• 検索結果がありません。

学位論文題名自己教育の論理

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文題名自己教育の論理"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 教 育 学 ) 鈴 木 敏 正

     学位論文題名 自 己 教 育 の 論 理

―主体形成の時代に―

学位論文内容の要旨

   本論 文の課題 は、現代 自己教 育の原論 的・本 質論的・実践諭的分析の 枠組み を提起 し、それ らをふ まえて現 段階の 代表的社 会教育実践におけ る自己教育過程を解明するところにある。

   このような課題設定の意義は序章において明らかにされる。すなわち、

生涯学習時代といわれる今日、「社会教育の終焉」すら叫ばれているが、

むしろ 歴史的 大転換期 とみら れる現代 こそ、 地域住民 がその実際生活に 即して 主体形 成をめざ す、本 来の社会 教育が 求められ ていることを指摘 して、 そうし た課題に 応える 「主体形 成の社 会教育学 」を提起し、その 体系的 展開の 方向を示 す。そ れは、こ れまで の生涯教 育・生涯学習論や 社会教 育論に おいては 、「歴 史的範疇 」とし ての学習 主体=人格の理解 が具体 化され ていない ために 、社会教 育にお ける諸形 態の歴史的・構造 的把握 ができ ていない こと、 国家諭と 社会的 陶冶論が 欠如しているため に社会 教育制 度の本質 論的検 討が不十 分であ ること、 現段階における人 格の自 己疎外 、とくに 「意識 における 自己疎 外」が把 握されていないた め、そ れらを 克服して いく自 己教育過 程が理 論的・実 証的に展開できて い な い こ と な ど を 念 頭 に お い て 提 起 さ れ た も の で あ る 。      「主体形成の社会教育学′」は相互に関連する3 つの論理レペルにおい て構成 される 。すなわ ち、結 諭的にい うなら ぱ、「近 代的人格がその自 己疎外を克服して主体形成をとげる際に不可欠となる自己教育の展開論、

理と、そこから必然的に生まれるてくる社会教育の基本形態を解明する」

ことを 課題と する「原 論」と 、「現代 的人格 の自己疎 外とそれにともな う社会 的陶冶 過程を基 盤に、 自己教育 活動と 社会教育 制度が分離・対立 し、矛 盾関係 として展 開して いく構造 を明ら かにする 」ことを課題とす る「本 質論」 、そして 「地域 住民がみ ずから の意識変 革の過程、すなわ ち意識 化、自 己意識化 、それ らの実践 的統一 としての 理性の形成をとお して自己教育主体となる過程と、それを援助し.組織化する社会教育労働 との相 互規定 的な展開 論理を 解明する 」こと を課題と する「実践論」で ある。 この実 践論には 、相対 的に独自 な領域 として「 社会教育実践を総 括し、 未来に むけて再 編成し ていく社 会教育 の計画化 の展開過程」を明 らかにする「計画論」を合む。

   以上 のような 理論的枠 組みの もと、「 現代自 己教育の論理と構造」を

解明し たのが 第一章で ある。 本論文で 新しく 提起して いることは、@人

格を「 実体と しての人 格」と 「本質と しての 人格」お よび「主体として

の人格 」の統 一として 把握し 、人格に おける 主体形成 を「自己実現と相

互承認 の意識 的編成で ある」 と規定し たこと 、@現代 的人格の自己疎外

(2)

体 系 的 展 開 を み と お す 中 で 提 起 さ れ て い る 。

  第 二 お よ ぴ 第 三 章 は 、 こ れ ら を ふ ま え ゛ て 代 表 的 社 会 教 育 実 践 に お け る 自 己 教 育 過 程 を 分 析 す る こ と に あ て ら れ て い る 。

  第 二 章 で は 、 意 識 化 ・ 自 己 意 識 化 を め ざ す 社 会 教 育 実 践 の 典 型 例 と し て 、 長 野 県 松 川 町 に お け る 健 康 学 習 が と り あ げ ら れ る 。 そ れ は 、 健 康 問

