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日本印刷学会誌45-2

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Academic year: 2021

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(1)

論 文

目視によるモニタの階調再現特性および白色点の色度に対する

キャリブレーション手法の検討

*

A Visual Calibration Method for Calibrating the Tone Reproduction

Curve and the Chromaticity of White Point of a Monitor*

杉山 徹

**

・工藤芳明

**

 

Tohru SUGIYAMA** and Yoshiaki KUDO**

**Integrated Manufacturing Technology Laboratory, Dai Nippon Printing Co., Ltd. 1-1-3, Midorigahara, Tsukuba-shi, Ibaraki, 300-2646 JAPAN

1

.はじめに

 近年,グラフィックアーツ業界では,印刷物の単価下落 や,安価で高性能な液晶モニタの登場に伴い,不必要な中 間印刷物(色校正のための刷り物)の削減や,作業効率の 向上を図るために,紙媒体への出力を行わず,モニタに表 示した画像を観察して印刷の色再現や仕上がり体裁などの 確認を行う,ソフトプルーフの導入が進められている.ソ フトプルーフで精度の高い色調確認を行うためには,モニ タ上に印刷の色が正確に再現されている必要がある.ソフ トプルーフは,モニタのキャリブレーション,プロファ イル作成,色変換の 3 プロセスで行われる.キャリブレー ションは,モニタの階調再現特性( 特性),白色点の色 度(もしくは色温度),最大輝度を,所定の状態(例えば, sRGB1)では, 値:2. 2,白色点の色温度:6500 K,最大 輝度:80 cd/m2に規定されている)に,モニタの調整つ まみを操作したり(ハードウェアキャリブレーション), ビデオボードの設定を変更したり(ソフトウェアキャリブ レーション)して調整する.モニタプロファイルの作成で は,それらの特性を測定し,所定のフォーマットのファイ ルとして保存する.このファイルフォーマットとしては, カラーマネジメントの標準規格である,ICC 規格2)に準 拠したモニタプロファイルの形式を利用するのが一般的で ある.最後に,プロファイルによる色変換であるが,印刷 は CMYK の 4 原色で色を再現し,モニタは RGB の 3 原 色で再現するため,別途作成しておいた印刷の特性を表現 したプリンタプロファイルと,このモニタプロファイルを 用いて CMYK から RGB への色変換を行う.これらの作 業を行った上で,モニタに画像を表示することにより,ソ

Abstract

  These days, soft proof, which checks color images of printed matter on a monitor, is widely used in the field of graphic arts. In order to provide high quality soft proofing system, it is necessary to calibrate the tone reproduction curve and the chromaticity of white point of a monitor to desire characteristics and to make an ICC display profile. In such a background, we developed a method to calibrate them with low cost and high quality by visual calibration. This paper reports the principle and calibration accuracy of our method. In general, it is well known to adjust brightness of a continuous tone image with that of a binary image on a monitor for calibrating tone reproduction curve of the monitor. On the other hand, our method adjusts brightness and hue of three continuous tone images to those of binary images. As a result, our method can calibrate nonlinear tone curve of LCD accurately. In addition, our method can be applied to many viewing illumination conditions, because our method adjusts a color of white point of the monitor to that of target paper under a viewing illumination. Three experiments using three different LCDs were done to test the calibration accuracy of our method. The results of the experiment show the monitors calibrated by our method have enough accuracy for soft proof.

* 2007 年 4 月 19 日受理

** 大日本印刷(株)技術開発センター生産総合研究所 (〒 300-2646 茨城県つくば市緑ヶ原 1-1-3)

(2)

フトプルーフが実現される.  モニタのキャリブレーションとプロファイルを作成する ツール3)は,様々なメーカーから販売されている.これ らの市販ツールは,測色器を使用してキャリブレーション とプロファイル作成を行うタイプと,測色器を使用せずに 目視でキャリブレーションを行い,モニタプロファイルを 作るタイプに分類される.測色器を使用するタイプは,モ ニタの 値,白色点の色度などが正確に測定できるので, 高精度なキャリブレーションおよびモニタプロファイル作 成ができる.一方,目視タイプのツールは,様々な調整 チャートを利用してモニタのキャリブレーションを行うが (紙媒体のチャートとモニタ上に表示したチャートを比較 しながら調整する方法と,モニタ上に表示したチャートの みを観察して調整する方法がある),実施者の習熟度の影 響などを受けやすく,モニタのキャリブレーションを安定 して行うことができない.また,一般的な調整チャートは, CRT 用に設計されている場合が多く,液晶モニタ特有の 階調再現特性(

2.1.1

項で詳細について述べる)をキャリ ブレーションすることが難しい.このような理由により, 色再現を一定の範囲に収めるようなモニタプロファイルを 作成することは難しい.したがって現状では,測定器を使 うタイプのツールを利用することになるが,測色器は高価 であり,このようなツールを多数の作業現場へ展開するこ とは困難である.  そこで我々は,従来の目視ツールの欠点を改善するため に,新たにモニタ調整チャートと調整方法4 -7)を考案し, モニタの階調再現特性と白色点の色度のキャリブレーショ ンをより正確に行えるようにした.その結果,従来の目視 ツールの精度を上回るモニタキャリブレーションができ るようになった.本論文では,我々が提案するモニタ調整 チャートを用いた調整方法を説明し,その方法によるキャ リブレーションの精度に関する検証結果を述べる.

