医薬品販売制度 法令順守のポイント
2014年6月、「要指導医薬品」の新設や特定販売 のルールなどを盛り込んだ改正薬事法(現・医薬品 医療機器等法)が施行された。ここまで述べたOTC 薬販売の手順を念頭に置きつつ、法に則した方法 で販売、情報提供および指導を行う必要がある。患者背景の把握と文書を用いた情報提供
法改正のきっかけとなったのは、2013年1月11 日、ケンコーコム(本社:福岡市中央区)らが国を相 手に、第1・2類医薬品のインターネット販売権の確 認などを求めていた行政訴訟の最高裁判決で、同 社らが勝訴したことである。また同年6月には、安 倍晋三内閣が日本再興戦略(成長戦略)の中で、ネッ ト販売を認めることを宣言し、ネット販売のルール を含む法改正の議論に拍車を掛けた。 改正法では、劇薬・毒薬指定品目と発売直後のス イッチOTCおよびダイレクトOTCを「要指導医薬 品」という新たな区分に分類し、薬剤師による対面 での販売、書面を用いた情報提供および薬学的知 見に基づく指導を義務付けた(表1)。 要指導医薬品の販売に当たっては、まず購入者 が使用者本人であることを確認する必要があり、次 ページ表2に示す「正当な理由」がない限り、販売で きない。また、他店での購入状況を確認し、必要数 量(原則1包装単位)のみ販売しなければならない。 さらに、情報提供および薬学的指導を行う際は、 あらかじめ、年齢や他の薬剤の使用状況などを確 認しなければならない(●ページ表3)。そして、要 指導医薬品の使用が適正であると判断した場合 は、①要指導医薬品の名称、②成分・分量、③用法・ 用量、④効能・効果、⑤使用上の注意のうち、保健 衛生上の危害の発生を防止するために必要な事 総論 ■ 医薬品販売制度 法令遵守のポイント 表1 新しい医薬品販売制度の概要 医薬品の分類 特定販売 販売者 販売時に行うべきこと 薬局医薬品 医療用 医薬品 処方箋医薬品 × 薬剤師 対面での書面を用いた情報提供 薬学的知見に基づく指導 使用者の年齢や医薬品の使用状況などの確認 販売者情報の提供 販売記録の作成・保存 処方箋医薬品以外 の医薬品 薬局製造販売医薬品(薬局製剤) ○※ 薬剤師 書面を用いた情報提供 使用者の年齢や医薬品の使用状況などの確認 販売者情報の提供 販売記録の作成・保存 要指導医薬品 × 薬剤師 対面での書面を用いた情報提供 薬学的知見に基づく指導 使用者の年齢や医薬品の使用状況などの確認 販売者情報の提供 販売記録の作成・保存 一般用医薬品 第 1 類医薬品 ○ 薬剤師 書面を用いた情報提供 使用者の年齢や医薬品の使用状況などの確認 販売者情報の提供 販売記録の作成・保存 第 2 類医薬品 ○ 薬剤師または登録販売者 情報提供使用者の年齢や医薬品の使用状況などの確認 販売者情報の提供(努力義務) 第 3 類医薬品 ○ 薬剤師または登録販売者 (変更なし) ※ 劇薬・毒薬指定品目を除く。50
「OTCメディケーション」虎の巻 第3版 拍動性・圧迫性、吐き気の有無などを確認。 ▶各症状の部位や程度、持続時間、発現時期、誘因 などを確認し、OTC薬で対処可能な一次性頭痛か、 受診勧奨が必要な二次性頭痛かどうかを見極める。 【症状の種類】 ① 性状(好発する時間、部位、頭痛の程度) ② 主な症状(拍動性、非拍動性) ③ 随伴症状(吐き気、閃輝暗点、頸の凝り、結膜充 血、神経症状) ④ 頭痛経験(経験歴の長さ、慢性または急性などの 発症様式) ⑤ 誘因や増悪因子(騒音、ストレス) ⑥ 社会的背景(職業、家族歴[遺伝的素因]) 【一次性頭痛の種類】 下記の随伴症状や疾患、使用中の薬剤がある。 ▶疾患に伴う二次性の頭痛や薬剤の副作用の可能 性があるため、医療機関への受診を勧奨する。 【二次性頭痛が疑われる症状】 ① 突然の頭痛 ② 今まで経験したことがない頭痛 ③ いつもと様子の異なる頭痛 ④ 頻度と程度が増していく頭痛 ⑤ 50歳以降の初発の頭痛 ⑥ 神経脱落症状※を有する頭痛 ⑦ 癌や免疫不全の病態を有する患者の頭痛 ⑧ 精神症状を有する患者の頭痛 ⑨ 発熱・頸部硬直・髄膜刺激症状を有する頭痛 ※ 麻痺、視力・視野異常、意識の変容、痙攣、認知機能障害、発 語障害などS
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OTC
薬の使用が適当かどうか見極める
どのような痛みですか?
