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イン ドネシア ・フィリピン島弧系の形成モデル

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北陸地質研 究所報告

HGIReport No.30ct.1993 p.107122

イン ドネシア ・フィリピン島弧系の形成モデル

鈴 木 尉 元*

OntheFormationofSoutheastAsianIslandArcs YasumotoSUzUKI*

(1993820日受理) (Received20,August,1993)

Abstract

Basedonthedataoffocalmechanism byHayesandTaylor(1978),the authorexamined thenatureanddirectionoffaultsaccompaniedbyearthquakesinSoutheastAsia,andcompar edthem withthegeologicandtopographicfeatures.Mostofthefaultsrunnearlyparallelto theirgeneraltrend,thoughsomefaultscutobliquelyorperpendicularlythem.Reversefaults aredominant,andfollowedbynormalandstrikeslipfaultslessthan300km indepth,but normalfaultsarepredominantmorethan300km indepth.

Thesephenomenashow thatthegeologicstructuresmustbethesurfacefeaturesofthe deepstructuresandconvectioncurrentcannotbethedrivingforceoftectogenesis.

Thesephenomenamightbeexplainedbytheupheavalofinnerzoneandsubsidenceofthe outsideoftheareaduetothedeepprocessoftheearth,andthedeepearthquakezonesare formedalongtheboundaryoftwoareas.

まえが き

さきに筆者 らは, 日本列 島 ・千島列 島 と日本海 ・オホー ツク海 な どの縁海, さらにその内側 の台 地上の内陸盆地 な どは一つの地質構造単元 を構成 していて, この単元の隆起, その東方にひろが る 太平洋の沈降運動 に ともなって,両単元の境界付近 に深発地震面が形成 され るとす るモデル を提案

した (Suzukietal.,1977).この規模 の地質構造単元は, イン ドネ シア群 島か らフイ 1)ピン群 島地 域 に も認め られ る と考 える. ここでは,外側 に大 スンダ列 島 ・小 スンダ列 島 ・‑ルマ‑ ラ島 ・フィ リピン群 島な どが位 置 し, その内側 にジャワ海 ・フロー レス海 ・パ ンダ海 ・モル ッカ海 ・セ レベ ス

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海 ・スル海 な どの縁海, さらにその内側 に,新 しい時代 に台地的な性格 をもったイン ドシナ半 島か らカ リマ ンタンが位 置 し, それ らの上に堆積盆地が形成 されている. この構造単元に対 して, その 外側南方にイン ド洋,東方に太平洋が拡が り,両者の境界に外側か ら内側 に傾 く深発地震面が形成 されている(1). さきの 日本列 島 を含む束アジアの地域 の東縁 を画す深発地震面が,太平洋 に向 か って凹の形態 を示すのに対 して,大 スンダ列 島 ・小 スンダ列 島 ・フィ リピン群 島な どを含む東南 ア ジアの地域の外縁 を画す深発地震面は, イン ド洋 ・太平洋に対 して凸の形態 を示す点で対照的で あ るが,構造的には似 た配列 をもっている. さらに,縁海 とその内側 の堆積盆地が,基本的に正断 層に境 されている陥没盆地 である点 も両者共通 してい る.

この地域 につ いては,HayesandLamontDohertyGeologicalObservatory (1978)による地球 物理学的諸資料 の まとめがなされている. これには,地震の発案機構,堆積盆地 をうめ る堆積物の 等層厚線図,屈折法地震探査 に よる海域の地殻の速度柱状図,フ リーエア重力異常図,磁気異常図, 熱流量 ・熱伝導度 ・地熱勾配図が含 まれてい る.

本小論 では,主 として これ らの資料 の うち地震 の発震機構 (HayesandTaylor,1978)を中心に 検討 して, この地域 の造構運動機構 につ いて検討す ることにす る.

