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論文題名 : カルツァ・クライン暗黒物質 由来の間接的信号

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Academic year: 2021

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[様式-学 5]

博士論文要旨

論文題名 : カルツァ・クライン暗黒物質 由来の間接的信号

立命館大学大学院理工学研究科 基礎理工学専攻博士課程後期課程

つちだ さとし 土田 怜

暗黒物質の有力候補のひとつとして、余剰次元理論において現れる最も軽いカルツァ・クラ イン粒子 (the Lightest Kaluza–Klein Particle, LKP) が挙げられる。LKPが対消滅する際に は、最終的に高エネルギーのガンマ線や電子・陽電子を生成するモードがいくつか存在するが、

それらは2種類に分類できる。一方は、ガンマ線のペアあるいは電子・陽電子対を直接的(一次 的)に生成する ”Line” の成分であり、LKP 対消滅由来のガンマ線および電子・陽電子のスペ クトルに対し、その質量付近に特徴的な構造を与える。またもう一方は、他の粒子を経由して 間接的(二次的)に生成されたガンマ線、電子・陽電子から成る ”Continuum” の成分である。

我々はLKPの質量を数100 GeVから1000 GeVであると仮定し、ガンマ線および電子・陽電 子のフラックスを計算する。本論文では、その結果として得られたスペクトルの解析を行い、

これまでに得られている観測データも交えて、これらの信号の検出可能性について議論する。

ガンマ線スペクトルの解析から得られた結果によると、観測装置のエネルギー分解能が 2%

よりも悪ければ、Line 成分から生じる特徴的なピークをもつ構造を見ることはContinuumの 成分に吸収されることにより困難となる。また、暗黒物質由来の信号を増幅させる因子である ブーストファクター(

B

f )への制限について考察した結果、AMS–02の電子・陽電子比の観測 結果に一致するような電子・陽電子のスペクトルを得るためには、

B

f は30から300程度の値 をもつことが要求される。これらの値を用いて LKP 対消滅から得られる電子・陽電子のフラ ックスと近年の観測結果を比較すると、300 GeV程度の軽いLKPは棄却されることが示唆さ れる。さらにHESSによるガンマ線観測データの解析結果は、

B

f が銀河ハロー中で一様であ れば、電子・陽電子比の解析から得られた

B

f の値を棄却することを意味する。一方、ガンマ 線スペクトルの解析を広いエネルギー範囲で行えば

B

f の上限値は2程度となり、HESSより も厳しい制限を与えることが可能となる。しかし、TeV以上のエネルギー領域の精密な測定は まだ統計的に数が少なく、LKP信号についてまだ決定的な結論は得られていないため、今後の 高精度な観測により、LKP暗黒物質が存在するか否かを明らかにすることが期待されている。

参照

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