住宅瑕疵担保履行法における
供託と保険の選択に係る経済分析
<要旨> 2005 年 11 月の構造計算書偽装事件で発覚した建築関連法令の問題点を解消するために、 さまざまな対策が講じられた。その一つして 2000 年に住宅の品質確保促進等に関する法律 で定められた、構造上主要な部位における 10 年間の瑕疵担保責任が事業主や施工会社の倒 産によって機能しない実効上の問題を解決するため住宅瑕疵担保責任履行法が制定された。 この法律によって新築住宅の建設工事請負人及び新築住宅の売主である、建設業者及び宅 地建物取引業者に対して、瑕疵担保責任の履行のための資力確保措置が義務付けられた。 資力確保措置については、供託または保険によることと定められた。そこで、供託と保険 の選択に着目し次の分析を行った。 1.住宅瑕疵担保責任履行法における供託と保険による厚生水準に関する分析 保険と供託を比較した場合、供託のほうが住宅事業者の選択する注意水準が高くかつ社 会的余剰も最大化された。ただし、これは供託を行う住宅事業者に十分な資力がある場合 に成立する。 2.マンション価格動向から推察する消費者のリスクプレミアムに関する実証分析 供託を選択し得る潤沢な資力を有する大手デベロッパーによるマンション等について推 計し、プレミアムを観察しその要因分析を行なった。 3.住宅瑕疵担保責任履行保険のメリット 保険を選択した場合には瑕疵が発生したときの取引費用が低減されることが期待される。 以上から、住宅瑕疵担保責任履行法の現状での評価を分析し、資力確保のための緊急的措 置として効果的であることを確認した。また、今後の課題として可変保険料率の設定と、 住宅取得者を被保険者とする保険の創設に触れている。 政策研究大学院大学 まちづくりプログラム修士課程 mju08054 野上雅浩序章 2 1. 住宅瑕疵担保責任履行法における供託と保険による厚生水準に関する分析 3 1.1. 先行研究との関係 3 1.2. 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律概要 4 1.3. モデルの検討 5 1.4. モデル分析まとめ 12 2. マンション価格動向から推察する消費者のリスクプレミアムに関する実証分析 14 2.1. マンション市場を取り巻く状況 14 2.2. 首都圏分譲価格データを用いた分析 14 2.3. major7 の平均分譲単価の分析 20 2.4. major7 とその他マンションの 1 ㎡あたり分譲価格推移の詳細分析 25 2.5. 大手私鉄を親会社とする不動産会社の平均分譲単価推移の分析 28 2.6. JV 事業の平均分譲単価の分析 32 2.7. 施工会社に着目した平均分譲単価の分析 36 2.8. 施工会社に着目したマンションの平均分譲単価推移の詳細分析 43 2.9. 結果の考察 47 3. 住宅瑕疵担保責任履行保険のメリット 50 3.1. 供託と保険の選択 50 3.2. 住宅取得者にとっての保険利用のメリット 51 3.3. まとめと供託におけるその他の問題点 54 4. 現状の整理と今後の課題 55 4.1. 現状の整理 55 4.2. インプリケーション 57 4.3. まとめ 59 参考文献 60
序章 住宅を取得するとき、住宅を購入するか、その者が利用可能な敷地に住宅を建設するか のいずれかを選択する。いずれの場合においても、買い手と売り手、発注者と受注者の間 に大きな情報の非対称が存在する。このため、買い手は住宅の売買契約において宅地建物 取引業法で、発注者は工事請負契約において建設業法で保護されている。また、建築基準 法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健 康及び財産の保護を図っている。品確法は、住宅性能表示基準及びその評価制度を設け、 住宅に係る紛争の処理体制を整備し、新築住宅の請負契約又は売買契約における瑕疵担保 責任について特別の定め、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に 係る紛争の迅速かつ適正な解決を図っている。このように、法律によって住宅取得者は一 定に保護されていたにも関わらず、構造計算書偽装事件は発生した。構造計算書偽装事件 の再発を防ぐため社会資本整備審議会建築分科会に設置された基本制度部会において、平 成 18 年2月に「建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について」の中間報告がな された。これらに基づき、政府は建築物の安全性確保を図るための建築基準法等の一部を 改正する法律案を第 164 会国会に提出し、同法案は平成 18 年 6 月に成立した。 この改正法では建築物の安全性の確保を図るため、都道府県知事による構造計算適合性 判定等の実施、指定確認検査機関及び建築士や建築士事務所に対する監督の強化、建築基 準法に違反する建築物の設計者等に対する罰則の強化、建設業者及び宅地建物取引業者の 瑕疵を担保すべき責任に関する情報開示の義務付け等の措置が講じられた。建築基準法の 改正は平成 19 年 6 月 20 日より施行され、構造計算適合性判定制度の導入、審査期間の延 長、指針に基づく厳格な審査の実施へと移行した。また、住宅瑕疵担保履行法については、 平成 20 年 4 月 1 日に住宅瑕疵担保責任保険法人の指定や特別紛争処理体制の整備について 施行され、平成 21 年 10 月 1 日に新築住宅の売主等に対しての瑕疵担保責任を履行するた めの資力確保の義務付けについて施行される。また、指定確認検査機関や建築士への監督・ 罰則の強化に伴い各々が注意水準を引きあげる必要が生じコスト上昇が避けられない。 このように、住宅取得者の保護を目的として法令整備を行なうため、このコストの上昇は 長期的には住宅価格に転嫁される形で住宅取得者が負担することとなる。その場合、住宅 取得者が負担した費用に応じて厚生水準効用が改善される必要がある。そこで、本稿では これら法律整備のうち、住宅瑕疵担保責任履行法によって、建築・住宅市場の混乱収束と、 住宅市場の厚生水準が向上するかという観点で次の問題を分析する。 1.住宅瑕疵担保責任履行法による保険及び供託によって瑕疵担保責任履行について資力 面での改善が見込まれるが、供託と保険の選択によって品質管理の注意水準がどう変 化し、全体の社会的余剰に差異が生じる可能性についてモデルを用いて分析する。 2.現在のマンション市場の価格において、事業者に対するプレミアムの存在の有無、構 造計算書偽装事件以降の変化について分析する。
