超音波 ホログラフ ィによる
3次
元形状認識 の計算機 シ ミュレーシ ョン
大木
誠・ 宮田
仁志・ 小西
雅人
貝原
功二
*。大北
正昭
電気電子工学科・
*lklマテ ィ
(1995年9月
1日受理
)Computer Silnulation of Three‐
正
)imensional Shape
Recognition with the SupersOnic Holography
by
WIakoto OHKI,Hitoshi MIYATA,
laSato KoNISHI,
Ko
i KAIHARA*,MaSaaki OHKITA
Department of Electrical and Electronic Engineering
*latty Corporation
(Received September l,1995)
To a system of an environmental recognition of the autonomous mobile robot that Mre have constructed experimentaHy,the acoustic imaging,ie.,the supersOnic hologra‐ phy is introduced Since the acoustic imaging does not depend on the light sOurce,it has expectations to be able to recognize an obieCt in the dark area
At present,we have made an experiment on three‐ dimensional Shape recognition by means of the supersonic holography.In Our experilnent,the fo■ owing quantities are investigated as the parameters, ie, an interval betⅥ /een adioining receivers on a hologram plane, a position of a transmitter, a frequency and a length of the burst wave co¬nposing Of a supersOnic wave and a distance between a hologram plane and an Obiect During the experilnent, the modification of their parameters is often required,and inconvenientit takes much time and becomes a hard work To diminish this difficulty,an introduction of computer simulation Mrould be effective.
In this paper,the theory Of the supersonic holography and a method to simulate the holography are described Besides,the results by the computer simulation are compar‐ ed with experimental results
1.は
じめに 我 々の研究室では ファジ ィ推 論 を用 いた自律移動 ロボ ッ トの研究 を行 ってお り,ロ
ボッ トの視 覚 として超 音波ホ ロ グラフイを応用することを提案 してい る。しか しながら現 段階 では,基
礎実験 として3次
元形状 を認識する実験 を行 つてお り,超
音波素 子をア レイ状に配 置 した ホロ グラム雨 と送波器 の位置関係 や,超
音波 素子の 間隔.超
音 波の周波 数の変更 等の要求が 頻繁に生ず る。しか し,実
験 設備は容 易に変更するこ とが難 しく,多
大な労力 を要する。 この問題 を解決す るには,計
算機シ ミュレーシ ョンの専 入が効果 的であ り, また, これ によってホロ グラム面の 悔 成や,再
生アルゴリズムの検討 のため のモデルデ ータを得 るこ とが できる.本