頭痛を訴える患者へのアプローチ
頭痛の性状と程度 持続時間と頻度 部位 発症の誘因、好発時間帯 随伴症状 その他 片頭痛 主に拍動性。 中等 度〜重度 4〜72 時間の発作的な痛みが2〜3回/ 月。月経と関連するこ とも 前 頭 部 から片 側、60%が一側 性 月経、肩凝り、ストレス、睡 眠不足、過眠、光・騒音な どが誘因。体動(走る、階 段の昇降)や入浴で悪化。 好発時間帯は不定 吐き気、嘔吐。音 や光に敏感。目の 前に光がチカチカ 出たり、文字が見 えにくくなる 家 族 歴 あり。 若年から中年 緊張型 頭痛 (非拍動性)。 軽度圧迫性、締め付け感 〜中等度 反復性は30 分〜7 日。 慢性は3カ月以 上にわたり15日/月、 180日/年以上。 周 期性は目立たない 両側、片側、後 頭部、はち巻き 様 一定の姿勢で作業を継続し た場合に起こる。好発時間 帯は不定だが夕方に悪化し やすい。首が長い人、低血 圧、貧血、ストレスなどが誘 因 肩や首筋の凝り、 めまい 若年から中高年。 片頭痛と の合併例も多 い 群発頭痛 えぐられるような激し い痛み。 重度〜極 度 15〜180分の激しい 痛みが1〜2回/年(1 回数週間にわたって 毎日1〜2回)。日周 性、年周性がある 眼窩部、眼窩上 部、 側頭部で、 一側性 夜間や早朝に起こりやす い。 群発期間中の飲酒で 誘発 結膜充血、流涙、 鼻閉、鼻漏、前頭 部・顔面の発汗、 縮瞳、眼瞼下垂、 眼瞼浮腫、不穏 20〜40代の 男性に多い解熱鎮痛薬 ■ 頭痛の症状や経過から成分を使い分ける 【頭痛を引き起こす可能性のある主な薬剤】 ① 血管拡張薬(ニトログリセリン、イソソルビド、 カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンⅡ受容体 拮抗薬[ARB]、プロスタグランジン製剤) ② エルゴタミン製剤(エルゴタミン酒石酸塩、ジヒ ドロエルゴタミンメシル酸塩) ③ H2受容体拮抗薬(シメチジン、ラニチジンなど) ④ 鎮痛薬(インドメタシン、アスピリン、アセトア ミノフェン、麻薬性鎮痛剤、スマトリプタンなど) ⑤ 女性ホルモン製剤(低用量ピル、エストロゲン、 クエン酸タモキシフェン、ダナゾールなど) ⑥ 昇圧薬(エピネフリン、ドロキシドパ、メタン フェタミン、モノアミンオキシダーゼ[MAO]阻 害薬とチラミン含有食物の同時摂取など) 【一次性頭痛の簡易判断・治療アルゴリズム】
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頭痛の重症度や経過から適した成分を探る
危険な頭痛の除外 OTC薬の主な適応 短期間持続性の 慢性頭痛の除外 頭痛患者 片頭痛、慢性連日性頭痛 慢性連日性頭痛 片頭痛 薬物乱用がない 薬物乱用がある 前兆のある片頭痛 前兆のない片頭痛 反復性緊張型頭痛、 軽度∼中等度の片頭痛 出典:日本神経学会・日本頭痛学会「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」P.24およびDowson AJ et al. Managing chronic headaches in the clinic. Int J Clin Pract.2004;58:1142-51.
