• 検索結果がありません。

認知症に関する基本事項 定義 正常加齢との違い 原因疾患 認知症の治療 認知症治療薬 認知症の介護 認知症患者の心理的特徴 対処法

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "認知症に関する基本事項 定義 正常加齢との違い 原因疾患 認知症の治療 認知症治療薬 認知症の介護 認知症患者の心理的特徴 対処法"

Copied!
46
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

専門医から学ぶ

「認知症の早期発見と、家族にできること」

~もしも家族が認知症になったら~

出典 関西医科大学附属滝井病院 精神神経科 吉村 匡史先生

(2)

認知症に関する基本事項 ・定義 ・正常加齢との違い ・原因疾患 認知症の治療 ・認知症治療薬 認知症の介護 ・認知症患者の心理的特徴 ・対処法

(3)

認知症に関する基本事項

(定義、疫学、原因疾患など)

(4)

認知症とは

「正常に達した知的機能が後天的な器質的障害に よって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支 障をきたすようになった状態」 知的機能の低下(例) 記憶障害 (もの忘れ) 見当識障害 (日付、時間、 場所、人物がわからない) 判断力の障害

(5)

認知症高齢者

(※)

数の将来推計

200 250 300 350 400 450 500 2010 2012 2015 2020 2025 (万人) (年) ※ 「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の者を指す 305万人

(6)

認知症高齢者

(※)

比率の将来推計

(%) (年) ※ 「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の者を指す 0 2 4 6 8 10 12 14 1 2 3 4 2010 2015 2020 2025

(7)

JAAD JAAD 「老人保健福祉計画策定に当たっての認知症老人の把握方法等について」 平成4年2月老計第29号、老健14号 高齢者の年齢段階別認知症出現率 1.5 3.6 7.1 14.6 27.3 65~69 70~74 75~79 80~84 85歳以 上

認知症を有する高齢者の割合

(%) 30 25 20 15 10 5 0

(8)

認知症の症状

[中核症状と周辺症状(

BPSD)]

中核症状 記憶・見当識の障害 実行機能障害 失行、失認、失語 周辺症状 抑うつ 妄想 幻覚 介護への 抵抗 暴言・暴力 徘徊 BPSD:

Behavioral and Psychological Symptom of Dementia

(9)
(10)

日本醫事新報. No4074:2002 1-15 改変 抜け落ちる 記憶の帯 記憶 記憶の帯 記憶 健康なもの忘れ 認知症のもの忘れ 加齢に伴うもの忘れ 健康者は体験の一部のみを忘 れるので、体験の他の記憶から もの忘れした部分を思い出すこ とができる 認知症のもの忘れは、体験全体 を忘れているので思い出すこと が困難である

加齢によるもの忘れと病的なもの忘れ

(11)

認知症の原因となる主な疾患

アルツハイマー型認知症

脳血管性認知症

レビー小体型認知症

前頭側頭型認知症

三 大 認 知 症 四 大 認 知 症

(12)

アルツハイマー型認知症(AD)

 認知症の原因疾患として最多である。  もの忘れから発症し緩やかに進行する。  次第に見当識障害、感情・意欲の障害、幻覚、 妄想、徘徊などが出現する。  やがて、着衣、食事、排泄、入浴などの基本的 な日常生活能力も低下し、生活に支障をきたす。

(13)

JAAD JAAD 新たにインプット(記銘)できない (記憶の3段階:記銘、保持、想起) 例1) 電話を済ませた後で元の会話が思い出せない 2) 電車に乗っていて目的地を忘れる 3) 駐車場の何処に停めたか思い出せない 失語・失認・失行に関して 例1) 人の話についていけない 物の名前が出てこない など 2) 方向感覚の悪さ 見知らぬ所で・運転中に道に迷う 3) 着衣の乱れ ネクタイを結びにくい

アルツハイマー型認知症の初期徴候

(14)

JAAD JAAD 家事など 例 1) 料理が手抜き、同じメニューの繰り返し (遂行機能障害の表れ) 2) 同じものを何度も買う 感情面 例 1) うつやアパシー(やる気のなさ)で始まる例も多い 2) おどおどした自信のない態度 その他 例 1) 体重減少