2

.本手法の原理

 モニタをソフトプルーフとして使用するには,前述のと おり,モニタのキャリブレーション,プロファイル作成, および色変換の 3 つの手順が必要であるが,本論文では, モニタの特性に直接関係する,キャリブレーションとモニ タプロファイル作成までを検討範囲としている.

Fig.1

に, モニタのキャリブレーションとプロファイル作成のフロー を示す.  以下に,我々の考案手法の原理を,従来の一般的な手法 と比較しながら,キャリブレーションとプロファイル作成 に分けて説明する.

2.1

 キャリブレーション  モニタのキャリブレーションは前述のとおり,モニタ本 体の輝度,ゲイン,カラーバランス等の調整(ハードウェ アキャリブレーション)や,接続されたコンピュータから 出力される画像のデジタル信号をモニタが解釈できる信号 に変換するビデオボードの設定値の調整(ソフトウェア キャリブレーション)によって行われる.モニタのキャリ ブレーションは,次の 2 要素を所定の値に調整することで 実現する.  (1) 3 原 色(R:Red,G:Green,B:Blue) の 階 調 再 現特性  (2) 白色点の色度  以下に 2 要素を調整する方法を示す.

2.1.1

 階調再現特性  階調再現特性は,RGB それぞれの入力信号値と表示色 の輝度との対応関係で得られる.一般的なモニタでは, RGB 等量の入力信号に対して無彩色が表示されるように 調整されており, RGB 等量で再現された白から黒におけ る入力信号値と輝度との対応関係で得られる.  CRT モニタの場合,それぞれ 0 ∼ 1 に正規化した入力 信号[

In

]と発光輝度[

Out

]との関係は,式(1)のよ うに記述できる.したがって,入力信号と発光輝度との対 応関係を 1 点測定すれば 値が算出でき,CRT モニタの 階調再現特性を求めることができる.

Making ICC Profile

•Tone reproduction of three primary colors •Chromaticity of white •Chromaticities of

three primary colors

ICC Profile x y Input Output

Calibration

•Tone reproduction of three primary colors •Chromaticity of white

Setting of video board

Making ICC Profile

•Tone reproduction of three primary colors •Chromaticity of white •Chromaticities of

three primary colors

Making ICC Profile

•Tone reproduction of three primary colors •Chromaticity of white •Chromaticities of

three primary colors

ICC Profile x y x y Input Output Input Output

Calibration

•Tone reproduction of three primary colors •Chromaticity of white

Calibration

•Tone reproduction of three primary colors •Chromaticity of white

Setting of video board

Fig.1 Procedure to set a monitor for ICC color management workflow

(3)

  (1)  CRT モニタの 値は,

Fig.2

に示すような測定チャー トを用いることにより,目視で求めることができる8).

Fig.2

中の 2 値画像領域は,白 50 %,黒 50 % の面積比で 構成されており,この領域の明るさは,最大輝度の 50 % である.2 値画像領域に囲まれた連続階調画像領域は, RGB 値を調整することにより,明るさを変化させること ができる.ユーザーは,2 値画像領域と同じ明るさに見え るように連続階調画像領域の明るさを調整して,最大輝度 の 50 % の輝度に等しい連続階調画像の RGB 値を求める. そして,式(1)の[

In

]に正規化した RGB 値,[

Out

] に 0. 5 を代入すると,CRT モニタの 値が得られる.  一方,液晶モニタの階調再現特性は,CRT モニタと似 た特性や,S 字状など,機種によって形状が異なるため, 1 点のみの明るさ調整では正確な形状を推定することが困 難である.そこで,本手法では,

Fig.3

に示す白色面積率 75 %,50 %,25 % の 3 組のパターンを採用し,様々な形 状の階調再現特性の推定ができるようにした. この手法で 階調再現特性を求めるには,まず,

Fig.3

に示す 3 組のパ ターンに対して目視で明るさのマッチングを行い,マッチ ングしたときの連続階調画像の RGB 値を求める.この 3 組の RGB 等量の値と,面積比で決まる相対輝度値を用い て,

Fig.4

のように曲線近似を行うと,表示デバイスの大 まかな階調再現特性を求めることができる.  ところが液晶モニタでは,上記の推定では,精度の高い 階調再現特性を求めるには,まだ不十分である.CRT モ ニタでは,RGB 等量で変化するグレーにおける色度の変 化は少ないが,液晶モニタでは,明度が下がるにつれて青 方向に大きくシフトする9 -11)ことが報告されている.そ の報告を確認するために,我々が,代表的な CRT モニタ, デスクトップ型液晶モニタ,ノート PC 型液晶モニタを選 定し,RGB 等量グレーの明度を最大(白)から最小(黒) まで変化させて表示し,測色した値を xy 色度図(横軸: x,縦軸:y)にプロットしたのが

Fig.5

である.

