品質調整済新規 募集オ フィス賃料指数 の推 定
一 札 幌CBD(1985‑2000年 度)に お け る 実 証 研 究 一*
永 井 輝 一 清 水 有紀子
要 約
本 論 文 で は,札 幌 オ フ ィ ス 賃 貸 市 場 を事 例 に,ヘ ドニ ック ・モ デ ル を利 用 し た 品 質 調 整 済 新 規 募 集 オ フ ィス 賃 料 指 数 の 計 測 を行 っ た 。 ま ず 始 め に基 本 的 な ヘ ドニ ック ・モ デ ル に よ る 品 質 調 整 を行 っ た 。 そ の 結 果,サ ンプ ル の 単 純 平 均 で は1991‑94年 度 に か け て か な り急 激 な 上 昇,下 落 が 見 られ た が,品 質 調 整 を 行 う と賃 料 の 変 動 は か な り緩 や か な もの で あ っ た こ とが 分 っ た 。 この 結 論 は, バ ブ ル 期 に は オ フ ィス 賃 料 の急 速 か つ 大 き な変 動 が見 られ た とす る常 識 的 な見 解 に,品 質 調 整 の 視 点 か ら再 検 討 を提 示 す る も の で あ る。 ま た1997年 以 降 を見 る と単 純 平 均 指 数 と品 質 調 整 済 指 数 とで は,指 数 の 方 向 性 が 逆 に な る年 が見 ら れ,単 純 な 平 均 値 で は オ フ ィ ス 賃 料 の動 き を誤 っ て把 握 しか ね な い とい う結 論 を得 た 。 更 に 本 論 文 で は バ ブ ル期 前 後 の市 場 の構 造 変 化 を考 慮 に 入 れ た オ フ ィ ス 賃 料 指 数 を 計 測 し,指 数 の改 善 を図 っ た 。 そ の結 果,構 造 変 化 を考 慮 しな い で 計 測 す る と1991‑93年 度 に か け て若 干 ア ン ダ ー エ ス テ ィ メ イ トし て し ま う こ と,逆 に1994‑96年 度 で は オ ーバ ー エ ス テ ィ メ イ トし て し ま う こ とが 分 っ た 。
*本 論 文 の執筆,掲 載 にあ た って小樽 商科 大 学 「商学 討究 編集 委員 会」 の匿 名複 数の レフ ェ リー か ら大変有 益 な コメ ン トを頂 き,本 論文 の改 善 を図 る ことが で きた。記 して深謝 す る次 第 であ る。 また 「不動 産 フ ァイナ ンス研 究会 」 のメ ンバ ー との議論 か ら多 くの示 唆 を得 た。特 に慶 慮 義塾 大学 の駒 井教授,明 海 大学 の川 ロ教授 の コメ ン トに感 謝 したい。 なお 本論 文 は両著 者 の個 人的立 場 で執筆 した もので あ り,所 属 す る企業 の 見解 を示す もので は ない。
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180 商 学 討 究 第54巻 第2・3号
い ず れ に しろ オ フ ィス 賃 料 の 実 態 を 正 確 に把 握 す る た め に は 適 切 な 品 質 調 整 が 必 要 で あ る。
1.研 究 の 背 景 と 目 的
デ フ レー シ ョ ンの 問 題 が 深 刻 化 して お り,政 府 も2002年11月 に 『総 合 デ フ レ 対 策 』 を取 りま とめ る な ど,重 要 な政 策 課 題 とな っ て い る。 デ フ レー シ ョ ン と は 物 価 の継 続 的 下 落 と定 義 さ れ るが,こ う した現 象 は オ フ ィス 賃 料 とて 例 外 で は な い 。 我 が 国 の オ フ ィス 賃 料 の 動 きを 見 る と,1980年 代 後 半 か ら顕 著 に 上 昇 し始 め,1990年 代 初 頭 に か け て急 激 に上 昇 した 後,一 転 して急 速 に下 落 した 。 1990年 代 後 半 以 降 は比 較 的 落 ち 着 い た動 き を見 せ て い るが,2003年 度 に入 り需 要 の低 迷 か ら弱 含 み に転 じて い る 。 オ フ ィス 賃 料 の 下 落 はそ れ 自体,不 動 産 投 資 収 益 の 低 下 を招 く重 要 な問 題 だ が,加 え て オ フ ィス 賃 料 の低 下 が オ フ ィス ビ ル の 資 産 価 格,商 業 地 の 地 価 の下 落 に至 る 資 産 デ フ レに 直 結 す る こ と の影 響 が 大 きい 。 資 産 価 格 の 下 落 が 続 く限 り,我 が 国 経 済 の宿 痛 と な っ て い る不 良 債 権 問 題 の解 決 に は至 りえ な い とい う こ と を考 え る と,課 題 の 重 要 性 は 高 い 。
と ころ で デ フ レー シ ョ ン は物 価 の 問 題 で あ るか ら,現 状 認 識 政 策 形 成,お よ び政 策 の パ フ ォー マ ンス 評 価 の た め に は正 確 な 物 価 の計 測 が 要 請 され る が, 実 際 に は 計 測 上 の 問題 点 も多 く指 摘 され て い る1)。 本 論 文 で は 新 規 募 集 オ フ ィ ス 賃 料 指 数 につ い て 分 析 を 行 うが,そ の 計 測 に つ い て も以 下 の よ うな 問 題 点 が 指 摘 さ れ て い る2)。
1)物 価 指 数 の 測 定 誤 差 の 原 因 お よ び そ の 弊 害 に つ い て は 白塚(1998)が 詳 しい 。 2)オ フ ィス 賃 料 の 動 向 を 示 す 指 数 と して 公 的 機 関 で 公 表 して い る もの は,日 本 銀 行 の
『 企 業 向 け サ ー ビス 価 格 指 鶏 を構 成 す る 「 事 務 所 賃 貸 料 指 数」 が あ る 。現在,東
京 圏,大 阪 圏,名 古 屋 圏 の オ フ ィス 賃 料 指 数 を 公 表 して い るが い ず れ も既 存 オ フ ィ
ス ビ ル の 継 続 賃 料 が 対 象 で あ る 。 ち な み に計 測 方 法 は ラ ス パ イ レス 型 指 数 を利 用 し
て い る。 ま た新 規 募 集 賃 料 に つ い て は 東 京 都 心 部 に つ い て 公 表 され て い た が,1998
年 を最 後 に公 表 され な くな っ た 。 一 方,民 間 企 業 が 提 供 す る オ フ ィス 賃 料 指 数 と し
て は(株)生 駒 デ ー タ サ ー ビス シ ス テ ム,(株)オ フ ィス ビ ル総 合 研 究 所,三 鬼 商 事
(株)な どの オ フ ィス 仲 介 会 社 が 公 表 して い る もの が あ る 。 お の お の 独 自の 方 法 で
品質 調整 済新 規募 集 オ フィス賃料 指 数の推 定
181
(1)新 規 募 集 賃 料(.4skingRent)に 基 づ く賃 料 指 数 につ い て は い くつ か 公表 さ れ て い る が,成 約 賃 料(.4PProvedRent)に 基 づ く賃 料 指 数 に つ い て は公 開 され て い な い 。 一 般 に 募 集 賃 料 と成 約 賃 料 の 問 に は乖 離 が 存 在 す る と言 わ れ て い る。
(2)公 開 され て い る 賃 料 の 計 測 方 法 は,基 本 的 に は テ ナ ン ト募 集 中 の オ フ ィ ス の 募 集 賃 料 を単 純 平 均 した もの で あ り,品 質 調 整 され て い な い 。 例 え ば 比 較 的 都 心 部 で 大 型 オ フ ィ ス ビル の 供 給 が 多 か っ た期 と,郊 外 に小 型 の オ フ ィス ビ ル の 供 給 が 多 か っ た期 を比 較 す る 場 合,な ん らか の 品 質 調 整 が 必 要 だ が,現 状 は な され て い な い 。
(3)賃 料 指 数 を作 成 して い る機 関 また は企 業 が 把 握 して い る取 引 は 市 場 全 体 の取 引 の全 て で は な い 。 実 際 は か な り多 くの ケ ー ス で テ ナ ン トとオ フ ィス