アルツハイマー型認知症の初期徴候

(15)

家庭で最初に気づいた変化

N=46;複数回答可

(16)

ADの経過

(重症度) 軽い 重い (年数) 軽度→同じことを聞く、置き忘れ、買い物の失敗 中等度→服の選択に難が生じる、入浴を 忘れる、慣れない場所で迷子になる 高度→着衣・入浴に介助が要る、 排泄時の失敗、失禁 軽度:2年 軽度:2年 中等度:1.5年中等度:1.5年 高度:5年高度:5年

(17)

JAAD JAAD Control (20歳代半ば) Control (70歳代半ば) AD (70歳代半ば) 上図 下図

MRI

〈原図〉 東京医科大学病院 老年病科 羽生 春夫

(18)

JAAD JAAD

Control AD

アルツハイマー型認知症

(MRI)

(19)

脳血管性認知症(VD)

脳血管障害に起因した認知症の総称名 単一疾患ではなく、病因、病態、臨床症候、経 過が多様である 診断 ・脳血管障害発症と認知症発現との間に時間 的関連がある ・脳血管性病巣が認知症の責任病巣となりえる 部位に相応の大きさと広がりをもつ

(20)

JAAD JAAD アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の鑑別 *:早期には脳萎縮のみられないことがある。 アルツハイマー型認知症 脳血管性認知症 年齢 初老期から高齢まで 60歳以降 性 女性に多い 男性に多い 発症と経過 緩徐に発症 進行性 急性発症 階段状に悪化,動揺性 症状 全般性認知症 失語,失行,失認 まだら認知症 運動麻痺,歩行障害 その他 多幸,多弁,徘徊 抑うつ,感情失禁 病識 早期に消失 晩期まで残る CT/MRI *脳萎縮(特に海馬) 梗塞巣の多発,大脳白質病変 SPECT/PET 側頭頭頂葉,後部帯状回の 血流、代謝の低下 主に前頭葉の血流代謝の低下

(21)

JAAD JAAD

両側中大脳動脈領域の心原性脳塞栓症

広範、多発梗塞型血管性認知症

(22)

JAAD JAAD

多発小梗塞型 Binswanger型

皮質下性血管性認知症

(23)

JAAD JAAD

限局梗塞型血管性認知症

左視床のラクナ梗塞による急性発症の健忘症(認知症)

(24)

レビー小体型認知症(DLB)

1970年代半ばに初めて報告された。

初期から、記憶障害とともに鮮明な幻視、

パーキンソン症候(筋固縮、動作緩慢)を認

める。

覚醒レベルの変動を来しやすい。

形態画像(CT,MRI)では特徴的な変化は

示さない。

(25)

JAAD JAAD

レビー小体型認知症 典型例

(1) 病歴 症例: 75歳 女性 現病歴:70歳頃よりうつ状態となり、抗うつ薬の投与開始。 72歳時、旅行中に「壁に水が流れている」などの幻視が出現 した。 73歳時より、「鞄の中にイヌがいる」「絨毯の中に虫がたくさん いる」「人の顔にクモの巣がかかっている」などの幻視が出現。 幻視はたびたび出現した。 74歳時、うつ症状が増悪、動作緩慢、右に強い上肢の安静時 振戦巧緻運動障害が出現し徐々に増悪、もの忘れも出現した。 75歳時、入院。 症例:金沢大学神経内科

(26)

前頭側頭型認知症(FTD)

 初老期に発症することが多い。  初期から人格、行動の変化(だらしなくなる、意欲 がなくなる、欲動を制御できなくなる、なれなれし い態度など)が目立つ。  初期では記憶・見当識障害はあまり目立たない。  常同行動や特定の物や事柄へのこだわりがみら れる。

(27)

JAAD JAAD

前頭側頭型認知症症例(1)