Q2. 1カ月の間に頭痛が何日あるか? Q3. 週に何日、治療薬を服用するか? Q4. 発作は可逆性の同名性の視野症状や 片側性の感覚症状で始まるか? Q1. 頭痛が日常生活や活動に及ぼす影響は? 16日以上 3日未満 3日以上 少ない 大きい はい いいえ 15日以下
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「OTCメディケーション」虎の巻 第3版 【緊張型頭痛】 【軽度の片頭痛】 【中程度~重度の片頭痛】 【薬物乱用頭痛】 ① 反復発作性・慢性緊張型頭痛では、NSAIDsの有 効性は高く、優先して服用(エビデンスレベルA [強く推奨]:複数のランダム化試験で一定の結 果)。 ② 不安・心理的因子が強い場合は抗不安薬、頸部・ 肩凝りが原因の場合は筋弛緩薬も併用。それで も効果が不十分で、うつ状態が基礎にある場合 は抗うつ剤を併用。非薬物療法の鍼灸、頭痛体 操、指圧も併用。 ③ 混合型頭痛にはトリプタン系製剤も併用 ① 特異的治療(トリプタン系製剤など)が推奨され る(エビデンスレベルA)。 NSAIDsは特異的治 療に無効の場合あるいは禁忌・副作用などで使 えない場合のみ使用(エビデンスレベルA、B)。 ① 原因薬物の中止(OTC薬の場合、単味製剤で15 日以上、配合剤で10日以上の服用は要注意) ② 中止後の頭痛の対応 ③ 予防薬の投与(抗うつ薬、抗てんかん薬、ステロ イド薬、トリプタン系製剤) ① NSAIDsを使用(エビデンスレベルA、B[推奨]: ランダム化試験結果の有用性あり)OTC
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鎮痛薬は連用しても大丈夫? 頭痛持ちのため、解熱鎮痛薬を長年にわたって毎日飲 み続けています。今のところ副作用はありませんが、 このまま服用を続けていて大丈夫でしょうか。 OTCの鎮痛薬は、対症療法として症状を緩和す る目的で使用するものであり、連用すべき性質 の医薬品ではありません。慢性的な頭痛症状は、鎮痛 薬の過剰服用による「薬物乱用頭痛」の可能性もありま す。単一成分の鎮痛薬は3カ月以上にわたり15日/月以 上、複合鎮痛薬は10日/月以上服用を続けていると、薬 物乱用頭痛が起きやすいといわれています。そのよう な場合や、効果がないのに漫然と服用している場合は、 一度医療機関を受診することをお勧めします。 参 考 薬物乱用頭痛 頭痛が15日間以上続く場合や、鎮痛薬を毎日3カ月以上 服用したり、1カ月にアスピリン総量で約50gを服用し た場合、医療用の頭痛治療薬(トリプタン製剤やエルゴ タミン製剤)を月に10回以上服用した場合などに、薬物 乱用頭痛が起こりやすいとされている。A
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妊産婦が服用できる鎮痛薬は? 妊娠6カ月です。服用できる頭痛薬はありますか。 妊娠中の服薬の安全性を調べた研究で比較的 に安全とされている鎮痛成分は、アセトアミノ フェンです。アセトアミノフェンは脳の中でしか作用 を示さず、体への副作用も非常に少ないので、その単 味製品がお薦めです。ただ、胎児に影響を与える妊娠 12週までの初期と、出産予定日12週以内の後期での服 用は念のため避けた方がよいでしょう。また、使用は 最小限にとどめ、頭痛が続く場合は産婦人科の主治医 に相談することが必要です。 なお、イブプロフェンは禁忌ではありませんが、妊 娠末期に動脈管収縮などの胎児毒性を起こす可能性が あるので、なるべく避けた方がよいでしょう。 アスピリンは、新生児が遷延性肺高血圧症を来した という報告例がありますので、妊娠末期には使用でき ません。A
解熱鎮痛薬 ■ 頭痛の症状や経過から成分を使い分ける 下記の既往歴がある。 ▶カッコ内の成分は病状を悪化させる可能性があ るため、使用を避ける。 【禁忌】 【慎重投与】 下記の薬剤を服用している。 ▶カッコ内の成分は投与禁忌か、作用の重複や相 互作用があるので、できるだけ避ける。 【併用禁忌】
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避けるべき成分をチェックする
過去に疾患にかかったことがありますか?
