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川 田

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Academic year: 2021

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(1)

﹃栄 花 物 語 ﹄ に お け る 藤 原 道 綱 像

︱ そ の 叙 述 の 特 色

川 田 康 幸 ︱

1

''﹃蛸﹃晴

'(九)'(九)「暮'﹃蛸「道とか。'

'1.'

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﹃鯖

(2)

点 が 強 烈 に 描 き 出 さ れ て い る 。 で は ﹃栄 花 物 語 ﹄ で は ど う か 。 ﹃栄 花 物 語 ﹄ の 中 で の 藤 原 道 綱 像 に は 、 ど の よ う な 特 色

が み ら れ る の か 。 ﹃栄 花 物 語 ﹄ で 道 綱 に 言 及 す る 部 分 は ' 巻 第 三 「さ ま ざ ま の よ ろ こ び 」 に 1 ヶ 所 、 巻 第 四 「 み は て ぬ ゆ め 」 に 1 ヶ 所 '

巻 第 六 「か か や ‑ 藤 壷 」 に 一 ヶ 所 ' 巻 第 七 「と り べ 野 」 に 一 ヶ 所 ' 巻 第 十 「 ひ か げ の か づ ら 」 に 一 ヶ 所 ' 巻 第 十 二 「 た

ま の む ら ぎ く 」 に 二 ヶ 所 ' 巻 第 十 六 「も と の し づ ‑ 」 に 1 ヶ 所 、 巻 第 二 十 7 「後 ‑ ゐ の 大 将 」 に 1 ヶ 所 の 計 ' 八 巻 九 ヶ

所 を 数 え る こ と が で き る 。 こ の ﹃栄 花 物 語 ﹄ の 道 綱 像 に つ い て ' 河 北 騰 氏 が 夙 に 、 巻 第 七 「 と り べ 野 」 及 び 巻 第 十 二 「た ま の む ら ぎ く 」 の 二 巻 を 取 り 上 げ て 、 ﹃大 鏡 ﹄ な ど を 参 照 に し た 上 で '

こ の よ う な 権 力 は 物 質 へ 寄 せ る 人 々 の 欲 望 や 執 念 が 、 そ の 連 帯 者 た ち を 、 暗 い 憎 悪 や 悲 嘆 の 心 境 に 陥 れ る も の で あ

る と い う 点 に つ き ' 栄 花 物 語 で は ' 割 合 に 簡 潔 な 抑 制 の あ る 筆 致 で 記 し て 居 り ' け っ し て 、 明 ら さ ま な 非 難 や 罵 倒

を 加 え る よ う な 言 辞 は な い 。 こ の 簡 潔 で 抑 制 の あ る 筆 つ き が 、 却 っ て わ た し た ち に 、 作 者 の 批 判 の 心 情 を も う か が

わ し め ' そ こ に 、 批 判 や 、 時 に は 説 刺 の 意 の あ る こ と を 感 知 せ し め る の で あ る . こ の 1 節 を ' わ た し が ' 権 勢 欲 に

対 す る 過 剰 批 判 と 名 づ け る 所 以 な の で あ る O ( r f境 娼 Ⅷ増 訂 韓 研

w

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.罪)

と 、 道 綱 に つ い て の 権 勢 欲 や 物 欲 の 凄 ま じ さ に 対 す る 批 判 が 描 か れ て い る と 説 ‑ 0

確 か に ﹃小 右 記 ﹄ や 説 話 集 の 中 に 語 ら れ る 道 綱 は ' 貴 欲 な ま で の 権 勢 欲 や 物 欲 を 示 す 。 だ が ﹃栄 花 物 語 ﹄ の 中 に は '

河 北 氏 も 「割 合 に 簡 潔 な 抑 制 の あ る 筆 致 」 と か 、 「明 ら さ ま な 非 難 や 罵 倒 を 加 え る よ う な 言 辞 は な い 」 と 指 摘 す る 如 く '

道 綱 の 権 勢 欲 に 直 接 言 及 す る 批 判 や 非 難 の 言 辞 ・ 記 述 は 無 い 。 道 綱 関 連 の 叙 述 で 目 を 引 ‑ の は ' 倫 子 の 妹 で 道 綱 室 と な

る 女 性 と 、 彼 女 達 の 母 ・ 一 条 殿 の 尼 上 (穆 子 ) に 言 及 す る 部 分 が 多 い 点 で あ る 。

本 論 で は ' ﹃栄 花 物 語 ﹄ の 叙 述 の 特 色 の 一 つ が ' こ の 道 綱 像 を 通 し て ' 穆 子 を 語 り ' 讃 美 す る 点 に あ る 事 を 明 ら か に

30

(3)

した い。

﹃栄

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(九一)'(九八三)

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(九八五)'(九八六)

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(4)

