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数感覚を養うための問題開発と授業の工夫 : 第1学年「3つの数の計算」をつくる活動を通して

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数感覚を養うための問題開発と授業の工夫

−第1学年「3つの数の計算」をつくる活動を通して− 岸本純子

vol.10, no.5

Aug. 2007

鳥取大学

数学教育学研究室

鳥 取 大 学 数 学 教 育 研 究

Tottori Journal for Research in Mathematics Education

ISSN:1881−6134

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1 はじめに

数の感覚とは、問題場面の状況に応じて大きさをとらえる感覚や数の構成の様子をと らえる感覚であると考える。たとえば、数の大小の判断やおよその大きさをとらえて計 算の工夫を考えたり、また計算結果を見積もり、結果の正しさを判断したりする中で、 数の感覚は用いられると考える。 言い換えれば、数感覚を豊かにすることは、日常事象の問題を算数を用いて解決する ときに、適切な判断や能率的な処理をしたり、自分の出した結果について検証したりす る上で重要である。その数感覚は、数を様々な観点から見たり、積極的に数を操作した りするなど、数に親しむ活動をするなかで育ち、身についてくると考えられている。 、 、 。 しかし 従来の学習指導では 数を多面的にみる見方が十分育っているとはいえない 鳥取県独自で実施している算数診断テストの結果を見ても、数感覚を使って解いている 問題を取り上げみていくと、ある数をいくつかの数の和や差として見る力や数の系列を 考える力など、数を多面的に見る力が十分育っているとは言えない。 17年度県正答率 本校正答率 1年 (3)② □-10-15-20 81% 76% (4)①16は□が1つと1が6です。 84% 84% ②10が2つで□です。 81% 73% (6)②12は9と□をあわせたかずです。 83% 81% 2年 (9)1000より3大きいかずと1000より5小さ 42% 43% いかずがあります。 2つのかずのちがいはいくつでしょう。 ※かんがえたあとをのこしておきましょう。 そこで、本単元「3つの数の計算」を通して、数の構成に対する感覚(数感覚)を豊 かにする問題開発と指導の工夫について検討し考察を行う。

本研究の目的と方法

(1)本研究の目的 指導要領にも述べられているように数感覚は、初めから存在するのではなく、操作活 動を通して数に親しむ中で育てられるものである。何度も経験する中で、感覚的に数を 把握できるようになる。そのためには、教師が数感覚を育てる場を意図的に設定し、児 童が自分で判断し操作する機会を多くもたせる必要がある。 そこで 「3つの数の計算」を数感覚を育てるための単元の1つとして捉え、取り組ま、 せることができないかと考えた。 「3つの数の計算」の先行研究では、児童にどのように場面を把握させるのかに視点 をあてた研究が多く見られた。児童が興味深く取り組めるように紙芝居や提示装置を使 って問題を提示したり、ゲーム的な活動を取り入れたりして、したことを立式していく 工夫がなされていた。また、教師の多くは、次の「繰り上がりのあるたし算・繰り下が