ビル オ ー ナ ー が 直 接 取 引 を行 っ て い る た め 市 場 実 態 を把 握 しに くい 。 こ れ らの 問題 点 の う ち,(1)と(3)につ い て は 我 が 国 オ フ ィ ス賃 貸 市 場 の構 造 的, 慣 行 的 問 題 で あ り簡 単 に解 決 で きる もの で は な く課 題 と して 残 っ て い る。 しか し(2)の問 題 は純 粋 に品 質調 整 方 法 の 問 題 で あ る か ら解 決 可 能 で あ る 。 よ っ て本 論 文 で は,北 海 道 札 幌 市CBD(CentralBusinessDistrict)の オ フ ィス 賃 貸 市 場 を対 象 に オ フ ィス 賃 料 指 数 計 測 上 の 品 質 調 整 方 法 につ い て 検 討 を行 う。
さて不 動 産,特 に住 宅 の 品 質 調 整 済 価 格 指 数 の 計 測 に は,ヘ ドニ ッ ク ・モ デ ル法 と リ ピ ー ト ・セ ー ル ス 法 が 多 く用 い られ て い る。 ヘ ドニ ック ・モ デ ル法 に は 分 析 対 象 期 間 にお け る ヘ ドニ ッ ク 関 数 の パ ラ メ ー ター が 不 変 で あ る とす る
「制 約 型 」 と,可 変 で あ る とす る 「非 制 約 型 」 が あ る 。 「非 制 約 型 」 の 方 が モ デ ル と し て は好 ま しい が,各 年 で 十 分 なサ ンプ ル 数 が 要 求 され る。一 方,リ ピー ト ・セ ー ル ス法 は 同 じ物 件 が 異 時 点 で 販 売 され た 際 の価 格 を用 い て 品 質 調 整 を 図 る もの だ が,こ れ も十 分 に 多 くの サ ン プ ル 数 が 必 要 で あ る3)。 本 論 文 の よ う
賃 料 指 数 を計 測 して お り,サ ン プ ル数 の 大 小,対 象 エ リア の 多 寡 な ど差 異 は あ るが, 基 本 的 に は基 準 時 点 に お い て 営 業 に供 さ れ て い た オ フ ィス ビ ル の 募 集 賃 料 の 単 純 平 均 値 と比 較 時 点 の そ れ との 比 較 で あ り,本 論 文 の よ う な品 質 調 整 は 行 わ れ て い な い 。 3)以 上 の ヘ ドニ ッ ク ・モ デ ル法 と リ ピ ー ト ・セ ー ル ス 法 の 比 較 は,中 村(1998)の
指 摘 を 参 考 と した 。
182 商 学 討 究 第54巻 第2・3号
に オ フ ィス 賃 料 を分 析 対 象 とす る場 合,テ ナ ン トで あ る企 業 は そ う頻 繁 に は オ フ ィ ス を 移 転 しな い か ら,住 宅 の よ うに 多 くの リ ピー ト ・セ ー ル ス(リ ー シ ン グ)の デ ー タ を把 握 す る こ とは 難 しい。 また 東 京 や 大 阪 な どの 巨 大 都 市 の オ フ ィス 賃 貸 市 場 で あ る な ら ば各 年 で 十 分 な取 引 デ ー タ を確 保 す る こ とが で き るか も しれ な い が,札 幌 ほ ど の地 方 中 核 都 市 で も各 年 で 十 分 なサ ンプ ル 数 を得 る こ と は困 難 で あ る。 よ っ て本 論 文 に お け る一 つ 目の 目的 は,「 制 約 型 」 の ヘ ドニ ッ ク ・モ デ ル を 利 用 して 品 質 調 整 済 オ フ ィス 賃 料 指 数 を 計 測 す る こ とで あ り,サ ンプ ル の賃 料 を単 純 平 均 し た指 数 との 比 較 を行 う。
本 論 文 に お け る二 つ 目の 目 的 は,構 造 変 化 を組 み入 れ た 品 質 調 整 済 オ フ ィス 賃 料 指 数 を計 測 す る こ とで あ る 。 本 論 文 の 分析 対 象 期 間 は1985‑2000年 度 で あ り,所 謂 「バ ブ ル 期 」 が含 ま れ て い る。 こ の 大 変 動 期 に オ フ ィ ス 賃 貸 市 場 の構 造 が 変 化 し た の で は な い か とい う仮 説 を立 て る こ とに 異 論 は な い で あ ろ う 。 そ こ で ヘ ドニ ック ・モ デ ル に構 造 変 化 を取 り入 れ る方 法 が 問 題 とな る が,一 般 的 に は構 造 変 化 が 見 られ た期 間 で デ ー タセ ッ トを分 割 して,そ れ ぞ れ の デ ー タセ ッ トご と に計 測 し直 す こ とが 多 い4)。 しか しデ ー タセ ッ トを 分 割 して 計 測 した 場 合,サ ン プ ル数 が 減 少 して しま う こ と,ま た ヘ ドニ ック 関 数 の説 明 力 や 残 差 分 布 が 異 な っ て し まい 賃 料 の 変 化 を捉 え る た め に は適 切 で は な い こ と,な どの 問 題 点 が 指 摘 され て い る5)。 よ っ て 本 論 文 で は 西 村 ・清 水(2002b)で 提 案 さ れ て い る 「バ ブ ル期 」の 影 響 を捉 え る ダ ミー変 数 を組 み 入 れ た モ デ ル を採 用 し, 品 質 調 整 済 オ フ ィ ス 賃 料 指 数 に構 造 変 化 を取 り入 れ る こ と とす る。
さ て 以 下 で は,本 論 で 利 用 す るヘ ドニ ック ・モ デ ル に つ い て 説 明 を行 っ た上 で,品 質 調 整 済 オ フ ィス 賃 料 指 数 を推 計 す る。 次 にヘ ドニ ッ ク ・モ デ ル へ の構 造 変 化 の 組 み 入 れ 方 法 を提 示 し,改 め て 指 数 を推 定 す る こ と とす る。
4)肥 田 野 ・山 村 ・土 井(1999),SmithandTesarek(1991)な ど を 参 照 。 5)西 村 ・清 水(2002b)を 参 照 。
品質 調整 済新 規募 集 オ フィス賃 料指 数の推 定 ヱ83
2.ヘ ドニ ッ ク ・モ デ ル と関 数 形 の 選 択 2‑1.ヘ ドニ ッ ク ・モ デ ル
本 論 文 で は オ フ ィ ス 賃 料 の 品 質調 整 を 図 る 手段 と して 「ヘ ドニ ッ ク ・モ デ ル 」 を利 用 す る 。 ヘ ドニ ッ ク ・モ デ ル と は あ る財 の 持 つ 属 性 ベ ク トル のbundleに よ っ て そ の 財 の価 格 を説 明 す る もの で,そ の 関 数 形 を特 定 す る こ と に よ っ て そ の 財 の市 場 価 格 関 数 が 把 握 で き る とす る もの で あ る。
合 成 財 で あ る オ フ ィス の 賃 料 は 後 述 す る よ うな様 々 な属 性 ベ ク トル のbundle で 表 現 す る こ とが で き る。T期 に お け る第iオ フ ィス の属 性 ベ ク トル のbntndle をXiTと す る と各 々 の オ フ ィス 賃 料RentiTはXiTの 関 数 で 表 さ れ る 。
RentiT=R(XiT)
以 上 の よ う な オ フ ィ ス 賃 料 と 属 性 ベ ク ト ル のbundleと の 関 係 は,分 析 対 象 期 間 の 時 間 ダ ミ ー をTD戸(TDil,…,TDi・T),誤 差 項 を ε と す る と,ヘ ドニ ッ ク ・ オ フ ィ ス 賃 料 関 数 と し て,
1〜entT=c+αTx2「+βTTD+ε
と表 す こ とが で きる 。
2‑2.オ フ ィ ス 賃 料 を説 明 す る属 性
先 行 研 究6)の サ ー ベ イか らオ フ ィス 賃 料 を 説 明 す る 属 性 概 念 と して,ア ク セ ス ビ リテ ィー,オ フ ィス の 集積 性,オ フ ィス ビル の 物 理 的機 能 お よ び 賃 貸 借 契 約 の 信 頼 性 が 考 え られ た。 そ して こ の概 念 に該 当 す る と思 わ れ る属 性 か ら実 際 に利 用 可 能 な デ ー タ を調 べ た 結 果,本 論 文 と して は(図 表1)に 挙 げ た 九 つ の