註四

十 二 歳 に な っ て い た 左 近 少 将 道 綱 で あ っ

た。

東 宮 ・ 懐 仁 親 王 が 詐 を 嗣 ぐ こ と に よ り ' 兼 家 が 万 機 を 摂 行 す る 摂 政 と な

れ た の で あ る 。 兼 家 の 息 子 達 で こ の 花 山 天 皇 の 脱 展 に 関 連 L t 大 活 躍 し た の が 道 綱 で あ る 。 花 山 天 皇 が 宮 中 よ り の 脱 出

を 蹄 持 し た 時 、 道 兼 が 発 し た 言 葉 は t F大 鏡 ﹄ に よ る と 以 下 の 如 ‑ で あ る 。

あ り あ け の 月 の い み じ く あ か 〜 り け れ ば 、 「顧 護 に こ そ あ り け れ 。 い か が す べ か ら ん 」 と お は せ ら れ け る を ' 遭 兼 「 さ り と て ' と ま ら せ た ま ふ べ き や う 侍 ら ず . 神 璽 ・ 賛 助 わ た り 給 ぬ る に は 」 と ' あ は た

どのゝ

さ は が し 申 給 け る

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と い う 。 「神 璽 と 宝 剣 が 東 宮 に 渡 っ て し ま っ て い ま す か ら 」 と い う の が 、 花 山 天 皇 を 説 得

切札に使われてい

r大 鏡 ﹄ で は 神 璽 宝 剣 を 道 兼 自 身 が 東 宮 の 方 に 渡 し た と 続 い て ゆ ‑ が 、 F扶 桑 略 記 ﹄ 等 に よ れ ば 、 道 綱 と す る 説 も 広 ‑

信 じ ら れ て い た 。 花 山 天 皇 脱 尾 の 翌 日 ' 道 兼 は 蔵 人 頭 に ' 道 綱 の 方 は 蔵 人 に 任 ぜ ら れ て い る の は ' 彼 等 に 対 す る 論 功 行

賞 で あ ろ う 。 東 宮 の 方 に 神 璽 宝 剣 を 渡 す 役 割 を 演 じ た の は 道 綱 の 方 で あ る と 思 わ れ る 。 道 綱 の 功 績 は 大 き い と 言 え る だ

ろ う 。

だ が 、 花 山 院 脱 尾 後 、 時 姫 腹 の 道 隆 ・ 道 兼 ・ 道 長 の 三 兄 弟 は 目 覚 ま し い 昇 進 を す る が 、 道 網 自 身 は 目 立 っ た 昇 叙 や 任

官 は な く ' 三 十 六 歳 と な っ た 永 詐 二 年 (九 九

〇)

正 月 の 叙 位 で 、 弟 ・ 道 長 と 共 に 正 三 位 に 昇 る が ' 父 兼 家 の 生 前 に は 参 読

に 任 官 さ れ る こ と は 無 か っ た 。 永 詐 二 年 正 月 の 叙 爵 で 二 十 五 歳 の 弟 は 、 正 三 位 権 中 納 言 で 右 衛 門 菅 を 兼 帯 し て い た の に

比 し 、 十 一 歳 年 上 の 兄 は ' 単 な る 正 三 位 中 将 で あ る 。 位 は 高 い が 実 質 が 伴 わ な い 。 名 誉 職 に つ け ら れ て い た だ け と い っ

て も 過 言 で は な か ろ う 。

道 綱 が 参 議 に 任 用 さ れ た の は ' 翌 正 暦 二 年 (九 九 一) 九 月 七 日 で あ っ た . 寛 和 二 年 の 年 初 の 官 位 と ' 永 詐 二 年 七 月 二 日 表 Ⅰ 参 照 の 兼 家 莞 去 時 の 官 位 を 他 の 兄 弟 と 比 較 す る と ' 道 綱 と 他 の 三 兄 弟 の 落 差 は 大 変 大 き い

と言える

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(5)

九 月 七 四 日 日 十 宇 月 七 日 正 月 七 日 寛 和 毒 ( 九 八 七 ) 十 十 日 十 八 月 十 日 十 五 月 十 日 五 日 八 月 十 十 日 七

E

j 十 十 辛 日 日 目 六 十 九 日 日 五 七 月 六 日 月 ± ̲ 年 日 初 寛 Z 型 毎 ( 九 八 5

享 五

読 垂 直 亮 軽

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正 孟 権 中 響 ■ : コ

壷 右 中 将 辛 読 四

四 位

上 享 a 右 将 中

四 位 下

蔵人

正 五 位 下 左 少 将 蔓 議

辛 七

読 正 a

壷 権 中 響 。 莱 作 檀 守

読 右 中 将

位 下 威 四 人 頭 正 五 位 下 左 少 弁

六 皮

道兼

位 上 妻

四 a 位 下 左

四 少 将 少 壁 ■ : コ 正 五 位 下

蔵人

罪 殿 五 位 下 右 兵 衛 権 佐 辛

道良

(6)

