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学位論文審査の結果の要旨 氏 名

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Academic year: 2021

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(別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 KIRAN PRASAD BHATTA

審 査 委 員

主 査 石田 章 ◯ 副 査 谷口 憲治 ◯ 副 査 松田 敏信 ◯ 副 査 糸原 義人 ◯ 副 査 伊藤 康宏 ◯

題 目 Prospect for Improving the Performance of Farm and Non-Farm Sectors for Combating Poverty and Hunger

審査結果の要旨(2,000字以内)

途上国における貧困と飢餓の問題に関して,その発生原因や対応策等についてはすでに数多く の研究が行われている。こうした先行研究によって,農業部門あるいは非農業部門のパフォーマ ンス向上がこれら諸問題の解決に不可欠であると指摘されているものの,農業部門あるいは非農 業部門のパフォーマンスを改善する具体的方策については殆ど議論されていない。また急速な人 口増加に対応して,食料の安定的供給を確保するには農業生産性を向上させていくことが肝要で あると指摘されているものの,農業生産性の向上を阻害している要因等については十分に解明さ れていない。さらに,非農業部門の発展が家計の厚生水準に及ぼす影響についても十分に検討さ れていない。そこで,こうした現状を踏まえて,本論文は,貧困と飢餓を軽減するために,農業 部門と非農業部門のパフォーマンスを向上させる具体的方策を考察したものである。より具体的 に,本論文が考察したのは,つぎの2点である。つまり,①マイクロファイナンス(小口金融)

と教育が果たす役割に注目しつつ,非農業部門のパフォーマンスを向上させるうえで有効な政策 措置とは何か,②非政府機構(NGO)の農業普及サービスが果たす役割に注目しつつ,農業生産 性を向上させるにはどうしたらよいか。

上述した研究目的を達成するために,ネパールにおいて著者自らが実施した農家世帯調査の個 票データおよび世界銀行の支援を受けつつネパール政府が実施した世帯調査の個票データを用い て,貧困世帯比率や貧困ギャップ比率を用いた絶対的貧困状況に関する実態分析,ジニ係数やロ ーレンツ曲線による格差分析,所得額・支出額などに関する回帰分析,そして農業生産の非効率 性に関する確率的フロンティア生産関数分析などを行い,以下のような結果を得ている。

1)調査対象としたネパールにおいては,絶対的貧困はある程度軽減されたものの所得格差は拡 大基調にあり,とくに貧困層の困窮度が増している。さらに,経済的な理由から最低限必要な食 料・栄養すら摂取することができない貧困世帯も散見される。こうした背景には,農業部門の低 生産性と農外就業機会の不足がある。

2)確率的フロンティア生産関数を用いた定量分析の結果,化学肥料や改良品種などの近代的農 業投入財が殆ど使用されていないことが農業部門の低生産性の一因であることが明らかとなっ

(2)

た。こういった点を改善して農業部門のパフォーマンスを向上させるには,農民に近代的農業投 入財を安価かつ安定的に適時供給していくことが肝要である。

3)確率的フロンティア生産関数を用いた定量分析の結果,政府よりも NGOの農業普及サービ スが農業技術の効率性をより向上させることが明らかとなった。このような分析結果から,農業技術 の向上およびそれに伴う非効率性の低減を意図して,農業普及サービスの提供主体を公的部門から NGOに徐々に切り替えていくべきである,と考察できる。

4)食料支出額に関する回帰分析の結果,とくに都市部において,裏庭等の空きスペースを活用した 家庭菜園(backyard agriculture)が世帯レベルでのフードセキュリティ向上に寄与することが明ら かとなった。

5)マイクロファイナンス(小口金融)制度の拡充によって,農地の規模拡大あるいは集約的利用,

非農業部門への参入促進等を通じて,とくに貧困世帯の厚生水準が改善できる可能性が示唆された。

6)中等レベルの無償教育制度を導入することによって,貧困世帯はスキル向上や農外就業が容易と なろう。そのことによって,絶対的貧困や所得格差の諸問題を軽減し,さらに世帯レベルでのフード セキュリティの水準を向上させていくことが可能となろう。

以上のごとく,本研究は農業部門と非農業部門のパフォーマンス向上を阻害している諸要因を明 らかにした点で独創性があり,さらに途上国における貧困問題の解決に資する有益な提言を行っ た点で有用性があり,その学術的価値はきわめて高い。よって審査委員会は全員一致で,本論文 が博士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。

参照

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