一般 演題 〈研 究〉 口演8子 育 て 支援2 29
妻の妊娠中にお ける夫 の親 性に関する検討
鳥取大学医学部保健学科 ○ 前 田 隆 子 〃 佐 々 木 くみ 子 〃 鈴 木 康 江 〃 片 山 理 恵 〃 西村 正 子 I緒 雷 次世 代 を担 うこ ども達 が心身 共 に健 や か に産 み 、育 て られ る こ とは そ の家 族 、 社会 に とっ て非 常 に重要 で あ る。 県 内全域 を調査1)し た結果 、 育 児 困難 感 を もつ 母 親 が非 常 に多 くみ ら れ た。 育 児 には母 親 への 家族 サ ポー ト、特 に夫 の協 力 が必 要 で あ る。 そ こで 、 本研 究 で は妻 が 妊娠 中の夫 を対 象 に親性 を調査 し、親性 に影響 す る因子 につ いて 検 討 した。 II方 法 県 内2病 院 の産 婦 人科外 来 で妊 婦検 診 を受 けて い る妊 婦 の 夫 を対象 者 と して 、 平成16年 6∼7月 に実施 した。妊 婦186名 に手 渡 して 夫 の記 入 を依 頼 した。参 加 は 自由意 志 で あ る 旨 の説 明 を添 付 し、回収 は郵送 で行 い、76部の返 送 が あ った が、有効 回 答 は68で あ った(42%)。 調査 紙 の親性 の質 問は松 岡 ら2)の親 性 準備 性(妊 娠 の 喜 び、こ どもの成 長 ・発 達 へ の 関 心、 子 育 ての 喜び 、積 極 的 に子 育 て したい 、 こ ど もと接 す る機 会 を多 く した い等)、 父性 性10項 目(威 厳 のあ る、重 々 しい 、頑 固 な 、決断 力 の あ る、厳 格 な 、た の も しい 、頼 りが いの あ る、 た くま しい、理 性 的 な、 力強 い)、母 性 性10項 目(あ たた か い 、 よ く気 の 付 く、や さ しい、 まめ に動 く、 思 いや りの あ る、 こまや か な 、親 しみ や すい 、や わ らか い 、世話 好 き、包 み 込 む)を 用 い、 さ らに父親 の 自覚 を促 進 した と思 う事 項 の複数 記述 で あ った。 各事 項4件 法 で 4∼1点 を配 して集 計 し、父性 点、母 性 点を求 め た。 用語 は親 性 を両性 共 に 、親 にな る こ と で発 達 す る特性 、父性 性をそ の 内の強 さ等 の性質 、母性 性 をや さ しさ等 の 性質 と した。 平均 値 の差 はt検 定 して検 討 した。 III結 果 回答 した妊婦 の 夫 の背景 は、初 産43、 経 産25で あ り、 年齢 、妊 娠期 間 、 流 早産 の既 に つ いて は 表1に 示 した。 表1対 象者の背景親性準備性:親 性準備性を調べ、妻の初経産別に妊娠時期別で平均点を比較すると、「
積極
134 日本 助 産学 会誌 第18巻 第3号(2005.3)的 に子 育 て したい 」で妻 が経 産 の初 期 と末期 の点 数 が低 く、「こ ども と接す る機 会を多 く した い」 で初産 ・経 産 共 に中期 と末 期 で低 い傾 向が み られ た。 そ の他 の項 目で はいず れ の 点数 も 高か った。父 性点 と母 性点 の 平均 点 を表2に 示 した。初 産で は 父性点 が 全 期間 を通 して低 く、
経産では父性点
母性点ともに末
期で低い傾向
であった。