1. 住宅瑕疵担保責任履行法における供託と保険による厚生水準に関する分析 1.1. 先行研究との関係 構造計算書偽装事件に関する経済学的な観点における先行研究として、福井(2006)1、福 井(2007)2 、山崎・瀬下(2006)3等がある。福井(2007)、 福井(2008)では、構造計算書偽 装事件について指定検査機関が偽装を見抜くことができなかった点に着目し、検査機関は 故意の構造計算書偽装等の事故を未然に防ぐ上で効率的であることを確認している。また、 民間建築確認についても常に地方公共団体が賠償責任を負うとする最高裁ルールは社会的 費用を極度に高める点を指摘している。また構造計算偽装に関する第一次責任を無過失責 任ルールで機関に負わせることによって社会的費用を極小化できる可能性が大きいことを 指摘し、そのために検査機関に強制保険の損害賠償責任保険加入を義務付け、可変保険料 率とすることが適当している。その後の建築基準法の改正等について、最安価損害回避者 に究極の責任負担を課す仕組みとなっていない点や、国家賠償法の適用について遮断措置 が講じられていない点など解決すべき問題を抱えていると指摘している。 山崎・瀬下(2006)において、建築物の「情報の非対象性」を解消するのに必要な制度と して、業者が倒産した場合の消費者の保護のためにも、民間の保険会社を介在させた上で、 建築物登録制度を創設し、そこに保険への加入の有無を記載させる必要があることを明ら かにしている。当時検討中であった現在の住宅瑕疵担保責任履行法の下での固定料率保険 については、健全な経営をしている会社からリスクの高い経営をしている企業へと所得移 転を引き起こす事を指摘している。 また、次節のモデルを用いた分析は、高橋(2008)4及び岸田(2007)5を参考としている。 高橋(2008)の分析対象は施工段階における住宅瑕疵の防止策に着目し、保険法人が行なう 住宅検査の質の向上を図り、住宅瑕疵の未然防止機能を充実させるための方策について検 討すること等であり、岸田(2007)の分析対象は設計段階における指定確認検査機関の審査 の質の向上である。 本稿では、すでに住宅瑕疵担保責任履行法の制度が確定していることから、住宅事業者 が保険を選択した場合と供託を選択した場合において、各々が最適化する際に選択される 注意水準と、社会的余剰がどのように変化するかについて分析し、首都圏マンションデー タより供託を行うマンションデベロッパーについて法律が完全施行される前であるため特 1福井(2006):福井秀夫「構造計算書偽造事件の損失は誰が負うべきか 損害賠償法の経済 分析」(経済セミナー2006.7 日本評論社) 2福井(2007):福井秀夫「ケースからはじめよう 法と経済学」(日本評論社) 3山崎・瀬下(2006):山崎福寿・瀬下博之「耐震強度偽装問題の経済分析」(日本不動産学 会誌 2006.4) 4高橋(2008):高橋正史「住宅の瑕疵担保責任履行確保措置の意義等に関する考察」(2007 年度本学公共政策プログラム修士論文) 5岸田(2007):岸田里佳子「耐震偽装問題を踏まえた建築確認制度の法と経済分析」-不完 全情報化における指定確認検査機関制度のインセンティブ設計-(2006 年度本学知財プロ グラム修士論文)
定できないことから、十分な資力を有し供託を選択することが予測されるデベロッパーに ついてプレミアムを分析する。 1.2. 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律概要6 住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正 な解決を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的 として住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成 11 年法律第 81 号)(以下、「品確法」 という。)は、2000 年 4 月 1 日より施行された。その 3 本柱として、新築住宅における構 造上主要な部位の瑕疵担保責任の最低 10 年間の義務付け、住宅性能表示制度の創設、住宅 専門の紛争処理体制の整備が図られた。 品確法で、新築住宅の取得者は構造上重要な部位の瑕疵について 10 年間保証されること が法律で定められていたが、2005 年以降発覚した実際構造計算偽装事件で、被害を及ぼし た住宅事業者や施工会社が破産することで本来の目的を達することができない実効性の問 題点が明らかになった。 そこで、その実効性を担保する「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」 (平成 19 年 5 月 30 日法律第 66 号)(以下、「住宅瑕疵担保履行法」という。)が公布され、 住宅瑕疵担保責任保険法人の指定や特別紛争処理体制の整備について 2008 年 4 月 1 日より 施行され、新築住宅の売主等に対しての瑕疵担保責任を履行するための資力確保の義務付 けについては 2009 年 10 月 1 日より施行された。この法律の目的は、住宅を新築する建設 工事の発注者及び新築住宅の買主の利益の保護並びに円滑な住宅の供給を図り、もって国 民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することである。そのために、住宅の瑕 疵の発生の防止が図られるとともに、住宅に瑕疵があった場合においてはその瑕疵担保責 任が履行されることを図る必要があるために、「建設業者や宅地建物取引業者による住宅建 設瑕疵担保保証金の供託」、「住宅瑕疵担保責任保険法人の指定」及び「住宅瑕疵担保責任 保険契約に係る新築住宅に関する紛争の処理体制等」について定めている。 ・ 資力確保措置の義務付け 新築住宅の建設工事請負人及び新築住宅の売主である、建設業者及び宅地建物取引業 者に対して、瑕疵担保責任の履行のための資力確保措置が義務付けられた。資力確保 措置については、供託または保険によることと定められている。 (供託制度) 過去 10 年間の新築住宅供給戸数に応じた瑕疵担保責任を供託所(法務局等)に供託す ること (保険制度) 国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人との間で保険金額、保険期間、保 険金支払い条件等に関する一定の要件に適合する保険契約を締結すること 6 本節の記述に当たっては、高橋(2008)を参考に作成している。
保険への加入 保険法人 保険料納付 保険金請求 保険金支払い 請負人(建設業者) 売主(宅建業者) 発注者・買主 保険金支払 保険金 直接請求 補修等 補修等請求 売主等倒産時など 瑕疵発生 保険への加入 保険法人 保険料納付 保険金請求 保険金支払い 請負人(建設業者) 売主(宅建業者) 発注者・買主 保険金支払 保険金 直接請求 補修等 補修等請求 売主等倒産時など 瑕疵発生 還付請求 供託金の供託 供託所 (法務局) 供託金の供託 請負人(建設業者) 売主(宅建業者) 発注者・買主 還付 補修等 補修等請求 売主等倒産時など 瑕疵発生 還付請求 供託金の供託 供託所 (法務局) 供託金の供託 請負人(建設業者) 売主(宅建業者) 発注者・買主 還付 補修等 補修等請求 売主等倒産時など 瑕疵発生 供託金の供託 供託所 (法務局) 供託金の供託 請負人(建設業者) 売主(宅建業者) 発注者・買主 還付 補修等 補修等請求 売主等倒産時など 瑕疵発生 図 1-1 保険制度と供託制度の概要 ・住宅瑕疵担保責任保険法人制度 住宅の検査が必要なことから既存の損害保険会社ではなく、専門的な能力を有する指定 法人によって住宅瑕疵担保責任保険が実施される。指定法人は、指定の基準に従い国土交 通大臣が住宅瑕疵担保責任保険の引受け手として指定する。 ・紛争処理支援体制の整備 住宅瑕疵担保責任保険に係る住宅に関し生じた紛争を簡易・迅速に解決するため、品確 法の指定紛争処理機関(弁護士会)が住宅瑕疵担保責任保険に係る紛争も処理する。 1.3. モデルの検討7 本稿では、住宅瑕疵担保履行法において住宅を供給する事業者が取るべき資力確保の手 段として、供託又は保険を選択できることからその選択にあたって、事業者が取る注意水 準について分析を行なう。 モデルの定義 検討のモデルにおける各変数の意味は次のとおりである。 ・ 住宅価格:
B
・ 建設費:C
b ・ 住宅の価値その他住宅により生じる余剰の総和:S
・ 瑕疵の部位特定や責任所在の確定に必要な取引費用:U
・ 住宅事業者の品質管理における検査における注意水準:x
b ・ 保険法人の検査における注意水準:x
i ・ 保険検査料収入:w
w
については適切な水準で設定される ・ 品質管理コスト:C
x
x
住宅事業者が品質管理の注意水準を上昇させた場合、品質管理コストが増加すること は自明であるため、C
x
はx
の増加関数であると考えられる。本分析においては単純 化してx
の一次関数とする。 なお、住宅事業者についてはC
x
b
bx
b、保険法人についてはC
x
i
ix
iとする。 7本節の記述に当たっては、 R・クーター、T・ユーレン著 太田勝造訳 「新版 法と経済学」(商事 法務研究会 1997)を参考にしている。・ 瑕疵が生じた場合の損害賠償費用:
L
・ 適切でない品質管理に起因する瑕疵発生確率:P
x
注意水準を上昇させることで、品質管理に起因する瑕疵発生確率は減少することが自 明であるため、P
x
はx
の減少関数であると考えられる。また、P
x
0
、P
x
0
、
0
1
P
、lim
0
P
x
x とする。 なお、保険制度利用の場合はP
x
b
x
i
、供託制度利用の場合はP
x
b とする。 図 1-2 瑕疵発生確率 1.3.1. 基本パターン1 損害金を保険金ですべて支払い可能な場合 ・建築主余剰(保険)
b i
ins ownerx
S
B
UP
x
x
S
_
(数式 1-1) 図 1-3 建築主余剰 ・住宅事業者余剰(保険)
b b b b ins builder x BC w
x _ (数式 1-2) 最適化条件はx
b
0
x
0 1
x
P
x
P
x
0
x
S
B
UP
x
S
U
B
S
B
S
図 1-4 住宅事業者余剰 ・保険法人余剰(保険)
i i i
b i
insurancex
w
x
LP
x
x
=w
ix
i
LP
x
i (数式 1-3)
0
insurancex
i
iLP
x
i (数式 2-5) ⇔
L
x
P
i i
(数式 1-4) 図 1-5 保険法人余剰 ・社会的余剰(保険)
i b
b b b i i
i ins x S UP x x C x x LP x SW (数式 1-5)
0 i b b b ins x x UP x x SW ⇔
U x x P b i b (数式 1-6)
0 i i i i ins x LP x UP x x SW ⇔
L U x P i i ai (数式 1-7)x
0
b b b ins builderx
B
C
w
x
_w
C
B
b
i ix
y
x
LP
y
x
i i
i insurance x w x LP x
L
x
w
i i
0
x
i b
b b b i i
i ins x S UPx x C x x LP x SW
x
ix
b
LP
x
iUP
y
y
bx
b
ix
i0
b C S図 1-6 保険制度利用のときの社会的余剰 ・建築主余剰(供託)
b dep ownerx
S
B
UP
x
S
_
(数式 1-8) ・住宅事業者余剰(供託)
b b b b
b dep builderx
B
C
x
LP
x
_
(数式 1-9)
'
0
_
builder depx
b
bLP
x
b ⇔
L x P b b
(数式 1-10) ・社会的余剰(供託)
b b b b
b dep x S UP x C x LP x SW (数式 1-11)
'
0 b b b dep x UPx LP x W S ⇔
L U x P b b (数式 1-12) ● 保険と供託それぞれ、各主体が総余剰を最大化する注意水準となっているか? (数式 1-2)より 住宅事業者の利潤最大化に住宅事業者の注意水準は影響を与えない、モラルハザードの懸 念あり (数式 1-4)、(数式 1-7)より 保険法人が利潤最大化する注意水準と、その時社会的余剰を最大化する注意水準は一致 (数式 1-10)、(数式 1-12)より 供託を利用する住宅事業者が利潤最大化する注意水準と、その時社会的余剰を最大化する 注意水準は一致 ● 保険と供託の際の保険法人、住宅事業者の注意水準の比較 (数式 1-10)、(数式 1-4)より
b i b b i b b i ai b abLP
LP
LP
x
P
x
P
*
*
i b
ならP
ab
x
b
P
ai
x
i ⇔x
b
x
i i b
ならP
ab
x
b
P
ai
x
i ⇔x
b
x
i i b
ならP
ab
x
b
P
ai
x
i ⇔x
b
x
i● 社会余剰の比較
dep b
i b
b b b i i
i
b b b b
b
ins x SW x S UP x x C x x LP x S UP x C x LPx SW ( ) U
P
x*i P
x*b
ix*i
bx*b
L(P
x*i P x*b ) i b
ならP
ab
x
b
P
ai
x
i ⇔x
b
x
i このときL(P
x*i P(x*b))0 第 1 項と第 2 項を加えたものは、注意水準のコストに関して弾力的なら、基 本は負となる。1
/
/
x
x
⇔ x
x
/
/
⇔
x
x
⇔0
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
0
dep( b) ins x SW x SW つまり、保険の社会的余剰は小さい i b
ならP
ab
x
b
P
ai
x
i ⇔x
b
x
i だからこの場合社会的余剰は変わらない。 1.3.2. 基本パターン2 前提:損賠 L のγは事業者が負担、残りが保険 ・建築主余剰(保険)
b i
ins ownerx
S
B
UP
x
x
S
_
(数式 1-13) ・住宅事業者余剰(保険)
b b b i b b ins builder x BC w
LP x x
x _ ( ) (数式 1-14) 最適化条件 ⇔
L
x
x
P
b i b
(数式 1-15) 図 1-7 住宅事業者余剰w
C
B
b
0
builder_ins
x
b
B
C
b
w
LP
(
x
b
x
i)
bx
b b bx
x
)
(
x
bx
iLP
・保険法人余剰(保険)
i i i
b i
insurancex
w
x
LP
x
x
(
1
)
(数式 1-16) 最適化条件⇔
L
x
x
P
i i b)
1
(
(数式 1-17) 図 1-8 保険法人余剰 ・社会的余剰(保険)
b i
b b i b b i i
b i
ins x S B UP x x B C w LP x x x w x LP x x SW ( ) (1) =S
U
C
b
U
L
P
(
x
b
x
i)
bx
b
ix
i(数式 1-18)
i b b b ins x x P L U x x SW ⇔