この地域 の発案機構 に関す る最近の研究には,Pitch(1970)に よる44の浅発地震 についての断層 の性格, ス リップ ・ベ ク トルの検討結果,FitchandMolnar(1970)による28の中 ・深発地震 につ いて,主圧力軸の方向の検討結果がある. これ らはいずれ もプ レー ト ・テ ク トニ クスに もとづ く解 釈 で しめ くくられている.筆者 は,断層の性格, その方向 と地質構造 との関係 を議論す るので,上 記の論文 とは視点が異なっている. なお,HayesandTaylor(1978)には, これ らの資料 も含 まれ てい る.

1.発震機構の型

地球表面で観測 され るP波初動の押 し ・引 き分布 を震源 に引 きもどす と,一般 に直交す る 2つの 節面によって押 しの領域 と引 きの領域 に分 け るこ とがで きる.規模 の大 きな浅 い地震の場合, この 2つの節面の一方に平行す る断層が地表に出現 し, その運動方向は, その節面の両側 のP波初動 と 平行す るこ とが知 られている.

このP波初動 の節面 は, ステ レオ等面積 投影法 で表現 され るが,以下 に検 討す るHayes and Taylor(1978)では下半球投影法 を採用 してい る.この ように して表現 されたP波初動分布 は,2 の節面の走向 ・傾斜の組み合 わせ に よって,次の ような7つの型に分 け ることがで きる.第1の型 は,2つの節面の走向が平行 で鉛直方向に射 出され る波がき波 であ る型であ る.第2の型は,2 つの節面の走向が平行す る点は第1の型 と同 じであるが,鉛直方向に射 出され る波が押 し波である 型である.第3の型は, 2つの節面の走向が異な り, ともにかな り傾 いているが,鉛直方向に射 出 され る波が引 き渡 である型であ る.第4の型は,2つの節面の走向が異な り, ともにかな り傾 いて いる点では第3の型 と同様 であるが,鉛直に射 出 され る波が押 し波 である型である.第5の型は, 一方の節面が急で他方の節面がゆ る く,急 な節面の上盤側か ら引 き渡 を射 出す る型である.第6 型は,一方の節面が急で他方の節面がゆ るい点は第5の型 と同 じであるが,急な節面の上盤側か ら

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押 し波 を射 出す る型であ る.第7の型は,両方の節面 とも垂直な型である.

この ような発震機構型の うち,第1と第2の型では, 断層面の走向 と断層の性格が一義的に きま る.す なわち両者 とも断層の走向は節面の走向に平行 し, 第 1の型の断層は傾斜 ず りの正 断層,第 2の型の断層は傾斜ず りの逆断層である.第5と第6の型では,急な節面が第1と第2の型の節面 に平行す る傾 向がある (鈴木ほか,1977)ので,急な節面にそって断層運動がお こなわれ ると考 え られ る.第5の型は,走向ず り成分 をもつ正 断層,第6の型は,走向ず り成分 をもつ逆断層である.

3,4,7の型では,2つの節面の うちどちらの節面にそって断層運動がお こなわれ るか,決定 す るこ とはで きない.

この ように して決め られた断層の走向や性格 を,図2の ような記号 で示 した. なお,第1と第2 の型の発震機構 において,急な節面 とゆ、るい節面の組み合 わせ の場合 には,前者 にそって断層運動 がお こなわれ る と考 え, 第3と第 4の型の記号で示 した.

2 P

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2.発震機構か ら推定 される断層運動

ここで検討 の材料 とす るHayesandTaylor(1978)では,震源の深 さを100km未満,100ない し300 km,300ない し500km,500km以上 に区分 して示 しているので,以下それ らの深 さごとに検討す ること にす る.

深度100km未満の地震

この深度の地震 で発震機構 の求め られてい るものは, スマ トラ島・ジャワ島な どの大 スンダ列 島, その東方のバ リ島か らウェタル島に至 る小 スンダ列 島 とその延長 島唄地域 では,列 島にそ う外側地 域の ものが大部分 である. ただ し, スマ トラ島北緑付近 と小 スンダ列 島東方では,列 島の内側 ない

し縁海部 に多 くの発震機構の求め られた地震が分布 している.