表2父 性度 と母性 度の妊娠 時期別 比較 註;平 均 ±SD*:P<0.05 父親 だ とい う自覚 を促 進 した と思 う事項 の記 述 で は 「妊 娠 が わか った時 」61.8%、 「胎児 の 画像 を見た時 」60.3%、 「胎動 に触れ た時 」35.3%で あ った。 「妻 と一緒 に い る時 」 「妊 婦検 診 同行時 」 「出産 ・育 児用 品 の買 い物」 「産科 医 か ら、お 父 さん に な られ ます ね と声 を掛 け られ た時」 「名 前 を考 えて い る時 」等 の記 述 もあった。 IV考 察 親性 準 備性点 は 、いず れ の時期 で も高得 点 で あ り、夫 も妊娠 を喜び 、 出産 を待 ち望 ん で い る状況 が うかが えた。 しか し、妻 が経 産 の夫 の妊 娠末 期で 「積 極的 に子 育て した い」、「こど も と接 す る機 会 を多 く した い」 が低 い傾 向 であ った。 また、父 性 性、母 性性 ともに経 産 の末 期 で低い 向が み られ た。 経 産 の夫 では 、既 に出 産 ・育児 を経 験 して 、親性 を充分 に備 えて い る もの と推 察 してい たが 、出産 をひか え て、育児 へ の意欲 を 下げ る要因 が働 い て い る と考 え られ る。 父親 だ とい う自覚 を促 進す る と思 う事 項 の記述 で は妊娠 初期 の事 項が 多 く、 その 後 では夫 が共 に参加 し、喜 び を分 か ち合 う機 会が少 ない。妊 婦の母 性性 は身体 の不 快感 や 異 常 で下が り、胎 動や胎 児 の角蜘 な ど様 々 な きっか け で上昇 し、相対 的 には発 達 して い く とさ れ てい る。 夫 が父親 の実感 を最 も感 じるの は児 を見 た時 で あ る とい う報 告3)が あ る。 今 回 の 調査 で はサ ンプル数 が少 な く更 に調査 の必要 が あ るが、 出産時 点 の夫 は必 ず しも父性 性 や 母 性性 は高 くな い場 合 も有 る こ とを考 慮 に入れ て 、出産 に参 加 、喜 び を と もにす る こ とで 父親 として の心構 え、 育児へ の参 加 ・支援 の意欲 を 高め る必要 が あ る。 V結 論 夫 の親性 準 備性 は妊娠 初期 に 高 く、妊 娠末 期で低 下す る傾 向が み られ 、特 に経 産婦 の 夫で 低 下 し、子 育 て参加 に消 極 な面 が うかが え た。 父親 と しての 自覚 を促す ため に、周 産 期 で の かか わ りを促 し、喜 び を共 にす る機 会 を多 くす る こ とが重 要 で あ る と考 え る。 文献 1) 佐々木 くみ子, 育児困難感 とその関連要因に関する調査, 育児に関する調査報告書 (鳥取県), 2004, 14.. 2) 松岡治子, 和田恵子, 青年期男女における親性準備性の性差および母性度 ・父性度の発達, 母性衛生, 2000, 41 (4), 492・499. 3) 盛川恵美子, 妊娠 ・出産 ・育児に対する父親の意識, 第19回 母性看護, 1998, 31-33.一般演 題 〈研 究 〉 口演8子育 て支援2 30
出 産 か ら育 児 期 の過 渡 期 にお け る
母 親 の 自 己 の評 価(WPL-R-J)と
の 関 連 要 因
香川大学医学系研究科
○植村 裕子
香川大学医学部看護学科
内藤 直子
I緒 言 女 性 が 出産 す る子 ど もの数 は年 々減 少 傾 向 で あ り,妊 娠 ・出 産 ・育 児 を とお して 母 親 とな る こ とは 女 性 に とっ て大 き な選 択 肢 の 一 つ とな って い る.母 親 とな る こ とは女 性 の人 生 にお け る移行 の時 期 で あ り,出 産 後 か ら育 児 期 の 女 性 は 母親 役割 の 習 得 だ け で な く,生 活 の 変化 に適 応 して い く過 渡期(transition)に あ る.こ の 過 渡 期 に あ る女性 が,母 親 と して の 自分 自身 の姿 へ の 評 価 が 高 けれ ば,自 己 に満 足 感 を得 る こ とが で き母 親 と して の 自己 の充 足 につ な が る と考 え る.