Fig.5

から, CRT モニタでは白から黒へと明度が下がったときの色度 の変化が少ないことがわかる.一方,液晶モニタにおいて は,デスクトップ型,ノート PC 型のどちらとも白から黒 へと明度が下がるにつれて左下方向,すなわち青方向に大 きくシフトしている.この色度の変化は,液晶素材の固有 の性質や,LCD パネル構成上の光学素子である偏光板の 光学特性に起因すると考えられている.そのため,液晶モ ニタでは,白から黒まで全明度域で無彩色となるような階 調再現特性は,明るさマッチングのみでは得られない.こ の課題を解決するために,測色器を使用してグレーの明る さだけでなく,色相もキャリブレーションする手法が提案 されている10, 11).我々は,目視でこの課題を解決するた めに,

Fig.3

に示す 3 組のパターンに対して,明るさだけ でなく,色みも目視で合わせるようにした.明るさと色み を両方合わせるためには,Red,Green,Blue の 3 色を独

Out = In

Binary Image Area Continuous Tone Image Area

Fig.2 One of the general patterns to predict the tone reproduction curve of a monitor

75% White Pixel 50% White Pixel 25% White Pixel Continuous Tone Image Area

Binary Image Area

Fig.3 Patterns to predict the tone reproduction curve by our method RGB Value Brightness 50% 25% 75% RGB Value Brightness 50% 25% 75%

Fig.4 A sample of tone reproduction curve predicted by our method

(4)

立して調整する必要があるが,操作が複雑になってしまう. そこで,

Fig.5

のように液晶モニタの RGB 等量グレーの 色相が黄−青方向に大きく変化する性質を利用し,Red, Green の調整は行わず,明度(RGB が等量で変化する)と, 黄−青(Red,Green は固定し,Blue のみ変化する)の 2 軸方向の調整を行えるようなユーザーインターフェースを 用意して,だれにでも簡単に調整できるようにした.本手 法では,これらの調整結果をビデオボードの設定に反映 させる,ソフトウェアキャリブレーションを採用した.本 手法の検証には,モニタ制御用パソコンとして Macintosh を使用した.Mac OS には,ビデオボードの階調再現特性 を設定する機能12)があるので,これを利用した.本手法 によって求めた階調再現特性の逆関数と,目標ガンマ値の カーブを合成した階調再現カーブを設定すれば,目標ガン マ値にキャリブレーションされる.

2.1.2.

白色点の色度  白色点の色度は,RGB 3 原色を最大輝度で同時に発光 させたときの測色値である.ソフトプルーフ用途のため のモニタ調整の目標値は ISO 1264613)に定められている. この規格では,白色点の色度を 5000 K の色温度に調整す ることが推奨されている.また,輝度に関しては“最低 80 cd/m2でなければならず,120 cd/m2が望まれる”と記 述されている.一方,印刷物の色の見えは,照明環境や印 刷物を観察する周囲環境によって変化する.モニタと比較 するときの印刷物観察用照明としては,印刷産業用カラー ディスプレイスペック検討委員会が策定したガイドライン 14)においては,“色温度:5000 K,照度:500 lx”が推奨 されている.  しかし,上記のような推奨条件にしたがってモニタを キャリブレーションし,照明環境を整備した上で,モニ タと印刷物を併置して比較したとしても,両者の色みは異 なって見える場合が多い.これは,用紙白色が完全な無彩 色ではなく若干色みが付いていること,照明は照度によっ て規定されており,用紙から反射される光の輝度を規定し ているわけではなく,したがって,モニタと用紙の輝度が 異なってしまう場合がある,などの原因が考えられる.さ らに実際には,標準的な観察照明下で色評価されるとは限 らず,様々な色度・照度の照明下で評価されている.この ような照明の違いは,印刷物の色の見えに影響を及ぼすた め,特定の目標値にモニタを調整すれば,すべての照明条 件でモニタと印刷物の見た目が合うわけではない.そこで 本手法では,様々な観察照明下にモニタが置かれ,その横 に印刷物を併置する状態を想定して,実際の観察環境にお いて,モニタの白色点の色みを,用紙白色に合わせるキャ リブレーション手法を採用した.具体的な手順としては, モニタと,併置した印刷用紙の明るさ・色みを比較し,両 者が同じように見えるようにモニタの明るさと色みを調整 し,その結果をビデオボードの設定に反映させた.

2.2

 モニタプロファイルの作成  ICC 規格に準拠したカラーマネジメントワークフローに 従ってソフトプルーフを行うためには,モニタプロファイ ルを作成する必要がある.モニタプロファイルには,様々 な情報が記述されているが,モニタの色再現特性を特定す る情報は,次の 3 要素である.  (1) 3 原 色(R:Red,G:Green,B:Blue) の 階 調 再 現特性  (2)白色点の色度  (3)3 原色の色度  以下に,この 3 要素のプロファイルへの記述方法につい て述べる.

2.2.1

 階調再現特性  階調再現特性に関しては,

2.1.1

項の手法によって,あ らかじめ目標ガンマ値(例えば=2. 2)にキャリブレー ションされているので,目標ガンマ値をモニタプロファイ ルに記述した.

2.2.2

 白色点の色度  ICC 規格に準拠したカラーマネジメントワークフローで Fig.5 xy chromaticities of color patches displayed on monitors

(5)

は,白色の色みが異なるメディア間でのカラーマッチング を行う場合,白色の色みを合せる演算に白色点の測色値が 必要である.しかし,本手法では,モニタの白色と用紙白 色の色みは

2.1.2

項の手法によって合わせてあるため,白 色の色みを合せる演算処理は不要であり,ICC 規格で定義 された白色点の色度の値は,本手法では使用しない.

