3-1.GDP
中国の経済成長の見通し下方修正
・OECD・IMFは中国経済成長見通しを下
方修正
・中国政府の目標値7.5%は上回るものの
景気は力強さを欠く
・景気の弱さ・内需の後退
→7.5%のGDP成長目標達成は困難という予想も
・政府は歳出拡大による信用の拡大で不動産バブル発生を懸念
(出所) IMF - World Economic Outlook Databasesより筆者作成
3-2.生産
4月に引き続き生産は不振、外需の弱さが浮き彫りに
・
8ヶ月連続で50を上回る
・大規模・中堅企業は50を上回るが小規模企業は50を下
回る
小企業の経営状況は不振が続く
図2:製造業購買担当者景気指数(PMI)
(出所)中国物流購入連合会より筆者作成
3-3.貿易
輸出入ともに伸び悩み、EUとの貿易摩擦懸念
図3:輸出の伸びの推移(単位:%)
・6か月ぶりの1桁台に
・貿易取引を装い投機資金を国内
に持ち込む「水増し輸出」の取締
り強化
●地域別貿易総額( 1-5月)
・日中貿易 前年同月比8.9%減
・EUとの貿易 同2.8%減
・米国との貿易 同6.9%増
(1-4月累計の9.4%増から伸び鈍化)
・香港向け輸出 同54%増
(1-4月累計の69%増から伸び鈍化)
・世界経済全体の回復の遅さによる外需の弱さ
・「水増し輸出」取締り強化
→輸出の伸び悩み
(出所)中国海関総署より筆者作成
3-3.貿易
輸出入ともに伸び悩み、EUとの貿易摩擦懸念
輸出・輸入ともに伸び悩み
図4:輸入の伸びの推移(単位:%)
前年同月比0.3%減
内需の弱さ映す
●中国外為管理局による
黒字幅の下方修正
・第1四半期経常収支黒字幅
552億㌦→476億㌦に
・第1四半期資本・金融収支黒字幅
1018億㌦→901億㌦に
(出所) 中国海関総署より筆者作成
3-3.貿易
輸出入ともに伸び悩み、EUとの貿易摩擦懸念
ソーラーパネル業界の貿易摩擦が中国・EUの関係
の大局に影響しないか先行きは不透明
EU
中国
ワイン
太陽光発電製品
・中国最大の貿易相手である
EUとの貿易摩擦が懸念
・中国はEUとの戦略的協力
パートナーシップを非常に重
視
・経済・貿易は中国・EU関係
の重要な基盤
・税率11.8%の臨時
反ダンピング税
・今後47.6%に上げる
と宣言
反ダンピング・反補助金
調査を開始
3-4.消費
家電購入補助の打ち切りや「三公消費」の抑制策が
消費成長の足枷に
図5:社会消費品小売総額(単位:%)
5月社会消費品小売総額 12.9%
前月比 0.1ポイント増
社会消費品小売総額12.9%
政府の通年目標14.5%に届かず
(出所)中国国家統計局より筆者作成
各種政策の存在・打ち切りが消費に悪影響を及ぼす
省エネルギー型家電
購入補助打ち切り
・個人消費の下押し要因
・家電メーカーの淘汰進む可能性
●打ち切りの理由
・家電の普及が進み、シェアが大幅
に拡大した
・消費効果が顕著
・省エネ製品を広める目的を達した
●予想
・7-9月 家電市場の低迷
・2013年通年の中国の販売額
3.2%増にとどまる
・大企業は生産能力の過剰問題に直面
「三公消費」の抑制政策
・業界へのマイナス影響表面化
・酒類・食品業務の利益減
→チャイナフーズ利益大幅減
3-4.消費
家電購入補助の打ち切りや「三公消費」の抑制策が
消費成長の足枷に
3-5.物価
物価変動幅に差、
中国景気や企業間取引の回復鈍化
●CPI低下の要因
・CPI全体の3割を占める食品の上昇幅 3.2% (4月から0.8ポイント縮小)
・生鮮野菜は気温上昇により出荷量持ち直し 価格1.9%下落
5月CPI 前年同期比2.1%増
(前月から0.6%の低下)
→
2か月ぶりの低下
生鮮野菜の価格低下がCPI全体の低下につながった
CPIの下落は経済成長が引き続き鈍化していることを示す
図6:消費者物価指数(CPI)
(出所)中国国家統計局より筆者作成
3-5.物価
物価変動幅に差、
中国景気や企業間取引の回復鈍化
・PPIの下落続く→企業間取引の回復は鈍さ目立つ
・住宅価格の上昇続く→不動産市場の引き締め策は
実施状況に焦点を当てるべき
●5月PPI
前年同期比 2.9%減
(前月から低下幅が0.3ポイント拡大)
→3ヶ月連続で低下幅拡大
PPIは下落が続く
PPIは15か月連続で前年水準を下回る
2013年3月から下落幅が再び拡大
→企業間取引の回復は鈍さ目立つ
●5月新築住宅価格
・前年同期比6.0%増
(5ヶ月連続の上昇)
・4月の上昇幅(1%)からは伸び率低下
→政府の市場抑制策の効果が出た
依然多くの都市で住宅価格上昇