① 解熱鎮痛成分に過敏症状(発疹・発赤、かゆみ、 浮腫など)を起こしたことがある人(NSAIDs含 有製剤) ② 他の解熱鎮痛薬、かぜ薬を服用して喘息を起こ したことがある人(NSAIDs含有製剤:アスピリ ン喘息) ③ 15歳未満の小児(アスピリン、サザピリン、サリ チル酸ナトリウム[ライ症候群発生の可能性]、 ロキソプロフェンおよびアルミノプロフェン [安全性未確立]) ④ 出産予定日12週以内の妊婦(アスピリン、ロキソ プロフェン、アルミノプロフェン[胎児の動脈管 収縮の恐れ]) ⑤ 肝臓病(アセトアミノフェンとNSAIDs)、心臓 病、腎臓病、胃潰瘍・十二指腸潰瘍(解熱鎮痛成 分)、高血圧症(イブプロフェン)、透析患者(ア ルミニウムなどの制酸成分) ⑥ 重篤な血液の異常(手足に点状出血、紫斑ができ やすい)のある人(アスピリン、イブプロフェン、 ロキソプロフェン、アルミノプロフェン) ⑦ 今まで長期に解熱鎮痛薬を服用していた人(現 疾患の回復を遅らせ、薬物依存を助長する可能 性がある) ⑧ 乗り物や機械類の運転操作(催眠鎮静成分)、服 用後に眠気、めまい、一時的な視力低下感が表 れた場合の乗り物や機械類の運転操作(アルミ ノプロフェン) ① 抜歯をする人(NSAIDs[血小板凝集抑制で、出 血傾向を助長する恐れ]) ② 肝臓病、高血圧、心臓病、腎臓病、胃・十二指腸 潰瘍・血液の異常のある人(解熱鎮痛成分)、潰瘍 性大腸炎・クローン病(イブプロフェン、ロキソ プロフェン、アルミノプロフェン[現疾患の悪化 の可能性])、全身性エリテマトーデス、混合性 結合組織病(イブプロフェン、ロキソプロフェ ン:症状悪化または無菌性髄膜炎の可能性) ③ 高齢者(解熱鎮痛成分[副作用発現を考慮]) ④ むくみのある人(グリチルレチン酸40mg/日:長 期服用で偽アルドステロン症) ⑤妊婦または妊娠していると思われる人(解熱鎮 痛成分)、授乳婦(アスピリン、1回100mg以上の 無水カフェインを含有する製剤) ⑥ アレルギー体質の人(解熱鎮痛成分[過敏症状の 誘発]) ⑦ 水痘(水ぼうそう)、インフルエンザに罹患、ま たはその疑いのある15歳未満の小児(サリチル アミド、エテンザミド[ライ症候群との関連性の 疑い]) ⑧ 水痘、インフルエンザの患者(アスピリン、サザ ピリン、サリチル酸ナトリウム) ⑨ 服用後の消化性潰瘍、むくみ(ロキソプロフェ ン) ⑩ 服用後の過度の体温低下、虚脱(力が出ない)、 四肢冷却(手足が冷たい)などの症状(解熱鎮痛 成分)他に飲んでいる薬はありますか?
① ジドブジン(イブプフェン[血友病患者で出血傾 向増強。機序不明]) ② アルコール(解熱鎮痛成分、特にアセトアミノ フェン[吸収・代謝が促進され毒性誘発]) ③他の解熱鎮痛薬、かぜ薬、鎮静薬鎮咳去痰剤 ■ 鎮咳効果高いコデイン配合製品 「OTCメディケーション」虎の巻 第3版
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■去痰剤を配合する製品 「ゴホン」という痰が絡んだ咳(湿性咳)では、単 に咳を止めるのではなく、痰を排出しやすいよう に、痰の粘性を低下させ、気管支を広げる必要が ある。このため湿性咳では、去痰剤や気管支拡張 剤を含有する製品が適している。 去痰剤として古くから使用されているのが、キ キョウ、セネガ、キョウニン、カンゾウなどの生 薬である。これらの生薬に含まれるサポニンとい う成分が気道を刺激し、気管支の繊毛運動を活発 化させて気道分泌を促進する。これらの生薬を配 合する龍角散(C❶)、龍角散ダイレクトスティッ クミント(C❷)は、いずれも水なしで服用する。 龍角散ダイレクトスティックミントは、1回分ず つ分包されており、l-メントール配合で清涼感が ある。アネトンせき止めZ液(A❷)のように、他 の鎮咳剤とともに配合されていることも多い。 去痰剤には、このほかグアヤコールスルホン酸 カリウム、グアイフェネシン、リゾチーム塩酸塩 などがあるが、これらの去痰成分と比べて効果が 高いのは、医療用からスイッチされたブロムヘキ シン塩酸塩である。ムコ多糖体と蛋白質の結合を 切断して痰の粘性を下げるとともに気道分泌物 を増加させる。