本 研 究 は過 渡 期 と は,女 性 が 母親 へ と移 行 す る出 産 後 か ら育 児 期 と し,産 後1∼4ヵ 月の 母親 を対 象 に,こ の過 渡 期 の 母親 が 自分 自身 の 姿 を どの よ うに評 価 して い る か母 親 の 自 己の評 価(WPL-R-J)と 自 己の 評価 に影 響 して い る要 因 との 関 連 を検 討 した. II方 法 1.対象 と調 査 方 法:対 象 はA県 下 で2004年6月 ∼9月 に,病 院や 保 健 セ ン ター に来 所 した 産 後1∼4ヵ 月 の母 親 と した.対 象 の選 定 で は,産 後 数 ヵ月 は母 親 へ の適 応 の た め に ス トレ スの 強 い時 期 で あ る た め過 渡期 で 特 に出 産 後 か ら早 期 で あ る産 後1∼4ヵ 月 の母 親 が 適 当 と考 え対 象 と した.本 研 究 は質 問 紙 調 査 で あ り,対 象 に は研 究 内 容 を説 明 し,承 諾 の 得 られ た後 に 質 問紙 を 手渡 した.質 問 紙 は 無 記名 と し,そ の場 も し くは郵 送 に よ る回 収 と した. 2.調査 項 目 と測 定 用 具:調 査 項 目は母 親 の属 性,母 親 の 自 己の 評 価(WPL-R-J),母 親 意 識,自 尊 感 情 と した.母 親 の 自己 を評 価 す る尺 度 と して,産 後1∼4ヵ 月 の 母 親 の 自己 の 評 価 の測 定 尺 度 「親 で あ る とは どの よ うな もの か 日本 版(WPL-R-J)」 を用 い た.本 尺 度 はPridham(1989)が 過 渡期 の母 親 自身 を評 価 す る尺 度 と して 「What being Parent is Like Reversed(WPL-R)」 を開発 し,中 島(2000)が 日本 版 を作 成 した25項 目9段 階 図式評 定 で,母 親 意識 は 大 日向(1988)の 母 親 役 割 の受 容 に関 す る積 極 的 ・肯 定 的 な 意識 等12項 目 4段 階評 定,自 尊感 情 尺 度 はRosenberg,M.(宗 像 ら 日本 語 版10項 目4段 階)を 用 い た . 3.分 析 方 法:統 計 的解 析 は統 計 パ ッケー ジSPSS11.0J for Windowsを 用 い ,関 係性 の 強 さはPearsonの 相 関係 数,t検 定,x2検 定 を用 い 分析 した.有 意 水 準 は5%未 満 と した. 4・ 倫 理 的 配 慮:対 象 の 母 親 に は研 究 協 力 は 任 意 で あ り,そ の 協 力 有 無 で は不 利 益 が な く 身 体 的侵 襲 が な い こ と,デ ー タは研 究 以 外 に は使 用 しな ど を明 記 した 依 頼 書 を質 問 紙 に添 136 日本助産学会誌 第18巻第3号(2005.3)付 した.ま た,本 研 究 で用 い た 母親 の 自己 の評 価 尺 度(WPL-R-J)の 使 用 に は,事 前 に 作 成者 よ り承 諾 を得 た. III結 果 本研 究 は産 後1∼4ヵ 月 の 母 親440名 に依 頼 し,有 効 回 答 数258を 分 析 対 象 と した ・母 親 の年齢 は30.2±4.5歳173名 が 非就 労 で あ り,204名 は核 家 族 で あ った. 母 親 の 自己 の評 価(WPL-R-J)と 母 親 意識 はや や 正 の相 関 が あ り(r=0.33,p<0.01),自 尊感 情 とは相 関 が な か っ た.母 親 の産 後 月 齢 を1∼2ヵ 月群(115名)と3∼4ヵ 月 群(143 名),子 ど もの 人数 を1人 群(134名)と2人 以 上群(124名)の 各2群 間比 較 を検 討 した が, 母親 の 自己の評 価(WPL-R-J)で は 統計 学 的有 意 差 は な か っ た.母 親 意 識 と自尊 感 情 で は, 産後1∼2ヵ 月の 母 親 よ り3∼4ヵ 月 の 母親 の ほ うが母 親 意識,自 尊感 情 は高 く(p<0.05), 子 どもが2人 以 上 の 母 親 よ り1人 の 母親 の ほ うが 自尊感 情 は 高 く(p<0.05),統 計 学 的 有 意 差 があ った(表1).