• 検索結果がありません。

レッド・ゲート演習

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "レッド・ゲート演習"

Copied!
66
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

赤門をくぐる前にやっておくべき課題

レッド・ゲート演習

■■■■■ 見たことない現象でもびっくりしない柔軟な力を 問題の誘導に乗れる,空気の読める物理頭に 難問過ぎない問題を確実にこなすための12題 最高のパフォーマンスを発揮したいあなたに つばさを授けて欲しいあなたに 同じレッドなら,レッドな門をくぐりたいあなたにも

(2)

はしがき ― 三宅 唯 学生の要望で最後の演習課題を作成したが,すでに他の演習課題で近年の 良難問を使い果たした感があり,問題選定に苦労した.特に東京大学を意識 し,東京大学の過去問からの出題は避けた.過去問によって,東京大学の出 題の特徴をしっかり掴みつつ,チャレンジして欲しい題材である.一部を除 き,収録のほとんどの問題は煩雑な計算を要さない.現象をしっかりイメー ジして,計算などせずとも,現象外観を感じられるように物理の感性を高め ておくこと.計算も重要だが,感じる力がなくては,それが正しいか思考実 験で検証することすらできない.サイエンスを切り開く,未来を拓く人は感 じなければならない.

(3)

invitation card 01 円板の偏心回転モデルとピストンの安定 from 滋賀医科大学 2007 前期 以下の設問に答え,文中の の中に入る適当な式を記入せよ. Ⅰ 図 1 のように,水平な板の上に質量 m の物体が置かれ,板 が水平を保ったまま鉛直方向に運動する.鉛直上方を z 軸の正 方向とし,また重力加速度の大きさを g として以下の問に答え よ. (1) 大きさ a で鉛直下向きの一定の加速度をもって板が下方に 動くとき,物体が板から離れないための条件を運動方程式か ら求めよ. (2) 物体が板から離れず板といっしょに動くように,板を振動させる.時刻 t での物体 の位置座標(位置)が振幅 A ,角振動数ωを用いてz = Asinωtで表されるとき,運動エ ネ ル ギ ー と 重 力 に よ る 位 置 エ ネ ル ギ ー の 和 で あ る 物 体 の 力 学 的 エ ネ ル ギ ー は E = ア となる.角振動数ωが十分小さい場合を考えると,力学的エネルギーが 最大となるときの物体の位置は z = イ であり,このときの E の値は E = ウ であることが分かる.なお,位置エネルギーは時刻t = 0での物体の位置z = 0を基準 とする.

(4)

4 Ⅱ 図 2 のように,半径 r の円板の上に板 A がある.別 の板 B が板 A とともに棒に水平に固定され,さらに板 B の上に質量 m の物体が置かれている.棒は固定枠に沿っ て鉛直方向に滑らかに動き,また 2 つの板は棒と一体と なって上下に動き固定枠と衝突しないものとする.なお, 鉛直上方を z 軸の正方向とし,また重力加速度の大きさ を g とする. 円板をその中心 O から距離 b だけ離れた点 P のまわり に鉛直面内で一定の角速度ωで回転させるとき,円板の 回転運動は板の上下運動に変換される.ただし,運動中 に板 A は円板から離れない仕組みになっているものと する. (1) 板 A はどのような上下運動をするのか,理由と共に述べよ. (2) 時刻t = 0において点 O が,回転の中心(点 P )と同じ高さにあるとする.そして, このときの物体の位置をz = 0とする.図 2 のように,円板をこの状態から一定の角 速度ωで左回りに回転させると,板 B は板 A とともに鉛直上方に動き出す.角速度ω が小さい場合,物体は板 B と一体となって動くが,ωの値が より大きい場合 には,ある時刻に物体は板 B から離れる.この場合,板 B から離れる時刻を T とする と,このときの物体の速度はv =1 オ であり,加速度はa1 = カ である.そ の後,物体は重力だけの作用による運動をする.時刻 T での物体の位置をz1として, 物体が再び板 B と接触する以前の時刻 T +tにおける物体の速度はv と t を用いて1 2 v = キ と表され,物体の位置はz1,v と t を用いて1 z2 = ク と表される.

(5)

invitation card 02 回転するリングに通した物体 from 首 都 大 学 東 京 2008 後 期 図 1 のように,穴の空いた質量 m の小さな物体が,鉛直面内におかれた半径 R の円形 のリングに通してあり,物体はリングに沿って運動する.リングの中心を O ,物体の位 置を P ,鉛直線と OP のなす角度をθ,重力加速度の大きさを g とする.ここで,物体が 最下端にあるときをθ = 0とする. Ⅰ リングは固定されており,リングと物体との間には摩擦がなく,物体はリングに沿 って自由に動くことができるものとする.いま,θ =0の位置を物体が通過したときの 速さがv0であったとする. (1) 物体がθ =θ1の位置に達したとき,物体の速さを求めなさい. (2) 物体がθ =θ1の位置に達したとき,物体がリングから受ける垂直抗力を,重力,及 び遠心力を考慮して求めなさい.ただし, P から O に向かう向きを正として符号を含 めて答えなさい. (3) v0の大きさによっては,リングから受ける垂直抗力の大きさがゼロになる点が現れ る.そのような点が存在するために必要なv0の値の範囲を求めなさい.

(6)

6 Ⅱ 次に,図 2 のように,点 O を通り紙面に垂直な軸のまわりに鉛直面内でリングを回 転できるようにする.リングと物体との間には,各位置での垂直抗力に比例する摩擦力 が働くものとし,静止摩擦係数,動摩擦係数をそれぞれµ,µ′ とする.物体に働く遠心 力は無視できるものとする. (1) 物体をθ = 0の位置におき,リングをゆっくり回していったところ,物体は滑るこ となくリングに乗って動いたのち,ある角度θ =θ2に達したところで滑り出した. 2 tanθ を求めなさい. (2) 次に,回転しつづけるリングに対して,物体をθ =θ3の角度の位置で静かに放した ところ,物体はリングに対して滑りながらもθ =θ3の角度を保った.tanθ3を求めな さい.ただし,0 3 2 π θ < < とする. (3) リングを回転させながら,前問(2)で求めたθ3の位置から∆θの角度だけわずかにず らした位置,すなわち,θ3+∆θの角度の位置で静かに物体を放した.放した直後の 物体に働く力のリングに沿った接線方向成分の大きさを求めなさい.解答にはθ3を用 いてもよい. (4) その後,物体はθ3の位置を中心にして単振動を始めた.三角関数の加法公式と,∆θ が微小角度のときの近似式 sin∆θ ∆θ,cos∆θ ≐ を用いて,このときの単振動の周1 期を求めなさい.ただし,リングの回転速度は十分大きく,単振動の最中,物体はつ ねにリングに対して滑り続けるものとする.解答にはθ3を用いてもよい.

(7)

invitation card 03 水平レールに取り付けられた振り子の運動 from 名古屋工業大学 2001 前期 図 1 に示すように,質量M の台車 B が水平にとりつけられたレールにそって摩擦なB しに移動できるようになっている.台車 B の重心の位置 P を支点として棒がとりつけら れており,その棒の先に質量M MA( A < MB)の小さいおもり A がついている.支点 P か らおもり A までの長さは R である.棒は支点 P を中心になめらかに回転するようになっ ており,おもり A の大きさおよび棒の質量は無視できるものとする. x 座標は図に示す ようにとるものとする.初期状態では,図 1 に示すように台車 B の重心の位置はx = 0に あり,棒は水平に支えられ,おもりも台車も静止しているものとする.このとき重力加 速度を g として以下の設問に答えよ.また,解答は特にことわらない限りM ,A M ,g ,B Rおよび以下の設問にでてくるM の中から必要なものを用いて表せ. C まず台車 B を水平方向に動かないようにして,おもりの支えを解放した.

(8)

8 つぎに,台車 B を水平方向に自由に動けるようにして,上と同じ初期状態からおもり の支えを解放した.今度はおもり A が落下すると同時に台車 B も水平方向に運動を始め る.図 2 を参考にして以下の問に答えよ. (2) おもり A が最下点 Q に達したとき,おもり A の速度の x 成分V1と台車 B の速度の x 成分V2を求めよ. (3) おもり A と台車 B を一つの物体と見なすと,この物体には水平方向の外力が働いて いないので,両者の運動にもかかわらず,その重心の位置は水平方向には変化しない. このことを用いて,おもり A が最下点に達する点 Q の x 座標を求めよ.