6)我 が 国 の オ フ ィ ス 賃 貸 市 場 を ヘ ド ニ ッ ク ・ モ デ ル で 分 析 し た も の と し て は, Arima(1993),中 村(1994),永 井(1994),Nagaietal.(2000),永 井 ・清 水
(2002)な ど が 挙 げ ら れ る 。
184商 学 討 究 第54巻 第2・3号 属 性 を 選 択 した7)。
ア ク セ ス ビ リテ ィー 指 標 と して,「 当該 ビ ル か ら最 寄 り駅 まで の 距 離 」 と 「最 寄 り駅 か ら大 通 り駅 まで の 時 間 距 離 」お よび 「南 北 線 ダ ミー 」,「東 西 線 ダ ミー」
を選 ん だ 。 「当該 ビ ル か ら最 寄 り駅 まで の 距 離 」 は オ フ ィス ビル か ら最 も距 離 的 に近 いJR北 海 道,札 幌 市 営 地 下 鉄 また は札 幌 路 面 電 車 の 駅 ま で の 距 離 で あ る。 駅 か ら遠 くな る ほ ど賃 料 は 安 くな る傾 向 が あ る だ ろ う か ら想 定 符 号 条件 は マ イ ナ ス で あ る。 「最 寄 り駅 か ら大 通 り駅 まで の 時 聞距 離 」 は 上 述 の 最 寄 り駅 か ら札 幌 市 営 地 下 鉄 大 通 り駅 に到 達 す る の に要 す る時 間 で あ る 。 札 幌CBDの 交 通 の 中 心 と して は,JR札 幌 駅 か ら大 通 りを抜 け る 駅 前 通 りと大 通 り公 園 の あ る大 通 り との 交 差 点 で あ り,ま た 札 幌 市 営 地 下 鉄3線(南 北 線 ・東 西 線 ・東 豊 線)が 唯 一 交 差 す る 「大 通 り駅 」 が 最 適 と考 え,そ こへ の最 寄 り駅 か らの 到 達 時 間 を採 用 した 。 中心 地 か ら離 れ る ほ ど賃 料 は低 下 す る と考 え,想 定 符 号 条 件 は マ イ ナ ス で あ る。更 に最 寄 り駅 が 上 記3線 の どの 線 の駅 で あ る か を 示 す 「南 北 線 ダ ミー 」,「東 西 線、ダ ミ ー」 を加 え た 。3線 を比 較 す る とCBDを 東 西 お よ び南 北 に分 け る 道 路 軸(駅 前 通 りお よ び大 通 り)に 沿 っ て 走 る南 北 線,東 西 線
(図表1)オ フ ィス 賃料 を説明 す る属性
属 性 概 念 採 用 属 性
略記号 単 位 想定符号条件
ア クセ ス ビ リ テ イ ー
最寄 り駅 までの距離
最寄 り駅 か ら大通 り駅 まで の時間距 離 南北線 ダミー
東西線 ダ ミー
D弼 丁 .47℃
S/VD E確D
m 分
一
一
(一) (一) (+) (+)
オ フ ィス 集 積 性
指定容積 率
1〜μ〇五 100%(+)
物 理的性能 築年数
延床面積 1階 ダ ミー
.4GE F乙0εP
FID
年
㎡
一
(一) (+) (+)
賃貸借契約の信頼性
大 手 ダ ミー 謝 ノ01〜D 『(+)
7)た だ し関 数 の 推 計 に あ た っ て は ク ロス 項 を入 れ た た め,そ の 分,説 明 変 数 は 増 え
て い る 。
品 質調整 済新 規募 集 オ フ ィス賃 料指 数 の推 定
ヱ85
に比 べ,一 番 新 し く敷 設 され た東 豊 線 は若 干 外 れ た地 域 を走 っ て お りそ の利 用 価 値 は 他 の2線 に比 べ て 低 い 。 よ っ て そ の 差 をモ デ ル に織 り込 む こ と と した 。 最 も利 用 価 値 の低 い東 豊 線 をベ ー ス ラ イ ン と した の で 両 ダ ミー変 数 の 想 定 符 号 条 件 は プ ラ ス で あ る。オ フ ィス の集 積 性 を示 す 指 標 と して は 「オ フ ィス ビル の 立 地 点 に お け る指 定 容 積 率 」 を選 択 した8)。 「指 定 容 積 率 」 と は都 市 計 画 に お け る ゾ ー ニ ン グ の 手 段 の ひ とつ で,指 定 さ れ た 土 地 の面 積 に対 して何 倍 の面 積 の 建 物 を 建 て る こ と が で きる の か を示 し て い る 。 つ ま り 「指 定 容 積 率 」 が 高 い 地 域 に は よ り高 層 の 建 物 が建 っ て い る 可 能 性 が 高 く,オ フ ィス や そ こ に働 く人 々が よ り高 密 度 に 集 積 して い る こ とに な り,そ の 意 味 で 「集 積 性 」 を示 す 代 理 属 性 とな りう る。 集 積 性 が 高 ま る と賃 料 は上 昇 す るで あ ろ うか ら想 定 符 号 条 件 は プ ラ ス で あ る。
オ フ ィス ビ ル の物 理 的 構 造 ・性 能 と して は 「築 年 数 」,「延 床 面 積 」,「1階 ダ ミー 」 を 選 ん だ 。IT対 応,空 調 設 備,セ キ ュ リテ ィ ー な ど オ フ ィ ス ビル の機 能 の 進 化 は近 年 著 しい か ら,「 築 年 数 」 は オ フ ィス ビル の性 能 を 示 す 指 標 と し て 有 用 で あ ろ う。 古 くな る ほ ど賃 料 は 安 くな る で あ ろ うか ら,想 定 符 合 条 件 は マ イ ナ ス で あ る。 一 方,大 規 模 ビ ル は オ フ ィ ス 設 計 の 融 通 性 が 高 く,電 気,空 調 設 備 な ど性 能 面 も良 く,高 い 機 能 性 を持 つ 場 合 が 多 い か ら 「延 床 面 積 」 も性 能 を示 す 属 性 と して 有 効 と考 え た 。 更 に 大 規 模 ビ ル のimplicitな 性 能 と し て は 地 域 の ラ ン ドマ ー ク と して の ブ ラ ン ド性 が 含 ま れ る。 よ り大 型 の オ フ ィス ビ ル ほ ど高 い賃 料 を獲 得 で き る で あ ろ うか ら,想 定 符 号 条 件 は プ ラス で あ る 。 ま た オ フ ィ ス ビル の1階 は オ フ ィス と して の 利 用 の他,金 融 機 関 や そ の他 の 店 舗 と して も高 い収 益 性 を得 る場 所 とな る こ とが 想 定 され る た め,サ ン プ ル の オ フ ィ ス が 当該 オ フ ィス ビル の 地 上1階 に位 置 し た場 合 を1と す る 「1階 ダ ミー 」 を 採 用 した。 想 定 符 号 条件 は プ ラ ス に な る 。
8)本 来 な らば単 位面積 あ た りの従 業者 密度 の方 が 望 ま しい が,細 か い街 区単位 の統 計 は公 表 され てい な い。 そ こで比 較 的狭 い範 囲 で設 定 され,ま たCBDに おい て はそ の実現 度 合 い も高 い こ とが 想定 され る指 定 容積率 を集積性 の代 理属 性 と して 選 択 した。
ヱ86 商 学 討 究 第54巻 第2・3号
契 約 の 信 頼 性 を示 す 変 数 と して は,「 大 手 ダ ミー」 を選 択 した 。 オ フ ィ ス の 賃 貸 借 契 約 は長 期 に亘 る こ とが 多 い か ら契 約 相 手 の 信 頼 性 が 問 わ れ る こ とは 当 然 だ が,特 に我 が 国 の場 合,多 額 の 敷 金 を 賃 貸 人 に預 託 す る こ とか ら賃 貸 人 の 信 頼 性 は 重 要 視 され る と考 えた 。 そ こで,大 手 の 不 動 産 会 社,金 融 機 関,生 命 保 険 会 社 等 が オ フ ィ ス ビル を保 有 し賃 貸 人 とな って い る場 合 を1と し,そ れ 以 外 を0と す る ダ ミー 変 数 を 採 用 した 。 想 定 符 号 条 件 は プ ラス で あ る 。
2‑3.分 析 で使 用 す る デ ー タ
本 分 析 で は(社)札 幌 ビル ヂ ング協 会 の個 別 オ フ ィ ス ビ ル の デ ー タ を利 用 す る9)。 同 協 会 は 毎 年4月1日 現 在 で 同 協 会 に 加 盟 す る 会 員 の所 有 す る オ フ ィス ビ ル の デ ー タ を収 集 して い る 。