この地域 の地震 に ともな う断層運動 は,ほ とん ど垂直ない し逆断層であ る(3). ただ し小 スン ダ列 島西部沖合 のスンダ海溝 ぞいの2つの地震 はすべ て正断層, スマ トラ島北部 ない しその延長地 域 では,正断層がか な りの割合 をしめている.スマ トラ島北部 とその周辺地域 では,断層の走向は, 西北西 一東南東 ない し東西で,海側 に対 して陸側が下が る運動傾 向 を示す. スマ トラ島南部 ない し その沖合の地震 は,北西 一南東 ない し西北西 ‑東南東の走向でほぼ島弧 に平行 し,海側 に対 して陸 側が下が る運動傾 向 を示す. ジャワ島東部か ら小 スンダ列 島ぞいの地震 では,北西 一南東 ない し北 東 一南西の走向 をとる. ただ し, スンダ海溝 ぞいの地震 では, スンダ海溝に平行 して東西走向 をも つ正断層である. また,パ ンダ海東部の ものは北東 一南西 ない し東北東 一西南西走向の逆断層であ

る.

スラウェシ島か らマル ク諸 島周辺地城 では, 多 くの地震の発震機構が求め られている. とくにモ ル ッカ海か らモル ッカ海峡 ぞいの地域の地震が 多い. スラウェシ島中部 ない しマ カ ッサル海峡 ぞい の地震 では,垂直ない し逆断層であ る. スラウェシ島北部 の トミニ湾の地震 は,垂 直ない し正断層 であ る. モル ッカ海か らモル ッカ海峡 ぞいの地震 は, わずかに正断層 をまじえてい るが, ほ とん ど 垂直 ない し逆断層である. なお, モル ッカ海南東緑の地震 は正 断層であ る. スラウェシ島西南部 の 地震 では,マ カ ッサル海峡にほぼ平行 して南北の走向 をとる逆断層, 中部 の地震 では東北東 ‑西南 西の垂直な断層,マ か ソサル海峡北部 では北西 一南東,西北西 一東南東 の垂直断層 ない し逆断層の 活動が見 られ る. トミニ湾ない しその周辺地域 の地震 は,湾の長軸方向に斜交す るものが 多い. モ ル ッカ海峡 ぞいの地震 では, その長軸方向に平行す る北北東 一南南西 ない し南北方 向をとるものが 多いが, これに斜交 す るもの も少 な くない.

フィ リピン群 島のル ソン島か ら ミンダナオ島にいたる間は, と.(にフィ リピン海溝に面 した外側 地域 に多 くの発震機構 を求め られた地震が分布 している.つ いでル ソン島西南部, ミン ドロ島,パ ナ イ島 とそれ らの西方沖合地域, さらにフィ リピン群 島中央部 で少数 の地震の発震機構 の解析が さ れてい る.

ル ソン島北部の東方沖合地域の地震 は,垂直ない し逆断層である.ル ソン島南部か ら ミンダナオ 島沖合 のフィ リピン海溝付近か らその内側地域 の地震 は,正断層 と逆断層が同 じ位 の割合 である.

ミンダナオ島 と‑ルマ‑ ラ島にはさまれた地域 の東方沖合地域 の地震 は,2つの正 断層があるがほ

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とん ど逆断層である. ル ソン島南西部 ・ミン ドロ島 ・パナ イ島 とその西方沖合地域の地震 は,1 を除 き垂直ない し逆断層である. フィ リピン群 島中央部の地震 は,正 断層 と逆 断層が各々 2と3例 で半々に近 い.

