特集◎WTO加盟後の中国経済と日本
中 国 市 場 に 日 本 企 業 は 何 を 期 待 す る か
中国のWTO加盟を中国現地の日本企業はどのような受け止め方をしているのか︒貿易の自由化と国内の規制緩和といった外資にとって有利に見える措置だけに目を奪われていないか︒中国経済の現場にあって︑日々企業運営と対中ビジネスに従事されているベテランの方々からWTO加盟後の実態と展望について語っていただく︒
茂野富平︿日産自動車中国事務所総代表﹀×正田紘︿難轟賄﹀×武田勝年︿纏鞭離纏蜥﹀
中澤幸太郎︿みずほコーポレート銀行北京支店支店長﹀×麦倉弘︿慰則薪励難京﹀×服部健治︿鶴齢獺黙﹀
中国で何を
やっているか
服部本日はお忙しい中︑﹃中国21﹄の座
談会に集っていただきありがとうござい
ます︒中国の現地で︑それぞれの各業界
で頑張っている方々の代表にお話しいた
だくことは非常に意義があると思ってい ます︒テーマは﹁WTO加盟後の中国経
済と日本の対応﹂です︒それぞれの職場
あるいは業界において︑今後中国をどの
ように見ていけばいいか︑あるいはどの
ような対応を考えればいいのかを話して
いきたいと思います︒今後の日中経済関
係の発展に何か寄与することがあれば幸
いです︒では自己紹介を兼ねまして皆様 の中国における今の仕事内容と︑各企業
の中国への対応をかい摘んでお話しいた
だけますでしょうか︒
まず日中国交正常化三〇周年の日本側
委員会の委員長を︑ソニーの会長がやっ
ておられるということもありまして︑北
京在住九年のベテランの正田さんからお
話の口火を切っていただければありがた
2g‑一 中 国 市 場 に 日本 企 業 は何 を期 待 す るか
いと思います︒
正田ソニー中国の董事長をやっており
ます正田です︒今︑ご紹介がありました
けれども︑本当にこの九年︑あっという
間の九年という感じがします︒
私どもソニーは中国に対してかなり奥
手で︑九三年からようやく直接投資をは
じめました︒もともと事務所というもの
は︑八〇年代からいろいろやっていたの
ですが︑九三年から初めて上海で投資を
開始しました︒現在︑六つの合弁と独資
を含めた工場があり︑索尼(ソニー)中
国は一九九六年に設立をいたしました︒
現在︑全国で二〇の分公司といいますか
支店と約四五〇件のサービスのネット
ワークを展開しています︒主に私どもの
商品としては︑カラーテレビ︑カムコー
ダー︑電話︑その他にリチウム電池︑そ
れからビデオCD︑CDに使われる光の
ピックアップなどを主に製造していま
す︒私どもの生産拠点としては︑このほ
かにも華南に約二〇か所ばかり委託工場
を持っていて︑このオペレーションはも
う八〇年代からずっと始まっています︒
正 田 紘[ShodaHiroshi]
この委託工場はほぼ全数輸出です︒九三
年に我々が出てくる時のきっかけという
のは︑一つはそろそろ中国も安定した成
長にこれから入るのじゃないかというよ
うなこともありましたし︑やはり中国と
いう大きなマーケットを︑今までのよう
なやり方ではこれから先が望めないと︑
直接投資をしようと入ってきたわけで
す︒当時に比べれば︑この九年間でこの
国も変りましたし︑それなりに我々も中
国でビジネスをするノウハウというか︑
コツというものはだんだん掴んで来まし た︒ただ︑昨今︑この中国の電気業界は
商品がコモデティー化したことで︑中国
の地場のメーカー︑海ホ(ハイラル)や
様々なメーカーとの競争が非常に激化し
ています︒私どもはこの国内のマーケッ
トに物を売る︑作って販売させていただ
くということで︑進出をしていますが︑
価格競争にいかにして巻き込まれないか
と努力をしていますけれども︑なかなか
厳しいというのが現状です︒これは他の
メーカーもたぶん同じだろうと思いま
す︒特に最近の商品で︑中国で作られて
いるものはどちらかというと組立加工が
多いわけですが︑組立加工はやはり中国
は長所があるなと感じます︒これをどう
やって外国メーカーとして︑区別してい
くかが︑電気業界の中でも一番の大きな
問題で︑それがまた一番頭の痛い問題で
す︒WTOに入って今後どうなるかとい
うのは︑これからのディスカッションに
なるかと思いますが︑そういうものも踏
まえて考えていきたいと思っています︒
服部ありがとうございます︒次に金融
の中澤さん︒中澤さんも古くから中国関
係をやっておられます︒
中澤みずほコーポレート銀行の中澤で
す︒実はまだ名刺が旧行名(日本興業銀
行)のまま(二〇〇二年七月の座談会実
施時点)になっているんですが︑なぜこ
うなっているのか︑というのが中国の金
融行政の一端を垣間見せるものと思いま
すので︑最初にすこしご説明したいと思
います︒ご存知のとおり旧三行(第一勧
業銀行︑富士銀行︑日本興業銀行)は今
年(二〇〇二年)の四月一日に統合しま
して︑日本国内だけでなく︑中国大陸を