さ らに,母 親 の 自己の 評 価(WPL-R-J)の 合 計 得 点 の 中央値 以 上 を 自 己評価 高 群(134名),そ れ 以 下 を 自己評価 低群(124名)で2群 間比 較 を検 討 し,自 己評 価 高群 で は母 親 意識 得 点 が 高 く(p<0.01),統 計 学 的 有 意差 が あ った(表2). IV考 察 本 研 究 は産後1∼4ヵ 月 の過 渡 期 で あ る母 親 を対 象 と して,母 親 の 自己 の評 価 をWPL-R-J を用い て測 定 した結 果,母 親 が 自己 に満 足 感 を得 るた め に 自分 自身 を 高 く評 価 す る こ とは, 産後月齢 や 出産経 験 に かか わ らず 母 親 で あ る こ とを受 容 す る意識 を高 め る こ とに効 果 的 で あ る考 え られ た.喜 多 ら(2001)は,自 我 状態 が適 応 型 で あ る育児 期 の母 親 は 自己評 価 が 高 く, 育児不安 が低 い と報 告 して お り,本 対 象 にお い て も 自己 の評 価 の 高 い母 親 は,育 児 の 不 安 が 低い こ とが考 え られ た.し たが って,産 後1∼4ヵ 月 の母 親 の 自己の評 価 を 高 め る こ とは, 過渡期 の 女性 に とっ て母 親 と して の 自己 の充 足 につ な が っ てい くと考 察す る. V結 論 産後1∼4ヵ 月 の過 渡 期 の母親 の 自己 の評 価(WPL-R-J)に 関 す る調 査 解 析 の結 果,母 親 の 自己の評 価 は母親 意識 と関連 が あ り,自 尊 感 情 とは 関連 が なか った.ま た,産 後 月 齢 や 子 どもの人 数 に よ り母親 の 自己 の評価 の 差 は な く,産 後3∼4ヶ 月 の 母親 の ほ うが母 親 意 識, 自尊感 情 は 高 く,子 ど もが1人 の 母親 の ほ うが 自尊感 情 は 高か った. 表1対 象の属性 と群別各得点平均値 表2自 己評価高低群 の各得点平均値
一般演題 〈
研究〉 口演8子
育て支援2
311か 月児 の泣 きに対す る母親 の困難 感 尺度 の 開発
金沢大学医学部保健学科 ○ 田淵 紀 子 〃 島 田 啓 子 〃 亀 田 幸 枝 〃 関 塚 真 美 〃 坂 井 明 美 I緒 言 子 ど もの泣 きは 、 育児 ノイ ロー ゼや 虐 待 を生 じさせ る危 険性 に つ な が る こ とが あ り、 この よ うな状 況 を予 知 し、 育児 困 難 感 や 不安 の軽 減 に貢 献 で き るケ アへ と活 用 す る こ とが 急務 で あ る。 これ まで に、 子 ど もの泣 きに 対す る母 親 の困 難感 の 実態 と困難 に 関連 す る要 因 な どを 縦 断 的 に 明 らか に して き たが 、 今 回 、1ヵ 月 時 点 で の子 ど もの泣 き に対 す る母親 の 困 難感 尺 度 を作 成 し、 そ の信 頼 性 と妥 当性 を検 討 す る こ と を 目的 と した。 II方 法 1.調 査対 象:北 陸 地方 にお け る病産 院 に て 出産 後 、1ヵ 月健 診 に訪 れ た母 親 2.調 査 方 法:自 己記 入 式 質 問 紙調 査 を承 諾 の 得 られ た26出 産 施 設 にお い て 、研 究 目的 お よ び調 査 回 答 が 健 診 お よび 医療 者 の 対応 等 に影 響 しない 旨の 説 明 を書 い た 文 書 を 添 え た 質 問紙 調 査 を配 布 し、 記 入 お よび 郵 送 に よ る返信 を依 頼 した。 3.