ル ソン島北部 の東方沖地域の地震 は,北北西 ‑南南東の走向,つ ま り島の外縁に平行す る断層に ともな うものが 多い.南綾部の地震 では,北北西 一南南東走向の ものが見 られ る. ル ソン島南部か ら ミンダナオ島沖合 のフィ リピン海溝付近 に までいたる地域 の地震 は,南北 ない し北北西 一南南東 の走向 をもつ海溝に平行す るものが 多い. なお北部 には,海溝にほぼ直交す る東北東 一西南西の走 向をもつ ものが ある.ル ソン島 ・‑ルマ‑ ラ島間のフィ リピン海溝付近 までの沖合 の地震 は,海溝 に平行す る北北西 一南南東の走向 をもつの もが多い. なお, ミンダナオ島南東方には,海溝に直交 す る東北東 一西南西の走向 をもつ ものがある. ル ソン島南西部 と ミン ドロ島にはさまれた地域の地 震は,北北西 一南南東 ない し北西 一南東の走向 をもち, 島の外縁の一般走向にほぼ平行す る.パナ イ島北西方の地震 では,東北東 一西南西 ない し北東 一南西の走向でフィ リピン群 島の一般走向に直 交 して南西方にのび るパ ラワン島の走向に近 い方向 をとる. フィ リピン群 島中央部 の地震 も北東 一 南西 ない し東西の走向 をとる.

深度100‑300kmの地震

この深 さの地震 では, スマ トラ島中 ・南部, ジャワ島西部, ジャワ島東部 の南方沖合,パ ンダ海 東部, モル ッカ海, モル ッカ海峡か ら ミンダナオ島南縁付近 にいたる地域,ル ソン島南西方 な どの

ものが解析 されてい る (4).

スマ トラ島中・南部 の地震 は,垂直ない し逆断層に ともな うもので,北北西 一南南東 ない し北西 一 南東の走向 をもち, スマ トラ島の脊稜 山脈 であるバ リサ ン山脈, またスマ トラ断層の一般走向にほ ぼ平行す る.

ジャワ西部の地震 は,垂直ない し正断層である. ジャワ島東部 の南方沖合 の地震は,東西走向 を もつ北落 ちの正 断層である.

バ ング海東部 の地震 では,解析 された13の地震 の うち正断層は 1つ,他 はすべ て垂直ない し逆断 層である.断層の走向は,南北に近 い もの,次 いで東西の ものが 多い.

モル ッカ海の地震 では,解析 された ものは垂直ない し逆断層であ る.断層の走向は,東西 と南北 であ る.

モル ッカ海峡か ら ミンダナ オ島東南緑付近 にいたる地域 の地震 は,垂直ない し逆断層である. そ れ らの大部分 の ものに ともな う断層は,北北西 一南南東 ない し南北走向で, ほぼモル ッカ海峡の西 部 を走 り, ミンダナオ島南部 にいたる凹地地形 に平行す る傾 向が ある.

深度300‑500kmの地震

この深 さの地震 は,パ ンダ海の東部か ら南部 にかけての地域, セ レベ ス海南東部 に見 られ る ( 5).

パ ンダ海東部 ない し南部の地震 は,垂直 な断層 ない し正断層である.断層の走向は,東西 と南北 走向 をもつ ものがあるが,東西走向の ものは西部 に,南北走向の ものは東部 に分布 してい る.

セ レべ ス海南東部 の地震は,垂直 な断層 と正 断層である. 断層の走向は,南北 ない し北北西 一南

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南東 である.

深度500km以上の地震

この深度の地震 は,ジャワ海 中央部,フロー レス海東部か らバ ング海西部 にかけた地域,スラウェ シ島南東部, ミンダナ オ島北方のボホー ル海か らセ レベ ス海北部 に分布 してい る (6).

ジャワ海の地震 は,解析 された6つの地震の うち一つの高角逆断層のほかはすべ て正 断層 である.

走向は,西北西 一束南東 ない し北西 一南東 である.

フロー レス海東部か らパ ンダ海西部 にかけての地震 は,垂直な断層 ない し正 断層 である.断層の 走向は,北北東 一南南西 と南北 ない し北北西 一南南東 である. スラウェシ島南東部の地震 は,北 西‑南東の走向 をもつ.

