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酸・塩基の定義 1

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Academic year: 2021

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(1)

酸・塩基の定義

(2)

酸・塩基の定義

アレニウスの定義:

「水溶液中で H+ を生成するものが酸、

 HO を生成するものが塩基」

→ 有機化学ではあまり有用でない ブレンステッドの定義:

「H+ を供与するものが酸、

 H+ を受け取るものが塩基」

(3)

酸・塩基反応の例

NH 3 + H 2 O NH 4 + + HO

塩基 共役酸 共役塩基

酸が H+ を供与したあとに残る化学種=共役塩基 塩基が H+ を受け取ってできる化学種=共役酸 NH3 の共役酸は NH4+

H2O の共役塩基は HO NH3 の共役塩基は?

「NH3 が H+ を供与したあとに残るもの」だから NH2‒

(4)

酸・塩基は「相手によって」決まる

H 2 O + CH 3 COOH H 3 O + + CH 3 COO

塩基 共役酸 共役塩基

水は H+ を受け取る=塩基

HBr + CH 3 COOH Br + CH 3 C

OH

酸 塩基 共役塩基

OH

共役酸

酢酸は H+ を受け取る=塩基(!)

※ ある物質が「酸」かどうかは、反応する相手によって 決まる。相手に H+ を渡しているなら「酸」。

(5)

酸の強さの指標: pK a

(6)

酸塩基平衡

A + B C + D

酸・塩基反応は(多くの場合)可逆反応。

可逆反応は2本の「片カギ矢印」で表す

可逆反応は、時間がたつと「平衡状態」に達する

(7)

酸の強さを定量的に示す

H

2

O + CH

3

COOH H

3

O

+

+ CH

3

COO

[H

3

O

+

][CH

3

COO

]

[H

2

O][CH

3

COOH] = K

[H

3

O

+

][CH

3

COO

]

= K[H

2

O] = K

a

「酢酸」の酸としての強さを数値で示す 可逆反応なので、時間がたつと平衡状態に達する

→「化学平衡の法則」が成り立つはず

水溶液中では [H2O] はほぼ定数と見なせるので、

(8)

K

a

 と「酸の強さ」の関係?

CH

3

COOH

K

a

= 1.7x10

–5

(mol/L)

HCOOH

K

a

= 1.8x10

–4

(mol/L)

[H

3

O

+

][CH

3

COO

]

[CH

3

COOH] = 1.7x10

–5

(mol/L) [H

3

O

+

][HCOO

]

[HCOOH] = 1.8x10

–4

(mol/L) [H

3

O

+

] = 4.2x10

–3

x c

1/2

[H

3

O

+

] = 1.3x10

–2

x c

1/2

K

a が大きい=H+を放出する方向に平衡が傾く=強い酸

普通は

pK

a を使う:

pK

a

= –log

10

K

a

pK

a が小さいほど強い酸

(9)

有機酸と有機塩基

(10)

有機酸・有機塩基

有機酸の例

CH3NH2

CH3CH2 NH CH3CH2

NH2

有機塩基の例

酢酸 フェノール C

O OH

CH3 OH

pKa = 4.76 pKa = 10.0

pKa = 10.7 pKa = 10.9 pKa = 4.6

塩基の強さは「共役酸の pKa」で表す

CH3NH3

CH3CH2 NH2 CH3CH2

NH3

(11)

酸の強さは何で決まるのか

(12)

酸の強さは何で決まるのか

「酸の強さは 

pK

a で決まる」:これでは不十分!

酸の強さ(

pK

a)は物質の化学的性質

→ 物質中の電子の振る舞いによって決まっているはず

→ 物質中の電子配置と酸性度の間にはどういう関係があるのか?

【基本的な考え方】

1.共役塩基が安定なほど、強い酸である。

H–A + B A

+ H–B

+ A が安定なほど、

平衡は右に偏る。

2.共役塩基は「ローンペア電子のエネルギーが低い」ほど安定。

H A H

+

+ A

ローンペア

(13)

酸の強さを決める要因 (1):電気陰性度

「電気陰性度」:原子が最外殻電子を引きつける力の尺度 電気陰性度が高い

= ローンペアを強く引きつける

= ローンペアのエネルギーが低い(安定である)

HF

>

H

2

O NH

3

CH

4

pK

a

60 36 > 15.7 > 3.2

※ 共役塩基の安定性を比較していることに注意。

  CH3‒ < NH2‒ < HO < F (右のものほど安定)

※ 同じ周期の原子を比較するときのみ適用できる

(14)

酸の強さを決める要因 (2):軌道の混成

同じ原子上のローンペアで、入っている混成軌道が異なる場合 エネルギー: sp3 混成 >  sp2 混成 > sp 混成

安定性: sp3 混成 <  sp2 混成 < sp 混成

CH

3

CH

3

H

2

C CH

2

HC CH pK

a

60 > 44 > 25

sp3 混成 sp2 混成 sp 混成

※ 理由:s 軌道の割合(混成軌道の s 性)が高いほど原子核に 電子が近づきやすい→ローンペアが安定化される

(15)