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りのあるひき算」へスムーズに移行させるための導入として捉えている。 、 、 。 、 この場合 児童は 与えられた数の計算方法を考えるのに終始しがちである しかし それだけでは、数感覚は育ちにくいのではないだろうか。児童が自分で試行錯誤しなが ら数を決定し、計算方法を考え、また、それ以上に高次な立式も考え出せるような方法 があれば、より数感覚を高めていけるであろう。 そこで 「3つの数の計算」を「数感覚をより豊かに養うための単元」として捉え、授、 業を構成することで、今よりさらに数感覚を高めていけると考えた。 、 。 、 、 本研究の目的は 児童の数感覚を高めるための授業づくりである また そのために 問題場面の設定と提示、子どもの算数的活動に応じた的確な教師の支援のあり方、集団 による練り上げのあり方など、数感覚を育てるための授業構成の工夫をおこなうことを 目的とする。 (2)研究の方法 本研究は 「数と計算」領域における「3つの数の計算」の学習をもとに、導入の授業、 (第1時)に焦点に当て、授業研究を行うとともに、その後の児童の反応の様相をも含 めて考察するものである。 1)問題場面の設定と提示(数感覚の位置づけ) 10でゴールできる「すごろく」を3回・4回・5回・・とサイコロを振って目的 の場に行く方法を考え、それを式化する。その時、多くの児童は 「10はいくつとい、 くつ」の既習事項を発展させ、思考していくのではないかと考える。10がいくつも の数で成り立っているという数の構成が新たに身に付くと考える。これは、10以外 の数を見た時にも応用できる力であると言える。 2)算数的活動と教師の支援 算数的活動を展開するに当たり、本学級の児童の実態として、 ・何をどうすればいいのか作業のイメージが捉えられない児童 ・作業のイメージが分かっても、3回で上がる場面で数字が浮かばない児童 ・数の見方を多様に展開して計算の仕方を考える児童 の3つのタイプを想定する。そして、上記の3つのタイプの児童に対して、具体的な 支援を施すものである。つまり、何をどうすればいいのか作業のイメージが捉えられ ない児童に対しては、2回で上がる場面を考えた後に3回・4回などの上がる場面を 考えさせたい。また、具体的に数の操作が思い浮かばない児童には、支援カードを用 意し、そのカードを使って「10はいくつといくつ」の既習が使えそうだと予想させ る支援を施したい。さらに、多様に算数的活動を展開することができる児童に対して は、4回・5回・・・で上がる場面を予想させ、より発展的な活動を促す支援をした いと考える。 3)集団による練り上げの工夫 1つの数を2つの数の集まりとしてみることから、3つの数の集まりとしてみるこ とができるようになるには、かなり抵抗があると思われる。そこで、2つの式で表し ている児童の考えを取り上げ、その児童の思考の流れを読み取らせることで、1つの 。 、 数を3つの数の集まりとして捉えられるようにしていきたい そうすることによって

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1つの数を4つ・5つの数の集まりとしてみることは容易になると考える。 以上のことを研究することによって、児童の数に対する感覚を向上させることができ たか検討する。

授業構成の視点

(1)本教材における数感覚 本教材で数感覚を養いながら 「3つ数の計算」でのねらい「3つの数でも話の場面を、 理解し、1つの式に表すことができる」、「3つの数の計算の仕方が分かる」に到達でき ると考え、児童に身近な問題であるすごろくを取り上げることにした。( )本研究の目的1 で述べたように自分で試行錯誤しながら数を決定することができ、すごろくの上をたど ったり計算したりすることで その立式の正しさを判断できる また ( )研究の方法の )、 。 、 2 1 問題場面の設定と提示に述べたように、残り10を何回で上がれるかを考える中で、3 つの数の計算や4つ、5つの数の計算が導き出され、より豊かな数感覚が養えると考え たからである 「10はいくつといくつ」で10を2つに分け、2つの数をたして10を。 つくる学習をしてきたが、それを生かし、さらに数を分けて立式することができると考 える。そして、すごろくでよく使われている『もどる』を生かせば、ひき算も可能にな ることを考えると 「3つの数の計算」の単元全体を通して、このすごろく問題は有効で、 あると考える。 この単元で期待する数感覚とは、 、 。 ①残り10を3回で上がるには 3つの数の和が10にならなければならないと分かる ②10を3つの数に分解しても、式化できることに気づく。 ③3つの数の計算ができ、それを利用して、4つの数の計算、5つの数の計算も求めら れる。 ④もどることで数が減ることが分かる。 ⑤和や差を使って、目的場所までいくのにどんなたどり着き方ができるか予想し、実際 に立式できる。 以上5つのことが挙げられる。 ③⑤の具体的な例は、以下の通りである。 ア2+3+(10-5=5)=10 ・2つの数を決定し、10の補数で3つ目の ③ 数を決定する。 イ3+7=10 ・最初の数を決めて、10の補数から次の数 /\ を決定し、それを2つに分けていく 1 6 ・2つで10になる数を決定し、その一方を 2つに分ける。 ↓ 3+1+6=10 ウ2+3+5=10 ・最初に求めた立式の数に着目してその数を ↓ ↓ 1つずつ増やす 増やしていく。 3+4+3=10 ↓ ↓ 4+5+1=10 エ 1+3+6=10 ・最初の数を固定し、順序よく考えていく。 ↓ 1+4+5=10