ボホール海か らセ レべ ス海北部 の地震 は,すべ て正断層で,走向は北北東 一南南西 ない し南北 で ある.

3.断層運動 と地質構造 との関係 断層運動の深度別の性格の変化

スマ トラ島付近 では,100km未満の地震は,北部 ない しその延長部 では正断層 と逆断層がほぼ同 じ 位 の割合 で発生す るのに対 して,南部 では逆断層が 多い.100kmない し300kmでは逆断層が 多い.

ジャワ島付近 では,100km未満の地震 は垂直断層であるが,100‑300kmの地震 では正 断層,500km 以上 ではほ とん ど正断層である.

小 スンダ列 島 とその東方延長地域 では,100km未満の地震 はスンダ海溝付近 に正 断層が発生 してい るが,他 はほ とん ど逆断層である.100‑300kmの地震 もほ とん ど逆断層である.これに対 して300‑

500kmの地震,500km以上の地震 では, ほ とん ど正 断層で しめ られ る.

フィ リピン群 島か ら‑ルマ‑ ラ島付近 にいたる地域 では,100km未満の地震 では逆断層が 多い もの の,正断層 もか な りの割合 で発生 している.100‑300kmの地震 では逆断層が卓越 してい る. これに 対 して300‑500kmの地震,500km以上の地震 では,ほ とん ど正断層に ともなって発生 した ものである.

以上 まとめ ると,100km未満の地震 では逆断層が卓越す るものの正 断層に ともな うもの もか な りあ る.100‑300kmの地震 では,ジャワ島付近 を除いて逆断層に ともな うものが卓越す る.300km以上の 深度の地震 では,正断層に ともな うものが卓越す る.

断層運動の一般走向

地震 に ともな う断層運動 は,大構造の一般走向に平行 してお こなわれ る傾 向が ある. この傾 向は, 100kmよ り深 い地震 に とくに顕著 に認め られ る (7).

深度100km未満の地震 では,大 スンダ列 島・小 スンダ列 島ぞいのスマ トラ南部やバ リ島,パ ンダ海 では北西 一南東 ない し東北東 一西南西,マ カッサル海峡 ぞいの地域 では南北,モル ッカ海か らモル ッ カ海峡 ぞいの地域 では東西か南北, フィ リピン群 島か ら‑ ルマ‑ ラ島付近 にいた る地域 では北北 西 一南南東の走向で大構造の一般走向 と平行 した断層運動 に ともなって発生 してい る. しか し, ス マ トラ島北部か らその延長地域, ジャワ島東南方か らティモール島北西方にいたる地域 に発生 した 地震 では, 島弧の一般走向に斜交す る断層に ともな うものであ る. またスラウェシ島北部 の トミニ

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湾に発生 した地震 では, この地域 の構造 の一般 走向に直交す る南北 の走向 を もつ断層 に ともなって い る. フィ リピン群 島ル ソン島南東部か らその南西延長地域 に発生 した地震 では, フィ リピン群 島 の一般 走向に直交 してのび るパ ラワン島 と平行 して北東 一南西 ない し東西の走向 を もつ断層に とも なって発生 してい る.

深度100‑300kmの地震 では, スマ トラ島か らジャワ島にいた る大 ス ンダ列 島ぞいの地震 は, 島弧 にほぼ平行す る北西 一南東か ら東西走向の断層 に ともな うものであ る. モル ッカ海か らモル ッカ海 峡 にいた る地域 の地震 は,東西か ら北北東 一南南西の走向の断層 に ともな うもので,や は りこの地 域 の一般 的 な構造方 向に平行 してい る. フ ィリピン群 島南部か ら‑ ルマ‑ ラ島付近 の地震 では, 南 北 ない し北北西 一南南東の走向の断層 に ともなっていて, この地域 の島弧 の一般走 向に平行 してい る. バ ング海東部 の地震 では,東西走向の断層 はこの地域 の一般走向 とほぼ平行 してい る と見 て良 いか も知 れ ない. ただ しこれ と直交す る南北の走向の断層 に ともな うもの も見 られ, これは この地 域 の一般 の構造方 向 と直交 してい る. またモル ッカ海 には,一般構造方向 と直交す る南北方 向の断 層に ともな う地震 も発生 してい る. .