我 々 は 個 別 ビ ル の 新 規 募 集 賃 料 お よび 敷 金 ・保 証 金 の デ ー タ を使 い 当該 オ フ ィス ビル の 「新 規 募 集 実 質 賃 料 」 を求 め た 他10),「 築 年 数 」,「延 床 面 積 」 お よ び 「1階 ダ ミー 」 の デ ー タ を得 た。 次 に 同協 会 デ ー タ の オ フ ィ ス ビル の 住 所 を 使 い,「 最 寄 り駅 ま で の 距 離 」11),「最 寄 り駅 か ら大 通 り駅 まで の 時 間 距 離 」12),
「指 定 容 積 率 」13),「南 北 線 ダ ミー」,「東 西 線 ダ ミー 」の デ ー タ を作 成 した 。 「大 手 ダ ミー 」 につ い て は対 象 会 社 のWeb‑Site等 か ら保 有 す る オ フ ィ ス ビ ル を特
定 し た。(図 表2)に デ ー タ の記 述 統 計 量 を示 す 。
9)同 協 会 に は貴 重 な デ ー タ の 利 用 を ご許 可 い た だ い た 。 こ こ に 記 して 深 謝 す る もの で あ る 。
10)(社)札 幌 ビ ル ヂ ン グ協 会 の 賃 料 デ ー タ は 募 集 賃 料 で あ り成 約 賃 料 で は な い 。デ ー タ の 制 約 上 致 し方 な い が,本 来 的 に は 成 約 賃 料 を 利 用 す る 方 が 望 ま しい 。 な お 実 質 賃 料(円/㎡)=賃 料(円/㎡)+敷 金 ・保 証 金(円/㎡)x金 利(%)÷12(月) で 求 め た 。
11)(株)ゼ ン リ ン の 『 住 宅 地 図 』 を 利 用 し た 。
12)最 寄 り駅 か ら大 通 り駅 ま で の 時 間 距 離 は(株)ヴ ァル 研 究 所 の 『駅 す ぱ あ と』 を 利 用 し た 。
13)(株)北 海 道 地 図 の 『 札 幌 市 都 市 計 画 図 』 を利 用 した 。
品質調 整済 新規 募集 オフ ィス賃料 指数 の推 定 (図表2)記 述統 計量
(L段:'v一 均 値,ド 段(
187
)内:標 準 誤差)
1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992
標本数
40 41 45 39 72 30 37 36実 質 賃 料(円/㎡ ・月)2,594.92,676.32,664.32,630.32,790.72,960.43,1与4.33,897.7 RENT(113.3)(88.5)(103.6)(112.1)(73.7)(132.8)(142.5)(249.2)
最寄 り駅 までの 距離 (m)
DIST
166.6 (23.1)
119.6 (18.9)
151.2 (19.8)
172.5 (24.2)
149.5 (16.6)
160.0 (19.3)
172.2 (21.0)
135.8 (17.4) 大通 り駅 までの 時間
距離(分) ATC
1.4001。3901.6891.4361。4311.6670.9731.556
(0,240)(0.223)(0.300)(0.232)(0.242)(0.289)(0.167)(0.346)
容積率(100%) RYOL
7,1257.3907.1117.0777.1537.1007.1897.278
(0,212)(0,188)(0.214)(0,228)(0.160)(0.281)(0.177)(0.234) 築年 数(年)
AGE
15,416.017.719.518.517.218.117.9
(1.185).(1.157)(1.224)(1.235)(1.007)(1.566)(1.336)(1.326) 延 床 面 積(2m)
IilLOSP
10t151.811,116.71工,078.610,151.610,046.110,559。510,744.111,889.8 (1,408,8)(1,403.6)(1,317.8)(1,362.0)(1,000.7)(1,360.4)(1,454.2)(1,413.4)
1993 1994 工995 1996 1997 1998 1999 2000
標本数
'41 70 42 31 25 22 21 15実 質 賃 料(円/誼 ・月)3,764,13,168.13,240.33,337.93,161.83,358.73,461.83,509.8 REAIT(207.6)(102.8)(154.4)(132.2)(176.9)(216.4)(233.3)(252.1)
最寄 り駅 までの距 離 (m)
∠)IST
176.8 (23.6)
163.5 (16.7)
203.8 (24.7)
3
◆3 4 1 4 4 2 1 7 0 2 ) 1 1 3(
170.9 (36.5)
129.5 (21.3)
91.5 (19.3) 大通 り駅 までの時 間
距 離(分) A7℃
1.4881.8002.0001.7421.5601.7271.6191.067
(0.348)(O.276)(0.420)(0.415)(0.462)(0.665)(0.579)(0.248) 容積率(100%)
RVOL
7.1467.0006.5006.7426.6406.9097.1437.800
(0.214)(0.192)(0.305)(O.334)(0.369)(0.328)(0.367)(0.107) 築年 数(年)
AGE
20.221.019.818.721.624.425.826.0
(1.459)(1.173)(1.544)(]、.987)(2.422)(2。381)(2.820)(3。579)
延床面 積(㎡) FILosP
11,101,48,744.49.865.912,375.410,767.212,153.511,811.913,344.9 (1,323.2)(832.5)(1,327.3)(1,588,6)(1,815.1)(2,029.5)(1,636.9)(2,106.2)
2‑4.関 数 形 の 選 択
さ て ヘ ドニ ッ ク ・モ デ ル の 関 数 形 に つ い て は,
理 論 的 に は な ん らの 制 約 もなヱ88
商 学 討 究 第54巻 第2・3号
い こ と が 知 ら れ て お り14),我 々 は 本 分 析 で 使 用 す る ヘ ド ニ ッ ク ・オ フ ィ ス 賃 料 関 数 の 関 数 形 を 選 択 す る 必 要 が あ る 。 そ こ で 以 下 に 定 義 す る 半 対 数 形 (Semi‑Log‑For〃z)と 両 対 数 形(Double‑Log‑Form)の 二 つ の 関 数 形 を 想 定 し, 札 幌 オ フ ィ ス 賃 貸 市 場 に フ ィ ッ トす る 関 数 形 を 選 択 す る こ と と す る 。
<半 対 数 形>
ln(Rent)=c+α1D1∬+α2孟TC+cr3RVOL+cr4AGE +cr5FLOSP+α6FIZ)+cr7MAJORZ)+α88M)+αgE曜)
+α10・47℃ ×SIVD+α11・47℃ ×El71Zl)+ΣiβiTZ)i+ε
〈両 対 数 形>
1〃(Rent)=c+crzln(DIST)+α2孟TC+cr31n(RVOL)+cr4AGE +cr51n(FLOSP)+cr6FID+cr7MZIJOI〜D+cr8SNZ)+αgEπD
+crloA1℃ × ㎜+cruA7℃ ×Eア 辺)+Σiβ ゴTL)i+ε
(1)
(図表3)に 両 モ デ ル の推 定 結 果 が 示 され て い る 。 両 モ デ ル と も 「最 寄 り駅 か ら大 通 り駅 ま で の 時 間 距 離 」 を除 い て 符 合 条 件 を満 た して い る 。'値 も一 部 の 時 間 ダ ミー を除 い て 有 意 で あ る 。 決 定係 数 も先 行 研 究 と比 較 し て劣 ら な い値 とな っ た。
両 モ デ ル を比 較 す る と,係 数 の値 に大 き な差 異 は な く,係 数 の'値 も大 き く は 変 らな い 。 決 定 係 数,F値,AIC(Akaike'sInformationCriterion)を 見 て も そ の 差 は 小 さ い が,若 干 で は あ る が 両 対 数 形 の 方 が 優 っ て い る。 更 に DavidsonandMacKinnonの ノ4TESTを 行 っ た 結 果,半 対 数 形 を 帰 無 仮 説 と した テ ス トで は 同 関数 形 が1%水 準 で 棄 却 され た が,両 対 数 形 を帰 無 仮 説 とす
