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上村雄一

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(1)

経営と経済 第74巻第1号1994年6月

《判例研究》

犠牲者救済規定の適用打切決定の適法性

東京地平4・12・11決 平3(ヨ)二二七八号 地位保全等仮処分申立 事件

労判623号

上村雄一

[事実]

0 債務者(Y)は郵政省職員等の組織する労働組合であり,債権者ら(Ⅹ 1〜Ⅹ4)はYの元組合員である。

⇔ 昭和53年11月から同54年1月にかけて,Yはいわゆる郵政マル生反対 闘争を全国的に展開し,ⅩらはYの闘争指令にしたがって職場闘争に参 加し,昭和54年4月28日付で郵政省から懲戒免職処分(本件免職処分)

を受けた。

臼 Yは,闘争参加組合員に対する懲戒処分の撤回闘争を組合活動として 強力に推進するため,昭和54年4月に,中央闘争委員会(中央委員会が これを兼ねる)内に「反処分闘争指導委員会(反処分委員会)」を設置 するとともに,反処分委員会の決定に基づき,Ⅹらをはじめとする被免 職老55名に対して,人事院に対して免職処分の不服審査を申し立てるよ うに指導し,Ⅹらはこの指導にしたがい審査手続をすすめた。人事院が

Ⅹらの申立を棄却(免職の承認判定)したことから,さらにYは本件免

職処分の取消しを求めて提訴するように指導し,Ⅹらをふくむ45名はこ

(2)

れにしたがい,自ら原告になって訴訟を提起し,訴訟を遂行した。

個 ) 昭和

54

5

2

日 ,

Y

は,中央執行委員会で,

X

らを含む免職者

55

名 全員に対して,被免職者は地方本部・地区本部の掌握と指導の下に行動 することを確認したうえで,緊急事項の処理として,犠牲者救援規定(犠 救規定)が適用された場合に補償される給与と同額を支給する旨の措置 (,犠救規定仮適用J

)

をとることを決定し,この措置は昭和

56

7

月の

Y

の全国大会で承認された。その後,

Y

の執行委員会は,昭和

56

9

月 1日付で, Xら (X4を除く)に対して犠救規定を適用することを決定 した

(X4

は,反処分委員会による任務配置の指導にしたがわなかった ことを理由に犠救規定の適用を否定された。)。

同 その後,

X

らをはじめとする被免職者による上記免職処分取消訴訟は,

その進行状況から,一審判決までさらに長期間を要することが予想され ること,労使関係をめぐる環境の変化があったことから, Yは,本件免 職処分撤回の実現のみならず,被免職者の郵政省への再就職や関連企業 への就職斡旋の折衝を精力的にとりくむようになった。かかるなか,反 処分委員会は,平成

2

8

22

日 ,

X

らをはじめとする被免職処分者に ついて,①郵政職員試験有資格者は,全員,職員採用試験を受験する,

②郵政関連企業など民間企業へ就職斡旋する,①自立の道を進める,① 犠救適用の特例を行う,①訴訟は取り下げる,との方針を決定し,この 方針は東京地方本部並びに中央委員会で確認・承認された。これに基づ き ,

14

名が東京郵政局の職員採用試験を受験し,その他の者は郵政省ま たは Yの斡旋により関連企業への就職を決したり自立の道を選択した。

また,すでに就職・自立している者も含めて被免職者

39

名が前記提訴の 取下げ書を提出した。しかるところ,採用試験受験者全員が不合格の結 果となった。

村上記採用試験の結果を踏まえて,

Y

は平成

3

5

月2

2

日の臨時中央委

員会会議において,①

12

年におよぶ歳月の経過と重み,取り巻く状況の

(3)

犠牲者埼済規定の適用打切決定の適法性 263 

変化等を勘案し,反処分闘争については組織的に整理し,終結を図る,

②郵政省への再採用への道及び裁判闘争は断念する,③犠救の扱いは,

これまでの反処分委員会決定と規定にしたがって対処する,④受験者の 就職先確保に努め,組織の責任で生活基盤の確立に全力を傾注する,① 上記①④は同年

6

月末までの間に終了する,③反処分委員会は解散する,

ことを提案し,承認された。これを受け

Yは,平成3

6

月1

7

日開催の 中央執行委員会で,①採用試験を受験し,採用されなかった者について は就職斡旋を行い,生活基盤の確立に全力を傾注する,②就職斡旋を辞 退し自立の道を選択する者については,その意思を尊重する,③犠救適 用の特例措置は反処分委員会の決定するとおり精算して支払う,④以上 の措置は平成 3年 6月末日までに終了する,①上記臨時中央委員会及び この決定に従わない者については同年