ストナ去たんカプセル(C❸)は、 ブロムヘキシン塩酸塩とカルボシステインの2成 分のみから成る。ブロムヘキシン塩酸塩は、ベン ザブロックせき止め錠(A❺)、新パブロンせき止 め液(B❷)などにも配合されている。 ■気管支拡張剤を配合する製品 OTC薬で使用される気管支拡張剤は、テオフィ リンを代表とするキサンチン系薬と、気管支の神 経に作用するdl-メチルエフェドリン塩酸塩であ る。テオフィリンを含む製品には、ミルコデ錠A ■中枢性鎮咳剤を配合する製品 OTC薬に使用される中枢性鎮咳剤には、麻薬性 のコデインリン酸塩水和物とジヒドロコデイン リン酸塩、非麻薬性のデキストロメトルファン臭 化水素酸塩、ノスカピンなどがある。なお、OTC 薬に含まれる麻薬性成分は濃度が低いので、法的 な麻薬としては扱われない。 咳が激しい患者や即効性を期待する場合には、 鎮咳効果の高い麻薬性成分(コデイン類)を含有 する製品が適当である。コデイン類を含む代表的 な製品として、シロップ剤では新ブロン液エース (A❶)、アネトンせき止めZ液(A❷)、こどもパブ ロンせき止め液(A❸)などがある。シロップ剤は、 喉の粘膜に潤いを与えるため、喉の痛みやイガイ ガ感がある患者に好まれる傾向にある。販売時に は、量り取って服用するよう説明する。 コデイン類を含む錠剤としては、新コルゲン コーワ咳止め透明カプセル(A❹)のほか、ノスカ ピンも配合するベンザブロックせき止め錠(A ❺)、龍角散せき止め錠(A❻)などがある。トニン 咳止サット(A❼)は水なしで服用でき、清涼感の あるコーヒーミント味。 一方、喘息、便秘、排尿困難、口渇のある患者 や、これらの症状が出現しやすい高齢者には、非 麻薬性のデキストロメトルファン臭化水素酸塩 やノスカピンが適している。コデイン類には抗コ リン作用があり、これらの症状を悪化させる可能 性があるためである。 非麻薬性の中枢性鎮咳剤を主成分とする製品 には、エスエスブロン液L(B❶)、新パブロンせき 止め液(B❷)、ルルせき止めミニカプセル(B❸) などがある。また、アレルギー性の咳嗽には、ク ロルフェニラミンマレイン酸塩などの抗ヒスタ ミン剤を配合した製品がよい。商品の使い分けと特徴
要指導 要指導医薬品 1類 第1類医薬品 2類 第2類医薬品 3類 第3類医薬品 指2類 指定第2類医薬品 指定部外 指定医薬部外品 部外 医薬部外品 1 指2類 2 指2類 1 2類 1 3類 1 1類 2 1類 2 3類 3 2類 2 2類 3 指2類 3 指2類 4 指2類 5 指2類 6 指2類 7 指2類 A コデイン類を含有する代表的な製品 B コデイン類を含有しない代表的な製 品 C 去痰成分が配合された製品 D テオフィリン配合製品
鎮咳去痰剤 ■ 鎮咳効果高いコデイン配合製品 「OTCメディケーション」虎の巻 第3版
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えることで生じる中毒に注意が必要である。食欲 不振、悪心、動悸、頻脈、頭痛などは中毒の初期 症状が疑われるので、こうした症状が出たら直ち に使用を中止し、医療機関を受診するよう注意喚 起する。 ■ドロップ、トローチ、噴霧薬、含嗽薬(うがい薬) ドロップやトローチは、喉に有効成分を直接作 用させるとともに、唾液分泌を亢進させ、喉に潤 いを与える効果がある。固形浅田飴クールS(E❶) は、キキョウ、トコン、マオウ、ニンジンエキス を配合した指定第2類医薬品。ノドローチ(E❷)も 生薬を配合した医薬品。セチルピリジニウム塩化 物水和物を配合した医薬部外品には、ヴイックス メディケイテッドドロップ(E❸)のほか、なめた ときに冷感があるアイストローチL(E❹)などが ある。 (D❶)、アネトンせき止め顆粒(D❷)がある。 「ゼーゼー、ヒューヒュー」と音を立てる喘息様の 咳で、痰を伴う湿性咳のときに用いるとよい。な お、テオフィリンを配合している鎮咳薬のうち、 コデインリン酸塩が配合されている場合は、「ぜ んそく」の適応はなく、「せき、たん」のみである。 