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↓ 1+5+4=10 オ 1+3+6=10 ・1つの式の数を前後で入れ替えれば、新し 3+6+1=10 い式ができると考える。 カ 3 + 7=10 ・2つの数の計算を使って、4つや5つの数 /\ /\ の式をつくる。 1 2 3 4 ( 1+2+3+4=10) /\ 2 2 (1+2+3+2+2=10) キ5-4+1=2 ・すごろくの「もどる」を使って、目的場所 ⑤ 6+2-6=2など まで行く方法を考える。 (2にいくには、進んでもたくさん戻らなけ ば、2にならないと気づく等) (2)授業構成の視点 1)本時で期待される数感覚 すごろくで、残り10を上がるには 「10はいくつといくつ」を発展させて考える、 であろう。4と6、5と5で上がりそうだと考え、それを式化することで、今日はた 。 、 、 、 し算になるだろうと予想するであろう しかし 2や3が出たとき 10になるには 7や8が出ないといけないが、さいころには7や8はないので、さいころをあと2回 投げないとゴールできないと考えるであろう。 1から6までの狭い範囲の数であるが、それを3つ組み合わせることで10になる 式を想定できるであろう。 2回を考えた後で、3回、4回、5回・・・で上がる方法を考えるときに、上記の アかイの方法で考えるであろう。それをもとに、上記のウ・エ・オ・カの方法で考え る児童があるのではないかと期待する。 2)算数的活動と教師の支援 予想される児童の反応は、次のように考えられるので、以下のように支援していき たい。 様相 :あと10上がるイメージを持てず、計算で求めるのが難しい児童A 支援 A 1:あと、何個で上がるか数えたり、実際に指で数を確認しながら思 考できるようにすごろくの絵を提示する。 支援 A 2:1回さいころを振らせて、あといくつで10になるか聞き、その 数を分解させる。 様相 B:2回で上がる場面は解決できるが、3回以上になると解決の糸口が見つ からない児童 支援B :1 ○と○と○で10 と書いた紙を用意して、3つの数で10にな るように考えさせる。 支援 B 2:2つの数の一方を分解して、3つの数が作れないかと支援する。 様相 C:多様な解決方法が見つけられる児童 、 。 支援C :13回で上がる他の場面がないか声をかけ 多様な式を考えさせる 支援 C 2:3つの数の計算を多様に式化できる児童には、4つの数の計算や 、 。 5つの数の計算で上がる場面を考えさせ 計算場面を広げさせる

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3)集団による練り上げの工夫 すごろくで、あと10上がるために2つの式で表している児童を取り上げ、それを 1つの式に表せないだろかと話し合うことで、3口の計算に導きたい。理解に時間の かかる児童には、実際にすごろくにもどり、○と○と○で10だから1つの式に表せ ることを全体で押さえる。次に、新しい考えを持った児童を取り上げ、多様な3口の 計算に広げていきたい。最後に、4つの数でも、5つの数でも1つの式にできること を押さえ、計算場面を広げさせたいと考える。

本研究の内容

(1)授業の実際 1)課題提示 すごろくの絵を掲示し 「何回投げたら、上がりまでいけるかな 」と導入したが、、 。 「分からない 」という児童が多く、2回、5回、10回 と言い出すまでにかなり間。 があった。そこで、2回で上がる場面を例にあげ、上がり方を考えさせた。それを式 化する中で、今日はたし算になりそうだと予想させた。 その後、今日の中心課題である「3回・4回・・で上がるときのたし算のしきを考 えよう」を提示した。 7を使っている児童がいたので、さいころには、1~6までの数しかないことを数 カードを使って全体の児童に押さえた。 また、児童の様子をみると、どう考えたらいいのか理解できていないようだったの で、2回で上がる場面にもどって、2つの数がいること、3回で上がるには3つの数 がいることを押さえた。 2)自力解決の様相 全体では、様相 B の児童が多く、ヒントカードを渡し、最初の数が何か予想させ、 後の2回はどんな数になりそうかと考えさせたり、最初の数を予想させた後で、あと いくつで上がるから、その数を2つに分けられないかと考えさせたりした。 最初の数が決定できない児童には、さいころを1回だけ振らせた。しかし、指示し た1回の意味を間違え、3回振ろうとしていたので、もう一度指示し直した。 ア) 抽出児 (様相A Aと考える児童) 最初の数が決められないので、支援 A 2を与えて最初の数を予想させた。5と予 想したので、5とあといくつで10かを考えさせた。5+5=10の式を考えた。

