(1)1 . か い よ う 病
X a n t h o m o n a s c a m p e s t r i s p v .c i t r i
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
病 原 菌 は 、 枝 葉 や 樹 上 果 実 の 病 斑 部 で 越 冬 す る が 、 秋 の 病 斑 と 秋 季 感 染 の
潜 伏 越 冬 病 斑 は 翌 春 の 病 原 菌 の 増 殖 力 が 強 く 、 伝 染 源 の 主 体 を な し て い る 。
平 均 気 温 2 8 ℃ 前 後 で 最 も 増 殖 力 が 大 き く 、 雨 媒 伝 染 を し て 、 特 に 強 い 風 雨 に
よ っ て 感 染 が 甚 し く な る 。
病 原 菌 は 気 孔 が よ く 開 い て い る 時 期 ( 葉 長 が 3 c m か ら 硬 化 直 前 ま で ) が 感
染 し や す い 。 潜 伏 期 間 は 、 春 葉 で 1 0 ~ 2 0 日 、 夏 葉 で 5 ~ 1 0 日 、 秋 葉 で 1 0 日
以 上 、 硬 化 し た 葉 で は 2 0 日 位 で あ る 。 一 般 に 夏 秋 梢 に 発 病 が 多 く 、 台 風 や ミ
カ ン ハ モ グ リ ガ の 傷 な ど か ら よ く 発 病 す る 。
防 除 に あ た っ て は 、 防 風 施 設 の 完 備 や 発 病 枝 梢 の 剪 除 な ど 耕 種 的 防 除 を 徹
底 す る と と も に 、 ミ カ ン ハ モ グ リ ガ の 防 除 を 十 分 に 行 う 。
薬 剤 防 除 は 、 発 芽 前 、 開 花 前 、 落 花 直 後 と 梅 雨 期 に 雨 前 の 予 防 散 布 が 重 要
で あ る 。 な お 、 発 芽 前 の 散 布 は 、 幼 木 及 び 前 年 の 発 病 の 多 か っ た 園 で 行 い 、
特 に 早 春 が 温 暖 多 雨 の と き は 必 ず 散 布 す る 。 又 、 夏 秋 季 の 防 除 は 、 強 風 雨 後
に 発 病 が 甚 し い の で 、 風 雨 前 の 防 除 を 徹 底 す る 。 ハ ウ ス 栽 培 で は 発 病 が 少 な
い 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 防 風 林 、 防 風 垣 を 必 ず 設 置 す る 。
( 2 ) 罹 病 枝 を 剪 除 焼 却 し 、 伝 染 源 を 少 な く す る 。
( 3 ) 温 州 ミ カ ン で は 、 罹 病 性 品 種 と の 混 植 及 び 隣 植 を 避 け る 。
( 4 ) 新 植 時 に 無 病 苗 を 定 植 す る 。
( 5 ) 施 肥 に 注 意 し 、 枝 葉 が 軟 弱 に な ら な い よ う に す る 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
被 害 葉 ( 裏 病 斑 )
新 梢 病 斑
病 果
被 害 葉 ( 表 病 斑 )
(2)2 . 黒 点 病
D i a p o r t h e c i t r i l
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
本 病 は 保 菌 枯 枝 が 唯 一 の 伝 染 源 と な る 。 病 原 菌 は 雨 媒 伝 染 を 行 う の で 、 保
菌 枯 枝 が 多 く 、 降 雨 が 多 い と 発 病 が 多 い 。 感 染 期 間 は 4 ~ 1 0 月 頃 ま で で 、 果
実 で は 5 ~ 9 月 に 発 病 が 多 い 。
黒 点 病 に は 前 期 感 染 病 斑 と 後 期 感 染 病 斑 が あ り 、 6 ~ 7 月 に 雨 が 多 い と 前
期 感 染 病 斑 ( 泥 塊 状 病 斑 で 病 斑 の ま わ り は 白 い ふ ち ど り が あ り 、 黒 点 は 果 面
よ り と び だ し て ガ サ ガ サ し て い る ) が 多 く 、 8 ~ 9 月 に 雨 が 多 い と 後 期 感 染
病 斑 ( 一 般 に 黒 点 は 小 さ く 周 り に 緑 斑 が 残 り 白 い ふ ち ど り が な く 、 病 斑 表 面