L U x x P b i b (数式 1-19)
i b i i ins x x P L U x x SW ' ⇔
L U x x P i i b (数式 1-20) ・供託は基本ケース1と同一 ● 保険と供託それぞれ、各主体が社会的余剰を最大化する注意水準となっているか? 保険はそれぞれ最適な水準よりも過小な各主体の努力水準をもたらす 供託は社会的余剰を最大化する注意水準と同一 ● 保険と供託の際の保険法人、住宅事業者の注意水準の比較 簡単化のため
b
iとする 保険の場合の注意水準は、数式(1-15)と数式(1-17)を同時にみたすx
bとx
iの組み合わせと なる。このとき二者がクールノー競争をしており反応曲線で均衡が決まる。
L
x
x
P
b i
を満たす反応曲線と
L
x
x
P
i i b)
1
(
を満たす反応曲線の関係は、 γが 0.5 より小さければ、住宅事業者の反応曲線が常に保険法人の反応曲線の下方に位置 するから住宅事業者はフリーライドして、保険法人が
L
x
P
i i)
1
(
を満たす注意水準 を果たすに留まる。逆は逆。0
i ix
x
x
bx
i
LP
(
1
)
i i i
b i
insurancex
w
x
LP
x
x
(
1
)
LP
w
(
1
)
L x x P b i * *
L
x
x
P
b i
1
* * bx
を満たすx
bとx
iの組み合わせ を満たすx
bとx
iの組み合わせ を満たすx
bとx
i の組み合わせ を満たすx
bとx
i の組み合わせ ix
5
.
0
0
.
5
のとき
のとき 図 1-9 クルーノー競争 これはいずれにしても、数式(1-15)と数式(1-17)を満たす組み合わせでしかなく、社会的 余剰を最大化する供託の注意水準よりも小さい。 ● 社会的余剰の比較(保険法人が住宅事業者の注意水準を決定すると仮定したモデル) 先の分析のとおり、住宅事業者と保険法人の注意水準とそのコストの関数は、各自が自 由に設定する。しかし、保険にあたって保険法人は、施工基準を定めそれに従った設計施 工や現場検査を保険加入の要件としている。この事から保険法人が保険を利用する住宅事 業者の注意水準をコントロールすることが可能であるという仮定の下、保険法人が定めた 住宅事業者の注意水準における保険モデルの総余剰と、住宅事業者が任意に設定する供託 モデルにおける総余剰を比較することで、保険モデルと供託モデルの総余剰の比較を行な う。次の条件を満たす、 * bx
、 * bx
、
を定める。 条件P
ab
x
b
P
ai
x
i
P
ab
x
b*
0
x
b
x
i
x
b*、
*
0
b ab b abx
P
x
P
x
b
x
b*
b
i
このとき、
*
*
* *
*
* *
*
2 2 2 b b b b b b b b b ins b dep x SW x S UPx C x LPx S UP x C x LP x SW
* *
*
*
2 2 b b b b U L Px x U L P x x また、それぞれの社会的余剰について、品質管理のための検査等に要する費用と支 払い損害賠償額又は保険金額の合計について、図示すると図 1-10 のとおり。 なお、 * * *2
x
b
x
b
x
tより前述のとおり、 * * * *2
x
b
x
b
x
t
x
b である。
x
P
ab は減少関数で、かつx
b
x
bより * * b bx
x
、このとき、
*
*2
b ab b abx
P
x
P
図 1-10 社会的余剰計算のための保険制度と供託制度の比較
* * b b LPx x > *
* 2 2 xb LP xb よりSW
dep
x
b*
SW
ins
x
b*
0
より
*
* b ins b depx
SW
x
SW
ゆえに、社会的余剰は供託の場合のほうが大きい。 図 1-10 社会的余剰の比較 1.4. モデル分析まとめ 1.4.1. モデルから考察 本節では、保険制度を利用した場合に損害のすべてを保険金で支払い可能なモデルと、 保険制度を利用しても住宅事業者が損害の一部を負担しなければいけないモデルについて、 その選択する注意水準や選択される社会的余剰について分析を行った。保険制度を利用す る場合、瑕疵が発生した際に保険者と被保険者間で事前にお互いのリスク分担について決 められていない場合、保険は公共財的性質を持ち一方にフリーライドが発生して注意水準
2
x
注意水準 * bx
費用 *2
x
b
* * bx
P
L
U
x
b
x
P
L
U
2
* *2
2
bx
P
L
U
x
b
b
b b
b
ins x S UP x C x LP x SW 2 2 2 bx
y
2
x LP y x
b bx
y
b b b
b dep x S UP x C x LP x SW 0x
*b2
x
b *
x
UP
y
が低くなることが観察された。その結果、いずれの場合においても保険を利用した場合よ りも供託を利用した場合のほうが住宅事業者の注意水準は上昇し、社会的余剰も大きくな ることが観察された。 モデルにおいて、保険と供託を比較した場合住宅事業者に十分な資力がある場合、供託 の場合のほうが住宅事業者の選択する注意水準は高く、社会的余剰も大きくなる。このこ とは、最安価に住宅の品質管理が可能である住宅事業者が責任の 100%について無過失責 任を負う事で最安価に最大の注意水準が選択されるからである。一方、保険を選択せざる を得ない住宅事業者にとって、本来であれば住宅事業者が最適な注意水準で施工監理を行 なうことが可能であるにも係らず、生じた瑕疵の損害賠償が保険で補償されることによっ て適切な注意水準をとらなくなり、保険法人が保険対象の住宅を現場検査によって品質管 理を行なう場合そのコストは住宅事業者よりはるかに高くなり結果として選択する注意水 準が低くなるためである。 よって、このモデルより供託を選択することが可能な住宅事業者は自らで損害賠償責任 を負うため品質管理に関する注意水準が高く瑕疵等の事故が発生する確率が下がることが 期待されることから、消費者の安心に対するプレミアムが発生することが見込まれる。 1.4.2. モデルの限界 このモデルにおいては、住宅事業者が保険又は供託のいずれかを選択した場合に、その 注意水準及び社会的余剰の総和の比較を行っている。モデルを簡略化するため、保険金の 支払いにおいて免責金額や、被保険者が倒産していない場合の縮小てん補割合等は考慮し ていない。また、保険のリスクが集約されることでリスクに備えるためのコストが低減さ れる効果や、供託については瑕疵が発生した際に損害賠償に対応するための資産を事前に 準備する自己保険のための費用が必要であることも考慮されていない。 1.4.3. モデルの検証 1.4.1.より、供託を用いた場合の方が注意水準は高く、期待瑕疵発生率も下がるため供 託を選択するデベロッパーにはプレミアムの発生が見込まれる。そこで、実際のマンショ ン市場における分譲価格において検証を行う。しかし、住宅瑕疵担保履行法の完全履行は 2009 年 10 月であり現在のところまだ供託と保険の選択は強制されておらず、市場におい て判別が不能である。よって、供託を選択することが想定される大手デベロッパーについ てプレミアムの有無を分析する。