これらの気管支拡張剤には、強心作用、中枢神経 興奮作用、利尿作用などがあるため、心臓疾患、 高血圧、甲状腺機能亢進症、てんかん、糖尿病な どの既往歴がある患者への使用は不適当である。 特にキサンチン系薬は、妊婦や授乳婦には慎重投 与であり、発熱している小児や痙攣の既往がある 小児も使用を避ける。また、医療用医薬品との重 複や、相互作用を及ぼす併用薬のチェックも必須 である。 キサンチン系薬は効果が表われる血中濃度の 範囲(治療域)が狭いため、血中濃度が治療域を超 E ドロップ、トローチ、 うがい薬 4 指定部外 5 3類 6 3類 7 3類 1 指2類 2 3類 3 指定部外鎮咳去痰剤 ■ 鎮咳効果高いコデイン配合製品 30歳代女性が来店。OTC薬の棚から、瓶入り のシロップ剤の鎮咳去痰薬を2個手に取り、 カウンターにやってきた。薬剤師は女性から 商品を受け取り、成分を確認しながら女性に 話し掛けた。 「咳でお困りですか」 「はい。ここ数日、咳が止まらなくて ……」 「それはおつらいですね。この製品には コデインという成分が入っているので、 咳を鎮めるのに適しています。ただ、誤 ってたくさん服用することのないよう、 お1 人 1 個のみのご購入をお願いして います」 「あら、そうなのですか。1回で効かな かったらと思って、2回分ほしいのです が……」 「こちらの製品は、1回で1本を飲みき るのではなく、箱の中に入っている計量 カップで量り取って服用していただくタ イプです。1本で10回分、基本的に1 日 3 回服用するので、3 ~ 4 日分あり ます」
キメ
の一言
「分けて飲むのですね。私、1回で1本 を飲み切るものだと勘違いしていまし た」 「5~6回服用してみて、それでも咳が 良くならない場合は、私どもか医師にご 相談ください」 (注:このストーリーでは、咳の性状などの詳しいカウンセリングについて は省略している) 2010年6月、厚生労働省は、コデインリン酸 塩、ジヒドロコデインリン酸塩を含有する鎮 咳去痰剤について、液剤、錠剤、顆粒剤など 剤形にかかわらず、内用薬は1人につき1個ま でしか販売しないよう規制する通知を出した (薬食総発0601第6号、薬食安発0601第3号)。 これは当該成分の過剰摂取や乱用が問題と なっていたためである。 また2014年6月には、法改正に伴い、コデイ ンを含有する鎮咳去痰薬などを「濫用等の恐 れのある医薬品」に指定し、原則1人1包装単位 のみ販売するよう定めた(●ページ参照)。購 入者が中学生・高校生などの若年者である場 合は、氏名や年齢も確認しなければならない。 左のケースで取り上げた女性のように、シ ロップ剤の服用方法を誤解しているケースも 少なくないため、販売時には、用法・用量につ いてもきちんと情報提供を行う必要がある。68
「OTCメディケーション」虎の巻 第3版 OTCの鼻炎用薬には、内服薬と点鼻薬がある。 配合される成分は、内服薬では、抗ヒスタミン剤、 交感神経興奮剤、副交感神経遮断剤(抗コリン 薬)、消炎酵素剤、グリチルリチン酸、生薬など、 点鼻薬では、血管収縮剤、抗ヒスタミン剤、殺菌 剤、局所麻酔剤、消炎酵素剤、ステロイド剤など である(表1)。急性鼻炎や花粉症がOTC薬の適応に
鼻炎用薬の販売においては、まず、OTCの鼻炎 用薬の使用が適しているかどうかを判断する必 要がある。そして、医師の診断および医療用医薬 品での治療が必要な場合には、受診を勧める (Step1)。 OTC薬の使用が勧められるのは、かぜなどに伴 う急性鼻炎と、花粉症などの季節性アレルギー性 鼻炎である。継続的な治療が必要な慢性鼻炎や通 年性アレルギー性鼻炎では、OTC薬で症状を一時 的に緩和するのではなく、医師の診断の下で治療 することが望ましい。従って、鼻炎用薬の購入を 希望する患者には、鼻炎症状が出現する状況を聞 き、症状が一時的なものかどうかを確認する。 また、急性鼻炎や花粉症でも、症状が重い場合 には、OTC薬では十分な症状改善効果は見込めな いため、受診を勧める。重症例では、内服の抗ヒ スタミン剤とステロイド点鼻薬を使用する治療 が有効であり、また鼻閉(鼻づまり)が強い場合に は、トロンボキサンA2阻害薬やロイコトリエン拮 抗薬が有効である。