(9)

前問で求めた水平な床上の点 Q に,図 2 に示すように質量M の小さい物体 C をおいC ておもり A と衝突させる.ただし,物体 C を質点と見なせるものとし,おもり A と物体 C は完全弾性衝突をするものとする. (4) 衝突直後のおもり A ,台車 B ,物体 C の速度の x 成分をそれぞれV3,V4,V5とす る.おもり A ,台車 B および物体 C を一つの物体とみなすとき,この物体には水平方 向には外力が働いていない.このことを使って,この物体に関する運動量保存則とエ ネルギー保存則をM ,A M ,B M ,g ,R ,C V3,V4およびV5を用いて表せ.ただし, おもり A と床との間や物体 C と床との間に摩擦はないものとせよ. (5) 衝突直後にV3 = 0となった.このときの物体 C の質量M を求めよ. C 3 0 V = となっても台車 B の運動のために,おもり A はこの後台車 B に対して振り子の ようにゆれる運動を続ける.この運動によっておもり A が到達する高さを求める. (6) おもり A が最高点に達するとき,おもり A と台車 B の速度の x 成分は等しくなる. そのときのおもり A の速度の x 成分V6を求めよ. (7) おもり A と物体 C の衝突直後,また,おもり A が最高点に達するとき,これら二つ の瞬間のおもり A と台車 B の運動エネルギーの和をそれぞれE ,1 E とする.このと2 き∆E = E2 −E1を求めよ. (8) 前問の結果を用いて,おもり A が到達する高さ h を求めよ.ただし,h は最下点 Q よ りはかるものとする.

(10)
(11)

invitation card 04 アメリカン・クラッカー from 首都大学東京 2007 前期 図 1 のように,長さ L の糸で原点 O につながれた二つの小球 a と b が,x 軸と y 軸を含 む鉛直平面内を運動する.二つの小球を点A y( = −L)で静止させた後,互いに逆方向に 初速度v0で運動させ,その後,点 C で衝突させたい.二つの小球の大きさは無視でき, 質量は共に m である.糸は伸び縮みせず,その質量は無視できる.重力加速度の大きさ を g とし,空気抵抗は考えない. まず,二つの小球が点 C で弾性衝突する場合を考える. (1) 小球 a が座標 (x,y)にあるときの速さを v として,小球 a の力学的エネルギーをv0 を使わずに書き表しなさい.位置エネルギーの基準点を点 A にとるものとする. (2) 二つの小球が点 C で衝突する時,衝突直前の小球 a の速さvCをv0を用いて書き表し なさい.

(12)

12 (4) 二つの小球は点 C と点 A で弾性衝突しながら,周期的な運動を繰り返した.点 A で 衝突した時刻を基準とし,小球の y 座標の時間変化を測定してグラフに表した.この 小球の運動を表しているものとして最も適切なものを,図 2 のア~オの 5 つの曲線の 中から選び,記号で答えなさい. 次に,二つの小球が反発係数 (e 0 < e<1)の非弾性衝突をする場合を考える.二つの 小球は,点 C において,それぞれvCの速さで互いに衝突した.衝突直後,糸の張力はゼ ロとなり,二つの小球の軌道は,半径 L の円周上から外れた. (5) 点 C で衝突した時刻をt =0とする.小球 a が円周上から外れた運動をしている時の 位置を, x 成分と y 成分に分けて,時間 t の関数として書き表しなさい. (6) 点 C での衝突の後,小球 a は円周上を運動することなく点 B に達した.g ,L ,vCを 用いて反発係数 e を書き表しなさい.

(13)

invitation card 05 斜面上の円錐振り子と軸における糸の巻取り from 東北大学 2007 後期 厚みが一様で平らな底板を持つ箱を用意し,その底板上の点 O′ に回転軸を垂直に立て る.この軸上の点 O に長さ l の糸を固定し,糸の反対の端に質量 m の小球を取り付ける. 小球が,糸をたるませず底板上から浮き上がらずに,軸の回りを回転する運動について 考える.ただし,小球と底板の間に摩擦は無く,軸の質量は無視でき,軸はぶれずに摩 擦無く回転するものとする.また,糸は伸び縮みせず,糸の太さおよび質量,小球の大 きさ,空気の抵抗は無視できるものとする.重力加速度の大きさを g とする.以下の問 いに答えよ. (1) はじめに,図 1 のように,箱を水平面上に固定した.小球を,糸がたるまないよう に底板上に置いた位置を X とする.ここでは,軸の太さは無視する.糸の長さは OX= で,糸と軸のなす角l ∠XOO′は (θ 0° <θ < 90° であった.小球に対して,三角) 形 OXO′ を含む平面(以下 OXO′ 平面とよぶ)と垂直な方向に初速v0(v0 > 0)を与えた ところ,小球は底板上で O′ を中心として軸とともに円運動を始めた.小球が浮き上が らずに円運動するためには,初速v0はvmax以下でなければならない.vmaxを,m ,g , lθの中から必要なものを用いて表せ.

(14)

14 (2) こんどは,図 2 のように,箱を傾斜角α傾けて固定した.その際,静止した小球の 位置を X とする.ここでも,軸の太さは無視する.糸と軸のなす角をθ とする.位置 X で,OXO′ 平面と垂直な方向に初速V0(V0 > 0)を与えたところ,小球は底板上で O′ を中心として軸とともに円運動を始めた. (a) 運動を始めたのち,小球が再び位置 X にきた.底板・糸・小球を枠内に記入し, 小球とともに動く観測者の立場から,このときの小球にはたらくすべての力を,矢 印で図示せよ.また,それぞれの力の名称も記せ. (b) 小球が浮き上がらずに円運動するためには,初速V0はVmax以下でなければならな い.Vmaxを, m , g , l ,α,θの中から必要なものを用いて表せ. (c) 糸がたるまずに小球が円運動を続けるためには,初速V0はVmin以上でなければな らない.Vminを, m , g , l ,α,θの中から必要なものを用いて表せ.

(15)

(3) つぎに,問(2)と同様に小球が静止した位置を X とし,図 3 のように,変形しない 棒を OXO′ 平面内で軸と垂直に取り付け,軸が回転しないように,軸の中心から距離 r の棒上の点を OXO′ 平面に垂直な力 F で支える.小球に位置 X で, OXO′ 平面と垂直 な方向に初速V1(V1 > 0)を与えたところ,小球は底板上で O′ を中心とする回転運動を 始めた.ここでは,軸の半径を無視せずに d とする.回転とともに糸は軸に巻き付き, 回転半径は徐々に小さくなる.この間,糸と軸のなす角はθに保たれ,糸はたるまず, 小球は浮き上がらなかった. 小球から軸と糸が接する点までの長さが 2 l になったときの一回転を考える.棒の端 点を支える力 F の,この一回転中での最大値Fmaxを,m , g ,l ,α,θ,r ,d ,V1 の中から必要なものを用いて表せ.ただし, d は l および小球の回転半径と比べて十 分に小さく,一回転する間の小球の回転半径の変化は無視できるものとする.

(16)

16

(17)

invitation card 06 二重惑星と探査機の運動 from 名 古屋 大 学 2008 前 期 Ⅰ 図 1 のように宇宙空間を進む探査機が,点 P で探査機から n モルのアルゴンガス(単 原子分子気体,1モルの質量MAr)を,探査機の進行方向に瞬間的に噴射した.探査機は 点 P で速さがv0からv に減速され,その後,星 1 のまわりを等速円運動した.ここで,1 アルゴンガス噴射前の探査機の質量 m は星 1 の質量M に比べじゅうぶんに小さいもの1 とする.また,万有引力定数を G ,気体定数を R とし,星 1 は静止しているものとする. 以下の問いに答えよ. (1) 探査機が星 1 のまわりを半径 h で等速円運動するための速さv を求めよ. 1 (2) 噴射されたアルゴンガスの平均速度の大きさは,星 1 から見てv2であった.探査機 の速さをv0からv に減速するために噴射されるアルゴンガスのモル数 n を1 MAr, m , 0 v ,v ,1 v2を用いて表せ.ただし,噴射による探査機の質量変化も考慮せよ. (3) 絶対温度 T のアルゴンガスにおける気体分子の熱運動の 2 乗平均速度 2 v をMAr, R, T を用いて表せ.