尺 度 の 作 成 プ ロセ ス と調 査 で 採 用 した測 定 尺 度:こ れ ま で に行 な っ て き た母 親 に 対す る 面接 と生 後1ヶ 月 、4∼5ヶ 月 、1年 時 の縦 断 的 調 査 の 結 果 よ り、母 親 の 育児 困 難 な 状 況や そ れ に 関連 す る要 因 を整 理 し、 泣 きに 対す る 育児 困難感 の概 念 枠組 み を検 討 した。 育 児 に関連 した既 存 の尺 度 につ い て 文献 検 討 を行 い 、Parenting Stress Index(PSI)日 本 版 を参 考 に、 子 ど もの泣 き に着 目 した 尺度 項 目を検 討 した。 本 尺 度 は、 子 どもが 泣 く こ とに よ って 、 母 親 が 育児 に対 す る困 難 な感 情や 負 担 に思 うな どの ス トレス の程 度 を測 定 しよ う とす る もの で あ り、 母親 の育 児 に対 す る考 え、泣 き に対す る思 いや 対 処 時 の 困 難等17項 目 と した。それ ぞれ の項 目に 対 し、 困難 に感 じる程 度 を4段 階 リ ッカ ー ト尺度 と した。 基 準 関連 妥 当性 を検 討 す るた め に 、今 回 、感 情 ・情 動 尺度(田 淵 他,2000)よ り受 容 的 情 動 、非 受 容 的 情 動 各 々5項 目ず つ 計10項 目に抜 粋 した 尺度 と既 存 のベ ックの 抑 うつ尺 度 第2版(以 下 、BDI-II)を 用 い た。 感 情 ・情 動 尺度 の評 定 は"大 体 思 う(1点)"∼"ほ とん ど思 わ な い(4点)"の4件 法 で 、得 点 が 高 い ほ ど受 容 的 傾 向 を示 し、普 段 子 ど も と接 して い る時 と子 ど もが泣 い た 時 の2状 況 の 気持 ちに つ い て それ ぞ れ 設 問 した。 内容 妥 当性 を検 討 す るた め に助 産 学研 究者3名 に 意 見 を 求 め た 後 、 乳児 を持 つ 母 親 を対象 に予 備 調 査 を行 い 、 理解 困難 な 文 章 表現 を修 正 した 。 4.分 析 方法:統 計 解 析 ソフ トSPSS11.5Jを 用 い た。 主 因 子 分 析 法 、Pearson's相 関 係 数 を 138 日本助産学会誌 第18巻第3号(2005.3)求 め た 。 III結 果 1.対 象 の 概 要:調 査 用 紙 は700部 配 布 し、366名 か ら 回 収(回 収 率52.3%)し た 。 有 効 回 答 は 352名(有 効 回 答 率96.2%)で あ り、 初 産 婦181名(51.4%)、 経 産 婦171名(48.6%)で あ っ た 。 2.尺 度 項 目決 定 の た め の 分 析 1)項 目分 析:泣 き に 対 す る 困 難 感 尺 度 項 目 の 回 答 分 布 に 偏 りが み られ た の は1項 目 で 、 そ の 他 の 項 目は ほ ぼ 正 規 分 布 を 示 した 。ま た 、項 目間 で 負 の 相 関 を 示 す も の が な い か 確 認 した 。 2)I-T相 関 分 析:泣 き に 対 す る 困 難 感 尺 度 の 項 目間 相 関 を み た が 、r=0.8以 上 で 項 目内 容 の 類 似 して い る も の は な か っ た 。 ま た 、 尺 度 の 各 項 目 と 全 項 目 の 合 計 得 点 の 相 関係 数 を 求 め た が 、r=0.4以 下 の 項 目 が3項 目み られ た た め 削 除 した 。 3.尺 度 の 信 頼 性 と妥 当性 の 検 討 1)因 子 分 析:泣 き に 対 す る 困 難 感 尺 度17項 目の うち 、項 目分 析 とI-T相 関 分 析 に よ り除 い た14項 目 を 採 択 し、 主 因 子 分 析 法 、 バ リマ ッ ク ス 回 転 した 結 果 、 固 有 値1以 上 の3因 子 が 抽 出 され た が 、 因 子 負 荷 量 が0.4以 下 の1項 目 を 削 除 し分 析 した 。 