は 果 面 か ら と び だ し て い な い ) が 多 い 。
防 除 に あ た っ て は 、 カ ン キ ツ 樹 上 及 び 防 風 樹 等 の 枯 枝 を 除 去 す る こ と が 大
切 で あ る 。 薬 剤 防 除 は 5 月 下 旬 ~ 6 月 上 旬 に 第 1 回 目 を 、 6 月 中 下 旬 に 第 2
回 目 を 行 う 。 雨 が 多 く 多 発 生 か 予 想 さ れ る 場 合 は 、 7 月 上 旬 に 第 3 回 目 の 防
除 を 行 い 、 特 に 梅 雨 期 の 防 除 を 徹 底 す る こ と が 必 要 で あ る 。 更 に 8 月 中 下 旬
の 後 期 防 除 を 徹 底 す る 。 な お 、 梅 雨 期 等 で 降 雨 が 続 く 場 合 は 雨 中 散 布 を 行
う 。
コ ン ピ ュ ー タ を 利 用 し た 正 確 な 発 生 予 察 法 が あ る の で 、こ れ を 利 用 し た 適 期
防 除 を 行 う
〈 防 除 法 〉
O 耕 種 的 防 除
( 1 ) 樹 の 保 健 に 努 め 、 枯 枝 の で き に く い 栽 培 を 行 い 、 枯 枝 の 除 去 、 焼 却 を 行 う 。
( 2 ) 剪 定 く ず は 早 急 に 埋 没 又 は 園 外 搬 出 を 行 い 処 分 す る 。
( 3 ) 空 気 の 停 滞 す る 土 地 に は 作 ら な い よ う に し 、 排 水 不 良 園 は 排 水 を よ く す
る 。
葉 の 発 病 前 期 感 染 病 果 後 期 感 染 病 果
(3)3 . そ う か 病
E l s i n o e f a w c e t t i
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
病 原 菌 は 枝 や 葉 、 果 実 の 病 斑 中 で 菌 糸 の 形 で 越 冬 し 、 発 芽 直 後 に 降 雨 が 続 く
と 病 斑 上 に 作 ら れ た 分 生 子 に よ っ て 飛 散 し 、 新 梢 等 に 感 染 す る 。 そ の 後 は 降
雨 の た び に 次 々 と 二 次 伝 染 を 繰 り 返 す 。 春 葉 で は 4 月 中 下 旬 、 果 実 で は 落 花
後 ~ 指 頭 大 期 頃 の 降 雨 が 発 病 に 最 も 影 響 す る 。
防 除 に 当 た っ て は 、 罹 病 枝 の 除 去 を 徹 底 し 、 発 芽 期 と 落 花 直 後 の 薬 剤 散 布
を 実 施 す る 。 さ ら に 発 病 が 多 け れ ば 果 実 が 指 頭 大 の 時 期 に も 1 回 防 除 す る 。
近 年 、 本 病 に 対 す る ベ ン ズ イ ミ ダ ゾ ー ル 系 薬 剤 の 効 力 低 下 が 認 め ら れ る た
め 、 本 系 剤 の 効 果 が 劣 る 場 合 は 別 の 薬 剤 に 切 り 替 え る 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 罹 病 苗 を 持 込 ま な い 。
( 2 ) 剪 定 時 に 罹 病 葉 を 除 去 す る 。
( 3 ) 窒 素 過 多 に な ら な い よ う 肥 培 管 理 を 行 う 。
( 4 ) 防 風 林 、 防 風 垣 を 設 置 す る 。
( 5 ) 未 結 果 樹 は 、 夏 秋 梢 伸 長 期 も 防 除 す る 。
( 6 ) 密 植 園 は 間 伐 を 行 い 、 通 風 採 光 を よ く す る 。
病 果 病 葉
(4)4 . ウ イ ル ス 病 ・ ウ イ ロ イ ド 病
カ ン キ ツ の ウ イ ル ス 病 や ウ イ ロ イ ド 病 は 、 主 に 接 ぎ 木 に よ り 伝 染 す る 病 害
で あ り 、 保 毒 す る と 樹 勢 の 衰 弱 や 果 実 生 産 力 の 低 下 な ど が 起 こ る 。 そ の た
め 、 高 接 ぎ な ど の 品 種 更 新 や 改 植 に 当 っ て は 、 ウ イ ル ス 病 の 伝 染 蔓 延 防 止 に
十 分 な 注 意 を 払 う 必 要 が あ る 。