主 訴 他人の畑のトマトを盗み食いする(家族)、 困っている事はない(本人) 現病歴 ・ 63歳頃から次第に生活のパターンが単純化され、落ち着きが無く なり、もの忘れや放尿がみられるようになった。 ・ 65歳頃から同じコースを毎日何度も散歩するという常同的な散歩 が始まったが、道に迷うことはなく、家に帰ることは可能であった。 また、ところかまわずタバコを吸い,自分の膝の上や畳の上に平 気で灰を落とすようになった。夫の留守中に、患者のタバコの不始 末から自宅が全焼したこともあった。 ・ 66歳頃から、散歩の途中に他人の畑のトマトを盗み食いするよう になり、近所から苦情がでるようになった。 (典型例 67歳 女性)

(28)

JAAD JAAD FDG PET MRI

前頭側頭型認知症の画像所見

〈原図〉 熊本大学神経精神科 池田 学

(29)

認知症と間違えやすい状態

せん妄状態 ・意識レベルの軽度~中等度の低下・混濁が基盤。 ・急性発症の見当識・理解力低下、思考のまとまり の欠如、幻覚、興奮、行動障害を来す。 ・身体の変調、不眠、手術、薬剤などが原因。 ・意識レベルの変動を伴うため、状態に波がある。 ・身体の状態、睡眠リズムの改善によって軽快し元 の状態に戻るが、薬物治療を要する場合も多い。

(30)
(31)

治療・介護で重要なこと

まずはかかりつけ医もしくは地域包括

支援センターなどに相談を

(32)

認知症の薬物治療

認知症治療薬の適応症 ⇒アルツハイマー型認知症での認知症症状の進行抑制 ①アセチルコリン分解酵素阻害薬 ドネペジル(アリセプトⓇ など),ガランタミン(レミニールⓇ ), リバスチグミン(リバスタッチⓇ,イクセロンパッチ ・脳内アセチルコリン活性低下を、その分解酵素を阻害 することで防ぐ。 ②NMDA受容体阻害薬 メマンチン(メマリー Ⓡ ・グルタミン酸による過剰な神経毒性を阻止し、神経細 胞を保護する。

(33)
(34)

加齢に伴う心理的変化

様々な機能低下を意識するようになり、これらの喪 失感とともに実際の喪失体験も加わり、孤独感、死 への不安が現れやすい。 → 配偶者・友人・知人の死や罹病・退職とそれに 伴う経済的問題、子供達が自分の手を離れてゆく 、自分の心身の衰えに気付く、など 加齢による睡眠リズムの変化(夜間の睡眠深度が 浅くなり、日中に眠気が出やすくなる)も関与。 種々の身体疾患による症状(痛み、かゆみ、頻尿 など)が影響することも多い。

(35)

認知症の方が体験していること

① 周りの世界(時間、場所、事柄)と自分の 世界がずれていく。 ② 周りの世界がつかめない(世界がすりぬけて いく、ぐらぐらする、ぶつぶつ切れる。 ③ 周りの世界(声、音、光、影、スピード)が自分 を脅かす。 (永田久美子:1999;改変)

(36)

認知症の方が体験していること

④ 自分の身体が自分を脅かす。 ・苦痛、不快にうまく対処できない。 ・行動を自分でコントロールできない。 ⑤ 自分自身が崩れる。 ・自分自身がつかめない。消えていく。 ・自信、プライドがずたずた。 ・気力の喪失・不安・孤独など。 ⑥ 記憶に焼きついている大切な出来事や大切な 人が、今まさに存在する。 (永田久美子:1999;改変)

(37)

接する際の注意点

 その人を客観的にみる。  「してあげる」のではなく「一緒に過ごす」気持ちで。  感情の交流、その人の自尊心を大切にする。 ⇒ 記憶はすぐ消えても、感情は長く残る。  なぜそのような行動に出るか、相手の立場で考え る  自分が認知症だった場合、どのようにしてもらえば 安心できるか考える。

(38)

接する際の注意点

 ゆったりと接し、あわてさせない。  視野に入って、穏やかにはっきりと話す。  質問、指示は一度に一つだけにする。  その言動・行動を、まず受け止める。  介護者自身が健康を保っておく。

(39)

BPSD対応の原則

BPSDは「事実の取り違え」とそれに伴う「失敗行 動」と捉えることができる。 例) 事実の取り違え 失敗行動 財布を盗られた 妄想に伴う興奮 家に帰らないといけない 徘徊(迷子)