(18)

18 Ⅱ 図 2 のように,質量M の星 2 と質量2 M の星 3 が,点 A を中心に,同じ角速度3 ωで 等速円運動している.ここで,星 2 と星 3 の距離を L ,点 A から星 2 までの距離をℓ2と し,M2 >M3とする.また,星 2 と星 3 以外の天体の影響は無視できるものとして以下 の問いに答えよ. (1) 星 2 と星 3 について,それぞれ遠心力と万有引力のつりあいの式を G ,M ,2 M ,3 L ,ℓ2,ωを用いて表せ. (2) 距離ℓ2をM ,2 M ,L を用いて表し,角速度3 ωを G ,M ,2 M ,L を用いて表せ. 3

(19)

次に,質量 m の探査機を操作し,図 3 のように,点 A と星 3 を結ぶ線分上に置き,点 A を中心とする半径 x で,星 2 と星 3 と同じ角速度ωで等速円運動させた.ただし,探 査機の質量 m は星 2,星 3 の質量に比べじゅうぶんに小さいものとし,探査機の操作に ともなう質量 m の変化は無視できるものとする. (3) 探査機に働く遠心力 Fωを m ,ω,x を用いて表し,探査機に働く万有引力の合力FG を G , m ,M ,2 M , L ,3 2, x を用いて表せ.力の符号は点 A から星 3 への向き を正とする. (4) M2 = 4M3とするとき,点 A と星 3 を結ぶ線分上では探査機に働く遠心力と万有引 力の合力F = Fω +FGがゼロとなる位置が 3 0 5 x L ≤ < の範囲には1つある.その位置 を求めるため,合力 F を G ,m ,M ,L ,x を用いて表せ.さらに,3 F = 0となる x が存在する範囲を次の(ア)~(ウ)の中から選び,その記号を記せ. (ア) 0 1 5 x L ≤ < (イ) 1 2 5 L≤x < 5 L (ウ) 2 3 5 L≤x < 5L

(20)
(21)

invitation card 07 弦を伝う波と連鎖小球の対応 from 北海道大学 2000 前期 正弦波,単振動,円運動は互いに密接な関係がある.このことを利用して弦の運動を 考察し,横波の伝わる速さを求めてみよう. Ⅰ 図 1 のように, x 軸上に張られた弦の上を伝わる横波を考える.この図は x 軸の正 の方向に進んでいる横波の時刻t =0[s]における変位を y 方向に表したグラフである. この波が振幅 A [m],波長λ[m],周期 T [s]の正弦波であるとすれば,t 秒後における位 置 x [m]での変位 y [m]はy = Asin

(

)

と表される.また,波の伝わる速さ v [m/s] は,λ, T を用いて v = イ と表すことができる. さて,速さ v は弦の線密度ρ[kg/m]と張力 S [N]で決まるが,これを求めるために, 弦を小さい部分に区切ってそれらの運動を考察する.図 2 のように,間隔 a [m]で並んだ 質量 m = ρa[kg]の小球のつらなりP , P ,⋯ と考え,隣接する小球は張力 S の軽いひもで1 2 つながっているとする.振幅 A がλに比べてじゅうぶん小さいときには,小球は y 方向 のみに動くとしてよい.したがって,上に述べた正弦波が弦を伝わるとき,それぞれの 小球は y 方向に角振動数ω = ウ [rad/s]の単振動をしていることになる.ただし, 隣接する小球の振動には∆θ = エ [rad]の位相差がある. (1) 上の文章の の中に適切な数式を入れよ.

(22)

22 一方,単振動をおこす復元力は両側のひもから受け る張力の合力である.小球は y 方向にのみ動けるとし ているから,張力の y 成分を考えればよい.この力を 調べるためひとつのひもに着目し,図 3 のように,そ の向きが x 軸となす角度をϕ[rad]とする.振幅が小さ いときにはϕはじゅうぶん小さく,ひもの張力 S は一 定としてよい.このとき,張力の y 成分の大きさSy[N]はひもをはさむ 2 つの小球の変 位の差 y∆ [m]に比例していることがわかる.このように,小球どうしはひもを通して互 いに力を及ぼしあいながら,横波を伝えている. (2) ひもの張力の y 成分の大きさSy[N]が y S S y a ∆ = と表されることを示せ.ただし, ϕがじゅうぶん小さいときになりたつ近似式 sinϕ ϕ≐ ,tanϕ ϕ≐ を用いてよい. 波は,上で求めたような力を及ぼしあう小球P , P ,⋯ が,同一の角振動数1 2 ωで位相差 ∆θずつずれた単振動をすることによって伝わるが,その速さを求めるためには,ω,∆θ , S,m の間の関係を知る必要がある.そこでつぎのステップでは,単振動が等速円運動 を真横から見たものであることを利用し,これらの関係を調べてみよう.

(23)

Ⅱ 半 径 A [m]の円周上に中心角∆θ [rad] の 間 隔 で 並 ん だ 小 物 体 が 一 定 の 角 速 度 ω[rad/s]で回転していると考える.図 4 のように,小球P , P ,⋯ の変位の時間変化を,1 2 対応する小物体Q Q ⋯ の y 座標の時間変化と一致させるためには, A ,1, 2, ∆θ ,ωをⅠ と同じにすればよい.そこで,以下ではしばらく単振動を離れ,この円運動の様子を調 べることにしよう. この等速円運動において,小物体の質量をすべて M [kg]とし,隣接する小物体が長さ ℓ[m]の軽い糸でつながっていて,一定の張力 S ′ [N]で引きあっているとする.小物体 はこの糸の張力だけで等速円運動をすることができる.なぜなら,それぞれの小物体が 両側の糸から受ける力の合力は円の中心を向き,その大きさ F [N]は一定であるからで ある(図 5).このとき,角速度ωは S ′ , A , M ,∆θによって決まる. (1) F S A ′ =

であることを示せ. (2) ωと S ′ , A , M ,∆θ の関係を求めよ.ただし,∆θ がじゅうぶん小さいとして A∆θ ≐ ℓ を用いてよい.

(24)

24 最後に,この円運動を y 軸に射影して得られる単振動が,糸の張力の y 成分に相当す る力を受けた運動であることに注意しよう.図 6 からわかるように,ひとつの糸の張力 の y 成分の大きさS ′ [N]は,その両端の小物体の y 座標の差 yy ∆ [m]と S ′ ,ℓを用いて y S′ = オ ×yと表される.したがって,Ⅰの場合と同様に,張力の y 成分 y S ′ は変位 の差 y∆ に比例することがわかる. このことから,小物体の等速円運動の y 軸への射影と,Ⅰにおける小球の単振動とを, 完全に対応させることができる.とくに,小物体の質量を M =mとし,糸の張力 S ′ を y y S =S がなりたつように設定すれば,両者の運動方程式はまったく同じになる.その とき,小物体の円運動でなりたつ設問(2)の関係は,小球の単振動のω,∆θ,S ,m の 間でもなりたつ.この関係式を弦の横波についての量 T ,λ,ρ, S で表せば,最終的 に 周 期 T と 波 長λの 関 係 が わ か り , 弦 を 伝 わ る 横 波 の 速 さ を ρ と S で 表 し た 式 v = カ が得られる. (3) 上の文章の の中に適切な数式を入れ,文章を完成させよ.