ていたと理解 松 下 元 社 会 己 意 識 化 の 識 か ら 、 感

、 要 求 、 課 け る 直 接 的 識 に お け る

れるからで 育 主 事 の つ の 過 程

、 知 覚 、 の 相 互 規 己 意 識 か 求 か ち 価

関 連 に お け る 学 習 = 生 活 実 践 と し て 整 理 さ れ て い る 。   第 三 章 は 、 理 性 の 形 成 が 課 題 と な っ て い る 代 表 的 社 会 教 育 実 践 と し て 、 東 京 都 国 分 寺 市 も と ま ち 公 民 館 の 「 農 の あ る ま ち づ く り 」 講 座 を と り あ げ て い る 。 そ こ で は 、 こ れ ま で の 理 性 諭 と く にJ.ハ ー バ ー マ ス の 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 的 理 性 」 論 の 批 判 的 検 討 と 地 域 課 題 学 習 に か か わ る 理 論 的 蓄 積 、 さ ら に はG .W.Fヘ ー ゲ ル 『 精 神 現 象 学 』 とK.マ ル ク ス の 物 象 化 諭 ・ 自 己 疎 外 諭 を ふ ま え て 、 現 段 階 に お け る 地 域 住 民 の 素 質 ・ 諸 能 カ か ら 、 活 助 ・ 労 働 、 仕 事 ・ 生 産 物 な い し 組 織 ・ 制 度 の 全 体 に わ た っ て 展 開 す る 、 ( イ ) 観 察 的 理 性 = 個 体 性 、 ( ロ ) 行 為 的 理 性 = 活 動 的 個 人 、

( ハ ) 現 実 的 理 性 = 社 会 的 個 人 ( 協 同 的 理 性 、 公 共 的 理 性 ) と い う 現 代 的 理 性 の 展 開 図 式 を 提 起 し て い る 。

  菊 地 混 主 事 に よ っ て 指 導 さ れ た 「 農 の あ る ま ち づ く り 」 講 座 は 、 「 ま ち づ く り と 農 業 を 考 え る 懇 談 会 」 と 地 域 づ く り の 実 践 と の 三 重 構 造 に お い て 展 開 さ れ て い る が 、 そ こ に 参 加 し た 住 民 の 自 己 教 育 過 程 は 、 健 康 学 習 に お け る 意 識 化 ・ 自 己 意 識 化 と 同 じ 論 理 を 背 景 に も ち な が ら も 、 上 述 の 現 代 的 理 性 の 展 開 過 程 と し て 整 理 す る こ と が で き る 。 そ れ ら は 、 生 活 課 題 か ら 地 域 課 題 と く に 環 境 問 題 の 学 習 へ の 展 開 、 イ ペ ン 卜 や ポ ラ ン テ イ ア 活 動 と 実 習 ・ 労 働 学 習 、 協 同 組 合 活 動 と 生 産 学 習 、 ゴ ミ 問 題 解 決 へ の 運 動 と 提 言 活 動 、 「 公 民 館 の っ ど い 」 や 「 ま ち づ く ル へ の 提 言 」 な ど の 活 動 と そ れ に 参 加 し た 住 民 の 意 識 変 革 過 程 と し て 確 認 さ れ て い る 。   以 上 の 整 理 は ま た 、 今 後 の 主 体 形 成 に む け た 課 題 を 提 起 す る こ と を も 可 能 に し て お り 、 あ わ せ て 本 諭 文 の 枠 組 み の 学 習 諭 的 意 義 を 立 証 し て い る 。