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次に、支援 B 1として、ヒントカードを渡し、3回で上がるには、たす数が3つい ることを押さえた。3+3+3と書いた後、作業が止まっていたので、すごろくの 上で実際に上がれるか確認させた。3+3+4=10と書き直した。支援 C 1「最 初の数を変えて、どんどんしてみよう 」と声かけをすると 「3いって3いって4。 、 いったら10」と説明を書いた。 イ)抽出児 (様相B Bと考える児童) 指を使って、2と3とを出した後、2+3+5=10と書き、次は、すごろくの マスを数えながら、1+3+2=10と書いた。間違いに気づいて、4+4+2= 10と直した。何度もすごろくのマスを数え直して活動していた。 他の児童の「4回のもしていいですか 」の支援。 C 1を受け、B 児も4回で上がる たし算を考え始め、3+3+2+2=10、3+2+3+2=10を書いた。すご ろくの上に指を置き、次の数を考えていた。 ウ)抽出児C (様相Cと考える児童) 2+5+3=10を書き、次にすることを 。「 。」 、 尋ねた 次々考えてごらん の支援C1を受け 3+6+1=10、5+4+1=10、6+2 +2=10を考えた 「4回にいっていいです。 か 」と尋ねたので 「4回でも、5回でも上が。 、 る場面を考えよう 」という支援。 C2を与えた。 +を3つ書いて、2+3+4+1=10、6+4 +1+1=10と書き、間違いに気づいて6+2+1+1に直した。5口の計算2 +1+4+2+1=10も考えた。 3)集団による話し合い 2つの式で立式していた児童がなかっ S1 3+3+4=6 (抽出児A) たので、みんなの見つけたものを出し合 S2 3+3+4=10 い、その中から、1つを取り上げ、どん 7 な計算をしたか話し合った。 「3+4をたしたら7で、3を合わせたら A児はプリントには、正しく計算して 10です 」。 いたが発表するとき、3+3+4=6と S3 3+3+4=10 言ったので、その式を取り上げ、3口の 6 計算でも2つずつ計算していけば、答え 「3+3をして6になって、4をたしたら が分かることを押さえた。 10になります。」(抽出児C) ⑦ 3+③+④=10 S 4 「始め3いって、残り7だから、7を3と4 に分けました 」。 3+3+4=10 のように3つの数を T「3つの数を1つの式に表してもいいのだ 1つの式に表していいのか話し合い、そ ろうか 」。 、 。 の後、理解が不十分だと思われる児童が S5 2つの式でするより 速く計算できます

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いたので 、すごろくにもどって3と3、 (抽出児C) と4で10だから、1つの式に表せるこ とを支援するために、こまを実際に動か して確かめた。 次に、3+3+4=10の4をどう考 S6「3と3で6だから、6と4で10だか えて見つけたのか話し合わせ、式の立て ら、ここは4になります 」。 方を押さえた。もし、2つ目の数が2だ S7「最初が3なら後7で10。7は3と4 ったらどうなるかを考えさせ、別の数で だから、ここに3を書くと、ここは4に も同様に考えられるか検証した。 なります。」(抽出児 )C その次に、4回で上がる場面を考えた S86+2+1+1=10 (抽出児C) 児童に発表させ、計算場面を広げた。ま S93+3+2+2=10 た、たくさん数字が並んでいても、2つ ずつ計算していけばいいことを押さえた 4)評価問題 「3回で上がる、4回・5回で上がる方法がもっとあるから考えてみよう。先生は 81通りも見つけたよ 」。 と投げかけた。どうしても思いつかない児童には 「○と○と○で10と書いた式をた、 し算に書き直してみよう 」と声掛けをした。。 A ア) 抽出児 支援 B 1のヒントカードを渡すと、2+3+5=10をヒントカードに書き、プ リントに転記した。その後、3+4+3=10と1+4+5=10も見つけた。 B イ)抽出児 すごろくを数えながら、3つの数の計算を考えた。 4+4+2=10、5+3+2=10、6+3+1=10 4+2+4=10、2+3+5=10、3+3+4=10 1+4+5=10、2+5+3=10 C ウ)抽出児 「何個でもいいですか。6こでもいいですか 」と問い、+を5回書き、その後、。 数値を入れた。1+3+2+1+2+1=10と書き、確かめをした。数えたしを しながら、数値を決めていた。 その後、3+1+1+2+1+2=10 1+2+3+2+1+1=10 4+1+2+1+1+1=10 3+1+1+2+2+1=10 の式を立てた。 (2)授業の考察 1)問題の開発について 抽出児 A は、自力解決の時、支援 A 1を受け5+5=10の式を立てることはでき