深度300‑500kmの地震 では,バ ング海の中 ・西部 の もojは東西走向で この地域 の一般 走向に平行 す る断層に ともな うものであるが, 中部 に, これに直交す る南北走向の断層 に ともな うものが見 ら れ る.東西走 向の断層 では南側が落 ちる傾 向が あ るが,南北の走向の断層 では西側 が落 ちる もの と 東側 が落 ちる ものがあ る. セ レベ ス海 に見 られ る南北 ない し北北西 一南南東 の断層の走向は,堆積 盆地規模 の構造単元 とは必ず しも平行 しない, あるいは斜交す るが, フィ リピン群 島か ら‑ ルマ‑

ラ島にいたるよ り大 きな島弧単元 とほぼ平行 す ると思 われ る.

深度500km以上 の地震 につ いては,ジャワ海か らバ ング海西部 にいた る地震 は,西北西 ‑東南東 なコ い し東北東 一西南西走向の断層 に ともな うもので, ほぼ大 スンダ列 島 ・小 スンダ列 島の島弧 の一般 走向にほぼ平行す る. なお,落 ちの方 向は, 内側 が落 ちる もの と,外側 が落 ちるものがほぼ同 じ位 の割合 であ る.パ ンダ海 中部 の地震 は, ほぼ南北走向の断層 に ともな う地震 で, フィ リピン群 島か ら‑ ルマ‑ ラ島にいた る島弧 に平行 す る傾 向が あ る. これ らの地震 はすべ て外側 が落 ちてい る. ス ラウェシ島南東部 の地震 は,北西 一南東走 向の断層 に ともな うものであ るが これ も同系統 の もの と 見 た方が よいか もしれ ない. ただ し落 ちのセ ンスは逆 で, 内側が落 ちてい る. フィ リピン中 ・南部 の地震 は,北北東 一南南西 ない し南北の走 向の断層 に ともな うものであ るが, これは, フィ リピン 群 島弧 の一般 走向にほぼ平行 し, またこの地域 の堆積盆地 の一般 走向に も平行 してい る.外側 が落

ちる傾 向 を もってい る.

この よ うに,深部 の断層運動が地質構造単元の一般走向 と平行 す るのは,地表付近 の地質構造 の 根が深 く,地質構造が深部 の構造 を垂 直上方 に直接反映 して形成 されてい るこ とを示す もの と考 え る.また,Holmes(1965)らが考 え るよ うな対流 は,島弧 の内側 にはない こ とを示 してい る とも考 え る.

4.フィリピン ・イン ドネシア弧の形成モデル

造構運動 モデルは,地質学的資料 の分析 か らえ られ る地殻表層部 の運動像 が一つの境界条件 とな

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r), さらに島弧 ・海溝系においては,深発地震面の形態 とP波初動分布 の解析か らえ られ る深発地 震面近傍 の応力状態や断層の性格が他 の境界条件 となる. また火成活動が深部の運動 を考 える条件

を与 える. これ らの境界条件 を満足す るような深部過程 を考 えることになる.

なお, イン ドネ シア群 島か らフィ リピン群 島にいたる地域 を含む地質構造単元は,新第三紀の初 期か らの古地理 の変遷か ら全般的な隆起傾 向にあ るもの と考 えられ る. その間の海域 は, この全般 的な隆起傾 向に とり残 された地域,あるいは全般的な隆起傾 向のなかの局部的な沈隆地域 と考 える.