2

てい

、る のに 自 をは の って 性く 働ろ

、 成ら J よ つ 理 て 労 こ は 形 れ 学 にな らじ 育と 程 のこ 育

」 と か 生 教 る 過 性

。 教 と神 体て 会す 育 理る 会 こ物 主っ 社と 教 ぴあ 社 るに がょ るぅ 己 よで の すら

」に すょ 自 おど 成 透 さ 外 と 化 し

、 な 形 浸

、 疎 こ織 服、 化

、体 が物 己る 組克 て 識と 主 係 ら 自 す

・ を つ 意 こ

「 関 か る 開 助

」 が 己 る

、 幣 象 け 展 援 外

・ た 自 れ と 貨 物 お と を 疎 し

、 さ 討

・ が に 識 れ 己

、 化 解 検 品 品 識 意 そ 自 り 識 理 的 商商 意偽 とる あ 意て 判 に は

「 虚 育 け で

、 し 批 域 れ

, 教 お の り と の 領そ い識 己に も ど程 諭 る、 な意 自識 る た過 理 ゆが も無

◎意 く をの 諸 ら る と

「 て ス 成 の あ い に 識 と の れ ー 形 来 の て

」 意 こ こ ま コ 体 従 活 き 化

、 る

、 生 逆 主

、 生て 象識 あは に のた れ

「れ 物意 で態 的 外し ぞ   

、 ま

「己 の形 然 疎お れ は生 く自 も諸 必 己と そ

ら、 統づ かが の置 つ事 識位 も主 意て を育 値し 格教 価と 性会 と程 的社 識過 践 元 認 服 実拡 に克

・下 くの 的 松 と 外 性 た

、 疎 己け 程己 自 づ 過 i m

・ 置 服 る 的位 克け 性に 外お 個 心 疎 に

・ 中 己

」 的の 自識 遍容 の意 普 内 格

「 て 習 人 る つ 学 的 れ とを 代さ にれ 現解 者そ を理 習

、 習 て 学 り 学 し はあ 康と 題で 健一

   と無 関に 値互    化る

、識 価相    識け ら認

、の    意お か、 と)    くに 要は 識認    き識 必て 意承    大認 のぃ 己互      

、習 お自 相    はは 学に 的と    程て る者 遍現    過い け後 普実    育お お、

、己    教に にて 識自    己者 識し 意(    自前 意と 己為    る、 値程 自行    けれ 価過 的、    おら

、開 立的    にけ と展 自目 る践 分 性的

、、 あ実 に悟 定ら 値 さ

教 二 覚 題 自 欲 け

   自 意 心 お 意

(3)

学位論文審査の要旨 主 査   教 授   山 田 副 査   教 授   高 村 副 査   教 授   小 出 副 査   教 授   木 村    学 f む 論 文 閣 彩

自己教育の論理一亭体形成の時代に

  本論文 はr自 己教 育の論l ‑亭体 形成 の時代 にJと 題する 全文 が287ぺ ージの 単蕃 論文で ある。本論文の中心 的 課題 は、社 会教育学の先行研究の批判的検討を薙礎にして、発達の教育学からキ.体形成の教育学としての社 会教育学の体系化を現代自己教育論とt,て提示することにある。

  本論文は全体で序章を合めて4章で構成されている。

  序章では、なぜ現代自己教育か、と題して、 危機の時代 としての現代社会に対応する 卞体形成の時代 と し ての 時代認 識の もとに 、社 会教育 の現 代的役 割と 本論文の目ざす「キ体形成の社会教育学」の課題を捉示し ている。

  第1章 は、現 代自 己教育 の論 理と構造、と題して、現代的人格がその自己疎外を克服し亭体形成をとげていく 過 程 に お い て 」 必 要 ・ 不 可 欠 な 実 践 と し て の 自 己 教 育 の 論 理 と そ の 展 開 構 造 を 解 明 し て い る 。   その際 、従 来の礼会教育諭においては社会教育についての歴史的認識が弱く、学習キ 体の理解が希薄であっ た とい う批判 のう えに立 って 、その 克服 の理論 的枠 耜みを、疎外論を基礎に人格論と現代社会諭とを統一的に 認識する寸場で体系的に提示することを試みる。

  この中 で、 その基本概念として、まず、商品所有゜交換者を本質として近代市民革命によって普遍化した近代 的 人格 を規定 し、その自己疎外を克服する過程で牛ずる相百教育、自己教育、社会教育労勧(制度)という社会 教 育の 幕本的 形態の存在と、人格・自己疎外・自己教育・キ体形成という社会教育にかかわる基本概念を暇らか に する 。 さ ら に こ の 枠 縄み の 中 で 、 キ , 体形 或 を 「 臼 己 実 現と 相 互 承 認 の 意 識 的編 成 」 と 規 定 す る。

  そのう えで 、現代 の社 会教育 の解 明のた めに 、現代 的人格を1970年代後半以降の日本の地域住民ニ賃金労働 者を表象におきつつ、「牛活のあらゆる側而に商品・貨幣関係が浸透し、ヰニ産物や労働のみでなく、人間そのも の まで が商品 化す ること が普 遍化し てい る段階 にお ける人格」と規定し、これに照応する自己教育の諸形態と そ の 構 詩 的 関 連 を 解 明 す る と と も に 、 さ ら に 実 践 論 ・ 計 啣 論 へ の 展 開 の 道 筋 を 明 ら か に す る 。   第2章 および 第3章 は、第1牽で 展開し た自 己教育 の論 理と構 造を ふまえ て、現代的人格の自己教育過程を実 証的に研究することを課題としている。