除く世界中の旧三行の拠点も四月一日付
で"みずほ"に看板が掛け代わりました︒
各国の金融当局はアメリカといわずドイ
ツといわず︑どこでも昨年(二001年)
一二月の金融庁からの予備認可書で以っ
て統合申請を受理し︑三月末までに統合
に係わる認可をおろしてくれました︒中
国の金融当局だけは﹁予備認可段階での
申請受理は不可︒日本国内の統合完了後
に申請を受け付ける﹂とのスタンスを崩
しませんでしたので︑実は未だ許認可手
続き中という状況で︑最終的な中国拠点 の統合︑みずほ拠点の設立は八月一日ま
で待たなければならなくなってしまった
わけです︒
ということで︑現時点ではすでに存在
していない旧行名刺を中国国内の拠点だ
けが使っている︑という"捻れ現象"を︑
本題に入る前のエピソードとしてご紹介
しました︒
お話ししたように︑八月一日付で各地
の三行の現有拠点を統合すると︑四支店︑
五駐在員事務所体制となります︒支店は
上海︑大連︑北京︑深珈の四か所︑駐在 員事務所は天津︑南京︑武漢︑厘門︑広
州の五か所となっています︒最初の事務
所(北京事務所)は一九八一年設立です
ので開設以来二一年経過︒最初の支店は
一九九一年に上海に開設していますので
=年を経過したところです︒ちなみに
北京支店は一九九六年に開設しましたの
で六年が経過したことになります︒
業務としては(外銀に対する)人民元
業務開放都市である上海︑深別︑大連所
在の三支店が外貨業務と人民元業務の併
営となっていますが︑ここ北京支店は中
国のWTO加盟後の市場開放のスケ
ジュールによりますと人民元業務は二〇
〇四年末認可となっていて︑現時点では
外貨業務だけの運用となっています︒支
店業務としましては北京支店の特徴とし
てストックの部分は中国国家機関向けの
長期融資も多くなっているのですが︑日
系企業を中心とする外資系企業向けの融
資︑預金業務︑外為決済業務を中心に行っ
ています︒またこれらのコンベンショナ
ルな銀行業務の他に︑地方︑中央の政府
機関等とのリレーションを活かして進出
中国市場 に 日本企業 は何 を期待 す るか
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企業のサポート︑支援業務を広範に行っ
ています︒またグループ内の証券法人と
連携しての中国機関の海外での資金調
達︑起債のサポート等も行っています︒
最近の中国の外貨の潤沢な事情を反映し
て︑この業務は現状ではあまり盛んでは
ありませんけれども︒
いずれにしても中国の雇用︑設備投資︑
輸出等の各項目を通して中国の経済にお
いて相当のプレゼンスを有してきている
外資系企業に対して︑金融を中心とした
各種サポートを提供させていただく︑と
いうのが目下の私どもの中心のミッショ
ンです︒
服部それでは次に︑三菱商事の武田さ
んにお願いしたいと思います︒武田さん
も長く中国ビジネスにかかわっておられ
て︑上海︑また北京に非常に詳しい方で
す︒商社の立場から︑御社のQrs状況な
らびに︑同じ業界の動きなどをお話しい
ただけたらと思います︒
武田武田です︒自社のことを最初に︑
それから全体に触れます︒私は六〇年代
の後半に会社に入ってすぐ︑台湾の語学
武 田 勝 年[TakedaKatsutoshi]
研修生という制度で中国語を勉強して︑
実際に中国に初めて来たのは一九七七年
です︒その後︑八〇年代前半に広州に駐
在し︑八九年の六四事件のすぐあとから
しばらく北京に︑一旦︑日本に帰って︑
一番最近は上海に九七年から四年いたの
ち︑去年北京に来ました︒本社にいても
中国の仕事をしていましたので︑七七年
から二五年間のうち二〇年ぐらい中国と
関わり︑そのうち一二年ぐらい駐在員の
生活をして来ています︒
会社の現況としては︑一九八〇年に︑ 最初に北京の代表事務所ができて以来︑
今日現在の規模は︑事務所が九か所︑大
連︑天津︑上海︑広州の保税区にそれぞ
れ保税区公司があります︒投資性公司(傘
型公司)が一つと︑今︑香港三菱商事と
いう会社も中国テリトリーに入れていま
す︒大陸だけで言いますと日本人が約五
〇名︑中国人スタッフが三〇〇名強︒そ
れ以外に合弁会社は︑いろんな業界にい
ろんな形で参画し︑今日現在で約百社に
出資参加させていただいています︒
業界の動向ですが︑商社の場合︑今ま
で︑総合商社はどこも同じことをやって
来たのですが︑皆さんご存知のとおり︑
各社それぞれやり方が相当変って来てい
ます︒三菱商事は本社の体制も去年(二
〇〇一年)で大きく変り︑かっこよく言
えば︑集中と選択ですが︑今までいろん
な業界のしがらみや内部の怠惰の精神
で︑儲かってるか儲かってないかわから
ないような仕事をやっていたものを︑制
度的に厳しくチェックしながら︑止める
ものは止めるという形で動いています︒
中国も例外ではなく︑輸出入取引︑若干