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熊 本 市 周 辺 の 地 質 と 地 形 巡 検 記

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Academic year: 2021

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熊 本 湖 東 中 甲 斐 有 男

熊 本 市 周 辺 の 地 質 と 地 形 巡 検 記

ない1日だった。

巡検記をどなたかに頼まればと思ったが,

私はそれを依頼するのに気が重かった。3月 に入ると学校も忙しくなり,田村先生への報 告も3月28日になってしまった。6月はじめ,

会誌縄集係の田代先生から巡検記を書いて欲 しいとの連絡を受けたので,責任上私が書く ことにした。3ヶ月も経ているので細かい点 は書けそうでない。しかし,昨年の4月湖東 中学校に転任してからこの3月まで,湖東中 学校新館の屋上から見える地域内の岩石を集 めて来たのでこの巡検コースは何回か巡って いる。その観察と合せてコース順に記して見 たい。なお専門的なことは会誌NQ20〈熊本周 辺の地質と地形一高橋俊正一〉,NQ19〈熊本 1 は じ め に

昭和41年度第1回巡検会を2月27日に実施 したがあいにくの雨で,所期の目的を十分達 することができなかったことは残念だった。

案内状に小雨決行としたので花畑町公園に行 って見るとまだ誰も来ていない。夜明けから の小雨は公園の若葉をしっとりと濡らしてい る。予定時刻が来て集合された会員の方は,

指導者の先生を加え29名。申込み数は39名だ ったので結局10名の欠席が出たことになる。

そ れ で も 雨 に も 風 に も め げ ず に 参 会 さ れ た 会 員の方々の熱意に感激しながら花畑公園を出 発.した。しかし,雨は予定の巡検コースを終 るまで降り止まなかった。まったくついてい

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市南方の上部白亜系一田代正之一〉,熊日編 集く人類以前の熊本〉を御覧お願いしたい。

2 京 町 台

花畑公園を8時に出た私たちのバスは雨の 中を京町台に上り電通学園の近くから寺原に 下る。、ちよう度,菊池睡鉄のトンネルがある 上の方に阿蘇の噴出物が堆祇している蟻があ る。これは軽石を含む凝灰岩からできている。

京町台地は上部から黒色表土,ローム質赤色 土,軽石質凝灰岩,角喫質凝灰岩,そして溶 結質凝灰岩からできているらしい。おそらく 阿蘇の大噴火によって放出された火山灰,火 山磯,軽石,岩片などが数十 の厚さで金峰 山の東斜面に堆積されたものが雨水の侵食に よって井芹川と坪井川をつくり,更に侵食の 度を増し,現在のような地形すなわち京町台

をつくったものであろう。

3 八 景 水 谷 の 湧 水

パスは寺原田畑をねけて八景水谷につく。

この湧水は台地の崖下に露出する砂喋層から 出ている。説明によれば託麻台地(但し,白 川の北岸地域)と菊地台地の自由地下水が砂 喫層面を流下して湧水しているとのことであ る。ただ八景水谷南東の立田山との関連はど うなっているのだろうか。八景水谷の南にあ る亀井にも相当な湧泉がある。このところに 少し凝問が残されている。

4小山戸島の白亜系地層

八景水谷から黒髪に出て子飼橋を渡り,保 田窪面上をパスは走る。雨はひどくはないが 降りつづける。保田窪から八反田に出る途中 に10泥前後の段丘崖がある。これが保田窪面 と託麻面との境界である。車は小山山の山麓 に蒲〈。ここで上部白亜紀の地層を見る。断 層や摺曲も見える。岩質は粗粒砂岩を主とし,

頁岩を含むようで全休的に風化の度合が進み いかにも残丘という感を受ける。ちなみに小

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山,神園,戸島,御船塚の残丘が堆積岩で構 成されていることは古くからわかっていたが 化石の産出がないので時代の決定が出来なか った。昭和27.8年頃,熊大教育学部の学生,

永目俊夫氏(現在八幡製鉄勤務)がここで貝 化石を発見したのが手がかりとなり研究の結 果,白亜紀の末期と決定された。これは後で 述べる木原山の未発見化石が昨年8月尚綱高 校の田代正之氏によって発見されたのとなら んで重要な賛料を学界に提供したものである。

この事から思うのは化石1個と言えどもおろ そかにされないということと学問に対する熱 情が如何に大切であるかということを痛感さ せられるのである。

5 詫 麻 砂 喋 層

パスはまた雨の中を木山へと向う。晴天な らば白水台地と託麻台地の境界がくっきりと 北東方向に見ることができるのに,そしてま た,この託麻台地が広大な若い地形で所々に 侵食谷をつくりつつあるのが見られるのに今・