磨 正 寧 十 月 永

*

永 些 永 琴 十

年 末 九 月 ( 年 九 八 月 六 月 五 月 正 月 年 ( 九

月 月 育 i

牢 ( 九 正 月 ̲ 毎

(

月 十 月

九 十 士 九 士 ± 八 十 八 十 十 十

)

五 日 五 日 日 ′ 日 ヽ ノヽ 日

日 ○

) 日 五 日

日 日 九 ヽ ■ ノ 九 日 八

)

七 日 日

日 十 日

摂 政 辛 九 読 摂 政 関 白

臣 辛 七 読 辛 六 読

参 読

芋 六 読 辛 五 読 辛 氏

臣 手 歳

辛 歳 垂

呂 辛 九 読 宇 八 歳 琴

読 四 檀 申 ∩ 主

(作 成 に は ﹃ 公 卿 補 任 ﹄ ・ F大 鏡 裏 書 ﹄ 等 を 参 考 に し た 。 )

(7)

従 三 位 右 近 衛 中 将 で し か な か っ た 長 兄 ・ 道 隆 は ' 足 掛 け 五 年 で 正 二 位 摂 政 内 大 臣 と し て 万 機 を 摂 行 し て い る 。 道 綱 と

同 じ 正 五 位 下 で あ っ た 道 兼 は ' 左 少 弁 か ら 正 二 位 権 大 納 言 と な り 右 近 衛 大 将 を 兼 ね る と い う 、 押 し も 押 さ れ ぬ 政 界 で の

実 力 者 と な っ た 。 従 五 位 下 右 兵 衛 権 佐 と い う ' 道 綱 よ り 官 位 の 低 か っ た 道 長 に し て も ' 先 述 し た 如 ‑ 正 三 位 権 中 納 言 と

い う ' 摂 関 家 の 息 子 達 に ふ さ わ し い 地 位 と 要 職 を 占 め て い た 。 一 方 道 綱 の 方 は ' 正 五 位 下 左 少 将 か ら 、 非 参 議 の 単 な る

正 三 位 右 近 衛 中 将 で し か な か っ た 。 五 年 間 で 位 こ そ 一 つ 上 で あ る が 、 や っ と 長 兄 ・ 道 隆 と 同 じ よ う な 地 位 に 至 っ た だ け

で あ る 。 時 姫 腹 の 兄 弟 が 目 覚 ま し い 昇 叙 、 任 官 に あ ず か っ て い る の と 比 較 し た 場 合 、 道 綱 は 花 山 院 脱 展 事 件 で の 功 績 も 、

弟 ・ 道 兼 程 評 価 し て も ら う こ と も 無 く 、 父 兼 家 か ら 冷 遇 さ れ て い た と 言 っ て も 過 言 で は 無 い 待 遇 し か 受 け て い な い 。

摂 猿 の 臣 が 道 隆 に 変 わ っ た 後 ' 翌 年 の 正 暦 二 年 (九 九 一) 九 月 に 参 議 と な る 。 同 三 年 (九 九 二) 正 月 に は 備 前 権 守 を 兼 帯 す

る が ' 長 徳 年 間 に 至 る ま で ' 正 三 位 参 議 中 将 の 地 位 に 変 化 は な い 。 道 綱 が 中 納 言 を 経 て 、 大 納 言 に 至 る と い う 喜 び を 得

る の は ' 弟 ・ 道 長 に 内 覧 宣 旨 が 下 っ た 後 で あ る 。 従 二 位 権 大 納 言 中 宮 大 夫 で あ っ た 道 長 に 内 覧 宣 旨 が 下 っ た の は ' 長 徳

元 年 (九 九 五) 五 月 十 一 日 で あ っ た 。

長 徳 元 年 と い う 年 は 激 変 の 年 で あ り ' 多 ‑ の 公 卿 が 弟 去 す る と い う 大 変 な 年 で あ っ た 。 ﹃ 日 本 紀 略 ﹄ に よ り 順 を 追 っ

て 乗 じ た 公 卿 を み て ゆ く 。

三 月 廿 日

四 月 十 一 日

四 月 廿 四 日

五 月 八 日

五 月 八 日 正 二 位 大 納 言 藤 原 朝 臣 朝 光 舞 。 年 州 五 。

入 道 関 白 藤 原 朝 臣 道 隆 責 南 院 。

正 二 位 大 納 言 乗 右 近

大 将 原 朝

済 時 弟 。

十五。

左 大 臣 正 二 位 源 朝 臣 重 信 舞 . 年 七 十 四 。

関 白 右 大 臣 正 二 位 藤 原 朝 臣 道 乗 舞 。 年 三 十 五 。

(8)

廿

正 三 位樺 中

言 右 衝 門 督 源

臣 伊 捗亮

年五十八

1

樺 大 納言 正

位 藤 原 朝臣 道

責 。 年廿五 。

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