そのほか、粘稠な鼻汁を伴う ことが多い副鼻腔炎も、抗菌薬や粘液溶解薬な ど、医療用医薬品による治療が適している。 さらに、合併症の有無も確認する。抗ヒスタミ ン剤や交感神経興奮剤は、どの鼻炎用薬にも配合 されており、緑内障、前立腺肥大症、糖尿病、高 血圧などを合併した患者ではこれらの成分に よって病態が悪化する可能性があるため、慎重に 使用する必要がある。 OTC薬の鼻炎用薬の使用が可能と判断したら、 次に、患者が気になっている症状を聞き出し、適 切な成分や剤形を選択する(Step2)。 初期の花粉症でアレルギー症状が軽い段階で は、第2世代抗ヒスタミン剤が勧められるが、かぜ などの急性疾患や花粉症による鼻炎で即効性を 求める場合などは、第1世代抗ヒスタミン剤が効 果的である。第2世代抗ヒスタミン剤は第1世代と 比べて眠気の副作用が出にくく、抗アレルギー作 用も併せ持っている。その半面、即効性について は第1世代抗ヒスタミン剤を含む製品の方が優れ ていることが多い。これは、第2世代抗ヒスタミ ン剤を含む製品には単味剤が多いのに対し、第1 世代抗ヒスタミン剤を含む製品は抗コリン剤や 血管収縮剤をともに含む配合剤が多いためであ る。第2世代抗ヒスタミン剤の選択に当たっては、 禁忌・慎重投与の有無が一つのポイントとなる。 なお、抗ヒスタミン剤の効果発現は最高血中濃度 到達時間(Tmax)よりも早い。 また、抗ヒスタミン剤による眠気が気になる患 者には、点鼻薬を勧めることになるが、近年ス イッチOTCとして登場した第2世代抗ヒスタミン 成分の中には、インぺアード・パフォーマンス(抗 ヒスタミン剤の副作用による集中力や判断力、作鼻炎用薬
症状に応じて内服薬と点鼻薬を使い分ける
チェックポイント
業能率の低下)が起きにくい成分もある(●ペー ジ「キメの一言」参照)。 剤形に関しては、鼻閉症状が気になる患者には 点鼻薬を、くしゃみや鼻水が中心の患者には内服 薬を勧める。さらに具体的な商品選択に当たって は、患者の合併症や服用中の薬剤、アレルギー歴 などから、避けるべき配合成分をチェックする (Step3)。販売の際には、セルフケアの方法もア ドバイスするようにしたい(表2)。患者がアレル ギー性鼻炎であれば、アレルゲンの除去(回避)が 最も重要であることを強調すべきである。 1. アレルゲンを除去する(アレルギー性鼻炎の場合) 2. ストレスをできるだけためない 3. 十分な睡眠を取る 4. 喫煙・アルコール摂取を控える 5. 体を冷やさない 6. 刺激物の取り過ぎを避ける 表2 鼻炎患者に提案したいセルフケアのポイント つづき 表1 鼻炎用薬の主な有効成分(点鼻薬は交感神経興奮成分が必須。内服薬は抗ヒスタミン成分が必須) ■■ スイッチOTC成分 使用目的 分類 成分名 配合できる剤形 主な作用 鼻閉 (血管収縮成分)交感神経興奮剤 ナファゾリン塩酸(硝酸)塩 点鼻 血管平滑筋のα-アドレナリン受容体に直接作用して血管を収縮 し、鼻閉を改善する テトラヒドロゾリン塩酸(硝酸)塩 点鼻 オキシメタゾリン塩酸塩 点鼻 フェニレフリン塩酸塩 内服/点鼻 プソイドエフェドリン塩酸塩 内服 dl-メチルエフェドリン塩酸塩 内服/点鼻 かゆみ・ 腫脹 消炎酵素成分 リゾチーム塩酸塩 鼻粘膜の腫脹や炎症を抑える。膿汁の融解と排出を促進し、鼻づまりなどを抑える ブロメライン ため血液凝固異常の有無を確認粘性痰や鼻汁などを分解除去。フィブリンを溶解させる作用もある 抗炎症成分 グリチルリチン酸 糖質コルチコイド様作用により鼻粘膜の腫脹や炎症を抑える グリチルリチン酸二カリウム 鼻炎・ 鼻閉など 生薬 カンゾウ(甘草) 消炎作用を示す サイシン(細辛) 頭痛、鼻炎に効果あり シンイ(辛夷) 鼻炎や蓄膿などによる鼻づまりを改善 ショウキョウ(生姜) 新陳代謝を向上させ、発汗を促し、熱を下げる その他 殺菌成分 ベンゼトニウム塩化物 鼻腔内の殺菌消毒作用を示す(ベンザルコニウムは防腐剤として添加物に含まれていることもある) ベンザルコニウム塩化物 中枢神経興奮成分 無水カフェイン 鼻炎に起因する頭痛を和らげ、抗ヒスタミン剤による眠気を防止 局所麻酔成分 リドカイン 鼻粘膜の知覚神経を麻痺させ、痛みやかゆみを和らげる ※ アンテドラッグ:投与部位では活性を有し、体内に入ると代謝され活性が低くなる薬物。局所作用に比べて全身的副作用が小さい