報告で は,超
音波 ホログラフ イの計算 機シ ミュ レーシ ョンの実現 につ いて述 べる.2.超
音波ホログラフイの理論 ホ ログ ラフイとは,波
動 の持 つ振幅 と位相 に含 まれてい る情 報か ら,物
体の像 をホ ログラム と して記録 し,物
体 の 像を再生するという,波
面の記録 と再生の2段
階 を経由す る映像法 である。 ここで は,超音波ホ ログラ フイでの2次
元像再生 の方法1) とその3次
元像再生への拡 張について述べる。2. 1
超音波 ホログラフ イに よる2次
元像 再生 図 1に 示す ように,送
波 器か ら超音 波 を照射 して,物
体 から反射 された散乱波 をア レイ状 に配置 した受波 器で受信 する。これ らの受信 した波動 を複素数 で表現 した ものをホ ログラム とする。ハ イゲ ンスの原理 よ り物体 から反射 され た波 (物体波)は
物 体表面各点 か らの球面波 の重 ね合わせ と考 える ことができる。物体表 面のあ る点か らの物体波 は 次式 で表せる. 歩0の面 に Ⅸx,10)な
る波源分布があれ ば,歩
zhのホ ログラム面で観 測 される複 素音圧はPh(xm,yn)は , フレネ ル=キ
ル ヒホフの回折理論 を用 いて,次
式の ように積分 で 表現 で きる。鳩
坤
=打
f螂
刑
1軒
午
+幼
。
r=lrl=v(xm―
X)2+(yn y)2キ
zそ t4)r=(Xm一
X,yn―
y,zh) t5) 1αつ
=ア
C°S(Zh,つ 16) ここで,式 (6)の
cO s(■,0は Z軸
と,物
体点 と受波器 を結 ぶペ ク トルrとの なす角による余 弦であ る.式 (3)に
より波動場が計算 されるが,使
用する波動の波長や,物
体 面 と観測 面 との距離,観
測 面の大 きさにより解析 方法は異 なる2),本 報告ではLを
観測面す なわ ちホログラム面の開 日長,Nを
1辺の受波器の個数すなわ ち空間サンブル数 と し,z≦
LιKN λ)の領域 (フレネル回折領城)で
の解析 手法 について議論 を進め る.こ
の領 域では,1/rの
変化が exPIj2 π V λ〕の変化 に比べて綾やかであ り,1/rをvzhで
近似することが で きる.さ
らに,は
m X)を+(yn y)2が名= に比べて極小で あるので,式 (4)は
次の ように近似で き る。封
+7+71
ギ坪
+7
t7) また,式
(6)に
おいて,∞
s(zh,0≒1とみ なす ことで,的渉寺対等Ъ
r。=7x2+y2+z2
ただ し,j=(-1)V2でぁる.yn
1
す
j
λ
≒ C とで きる。式(7)
書き直せ る. t8)(8)を
用い て式(3)は
次の ように 叶 ∵+∵
図1 2次
元像 再生のモデ ル鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第
26巻
的≒
ぽ激刹制・
引早
+早
│ト
ウ
t9)=苛
似
pl辛
刊
・
ぽ陣
ぷ
0似
相転
4早
1卜
y (10) 報 乳111手
出>0蛍 Xm 為
‰>Ъ
"剤
y (H) ここ で,頭
Lゝ
中
=∝
pl寺
02+ぱ
1
(12)卸
=青
軒午
刊
(13) であ る 式(H)を
みる と,こ
れは コンボ リューシ ヨンで あるので,コ
ンポリューシ ヨンの演算 を示す記 号*を用 い て,次
式 の ように表現で きる。ph(Xm,ym)=A(zh)tp(Xm,yni O)十s(xm'yni Zh)]
(14) を関数 ph(xm,yn),p(Xm'yn1 0),S(XIn,yni Zh)の そ れぞ れ の フ ー リ エ 変 換 をP htu,V),P(ui V.0),S(u,Vi Zh)で 表 現 す る.こ れらの関係 は次式 で与 えられ る. Ph(u,V)=A(zh)IP(u,v10)° S(u,vi Zh)〕 (15) 離 散 座標
m,mに
関 す る サ ンプ ル数 をそ れ ぞ れ 偶 数M,N
と して, (16) によ り与える。さらに,空
間でのサ ンブリング間隔をそれ ぞれ, 1/Lx, 1/Lyと
す ると球面波 の関数s(xm,yni Zh) の離 散フーリエ 変換 s(m,吋 Zh)は解析的 に次の ように表せ臥
m,叫
Zp=cxpl―