カ ン キ ツ の 温 州 萎 縮 病 、 カ ン キ ツ モ ザ イ ク 病 お よ び 接 木 部 異 常 病 に つ い て
は 、 診 断 キ ッ ト を 用 い る こ と で 、 圃 場 で 簡 易 に 診 断 で き る 。 ウ イ ル ス 、 ウ イ
ロ イ ド の 正 確 な 診 断 の た め に は 、 サ ン プ ル 採 穂 時 期 、 方 法 等 適 切 に 行 う 必 要
が あ る た め J A や 普 及 指 導 セ ン タ ー な ど の 関 係 機 関 へ 問 い 合 わ せ る 。
1 . 温 州 萎 縮 病 S a t s u m a d w a r f v i r u s ( S D V )
( 1 ) 生 態
温 州 ミ カ ン の 春 葉 に 舟 型 、 サ ジ 型 の 病 徴 を 示 、
樹 勢 が 衰 え 果 実 収 量 が 低 下 す る 。 ま た 一 般 に 罹 病
樹 で は 春 枝 の 節 間 か つ ま り 、 叢 生 す る 。 果 実 は 腰
高 に な り 品 質 が 低 下 す る 。 早 生 温 州 の 中 に は 、
時 々 舟 型 、 サ ジ 型 葉 を 呈 し て 温 州 萎 縮 類 似 症 を 示
す 樹 が あ る が 、 接 種 に よ り サ サ ゲ 、 シ ロ ゴ マ に も 反
応 を 示 さ な い も の は 萎 縮 病 で は な い 。 接 木 伝 染 の
ほ か 、 土 壌 伝 染 も す る 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
○ 耕 種 的 防 除
ア 無 病 の 母 樹 か ら 採 穂 す る 。 罹 病 樹 で も 夏 枝 で は 病 徴 が 隠 ぺ い さ れ て い
る の で 注 意 す る 。
イ 罹 病 樹 は 伐 採 、 抜 根 す る 。
ウ 発 病 園 で は 、 病 徴 跡 と 健 全 樹 の 境 界 に 溝 を 掘 っ て 遮 断 す る
2 . カ ン キ ツ モ ザ イ ク 病 C i t r u s m o s a i c v i r u s ( C i M V )
( 1 ) 生 態
果 実 の 病 徴 は 温 州 ミ カ ン の 他 、 レ モ ン 、 ネ ー ブ ル な ど で 発 生 が 知 ら れ て い
る 。 果 実 に 「 ト ラ ミ カ ン 」 と 呼 ば れ る 症 状 が あ ら わ れ る が 、 こ れ は 早 生 温 州
で は 9 月 頃 、 普 通 温 州 で は 1 0 月 頃 に な ら な い と 判 別 で き な い 。 温 州 萎 縮 病 ウ
イ ル ス と 近 縁 の ウ イ ル ス に よ り お こ る と 考 え ら れ て い る 。 サ サ ゲ 、 シ ロ ゴ マ
な ど に 反 応 が 認 め ら れ る 。 罹 病 樹 で は 舟 型 葉 を 表 す が や や 軽 い 。
温 州 ミ カ ン 以 外 の カ ン キ ツ 品 種 へ の 高 接 ぎ 更 新 で も
果 実 の 被 害 が 見 ら れ る こ と が あ る 。 接 木 伝 染 の ほ か 、
土 壌 伝 染 も す る 。
(5)3 . 接 ぎ 木 部 異 常 病 A p p l e s t e m g r o o v i n g v i r u s( A S G V )
( 1 ) 生 態
罹 病 樹 は 穂 木 と カ ラ タ チ 台 と の 接 合 面 に 亀
裂 を 生 じ 、 わ い 化 ま た は 衰 弱 す る と と も に 樹
体 は や が て 枯 死 に 至 る 。 外 見 的 に は 穂 木 部 分
の 肥 大 現 象 ( 台 負 け 症 状 ) や く び れ を 生 じ る
が 、 穂 本 部 と 台 木 の い ず れ に も 特 別 の 病 徴 は
み ら れ な い 。
病 原 ウ イ ル ス は 実 験 的 に は 樹 液 接 種 も で き
る が 、 自 然 条 件 下 で 接 触 伝 染 が お こ る 可 能 性
は 少 な い 。
( 2 ) 防 除 法
○ 耕 種 的 防 除
ア 伝 染 経 路 は 感 染 穂 木 と 考 え ら れ る の で 健 全 母 樹 ( ウ イ ル ス 検 定 済 み が 少
