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固形培地上で誘導される麹菌酸性プロテアーゼの精製

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2020 年 2 月 7 日

固形培地上で誘導される麹菌酸性プロテアーゼの精製

応用生物科学専攻 食資源科学講座 応用食品科学 前田 菖花

1.緒論

麹菌Aspergillus oryzaeは,古くから,日本の伝統食品である酒や味噌,醤油の製造に利用さ

れてきた。本菌は,ゲノム解析の結果から,約 130 種ものプロテアーゼ遺伝子を有していることが 推定されている。この多様なプロテアーゼ産生能を持つ麹菌を他の食品にも応用しようと,当研究 室では,麹菌を培養し,その培養物をチーズに添加し熟成させることで,チーズの風味や成分組成 に与える影響について研究を行ってきた。乳タンパク質を窒素源とした最少培地上で麹菌を培養す ると,もっぱら,アルカリセリンプロテアーゼである Oryzin が産生されるが,乳タンパク質を主 成分とする固形培地(ホエイ培地)上で,培地の pH 環境を変えたり,培地へグルコースを添加した りすることにより,異なるアイソザイムが産生される。本研究では,Oryzin 以外に誘導されたプロ テアーゼの同定を行った。

2.方法

A. oryzae AHU 7139 を,pH 4.0 に調整した 0 または 5%グルコース添加ホエイ培地(①または

②),及び pH 6.5 に調整した 5%グルコース添加ホエイ培地(③)で培養した。上記 3 条件の培養 終了後,純水を加えて抽出したものを粗酵素液として回収し,ここに含まれるタンパク質を 65%冷 アセトンで沈殿させ,酢酸緩衝液に溶解したものを用いてプロテアーゼ活性を比較したところ,② において,ペプスタチン A によって阻害されるアスパラギン酸プロテアーゼが高い比率で存在して いるのに対し,①及び③においては,②よりも高い比率で,PMSF によって阻害されるセリンプロテ アーゼの存在が確認された。②の粗酵素液の 30~65%冷アセトン沈殿画分を回収し,酢酸緩衝液で 透析後,陰イオン交換クロマトグラフィー,ブチルトヨパールを用いた疎水クロマトグラフィーに 供した。得られた活性画分を用いて SDS-PAGE を行い,PVDF 膜へ転写したサンプルから N 末端アミ ノ酸配列を解析した。

3.結果と考察

各培養条件での培養終了時の培地 pH を比較すると,①では,初発 pH 4.0 から 5.3 に上昇した一 方で,グルコースを添加した②では培地 pH はあまり上がらず,4.2 に留まった。③では初発 pH か ら下がり,最終的に pH 6.0 となった。このような培地 pH の変遷により,①と③ではアスパラギン 酸プロテアーゼの他にもアルカリ側で活性が高いセリンプロテアーゼが誘導された一方,②では培 地 pH がより酸性側に留まり,その誘導がかからなかったものと考えられる。アスパラギン酸プロ テアーゼの存在比が高い②を用いた培養から得られたプロテアーゼの一部を SDS-PAGE に供した結 果,分子量 40 kDa 付近にプロテアーゼ活性のピークと対応するバンドが確認できた。N 末端アミノ 酸配列解析の結果,本酵素はアスパラギン酸プロテアーゼである PepO であることが示唆された。

4.まとめ

A. oryzae AHU 7139 は,5%グルコースを含有する pH 4.0 のホエイ培地上において主にアスパ ラギン酸プロテアーゼを産生することが示された。陰イオン交換クロマトグラフィー,疎水クロマ トグラフィーにより精製を行い,N 末端アミノ酸配列を解析した結果,産生されるプロテアーゼ中 には PepO が含まれていることが明らかとなった。

参照

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