2. マンション価格動向から推察する消費者のリスクプレミアムに関する実証分析 2.1. マンション市場を取り巻く状況 不動産経済研究所(2009)8 によると、マンションの1㎡あたり平均分譲単価は、2005 年 54.5 万円、2006 年 55.5 万円、2007 年 61.4 万円、2008 年 65.0 万円と上昇している。また、 販売戸数については、2005 年 81,148 戸、2006 年 74,463 戸、2007 年 61,062 戸、2008 年 43,733 戸と減少している。しかし、初月契約率の平均については 2005 年 82.5%、2006 年 78.3%、2007 年 69.7%、2008 年 62.7%と減少している。同じく累計契約率についても 2007 年 83.8%、2008 年 78.3%と減少している。つまり、新規供給数が減少しているにもかか わらず契約率が停滞している状況から、価格の上昇要因としては住宅購入者側の需要増加 による価格上昇ではなく、建築コスト及び地価の上昇等が予測され、デベロッパーは苦渋 の選択として価格を上昇せざるを得ないものと推察される。 住宅は人生における最大の買い物といわれるほど高額であるにも関わらず、買い手は売 り手と比較して住宅について構造等の設計に関する専門的な内容や、施工監理の状況等住 宅の選択にあたって重視したい内容について十分な情報を得ることが困難で、情報の非対 称性が存在する。そこで、情報の非対称性の解消手段として、マンション選びにおいてデ ベロッパーや施工会社のブランドを事業規模や過去の実績を評価して物件選択の指標の一 つとして用いることが挙げられる。2005 年 11 月に発覚した構造計算書偽装事件以降これ まで以上にマンションの安全性や品質管理に関する買い手の関心は高まっていると予測さ れる。その影響もあり買い手の物件選択において、その事業主の信頼性を重視する傾向が 強まっているものと予測される。ゆえに、前述の推察のとおりその他の事業者が苦渋の選 択で価格上昇をしている中でも、信頼によるプレミアムを得られる事業者については分譲 価格をさらに高い水準で維持し得るものと予測される。1.5.3.のとおり、その信頼が寄せ られたデベロッパーが十分な資力を有するデベロッパーであると仮定して検証を行う。 2.2. 首都圏分譲価格データを用いた分析 マンションは事業期間が長く建設敷地等は取得後一定期間が経過することから、分譲価 格は原価に応じた価格決定より、近傍類似物件の価格調査と成約状況を元に、売り手の供 給と買い手の需要により価格が決定されているといわれる。 そこで、販売開始時に提示されるマンションの 1 ㎡あたり平均分譲価格(以下、「平均分 譲単価」という。)についてヘドニック関数を OLS によって推定し、デベロッパーにおける プレミアムの有無から住宅購入者のニーズの推定を行う。 新築マンション販売時のデータについては、株式会社不動産経済研究所が集計し発行し ている首都圏マンション新築物件データ9を用いた。このデータは首都圏(東京都・埼玉県・ 8 株式会社不動産経済研究所「全国マンション市場動向(2008 年まとめ)」 9 (株)不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向」
神奈川県・千葉県)における、1995 年 1 月から 2008 年 11 月までに売り出された新築マン ションについて販売期毎の基本情報を月単位で集計蓄積したものである。 また、推計式の構成については、販売時期や着工時の標準的な建設費といった時期的要 因、最高層棟の階数、総戸数、工期といった物件の規模規格による要因、都心からの鉄道 乗車時間や、最寄り駅からのバス便や徒歩時間といった利便性に関する要因、マンション が所在する都県等といった建設地の立地に関する要因を基本とし、その推計式にデベロッ パーや施工会社といったプレミアムが発生すると想定される要因のダミーを加えて分析を 行うこととした。 プレミアムの存在が予想される大手デベロッパーの客観的な区分として、新築マンショ ンポータルサイト「メジャーセブン」10を運営する大手不動産会社 8 社を大手デベロッパ ーとして分析を行う。 建設価格の構成要素については、財団法人経済調査会による建設資材価格指数11のうち、 「都市別建設資材価格指数(建築)」の東京のデータを使用している。なお、建設資材価格 指数の適用時期については、着工日が存する月とした。 分析に用いたデータの基本統計量は表 2-1 のとおりである。サンプル数は 34,616 件であ る。分析の中心となる major7 は全体の約 27.6%である。また、各年の推移は各年の販売 ダミーと major7 と各年販売ダミーとの交差項から計算すると、各年における major7 の市 場シェアは 2005 年 30.4%、2006 年 28.9%、2007 年 30.2%、2008 年 45.0%と高くなって いる。また、各分析に用いたダミーより、それぞれが全体に占めるシェアは JV 事業が 19.8%、 私鉄系デベロッパーが 4.8%、スーパーゼネコンが 8.4%、準大手ゼネコン施工は 32.9% となっている。なお、1995 年 1 月から 2008 年 11 月までに売り出された新築分譲マンショ ンデータのうち、工期が異常値(2 ヶ月以下または、100 ヶ月以上)を示すもの及び、着工 日が古く建設資材価格指数を取得できなかったものを除外した。その内訳は表 2-2 のとお りである。 10 メジャーセブン:http://www.major7.net/ 新築マンション販売情報とマンション選び 関連情報を提供する新築マンションポータルサイト。2000 年 4 月に開設。住友不動産株式 会社、株式会社大京、東急不動産株式会社、東京建物株式会社、藤和不動産株式会社、野 村不動産株式会社、三井不動産レジデンシャル株式会社、三菱地所株式会社の不動産大手 8 社で共同運営。 11建設資材価格指数:http://www.zai-keicho.or.jp/activities/price_relative.php
表 2-1 分析に用いた新築マンションデータの内訳 発売年 東京都 埼玉県 千葉県 神奈川県 合計 1995 1,043 346 290 669 2,348 1996 1,055 284 271 644 2,254 1997 1,048 260 253 597 2,158 1998 1,119 299 288 656 2,362 1999 1,302 275 256 684 2,517 2000 1,356 252 262 651 2,521 2001 1,324 278 319 682 2,603 2002 1,462 339 323 823 2,947 2003 1,709 299 209 720 2,937 2004 1,685 259 238 664 2,846 2005 1,370 306 313 659 2,648 2006 1,090 357 368 587 2,402 2007 1,024 397 326 552 2,299 2008 908 214 217 435 1,774 合計 17,495 4,165 3,933 9,023 34,616 表 2-2 分析に用いた指標の基本統計量
Variable Mean Std. Dev. Min Max