2.2.3

 

3

原色の色度  3 原色の色度は,印刷の色再現を表した CIE XYZ もし くは CIE L*a*b* 測色値を RGB 値へ変換するときに使用す る.この 3 原色の色度はモニタによって異なり,目視では 正確に測定することが困難であるため,本報告では,分光 測色器で測定した値を利用した.3 原色の色度は,多数の モニタを,CRT モニタ,デスクトップタイプ液晶モニタ, ノートタイプ液晶モニタの 3 つのカテゴリーに分けて測定 し,それぞれのカテゴリーの平均値を求めた.モニタプロ ファイル作成時に,ユーザーがモニタのカテゴリーを選択 し,そのカテゴリーに対応する 3 原色の色度を使用するこ とにした.

3.

精度検証実験

 本手法を利用したモニタのキャリブレーション精度は, 以下の方法で確認した.

3.1

 グレーバランス改善効果の検証  モニタの階調再現特性は, RGB等量で再現されるグレー が白から黒まで同じ色度であることが理想である.しかし, 実際のモニタにおいては,

Fig.5

に示したとおり,明度に よって変化する.したがって,明度だけでなく色みも調整 する必要がある.我々の考案した手法では,2 章で述べた とおり,

Fig.3

のパターンを利用して,明度と色みを調整 した階調再現特性を得る.この手法で調整した階調再現特 性の精度は,以下に示す評価方法で確認した.

3.1.1

 検証方法  検証実験に使用したモニタは,

Table.1

に示す 3 台の液 晶モニタである.デスクトップ型の 2 台の液晶モニタは, グラフィックアーツ業界において比較的よく使われている モニタである.また,ノート型パソコンも,パソコンを持 ち運んで作業する場合があるため,評価対象に加えた.目 視によるキャリブレーションは,3 名(男性 3 名,全員色 覚正常)の被験者で行った.実験は,下に示す本手法(a) と(b)の 2 通りの条件でキャリブレーションしたモニタ, 2 種類の市販ツールでキャリブレーションしたモニタ,お よび未補正モニタの場合の 5 通りの条件で行った.  ● 本手法(a):目視で明度のみをキャリブレーション   − この調整方法は,

Fig.3

に示す 3 種類のパターンを 使用し,連続階調画像領域の明度を調整した後,モ ニタプロファイルを作成する.  ● 本手法(b):目視で明度と色みをキャリブレーション   − この調整方法は,

Fig.3

に示す 3 種類のパターンを 使用し,連続階調画像領域の明るさと色みを調整し た後,モニタプロファイルを作成する.  ● 市販測色器使用ツール(c):分光測色器を使用す る 市 販 ツ ー ル(GretagMacbeth 社 製 ProfileMaker ver. 4. 1. 5)によるキャリブレーション   − この調整方法は,分光測色器(GretagMacbeth 社 製 Spectrolino)を用いて,階調再現特性と白色の 色度を目標値(:1. 8,色温度:5000 K)に調整し た後,3 原色の色度,白色の色度および階調再現特 性を分光測色器で測定し,その測定値を使ってモニ タプロファイルを作成する.  ● 市販目視ツール(d):目視でプロファイルを作成する

市販ツール(Adobe Gamma ver. 3. 2)によるキャリ ブレーション   − この調整方法は,

Fig.2

に示すような 1 つの連続階 調画像領域の明度を調整した後,モニタプロファイ ルを作成する.  ● 未補正モニタ(e):メーカー出荷時の状態のまま,調 整を行わない   − モニタプロファイルは,Web 用画像作成などで標 準的に使用される,sRGB プロファイルを利用した.  実験手順としては,まず,未補正モニタ(e)以外は上 記 4 通りの方法でモニタをキャリブレーションした後,プ ロファイルを作成した.未補正モニタ(e)では,キャリ

Name Maker Size Display Type Desktop / Note PC FlexScan L767 EIZO 19inch TFT LCD Desktop

Studio Display Apple 17inch TFT LCD Desktop PowerBook G4 Apple 15inch TFT LCD Note PC

(6)

ブレーションは行わず,あらかじめ用意したプロファイ ルを利用した.次に,モニタに RGB 等量で再現された黒 から白まで 9 階調(RGB 値 =0,32,64,96,128,160, 192,224,255)のグレーパッチを表示し,分光測色器 (GretagMacbeth 社製 Spectrolino)で測色した.

3.1.2

結果と考察  上記 3 機種 5 条件の実験結果を,

Table.2

および

Fig.6

に示す.

Table.2

および

Fig.6

C

abは相対彩度を表して

おり,白色点の色度(L*white,a*white,b*white)と評価対

象点の色度(L*,a*,b*)と間の相対彩度を式(2)によっ て計算したものである.

C

abが小さければ,評価対象点は 白色と近い色みであり,大きくなるにつれて,異なる色み であることを示す.   (2)  本手法(a),(b)および市販目視ツール(d)に関しては, 測定結果の信頼性を高めるために,10 回のキャリブレー ションを行い,その平均の測定値を示した.(c)の市販測 色器使用ツールおよび(e)の未補正モニタは,ばらつき が少ないため,1 回の測定値を示した.