>λ
zh‖■
│+1寺
}││
(17) 従つて,式
(15),(17)よ
り再生像は次式 で与え られ る。齢麻
0=蒜
ガ際器
│ (18) すなわち,ホ
ロ グラム雨Lのを点で観 測 した複素2次
元配 列 を2次元 フー リエ 変換 し,こ
れを ぃ,n)領域 の解析的関 数の値で除 し,再
び逆フー リエ変換す ることによつて像 を 再生する ことが できる.2.2
超音波 ホログラフ イに よる3次
元像 再生2次
元像再生 のアルゴリズム を3次
元像再生に拡張す る.3次
元像 は平面すなわち2次
元像の重 ね合わせで あると考 え,図 2に
示す ように物体 面 とホログ ラム面 を配 置する. 同2 3次
元像再生のモデ ル ここでは照明波 としてパース ト波 を用 いてお り,奥
行 き方 向(z方
向)の
距離 は反射波の時間的 な情報 か ら求める こ とが できる。今,注
目している物体面 の奥4子き位置 を 一z。 (z。>0),送
波 器から物体 面 までの距 離 を 駒=zh+2。 と して,式
(17)の関数 S(m,ni Zh)の 定 義 を次のよ うに変更 する.駅
m,叫
φ
=exl―
>λ
駒
‖
★
}+(寺
テ
││ (19) この奥行 き位置 ―z。 に相 当す る時刻 にお いて,ホ
ログラ ム・デー タをサ ンブル し,式
(18),(19)を
用いて2次
元 像再生を行い,得
られた2次
元像 をz方
向に重ねて3次
元 像 を得る. M 一 2 N 一 2 + + M 一 2 N 一 2 一 一 M 一 2 N 一 2 一 一 一 一 一 一 m n3.言
I算機シミュレーションに よる ホログラム・デ ータの生成3.1
ホログラム・デー タ生成の理 論 送波器 を 1つ とし,こ
れから照町波 として球面波が発せ られ るもの とす る.照
明波 は物体表面の各点 で反射 され, 物体各点 から球 面波 が出ている ものとするこ とがで きる。 その反射波は受波器 により受波 され,実
数部 と,「
/2位相 をず らした虚数部に記録 され,ホ
ログラム・デー タとな る。 シ ミュ レーシ ョンによるホログラム ・デー タを,計
算 機 シミュレーシ ョンで得るために,図 3に
示 されるモデル を 考える.=Zh
ホログラム面ph(xn,yn) よる ホ ログ ラム デー夕の生成 物体点, まず超音波の伝搬距 離 を求めるために,送
波 器, 受波 器の位置ベ ク トルを次 の ように定義する. lrr―r。│で
表される.こ
の 2つ の距熊 を加算すれば,送
波器から物体点 を経 由した後,受
波器で観測 された超音波 の伝搬距維 rが 求められる.r=r。
―
rJ.卜
r―r」 また伝搬距離rか
らは,伝
級時間r/cが求められる。 で,cは
音速である. ここでは,球
面波の式として次の式 を用いる. 尊 】 つ=甲
96)
r=(x,yj zl古
k, (28) ここでkは
波数ベ クトルを表す。kは
波 数であり, k=2π/λ である.05)
k=肯
k=1肯
k,肯
]
式(25)及
び式 (26)から, て求めた測定音 圧は次式の よ ある1つの伝搬経 路 に注目し うになる。 ・←。一rl)+k2・ (rr r。)一ωl)] 送波 器の位置ペ ク トル 物体点の位置ベ ク トル: 受波 器の位置ベ ク トル この とき,対
象物体 の反射係数は 表面 関数 の方程式は Z。=ζ(X。 , y。) (23) で表 され る。よって式 (21)は次の ように表す ことが で き るr。=(x。, y。, I(x。, y。))
(24)
これ らを用 い る こと に よ り
,送
波 器 と物体点 の 問 の距 離 は 嗚一rす で 表 され,物
体 点 と受波 器の 間のli離 はS(X。,y。、(x。,y。))= eXpli(kI
09) 式
(27)及
び式 (28)を 用いて波数 を計算する。 kドtr。―rけ=kl。(x。―え "y。 ―yt,こ(X。 ,y。)一Zl)=辟
+臀
肘
≒ギ
k (30) こ こ で卜。
引
=Vは
。
―
o2+O。
_ガ
2点
ま
xωyp一
つ
201)
より式 (30)│よ次の ようになる。 kI・(r。一
rt)=klr。―