unit_price 平均分譲価格(万円/㎡) 59.4158 18.7827 25.7 345.1 d_major7 major7 ダミー 0.2764 0.4472 0 1 d_jv JV 事業ダミー 0.1982 0.3987 0 1 d_railway 私鉄系デベロッパーダミー 0.0482 0.2142 0 1 d_supergc スーパーゼネコンダミー 0.0844 0.2780 0 1 d_jote 準大手ダミー 0.3292 0.4699 0 1 d_jvm7d major7×JV 事業ダミー 0.0948 0.2930 0 1 d_railwaym7d major7×私鉄系デベロッパーダミー 0.0072 0.0845 0 1 d_supergcm7d major7×スーパーゼネコンダミー 0.0360 0.1863 0 1 d_jotem7d major7×準大手ダミー 0.1170 0.3214 0 1 ave_area 平均床面積(㎡) 71.9306 12.8266 19.78 234.6 max_floor 最高階数(階) 10.0676 5.9969 2 59 d_20f 20 階以上 30 階未満ダミー 0.0292 0.1685 0 1 d_30f 30 階以上 40 階未満ダミー 0.0155 0.1237 0 1 d_over40f 40 階以上ダミー 0.0073 0.0853 0 1 numbers_of_houses 総戸数 107.0768 150.5586 5 2801 buildingperiod 工期(月) 14.7918 5.5645 3 90 bcost_index 建設資材価格指数 95.2087 7.4790 84 131.4 bus バス便(分) 0.5555 2.4114 0 45 walking 徒歩(分) 7.7724 4.6780 0 28 train 都心からの鉄道乗車時間(分) 31.9036 15.2965 0 141 d_tky8 都心 8 区ダミー 0.1170 0.3214 0 1 d_tky18 都心 8 区以外の 23 区ダミー 0.2799 0.4489 0 1 d_tky 23 区外東京都ダミー 0.1085 0.3111 0 1 d_saitamacity さいたま市ダミー 0.0342 0.1817 0 1 d_stmpref 埼玉県ダミー(さいたま市以外) 0.0861 0.2806 0 1 d_chibacity 千葉市ダミー 0.0278 0.1645 0 1
Variable Mean Std. Dev. Min Max d_chbpref 千葉県ダミー(千葉市以外) 0.0858 0.2800 0 1 d_yokohama 横浜市ダミー 0.1249 0.3306 0 1 d_kawasaki 川崎市ダミー 0.0620 0.2411 0 1 d_kngpref 神奈川県ダミー(横浜市、川崎市以外) 0.0738 0.2614 0 1 land_ownership 土地権利形態 0.0078 0.0878 0 1 d_1995 1995 年販売ダミー 0.0678 0.2515 0 1 d_1996 1996 年販売ダミー 0.0651 0.2467 0 1 d_1997 1997 年販売ダミー 0.0623 0.2418 0 1 d_1998 1998 年販売ダミー 0.0682 0.2522 0 1 d_1999 1999 年販売ダミー 0.0727 0.2597 0 1 d_2000 2000 年販売ダミー 0.0728 0.2599 0 1 d_2001 2001 年販売ダミー 0.0752 0.2637 0 1 d_2002 2002 年販売ダミー 0.0851 0.2791 0 1 d_2003 2003 年販売ダミー 0.0848 0.2787 0 1 d_2004 2004 年販売ダミー 0.0822 0.2747 0 1 d_2005 2005 年販売ダミー 0.0765 0.2658 0 1 d_2006 2006 年販売ダミー 0.0694 0.2541 0 1 d_2007 2007 年販売ダミー 0.0664 0.2490 0 1 d_2008 2008 年販売ダミー 0.0512 0.2205 0 1 d_m71995 major7×1995 年販売ダミー 0.0172 0.1301 0 1 d_m71996 major7×1996 年販売ダミー 0.0153 0.1228 0 1 d_m71997 major7×1997 年販売ダミー 0.0151 0.1218 0 1 d_m71998 major7×1998 年販売ダミー 0.0159 0.1250 0 1 d_m71999 major7×1999 年販売ダミー 0.0185 0.1346 0 1 d_m72000 major7×2000 年販売ダミー 0.0177 0.1317 0 1 d_m72001 major7×2001 年販売ダミー 0.0176 0.1316 0 1 d_m72002 major7×2002 年販売ダミー 0.0210 0.1433 0 1 d_m72003 major7×2003 年販売ダミー 0.0226 0.1487 0 1 d_m72004 major7×2004 年販売ダミー 0.0280 0.1650 0 1 d_m72005 major7×2005 年販売ダミー 0.0233 0.1507 0 1 d_m72006 major7×2006 年販売ダミー 0.0211 0.1437 0 1 d_m72007 major7×2007 年販売ダミー 0.0201 0.1404 0 1 d_m72008 major7×2008 年販売ダミー 0.0231 0.1503 0 1 d_jv1995 JV 事業×1995 年販売ダミー 0.0062 0.0786 0 1 d_jv1996 JV 事業×1996 年販売ダミー 0.0068 0.0823 0 1 d_jv1997 JV 事業×1997 年販売ダミー 0.0073 0.0853 0 1 d_jv1998 JV 事業×1998 年販売ダミー 0.0098 0.0983 0 1 d_jv1999 JV 事業×1999 年販売ダミー 0.0102 0.1005 0 1 d_jv2000 JV 事業×2000 年販売ダミー 0.0131 0.1139 0 1 d_jv2001 JV 事業×2001 年販売ダミー 0.0145 0.1195 0 1 d_jv2002 JV 事業×2002 年販売ダミー 0.0200 0.1399 0 1 d_jv2003 JV 事業×2003 年販売ダミー 0.0199 0.1397 0 1 d_jv2004 JV 事業×2004 年販売ダミー 0.0240 0.1530 0 1 d_jv2005 JV 事業×2005 年販売ダミー 0.0180 0.1330 0 1 d_jv2006 JV 事業×2006 年販売ダミー 0.0168 0.1285 0 1 d_jv2007 JV 事業×2007 年販売ダミー 0.0174 0.1306 0 1 d_jv2008 JV 事業×2008 年販売ダミー 0.0142 0.1184 0 1