6

月末日をもって一切の犠救適用 を打ち切る,①本件犠救適用者の組合籍は以上の措置により同年

6

月末 日をもって喪失する,旨を決定し同決定は同年 7月 9日開催の全国大 会で承認された。

(

廿 同時に

Y

は,平成

2

11

27

日の中央委員会で,

Y

の組合員籍を離脱 する者に対して,最高

1

000

万円の特別加算金を支払うことを決定し,

その旨を所属地区本部を通じて

X

らに告知し,平成

3

6

14

日,その 離脱の時期を同月末までと定めた。離脱を承諾した該当者に対しては,

離脱時に特別加算一時金と

5

割加算された退職金が支給された。

Y

は,平成

3

6

24

日,中央執行委員長名義で

X

らに対し,同月末 で組合員資格を失う旨の通知を発するとともに,

X 4

を除く

X

らに対し て,同人らに対する犠救適用は打ち切る。各人の犠救出向(反処分委員 会の決定に基づく被免職者に対する任務配置)も同日までとする旨の通 知をした。

1)Xらは, Yの犠救規定上,組合機関の決定に基づく組合活動により解

雇または免職された者については犠救規定の打切りをすることはできな

(4)

いこと,並びに,

Y

による

X

らの組合員資格喪失措置が無効であること を理由に,犠救規定に基づく犠救金相当額の仮払い,並びに, X らが Y の組合員である地位を仮に定めることを求めて仮処分を申請した。

[決定要旨]申立却下

付組合の犠救金規定によれば,

I

救済事由が生じた場合の救済の可否及 び内容に限らず,救済の変更,終了についても中央委員会に裁量が認め られているものと解することができ,このように考えることは,団結の 維持・強化を図ることを目的とする本件犠救制度の趣旨に反することに なるものでないから,中央執行委員会は

‑H

犠救規定の適用を決めた後 も,自己の責任においてその適用を打ち切ることができると解すべきで あって,犠救規定の適用の打切りはできないとする債権者らの主張は採 用できない。

j

t

「犠救規定の適用及びその運用についての中央執行委員会の裁量は,

それにより組合員の団結を維持強化するという前記犠救制度の趣旨・目

的に由来するのであるから,その制度の趣旨・目的に沿う限度で許され

るものであるというべきであるが,犠救規定適用の打切りについて,こ

れを債権者らが主張するように適用対象者が明らかに団結を害するよう

な行為をした場合や労働組合が存亡の危機に至るほど財政事情が悪化し

た場合に限られなければならないとする根拠がない。そして,犠救規定

の適用や打切りを含めた具体的運用が組合員の団結の維持・強化という

目的に反しているか否かは,その時点時点における組合の運動方針とも

深く関わるものであるから,その手続が明らかに規定に反している場合

や同一事案において個々の対象者につき取扱いに差別・不公平があるな

ど著しく裁量の範囲を逸脱しており,犠救制度の趣旨に反することが明

らかな場合を除き,その適用は組合の自主的決定に委ねられており,そ

の裁量の範囲内にあるものと解するのが相当である。」

(5)

犠牲者救済規定の適用打切決定の適法性 265 

同 「本件の場合をみると,本件全資料によっても Xらが明らかに団結を 侵害する行為をしたとか,

Yが存亡の危機に至るほど財政事情が悪化し

たとの事情は窺われないが,本件資料及び審尋の全趣旨によれば,

Yは

昭和

33

年以降本件免許処分までの間に約

250

名の解雇・解職者に対して 犠救規定を適用してきたが

3

年以上給与補償を受けた者は

2

割に満た ず ,

12

年以上適用されていた者はわずか

2

件のみであること,昭和

47

年 の

Y

の第

25

回全国大会において,解雇・免職後

3

年を経過した者につい ては書記への身分切換えや他への就職斡旋等を行うことを原則とし,そ れ以降は一部あるいは全部の犠救金の支給をしないとの取扱基準が確認 されたことが認められ,これらの事実と前記認定の Yが本件犠救規定の 打切りを決定するに至った事情や打切りに際して相当額の特別加算金及 び退職金の割増支給がされていること,被免職者の大半が右方針を是認 していることなどの事実を合わせ勘案すると,本件犠救規定の打切りが 犠救制度の趣旨に反することが明らかで,中央執行委員会の裁量の範囲 を逸脱していることは認め難い。」

個~ r

地位保全の仮処分は相手方の任意の履行を期待する仮処分であるだ

けでなく,前記のように Yの前記方針は中央執行委員会で決定されたう

え,最高決定機関である全国大会の承認を経ているものであることから

すると,早期の方針変更の可能性は極めて少なく,本案判決を待ったの

では

X

らに著しい損害が生じたり急迫な危険が生じたりするとは認め難

い。/また, Xらが主張するその他の必要性も,結局は Yの運動方針を

変更させるための活動の必要性であるから,その可能性が極めて少ない

以上,仮に X の主張の事実が疎明されたしても,それによって保全の必

要性が認められないだけでなく,当局による X らの活動の妨害について

は,当局は本件仮処分申立の当事者でないため,仮処分が当局に対して

法的効力を生ずるわけではない。」

(6)