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たが、5+5=10をもとに3口の計算を立てることが難しかった。2口の計算から 3口の計算へ広げることの難しさを感じた。しかし 「3つの数で10をつくってごら、 。」 、 。 、 、 ん の教師の支援B1を受け 3口の計算を立てることができた また 評価問題で 自ら2+3+5=10や3+4+3=10の式を立てることができた。これは、練り 上げの時に「3つ数を1つの式に表していいのか 」と教師が問うことで、3つの数で。 も1つの式に表すことができると理解できたからである。10を2つの数から3つの 数に分けるという活動を通して、新たな数の見方を学んだといえる。 抽出児 Bと Cにとっては、既習の学習を生かしながら取り組め、2口の計算から3 口の計算、4口の計算、5口の計算と数感覚を広げていけた問題であった。 抽出児 B にとっては、試行錯誤しながら、たくさんの3口の計算を考え、そして、 他の児童の「4つ数の式も考えていいですか 」の問いを自らの活動の支援として、4。 口の計算に取り組むことができた。 、 、 、 、 抽出児Cにとっては この問題を通して 6つの数で計算するには +が5ついる たす回数が増えるにつれてたす数が小さくなるなど、数感覚を深めていけた。 以上のことから、抽出児A、B、Cにとって、数感覚を高めるために、有意義な問 題であったといえる。また、高次な問題へと挑戦しようとする意欲を引き出すのにも 適切な問題であったといえる。 2)算数的活動と教師の支援について 抽出児Aは 「最初の数は何になるか 」という支援A を受け、最初の数を決定し、、 。 2 5+5=10の2口の計算を考えることができた。次に、支援B1や支援 B 2を受け、 数が3ついること、最初の数の補数を分けて考えてみることが分かり、3+3+4の 3口の計算を考えることができた。計算の間違いについては、すごろくを指で押さえ て確認させたのは、有効であったと考える。抽出児 A にとって、支援は、有効に働い たととらえることができる。 抽出児 Cは、支援C 1とC を受け、3口の計算を多様に考え、3口から4口、5口2 の計算へと広げることができた。自ら問い、考えていく力を持っている児童でも、思 考を高めていくためには、支援が必要である。 3)集団による練り上げついて 児童は、練り上げの場面で、3+3+4=10の4をどう決定したのかの説明する とき、3ページに述べたように 「ア2つの数を決定し、10の補数で3つ目の数を決、 」 、「 、 、 、 。」 定する という考えを使って 3+3=6 あと4で10だから ここは 4です と説明したり 「イ最初の数を決めて、10の補数から、 次の数を決定し、それを2つ に分けていく」の考えを使って「3と7で10。7を3と4に分けるから、ここは4 です 」と説明することができた。既習の「いくつといくつ」を進化させ 「いくつと。 、 いくつ」を2回組み合わせて、和が10になるように3つの数を決定することができ た。 また、練り上げで、すごろくを使って計算の様子を確認したのは、有効であった。 式を言葉の式に置き換え、元のすごろく問題で考えた上がり方に戻れば、その計算が 合っているか確認でき、2つに分けて、3+3=6、6+4=10と考えるより3+ 3+4=10と考える方が、上がり方の様子もよく分かることに気づいた。本時の学

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習の大切なところである。しかし 「1つの式にすると場面がよく分かる」という言葉、 で押さえられなかった。 評価問題のとき、どうしても思いつかない児童のプリ ントをみると ○と○と○で10と書いていたので、 、「た し算に書き直してみよう 」と声かけをした。1つたし。 算の式に書き直したことで、みんなの発表したことと式 を作る活動が結びつき、別の式も考えることができた。 この評価問題は、有意義であると考える。 また、評価問題でB児の作った式の最初の数をみてい くと、4・5・6と並んでいた。 これは 「ウ最初に求めた式の数に着目して、数を、 増やしていく」の考え方である。みんなで一緒に練り上 げたことで、新たな思考が生まれている。より思考が洗 4+4+2=10 練されてきている現れであろう。 5+3+2=10 10を3つにも4つにも、最後には10こにまで分け 6+3+1=10 る活動を通して、ある数を見たとき、2つの数の和や差 として見るだけでなく、さらにいくつかに細分化できる数、いくつもの数をたしたり ひいたりしてできる数として見ることができるようになる問題であるといえる。