14)Griliches(1961),Rosen(1974)を 参 照 。 た だ し そ の 前 提 条 件 と し て 市 場 が
pure‑competitionで あ る こ と が 要 請 さ れ る 。 札 幌 オ フ ィス 賃 貸 市 場 を 観 察 す る
と,多 数 の 市 場 参 加 者 が 存 在 し,そ の 参 入 退 出 は 自 由 で あ る。 ま た ビ ル オ ー ナ ー
か ら直 接 に ま た は仲 介 会 社 の 発 行 す る雑 誌 等 を通 じ て 賃 料 そ の 他 の 取 引 条 件 の 情
報 が 容 易 に 得 られ る こ とか ら こ の 条 件 は 満 た さ れ る と判 断 し た 。
品 質 調 整 済 新 規 募 集 オ フ ィス 賃 料 指 数 の 推 定
(図表3)関 数 形 の 選 択 (上段:推 計係数,中段()内:'値,
189
下段[]内1)値)
半対数形 両対数形 半対数形
両対数 形最 寄 り駅 まで の距 離 一 〇.0003‑0.0320 (‑4,1205)(‑4.9429) [0.0000][0.0000]
89年 度 ダ ミー 0.0518
(1.4688) [0.1424]
0.0547 (1.5676) [0.1175]
大 通 り駅 まで の時 間距離 0.1121 (4.9282) [0.0000]
0.1063 (4.7256) [0.0000]
90年 度 ダ ミー 0.1349
(3.1424) [0.0018]
0.1393 (3.2766) [0.0011]
指定容積率
0.0642(6.2244) [0.0000]
0.3078 (6.0023) [0.0000]
91年 度 ダ ミー 0.1945
(4.7905) [0.0000]
0,2044 (5.0815) [0.0000]
築年数
一 〇.0063‑0.0058(‑7.4393)(‑6.9965) [0.0000][0.0000]
92年 度 ダ ミー 0.3409
(8.3335) [0.0000]
0.3445 (8.5081) [0.0000]
延床面積
0,0000(8.2016) [0.0000]
0.0940 (8,5406) [0.0000]
93年 度 ダ ミー 0.3416
(8.5780) [O.OOOO]
0.3364 (8.5283) [0.0000]
1階 ダ ミー Q.2735
(9.8515) [0.0000]
0.2630 (9.6332) [0.0000]
94年 度 ダ ミー 0.2289
(6,4318) [0.0000]
0.2300 (6.5330) [0.0000]
大 手 ダ ミー 0.1538
(8.2322) [0.0000]
0.1557 (8.3084) [0.0000]
95年 度 ダ ミー 0.2758
(6.9189) [0.0000]
0.2780 (7.0262) [0.0000]
南 北線 ダ ミー 1.1673
(4.6595) [0。0000]
1、0939 (4.4050) [0.0000]
96年 度 ダ ミー 0.2799
(6.5320) [0.0000]
0.2831 (6.6591) [0.0000]
東 西線 ダ ミー 1.3002
(5.1935) [0.0000]
1。1673 (4.6850) [0.0000]
97年 度 ダ ミー 0.3039
(6.5688) [0.0000]
0.2985 (6.4854) [0.0000]
大 通 り駅 まで の時 間距離
*南 北 線 ダ ミー
一 〇.0959‑0.0887 (‑4.0201)(‑3.7607) [0.0001][0.0002]
98年 度 ダ ミー 0.2887
(5.9856) [0.0000]
0.2822 (5.9163) [0.0000]
大 通 り駅 まで の時 間距離
*東 西 線 ダ ミー
一 〇.1439‑0.1272 (‑5。7715)(‑5.0756) [0。0000][0.0000]
99年 度 ダ ミー 0.3536
(7.2723) [0.0000]
0.3513 (7.2799) [O.OOOO]
86年 度 ダ ミー O.OOO7
(0.0168) [0.9866]
0.0028 (0、0715) [O.9431]
2000年 度 ダ ミ ー 0.2935
(5.3992) [0.OOOO]
0.2886 (5.3609) [0.0000]
87年 度 ダ ミー 0,0274
(0,7076) [0.4795]
0.0281 (0.7345) [0.4629]
定数項
6.18995.4626(24.5417)(20.3575) [0.0000][0.0000]
88年 度 ダ ミー 0.0442
(1.1046) [0.2698]
0.0454 (1.1441) [0.2530]
決 定係数
自由度調整 済決 定係 数 F値
対 数尤度値 .41c
0.6482 0.6324 41.1026 203.8738
‑0 .5828
0.6554 0.6400 42.4286 210.1551
‑0 .6035
190 商 学 討 究 第54巻 第2・3号
る テ ス トで は 同 関 数 形 は5%で 棄 却 さ れ な か っ た15)。 よ っ て 本 論 文 で は 両 対 数 形 を選 択 す る こ と とす る。
3.ベ ー ス モデ ル に よ る オ フ ィス 賃料 指 数 の 計 測
前 節 で 採 用 され た両 対 数 形 モ デ ル を 「ベ ー ス モ デ ル 」 と呼 ぶ こ と と し,こ れ を 基 に オ フ ィ ス 賃 料 指 数 を計 測 す る。(1)式 に お け る 時 間 ダ ミーTDの 係 数 β の推 計 値 β は,1985年 度 を基 準 年 度 と し,品 質 を 一 定 に保 っ た 時 の1年 間 の 価 格 上 昇 率,つ ま り品 質調 整 済 オ フ ィス 賃 料 指 数 を示 す こ と とな る。
こ う して 得 られ た 「ベ ー ス モ デ ル 指 数 」 と各 年 度 に お け るサ ンプ ル の 「単 純 平 均 指 数 」 を比 較 す る こ と とす る。 ち なみ に 「単 純 平 均 指 数 」 は,'年 度 を 基 準 年 度,T年 度 を比 較 年 度,Nを サ ン プ ル 数 とす る と,単 純 平 均 指 数=(Σi RentiT/NT)/(ΣiRentit/Nt)で 表 さ れ る 。
「ベ ー ス モ デ ル指 数 」 と 「単 純 平 均 指 数 」が(図 表4)に 示 さ れ て い る。ベ ー ス モ デ ル 指 数 を単 純 平 均 指 数 と比 べ て み る と1985‑1991年 度 ま で は,方 向 お よ び 水 準 共 に大 き な 差 異 は な い。 しか し1992‑93年 度 に つ い て はベ ー ス モ デ ル指 数 の 方 が か な り低 い値 と な っ た 。 一 般 的 に はバ ブ ル 生 成 お よび そ の崩 壊 に よ り オ フ ィ ス 賃 料 の 急 激 な 上 昇 と下 落 が 起 きた と さ れ て い るが,品 質 調 整 が 適 切 に 行 わ れ て い れ ば,実 は そ の 変 動 はか な り緩 や か な もの で あ っ た とい う推 定 結 果 を得 た 。 一 方1995年 度 以 降 は水 準 的 に は 大 き な差 異 は 見 られ な い の だ が,動 き の 方 向 が 逆 に な っ て い る年 が 多 い 。1997年 度 で は単 純 平 均 指 数 は 下 落 して い る
15)半 対 数 形 を 帰 無 仮 説 と す る ノーTESTは,ま ず 両 対 数 形 の 推 定 で 得 ら れ た 予 測 値 Rを 以 下 の よ う に 半 対 数 形 の モ デ ル に組 み 込 み 推 計 を 行 う。