Variable Mean Std. Dev. Min Max drail1995 私鉄系×1995 年販売ダミー 0.0017 0.0412 0 1 drail1996 私鉄系×1996 年販売ダミー 0.0017 0.0409 0 1 drail1997 私鉄系×1997 年販売ダミー 0.0013 0.0364 0 1 drail1998 私鉄系×1998 年販売ダミー 0.0030 0.0545 0 1 drail1999 私鉄系×1999 年販売ダミー 0.0027 0.0518 0 1 drail2000 私鉄系×2000 年販売ダミー 0.0031 0.0555 0 1 drail2001 私鉄系×2001 年販売ダミー 0.0033 0.0573 0 1 drail2002 私鉄系×2002 年販売ダミー 0.0042 0.0644 0 1 drail2003 私鉄系×2003 年販売ダミー 0.0045 0.0672 0 1 drail2004 私鉄系×2004 年販売ダミー 0.0060 0.0771 0 1 drail2005 私鉄系×2005 年販売ダミー 0.0041 0.0639 0 1 drail2006 私鉄系×2006 年販売ダミー 0.0038 0.0616 0 1 drail2007 私鉄系×2007 年販売ダミー 0.0043 0.0655 0 1 drail2008 私鉄系×2008 年販売ダミー 0.0045 0.0672 0 1 d_supergc1995 スーパーゼネコン×1995 年販売ダミー 0.0069 0.0826 0 1 d_supergc1996 スーパーゼネコン×1996 年販売ダミー 0.0048 0.0691 0 1 d_supergc1997 スーパーゼネコン×1997 年販売ダミー 0.0042 0.0646 0 1 d_supergc1998 スーパーゼネコン×1998 年販売ダミー 0.0050 0.0707 0 1 d_supergc1999 スーパーゼネコン×1999 年販売ダミー 0.0069 0.0826 0 1 d_supergc2000 スーパーゼネコン×2000 年販売ダミー 0.0087 0.0927 0 1 d_supergc2001 スーパーゼネコン×2001 年販売ダミー 0.0079 0.0885 0 1 d_supergc2002 スーパーゼネコン×2002 年販売ダミー 0.0062 0.0784 0 1 d_supergc2003 スーパーゼネコン×2003 年販売ダミー 0.0064 0.0796 0 1 d_supergc2004 スーパーゼネコン×2004 年販売ダミー 0.0071 0.0838 0 1 d_supergc2005 スーパーゼネコン×2005 年販売ダミー 0.0063 0.0789 0 1 d_supergc2006 スーパーゼネコン×2006 年販売ダミー 0.0055 0.0737 0 1 d_supergc2007 スーパーゼネコン×2007 年販売ダミー 0.0041 0.0639 0 1 d_supergc2008 スーパーゼネコン×2008 年販売ダミー 0.0046 0.0676 0 1 d_jote1995 準大手×1995 年販売ダミー 0.0221 0.1469 0 1 d_jote1996 準大手×1996 年販売ダミー 0.0205 0.1417 0 1 d_jote1997 準大手×1997 年販売ダミー 0.0201 0.1404 0 1 d_jote1998 準大手×1998 年販売ダミー 0.0233 0.1509 0 1 d_jote1999 準大手×1999 年販売ダミー 0.0233 0.1508 0 1 d_jote2000 準大手×2000 年販売ダミー 0.0222 0.1473 0 1 d_jote2001 準大手×2001 年販売ダミー 0.0233 0.1510 0 1 d_jote2002 準大手×2002 年販売ダミー 0.0262 0.1598 0 1 d_jote2003 準大手×2003 年販売ダミー 0.0285 0.1663 0 1 d_jote2004 準大手×2004 年販売ダミー 0.0301 0.1709 0 1 d_jote2005 準大手×2005 年販売ダミー 0.0272 0.1627 0 1 d_jote2006 準大手×2006 年販売ダミー 0.0219 0.1463 0 1 d_jote2007 準大手×2007 年販売ダミー 0.0225 0.1482 0 1 d_jote2008 準大手×2008 年販売ダミー 0.0180 0.1330 0 1 d_jvm7d1995 JV 事業×major7×1995 年販売ダミー 0.0025 0.0498 0 1 d_jvm7d1996 JV 事業×major7×1996 年販売ダミー 0.0020 0.0449 0 1 d_jvm7d1997 JV 事業×major7×1997 年販売ダミー 0.0038 0.0614 0 1 d_jvm7d1998 JV 事業×major7×1998 年販売ダミー 0.0039 0.0621 0 1 d_jvm7d1999 JV 事業×major7×1999 年販売ダミー 0.0049 0.0697 0 1
Variable Mean Std. Dev. Min Max d_jvm7d2000 JV 事業×major7×2000 年販売ダミー 0.0066 0.0811 0 1 d_jvm7d2001 JV 事業×major7×2001 年販売ダミー 0.0066 0.0811 0 1 d_jvm7d2002 JV 事業×major7×2002 年販売ダミー 0.0089 0.0941 0 1 d_jvm7d2003 JV 事業×major7×2003 年販売ダミー 0.0096 0.0976 0 1 d_jvm7d2004 JV 事業×major7×2004 年販売ダミー 0.0127 0.1122 0 1 d_jvm7d2005 JV 事業×major7×2005 年販売ダミー 0.0096 0.0973 0 1 d_jvm7d2006 JV 事業×major7×2006 年販売ダミー 0.0081 0.0894 0 1 d_jvm7d2007 JV 事業×major7×2007 年販売ダミー 0.0077 0.0876 0 1 d_jvm7d2008 JV 事業×major7×2008 年販売ダミー 0.0079 0.0885 0 1 drailm71995 私鉄系×major7×1995 年販売ダミー 0.0002 0.0152 0 1 drailm71996 私鉄系×major7×1996 年販売ダミー 0.0000 0.0000 0 0 drailm71997 私鉄系×major7×1997 年販売ダミー 0.0003 0.0161 0 1 drailm71998 私鉄系×major7×1998 年販売ダミー 0.0003 0.0161 0 1 drailm71999 私鉄系×major7×1999 年販売ダミー 0.0002 0.0152 0 1 drailm72000 私鉄系×major7×2000 年販売ダミー 0.0003 0.0178 0 1 drailm72001 私鉄系×major7×2001 年販売ダミー 0.0004 0.0208 0 1 drailm72002 