[検討]

1.論 点

犠牲者救済金制度をめぐっては,従来,組合脱退者または組合被除名者に 対する返戻請求の当否,返戻規定改定の効力,救済事由が生じた場合の犠救 決定者の救済開始の裁量の範囲等が争われてきた。これに対して,本件では犠 救金打切りの権限,権限の範囲,権限行使の合理性が論点になっている。

この種の事件についての裁判所の判断はみあたらず,本件決定がおそらく裁 判所としての最初の判断である。内容的にも,犠救決定者の権限の根拠・範 囲など重要な論点を含んでいる。仮処分事件であるが,本件をとりあげるこ

とにする。

(1)  犠救制度に関する論点については,山口浩一郎『労働組合法IJ(有斐閣 1983年)53  頁以下参照。

(2)  犠救規定の適用開始に関する判決として,東京地判平成31016(労働判例598号) がある。同事件は,本件と同じくYを被告とし,本件犠救規定(ただし,打切りでは なく,適用開始の要件を争点としている)について判断したものであり,本件決定を 評価するうえで参考になる。すなわち同事件で,原告らは, Yには組合員に救済事由 が生じた場合には犠救金を支払うべき一般的義務があるところ,原告らには現実に救 済事由が発生しているのであるから,原告らの申請を待つまでもなく, Yは適用決定 を行い犠救金を支払うべき義務を負うとともに,原告らは Yの内部処理の必要な期間 が経過すれば当然に犠救金が支払われるべきことを期待できる法的地位を有している と主張した。これに対して,同判決は, Yの犠牲者救援規定に注目したのち(本件決 定と同ーのアプローチである),犠救金の支給は,犠救規定が定める救済事由の発生に よって自動的に行われるものではなく,関係機関の適用決定があって初めて行われる,

関係機関には救済事由が生じた場合の救済の可否及び内容について一定の裁量が認め られている,不当な目的をもって適用決定を遅らせたなどの特別な事情がない限り,

適用決定をしないで経過したこと自体が債務不履や不法行為を構成することはないと 判決した。

事件内容の相違(打切りではなく,開始をめぐる紛争という点で)を無視してなら ないが,犠救規定が関係機関の裁量を肯定する表現( subjectivelyworded c1ause") 

(7)

犠 牲 者 救 済 規 定 の 適 用 打 切 決 定 の 適 法 性 267 

すなわち本件決定は,

Yの犠牲者救済規定(犠救規定)に注目したのち,

Y中央執行委員会の犠救打切り決定権限(裁量権)を認め,結論として,本 件犠救打切り決定を適法とする。要旨付で犠救打切り決定権限(裁量権)の 根拠を説示し,要旨りで決定権限(裁量権)の範囲を,要旨同で打切り決定 権限(裁量権)の行使の妥当性について説示している。そこで以下,この構 成にしたがって分析をすすめる。またこれに併せて,犠救打切り決定と同時 におこなわれた Yによる Xらの組織排除にかかわり, Xらの組合員資格の地 位保全の申立を必要性の欠如を理由に認めない要旨但)について検討する。

2.犠救打切り権限の存否

本件決定は,

Y

の犠救規定に注目することにより,要旨付の結論に到達し ている。この犠救規定に注目するアプローチは正当であり,決定列挙の各犠 救規定からすれば,その結論も妥当である。

これに対して

Xらは,犠救規定上,組合機関の決定に基づく組合活動によ

り解雇または免職された者については犠救打切りはできないと主張してい る。この主張は,犠救打切りの明文規定の不存在を根拠にしているのか,犠 救制度の本質論(たとえば,

I

組合活動の犠牲者への救済を労働組合が途中 で中止することはありえないのであるから,犠救打切りの権限は存在しない はずである」といった考え方)を根拠にしているのか不明であるが,両者の いずれであるにせよ,説得的な主張ではない。

前者の場合,たしかに Yの犠救規定上, Xら主張の事例について Y執行委

を採用していることを理由に,その裁量権を広く認める結論になっている点で両者は 共通する。 subjectivelyworded clause"の解釈問題については後で本文で簡単に触れ る。

同事件について原告側より控訴されたが,東京高裁は原審と同一理由で棄却判決を 下し,事件は確定している(平成4827日判決) (判決記録集未掲載)。

(8)

員会の犠救打切り権限を明文で定める具体的規定はみあたらない。しかし,

それだけを理由に直ちに権限の不存在を結論づけることはできない。むしろ 本件では,犠救支給開始以降の犠救打切りに関係する規定が存在しないとい うわけではなく,白地規定に止まっているとはいえ,