第1因 子 は5項 目 か ら な り、「育 児 に 対 す る 思 い と 見 通 し」、第2因 子 は4項 目 か らな り、「泣 き の 対 応 と育 児 の 自信 」、 第3因 子 は4項 目か ら な り、 「泣 き の 受 け とめ と ス トレ ス 」 と命 名 し た 。第1因 子 の 寄 与 率 は 30.0%、 第3因 子 ま で の 累 積 寄 与 率 は40.2%で あ っ た 。 2)Cronbach's α係 数 に よ る信 頼 性:因 子 分 析 か ら選 択 され た13項 目 の α係 数 は0.83で あ っ た(第1因 子 α=0.74、 第2因 子 α=0.74、 第3因 子 α=0.60)。 3)基 準 関 連 妥 当性:「BDI-II」 との 相 関 に つ い て は 、r=0.450,p<0.001と 有 意 な 正 の 相 関 を 示 し た 。 「感 情 ・情 動 尺 度 」(α=0.85)と の 相 関 で は 、 子 ど も が 泣 い た 時 の 情 動 と は 、r= -0.646 ,p<0.001と 有 意 な 負 の 相 関 を 示 した 。 ま た 、 普 段 子 ど も と接 し て い る 時 と 子 ど も が 泣 い た 時 の 情 動 得 点 の 差 が 大 き い ほ ど、 困 難 感 尺 度 の 得 点 が 高 か っ た(r=0.467,p<0.001)。 IV考 察 本 尺 度 の 信 頼 性 と 妥 当 性 の 検 討 に よ り、 内 的 整 合 性 、 構 成 概 念 妥 当 性 、 基 準 関 連 妥 当性 が 確 認 で き た 。PSIは 親 の 育 児 ス ト レス を 測 定 す る も の で あ る が 、 今 回 開 発 し た 尺 度 は 、 子 ど もの 泣 き に 対 す る 母 親 の ス ト レス に 焦 点 を あ て 項 目 を 選 定 し た 。 ま た 、 育 児 不 安 の 本 態 は 育 児 困 難 感 で あ り、子 ど もへ の ネ ガ テ ィ ブ な 心 的 態 度 、感 情 か ら 成 る と言 わ れ て い る(川 井 他, 1997)。 今 回 開 発 した 尺 度 は 、 特 に 子 ど も の 泣 き に 対 す る 母 親 の 困 難 感 に 焦 点 を あ て た も の で あ り、 川 井 ら の 育 児 困 難 感 の 内 容 と一 部 類 似 して い る が 、 尺 度 構 成 は よ り精 選 され た も の で あ り、 さ ら に1ヶ 月 時 期 に 焦 点 を 当 て 測 定 で き る と い う活 用 性 が あ る 。 した が っ て 、 子 ど も が 泣 く こ と で 母 親 が 育 児 を 負 担 に 感 じた り、 困 難 な 感 情 や ス トレス フ ル な 感 情 を 抱 く状 況 に あ る か ど うか を 測 定 す る 尺 度 と して 、 臨 床 へ の 適 用 の 可 能 性 が 考 え られ る。 V結 論 1)今 回 開 発 し た 子 ど も の 泣 き に 対 す る 母 親 の 困 難 感 尺 度 は 、13項 目 か ら構 成 され た 。 2)本 尺 度 の 信 頼 性 と妥 当 性 は 、 お お む ね 高 い 信 頼 性 と妥 当性 が 得 られ た 。
一 般 演 題 〈研 究〉 口演8子 育 て支 援2 32
低出生体重児 の出産が母親の対児感 情に及ぼす影響
