NDC 415 5
局所凸線型位相空間の帰納的極限の構成について
池 上 哲 男*
(昭和,52年3月30日受理)
On inductive limit of the locally convex linear topological spaces.
Tetsuo IKEGAMI
(Received March 30, 1977)
局所凸線型位相空間の帰納的極限の構成については,
N.Bourbaki[1],chap皿,§2, n。4とかTreves[2], Part 皿,chap 50などですでに述べられておりますが,その構 成に関してはいずれの場合もかなりの予備知識を必要とす るように思われます。そこで,超関数を理解する場合の基 礎となる局所凸線型位相空間の帰納的極限の一つである D(Rn)の位相構造を多くの予備知識を必要としない範囲で 明らかにとらえることを目的として,比較的簡明な方法で 局所凸線型位相空間の帰納的極限の構成を試みましたので ここに述べておきます。
Xが線型空間であって,局所凸線型位相空間Xαの和集 合として表わされ,さらにXα1⊂Xα2であるとき,Xα1の 位相はXα2の部分集合として相対位相となっている。この とき,Xαの帰納的極限であるXの局所凸線型位相空間の 構成について。
UがXのconvex, balanced, absorbingな集合で,すべ てのαはついてU∩XαがXαで開集合であるようなUをX における開集合として含む最弱の位相を入れる。そのとき Xは局所凸線型位相空間となる。このことを示す。
上に述べた性質をもつUの全体をUで表わす。
EDt ・一{x+U;x∈X, U∈U}とする。
.蹴を含むXの最弱の位相をOXとする。
まず,位相空間(X,OX)において,0の属するどんな開 集合もconvex,balanced,absorbingな開集合を含むことが 次のとおり示される。0がx+Uに属すとする。x∈Xαoな るα0が存在して,一x∈Xα0である。Uの性質よりU∩Xα0 はXα0における開集合であり,Xα0が局所凸線型位相空間 であるから,0が属するx+(U∩Xαo)はXαoにおける開 集合であって,Xαoにおけるconvex, balanced, absorbing な開集合Gαoを含む。GαoがXαoでabsorbingな集合であ
*応用数学
るから,一εx∈…;Gαo〔=x+(U∩Xαo)⊂x+Uがなりたつよう な正数ε(<1)は必ず存在して,(1+ε)(一x)∈Uとなる。
0∈x+Uであるから,一x∈Uである。そこでUがconvex なることにより,Uに属する任意のUに対して
8(一x)十(1−G)uEU である。
又,(1+ε)(一x)∈Uであったから,Uがconvexなること より
ε{ε(一x)十(1一ε)u}十(1一ε)(1十ε)(一x)∈U である。
:. 8(1−8)uEx十U
uはUの任意の要素であったから,η=ε(1一ε)とおくと,
ηU⊂X+Uとすることができる。
ηUは明らかにUに属するから,0が属するx+Uは適当な 正数ηをえらぶと,Xにおけるconvex, balanced, absorbing な開集合ηVを含むことがわかる。
Gを(X,OX)における0が属する開集合とするとき, OX の構成のしかたより0が属する開集合(Xl十Ul)∩………∩
(Xn+Un)でGに含まれるものが存在する。但しUi∈U(i=
1,2,一一一,n).
上にjiBべたことにより,適当な正数rp1,………,nnをえらぶ とη1U1⊂Xl+U1,………,VnUn⊂Xn+Unとすること ができる。
:・ (mUl) n ・・・… ft (nnUn)cr (Xi十Ul) n・・・・・・… fi (Xn十Un)
ηiVi (i=1,2,・・一n)はconvex, balanced, absorbingな開 集合であるから,(η1U1)∩…………∩(Vn Un)はcollvex,
balanced, absorbingな開集合である。
従って,(X,OX)における0が属するどんな開集合も convex, ablanced, absorbingな開集合を含む。
次に,(X,OX)が線型位相空聞なることが以下のように して示される。
G∈OXとするとき,明らかにβ≒0であるようなβに対し
一43一
津山高専紀要第15号(1977)
てβGEIOx,又∬+G∈OXである。
このことと先に述べた0が属する開集合はconvex,
balanced, absorbingな開集合を含むことより,写像(x,y)
1一→x+y,及び写像(β,x)ト→βxはともに連続写像なる ことがいえるから(X,OX)は線型位相空間である。
以上のことより(X,OX)は局所凸線型位相空間である。
おわりに,本稿について東京大学伊藤清三教授より示唆 を戴いたことをつけ加えておきます。
文 献
Ll] N. Bourbaki:Espaces vectoriels topologiques,
Hermann 1953
[2] Treves : Topological vector spaces, distribution and krnels, Academic press 1967