I

その他救済委員会が 必要と認めた場合」には犠救の一部または全部を支給しない旨の規定が存在 している。白地規定にも一定の規範性を認めるのが相当であるとすれば,打 切り権限は存在しているとの結論になる。

後者の犠救制度の本質論は,もしそれが仮に本件犠救規定と無関係に展開 されているとすれば,アプローチ自体に問題がある。犠救制度は多くの組合 にみられる制度であるが,

Y

の犠救制度を離れて,犠救制度の「本質論」を 権限不存在の根拠とすることは不当である。もし

Y

の犠救規定を前提にした 主張であるとすれば,それは犠救規定の解釈問題ということになる。他方,

Y

の犠救規定を前提にしない主張であるとすれば,それ自体,不当であるが,

仮にそのような一般的主張が認められるとしても,白地規定であるにせよ,

犠救打切りを認める規定が存在する以上,それを無視することは許されない のであるから,犠救制度の本質論を考慮の対象に加えるにしても第二義的な 位置を占めるにすぎない。

もとより,本件事実が本件犠救規定の定める「その他救済委員会が必要と 認めた場合」に該当するか否かは別の問題である。これに該当しないとの主 張の成立する余地は十分にある。打切り理由を客観的に定める規定

(objec tively worded c

1

auses)

ではなく,

I

救済委員会が必要と認めた場合」とし、

う打切り権者の裁量を肯定する表現

(subjectivelyworded c

1

auses)

になっ ているが,これによって,犠救打切り権者の一方的裁量が肯定されるわけで ない。犠救規定の文理的意味の解明が重要であることはいうまでもないが,

それを過度に重視すべきではなく,本件犠救制度の趣旨・内容に照らして,

Xらが本件犠救制度により受ける利益を法的利益と考えることができるかど

うかに注目すべきである。白地規定であり概括的であるから,むしろ,本件

(9)

犠牲者救済規定の適用打切決定の適法性 269 

犠救打切り規定の適用可能性については

X

らの利益のはく奪につながること を考えると慎重な検討が要請されるともいえる

(3)

しかしそれは,本来的に打 切り権が存在しないとの主張とは論理レベルを異にする。 Yの犠救規定によ

るかぎり犠救打切り権限は明確に存在すると判断せざるをえない。

本件決定の問題点は,犠救金打切りの権限(裁量権)の根拠論(要旨付) ではなく,権限(裁量権)の範囲についての判断である要旨同と権限(裁量 権)行使の合理性の判断である要旨同にあると考えられる。

3.

打切り権(裁量権)の範囲

決定は,上記のように,犠救金打切りの権限(裁量権)の根拠を本件犠救 規定に求めたのち,要旨

ω

で,犠救金打切りの権限(裁量権)の範囲を検討

している。

この問題を検討する前提として決定は, yの犠救制度の「目的」に注目し,

「組合員が組合活動の故をもって不利益を被った場合に,これを組合活動の 犠牲者としてその不利益をできるだけ補填しようとする制度で、あって,この 制度の目的は,犠牲者の受けた不利益を救済することによって組合員相互の 連帯意識を強め,また,安んじて組合活動に専心できるようにするところに あり,これによって組合員の団結の維持・強化を図ろうとするもので

J

,こ れについては当事者間に異論がないと認定している(本件犠救制度の第一の 目的)

0fy

の犠救制度」に限定された認定であるが,内容的には,犠救制度 一般に共通する目的の指摘と考えることもできょう。認定されている事実に

よるかぎり,本件犠救制度は制度として特殊な類型ではない。

このようにして本件犠救制度の目的を確認したのち,決定は, yの中央委

(3)  objectively worded clause"subjectivelyworded clause"については, P. Elais  and K. Ewing Trade Union Democracy CMansell Publishing Limited 1987) p. 208 et  seq.を参照。

(10)

員会の権限行使は,犠救制度の趣旨・目的にそう限度で許されるとして権限 行使の範囲に「限界」があることを説示する一方,

X

らの,権限行使が許さ れるのは団結破壊活動や財政事情の悪化の場合に限定されるとの主張をしり ぞけて,そのように限定すべき根拠はないとする。

Xらの主張するように打

切り対象を限定する明文規定は存在しないのであるから,

r

根拠」がないと

いう意味では,決定の指摘は必ずしも不当ではないだろう

o

しかしながら,

決定のいうように,手続が明らかに規定に反している場合や同一事案におい て個々の対象者につき取扱いに差別・不公平があるなど著しく裁量の範囲を 逸脱している場合を除き,

r

その適用は組合の自主的決定に委ねられており,

その裁量の範囲内にあるものと解するのが相当である。」とする理解も正当 とはいえない。決定が挙げている例外事例は一見して明白に不当な例であり,

これらの場合を除き,あとは組合の自主決定の問題,関係機関の裁量行使の 問題であるとすると,よほどのないことがないかぎり,犠救打切りは Yの権 限に属すると判断されることになり,