Table.2

は,RGB 値が 32 から 224 までの 7 階調のグレーパッチの測定値か ら求めた相対彩度

C

abの平均値を条件毎にまとめたもの である.RGB 値が 0 の場合,液晶が完全に消灯している ためキャリブレーションが効かない,RGB 値が 255 の場 合,基準値として用いられるために必ず

C

abが 0 になる, という理由で評価対象から外した.

Fig.6

は,上記の結果 をさらに詳細に解析するために作成した.横軸は測定した カラーパッチの RGB 値を表し,縦軸の

C

abは白色点との 相対彩度を表している.(a),(b),(d)の条件では,全 被験者の平均値をプロットした.以下に,

Table.2

および

Fig.6

から分かることを条件ごとに記す.

C

ab

=

b

a

*

− a

*

white

B2+b

b

*

− b

*

white

B2 q Monitor

Subject Sub:A Sub:B Sub:C Ave. Sub:A Sub:B Sub:C Ave. Sub:A Sub:B Sub:C Ave. (a) Adjusted brightness

by our method 4.46 3.96 3.71 3.71 3.39 3.45 3.02 2.94 11.68 9.55 8.47 8.85

(b) Adjusted brightness

and hue by our method 1.92 2.32 4.12 2.71 3.05 3.08 0.68 2.14 7.08 2.67 4.27 4.90

(c) Profile Maker - - - 0.70 - - - 1.17 - - - 1.14 (d) Adobe Gamma 7.68 4.68 9.03 7.98 6.49 4.53 5.59 6.51 13.27 10.60 13.00 12.47 (e) Un-adjusted - - - 4.03 - - - 4.15 - - - 9.51

EIZO FlexScan L767 Apple Studio Display Apple PowerBook G4

0

0 (a) Adjusted brightness by our method (b) Adjusted brightness and hue by our method (c) Profile Maker (d) Adobe Gamma (e) Un-adjusted EIZO FlexScan L767 0 5 10 15 20 25 0 50 100 150 200 250 RGB Value Cab Apple StudioDisplay 0 5 10 15 20 25 0 50 100 150 200 250 RGB Value Cab Apple PowerBook G4 0 5 10 15 20 25 0 50 100 150 200 250 RGB Value Cab 0

(a) Adjusted brightness by our method (b) Adjusted brightness and hue by our method (c) Profile Maker (d) Adobe Gamma (e) Un-adjusted EIZO FlexScan L767 0 5 10 15 20 25 0 50 100 150 200 RGB Value Cab Apple StudioDisplay 0 5 10 15 20 25 0 50 100 150 200 250 RGB Value Cab Apple PowerBook G4 0 5 10 15 20 25 0 50 100 150 200 250 RGB Value Cab 250

Table.2 Chroma(Cab)of color patches having equivalent RGB values

(7)

 市販測色器使用ツール(c)では,未補正と比較して, すべてのモニタの全明度領域において

C

abが小さくなる 当然の結果が示された.  市販目視ツール(d)では,すべてのモニタと被験者に おいて,未補正(e)よりも逆に

C

abが悪化するという結 果が得られた.

Fig.6

からは,明度が下がる(RGB 値が小 さな値になる)につれて

C

abが大きくなり,グレーバラ ンスが崩れている傾向が読み取れる.この結果から,1 つ のパターンで明度のみ調整する手法では,液晶モニタに対 してキャリブレーションの精度が十分に得られないことが 確認できた.  一方,本手法(a)では,市販目視ツール(d)と比較 して

C

abを小さくすることができた.これは,液晶モニ タの非線形な階調再現特性は,

Fig.3

に示す 3 組のパター ンを用いるほうが,

Fig.2

に示す 1 組のパターンを用いる より正確に調整できることを示している.また,未補正(e) と比較したとき,

Table.2

の平均値では若干

C

abは向上し ているが,

Fig.6

を見ると,モニタの機種や明度領域によっ ては,若干悪化している箇所が見られる.これは,明度の みの調整では,キャリブレーションの精度が不十分である ことを示している.  さらに,本手法(b)の明度と色みをともに調整する条 件においては,(c)の市販測色器使用ツールには及ばない ものの,(a)の明度のみ調整よりも

C

abを小さくできる 結果が得られた.これは,明度と色みの両方を調整する方 法が,

C

abを小さくするのに有効であることを示している.  また,モニタ機種別に比較してみると,(a)の明度のみ を調整する条件に対して,(b)の明度と色みともに調整 する条件における

C

abの減少量は,PowerBook G4 が一番 大きかった.これは,PowerBook G4 は他のモニタと比較 して未補正の

C

abが一番大きい,すなわち,グレーの色 度の変化が一番大きいため,色み調整の効果が最も顕著に 現れたと考えられる.

3.2

 モニタの白色調整に対する評価実験  ソフトプルーフで印刷物の色を確認するには,モニタ白 色の色みが用紙白色と合っていることが重要である.ここ では,様々な照明下で,モニタ白色の色みを用紙白色に合 わせたときのマッチング精度を評価した.

