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EASS Conference 2013(ヨーロッパスポーツ社会学会第10回大会)に参加して

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平成25年度重点プロジェクト事業(海外派遣研究員等旅費)報告

EASS Conference 2013(ヨーロッパスポーツ社会学会第10回大会)に参加して

北村尚浩

   

**鹿屋体育大学 スポーツ人文・応用社会科学系

はじめに

  ヨ ー ロ ッ パ ス ポ ー ツ 社 会 学 会(European Association for Sociology of Sports) は,2001年 に 設立された比較的新しい学会である。北米スポー ツ社会学会(1978年設立)や日本スポーツ社会学 会(1991年設立)と比べると,その歴史の浅さが 窺い知れる。スポーツの起源がヨーロッパにある ことを考えると,意外でもある。学会のミッショ ンとして,ヨーロッパにおけるスポーツの社会科 学的研究を促進し,EU や欧州評議会に対して科 学的な助言を行うことを掲げている。2002年に オーストリアのウィーンで第1回学会大会を開 催し,2004年にポーランドのジェシュフの第2回 学会大会以来,毎年学会大会を開催し,「新たな 課題に直面する社会学とスポーツ(Sociology and sport in face of new challenge)」を大会テーマに掲 げた第10回大会が2013年5月8日〜5月11日にかけ てスペイン王国コルドバ市コルドバ・コングレス センターにおい年開催された。本稿ではその概要 を報告する。

学会大会の概要

 スペイン,ドイツ,イギリス,ベルギーなど ヨーロッパ諸国を中心に22カ国から150人が参加 した。ヨーロッパ圏外からブラジル,カナダ,日 本などからの参加者も見られた。日本からは筆者 のほか中山健(大阪体育大学),中村宏美(日本 スポーツ振興センター)2名が参加した。

 今大会では4つの Plenary Session(基調講演)

が用意され,ガバナンス,ジェンダー,現象論,

スポーツと健康といった異なる側面から現代にお

けるスポーツと社会が擁する課題について報告が なされた(表1)。

表1 基調講演

タイトル 演者

What if the Players Controlled the Game?: A Radical Solution to the Crisis in Sport Governance

Peter Donnelly

(Canada)

Breaking the gender sterotypes. The path to equality in Sport

Kari Fasting

(Norway)

Play as production – production a s g a m e ? To w a r d s a c r i t i c a l phenomenology of productivity

Henning Eichberg

(Denmark)

P o o r Wo r l d : r e d r e s s i n g p o l i c y failings through sociological analysis of sport and health

Tess Kay

(United Kingdom)

表2 一般発表のセッションテーマ

Cultural Change Social Exclusion

Doping Social Policies I

Elites Social Policies II

Events Social Theory

Experiences and Strategies Social Values

Gender SOR

*

I Concepts and

Challenges Globalization SOR

*

II Qualitative

Approach

Health SOR

*

III Volunteering

Identities Spaces

Local Sport Policies Sport Habits

London 2012 Surfing

Migration The Body

Olympics Youth

School

*

Sports Organization Research

 一方,一般発表では表2に掲げる27セッショ ン が 開 か れ, 発 表 演 題 は120に 上 っ た。 筆 者 は Globalization の セ ッ シ ョ ン に お い て

「Globalization and glocalization of judo: what's

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鹿屋体育大学学術研究紀要 第49号,2014

difference?」の演題で,口頭発表を行った.日本 発祥の武道の国際化が進む中で,それらがスポー ツの一つの種目として変質し,日本国内ではス ポーツ化を危惧する声が聞かれるようになった.

本発表では,オリンピック種目の一つでもある柔 道に着目し,そのグローバルゼーションとともに 生じるグローカリゼーションの側面について日本 の柔道家とドイツの柔道家との比較分析を通して 検証し,その結果を報告した.主な結果は次のよ うである.

1.ドイツの柔道家は,運動やスポーツとしてあ るいは楽しみを目的として柔道を始め,スポー ツの一種目として認識している.

2.そのため,彼らが柔道を習うとによって期待 する効果は,運動技能や体力を高めることであ り,一方で,日本の伝統文化を習得することは 期待していない.

3.期待する効果について因子分析を行ったとこ ろ,日本の柔道家だけでの分析では見られな かったフェアプレイ因子が抽出された.

  日 本 の 柔 道 家 と 比 較 す る こ と で( 北 村 ら,

2011:安道ら,2011),ドイツの柔道家が取り組 む柔道は伝統的・文化的側面は失われ,スポーツ 化されていることが明らかになった.つまり,グ ローバリゼーションにより国際的に広まる一方

写真1 発表の様子

で,伝統や文化といった要素が薄まりスポーツと しての性質が濃くなるグローカリゼーションが進 んだと考えられる.

おわりに

 ヨーロッパスポーツ社会学会の研究誌である European Journal for Sport and Society の 科 学 委 員(Scientific Board) に加わるよう元会長の Dr.

Georg Anders(ドイツ ),編集委員長(Editor-in-

chief)の Dr. Siegfried Nagel(スイス)より要請を

受けた。2006年の第4回大会から8年間継続して

学会大会に参加し,研究成果発表を行ってきたこ

とが評価されたと考え,喜んで拝命した。今後も

ヨーロッパ諸国の研究者との連携を図りつつ,我

が国のスポーツ社会学を含む社会科学領域の発展

に尽力したい。

参照

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