ln(Rent)=c+αx+βTD+γR+ε
そ し て こ の と き γが 有 意 で あ れ ば 半 対 数 形 は棄 却 され る こ と と な る 。 実 際 に 推 計
した γのt値 は3.8145と な り半 対 数 形 は1%水 準 で 棄 却 され た 。 一 方,両 対 数 形
を 帰 無 仮 説 と した ノLTESTで は,半 対 数 形 の 推 定 で 得 られ た 予 測 値Rを 両 対 数
形 に 同 様 に 組 み 込 ん で 推 計 を 行 っ た 。 そ の 結 果 γのt値 は1.5782と な り5%水 準
で 棄 却 さ れ な か っ た 。
正.6
品 質調整 済新 規募 集 オ フ ィス賃 料指 数 の推定191 (図表4)単 純平 均指 数 とベ ース モデル指 数
(1985年 を1と す る指数)
王.4
1.3 1.2 1.1
::道
5
一
霧 § 蒙 襲 婁 § § § § § § § § 窪 § §
一 一 一 ▼一→ 冒一→ ▼一→r"H▼ 一 咽 ▼一→r咽 一 一 一 一F→CM
E≡亜 廼 垂塗薮 一幽一べ一スモデル指蓼引
が ベ ー ス モ デ ル指 数 は わず か だ が 上 昇 して い る 。1998年 度 で は そ の 逆 の 動 きに な っ て い る。2000年 度 も方 向 性 が 異 な っ て い る 。 これ らか ら単 純 平 均 指 数 で は オ フ ィ ス 賃 料 の方 向 性 を見 誤 る こ とに な りか ね な い こ とが 分 か る。
4.構 造 変 化 を考 慮 した賃 料 指 数
4‑‑1.構 造 変 化 時 期 の 探 索次 に本 論 文 の 二 つ 目の 目的 で あ る,構 造 変 化 を 考 慮 した オ フ ィス 賃 料 指 数 の 計 測 を行 うが,ま ず 分 析 対 象 期 間 内 の構 造 変 化 時 点 を探 索 す る こ とか ら始 め る。
つ ま り 「バ ブ ル期 」 が い つ 始 ま っ て い つ 終 了 した の か 探 索 す るわ け だ が,統 計 的 に は,構 造 変 化 の 回 数 が2回 で,変 化 時 点 が 未 知 とい う 問題 に な る 。 そ こで 以 下 の 手 順 で構造 変 化 の 時 点 を探 索 す る こ と とす る 。
例 え ばバ ブ ル期 が1988年 度 に 始 ま っ て1993年 度 に 終 っ た とす る と,1988‑1993
192 商 学 討 究 第54巻 第2・3号
年 度 を1と す るバ ブ ル 期 ダ ミー一変 数(BUBBLED)と1994‑2000年 度 を1と す るバ ブ ル 後 ダ ミー変 数(POSTD)を 生 成 し,(2)式 の よ う に 主 要5変 数 との 交 差 項 と して 組 み 込 む モ デ ル を考 え,推 計 を行 い,そ のAICを 得 る。 今 挙 げ た 例 は一 例 に す ぎ な い か ら,分 析 対 象 期 間 内 で 「バ ブ ル期 」 で あ っ た と思 わ れ る 期 間 を 考 え,「 バ ブ ル 前 」,「バ ブ ル期 」,「バ ブ ル後 」 の 組 み 合 わ せ を90通 り想 定 した16)。 こ の90通 りの バ ブ ル 期 ダ ミー 変 数,バ ブ ル 後 ダ ミ ー変 数 の 組 み 合 わ せ を順 次(2)式 に組 み 込 み,お の お の のAICを 計 算 す る。AICは モ デ ル と し て の 適 合 度 が 最 も高 い場 合 に そ の 値 が 最 も低 くな る か ら,全 て の 計 算 さ れ た AICの 中 で 最 も低 い 値 を示 し た 時 の ダ ミー 変 数 の 組 み 合 わ せ が,構 造 変 化 の 時 期 を最 も正 確 に捉 え て い る もの と して 考 え る こ とが で き る。
ln(Rent)=c+crlln(DIST)+α2ATC+α31〃(RVOL)+cr4AGE
+α51〃(FLOSP)+cr6FID+cr7MAJO1〜1)+α8㎜+αgE再 の
+crioA7℃ ×S1>D+α11 .ATC×EWD
+β1、BこIBBLED×ln(DIS7「)+β2、Bこ 刀BBLED×A7℃
+β3BlフBBLEZ)×1〃(、RV()L)+β4B乙 乙BBLED× ノ10E +β5BUBBLED×ln(E乙OSP)+β6POSTZ)×ln(DIST)
+β71)OSコrz)×ATC+βsPOSTL)×ln(R「VOL)
+βg・POSTD×AGE+β ヱoPOSTZ)×1〃(,Fl乙OSI)) +1£iγiTDi+ε
(2)
そ の 結 果,1991‑93年 度 を 「バ ブ ル 期 」,そ れ 以 前 を 「バ ブ ル 前 」,そ れ 以 後 を 「バ ブ ル 後 」 とす る 場 合 が 最 もAICの 値 が 低 い,つ ま り構 造 変 化 時 期 の 組 み 合 わせ と し て適 合 度 が 高 い とい う結 論 を得 る こ とが で きた 。しか し以 上 の バ ブ ル 期 の選 択 は,あ く まで も構 造 変 化 を表 す ダ ミー 変 数 を組 み 込 ん だ 場 合 の モ デ ル と して の 適 合 度 をAICに よ っ て観 察 した もの で あ り,
16)バ ブル期探 索 の ため のAICの 比較 表 を本論 末 に載せ た ので参 照 してほ しい。
品 質調整 済新 規募 集 オ フ ィス賃 料指 数 の推定 ヱ93 必 ず し もそ の 時 点 で構 造 変 化 が 起 こ っ て い る と は 限 らな い 。 そ こで 得 られ た構 造 変 化 時 点 で デ ー タ セ ッ トを 「バ ブ ル前 」,「バ ブ ル期 」,「バ ブ ル 後 」 の 三 つ に 分 割 し,各 々 の ヘ ドニ ッ ク ・オ フ ィス 賃 料 関 数 を推 定 した 上 で,係 数 の安 定 性
の検 定 を行 う こ と で構 造 変 化 を確 認 す る。
例 え ば,「 バ ブ ル 前 」 と 「バ ブ ル 期 」 の 関 数 につ い て比 較 す る と,具 体 的 に は バ ブ ル 前 をP,バ ブ ル 期 をBの 添 え 字 で 表 す と,バ ブ ル 前 の 関 数 は(3)式, バ ブ ル期 の 関数 は(4)式 とな る。
ln(RentP)=cp+crPxp+εP
(3)
ln(RentB)==cB+αBx8+εB
(4)
そ こ で,帰 無 仮 説 をHo:cP=cB,αP=αB,と す るF検 定17)を 行 い,AICに よ る 構 造 変 化 時 期 を 検 証 す る こ と と した 。 比 較 し た 説 明 変 数 は 主 要5変 数
(1)IST,A7℃,RVOL,AGE,FLOSP)で あ る 。
そ の 結 果,バ ブ ル 前 とバ ブ ル期 の 比 較 に お い て はF値=23.2608と な り1%
水 準 で 帰 無 仮 説 を 棄 却 し た 。 バ ブ ル 期 とバ ブ ル 後 の 比 較 に お い て もF値=
2.1464と な り5%水 準 で 帰 無 仮 説 を 棄 却 した 。 以 上 の 結 果 を得 て,AIC基 準 で捉 え た構 造 変 化 の 時 期 は係 数 の 安 定性 の 検 定 に よ っ て も追 認 さ れ た こ と とな る 。
よ っ て本 論 文 で は1985‑90年 度 を 「バ ブ ル 前 」,1991‑93年 度 を 「バ ブ ル期 」, 1994‑2000年 度 を 「バ ブ ル 後 」 と特 定 し,バ ブ ル 期 ダ ミー 変 数 お よ びバ ブ ル後 ダ ミー 変 数 を生 成 した 上 で,(2)式 に組 み 込 み,「 構 造 変 化 モ デ ル」 を推 定 す る。
そ し て こ の モ デ ル か ら得 られ た 指 数 を,「 構 造 変 化 モ デ ル 指 数 」 と呼 ぶ 。
17)(3)式 の 残 差 平 方 和 をRssP,(4)式 の 残 差 平 方 和 を1RssBと し,制 約 な しの 残 差 平