3.2.1

 実験方法  この実験は,1 種類の液晶モニタ(EIZO FlexScan 767) を使用して,7 名(男性 7 名,全員色覚正常)の被験者で行っ た.実験装置の構成は,

Fig.7

に示すとおりである.モニ タとターゲット用紙を色見台の中に設置してある.色見台 の背景はマンセル N 7 相当のグレーである.照明条件は,

Table.3

に示すとおり色温度 5000 K において,照度を 100 ∼ 1500 lx の 5 段階に変化させた条件(1)から(5)まで と,色温度 6500 K,500 lx を用いた条件(6)である.照 度は,照度計をモニタの手前 10 cm に水平に置いて測定し, 測定された照度が目標値に近付くように,蛍光灯を黒い紙 で覆う面積を調整した.  実験では,まず,

Table.3

に示す各照度条件において,

Fig.7

に示すように調整用のモニタ白色カラーパッチと ターゲット用紙を併置し,被験者が目視でモニタ白色カ ラーパッチの色みをターゲット用紙に合わせた.次に,色 を合せたモニタ白色とターゲット用紙の色度を分光放射輝 度計(フォトリサーチ社製 PR-705)で測色し,それらの 白色の測定値に対する色差を求めた.  モニタ白色は,赤,緑,青の発光強度を独立して調整す Paper Black Paper Fluorescent Lamp Color Patch Monitor Viewing Booth Paper Black Paper Fluorescent Lamp Color Patch Monitor Viewing Booth No. CCT(K) Illuminance(lx) (1) 5000 100 (2) 5000 250 (3) 5000 500 (4) 5000 1000 (5) 5000 1500 (6) 6500 500

Table.3 Illumination conditions for color matching experiment

(8)

ればターゲット用紙の色みに合わせることが可能である が,カラーマッチング実験に慣れていない被験者にとって は,3 原色を独立させて色を合わせるという作業は,どの ように調整したらよいか分かりにくく,難易度が高い.そ こで,モニタ白色の調整が目視で効率よく操作できるよう に,(1)明度の粗調整,(2)黄­青の粗調整,(3)赤­緑 の粗調整,(4)明度の微調整,(5)黄­青の微調整,(6) 赤­緑の微調整,(7)明度・色度の最終調整,の 7 ステッ プで行える方法を採用した.

Fig.8

は,この手法によって, モニタ白色が用紙白色の色みに近づいていく様子を図示し たものである.この方法では,不慣れな被験者でも,ステッ プを追うごとに少しずつ色みと明るさを合わせることがで きる.本実験において被験者は,各条件で 3 回づつマッチ ングを行った.また,目視調整と測定器による調整の精度 を比較するために,分光放射輝度計を使用し,モニタ白色 の測色値がターゲット用紙の測色値と一致するように,モ ニタ 3 原色の発光強度を調整する実験も同時に行った.

3.2.2

 結果と考察  各照明条件における,7 名の被験者の 3 回のマッチング 実験および分光放射輝度計によるマッチング実験の結果を

Table.4

に示す.

Table.4

中のΔ

E

abの値は,カラーマッ チングしたモニタ白色とターゲット用紙の測色値に対して 式(3)で計算した CIE L*a*b* 表色系における a*b* 平面上 の色差である.式(3)の( *paper,*paper)は用紙,( *display,

*display)はモニタ白色の CIE L*a*b* 値を表す.各被験者

のΔ

E

abは,3 回のマッチング実験の平均値である.縦 列の右から 3 番目(Ave.)には,各照明条件における全 被験者の平均色差が示してある. また,分光放射輝度計に よるマッチング結果が右から 2 番目(Measured),未補 正(モニタ出荷時の初期設定状態)の結果が一番右(Un-Calibrated)に示してある.   (3)  

Table.4

より,目視でのマッチング精度はすべての照明 条件において,7 名の平均色差Δ

E

abの値が約 10 程度で あり,未補正と比較すると,大幅にマッチング精度は向上 していることがわかる.しかし,色差Δ

E

abの 10 という 値は,かなり大きな色の違いであり,分光放射輝度計を使 用したときの色差Δ

E

abと比較しても,測色値での評価 では,あまり高い精度でマッチングされたとは言い難い.  次に,これらの結果を,

Fig.9

の xy 色度図にプロットし, 分布を評価した.

Fig.9

の■は用紙の測色値,△は分光放 射輝度計でマッチングしたモニタ白色の測色値,○は未補 正のモニタ白色の測色値を示す.それ以外のシンボルは, 7 名の被験者が目視でマッチングしたモニタ白色の測色値 を示している.また,

Fig.9

に示した楕円は,全被験者のマッ チング結果に対して xy の 2 次元平面における主成分分析 を行い,第 1 主成分の標準偏差を長軸,第 2 主成分の標準 偏差を短軸として描いたものである.この楕円が示す結果 は,すべての照度条件において,すべての被験者が,モニ タ白色の色みを用紙白色よりも青方向に合わせる傾向があ Red Green Yellow Blue (1) Brightness (Rough) (2) Yellow-Blue (Rough) (3) Red-Green (Rough) (4) Brightness (Fine) (5) Yellow-Blue (Fine) (6) Red-Green (Fine) (7) All (More Fine) Paper White Initial Display White

