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生涯スポーツの心理学

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Academic year: 2021

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生涯スポーツの心理学

―生涯発達の視点から見たスポーツの世界―

The Psychology of Lifelong Sports

―The world of sports in terms of lifelong development―

羽田 碧*,窪田 辰政*, **,森脇 保彦***

Midori HANEDA*,Tatsumasa KUBOTA** and Yasuhiko MORIWAKI***

生涯にわたってスポーツを行うことの重要性を 初めて指摘した人物は、古代ギリシャの哲学者の プラトンであるといわれる。 それから 2000 年以 上経過した現在、生涯スポーツの重要性が広く知 れ渡るようになり、多くの人が一生涯にわたって スポーツを楽しんでいる。

なぜスポーツは幅広い年代に受け入れられてい くのであろうか。そしてどうして人はそんなにも 長い間スポーツを続けられるのだろうか。それは、

スポーツが肉体的にも、精神的にも充足感を与え るからではないか。スポーツをすることは体力の 向上、生活習慣病の予防といった、身体に良い効 果をもたらす。また体を動かすことで、爽快感や 達成感を得ることができ、メンタルヘルスが保た れる。このようなスポーツの特性が人々をスポー ツへと駆り立てるのだろう。そしてスポーツを語 る上で看過できないのは、スポーツの汎用性であ る。特にスポーツ心理学は日常生活の精神活動に も生かしうるという可能性を持っている。つまり 本書はすべての世代の人の心の支えとなりえるの ではないか。

しかし大いなる可能性を持つはずのスポーツ心 理学の対象の多くは、今まで競技スポーツの適年

齢とされている青年や成人であった。そのため、

ほかの世代は青年・成人期で得られた知見を応用 することで対応してきた。だが、人間は年を取る とともに肉体的にも精神的にも大きく変化する。

それに応じて、スポーツの持つ意味や価値はその ときどきで大きく異なっていく。そのため、発達 段階に応じたスポーツ心理学が求められていた。

本書は、生涯発達の視点からスポーツ心理学が取 り上げられている初めての本として画期的な存在 である。

発達段階に応じたスポーツ心理学を最も求めて いたのは指導者であろう。本書は特に指導者に向 けた本として最適である。構成は四部に分かれて おり、Ⅰ部序説、Ⅱ部乳幼児・児童期、Ⅲ部青年・

成人期、Ⅳ部中・高年期というように発達段階に よって書かれてある。この構成は特定の世代のみ 指導する指導者のみならず、様々な世代を教える 指導者にもとても分かりやすいものとなってい る。内容についての特徴は今までの指導法の問題 点であったスポーツ根性論に見られるような非科 学的で、いたずらに身体に負荷を掛けるような指 導法を一切排している点である。本書では利にか なった指導法に終始しており、一見難しそうな科

* 筑波大学(University of Tsukuba)

** 静岡産業大学(Shizuoka Sangyo University)

*** 国士舘大学(Kokushikan University)

書 評

(2)

羽田・窪田・森脇

80

学的な手法もグラフや図が豊富であることで理解 しやすくなっている。

生涯スポーツという考えが広まり、幅広い年代

の人々がスポーツを行なっている。いかにしてそ

の個々人の年齢に合った指導をするか指導者にと

って大きな命題となっているであろう。スポーツ

指導に関わるあらゆる指導者にとって本書は生涯

スポーツの心理学の拠り所となるだろう。また生

涯スポーツをどのように楽しむのかについて多く

の情報がちりばめられている。指導者のみならず

スポーツに関わる全ての人々にとってなくてはな

らない一冊となるに違いない。

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