→不動産市場の引き締め策は
引き続き実施状況に焦点を当てるべき
3-6.投資
投資の伸びが引き続き鈍化
図7:固定資産投資(単位:%)
・1-4月より増加幅が減少
・地方政府のインフラ整備の遅れなどが背景にある
・5月対中直接投資実行額 前年同期比0.3%増 4月の0.4%増に引き続き伸び悩む
・1-5月累計の日本からの投資額 同5.7%増 2012年通年の伸びである16.3%を下回る
→尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化・中国の労働コストの上昇が原因
固定資産投資・対中投資ともに伸び悩み
(出所)中国国家統計局より筆者作成
3-7.金融
短期的に中国が金融緩和に踏み切る可能性は低い
図8:通貨供給量(単位:%)
・予想値15.9%をわずかに下回る
→5月の通貨環境は依然厳しい
・政府は経済成長の成長率ではなく質を高める事
に重点を置くことを強調
M2の伸びは依然高いが金融緩和の可能性は低い
(出所)中国人民銀行より筆者作成
3-7.金融
短期的に中国が金融緩和に踏み切る可能性は低い
シャドーバンキング・システムが四半期末
SHIBOR急騰の原因
SHIBOR(上海銀行間取引金利 翌日物インターバンク・レート)も急騰
・一部では25%に達する
・直接の原因は
シャドーバンキング・システム
地方政府の不動産開発
地方政府にとって重要な資金源
融資資金を自前調達する必要性
SPV(特別目的会社)=本社と財務的に隔離された中小金融機関 を設立
↓
WMP(高利回り商品)を富裕層に販売、資金調達
投資の不採算から利子支払のための資金調達に窮するところも多い
⇒
SHIBOR急騰の原因
融資平台 ・ 不動産開発会社
3-7.金融
短期的に中国が金融緩和に踏み切る可能性は低い
シャドーバンキング・システムの膨張は
金融システム全体を揺るがしかねない
●シャドーバンキング・システムの影響
・地方政府の債務リスク
→シャドーバンキングの膨張を放置すれば連鎖的金融不安を招く恐れ
・
金利の急上昇
一部地方銀行・農村向け金融機関は手持ち資金不足に
⇔潤沢な預金を抱える四大銀行が直ちに資金繰り不安に直面することはない
↓
しかし
シャドーバンキングを通じてマネーが銀行・企業・個人・地方政府の間で複雑に絡み合う
預金保険制度の未整備
↓
ひとたび破綻が起きると連鎖破綻を引き起こす可能性
3-8.対外
米中首脳会談開催、協力関係を深める動き
●米中首脳会談 米カリフォルニア州
アメリカ
中国
市場の自由化などを求める 国内改革に取り組む
意欲を示す
両国の対立点は多い
人民元相場の切り上げ
知的財産権の保護
貿易・投資の促進など「共通の利益」に向けた協力関係は
深まる見通し
経済の相互依存は強まる
・更なる関係強化
・世界経済の安定に向けた協議
3-8.対外
米中首脳会談開催、協力関係を深める動き
●経済分野
アメリカ
中国
TPPに関する情報提供に
協力する意向示す
環太平洋経済連携協定(TPP)の
交渉に関する情報提供を求める
中国は米国に対抗し、アジアの経済連携を更に前進させる可能性
●中国のTPP参加は難しい
貿易・投資の自由化
知的財産権保護の明確化
→現在の中国には高いハードル
●TPPは無視できない存在に
日本が加われば参加国の
国内総生産(GDP)は世界第4位
→大貿易権に
3-8.対外
米中首脳会談開催、協力関係を深める動き
アメリカ
中国
中国政府内には米国が望む国内改革に取り組む動きも
・アメリカにとって中国は最も有望な市場
↔2012年の対中貿易赤字は過去最高水準を記録
・米国内の不満
: 競争条件の不平等
中国による人民元相場の上昇抑制・国内投資への規制
政府の補助金を背景とした国有企業の活動など
・競争力強化のため企業の海外進出を後押しする
中国にも不満
米議会が安全保障を名目として中国の通信機器大手企業の部品を政
府に調達しないよう勧告→米国への投資が阻害
・政府による刺激策・直接投資に頼る余地は多くなく、市場に頼る必要性
→国内改革に取り組む動きも
4.6月のまとめ
GDP
貿易
消費
物価
投資
金融
対外
中国経済
生産
中国の経済成長見通し
相次いで下方修正
4月に引き続き生産活動
は不振、外需の弱さが
浮き彫りに
輸出入ともに伸び悩み、
EUとの貿易摩擦懸念
家電購入補助の打ち切りや
「三公消費」の抑制策が消費
成長の足枷に
物価変動幅に差、中国景気や
企業間取引の回復鈍化
投資の伸びが引き続き鈍化
短期的に中国が金融緩和に
踏み切る可能性は低い
米中首脳会談開催、
協力関係を深める動き