方 和URSS==RssP+RssBと す る 。 バ ブ ル 前 とバ ブ ル 期 の デ ー タ を 結 合 し て 求 め た 制 約 つ きの 残 差 平 方 和 をRRSSと す る 。kを 説 明 変 数 の 数,nPを バ ブ ル前 の,ま たnBを バ ブ ル 期 の サ ン プ ル 数 とす る とF値 は 以 下 の 式 で 与 え られ,自 由 度(k+1,nP+nB‑2k‑2)のF分 布 に従 う 。
F=[(RRSS‑URSS)/(k+1)]/[URSS/(nP+nB‑2k‑2)]
ヱ94 商 学 討 究 第54巻 第2・3号
4‑2.構 造 変化 モ デ ル の 推 定 結 果構 造 変 化 モ デ ル の推 定 結 果 が(図 表5)に 示 さ れ て い る。 主 要 変 数 は符 号 条 件 を 満 た して お り,'値 も有 意 で あ る。 決 定 係 数 もベ ー ス モ デ ル を若 干 上 回 る 値 で,先 行 研 究 と比 較 して も低 く ない 値 とな っ た。 た だ しベ ー ス モ デ ル と同 様 に 「最 寄 り駅 か ら大 通 り駅 ま で の 時 間 距 離 」 は 符 合 条 件 を満 た す こ とが で き な か っ た 。
バ ブ ル 期 ダ ミー 変 数 お よ びバ ブ ル 後 ダ ミー 変 数 と主 要 変 数 との ク ロ ス項 を見 る と,t値 が 有 意 とな っ た もの は 少 な か っ た 。 ま た い くつ か の ク ロ ス項 はP値 がO.5以 上 とな っ た 。 ク ロ ス 項 の 統 計 的 有 意 性 の低 さが,ベ ー ス モ デ ル と比 べ て 決 定 係 数 が あ ま り上 が ら ない な どモ デ ル と して 大 きな 改 善 を得 られ な か っ た こ と に帰 して い る と思 わ れ る。
た だ し,そ う した ク ロ ス 項 の 中 で バ ブ ル期 ダ ミー変 数 と 「大 通 り駅 ま で の 時 間 距 離 」 お よ び 「指 定 容 積 率 」 の ク ロス 項 は 有 意 とな っ た 。 中心 部 へ の ア クセ ス ビ リテ ィー を示 す 「大 通 り駅 ま で の 時 問距 離 」 は,そ もそ も単 独 の 変 数 と し て も符 号 条 件 を満 た さず に プ ラ ス と な り中心 部 か ら離 れ る ほ どオ フ ィス 賃 料 が 高 くな る とい う結 果 に な っ て い る が,バ ブ ル期 ダ ミー変 数 と の ク ロス 項 が プ ラ ス に有 意 で あ っ た こ と は,バ ブ ル期 に はそ の傾 向 が よ り強 ま っ た こ と を意 味 す る。 こ れ はバ ブ ル期 に札 幌CBDの 中 心 部 で は新 しい オ フ ィ ス ビ ル 開発 が で き ず,ま た 空 室 が 出 る こ と も少 な か っ た 中,そ の 周 辺 部 に お い て新 しい 大 型 オ フ ィス ビ ル が 供 給 され,比 較 的 高 い オ フ ィ ス賃 料 で 募 集 され た こ と を反 映 して い る も の と思 わ れ る 。 集 積 性 の 代 理 変 数 で あ る 「指 定 容 積 率 」 と の ク ロス 項 は 符 号 条 件 通 りに ブ ラ ス に有 意 で あ っ た 。 単 独 の 変 数 と して の 「指 定 容 積 率 」 もプ ラス に有 意 で あ っ た か ら,集 積 性 へ の 評 価 が バ ブ ル 期 に よ り高 ま っ た こ とを示 して い る 。
さ て構 造 変 化 モ デ ル をベ ー ス モ デ ル と比 較 す る と,係 数 の値 お よ び'値 に は 大 きな差 異 は見 られ な い 。 モ デ ル全 体 と して の 適 合 度 を示 す 決 定 係 数,対 数 尤 度 値 お よ びAICは 構 造 変 化 モ デ ル の 方 が 若 干 高 か っ た が,F値 につ い て は 逆 に低 下 して い る。
品 質 調 整 済 新 規 募 集 オ フ ィ ス 賃 料 指 数 の 推 定195
(図表5)構 造 変 化 モ デ ル 推 計 結 果
(上段1推 計係数,中 段()内:t値,下 段[]内P値)
最 寄 り駅 まで の距離
0 3
0 一 一 [
大 通 り駅 まで の時 間距 離
( [ 0 4 0
指定容積率 0 00
0 ( [
築年数 0 り
0 0 一 一 [ (
延床面積 0 6
0 ( [
1階 ダ ミ ー
O Q ゾ 0 ( [
大 手 ダ ミ ー
O QO O ( [
南北線 ダ ミー
( [ ‑ rD O
東西線 ダ ミー
‑
戻 ﹂ 0 ( [
大通 り駅 までの 時間距 離
*南 北線 ダミー
0 4 0 一 ﹁ [ (
大通 り駅 までの 時間距 離
*東 西線 ダミー
0 ﹁ 0 0 一 ︻ [ (
86年 度 ダ ミー
( [ 0 0 0
87年 度 ダ ミー
0 0 ∩ V ( [
88年 度 ダ ミー
∩ ) 0
0 ( [
89年 度 ダ ミー
( [ 0 1 0
90年 度 ダ ミー
( [ 0 3 0
91年 度 ダ ミー
0
9 臼 0 [ } [ (
92年 度 ダ ミー
0
1 0 一 ﹁ [ (
93年 度 ダ ミー 一 〇
(‑1 [0
0296 2891) 0011コ
94度 ダ ミー
( [ 0 1 0
1061 6363) 0000]
95年 度 ダ ミー
0
ワ 臼 0 ( [
2258 0901) 0021]
96年 度 ダ ミー
0
9 臼 ∩ U ( [
0043 1186) 0019]
97年 度 ダ ミー
0
9 臼 0 ( [
1052 8233) 0000]
98年 度 ダ ミー
∩ V n 乙 0 ( [
2683 9312) 0000]
99年 度 ダ ミー
0 9 臼 0 ( [
1528 2059) 0000]
2000年 度 ダ ミー
0 り
自 0 ( [
2931 0328) 0000]
バ ブル期 ダ ミー
*最 寄 り駅 までの距 離
( ∪ 0 0 一 ﹁ [ (
3681 3228) 0000]
バ ブル期 ダ ミー
*大 通 り駅 までの時 間距離
∩ V つ 0 0 ( [
1074 4153) 0000]
バ ブル期 ダ ミー
*指 定容 積率
0 3 0 ( [
1459 7704) 0000]
バ ブル期 ダ ミー
*築 年数
0 0 0 ︻ 一 [ (
0049 1271) 8989]
バブ ル期 ダ ミー
*延 床面積
0 0 0 ︻ 一 [ (
0286 7567) 4495]
バ ブル後 ダ ミー
*最 寄 り駅 までの距離
0 0 0 ﹁ ︻ [ (
0385 9787) 3282]
バ ブル後 ダ ミー
*大 通 り駅 までの時 間距離
∩ V 1 0 ( [
0489 4159)
1573]
バ ブル後 ダ ミー
*指 定容積 率
0 ( U ∩ V ( [
1385 2957) 0010]
バ ブル後 ダ ミー
*築 年数
0 1 ( U 一 一 [ (
7020 1659) 0307]
バ ブル後 ダ ミー
*延 床面積
0 1 0 一 一 [ (
5836 7881) 0743]
定数項
5(16 [0 5837
7887) 0742]
決定係 数
自由 度調整 済決定 係数 F値
対数尤 度値 AfC
0 0 32 224‑6
5118 8499) 0648]
5586 0087) 0450]
5674 0317) 0426]
5913 1029) 0359]
5700 0322) 0426]
6479 3012) 0217]
5891 0780) 0382]' 0016 0938) 9253〕
0601 8037) 0002]
4762 6924) 0002]
0016 6308) 5284]
0069 2558) 7982]
0100 7040) 4817]
0171 4813) 1391]
0485 5587) 5766]
0029 5943) 1114]
0344 5317) 1262]
3154 7448) 0000]
6718 6511 4106 9543 1929
196 商 学 討 究 第54巻 第2・3号