Y

の権限は著しく拡大し紛争が生じ たときには事後時に,権限濫用(裁量濫用)の次元で処理すべきであるとの 結論になる。

このように関係機関の権限を広く認める理由として,決定は犠救制度の「目 的」を指摘する。犠救制度の目的は組合員の団結の維持・強化であり,それ は「その時点時点における組合の運動方針とも深く関わる」から,組合の自 主決定にゆだねるべきであるというものである(第二の目的)。一般論とし ては,もとより,組合員の団結の維持・強化が「その時点時点における組合 の運動方針」と結びついていることは疑いなく,

r

その時点時点における組

(4)  このように権限の範囲ではなく,権限行使の濫用性に注目するアプローチはもとよ り可能であり,濫用性判断の基準の設定の仕方によっては,権限の範囲(犠救規定上 の権限の劃定)に着目するアプローチと結果的に大差のない結論になる。しかし,そ のまえに,前提問題として,権限の範囲を明確にする必要がある。濫用論をはじめか ら予定するのはアプローチの方法として妥当ではない。

(11)

犠牲者救済規定の適用打切決定の適法性 271 

合の運動方針」が組合の自主決定にゆだねられるべきことも当然である。

しかし問題は,犠救制度の「目的」を組合員の団結の維持・強化に単純化 してよいのかということである。結論的にいうなら,この点において決定は 決定自身が確認した本件犠救制度の固有目的(第一の目的)の意義を不当に 過少評価する一方,

r

組合員の団結の維持・強化

J

の目的(第二の目的)を 過大に評価しているといわざるをえない。権限行使は犠救制度の趣旨・目的 にそう限度で許されるとする決定の論理にしたがうならば,関係機関の権限 の範囲は犠救制度の固有目的に即して合理的に劃定されるとの結論になる。

権限劃定が困難であるとしても,そうした制度目的は権限行使にあたり関係 機関を罵束しているということになるはずである。労働組合の方針にしたが って活動し,そのために犠牲を受けた組合員に対する補償を労働組合側から 一方的に打ち切る行為の問題であるから限界が存在するのは当然で,その限 界を劃するのは犠救規定の定める犠救制度固有の目的(第一の目的)でなけ ればならない。本件決定は犠救制度の「目的」に注目しているけれども,実 際には「組合員の団結の維持・強化」一般の次元に論点を移しかえ,それを さらに,

r

その時点時点における組合の運動方針

J

,組合の自主決定に接合す ることにより,本件犠救目的(第一の目的)の把握を事実上放棄しているに 等しくなっている。犠救目的の把握そのものに問題があるといわざるをえな

打切り権(裁量権)行使の合理性

決定は,要旨

ω

で,犠救打切り権限(裁量)の範囲を広くとらえたのち,

要旨同で,本件犠救打切り決定の権限行使の合理性を検討している。前述し たように,そこでは犠救目的による罵束的限定は付されていない。

要旨同で考慮の対象になっているのは,犠救制度の過去の運用例,取扱基

準についての全国大会での確認,犠救打切りに至った経緯と事情,本件打切

(12)

りにあたっての特別加算・退職金の増額支給,関係当事者の意識である。こ れらは本件に即した事実として列挙されているが,犠救目的と同じく,支給 打切りの合理性判断の基準として一般化可能な項目である。

これら項目のうち,まず犠救打切りに至った経緯を概観してみると, Y が

X

らに対して相当に慎重な姿勢でのぞみ,本件犠救打切りに至ったことは否 定できないところであろう。本件決定もこの点を重視して権限行使の逸脱の 事実はないとの結論に達したと推測される。しかし,この経緯は結局のとこ ろ

Y

の方針転換の過程にほかならないから,これをもって方針転換を犠救打 切りの合理的理由と考えることができるのか否か問題になる。決定の論理に よると,犠救制度の目的は組合組合員の団結の維持・強化であり,それは「そ の時点時点における組合の運動方針とも深く関わる J から,組合の自主決定 にゆだねられるべきで,方針転換は原則として犠救打切りの合理的理由とな るとの結論になるが,方針転換によって犠救打切りが可能であるとすれば,

決定のいう「安んじて組合活動に専心できるようにする」との目的はあまり にも簡単に失われるにいたる。方針転換は,それ自体として,犠救打切りの 合理的理由とはなりえないと考えるべきであろう。方針転換の有無に関係な

く,犠牲者を救済することが犠救制度の本来的ありかたである。

厳密にいうなら,本件の場合,方針転換と犠救打切り理由の関係自体が必 ずしも明確ではない。「その時点時点における組合の運動方針」と説示して いるところからすると,郵政マル生反対闘争の方針の転換,あるいは,マル 生反対闘争による処分反対闘争の方針の転換を指すようにみえる。しかしな がら,両者のいずれであれ犠救打切りの理由にはならないというべきである。