鼻炎用薬 ■ 症状に応じて内服薬と点鼻薬を使い分ける 「OTCメディケーション」虎の巻 第3版
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◆フェキソフェナジン塩酸塩 □ 制酸剤や抗ヒスタミン剤を服用していないか □ 花粉症の場合、症状が出始めたら早めに服用 すると効果的 フェキソフェナジン塩酸塩は2012年に医療用 からスイッチされた第2世代抗ヒスタミン成分。 脳内に移行しにくく、中枢神経抑制作用が弱い (非鎮静性抗ヒスタミン剤)。ただし、抗ヒスタミ ン成分や他の抗アレルギー薬、アルコールと併用 すると、相互作用により中枢神経抑制作用が増強 する恐れがあるため、服用中はこれらの薬剤の使 用や飲酒は避けるよう指導する。また、医療用の フェキソフェナジンは7歳から使用できるのに対 し、OTC薬では15歳以上の成人のみ使用できる点 に注意が必要である。 なお、OTC薬の添付文書では授乳婦への投与は 禁忌となっているが、国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センターによる「授乳中の薬の影 響」では、フェキソフェナジンは「安全に使用でき ると思われる薬」に分類されている。 注意すべき相互作用として、水酸化アルミニウ ムや水酸化マグネシウムを含む制酸剤と同時に 服用すると、制酸剤がフェキソフェナジンを一時 的に吸着して吸収を低下させるため、フェキソ フェナジンの作用が減弱する可能性がある。ま た、エリスロマイシンは、P糖蛋白阻害を介して フェキソフェナジンのクリアランスを低下させ、 同成分の血中濃度を上昇させる恐れがあるため、 併用は避ける。 花粉症など季節性アレルギー性鼻炎に用いる 場合は、花粉の飛散期に入って症状が出始めた ら、症状が軽いうちに服用すると効果的とされ る。1週間服用しても症状の改善が見られなかっ 鼻炎用薬の要指導医薬品(2014年12月時点)に は、ペミロラストカリウムを含むアレギサール鼻 炎、フェキソフェナジン塩酸塩を含むアレグラ FX、セチリジン塩酸塩を含むコンタック鼻炎Zお よびストナリニZ、エバスチンを含むエバステル ALがある。いずれも、花粉症やハウスダストな どによる鼻のアレルギー症状に用いる内服薬。 ◆ペミロラストカリウム □ 妊娠していないか □ 花粉症の場合、花粉飛散開始の1~2週間前 に服用を開始すると効果的 ペミロラストカリウムは、医療用では1991年か ら使われている。2012年に医療用からスイッチさ れ、アレルギー性鼻炎用内服薬への配合が認めら れている。肥満細胞を安定化させることで、ヒス タミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどの ケミカルメディエーターの放出を抑え、アレル ギー性のくしゃみ、鼻汁・鼻閉症状を緩和する。ま た、花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎には、 発症前から服用することで、症状の発現抑制が期 待できる。 妊婦または妊娠していると思われる人、授乳 婦、15歳未満の小児は服用できない。ペミロラス トカリウム自体には抗ヒスタミン作用はないが、 抗ヒスタミン成分や他の抗アレルギー薬、アル コールと併用すると、相互作用により中枢神経抑 制作用が増強する恐れがあるため、服用中はこれ らの薬剤の使用や飲酒は避けるよう指導する。要指導医薬品のチェックポイント
しみ・肌あれ・口内炎用薬 ■ 類似疾患を除外して適応を見極める C 抗炎症成分を主とする口内炎用外用剤 D ステロイドを含有する口 内炎用外用薬 E 殺菌成分を主とする口腔殺菌・消毒薬 2 2類 3 3類 4 3類 5 3類 1 指2類 2 指2類 3 指2類 1 3類 2 部外 3 3類 4 3類 5 3類 6 指定部外 1 3類 8 3類 7 2類 6 3類
育毛・発毛剤 ■ 壮年性脱毛症はミノキシジルが中心 「OTCメディケーション」虎の巻 第3版