日は雨で煙って見られないのが残念であった。

木山町寺迫部落の北側は木山川の侵食によ る阿蘇噴出物の急崖となっている。これは阿 蘇噴火の第4期軽石流堆積物といわれる。こ の上部近くに砂喋層がはさまっているがここ ではあまり明瞭でない。少し北の台地上に登 ると侵食谷があるがそこでは観察される。

6 神 水 苑

熊本市神水町の神水苑は水前寺と同様Iij喋 層からさかんに地下水が湧出している。この 庭園は昔,細川氏のもので終戦時までお茶屋 跡と言っていたが現在私有地となって宴会場 に利用されている。水前寺成趣園とはまた変 った趣があり私の見るところでは年中,湧水 量が一定しているように思える。これはおそ らく広大な既麻台地上に降った雨水がローム 質表土,砂喋層,火山灰質軽石質堆積物層な どの透水層に貯水され下部の不透水層(おそ

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らく溶結凝灰岩)面にそって南東及び西方に 流下し台地(保田窪面)の末端から湧出して いると考えられる。なお,この湧出口付近の 畷を見ると安山岩質岩石を母岩にした磯であ

ることが明らかである。

なお,画図湖周辺の自噴井を見るとかなり の高さに噴き上げている。これについては巡 検資料に高橋先生が詳細に説明されていられ

るので見て頂きたい。

神水苑で中食の予定だったが雨が止まない ので,湖東中学の教室を借りて中食をとった。

日直の先生が折角沸したお茶も間に合わずつ ぎの巡検地に車を走らせた。

7城南舞の原台地と木原山 城南町に北から入ると新道の上に舞の原台 地の砂喋層が出ている。地層の向斜と偽層が 見られる。これは緑川が運搬して作った新し い堆積物であろう。

ここから木原山に向い六殿宮前で車を降り 木原不動尊の奥の院の上に出る。木原山は主

として赤色の泥質物質で固着された喫岩が大 部分で喋も大きく藻はまた各種の岩石からで きている。木原山は今まで化石が発見されな かったので御船層群の一部と考えられたり姫 の浦層群の基底喋岩といわれたりしてその所 属不明の地層であったが前記のように昨年8 月,田代正之氏が頂上近くで台風のため倒木

した下から化石を発見した。このことについ ては会誌NcL19を御覧願いたい。

8 住 吉 海 岸

私たちのパスは宇土駅前を通り住吉に直行 した。住吉海岸では凝灰角喋岩及びそれに被 われている角閃石安山岩を見る。海食の様子 がよく見られ,海食洞もできている。

9 花 岡 山

花岡山は古期金峰山の一部で山体の主要構 成岩石は角閃石紫蘇輝石普通輝石安山岩であ

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るがこの露出は山頂近くまで行かないと見ら れない。仏舎利塔の下の道路で観察をした。

雨はやっと止んだようである。板状節理の 観察は西斜面と万日山の頂上付近がよいがも うそこまで行く気力もなくなったので観察を 終って花畑公園に向った。

花岡山は山麓の方には凝灰角喋岩あるいは 軽石質凝灰岩があって阿蘇の火砕流堆積物を 安山岩の上に乗せている。なおまた,万日山 の頂上付近の安山岩は風化が進み,タマネギ 状の剥離がよく観察できる。

1 0 お わ り に

今回の巡検会は参加者募集の時から難航し た。はじめ50名を予定して大型パス1台を頼 んでおいたが申込みを受付て見ると20名を越 えない。これでは参加者の負担が増すので田 村先生と相談してマイクロバスに切り換えた。

ところが締切りの日になって40名近くなった ので,あわててマイクロバスを2台にした。

少々窮屈だが何とかなるだろうと思っていた ところ,当日が前記のように雨である。その ため全員39名が29名となり参加会員の方には 予告より150円も多く費用を出して頂き,やっ とパス代を支払った次第になった。参加会員 の方に対して本当に申し訳なく思っている。

何だか私1人の責任のように思えてならなか った。そこで会員の方にお願いしたいのは申 込みと同時に予約金を出して欲しいというこ とである。大変事務的に考えられるけれども,

予約金を出していないのでたやすく欠席して 頂くと参加された方に対し,非常に御迷惑を おかけすることになる。 どうかこれからこん なことがないようよろしくお願い申し上げる。

最後になってしまったが雨の中を駈け廻り 1号車,2号車と交代で説明に当って頂いた 高橋先生と田代先生に厚くお礼を申し上げま す。本当に有難うございました。

参照

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