これに対 して海洋 は全般的な沈降状態にあ ると考 えられ る. なお島弧の摺 曲は,プ レー トの沈み こ みに ともな う横圧 力によって形成 され る と一般 に考 えてい るが,筆者は,稽曲は基盤地塊の昇降運 動 に ともな う被覆層の変形 の結果 であって,基本 的には横圧 力は必要条件 では ない と考 えてい る (Kodamaetal.,1985;鈴木 ・小玉 ;1987).したが って,摺曲運動 を説明す るための剛体的 なプ レー トの しめつけの ような機構 は必要がない と考 える.

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筆者は, フィ リピン ・イン ドネ シア弧の形成機構 は, カ リマ ンタンか らイン ドシナ半 島にいたる 地域 を中心 に大 スンダ列 島 ・小 スンダ列 島, スラウェシ,‑ルマ‑ ラ, フィ リピン群 島にいたる地 域が隆起 し, その南方のイン ド洋,東方の太平洋が沈降す る運動が基本 である. そ して, この よう な運動 は,少 な くとも深発地震の発生す る700kmよ りも深 い ところに起 因す る垂直な運動 を直接反映 してお こなわれ る. この ような第一級の構造単元の隆起 ・沈降運動 は,深部の単元の隆起 ・沈降運 動 を直接反映 した もので, この ような運動 に ともなって,対照的な運動傾 向 をもつ構造単元の境界 付近 に深発地震面が形成 され ると考 える (8).

この ような運動がお こなわれ ると,隆起単元は水平 引っ張 りの状態にな り,構造単元の境界に平 行す る方向 と直交す る方向に展張割れ 目が形成 され,割れ 目にそ う断層運動 に ともなって地塁 ・地 溝が形成 され る.地塁は島に,地溝は縁海や堆積盆地 にな り,堆積物 に うめたて られてい く.地震 に ともな う断層運動 は, 島弧に平行す る方向が卓越 し, 島弧 に直交す るものが これに次 ぐが, この 地域 の地形や地質構造単元の境界の方向が これ ら2方向に支配 されているのは,上記の ような機構 によるもの と考 えられ る. とくにフィ リピン群 島か ら小 スンダ列 島にいた るこの地域東部 の複雑 な 地形 と地質構造は, この ような機構 に よって説明が可能 であろ う.

300kmよ りも深部 では,主圧力軸が垂直にちか く,断層運動 として正断層が卓越す る事実 は,島弧 ‑ 海溝系の内側単元の深部か らの上昇運動 によって よ りよ く説明す ることがで きるであろ う.縁海域 に深発地震が 多発 しそれ よ り内側 にその発生 を見 ないのは,縁海が深部の隆起 と沈降運動の境界に あた り,変形の屑 の部分 に相 当す るこ とに よるもの と考 えられ る.

300kmよ りも浅 い地震 では,逆断層が よ り卓越す るの対 して,300kmよ り深 い地震 ではほ とん どが 正断層であ るのは,地球 の ような球体 において中心 に向か う重力が働 いている時,地表に近づ くほ ど水平方向の圧縮応力が垂直方向の圧縮応力 よ りも大 き くなることに よるもの と考 え られ る (Sez awa,1937,1939;小玉 ・鈴木,1977). この ような初期応力状態下 で前記の ような差別 的な隆起 ・ 沈降運動 をお こなわせ ると,隆起域 は全般的に膨張域 とな り,深部 では とくに正 断層がで きやすい 状態になる (Suzukietal.,1977).この地域 において,300km付近 を境に,正断層 と逆断層の割合 が変化す るのは,上記の ような条件 に よるもの と考 えられ る.

最近の地震波 トモグラフィーの結果に よると, 島弧の内側地域 の深 さ数100kmまでの地震波速度 は平均 よ りも遅 い (Fukaoetal.,1992).これは,上記の水平 引張 りの条件下 での圧力の減少に よ るもの と考 えられ る. また深発地震面にそって地震波速度が平均 よ りも速 いが, これは,隆起 ・沈 降の変動の肩 の部分 か ら斜め上方にのぴ る歪の集 中帯に対応す るもの と考 え られ る.

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参照

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