(25)

invitation card 08 磁気双極子と永久磁石のモデル化 from 名古屋大学 2001 前期 図 1 に示すように,両端に N 極( + 極)とS 極( − 極)を持つ棒磁石を分割すると,各々 の両端には新たに N 極と S 極が生じる.この分割を繰り返すと,原子の大きさ程度のミ クロな磁石に到達する.この「原子磁石」の由来を考える.以下の問いに答えよ. (1) 図 1 の左端に示すような棒磁石の作る磁力線を,向きが解るように描け.ただし, 棒磁石の外側の空間だけでよい. (2) 磁気量(磁極の強さ)がq の N 極とm −qmの S 極とが図 2 のように 配置している場合を考える.磁極間の距離を l としたときM = q lm を磁気モーメントの大きさと呼ぶ.両極の中心 O とq を通る直線上m の点 P (点 O からの距離は z )における磁場の大きさ H が 3 0 2 M H z πµ = と表せることを示せ. ただし,磁気に関するクーロンの法則における比例定数k は,真空の透磁率m µ0を 用いて次のように表わされる. m 0 1 4 k πµ =

(26)

26 次に,原子内の電子の運動を考えよう.電子は図 3 に示すよ うな半径 r の円軌道上を運動するものとする. (3) 電子の速さを v ,電荷を e− とするとき,円形電流の大きさ I を求めよ. (4) 電子の運動の方向が図 3 に示すようであるとき,円形電流 が作る磁力線を描け. (5) 円軌道面の中心 O から垂直上方に z だけ離れた点 P の磁場の大きさを測定したとこ ろ,次の結果を得た.ただし, z は r に比べて充分大きいとする. 2 3 2 r I H z = これが,点 O に配置された図 2 の磁気モーメントが作る磁場と等しいとき,磁気モ ーメントの大きさ M を I を用いて表せ. (この関係から,磁石と円形電流は等価であり,ミクロな「原子磁石」の正体は電子の 回転運動であることが推測される.) 原子内の電子の描く軌道を,図 4 に示す点 O を中心とす る半径 r の円形コイルに置き換えて考える.コイルの電気 抵抗は無視できるとし,はじめコイルには正味の電流は流 れていないとする.コイル面に垂直に磁場を徐々に加えて いくとき,以下の問いに答えよ. (6) 磁束密度の大きさ B が t∆ の時間に B∆ だけ増加した とき,コイルに生じる誘導起電力の大きさ V を求めよ. (7) 矢印の方向の磁場の大きさが増加していくとき,コイル上を流れる誘導電流の向き を図示せよ. (8) 誘導電流が作る磁場と等価な磁場を作るためには,点 O に棒磁石をどの様に配置す

(27)

れば良いか図示せよ.ただし,コイルを流れる誘導電流の向きは(7)で求めた通りであ るとし,点 O と磁場を測定する点との距離は,コイルおよび棒磁石の大きさに比べて 充分大きいとする. (磁場に対する誘導電流に等価な磁石の振る舞いは,ある種の原子内電子において実際 に観測されている.) 参考:解答欄 (1) (4) (7) (8)

(28)
(29)

invitation card 09 一様でない磁場中のリングの落下 from 東京工業大学 2000 後期 図 1 に示すように 2 つの磁極間の中心に原点をとり,座標軸を定める.磁束密度 B は x 軸の正方向を向き,その強さは z 軸に沿って図 2 に示すように直線的に変化し,最大値B ,0 0 z ≥ z でB = であるとする.いま,変形しない小さな円形金属リング(抵抗値 R ,直0 径 2a )を z 軸に沿って自由落下させた.リングの直径 2a はz0に比べて十分小さいとする. 空気抵抗,地磁気,および自己誘導は無視できるとして以下の問いに答えよ. Ⅰ リングの面に垂直な方向が磁束の方向( x 軸)と一致するようにリングをおく.つぎ に,リングを y 軸のまわりでθだけ回転させ,図 3 に示す方位に傾けて落下させた. (1) リングがθ( 90° より小さい)だけ傾いた状態で,z 軸上を−z0 <z < の範囲で落下0 している.そのときの誘導電流の向きを,説明を付して解答欄の図に書け. (2) 生じた誘導電流によって,落下中のリングには y 軸のまわりで回転させようとする 力が働く.回転する向きを解答欄の図に矢印で示せ.また,その理由を説明せよ. Ⅱ ちょうどθ =0で落下させたとき,リングはその向きを変えようとする力を受けず に落下できる.以下ではθ =0の場合のみ考える.リングがz(−z0 <z < 0)にあるとき の落下速度を ( )v z とする. (1) リングに生じる誘導電流の向きを図示し,その大きさを求めよ. (2) このとき, A , B , C , D で示すリングの各部分(同じ長さ)にはどのような向きの 力が働くか.解答欄の図の一方,必要なら両方の各部分に矢印で記入し,理由を説明 せよ.各部分に働く力の大きさの違いがわずかでもある場合は,大小,あるいは大中 小の字を矢印に付してその違いを示せ.

(30)

30 (4) リングがz(0 <z < z0)にあるときの落下速度も ( )v z で表すことにする.この場合, (1),(2),(3)の解答には変更される部分と変更されない部分がある.変更される部分 を文章で記せ. x y z 0 0 z − A B C D リング拡大図 図 1 x y z θ z B 0 B 0 z 0 z − 0 図 3 図 2

(31)

参考:解答欄

Ⅰ(1) (2) 1

(32)
(33)

invitation card 10 回転子と電磁誘導 from 東京工業大学 2011 前期 単位長さあたりの抵抗が R で太さが無視できる針金を使って,図 1(i)のような回路を 作る.図 1(i)の回路は半径 a の円と長さ 2a の線分からなっていて,円の中心を O ,直 径の両端を P , Q とする.点 O を座標の原点,また回路を含む平面を xy 平面とし,そ れに垂直な向きを z 軸とする.ここで,磁束密度B =(0 0 B B) ( > 0)  , , の外部磁場を 0 y ≤ の領域のみに加える.回路は xy 平面内で点 O を中心に自由に回転できるとする. 以下では回路自身の自己インダクタンスは無視する.次の問に答えよ. Ⅰ (1) 図 1(ii)のように時刻t =0では回路上の点 P が座標 (a,0 0,)にあったとして,時刻 0 t = からこの回路を反時計回りに角速度ωで回転させる.時刻 t 0 t π ω  < <   に OQ 間に発生する誘導起電力の大きさ E を求めよ.ただし針金の抵抗による電圧降下は E には含めないこと. 以下の解答では, B を用いずに,(1)で求めた E を用いよ. (2) 時刻 t 0 t π ω  < < に,回路を角速度ωで回転させ続けるのには外から仕事をする必

(34)

34 Ⅱ 次に図 2 のように,この回路の直径 PQ と直交する方向の直径にも長さ 2a の同じ針 金を渡して,点 O および両端で回路と接続する.この針金の端点を図 2 のように R ,S と 名づける. (1) 図 2 のように時刻t =0では回路上の点 P が座標 (a,0 0,)にあったとして,時刻 0 t = からこの回路を反時計回りに角速度ωで回転させる.点 P , Q , R , S , O で の電位をそれぞれVP,VQ,V ,R VS,V とおく.時刻 t が 0O 2 t π ω < < の範囲のとき, これらの電位を大きい順に並べ,大小関係が分かるように > , = を用いて書け.(解 答例:VP >VQ = VR =VS > VOなど.) (2) 時刻 0 2 t π ω < < に針金 OQ を O → Q の向きに流れる電流IOQはいくらか.E ,R , a,ωのうち必要なものを用いて答えよ.

(35)

Ⅲ 今度は図 1(i)の回路で,図 3(i)のようにこの回路の中心 O に小さなコイルを挿入 する.コイルを挿入する前後で,直径 PQ 間の抵抗は変化していないものとする.また, コイルと図 1 の回路全体の相互インダクタンスも無視する.外部磁場中でコイルが運動 することによる電磁誘導は無視できるものとする.次の問に答えよ. (1) 図 3(i)のように時刻t =0では回路が静止していて点 P が座標 (a,0 0,)にあったと して,時刻t = 0からこの回路を反時計回りに角速度ωで回転させる.すると,コイ ルを P → Q の向きに流れる電流IPQは図 3(ii)のように変化して,一定値I0に近づく. 0 t = でのグラフの接線が,IPQ = I0と交わる点での t の値を T とおく.このときコイ ルの自己インダクタンス L を E , R , a ,ω, T のうち必要なものを用いて答えよ. (2) (1)でほぼ一定値I0になった後しばらくすると,電流IPQの符号が変化した.この変 化のグラフとして最も適切なものを図 4(ア)-(エ)の中から一つ選び,図中の時刻t1お よびt2を E , R , a ,ω, T のうち必要なものを用いて答えよ.なお図 4(イ)-(エ)で は,グラフの接線も点線で図中にかきこまれており,(イ)ではt = t1,(エ)ではt = t2, (ウ)ではIPQ = 0となる時刻における接線である.またこのグラフは模式図であり,横 軸のスケールは正確ではない.