鳥取大学医学部保健学科 ○ 片 山 理 恵 〃 前 田 隆 子 〃 佐 々木 くみ 子 〃 鈴 木 康 江 〃 西 村 正 子 I緒 雷 女 性 が,母 親 に な る こ と は,新 た な 役 割 を 担 うこ とに な る.新 た な役 割 を 引 き受 け,担 う 時 は,少 な か らず 不 安 が募 る.あ る い は,望 ん で い た 役 割 で あ れ ば,未 知 な る新 た な 役 割 へ の 希 望 や 期 待 も膨 らむ.ほ とん どの 女 性 は,こ の 相 反 す る気 持 ち を 抱 え な が ら母 親 役 割 を受 け入 れ て い く.母 親 役 割 を 受 け入 れ て い く過 程 にお い て,母 親 役 割 取 得 困難 とな る 一 要 因 に, 低 出 生 体 重 児 の 出 産 が 考 え られ る.低 出 生 体 重 児 の 出 産 は,母 親 の 意 思 とは 異 な り,予 期 せ ぬ 出 来 事 で 心 身 と も に深 く傷 っ き,母 親 と して の 自 己像 の 形 成 も妨 げ られ る. そ こ で本 研 究 で は,低 出 生 体 重 児 を 出 産 した 母 親 の 心 理 面 に 着 目 し,そ の 中 で も,低 出 生 体 重 児 の 出 産 が母 親 の 対 児 感 情 に どの よ うな 影 響 を 及 ぼす の か に つ い て検 討 した. II方 法 1.研 究 対 象;対 象 は,産 後3週 目か ら4週 目 の健 診 に 来 院 した 母 親 の うち,産 後 面 接 を実 施 した 母 親120名(予 約 制)で あ る. 2.倫 理 的 配 慮;調 査 対 象 者 に は 調 査 の 趣 旨説 明 書 を用 い て 説 明,同 意 を得 た 上 で 実 施 した. 3.デ ー タ収 集;面 接 終 了 後,無 記 名 自記 式 の 質 問 紙 に よ る調 査 を 実 施 した.調 査 項 目は, ① 産 後 の症 状 に つ い て,② 出 産 や 育 児 に つ い て,③ 家 庭 環 境 につ い て,④ 対 児 感 情1)に つ い て,⑤ うつ 感 情1)に つ い て で あ る. 4.統 計 学 的 解 析;分 析 に は,統 計 ソ フ トSPSSl1.0 J for Windowsを 使 用 した.統 計 学 的 有 意 差 の 検 定 に は,t検 定,Pearsonの 相 関係 数 を 用 い た. III結 果 生 下 時 体 重 が,1,500g未 満 の 新 生 児 を低 群,1,500g以 上2,500g未 満 の新 生 児 を 中 群,2,500 g以 上 の 新 生 児 を 高 群 と して 比 較 検 討 した. 1.対 児 感 情 得 点,う つ 得 点 の 生 下 時 体 重 別 間 の 比 較;対 児 感 情 得 点 は,生 下 時 体 重 別 間 で は,有 意 な 差 が 認 め られ な か っ た.し か し,低 群 が,回 避 得 点,拮 抗 指 数 に 高 い 傾 向 が認 め られ た ・ うつ 得 点 は,低 群 が,中 群(P<0.05),高 群(P<0.01)に 対 して 有 意 に 高 い 値 が 認 め られ た. 2・ 家 庭 環 境 等 得 点 の 生 下 時 体 重 別 間 の 比 較;家 庭 環 境 等 とは ,① 家 庭 の雰囲気(明 るさ), 140 日本助産学会誌 第18巻第3号(2005.3)② 夫 との 結 び つ き,③ 性 生 活 の 心 配,④ 夫 の 家 事 ・育 児 協 力,⑤ 今 回 の 出 産 希 望,⑥ 育 児 か らの解 放 願 望 の6項 目 と し,生 下 時 体 重 別 間 との 関連 に つ い て 分 析 した.夫 との 結 び つ き は, 低 群 が,中 群(P<0.01),高 群(P<0.01)に 対 して 有 意 に 高 い値 が 認 め られ た.夫 の 家 事 ・ 育児 協 力 は,低 群 が,中 群(P<0.01),高 群(P<0.05)に 対 して 有 意 に高 い 値 が 認 め られ た.育 児 か らの解 放 願 望 は,低 群 が,中 群(P<0.01),高 群(P<0.001)に 対 して,中 群 が, 高群(P<0.05)に 対 して 有 意 に低 い 値 が 認 め られ た. 3.