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しかし,個人動作法と集 団動作法の違いについて言及されていない

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Academic year: 2021

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個人動作法と集団動作法の実践を通した比較 ー自体感と気分の変化に着目して―

人間教育専攻

臨床心理士養成コース 青山 顕匠

1 .問題と目的

心と身体の関係の一説である心身二元論を否 定する心理療法のーつに臨床動作法がある。臨 床動作法の成り立ちは,肢体不自由児・者の動 作副陳法の開発にある(鶴,2007)。その後は, 適用範囲を広げ心理療法として発展した。その 効果の検討のためには, 自体感や気分状態の測 定がなされている(瀬戸山ら, 2017 など)。臨 床動作法は個人に対する心理療法として発展し てきたが,集団に対しても取り入れられており,

臨床動作法には個人動作法と集団動作法という 2 種類の方法がある。しかし,個人動作法と集 団動作法の違いについて言及されていない。そ れは,個人動作法と集団動作法との間では効果 に差がないからではないかと考えたが,それを 実証的に明らかにした研究は見受けられない。

そこで本研究では,個人動作法と集団動作法そ れぞれが, 自体感と気分状態にどのような影響 を与えるのかを検討することを目的とした。ま た,実施後の感想をもとにこの2 つの方法に違 いがあるのかどうかを検討することも目的とし た。

2.方法

大学院生3 名を対象に個人動作法を,大学院 生4 名を対象に集団動作法を全4 回実施した。

セッションごとに自体感尺度(本吉,2011), 対象者の感想,また,個人動作法および集団動 作法実施前後にPOMS2 (横山, 2015)につい

指導教員 葛西 真記子

て調査した。動作課題は,腕上げ動作,躯幹ひ ねりの2 つであった。

3.結果と考察

(1)個人動作法と集団動作法の比較 1 )実践内容

個人動作法と集団動作法の違いとして,「動 作者と援助者との関係」が考えられた。動作者 と援助者の関係について,個人動作法では「治 療的な関係」,集団動作法では「共感的な関係」

であると考えられた。個人動作法については,

筆者が援助者であると同時に指導者であること によって,筆者と参加者の関係が,「援助者と被 援助者」という関係になったのではないかと考 えられた。一方で,集団動作法では,動作者と 援助者はともに動作法未経験であると同時に,

同じ参加者であることで,同様の体験が得られ やすかったためであると考えられた。

2)質問紙

気分状態について両群ともに有意差は認めら れなかった。また,群間での実施前後による気 分状態の変化についても有意差は認められなか った。先行研究(瀬戸山ら, 2017)と比較する と,本研究において結果が得られなかったこと は,両群において対象人数が少なかった可能陛,

実施した動作課題による可能性が考えられた。

自体感尺度について,両群ともに大きな変化 は見られなかったが,個人動作法では「爽快感・

安定感」に分類される「気になっていたことが

(2)

気にならなくなるような感じがした」について 差の傾向(z=-2.530, p =,068, i=1.461)が見 られた。爽快感は, リードする援助のほうが寄 り添う援助よりも向上する(池永,2012)。そ のため,援助の仕方によって情動体験感に与え る影響は異なり,援助者が異なる群間で違いが 生じたと考えられた。

対象者の感想を内容に合わせてグループに分 けた。その結果,個人動作法では「自体への注 意」,「自体のコントロール感」,「弛緩感ーリラッ クス感」, 「新奇感」, 「疲労感」,「動作への戸惑 レ、」, 「動作への試行錯誤」となった。一方の集 団動作法では「自体への注意」,「弛緩感・リラッ クス感」,「新奇感」, 「疲労感」,「動作への戸惑 い」,「動作への試行錯誤」となった。

「自体への注意」について,緊張・弛緩とい う2重の課題は自体への注意を促す(本吉,2011) ため,緊張・弛緩の2 重の課題を伴う両群で自 体への注意が促進されたと考えられた。

「自体のコントロール感」について,即時的 かつ適切な援助が困難さを感じやすい動作課題 の中で行われることで動作制御感を体験されや すい(本吉,2016)。集団動作法では動作者は 動作課題に,援助者は援助に困難さを感じてい たと考えられたため,集団動作法では自体のコ ントロール感が体験されなかったのではないか と考えられた。一方の個人動作法では,動作者 は動作課題に取り組むことに困難さを感じるこ とがなく, 自体のコントロール感が体験された のではないかと考えられた。

「弛緩感ーリラックス感」について,両群とも に弛緩教示によって,弛緩感を感じやすくなっ たことが考えられた。また,躯幹ひねりも弛緩 体験を得られやすい(鶴,2007)ためであると 考えられた。

「新奇感」について,両群ともに参加者が動 作法未経験であったため,新奇感が得られたの ではないかと考えられた。

「疲労感」については,腕上げ動作での<腕 を上げる>という動作によって生じる緊張によ るものであると考えられた。

「動作への戸惑い」について,両群において 動作課題への困難さを示していた。そのため, 動作課題への困難さが,「動作への戸惑い」を与 えたのではないかと考えられた。

「動作への試行錯誤」について,試行錯誤的 取り組みは弛緩教示によってなされる(本吉,

2011)。そのため,弛緩教示によって両群の試 行錯誤的取り組みが促進されたと考えられた。

(2)臨床的意義

本研究では治療的体験として重要とされる

「自体への注意」,「弛緩感ーリラックス感」,「動 作への試行錯誤」が,両群の感想で見られた。

そのため,臨床動作法は個人動作法と集団動作 法という方法にとらわれることなく,効果は期 待できると考えられた。

(3)今後の課題

本研究では,対象人数が少ないという問題,

動作課題の問題が考えられた。そのため,対象 人数を増やして実施すること,様々な動作課題 を扱って検証を行うことを,今後検討していく 必要があると考えられた。

対象者の感想では,「自体へのコントロール感」

は集団動作法では体験されず,個人動作法での み体験されたことは,群間で動作者が感じる動 作課題への困難さの違いによるものであると考 えられた。そのため,両群ともに映像や画像の コマ送り等の視覚的な資料を用いて提示するな ど,群間で動作課題の習得までに要する練習を 一致させる工夫が必要であったと考えられた。

参照

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