(36)
(37)

invitation card 11 ねじれの熱サイクル from 東北大学 2000 後期 密閉された1モルの単原子分子理想気体に対して,図に示すような熱サイクル A → B → C → D → E → C → A を考える.ここに,区間 A → B は定圧変化,区間 B → C および区 間 C → D は定積変化,区間 D → E は定圧変化,区間 E → C および区間 C → A は断熱変化 であり,定積変化する区間 B → C → D の体積V2は,V1 ≤V2 ≤V3の範囲で任意に設定で きるものとする.気体定数を R とし,以下の問いに答えよ. (1) 定圧変化 A → B における気体の状態変化について考える. (a) A 点の状態における気体の温度を,P1,V1, R を用いて表せ. (b) 区間 A → B における気体の内部エネルギーの変化を,P1,V1,V2を用いて表せ. (c) 区間 A → B において外部から気体に与えられる熱量を,問(1)(b)の結果を利用し て求め,P1,V1,V2を用いて表せ. (2) 熱サイクル A → B → C → D → E → C → A は,気体が高温熱源から熱を受け取る区間 A → B と低温熱源から熱を受け取る区間 D → E の両方を含んでいる.すなわち,熱サ イクル全体でみると,気体が高温熱源から受け取る熱の一部が仕事に変換され,低温 熱源から熱を取り出すために使われると考えてよい. (a) 熱サイクル A → B → C → D → E → C → A により気体が外部にする仕事の総和 W がW ≥ となる0 V2の範囲を,P1,P3,V1,V3を用いて表せ. (b) 問(2)(a)で求めたV2の範囲において,高温熱源から受け取る熱量Q に対する低H 温熱源から受け取る熱量Q の比L L H Q Q が最大となるとき,高温熱源から熱として受 け取るエネルギーが低温熱源から熱を取り出すために最も効率的に使われるといえ る.このときのV2および W を求めよ.

(38)
(39)

invitation card 12 ピストンに隔たれた2気体を封入したシリンダーの回転 from 東京工業大学 2007 前期 図 1 に示すように,断面積 S [m2]の円筒状シリンダー密閉容器が,滑らかに動く質量 m[kg]のピストンにより A 室と B 室に仕切られている.A 室と B 室にはそれぞれ気体を 封入することができる.両室の気密性は高く,気体の漏れは無視できる.ピストンおよ びシリンダーの側面と底面は熱を通さない.一方,シリンダーの上面は熱を通す.シリ ンダー各室内では温度と圧力は常に均一である.重力加速度を g [m/s2],シリンダーに 封入される理想気体の定積モル比熱をCV[J/(mol・K)],気体定数を R [J/(mol・K)] とし,以下の問いに答えよ.ただし,シリンダーに封入される理想気体の質量はピスト ンの質量に対し十分に小さく無視できる.

(40)

40 Ⅰ まず, A 室のみに1モルの理想気体を封入したシリンダーを水平な床に垂直に立て た. B 室は真空である.ピストンはシリンダー上面から糸によりつるされた状態で静止 しており,このときの A 室内の気体の体積,温度,圧力は,それぞれ2V [m0 3],T0[K], 0 p [Pa]であった.B 室の体積はV0[m3]であった.この状態を初期状態と呼ぶ. (1) ピストンをつるしている糸を切断したところ,ピストンは気体の体積がV0[m3]にな るまで下方に移動し,その後は上方に向かう運動に転じた.ピストンが最下点に達し たときの気体の温度をT1[K]とする.このときの気体の内部エネルギーの初期状態に 対する変化量∆U1[J]をT1[K],T0[K],CV[J/(mol・K)]を用いて表せ. (2) ピストンが最下点に達したときのピストンの位置エネルギーの初期状態に対する変 化量∆UP[J]をV0[m3], m [kg], S [m2], g [m/s2]を用いて表せ. (3) 前問(1)と(2)の結果を用いてT1[K]を求めよ.

(41)

Ⅱ 次に, B 室にも A 室と同じ理想気体を1モル封入した.このシリンダーを,図 2 に 示すように,水平面内で回転できる円盤上に固定した.シリンダーの中心軸は円盤の回 転軸に直交し, A 室が円盤の外側を向いている. B 室側のシリンダー端面には熱源を接 続し, B 室の気体が圧力を常に一定に保ちながら状態変化するように熱を供給する.円 盤が静止しているときの A 室の気体の体積,温度,圧力は,それぞれ2V [m0 3],T0[K], 0 p [Pa]であり,B 室の気体の体積,温度,圧力は,それぞれV0[m3], 0 2 T [K], 0 p [Pa] であった.この状態を状態 1 と呼ぶ.円盤を静かに回転させ始めたところ,ピストンは 静かに動き始め,その後,円盤の回転角速度を徐々に増し,ある回転角速度に達した後 は等速回転させた.このとき,ピストンは A 室と B 室の気体の体積が,それぞれV0[m3], 0 2V [m3]となる位置で静止していた.これを状態 2 と呼ぶ.この A 室と B 室の気体の状 態変化をシリンダーとともに回転する観測者が見るとして,以下の問いに答えよ.

(42)

42 (1) A 室と B 室の気体の状態変化の概略を,それぞれ以下の p - V 図上に描け.A 室と B 室の状態 1,2 をそれぞれ A1 ,A2 ,B1 ,B2 として図中に示し,各状態における圧 力と体積を明記すること.ただし, A 室の気体の状態 2 における圧力としてp [Pa]2 を用いてよい.なお,以下の図には,1モルの理想気体の温度T0[K], 0 2 T [K]にお ける等温変化の曲線が記入されている.これらの曲線との関係も考慮して記入するこ と.さらに,円盤の回転によりピストンにはたらく遠心力が A 室の気体にした仕事に 対応する領域を斜線で示せ. (2) ピストンにはたらく遠心力が A 室の気体にした仕事W [J]を求めよ.ただし,ⅠC の結果を用いてもよい. 参考:Ⅱ(1)の解答欄 p V O 0 T 0 2 T

(43)

解 答 案 レッド・ゲート 留意点 ■■■ 答えを追うだけでなく,出題の現象の隅々まで晴れ渡るように,最後まで考え切ること invitation card 01 円板の偏心回転モデルとピストンの安定 Botxfs! Ⅰ(1) 板からの垂直抗力の大きさを N とし,物体の運動方程式は ma = mg−N よって垂直抗力は ( ) N = m g a 物体が板から離れないから,求める条件は 0 N ag (2)ア: 1 2 2 2 cos sin 2 mA ω ωt+mgA ωt イ: 2 g ω ウ: 2 2 2 2 2 m g A ω ω    +       参 考 z軸正方向の物体の速度を v とすると, sin dz cos z A t v A t dt ω ω ω = ⇒ = = よって,物体の力学的エネルギーは 2 2 2 2 1 1 cos sin 2 2 E = mv +mgz = mA ω ωt+mgA ωt 設問は E の最大とそのときの z の値を問うている.そこで, E を z の関数として表すこ とにしよう. 2 2 2 cos t 1 sin t 1 z A ω = − ω = −      だから, E を z で表すと,

(

)

2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 m m g g E ω z gz A ω ω z A ω ω ω    = − + + =  −  + +    よって,z g2 ω = のとき, E は最大値, 2 2 2 2 2 m g E A ω ω    = +  をとる. Ⅱ(1) 点 O は点 P まわりの等速円運動をするから, z 軸方向への点 O の射影運動は単振 a mg N

(44)

44 ク: 2 1 1 1 2 z +v t− gt 参 考 角速度ωは板 A の角振動数に等しい.また,板 A の単振動の振幅は,点 O の円運動の 半径 b に等しいから,単振動の最大加速度はbω2.一体として動く場合は,これがⅠ(1) で求めた条件を満たすから, 2 g b g b ω ≤ ⇔ ω ≤ よって b やωが大きい程,物体は板 B を離れやすいことがわかる. 物体の位置 z はz = bsinωtと表せる.速度 v ,および加速度 a は cos dz v b t dt ω ω = = , 2 2 2 sin d z a b t dt ω ω = = − t= Tのとき,物体が板 B を離れるならば,このとき,a =a1 = − .よって g 2 2 sin sin g b T g T b ω ω = ⇔ ω = ω また,このときv = v1だから, 2 2 2 2 1 cos 1 2 4 2 g g v b T b b b ω ω ω ω ω ω = = − = − 物体が板 B を離れてからの時間を t とする(設問での設定通り)と,このときの物体の 速度v2,および位置z2は, 2 1 v =v gt, 2 1 1 2 1 2 z = z +v t− gt 難度:7