対 児 感 情 得 点,う つ 得 点 と家 庭 環 境 等 得 点 の 関連;接 近 得 点 は,家 庭 の 雰 囲 気(P<0.05), 夫の 家事 ・育 児 協 力(P<0.01)と 有 意 な正 の 相 関 を認 め た. 4.対 児 感 情 得 点,う つ 得 点 の 関 連;接 近 得 点 は,回 避 得 点(P<0.05)と 有 意 な 正 の相 関 が,拮 抗 指 数(P<0.01)と 有 意 な負 の 相 関 を認 め た.回 避 得 点 は,拮 抗 指 数(P<0.01), うつ 得 点(P<0.01)と 有 意 な 正 の相 関 を認 め た.拮 抗 指 数 は,う つ 得 点(P<0.01)と 有 意 な正 の相 関 を認 め た. IV考 察 1.対 児 感 情 得 点,う つ 得 点 の 生 下 時 体 重 別 間 の 比 較;低 群 の母 親 は,回 避 得 点,拮 抗 指 数 が高 い傾 向 で あ り,う つ 得 点 が 有 意 に 高 か っ た.よ っ て,生 下 時 体 重 が 母 親 の 心 理 に好 ま し くない影 響 を 及 ぼ して い る と考 え られ,低 群 の母 親 へ の 心 理 面 の 支 援 の必 要 性 が 示 唆 され た. 2.家 庭 環 境 等 得 点 の 生 下 時 体 重 別 間 の 比 較;低 群 の母 親 は,夫 と の結 び つ き,夫 の 家 事 ・ 育児 協力 の得 点 が 有 意 に 高 く,母 親 を サ ポ ー トす る効 果 的 な 夫 婦 の 関 係 性 を形 成 して い る こ とが考 え られ た.ま た,低 群 の 母 親 は,育 児 か らの 解 放 願 望 の 得 点 が有 意 に低 く,育 児 か ら 解放 され た い と思 う事 が 少 な い こ とが 示 され た.こ れ は,児 が入 院 中 で あ る低 群 の母 親 も い た た め,家 庭 で は実 際 に 育 児 を行 っ て い な い こ とが,今 回 の 結 果 に 影 響 を及 ぼ した と推 察 し た.さ らに,低 群 の母 親 で は,夫 の 家 事 協 力 の 得 点 が有 意 に高 か っ た結 果 も,育 児 か ら の解 放願 望 の得 点 の 低 さに 関 係 が あ る と考 え られ た. 3.接 近 得 点,回 避 得 点,う つ 得 点 と家 庭 環 境 等 の 関連;接 近 得 点 は,家 庭 の 雰 囲 気(明 る さ),夫 の家 事 ・育 児 協 力 に よ っ て 高 め られ る 可 能 性 が 考 え られ た.つ ま り,接 近 得 点 に も, 夫婦 関係 は影 響 を及 ぼ す こ とが 示 唆 され た. 4.対 児 感 情 得 点.う つ 得 点 の 関 連;う つ は.母 親 自身 の健 康 状 態 だ け で は な く,回 避 得 点, 拮 抗指 数 に影 響 を及 ぼ して い る こ と が示 唆 され た.良 好 な 母 子 関係 を培 う上 で,う つ は,注 意 を要 す る症 状 で あ る と考 え る. V結 論 生 下 時 体 重1,500g未 満 の 極 低 出 生 体 重 児 を 出 産 した 母 親 の 心 理 面 へ の支 援 の 必 要 性 が 示唆 され た.現 在 は,調 査 協 力 して 頂 い た 病 院 に て,産 後 検 診 時 の 産 後 面 接(助 産 師)の 窓 口が開 設 され て い る.今 後 は,助 産 師 は,妊 娠 期 の継 続 支 援 と して 行 っ て い る 母 親 学 級 や 両 親 学級 だ けで は な く,産 褥 期 か らそ の 後 も,母 親 に 対 して の 継 続 的 な支 援,例 え ば 育 児 学 級 と して,母 親 の 心 身 の 健 康 も支 え る よ うな 支 援 体 制 の 構 築 を 行 う必 要 性 が あ る と考 え る. 文 献:1) 花 沢 成 一. 母 性 心 理 学. 第1版. 東 京. 医 学 書 院. 1992