Fig.8 Status of each step in adjusting procedure

Sub: A Sub: B Sub: C Sub: D Sub: E Sub: F Sub: G Ave. Measured Un-Calibrated (1) 5000 100 11.68 11.69 8.43 20.52 20.73 16.05 5.07 13.45 5.41 24.64 (2) 5000 250 9.64 7.51 16.14 7.81 11.35 4.29 0.65 8.20 2.23 24.02 (3) 5000 500 10.70 10.74 11.44 14.61 14.90 8.42 4.45 10.75 2.10 25.41 (4) 5000 1000 8.44 7.46 11.13 10.44 12.61 20.64 6.02 10.96 2.31 26.37 (5) 5000 1500 6.08 10.02 9.57 15.56 15.94 14.06 4.85 10.87 2.52 27.91 (6) 6500 500 8.71 10.95 12.55 22.06 13.27 18.36 4.11 12.86 2.58 15.58 No. CCT(K) Illuminance(lx)

Table.4 ΔEab between display white point and target paper

¢E

ab

=

b

a

*

paper

− a

*

displayB2+b

b

*

paper

− b

*

display

B2

(9)

ることを示している.また,目視マッチングのばらつき方 向は,青­黄方向(右上­左下)に大きく,赤­緑方向(右 下­左上)に小さいことがわかる.  このばらつきの要因を調べるために,本実験のマッチン グ結果とマッカダムの実験データ15)を重ねて

Fig.10

作成した.

Fig.10

の青の楕円が本実験(5000 K ­ 500 lx 照 明条件)のマッチング結果,赤の楕円がマッカダムの実験 データである.本実験のマッチング結果は 2 倍,マッカダ ムの楕円は 10 倍に拡大してある(分布の面積を見るため ではなく,分布の方向を見ることを目的としているため, (1) 5000 K - 100 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (2) 5000 K - 250 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (3) 5000 K - 500 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (4) 5000 K - 1000 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (5) 5000 K - 1500 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (6) 6500 K - 500 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y 0.00 0.00

Paper Sub: A Sub: B Sub: C Sub: D Sub: E Sub: F Sub: G Measured Un-Calibrated (1) 5000 K - 100 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (2) 5000 K - 250 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (3) 5000 K - 500 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (4) 5000 K - 1000 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (5) 5000 K - 1500 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (6) 6500 K - 500 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (1) 5000 K - 100 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (2) 5000 K - 250 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (3) 5000 K - 500 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (4) 5000 K - 1000 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (5) 5000 K - 1500 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y (6) 6500 K - 500 lx 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 0.29 0.30 0.31 0.32 0.33 0.34 0.35 0.36 0.37 x y 0.00 0.00

Paper Sub: A Sub: B Sub: C Sub: D Sub: E Sub: F Sub: G Measured Un-Calibrated

(10)

両者の大きさが近くなるような倍率に変倍した).この図 から,本実験のマッチング結果のばらつきの傾向(長軸, 短軸の方向,楕円の形状)が,マッカダムの楕円とよく似 ていることがわかる.マッカダムは,所定の色に対して多 数の方向で,加法混色による等色実験を何回も行い,こ のような色弁別楕円を求めた.この実験の結果は,xy 色 度図が,均等色空間になっていないことを示している16). 一方,我々の実験ではカラーマッチングを行っており,カ ラーマッチングのばらつきは,色弁別の影響を受けている と考えられるので,分布方向の偏りは,xy 色度図が均等 色空間になっていないことが原因の一つであると考えられ る.  一方,モニタ白色の色みが用紙白色よりも青方向に合わ せられた傾向の原因としては,液晶モニタ固有の特性,測 色器の特性,CIE 標準観測者の視感度特性と被験者の分光 感度特性が異なる,などの可能性が考えられるが,今回の 実験からだけでは直接の原因を特定することは出来ない.

3.3

 マッチング結果の評価実験  

3.2

節の実験では,目視ではモニタと用紙の色みが合っ ているように見えたにもかかわらず,両者の測色値が異 なっていたという結果が得られた.この結果をさらに詳細 に調べるため,目視でモニタ白色とターゲット用紙の色み を合わせた結果と,分光放射輝度計で合わせた結果につい て,どちらの方法で合わせた方が,両者の色みが近く見え るか評価する実験を,以下の方法で行った.

3.3.1

 実験方法  本実験は,

3.2

節の実験と同一の使用機器,照明条件, 被験者で行った.

Fig.11

に本実験の手順を示す.まず,被 験者はモニタに表示したカラーパッチの横に用紙を置き, 両者の色みを比較する.モニタには 2 枚のカラーパッチ が順番に表示される.2 枚のカラーパッチは,

3.2

節のカ ラーマッチング実験によって得られた色を利用する.1 枚 のカラーパッチは目視でカラーマッチングしたときの色で あり,もう 1 枚のカラーパッチは分光放射輝度計でカラー マッチングしたときの色である.被験者は,どちらのカ ラーパッチの色が用紙に近いかを判断して回答する.目視 で求めたカラーパッチが近いと答えたときには 1 ポイント 加え,そうでないときには 1 ポイント減らす方法で評価し た.