(45)

invitation card 02 回転するリングに通した物体 Botxfs! Ⅰ(1) 求める速さをv とすると,力学的エネルギー保存則より 1

(

)

(

)

2 2 2 1 1 0 1 0 1 1 1 1 cos 2 1 cos 2 mv +mgR − θ = 2mv ⇔ v = v − gR − θ (2) 求める垂直抗力を N とすると,物体にはたらく向心方向の力 のつり合いより,

(

)

2 1 1 2 0 1 cos 2 3cos v N mg m R v m mg R θ θ = + = − − (3) cosθ1の値域,− ≤1 cosθ1 ≤ (上半円)の間に,0 N = なる点が存在すれば良い. 0

(

)

2 0 2 0 1 1 2 0 2 3cos cos 3 v v gR N g R θ θ − = ⇔ = − ⇔ = 2 0 1 0 2 1 cos 0 1 0 2 5 3 v gR gR v gR θ − − ≤ ≤ ⇔ − ≤ ≤ ⇔ ≤ ≤ Ⅱ(1) θ =θ2で静止摩擦力が最大値 Nµ となるから,このときの物体 にはたらく力のつり合いより, 2 cos N = mg θ ,µN = mgsinθ2 2 tanθ µ ⇔ = (2) θ =θ3で動摩擦力µ′ により,物体には力のつり合いが成立すN るから,前問と同様であり, 3 tanθ = µ′ (3) 物体は放した直後,滑り降りる方向に求める合力 f を受ける.このとき,まだ物 体は静止しているから,遠心力は作用せず,向心方向には力のつり合いが成立する. よって,垂直抗力の大きさ N はN =mgcos

(

θ3+∆θ

)

.以上より,

(

θ ∆θ

)

µ

(

(

θ ∆θ

)

µ

(

θ ∆θ

)

)

2 1 v m R mg N 1 θ N µ mg N 2 θ

(46)

46

(

)

{

sin 3 cos 3 cos 3 sin 3

}

f =mg θ + θ ∆θ µ θ θ ∆θ 3 tanθ = µ′ よりµ′ を消去すれば, 3 3 cos cos mg mg f R R ∆θ ∆θ θ θ = = よって f は変位 R∆θに比例する復元力であり,復元力の係数 k は 3 cos mg k R θ = だか ら,求める単振動の周期 T は 3 cos 2 m 2 R T k g θ π π = = 難度:5

(47)

invitation card 03 水平レールに取り付けられた振り子の運動 Botxfs! (1) おもり A の力学的エネルギー保存則より, 2 A 0 A 0 1 2 2 M V = M gR ⇔ V = gR (2) おもり A と台車 B の力学的エネルギー保存則と水平方向の運動量保存則より 2 2 A 1 B 2 A 1 1 2 M V + 2M V =M gR,M VA 1 +M VB 2 = 0 ⇔ 1 B A B 2M gR V M M = + , 2 A B A B 2 ( ) gR V M M M M = − + (3) 重心の位置は変わらないから,初期状態での重心を求める. A B A A B A B ( ) 0 M R M M x R M M M M ⋅ − + ⋅ = = − + + (4) 運動量保存則:0= M VA 3 +M VB 4 +M VC 5 式 1 エネルギ-保存則: 2 2 2 A A 3 B 4 C 5 1 1 1 2 2 2 M gR = M V + M V + M V (5) 前問で A , B , C 全体での保存則を立式したが,衝突前後では,棒を介した A B 間 の水平方向の相互作用はない.よって,衝突する A , C のみで弾性衝突をするとみな せる.衝突前後での水平方向の運動量保存則より, A 1 C 0 A 3 C 5 M V +M =M V +M V 弾性衝突であるから 1 0 5 3 V =V V 式 2 ここでV3 = 0ならば,この 2 式から, C A M = M (6) 式 1 , 式 2 において,MC =MA,V3 = 0とすれば,衝突直後の台車 B の速度V4 は A A B 4 1 B B A B 2 M M M gR V V M M M M = − = − +

(48)

48 (7) おもり A と物体 C の衝突直後 2 A 2 2 1 A B 4 A B 1 1 0 2 2 M gR E M M V M M ⋅ = + = + おもり A が最高点に達するとき

(

)

(

)

2 A B 2 2 A B 6 2 A B 1 2 M M gR E M M V M M = + = +

(

)

3 A 2 1 2 A B M gR E E E M M ∆ ∴ = − = − + (8) E∆ はこの間に重力がした仕事M ghA に等しいから,

(

)

2 A A 2 A B M R E M gh h M M ∆ = − ⇔ = + 難度:6

(49)

invitation card 04 アメリカン・クラッカー Botxfs! (1) 求める力学的エネルギー E は

(

)

2 1 2 E = mv +mg y+L (2) 力学的エネルギー保存則より 2 2 2 0 C C 0 1 1 2 4 2mv = 2mv + mgL ⇔ v = v − gL (3) 点 C における小球の向心方向の運動方程式は, 2 2 C 0 5 v v m T mg T m g L L    = + ⇔ =     糸がたるまないのなら,T ≥ .よって,0 v0 ≥ 5gL (4) 上昇において,過程 A→Bの方が過程 B→Cより小球は速い.よって,時刻 0.25 4 T T=  のとき,y > である. 0 また A ,C での衝突前後において,変わらず小球の鉛直方向の速度は 0 であるから, y = ± でグラフの傾きは 0 であり,なめらかである. L よって,適切なのはイ. (5) x 方向には初速度evCで等速運動であり, y 方向には初速度 0 ,加速度 g− の等加速 度運動である.よって,求める位置は C x =ev t, 1 2 2 y = L− gt (6) (x y, )= (L, 0)なる時刻t= tBが存在するから, C B L = ev t , 2 B C 1 1 0 2 2 gL L gt e v = − ⇔ = 難度:3

(50)
(51)

invitation card 05 斜面上の円錐振り子と軸における糸の巻取り Botxfs! (1) v0 =vmaxのとき,底板からの抗力が 0 である.このとき,糸の張力の大きさを T と し,向心方向の運動方程式は 2 max sin sin v m T l θ = θ 鉛直方向の力のつり合いは cos T θ = mg

以上より T を消去して,vmax = gltan sinθ θ

(2)(a) 張力 垂直抗力 重力 遠心力 (b) V0 =Vmaxのとき,位置 X での底板からの抗力が 0 である.このとき,糸の張力の 大きさを T とすると,前問の立場での小球にはたらく力のつり合いは 傾斜方向: 2 max sin sin sin V m mg T l θ + α = θ 傾斜面法線方向:Tcosθ = mgcosα

以上より T を消去して,Vmax = glsinθ(cosαtanθ −sinα)

(c) 最高点で糸の張力は最小となるから,V0 =Vminのとき,最高点で糸の張力が 0 と なる.このとき,最高点での小球の速さをvminとすると力学的エネルギー保存則よ り, 2 2 min min 1 1 2 sin sin 2 mv + mgl θ α = 2 mV 遠心力を評価し,最高点での傾斜方向の力のつり合いは, 2

(52)

52 (3) F =Fmaxとなる小球の位置は,糸の張力が最大となる最下点である.最下点での小 球の速さv は,力学的エネルギー保存則より 1 2 2 1 1 1 1 1 sin sin 2mv + 2mgl θ α = 2 mV 糸の張力の大きさをTmaxとして,小球に対する斜面方向の力のつり合いは 2 1 max sin sin sin 2 v m mg T l α θ θ + = 以上より,v を消去すれば, 1 2 1 max 2 2 sin sin sin V g T m l α θ θ    =    このとき,軸の中心まわりの,モーメントのつり合いより,

max max max max

sin (r d) F d T sin F d T r d θ θ + × = × ⇔ = + 2 1 max 2 sin sin md V F g r d l θ α    ∴ =  +   難度:8

(53)

invitation card 06 二重惑星と探査機の運動 Botxfs! Ⅰ(1) アルゴンガス噴射後の探査機の質量を m′ とすると向心方向の運動方程式は 2 1 1 1 1 2 v GM m GM m v h h h ′ = ⇔ = ′ (2) 噴射後の探査機の質量 m′ は,噴射したアルゴンガス の総質量nMArを除いたm′= m−nMArで表せる. 噴射前後の運動量保存則より