  第2竃では、:F.として意識化・自己意識化(無意識→意識→自己意識)の過程にっいて、長野県松川町における健 康 問翻 の学習 の先 進的な 実践 事例に つい て解明 され る。こ こで は優れ た実 践家の 日か らみた住民の意識変革 を 自己 教育過 程と して分 析す ること によって、意識. Ftl己意識の形成過程で健康学習が持つ意義が明らかにさ れる。

  続く第3章で は、 現段階 の礼 会教育 実践 の中で 、理 性の形 成の 典犁と もいえる地域づくりにかかわる自己教 育 過程 につい て、東京都国分寺市の実践を事例として実証的に解明される。ここでは、もとまち公民館の「農の あるまちづくり1講座を中心とする実践事例がとりあI・′られ、この「講座Iを進めてきた専門職員・講師の実践

3

市 雄

夫 茂

定 泰

達 保

(4)

と 「 講 座 」 参 加 者 の 意 識 変 化 の 分 析 を 通 して 、 地 域 づ く り に か か わ る 自己 教 育 活 動 の 社 会 教 育 実 践諭 的 意 義 が 現代 的 理 性 の 形 成 と そ の 構 造 化に あ る と い う こ と が 明 ら かに さ れ る 。

  最 後 に 社 会 教 育 実 践 の課 題 と し て 、 現 代 的 人 格 (= 実 践 論 レ ベ ル で は 地 域住 民)に おけ るキ .体 形成、 すな わち 自 己 実 現 と 相 互 承 認 の 現 実 的 条 件 を 意 識 的 ・ 組 織 的 に 拡 充 し 蓄 積 し て い く こ と が 提 示 さ れ る 。   Iニ の 内 容 を 骨 干 と す る 本 論 文 は 、 社 会 教 育 の 先 行 研 究 の 批判 的 検 討 を 通 し て そ の 内 包す る 問 題 点 と 解 明 すべ き 新 た な 課 題 を 提 示 し た うえ で 、 疎 外 諭 、 人 格 諭 を 基礎 に し て 、 学 習 、自 己教 育と 相互教 育、 社会 教育 実践、

社 会 教 育 制 度 な ど の 社 会 教 育 の 基 礎 的 概 念 に っ い て 明 確 に 規 定 し っ つ 、 そ れ ら の 概 念 に も と づ ぃて キ 体 形 成 論 に お け る 社 会 教 育 学 の 固 有 の 領 域 を 設 定 し 、 独 自 で 新 た な 体 系 的 理 論 を 提 示 し て い る 。 さ ら に 、 本 論 文 は 、 そ の 理 論 的 枠 組 み に もと づ く 実 証 的 分 析 を 通 し て 、社 会 教 育 実 践 分 析 の 典 型 を示 し 、 社 会 教 育 実 践 諭 、 計 画 諭 の 課 題 と 展 望 を 示 し てお り 、 全 体 と し て 教 育 学 、 とり わ け 社 会 教 育 学 の 研 究 に新 し ぃ 地 平 を 切 り 開 き 、 そ の 発 展 に 貢 献 す る 独 創 的 論文 と し て 高 く 評 価 す る こ と がで き る 。 ま た 、 地 域 に お ける 実 践 の 現 代 的 意 義 の 解 明 に っ い て も 新 た な 枠 組 み を 提 示 し 、 関 連 分 野 の 研 究 に も 寄 与 す る 内 容 を 有 し て い る 。   以 ト . の 本 論 文 に つ い て の 評 価 に も とづ き 、 本 論 文 提m者 鈴 木 敏正 は 博 十 ( 教 育 学 ) の 学 位を 授 与 さ れ る 資 格 があ る と 審 査 員 一 同 判 断 し た 。

4

参照

関連したドキュメント

  「教育とは,発達しつつある個人のなかに  主観的な文化を展開させようとする文化活動

(2003) A universal approach to self-referential para- doxes, incompleteness and fixed points... (1991) Algebraically

 “ボランティア”と言えば、ラテン語を語源とし、自

の原文は“ Intellectual and religious ”となっており、キリスト教に基づく 高邁な全人教育の理想が読みとれます。.

 英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

● 生徒のキリスト教に関する理解の向上を目的とした活動を今年度も引き続き

● 生徒のキリスト教に関する理解の向上を目的とした活動を今年度も引き続き