第一に,当該方針転換と犠救打切りは直ちに結びつくものではない。マル生

反対闘争の方針を変更しでも犠救適用をつづけることは可能である。第二に

処分反対闘争の方針の変更も郵政当局との関係では重要であるにしても,そ

のことから犠救打切の決定が是認されるわけではない。おそらく本件決定と

しては,両者を含めた全体としての

Y

の方針の転換を念頭においているので

(13)

犠牲者救済規定の適用打切決定の適法性 273 

あって,個々の方針を問題にしていないと反論するのであろうけれども,

その場合には,犠救打切り基準は実さい上設定されていないのと同じであ る 。

「方針転換」に直接関係するわけではないが,解雇・免職後三年を経過し た者については書記への身分切換えや他への就職斡旋等を行うことを原則と し,それ以降は一部あるいは全部の犠救金の支給をしないとの取扱基準が Y の全国大会で確認されている事実も問題になる。労働組合は法律上当然に犠 性者を救済する義務を負うわけでなく,組合規約並びに犠救規定によって救 済対象者や救済内容を自由に設定できるのであるから,犠救規定改定(取扱 基準)の効力がXらに及ぶのか検討の余地がないわけではない。しかし,こ れについても否定的に考えるべきであろう。新基準がすでに犠救を受けてい る組合員にも及ぶとすれば,それは自由に犠救を打切ることができるのと同

(5)  労働判例623号の「解説」は, r本件は組合の方針に基づいて行動し,その結果職を 失ったにもかかわらず,組合の方針が変わったが故に『切り捨てられる』という現象 が認められていいのか,という問題を提起しているものであり,そこには,団結とし ての一定の『モラル』が要請されてもいいように思われる。その意味では,判旨には,

右問題構造についてのいま少しの『共感』が欲しかった」と指摘する。私見も,この 指摘に賛成である。特に,被処分者の郵政職員採用試験受験をめぐるYの一連の行為 は,著しく不透明であり,道義的に非難されてもやむをえない面がある。このことは Yの幹部も自覚するところで.r自己批判JC朝日新聞19915月21日付)と三役交替 (朝日新聞1991711日付)につながっている。採用試験の受験者のなかにXらも 含まれているが,本決定の論理にしたがえば,この郵政職員採用試験をめぐる経緯も,

本件犠救打切りを正当化する理由 rc本件犠救規定の打切りを決定するに至った事情J) に含まれることになる。したがって,本件決定には.r解説」の指摘する本件の問題構 造についての『共感』は明らかに欠落しているというほかない。もとより問題にすべ きは.rモラル」ではなく,法的観点からみたときの本件決定の論理と結論である。し かし,それらは,単なるモラルにすぎないのではなく,信義則違反又は権利濫用法理 の側面から本件をみるとき考慮されるべき事実でもあるから,本件決定が説得性を欠

くことに変わりがない。

(14)

ーの結論となってしまい,組合の方針への専心を確保するという犠救制度の 趣旨・目的に反する。新基準は将来に向かつてのみ効力をもっと解すべきで ある。

このように方針転換を犠救打切りの合理的理由とみなさないことは,一面 では,組合の自主決定の否定につながる側面を有することになる,そのこと の意味あいも一応問題になる。結論だけ指摘すれば,犠救制度は組合活動へ の専心保証にあるのであるから,労働組合側からの一方的打切り決定は最初 から組合の意思として内在的に制約されていると考えられる。裁判所を媒介 にしているとはいえ,組合の意思に反して外部基準を押しつける性格の司法 介入とは明らかに異なる。

次に,犠救打切りの決定のさいおこなわれた特別加算・退職金の増額支給 についてみると,それらが犠救打切りの合理的理由になるのかは微妙である。

犠救制度の目的である犠牲者の不利益の救済と組合活動への専心の保証は,

具体的には,犠牲者の所得保障ないし雇用保障として現実化するほかないの であれば,犠救金の特別加算は犠救打切りの合理性の理由になると考えざる

(6)  これは権限行使の合理性でなく,司法介入の根拠(jurisdicti on)の問題である。労 働組合の内部紛争についての司法審査を検討するときには,当該紛争が裁判所法3条 の「法律上の争訟」に該当するのかをまず考えなければならない。そしてそれは,当 該紛争において被保全権利とされているものを法的にどのように評価(構成)するの かという労働組合内部における個々の組合員の権利の法的性格を分析する課題でもあ る。本来は,これらについても触れておくべきであるが,遺憾ながら,明確なレベル までこの問題について理論的考察をすすめていないので,ここでは問題の所在のみを 指摘する。