(

)

0 1 0 Ar 1 Ar 2 Ar 2 1 ( ) ( ) m v v mv m nM v nM v n M v v − = − + ⇔ = − (3) アボガドロ定数をN とすると,アルゴン分子の質量はA Ar Ar A M m N = だから, 2 2 Ar A Ar 1 3 3 2 2 R RT m v T v N M = ⇔ = 別 解 1モルあたりのアルゴン分子の運動エネルギーの総和は,1モルあたりの内部エネルギ ーに等しいから, 2 2 Ar Ar 1 3 3 2 2 RT M v RT v M = ⇔ = Ⅱ(1) 星 2 について: 2 2 3 2 2 2 GM M M L ω =

,星 3 について:

(

)

2 2 3 3 2 2 GM M M L

L

ω = (2) 前問(1)より,星 2 と星 3 の遠心力は等しいから

(

)

3 2 2 2 2 3 2 2 2 3 M M M L M M L ω = ω ⇔ = + − ℓ ℓ ℓ (1)の星 2 についての力のつり合いの式に代入し 3 2 2 3 2 3 2 2 3 2 3 ( ) M GM M G M M M L M M ω L ω L + = ⇔ = + (3) 探査機にはたらく遠心力 FωはFω =mxω2 万有引力の合力F はG 3 2 2 2 ( ) ( ) G GM m GM m F = m 0 v 1 v 2 v Ar mnM nMAr 前 後

(54)

54 3 3 3 3 5GM 5GM m F mx x L L ω = ⋅ = 3 3 3 2 2 2 2 ( )( ) 4 25 5 9 15 7 (5 4 ) (5 ) 5 5 G GM m G M m GM m x L x L F x L x L L L L x x ⋅ − − = − = −     − +  +       よって合力 F は 3 3 2 2 ( )( ) 5 5 9 15 7 5 (5 4 ) (5 ) G x x L x L F F F GM m L x L x L ω  = + =  − +   これを変形すれば, 3 2 2 2 ( )( ) 5 5 9 15 7 5 (5 4) (5 1) x x GM m x L L F x x L L L L     =  +       とできる. x u L = とおき, 2 3 ( ) 5 FL f u GM m = で定めれば,無次元量 u を用いて, F と等しい増 減をもつ,無次元の関数 2 2 ( )( ) 5 5 9 15 7 ( ) (5 4) (5 1) u u f u u u u − − = − − + を見いだせる. 参 考 これを無次元化という.無次元化は,コンピュータで近似的予測をする場合など,具 体的な数値を代入する際に,単位に気を配らなくて良くなるので,理論系の物理学研究 室で好んで用いられる方法である. 0 F = のとき, ( )f u = である.題意は解の配置問題であるから,境界, 0 0 x = , 5 L x = , 2 5 x = L 3 5 x = L u = ,0 1 5 u = , 2 5 u = , 3 5 u = における ( )f u の符号を考える. 2 2 ( ) ( ) 5 9 7 (0) 0 0 ( 4) 1 f ⋅ ⋅ ⋅ − − = − < − , 2 2 ( ) ( ) 1 1 5 8 4 ( ) 0 ( ) 5 5 3 2 f ⋅ ⋅ ⋅ − − = − < − 2 2 ( ) ( ) 2 2 5 7 1 ( ) 0 ( ) 5 5 2 3 f ⋅ ⋅ ⋅ − − = − < − , 2 2 ( ) 3 3 5 6 2 ( ) 0 ( ) 5 5 1 4 f ⋅ ⋅ ⋅ − = − > − したがってF =0の解 x は 2 3 5 L ≤x < 5 Lに存在する.選択肢は(ウ). 難度:8

(55)

invitation card 07 弦を伝う波と連鎖小球の対応 Botxfs! Ⅰ(1)ア: 2 x t T π λ     イ: T λ 参 考 図 1 の波形は,振幅 A ,周期λの正弦波だから,y = sinxのグラフを x 軸方向に 2 λ π 倍, y 軸方向に A 倍すればよい.したがって,図 1 のt =0の波形を示す方程式は 2 sin y A π x λ = 時間 t で,この波は vt t T λ = だけ x 軸正の向きに平行移動するから, 2 sin sin 2 x t y A x t A T T π λ π λ λ     = =  ウ: 2 T π エ: 2π a λ 参 考 間隔λで位相が 2π だけ変化するから, x 軸方向の単位長さあたりの位相変化は 2π λ . したがって,間隔 a での位相差∆θ は 2 a π ∆θ = λ (2) 右に図に示すように,張力の成分分解より,Sy = Ssinϕ. また,幾何条件より,tan y a ∆ ϕ = .近似式より,sinϕ ≐ tanϕ. 以上より, y S S y a ∆ = Ⅱ(1) 向心力 F は図に示す 2 つの張力 S ′ の合力と ∆θ S y S ϕ ϕ ∆y a S ′

(56)

56 S F A ′ =

(2) 与えられた近似式A∆θ より,前問の向心力 F は S F S A ∆θ ′ =

≐ ′ 小物体の向心方向の運動方程式より,求める関係は 2 MAω = ′S∆θ (3)オ: S′

カ: S ρ 参 考 対応関係より, y y S S A S S y y S S S a a a ∆θ ∆ ∆ ′ = ⇔ = ⇔ = = ′ ′ ℓ

これを用いて(2)の結果は 2 A MA S S a ∆θ ω = ′∆θ = ∆θ Maω2 S(∆θ)2 ⇔ = と書き換えられる.対応関係 M = mより,M = ρa.また 2 T π ω = ,∆θ 2π a λ = ,v = Tλ より,さらに書き換えれば S v ρ = 難度:7

(57)

invitation card 08 磁気双極子と永久磁石のモデル化 Botxfs! (2) N 極(+qm), S 極(−qm)が P につくる磁場の強さ H+, H−はそれぞれ, m m 2 2 k q H z + =    −     

, m m 2 2 k q H z − =    +     

求める磁場 H はこの合成磁場だから m m m m 2 2 2 2 k q k q H H H z z + − = − = −     +      

与えられた近似式より, 2 2 m m m m 2 3 1 2 1 1 k q H k q z z z z          +  − −  =            ℓ ≐ ℓ ℓ m 3 0 1 4 k z πµ = であり,M = qmℓだから, 3 0 2 M H z πµ = となる. (3) 電子の円運動の回転数は 2 v r π .1つあたりの電気量の大きさは e .電流とは単位時 間あたりの通過電気量だから, 2 2 v ev I e r r π π = × = (5) 3 0 2 M H z πµ = と, 2 3 2 r I H z = を比較し,M =πµ0r I2 (6) V r2 B t ∆ π = N S (1) (4) (7) 磁束密度 S N 磁束密度 点 O (8) 難度:5

(58)

58 参 考 電気量: Q 磁気量(磁極の強さ): M 電気力線の本数:NE Q ε = 磁力線の本数: M M N = µ 電場: E2 1 2 4 4 N Q E r r π πε = = 磁場: M2 2 1 4 4 N M H r r π πµ = = 電気力(静電気力): fE =qE 磁気力(磁力): fM = mH こんなにも対称的に物理量を定め,理論を用意したのに,電場の起源となる「電荷 (electric monopole)」に対応する,磁場の起源となる「磁荷(magnetic monopole)」は存 在しない.