酸の強さを決める要因 (3):原子の大きさ

水素原子が異なる周期の原子に結合している場合:

※ 原子核から離れているため、電子間の反発が小さくなるため ローンペアは大きな軌道に入っているほど安定

HI

>

HBr

>

HCl

>

HF

pK

a

3.2 –7 –9 –10

※ 電気陰性度の順序とは逆になっていることに注意

(16)

【練習問題】 化合物 HOCH2CH2SHについて、

(1) この化合物が酸として働くとき、放出されるのはどの水素原子か。

(2) この化合物が塩基として働くとき、H+と結合するのはどの原子か。

(17)

酸・塩基反応を

「電子の動き」で理解する

(18)

酸・塩基反応における電子の動き

NH

3

+ H

2

O NH

4+

+ HO

「どの結合が切れて、どの結合が生成するか」を特定する

N H H

H

H O H N

H

H H

H

O H

+ +

・「切断される結合」の電子はどこに行くのか?

・「生成する結合」の電子はどこから来るのか?

(19)

電子対はどのように動くか?

① この電子対が ② ここに向かって動いて ③ この結合を作る

N H

H H H O

H

+ N

H

H H

H

O H +

N H

H H H O

H

+ N

H

H H

H

O H +

【N のローンペアが電子不足の H と結合を作る】

【H が「結合2本」にならないように電子を押し出す】

(20)

電子の移動を巻き矢印で表す

N H

H H H O

H +

N H

H H

H

O H +

① N のローンペアが H と結合を作る

② H が「結合2本」にならないように電子を押し出す

(21)

C H + H+

巻き矢印に関する注意

・巻き矢印は「電子対」の移動。「原子」の移動ではない!

N H

H H H O

H

+ N

H

H H

H

O H

誤り +

・結合が「切れる」ときの矢印の向きに注意。

 結合電子がどちらに行くかをよく見ること。

C Cl + Cl

(22)

手書きの巻き矢印

(23)

極性反応を

巻き矢印で記述する

(24)

反応式に巻き矢印をつける (1)

CH 3 Br + OH CH 3 OH + Br

【例】

【手順①】

すべての価電子を明記したケクレ式を書く

C H H

H

Br + O H C

H H

H

O H + Br

(25)

反応式に巻き矢印をつける (2)

【手順②】

左辺の「なくなる結合」「なくなるローンペア」と

右辺の「新しい結合」「新しいローンペア」に印をつける

C H H

H

Br + O H C

H H

H

O H + Br

なくなる結合 なくなる ローンペア

新しい結合 新しい

ローンペア

(26)

反応式に巻き矢印をつける (3)

【手順③】

「なくなる結合・ローンペア」と「新しい結合・ローンペ ア」を対応づける

C H H

H

Br + O H C

H H

H

O H + Br

[対応付けの条件]必ず電子対の一方は同じ原子上にあること

この対応付けはダメ

(ローンペアが O から Br に飛んでいる)

(27)

反応式に巻き矢印をつける (4)

【手順④】

電子対の移動を巻き矢印で表現する

C H H

H

Br + O H C

H H

H

O H + Br

C H

H Br + O H C

H

H O H + Br

① C‒Br 結合が Br のローンペアになる

(28)

N H

H

H

+ H O

H N

H

H H

H

+ O H

「反応に関与するローンペア」だけを書くやり方

反応前後で変化しないローンペアは省略してもよい

(29)

【練習問題】 次の反応をケクレ式で書き、電子の動きを巻き矢印を使 って示しなさい。反応に関与するローンペアを正しく書き入れること。

H

2

S + CH

3

NH

2

HS

+ CH

3

NH

3+

(30)

ルイス酸とルイス塩基

(31)

ルイスの酸・塩基の定義

【ルイスの酸・塩基の定義】

酸:「電子対を受け取って共有結合を作るもの」

塩基:「電子対を与えて共有結合を作るもの」

(配位結合)

ブレンステッドの酸・塩基の定義の拡張になっている

H N

H

H

+ H O

H H N H

H

+ O H

電子対を与えて

共有結合を作る 電子対を受け取って 共有結合を作る

(32)

ルイス酸・ルイス塩基

ブレンステッド酸ではないが、ルイスの意味では酸であるもの

→ 「ルイス酸」と呼ぶ

Al Cl Cl Cl

+ CH

3

O

CH

3

Al

Cl Cl

Cl

O

CH

3

CH

3

(無水)

ルイスの意味での塩基=「ルイス塩基」

(実質的にはブレンステッド塩基と同じ)

(33)

求電子剤と求核剤

Al Cl

Cl Cl

(無水)塩化アルミニウム 代表的なルイス酸

最外殻電子が6個しかない

→ 電子を2つ受け入れてオクテットになりたい 電子を欲しがっている = 

ルイス塩基(ブレンステッド塩基も同じ)

 = ローンペアがある

 = 電子不足の原子と結合を作りたい = 求電子剤

求核剤

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