決定の構成(要旨)とは別に本件決定を概観するとき,著しい逸脱行為がみられな いかぎり,裁判所は労働組合の内部決定に評価を加えるべきでないとの立場に立脚し ているようにもみえる。そうであるとすれば,労働組合の一種の内部問題である犠救 制度に対する裁判所の関与のありかたについての一定の理解を示した例として位置づ けることも可能であろう。また,その観点から,本決定を評価することも可能である。

私見は,本文で述べた理由から,本件を介入を謙抑すべき事例と考えないが,上記の jurisdiction問題と併せて慎重に検討すべき論点である。

(15)

犠牲者救済規定の適用打切決定の適法性 275 

をえない。「金の問題ではない」との反論が予想されるが,

r

組合員相互の連 帯意識を強める」という犠救制度のモラリッシュな側面は法によっては実現 できず,結局のところ,

r

犠牲者の受けた不利益を救済する」という物質的 レベルで問題解決を図るほかないようにもみえる。断定することにはとまど いが残るが,目下のところ,

r

特別加算」を犠救打切り決定の合理性の指標 にすることは必ずしも不当ではないように思える。法解釈的には,犠救制度 に基づく犠救金の前払いと構成すべきであろう(ただし,その場合には,犠 救は打切られていないとの結論になるだ)

もとより本件は犠救打切り一般ではなく, 1"退職金」との言葉に端的表現 されているように,犠救打切りと

Y

による

X

らの組織排除は不可分とされて いる事例であって,特別加算・退職金の増額支給は X らが組合員資格を喪失 することを当然に前提にしている。しかしながら,当事者の意思とは別に,

論理的には,犠救打切りの問題と組織排除の問題を区別することも可能であ る。本件決定も両者を区別して検討している。仮に組織排除と犠救打切りを 区別できるとすれば,犠救金の増額支給はそれなりの合理性を有する措置と

(7)  権限行使の濫用性に注目するときには,信義則違反ないし権利濫用の問題になる。

これによっても同ーの結論に到達できることについては前注(3)で指摘したとおりであ る。

(8)  決定は,犠救打切り決定を適法とするので,被保全権利自体を否定していることに なるが,特別加算金と退職金の増額支給に注目すると,本件申立は被保全の存否を検 討することなく, r必要性Jの欠如を理由に却下可能であったと推測される。なお,本 件決定は, X 4については, X 1 ~X 3とは異なる理由で犠救金の被保全権利性を否 定している。すなわち, Yの中央委員会は反処分委員会の任務配置の指導にしたがわ なかったことを理由に,昭和61616日に, X 4に対して犠救規定全部を適用しな い旨を決定し,本件決定はこれを適法とした。本件認定事実によるかぎり,正当な判 断である。

(16)

考えてもよいように思える。

地位保全の仮処分の必要性

X らは,本件犠救打切り決定と同時に, Y の執行委員長名義の「資格喪失 の通知」を受け組合員資格を喪失したことから,それを不服として, Y の組 合員である地位の確認を求める仮処分の申立(類型としては,地位設定型の 申請)をおこなっている。判旨伺はそれについての判断である。結論として,

「必要性」の要件の欠如を理由に申立てを却下している。「必要性」の要件 を厳格化することにより包括的仮処分である地位保全の仮処分を認めない傾 向は,近年とくにみられる現象であるが,本件決定もそれと同一基調にある。

要旨伺は,本件仮処分の必要性を Y の方針転換の可能性に即して評価した うえで,

r

早期の方針変更の可能性は極めて少なく,本案判決を待ったので はYらに著しい損害が生じたり急迫な危険が生じたりするとは認め難い」と 説示する。しかしながら,決定も否定していないように,

X

らの主要な関心 が Y の方針転換にあるとしても,組合員としての地位を保全する必要性はそ れに集約されつくすわけではない。組合員としての権利のなかには選挙権・

被選挙権・会議への出席権・傍聴権も含まれており,不適法に除名・組織排 除された者は日々それら権利を侵害されることになる。これら権利は組合員 としての基本的権利であり,かつ,本案訴訟による回復になじまない権利で あるから,それを保全する「必要性」は充分にある。

(9)  そのほか,本件決定は,昭和33年以降本件Xらの免職処分(昭和54428日付) までの間に約250名の解雇・免職処分者に犠救規定を適用してきたが,そのうち3年以 上給与補償を受けていた者は2割に満たず, 12年以上適用された者はわずか2件であ ることを犠救打切決定の合理性の根拠として例示している。しかし,それら過去の例 は一定期間を経過すれば犠救規定は適用されなくなるとの慣行の成立を示しているわ けでなく,また2件にすぎないとはいえ,本件と同じく, 12年以上の適用の者が存在 するのであるから,これを適用打切りの合理性の根拠にすることはできない。

(17)