(40)

「失敗行動」の動機や心理(原田)

① 身体的不調、身体的不快、身体疾患に基づ くもの ② ベッド、部屋、環境の不適応さに基づくもの ③ 食事に対する不快感の表出としてのもの ④ 周囲の人たちへの不満、あるいはその人た ちからの愛情を求めるためのもの ⑤ 自己防衛のための、または自分の世界の秩 序を守ろうとしてのもの 鹿児島県医師会・医師国保組合: 一般臨床医のための認知症における精神症状と行動障害対応マニュアル(2009)

(41)

「失敗行動」の動機や心理(原田)

⑥自らの見当識、あるいは過去の生活パター ンに従ったために起こったもの ⑦世話、思いやり、お節介といった他人への気 持が裏目に出たもの ‐認知症患者は、自分の訴えたいことを十分 に言葉にすることができない。 ‐「問題行動」としてとられがちな失敗行動は、 「言葉ではうまく表現できない認知症患者から のメッセージ」と考えてみては 鹿児島県医師会・医師国保組合: 一般臨床医のための認知症における精神症状と行動障害対応マニュアル(2009)

(42)

 不安 ・「心配ない」と諭しても、あまり効果がない。 ⇒ 「この人はわかってくれない」ととられる。 ・訴えを聴き、少しでも気持ちを理解しようとする。 ・身体をさするなどして、安心感を与えるよう努める。  うつ状態(迷惑をかける。何もできなくなった) ・共感しつつ、「できることもありますよ」などと声をか ける。

個々の症状への対処法

(43)

 妄想(物盗られ妄想) ・否定する場合も、まず訴えを聞いてから否定する。 ・品物がなくてその人が困っているという事実を認 め、一緒に探す。 ・あくまでもその人に探し出してもらう。 ⇒ 他者が見つけた場合、「探し出すふりをして元 に戻した。」ととられる。 ・普段の行動を観察しておく。 ・収納できる場所を整理しておく。

個々の症状への対処法

(44)

 幻視・錯視 ・その人には実際に見えたり聞こえたりしていること なので、その事実を否定しない。 ・その人の訴えに共感しながら耳を傾ける。 ・その人の苦痛に理解、共感を示し、それらを 共 に解決してゆく姿勢をみせる。 ・原因となる物品がわかれば、それが何であるか 知らせる、身の回りから遠ざけるなどする。 ・近づくと消える場合が多い。

個々の症状への対処法

(45)

 攻撃的言動 ・プライドを傷つけていないか考える。 ・身体的・心理的ストレスがないか確認する。 ・言動に振り回されず背景を知ろうとする。 ・介護者自身がその人に対して恐怖、嫌悪を持って いないか見直す。 ・無理なかかわりは避け適度な距離をとる。 ・攻撃のエネルギーを他のことに向けてもらう。 ・安心感や自信を持ってもらえるよう配慮する。

個々の症状への対処法

(46)

認知症高齢者のおもな心理的欲求

慰め (安定性) 帰属意識 (仲間入り したい) 愛着 (きずな) 没頭性 (役割意識) 自分 らしさ (物語性) (Kitwood T;1997)

参照

関連したドキュメント

肝臓に発生する炎症性偽腫瘍の全てが IgG4 関連疾患 なのだろうか.肝臓には IgG4 関連疾患以外の炎症性偽 腫瘍も発生する.われわれは,肝の炎症性偽腫瘍は

10例中2例(症例7,8)に内胸動脈のstringsignを 認めた.症例7は47歳男性,LMTの75%狭窄に対し

を受けている保税蔵置場の名称及び所在地を、同法第 61 条の5第1項の承

AUTHENTICATING OFFICER 認証官 Date 日付 USFJ Case Number 書類番号 Signature 署名. Title and/ or Rank 肩書及び/又は階級 Agency, Unit or Activity

新型コロナウイルス感染症(以下、

傷病者発生からモバイル AED 隊到着までの時間 覚知時間等の時間の記載が全くなかった4症例 を除いた

原田マハの小説「生きるぼくら」

新型コロナウイルス感染症(以下、