3.2

節での目視のマッチング実験は 1 条件につき 3 回 ずつ行ったので,この実験も 1 条件につき 3 回ずつ行った. したがって,1 条件に対して最高で 3 ポイント,最低で ­ 3 ポイントとなり,プラスポイントの場合,目視マッチ ング結果のほうが,分光放射輝度計でのマッチング結果よ りも用紙白色と近い色みに見えたということになり,マイ ナスポイントの場合,分光放射輝度計でのマッチング結果 の方が用紙白色と近い色みに見えたということになる.

3.3.2

 結果  本実験における評価点を,被験者・条件ごと示したのが

Table.5

である.被験者毎の平均値は,4 名がプラスポイ ント,1 名はゼロポイント,2 名がマイナスポイントであ り,プラスポイントの被験者のほうが多かった.一方,照 明条件による平均値は,5 条件がプラスポイント,1 条件 Visually calibrated! Observing the color

patch calibrated by spectrophotometer and paper. visually calibrated spectro-photometer +1 Observing the visual

calibrated color patch and paper.

Answering which color patch is similar to paper.

Adding one point t similar color patch. Visually

calibrated! Observing the color

patch calibrated by spectrophotometer and paper. visually calibrated spectro-photometer +1 visually calibrated spectro-photometer +1 -1 Observing the visual

calibrated color patch and paper.

Answering which color patch is similar to paper.

Adding one point t similar color patch.

Fig.10 Ellipses of MacAdam and our experiment; 500 lx and 5000 K

(11)

がマイナスポイントであり,プラスポイントの照明条件の ほうが多かった.この結果では,モニタ白色とターゲット 用紙の色差が大きいほうが両者の見た目が近いと判断され たことになり,分光放射輝度計を利用したモニタのキャリ ブレーションは,必ずしも見た目の色に近い結果が得られ ないことを示している.したがって,モニタと印刷物との カラーマッチングでは,既存の CIE XYZ,CIE L*a*b* な どの測色値を一致させるだけでは不十分である可能性が高 いと考えられる.

4.

結論

 我々は,目視でモニタの階調再現特性と白色点の色度を キャリブレーションし,プロファイルを作成する手法を考 案し,その精度を検証した.  階調再現特性に関しては,液晶モニタに特有な,非線形 な階調再現特性とグレーの色度変化を補正するためには, 少なくとも 3 組の調整パターンが必要であること,この調 整パターンを利用して明るさと色度の両方を調整すること により,良好な補正が可能であることが確認できた.この パターンによる調整結果は,被験者やモニタによるばらつ きが見られるが,

Table.2

の結果から,今回使用したモニ タに関しては,グレーの色度は白色に対して約 5 以下の色 差で調整できた.  また,白色に関しては,モニタ白色の明るさと色みを, 観察照明下に置いた用紙白色に目視で合わせる手法の適用 により,モニタの色と印刷物の色の見た目を一致させるこ とができた.モニタ白色の色みをターゲット用紙に合わせ る手法の精度検証実験の結果からは,検証したすべての照 明条件において,モニタと用紙の色みが見た目で合ってい るにもかかわらず,分光放射輝度計では,モニタの方が用 紙よりも青く測色されることがわかった.さらに,目視で 両者の見えを合わせた場合と,分光放射輝度計による測色 値を合わせた場合とを比較すると,目視でのマッチング結 果のほうが,測色値は異なっているにもかかわらず,見た 目が近いと判断される場合が多かった.この原因は,今回 の実験結果からは特定できない.  以上のとおり,我々の考案した目視によるモニタのキャ リブレーション手法は,モニタを印刷物の色調確認用のソ フトプルーフとして利用するために必要な精度に調整する ために,有効な一手段であると考えられる.今後,モニタ と用紙に対する,測色値による評価と見た目の評価の不一 致の原因を追究していくとともに,本提案手法のマッチン グ精度の向上,実運用法について検討する予定である.

謝辞

 精度検証実験の被験者を引き受けて下さった,山田和博 氏,古田裕樹氏をはじめとする大日本印刷株式会社 技術 開発センター 生産総合研究所の皆様,手法開発にあたり 様々なアドバイスを下さった,江川裕仁氏,水沼康弘氏, 木村克巳氏に感謝いたします.   参考文献

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Point

Sub: A Sub: B Sub: C Sub: D Sub: E Sub: F Sub: G Ave. (1) 5000 100 3.00 1.00 3.00 3.00 3.00 1.00 3.00 2.43 (2) 5000 250 1.00 3.00 3.00 3.00 3.00 3.00 3.00 1.86 (3) 5000 500 3.00 -- -- - -- - -1.00 3.00 3.00 3.00 -1.00 3.00 1.29 (4) 5000 1000 1.00 1.00 3.00 3.00 1.00 1.00 3.00 0.43 (5) 5000 1500 3.00 3.00 1.00 1.00 1.00 3.00 3.00 1.86 (6) 6500 500 3.00 1.00 3.00 3.00 1.00 3.00 3.00 0.71 Stdev. 1.33 0.00 2.33 2.33 1.67 1.00 1.00 No. CCT(K) Illuminance(lx)

(12)

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7) Tohru Sugiyama and Yoshiaki Kudo: “The Calibration Accuracy of Display White Point by Visual Calibrator under Various Illuminations”,

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参照

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