私鉄系×major7×2002 年販売ダミー 0.0003 0.0178 0 1 drailm72003 私鉄系×major7×2003 年販売ダミー 0.0004 0.0208 0 1 drailm72004 私鉄系×major7×2004 年販売ダミー 0.0014 0.0372 0 1 drailm72005 私鉄系×major7×2005 年販売ダミー 0.0008 0.0289 0 1 drailm72006 私鉄系×major7×2006 年販売ダミー 0.0010 0.0322 0 1 drailm72007 私鉄系×major7×2007 年販売ダミー 0.0005 0.0228 0 1 drailm72008 私鉄系×major7×2008 年販売ダミー 0.0009 0.0304 0 1 d_superGC_M7_1995 スーパーゼネコン×major7×1995 年販売ダミー 0.0029 0.0539 0 1 d_superGC_M7_1996 スーパーゼネコン×major7×1996 年販売ダミー 0.0019 0.0436 0 1 d_superGC_M7_1997 スーパーゼネコン×major7×1997 年販売ダミー 0.0011 0.0331 0 1 d_superGC_M7_1998 スーパーゼネコン×major7×1998 年販売ダミー 0.0017 0.0412 0 1 d_superGC_M7_1999 スーパーゼネコン×major7×1999 年販売ダミー 0.0022 0.0465 0 1 d_superGC_M7_2000 スーパーゼネコン×major7×2000 年販売ダミー 0.0030 0.0547 0 1 d_superGC_M7_2001 スーパーゼネコン×major7×2001 年販売ダミー 0.0033 0.0575 0 1 d_superGC_M7_2002 スーパーゼネコン×major7×2002 年販売ダミー 0.0020 0.0443 0 1 d_superGC_M7_2003 スーパーゼネコン×major7×2003 年販売ダミー 0.0029 0.0537 0 1 d_superGC_M7_2004 スーパーゼネコン×major7×2004 年販売ダミー 0.0039 0.0626 0 1 d_superGC_M7_2005 スーパーゼネコン×major7×2005 年販売ダミー 0.0032 0.0565 0 1 d_superGC_M7_2006 スーパーゼネコン×major7×2006 年販売ダミー 0.0028 0.0531 0 1 d_superGC_M7_2007 スーパーゼネコン×major7×2007 年販売ダミー 0.0018 0.0423 0 1 d_superGC_M7_2008 スーパーゼネコン×major7×2008 年販売ダミー 0.0033 0.0570 0 1 d_jotem71995 準大手×major7×1995 年販売ダミー 0.0061 0.0777 0 1 d_jotem71996 準大手×major7×1996 年販売ダミー 0.0055 0.0743 0 1 d_jotem71997 準大手×major7×1997 年販売ダミー 0.0061 0.0777 0 1 d_jotem71998 準大手×major7×1998 年販売ダミー 0.0060 0.0773 0 1 d_jotem71999 準大手×major7×1999 年販売ダミー 0.0080 0.0891 0 1 d_jotem72000 準大手×major7×2000 年販売ダミー 0.0072 0.0845 0 1 d_jotem72001 準大手×major7×2001 年販売ダミー 0.0078 0.0881 0 1 d_jotem72002 準大手×major7×2002 年販売ダミー 0.0092 0.0957 0 1 d_jotem72003 準大手×major7×2003 年販売ダミー 0.0106 0.1024 0 1 d_jotem72004 準大手×major7×2004 年販売ダミー 0.0129 0.1128 0 1
Variable Mean Std. Dev. Min Max d_jotem72005 準大手×major7×2005 年販売ダミー 0.0108 0.1034 0 1 d_jotem72006 準大手×major7×2006 年販売ダミー 0.0086 0.0921 0 1 d_jotem72007 準大手×major7×2007 年販売ダミー 0.0088 0.0931 0 1 d_jotem72008 準大手×major7×2008 年販売ダミー 0.0094 0.0966 0 1 2.3. major7 の平均分譲単価の分析 2.3.1. 分析の目的 マンションの購入を検討する際に重視するポイントは買い手によってそれぞれ異なる。 購入物件の選考にあたっては、住宅情報誌及びインターネットや、デベロッパー会報誌、 モデルルーム、パンフレット等を収集し情報を整理し選択している。建設地の立地条件、 マンションの仕様、間取り、共用設備については、提供される情報や現地を実際に訪問す ることで判断が可能となるが、構造等判断に専門的な知識を必要とする設計や施工現場に おけるデベロッパーや施工会社の品質管理体制については情報を得ることは難しく情報の 非対称性が存在すると考えられる。 買い手が情報の非対称性を解消するための代替情報として、デベロッパーのブランドに 信頼を寄せるケースが想定される。買い手から信頼を集めるブランドのマンションは市場 においてプレミアムが生じ高い価格での販売が可能となる。そこで、major7 とそれ以外の デベロッパーの価格差を分析し、2006 年以降の価格上昇局面におけるプレミアムの変化に ついて分析したい。 2.3.2. 帰無仮説
:
0H
major7 と他のデベロッパーの新築マンション平均分譲単価の 2007 年における差 は例年と比較して大きくなる。:
1H
major7 と他のデベロッパーの新築マンション平均分譲単価の 2007 年における差 は例年と比較して大きくならない。 2.3.3. 推計モデル式 基本モデル及びその説明変数等については、次のとおり。
k k k j j j i i i h h hX
a
LD
a
YD
a
M
D
YD
a
D
M
a
a
Uprice
0 17
2 3 4 37
(数式 2-1)Uprice
:㎡あたり分譲価格(万円/㎡)D
M 7
:major7 ダミー 事業主体に major7 運営会社が含まれるマンションのダミー。 JV プロジェクトで1社以上 major7 運営会社が含まれる場合も含む。 hX
:主要説明変数 建設資材価格指数 着工日の属する月の値を使用 平均面積 一戸あたり専有面積の平均階数 (階) 複数棟ある場合は最高層棟の地上階数 高層マンションダミー 20 階以上 30 階未満、30 階以上 40 回未満、40 階以上で区分 総戸数 (戸) 建物全体の総戸数(複数棟ある場合は合計値) 工期 (月) 着工月と竣工予定月の差 バス便(分) 最寄り駅からバス便使用の場合の時間 徒歩(分) 最寄り駅からの徒歩時間 鉄道乗車時間(分) 都心から最寄り駅までの乗車時間(分) 土地所有権分類ダミー 区分所有権でない敷地が含まれる場合1 i