき)  評価項目 級内相関係数 P値 単一測定 0.799 3回平均測定 0.923 単一測定 0.591 3回平均測定 0.813 単一測定 0.825 3回平均測定 0.934 単一測定 0.896 3回平均測定 0.963 単一測定 0.831 3回平均測定 0.937 単一測定 0.900 3回平均測定 0.964 単一測定 0.649 3回平均測定 0.847 単一測定 0.510 3回平均測定 0.757 単一測定 0.652 3回平均測定 0.84
図 4   Forward head posture の計測方法
図 5  筋電図および嚥下音の解析方法  指示された.記録した筋電図は帯域通過フィルタ( 60 ~ 350Hz ) ,全波整流処理 を行った後,低域通過フィルタ( 10Hz )処理を行った.得られた筋電図データ を基に,トリガー点から筋活動開始点までの時間(潜時)と筋活動開始点から 静止点までの時間(活動時間)を求めた.なお,筋活動開始点は,トリガー点 より 1 秒前の baseline activity の平均振幅に 2 倍の標準偏差を足した値より大きい 時点,筋活動静止点は baseline activ
+3

参照

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