(59)

invitation card 09 一定力とローレンツ力の同時作用 Botxfs! Ⅰ(1) 説明: x 軸負の向きから正の向きにリング面を貫く磁束が増大するため,レンツ の法則より,x 軸負の向きの磁場を作る方向に電流が誘導される.(図は後にまとめ てある) (2) (1)で誘導された電流が磁場から力を受ける.その力は,図 1 の A 点では z 軸正の 向き,C 点では z 軸負の向きであり,リングは図のように回転する.(図は後にまと めてある) Ⅱ(1) ファラデーの電磁誘導の法則より,リングに生じる誘導起電力 ( )V z は, 0 2 2 0 ( ) dB dB dz B ( ) V z S a a v z d t π dz d t π z = = = オームの法則より,求める電流 ( )I z は 2 0 0 ( ) ( ) ( ) ( ) a B v z RI z V z I z Rz π = ⇔ = (図は後にまとめてある) (2) 説明:−z0 < z < では,図 2 より,z が大きい程(下である程),強磁場であるた0 め.(図は後にまとめてある) (3) (2)より, F の向きは z 軸の負の方向である. リングにおいて,単位時間にこの力のした仕事Fv z( )は,リングの力学的エネル ギーをFv z( )奪い,リングに流れる誘導電流によってジュール熱RI z( )2として失わ れている.エネルギー収支より, 2 4 2 0 2 2 0 ( ) ( ) ( ) a B v z RI z Fv z F Rz π = ⇔ = (4) 変更される部分は以下の通り. (1)において:誘導電流の向きを示す矢印が逆向きになる. (2)において:力の向きを示す矢印が逆になり,大小関係も逆となる.

(60)

60 0 0 z z − < < の区間で,リングの各位置に内側に向かって力が働くのも,0< z <z0の区 間で,リングの各位置に外側に向かって力が働くのも,リングを貫く磁束を保持しよう とする空間の性質と言って良いだろう. Ⅰ(1) (2) 1 Ⅱ(1) (2) 回転の 向き 誘導電流 誘導電流 小 中 中 大 難度:7

(61)

invitation card 10 回転子と電磁誘導 Botxfs! Ⅰ(1) ファラデーの電磁誘導の法則より 2 2 1 1 2 2 dS E B B a Ba dt ω ω = = = (2) 求める外力の仕事率は,抵抗での消費電力に等しい.等価回路は右 図.合成抵抗値は 2 2 aR π  +    だから,消費電力は ( ) 2 2 2 4 2 2 E E aR aR π = π   +  +      Ⅱ(1) 対称性より,図のように RP 間と SQ 間には電流 は流れない.よって,VR =VP, VQ =VS.誘導 起 電 力 は OQ 間 , OS 間 に 生 じ る か ら , R O VQ >V > V ,VS >VP >VO.以上より, S R P O VQ =V >V = V >V (2) 回路 O RQ の合成抵抗値は 2 2 aR π  +    .よって ( ) O O 2 2 2 4 E aRI E I aR π π  + = =   Q Q + Ⅲ(1) 設問Ⅰ(2)の考察から,回路の抵抗を抵抗値 2 2 aR π  +    の1つ の抵抗としてまとめて扱う.すると本問の等価回路は右図. 0 t = においての回路方程式より, 0 dI I E L L d t T = = 十分に時間が経過し,電流が安定した後の回路方程式は, ( ) 0 0 2 2 π aRI E I E π  + = =  aR π aR π 2aR E 2 aR π 2aR π 2 aR π 2 aR π aR aR aR aR E E P R O S Q E L 2 2 aR π  +   

(62)

62 (2) (イ),t1 π ω = ,t2 T π ω = + 参 考 1 t = t において,回路が180° 回転するので,PQ 間の誘導起電力 E が逆向き E になる. コイルは自らを流れる電流を保持しようとして,自己誘導起電力をつくる. 1 t = t 直後の回路方程式: 2 0 2 2 dI dI E aRI L L E d t d t π   − = +  + ⇔ = − したがって,t = t1直前で 0 だった自己誘導起電力が,t = t1直後, 2E− に瞬間的に変化 する.コイルの自己誘導起電力は,電流変化率に比例するので,グラフの傾きは瞬間的 に変化することになり,グラフはt= t1で折れる.その後,コイルの自己誘導起電力は 次第に小さくなり,電流変化もゆっくりと収まっていくので,t = t2付近ではなめらか に連続でなくてはならない. 安定状態での回路方程式: 2 0 2 E  π aRI I I − = +  ⇔ = −  1 t= t 直後の回路方程式と(イ)のグラフから, 0 0 2 1 2 1 ( ) 2 I I L E t t T t t − − = − ⇔ − = − 難度:7

(63)

invitation card 11 ねじれの熱サイクル Botxfs! (1)(a) 状態方程式より, 1 1 1 1 A A P V P V RT T R = ⇔ = (b) 単原子分子理想気体であるから,求める内部エネルギーの変化∆UAB

(

)

AB B A 3 2 U R T T ∆ = − 状態方程式より,P V1 2 = RTB,P V1 1 = RTAだから,

(

)

AB 1 2 1 3 2 U P V V ∆ = − (c) 区間 A→Bで気体が外部にする仕事WABは,WAB =P1

(

V2 −V1

)

.熱力学第1法 則より,気体が外部から与えられる熱QABは

(

)

AB AB AB 1 2 1 5 2 Q = ∆U +W = P V −V (2)(a) 1サイクルで気体の温度は元に戻るので,1サイクルにおいて内部エネルギーの 変化はない.また, E →A過程は断熱過程であるからQEA = 0.熱力学第1法則よ り,

cycle cycle cycle cycle AB BD DE

Q = ∆U +W ⇔ W = Q +Q +Q 区間 A→Bと D→Eは定圧過程なので,前問より,

(

)

AB 1 2 1 5 2 Q = P V V , DE 3

(

3 2

)

5 2 Q = P V V 区間 B→Dは定積過程なので,内部エネルギー変化のみであり,

(

)

BD BD 3 1 2 3 2 Q = ∆U = P −P V 以上より

(

)

(

)

(

)

(

)

cycle AB BD DE 1 2 1 3 1 2 3 3 2 1 1 1 2 3 2 3 3 5 3 5 2 2 2 1 5 2 2 5 2 W Q Q Q P V V P P V P V V P V P V P V P V = + + = − + − + − = − + − + cycle 0 W ≥ だから,

(64)

64

(

)

(

)

L DE 3 3 2 H AB 1 2 1 Q Q P V V Q Q P V V − = = − 2 V のみを変数と見れば,この比 L H Q Q はV2(V1 <V2 <V3)の単調減少関数である. したがって前問の条件を満たすV2ならば, L H Q Q が最大のとき,

(

)

(

)

1 1 3 3 2 1 3 5 2 P V P V V P P − = − このときの1サイクルの仕事は cycle 0 W =W = である. 難度:6

(65)

invitation card 12 ピストンに隔たれた2気体を封入したシリンダーの回転 Botxfs! Ⅰ(1) ∆U1 =CV

(

T1−T0

)

(2) 0 P V U mg S ∆ = − (3) ピストンと気体の成す系のエネルギー保存則より,

(

)

0 0 1 P V 1 0 1 0 V 0 V 0 mgV U U C T T mg T T S C S ∆ +∆ = ⇔ − − = ⇔ = + 参 考 最高点と最下点でピストンは静止しているから,ピストンの失う力学的エネルギーは 位置エネルギーのみである.このエネルギーが気体にした仕事に相当し,気体の内部エ ネルギーを増加させる. Ⅱ(1) B 室は接触させた熱源により定圧に保たれている.したがって定圧膨張. A 室は 熱を通さない壁面で構成されており,熱の出入りはない.したがって断熱圧縮であ る. V 2V 0 p A1 B1 B2 2 p A2 p O 0 T 0 2 T

(66)

66 外界の状況は違えど,設問Ⅰの断熱圧縮過程と等しい.したがって,この過程で A 室の気体がされた全体の仕事は,Ⅰ(2)より V0 mg S である.また, B 室の気体がし た仕事はp V .以上より,遠心力が0 0 A 室の気体にした仕事WCは C W =mg V0 p V0 0 mg p S0 V0 S S − = − = 難度:7

参照

関連したドキュメント

ピアノの学習を取り入れる際に必ず提起される

支援級在籍、または学習への支援が必要な中学 1 年〜 3

社会調査論 調査企画演習 調査統計演習 フィールドワーク演習 統計解析演習A~C 社会統計学Ⅰ 社会統計学Ⅱ 社会統計学Ⅲ.

□ ゼミに関することですが、ゼ ミシンポの説明ではプレゼ ンの練習を主にするとのこ とで、教授もプレゼンの練習

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

ことの確認を実施するため,2019 年度,2020

授業は行っていません。このため、井口担当の 3 年生の研究演習は、2022 年度春学期に 2 コマ行います。また、井口担当の 4 年生の研究演習は、 2023 年秋学期に 2

課題 学習対象 学習事項 学習項目 学習項目の解説 キーワード. 生徒が探究的にか