rtl i rt=(xt, yt, zl) (20) r。=(x。, y。 , z。) (21) :rr (XF yF Zr) (22) ,(X。,y。)であ り, その Z=ζ(X,y)Z=0
物体点 P(X,y) 図3
シ ミュ レー シ ョンに 同様 に k2・(rr r。)=klrr―
r。 │鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第
26巻
が求められる。 よって
kl・(r。一rl)+k2・ (rr r。
)=kr
とな り
,式
(29)は 次の ように与え られる.S(X。,yoi
ζ
(X。 ,y。))=CXpU(kr―
ω
t)〕 4πr (35) 次 に,ホ
ログラム・ データの実 数部 と虚数部 を求める.振
幅をA,位
相 を ψとす ると式 (35)よ り, 1A=―
4πr 06) 2πφ
=kr―
ω
t=巧
下
r ω
t t37) となる。 これを用い ると,式
(35)は次の ように表せ る.S(X。,yoi
ζ
(X。 ,y。))=Acxpuφ
]=Acosφ
+jAsinφo8)
像再生においては透過波 を逆伝搬 させ るので
,シ
ミュレーシ ョンではこの式の 複素共役,
SR(Xo,y。;ζ (X。 ,y。
))=AexP[一
jll=Acos(-0)+jAsin(-0)
=Acosφ
―
jAsinφ' 09)
を用いる。ここで,Acos
φ に各物体点の反射係数をかけた ものが実数都となり,一
Asin φに反射係数をかけたものが 虚数都となる。 これらはある1点の物体の反射波によるものであるので, すべての物体点につし,ての計算 を行う.P(x,y)を 各物体点 での反射係数とすると,ホ
ログラム面z=zh上
のサンプル 点 (xm,yn)で のホログラムは式 (35)よ り,暉
櫛
=に
甲」
十
「ω
‖
叶
:〉約
で与 えられる.こ
こで咽 梢 締
) い1) である。 この関数はバース ト波 を表 しており,Tは
バース ト波の長さである.ゆ
えに式 (40)│ま各サ ンブル面のサン ブル時間に受波 された反射波のみ線形結合してい くことを 表 している.3.2
計算機 シミュレー ションの実現 計算機上で超音波 ホログラムのシミュレー ションを実現 するために次の ように問題 を設定する.2, 1で
述べ た超音波ホログラムの計算式は,送
波器か ら発射される超 音波 を平面波 としているが, シミュレーシ ョンではこの照明波 を球面波 とする,実
験装置の照明波 は 厳密には球面波ではないが,球
面波で近似で きるものとす る。 また,ハ
イアンスの原理に従うと物体波 は物体を点か ら出て行 く球面波の包絡面 として求め られる。これを計算 機上で実現するには,本
来連続値である物体表面の各点 を 離散値 とする必 要がある。物体 を離散的な物体点の集ま り とす ることにより,計
算機 によるシミュレーションが可能 となる。 この物体点は64× 64× 128点を定義 し,各
点につ いて物体が存在する場合0∼9の値 を与える。この値によ り 各物体点の反射係数が決定 される。また,物
体点は広さや 奥行 きなどの大 きさは持たない ものとする. この64× 64× 128個の物体点を持つ物体空間 と受波面. そして送波器の関係 を図4に
示す。 ここで受波面 と平行になる面 を64×64点で表 し,こ
の面 を水平方向とす る.こ
の物体画 を受波面に対 し垂直方向に 128枚並べることにより,物
体空間を構成 している.こ
の 物体点どうしの間隔は,水
平方向と垂直方向で別 々に定義 できるようにしている。送波器は1つとし,受
波面は実験 装置 と同様に16×16個の受波器をアレイ状に配置している, 送波器,物
体,受
波器それぞれの座標は図4の
ta)tb),(C) の座標で指定 してあ り,こ
れらは自由に移動 できる。 昔速は3401m^1,用
いる超音波 は401kHz〕のパース ト波 と する。また音場 は無歪み伝送場 とし,反
射による超音波の 変形や,位
相の乱れは起こらないもの とする。またセンサ 素子に指向性はなく,素
子による超音波の減衰や変形もな いものとする.こ
れ らに基づ き, 1つ の受波器について任 意のサンプル間隔で30回計算することで, 2次
元のホログ ラム・データを30個得る.基準座標 波面の基準座標 (a)送波器の座標 y 図