そ こで モ デ ル に構 造 変 化 を組 み 込 む こ との 意 義 を 以 下 のF検 定 で 確 か め る こ と と した 。(5)式と(6)式を見 る と18),(5)式 は(6)式の特 殊 な形 と見 なせ る か ら, 両 モ デ ル は 入 れ 子 型 モ デ ル の 関 係 に あ る。
ベ ー ス モ デ ルln(RentB)=cB+(xBxB+βBTDB+εB (5)
構 造 変 化 モ デ ル:ln(RentC)==cC+αCxC+βCTZ)C
+γo(xc×BσIBBLEDC)+δc(xc×POSTDC)+εc(6)
よ っ て(6)式の ク ロス 項 の 係 数 が ゼ ロ で あ る とす る 帰 無 仮 説Ho:γc=δc=0, つ ま り構 造 変 化 モ デ ル の ク ロ ス項 の 係 数 は 統 計 的 に 意 味 が な い とす る 帰 無 仮 説
を立 て,F検 定19)を 行 っ た 。 そ の 結 果,F値=2.5848と な り1%水 準 で 帰 無 仮 説 を棄 却 し,構 造 変 化 を モ デ ル に組 み 込 む こ との 意 義 が統 計 的 に確 認 さ れ た 。
4‑3.構 造 変 化 モ デ ル に よ る オ フ ィ ス賃 料 指 数 の 計 測
さ て 「構 造 変 化 モ デ ル 指 数 」 を 計 測 して,「 ベ ー ス モ デ ル 指 数 」 と比 べ て み よ う。 両 指 数 が(図 表6)に 示 さ れ て い る。
指 数 の動 き と して は両 指 数 と もほ ぼ 同 じで あ っ た。た だ し水 準 を比 較 す る と, バ ブ ル 前(1985‑1990年 度)に お い て は 両 指 数 と もほ ぼ 同水 準 で あ っ た が,バ ブ ル 期(1991‑93年 度)に は構 造 変 化 モ デ ル 指 数 の 方 が 若 干 高 く な っ て お り, 単 純 なヘ ドニ ック ・モ デ ル 指 数 で あ る ベ ー ス モ デ ル指 数 は 若 干 ア ン ダ ーエ ス テ
ィ メ イ トで あ っ た こ とが 分 る 。 逆 に バ ブ ル 崩 壊 後 数 年(1994‑96年 度)に つ い て は ベ ー ス モ デ ル の 方 が 若 干 高 め に な っ て お り,オ ーバ ー エ ス テ ィメ イ トで あ
18)ベ ー ス モ デ ル つ い て は 上 付 きBの 添 え 字,構 造 変 化 モ デ ル に つ い て は 上 付 きC の 添 え字 を付 し た 。
19)(5)式 の 残 差 平 方 和 をRssB,(6)式 の 残 差 平 方 和 をRsscと し,nを サ ン プ ル 数, sを(6)式 の 変 数 の 数,kを(5)式 の 変 数 の 数 と す る とF値 は 以 下 の 式 で 与 え られ る 。
F=[(RssB‑Rssc)/(s‑k)]/[Rssc/(n‑s‑1)]
品質 調整 済新 規募 集 オフ ィス賃料 指数 の推 定197 (図表6)ベ ース モデル 指数 と構造 変化 指数
(1985年 を1と す る指 数)
1.3
ー
2 1
1.1
1
O.9
§ 婁 蒙 襲 婁 § ま § § § § § § 甕 § §
T..i一 一 ・一→r'・1‑「 一→1‑→1暉 →‑r'‑1‑r‑{Hr‑→(N
E≡勇 モデル指数+構 造変花モデル指数
った こ とが 分 る。1997年 以 降 は ほ とん ど同 水 準 で あ る。
両 指 数 の 差 は小 さい もの の,構 造 変 化 を モ デ ル に取 り込 む こ と に よ り若 干 で は あ るが ヘ ドニ ック ・オ フ ィス 賃 料 指 数 の 改 善 を 図 る こ とが で き た 。
5.ま と め と今 後 の 課 題
本 論 文 で は札 幌CBDオ フ ィス 賃 貸 市 場 に お け る1985‑2000年 度 の新 規 募 集 事 例 を対 象 に,オ フ ィス 賃 料 指 数 の 品 質 調 整 に つ い て 検 討 を行 っ た 。
まず ヘ ドニ ック ・モ デ ル を構 築 す る た め,オ フ ィス 賃 料 を説 明 す る属 性 につ い て 検 討 を行 い 九 つ の 属 性 を選 択 した 。 そ の上 で 半 対 数 形 と両 対 数 形 を対 象 に 関 数 形 の選 択 を行 っ た 結 果,両 対 数 形 が 選 択 さ れ た 。 こ れ をベ ー ス モ デ ル と し て 品 質 調 整 済 賃 料 指 数(ベ ー ス モ デ ル 指 数)の 計 測 を行 い,サ ン プ ル の 単 純 平 均 値(単 純 平 均 指 数)と 比 較 した 結 果,単 純 平 均 指 数 に よ っ て示 さ れ て い る 1991‑94年 度 に か け て の 急 激 な賃 料 の上 昇,下 落 は,実 は か な り緩 や か な も の で あ っ た こ とが 分 っ た 。 この 結 論 は,バ ブ ル期 に は オ フ ィス 賃 料 の急 速 か つ 大
198 商 学 討 究 第54巻 第2・3号
き な変 動 が 見 られ た とす る常 識 的 な見 解 に,品 質調 整 の観 点 か らの再 検 討 を提 示 す る もの で あ る 。 また 単 純 平 均 指 数 とベ ー ス モ デ ル 指 数 で は1997年 度 以 降 は 動 きが 逆 に な っ て い る年 が 多 く,適 切 な 品 質 調 整 を行 わ な け れ ば,物 価 の 方 向 性 を見 誤 る こ と に な りか ね な い こ とが 明 らか とな っ た 。
次 に賃 料 指 数 の精 度 を更 に 向 上 させ る た め,バ ブ ル 期 前 後 に 予 想 さ れ る オ フ ィス 賃 貸 市 場 の 構 造 変 化 を考 慮 に 入 れ た モ デ ル に よる オ フ ィ ス 賃 料 指 数(構 造 変 化 モ デ ル指 数)の 計 測 も行 っ た 。 そ の 結 果,ベ ー ス モ デ ル は1991‑93年 度 に か け て 若 干 ア ン ダ ー エ ス テ ィ メ イ トさ れ て い た こ と,逆 に1994‑96年 度 に つ い て は オ ー バ ー エ ス テ ィ メ イ トさ れ て い た こ とが 観 察 され た 。
冒頭 述 べ た よ う に デ フ レー シ ョ ンの 克 服 が 重 要 な政 策 課 題 とな っ て い る が, 政 策 議 論 の 前 に まず は そ の 正 確 な計 測 が 要 求 され る。 本 論 文 で分 析 を行 っ た オ フ ィ ス 賃 料 につ い て も,バ ブ ル 崩 壊 後 の 下 落,ま た そ の 結 果 に よる 土 地 ・オ フ ィス ビ ル の 資 産 価 格 へ の影 響 が 懸 念 され て い る が,本 論 文 で も検 証 され た よ う に現 状 行 わ れ て い る 単 純 平 均 に よ る計 測 で は,そ の 水 準 お よ び方 向性 を見 誤 る こ と とな りか ね な い 。 オ フ ィス 賃 貸 市 場 の 実 態 に 即 した正 確 な オ フ ィス 賃 料 指 数 を把 握 す るた め に は 十 分 か つ 正 確 な サ ン プ ル を 集 め,今 回 行 っ た よ う なヘ ド ニ ッ ク ・モ デ ル 法 な ど適 切 な 品 質 調 整 を行 う こ とが 望 ま れ る 。
最 後 に今 後 の 課 題 と して,説 明 変 数 の 追加,見 直 しやomittedvariableの 問 題 を検 討 す る こ とや,よ り一 般 的 な 関 数 形 を用 い て ヘ ドニ ッ ク ・オ フ ィス 賃 料 指 数 の 計 測 精 度 を 向上 させ る こ とが 挙 げ られ る。 また デ ー タ ソー ス の 制 約 上 の 問 題 が あ る もの の,バ ブ ル崩 壊 期 以 降 の サ ン プ ル 数 の 増 加 を 図 る こ と,お よ び 成 約 賃 料 で の 計 測 を行 う こ とを挙 げ 本 論 文 を終 え る 。