犠牲者救済規定の適用打切決定の適法性 277 

これについて,決定はこれらの権利の意義を

iY

の方針転換

J

(本件免職 処分についての法廷闘争の貫徹の方向への方針転換)の可能性に限定するこ とによって保全の必要性を否定している。

X

らが,それら権利を保全する直 接の目的としては

iY

の方針転換」以外に提示できなかった(あるいは,提 示しなかった)ためと推測されるが,このような決定の論理が許容されると すれば,解雇に結びつくユニオン・ショ、ソプ事例を除き(1

0)

一見して明白な除 名・組織排除事例でも,仮処分の申立が認められる余地はなくなり不当な結 果となる。 Xらの疎明内容を確認できないので断定すべきでないが,組合活 動に参加する権利等を保全されるべき利益として仮に提示していたとするな

ら,保全の必要を認めるべきであったと思われる。

これに対して,地位保全の仮処分の満足的仮処分であって,これを安易に 認めると本案訴訟の意味がなくなる,仮の処分であるにもかかわらず権利の 十全な保障に帰結することを認めることは仮処分制度の趣旨に反するとの批 判が予想される。しかしながら,地位保全の仮処分は任意の履行に期待する 仮処分であり,当事者の自主的解決を促す処分であるから,地位保全の仮処 分を認めても権利の包括的な保障に帰結するわけではない。私見は,被保全 権利が十分に疎明されるならば地位保全の仮処分を認めてよいと考える(1)

要旨制は,地位保全の仮処分を認めない理由として,私見とはまったく逆 に,それがまさに任意の履行に期待する仮処分であること自体を指摘してい る。この指摘は,執行力をともなわない仮処分を不適法とする少数説の立場 からのものか,執行力をともなわない仮処分を発することは不適正でないに

(10)  ユニオン・ショップ事例の場合も,解雇部分の仮払仮処分のみを認め,従業員たる 地位の保全,並びに,当該組合の組合員たる地位の保全は否定される可能性があり,

ユニオン・ショップ事例がまったくの例外であるというわけではない。

拙稿「石川明著『仮の権利保護をめぐる諸問題~J 経営と経済(長崎大学)第71 巻 2 号(1991年)182頁。

(l?)  西山俊彦『保全処分概論~ (一粒社 1972年)146頁。

(18)

しても,仮処分の緊急的性格と任意履行期待とは相容れない側面を有するの であるから,裁判所としては,これを認めるときには「必要性」の要件は当 然厳格に判断すべきだとする近年有力な見解の立場からのものであるのかは 不明であるが,私見は任意の履行に期待する仮処分の意義を認めるので,両 者いずれの見解に立脚しているにせよ,決定には賛成できない。

ちなみに,要旨としては引用しなかったが,本件決定は X らの被保全権利 の存在,並びに,

Yによるその侵害の事実については,おおむね認めている。

前記のように犠救打切りに併せて, Y が X らを組織的に排除する措置をとっ たことに対して,決定は,

r

組合員資格の喪失は組合員にとって最も重要な かっ基本的な事項であり,その規定の解釈は厳格に解すべき」と説示し,規 約上,

r

中央執行委員会の裁量判断に基づいて組合員資格を喪失させること ができると根拠づける規定がない」としたのち,組合員資格の喪失の判断権 が中央委員会にあると解することは「極めて疑問であるといわざるをえない」

と指摘している。

決定の確認するところによると,

X

らが団結を侵害する行為をした事実は 存在しないのであるから,この指摘は当然、の結論であるが,実は,このこと に言及したこと自体が重要な意味をもっ。本来,必要性の要件が満足されて いないときにはそれだけで却下理由になり,被保全権利の存否の判断を示す 必要はない。決定は「極めて疑問」と表現し,あくまでも傍論の判断である

旨を示唆しているものの,少なくとも,

r

極めて疑問」との判断を示すレベ ルにまで心証を形成し,決定文の形式上不必要であったにもかかわらず,そ のことをあえて明示したのである。この認定は本件組織排除の適否について XとYの双方にシンボリックに機能し,薄められた形とはいえ,地位保全の

。事松野嘉貞「地位保全仮処分の諸問題」新実務民事訴訟講座11(日本評論社 1982年) 43頁以下。ただしこの論文は解雇の場合の地位保全仮処分を検討したもので,労働 組合による組織排除事例を前提にしていない。

(19)

犠牲者救済規定の適用打切決定の適法性 279 

仮処分を認めたのと類似した役割を果たすと予想される。裁判所もそれを期 待したと思われる。

[X

らは,平成

5

2

月1

1

日に東京地方裁判所に本訴を提起し,現在,係争 中である。]

(14) (8)で指摘したように,本件決定は, X 4については, X 1 X  3とは異なる理由 に基づき犠救金の被保全権利性を否定したが,組合員資格については, X 1 X  3と 医別することなく被保全権利性を認めている。本文に述べた理由から正当な判断であ ると考える。

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