本研究の成果と課題

(1)成果 今まで述べたように、すごろく問題を通して、児童は、自分で試行錯誤しながら数を 決定し、計算方法を考え、より高次な計算にも取り組むことができた。また、教師の期 待した数感覚①②③④⑤を使って問題にあたることができた。そして、集団による練り 上げを工夫し、支援を準備したことで、多様な様相を示す児童にも対応でき、思考を深 めることができた。 このすごろく問題を通して、数を多面的にみることができるようになったといえる。 (2)今後の課題 、 、「 、 」 自力解決をするとき 児童は ウ最初に求めた式の数に着目して 数を増やしていく 「オ1つの式の数を前後で入れ替えれば、新しい式ができる」という考えを無意識に使 っていた。教師がそこに目を止め、児童に意識化させれば、数感覚をより高めていけた だろうと考える。また、同じ様相を示している児童に対して、個々に支援していくこと も大切だが、一斉に支援していくことも大切である。個に対する支援と集団に対する支 援をうまく機能させていくことが必要であると感じた。 試行錯誤しながら数を使って考える中で、もう少し数を少なくしてみよう、増やして みよう、これくらいならいいかなと感覚的に分かるようになってくる。このすごろく問 題を通して、1年生なりに1つの数を2つの数の和や差で見ることから、数を多面的に 見ることや効率の良い考え方をすることにまで高めていけたと思う。個々の生活に生か せる算数にするためにも、より一層、数への理解を深めさせていきたいと考える。その ためには、数感覚をどの場面で取り上げて、児童に思考させるかが大切になってくる。

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その学年にあった数感覚とはどのようなものかを、全学年を縦に系統的に見通して考え ていく必要を感じた。 授業構想、指導案検討、授業記録、授業の考察等何度も研修会を開いていただいた八 頭郡算数部の先生方には、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 研究同人 ( ) ( ) 高木政寛校長 若桜町立池田小学校 河上永子教頭 八頭町立郡家西小学校 依藤雅司教諭(八頭町立安部小学校) 漆原文彦教諭(智頭町立山形小学校) 富山雄五教諭(智頭町立山郷小学校) 米山浩子教諭(智頭町立智頭小学校) 【参考文献】 (平成11年) 小学校学習指導要領解説 文部科学省 2004年 「新しい算数研究」 №399 東洋館 1982年 1984年 1997年 2002年 「新しい算数研究」 1995年 「小学校算数実践指導全集」2巻 第2章 日本教育図書センター

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鳥取大学数学教育研究  ISSN 1881−6134

Site URL:http://www.fed.tottori-u.ac.jp/~mathedu/journal.html 編集委員 矢部敏昭 鳥取大学数学教育学研究室 [email protected] 溝口達也 鳥取大学数学教育学研究室 [email protected] (投稿原稿の内容に応じて,外部編集委員を招聘することがあります) 投稿規定 ❖ 本誌は,次の稿を対象とします。 • 鳥取大学数学教育学研究室において作成された卒業論文・修士論文,ま たはその抜粋・要約・抄録 • 算数・数学教育に係わる,理論的,実践的研究論文/報告 • 鳥取大学,および鳥取県内で行われた算数・数学教育に係わる各種講演 の記録 • その他,算数・数学教育に係わる各種の情報提供 ❖ 投稿は,どなたでもできます。投稿された原稿は,編集委員による審査を経 て,採択が決定された後,随時オンライン上に公開されます。 ❖ 投稿は,編集委員まで,e-mailの添付書類として下さい。その際,ファイル 形式は,PDFとします。 ❖ 投稿書式は,バックナンバー(vol.9 以降)を参照して下さい。 鳥取大学数学教育学研究室 〒 680-8551 鳥取市湖山町南 4-101 TEI & FAX 0857-31-5101(溝口) http://www.fed.tottori-u.ac.jp/~mathedu/

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