な く と も 1 0 年 以 上 の カ ラ タ チ 台 成 木 で 接 ぎ 木 部 が 正 常 の 樹 ) か ら 採 穂 す
る 。
4 . カ ン キ ツ ス テ ム ピ ッ テ ィ ン グ 病 C i tr u s t r i s t e z a v i r u s (C T V)
( ハ ッ サ ク 萎 縮 病 )
( 1 ) 生 態
接 ぎ 木 や ミ カ ン ク ロ ア ブ ラ ム シ で 伝 染 す る 。 こ の ウ イ ル ス は ス テ ム ピ ッ
テ ィ ン グ 系 と シ ー ド リ ン グ イ エ ロ ー ズ 系 に 分 け ら れ る 。 カ ラ タ チ は 免 疫 に
近 い 抵 抗 性 を 示 す 。
ア ス テ ム ピ ッ テ ィ ン グ 系 統
生 育 障 害 、 萎 縮 、 果 実 の 小 玉 化 、 木 部 の ピ ッ テ ィ ッ ン グ な ど の 症 状 を あ
ら わ す 。 ハ ッ サ ク 、 ナ ツ ダ イ ダ イ 、 ネ ー ブ ル オ レ ン ジ 、 伊 予 柑 、 グ レ ー プ
フ ル ー ツ 等 に 発 病 し 被 害 が 大 き い 。 温 州 ミ カ ン や レ モ ン は 保 毒 し て も 被 害
は な い 。
イ シ ー ド リ ン グ イ エ ロ ー ズ 系 統
( 樹 皮 を 剥 ぐ と 、 台 木 と の
境 に 亀 裂 が 確 認 で き る )
( 紅 ま ど か : 葉 の 奇 形 、 果 実
の 小 玉 化 が み ら れ る )
( 紅 ま ど か : 葉 の 萎
縮 、
奇 形 が み ら れ る )
(6)ー プ フ ル ー ツ 等 が 弱 く 被 害 が 大 き い 。 ス ィ ー ト オ レ ン ジ や マ ン ダ リ ン 等 は
保 毒 し て も 害 は な い 。
( 2 ) 防 除 法
○ 耕 種 的 防 除
ア 穂 木 は 必 ず 母 樹 の ス テ ム ピ ッ テ ィ ン グ な ど の 有 無 を 検 査 し 、 ピ ッ テ ィ
ン ン グ 症 状 の な い も の を 使 用 す る 。 温 州 ミ カ ン ヘ の 中 晩 柑 品 種 の 高 接 ぎ
更 新 は 保 毒 し て い る 可 能 性 が 強 い の で 好 ま し く な い 。
イ 接 ぎ 穂 の 生 育 が 悪 い 場 合 や 明 ら か な 症 状 を 認 め る 場 合 に は 伐 採 処 分 す
る 。
ウ 強 剪 定 、 結 果 過 多 、 気 象 災 害 な ど に よ っ て 樹 が 衰 弱 す る と 被 害 が 大 き
く な る の で 、 管 理 を 良 く し 施 肥 を 多 く 行 い 樹 勢 の 維 持 に 努 め る 。
エ 不 知 火 等 新 し い 品 種 で は 、 本 病 に か か り に く く す る 弱 毒 ウ イ ル ス M 1 6 A
を 接 種 し た 苗 も 販 売 さ れ て い る 。 改 植 に あ た っ て は 弱 毒 接 種 苗 を 栽 植 す
る 。
5 . カ ン キ ツ エ ク ソ コ ー テ ィ ス 病 C i t r u s e x o c o r t i s v i r o i d ( C E V d )
( 1 ) 生 態
病 原 は ウ イ ロ イ ド で あ る 。 台 木 の 亀 裂 、 剥 皮 、 生 育 障 害 な ど の 症 状 を あ ら
わ し 、 接 ぎ 木 や 樹 液 で 伝 染 す る 。 カ ラ タ チ 、 シ ト レ ン ジ な ど の 台 木 で 侵 さ
れ 、 レ モ ン 、 グ レ ー プ フ ル ー ツ 、 ス ィ ー ト オ レ ン ジ 、 温 州 ミ カ ン な ど に 発 生
す る 。 我 が 国 で 使 用 し て い る カ ラ タ チ 台 で 被 害 が 甚 大
と な る 。
C E V d に 保 毒 し て い な く て も 、 他 の カ ン キ ツ ウ イ ロ
イ ド の 複 合 感 染 に よ り 上 記 の 症 状 を 発 症 す る 事 例 が 多
く 見 つ か っ て い る 。
( 2 ) 防 除 法
○ 耕 種 的 防 除
エ ク ソ コ ー テ ィ ス の 保 毒 樹 に 使 用 し た 剪 定 バ サ ミ 、
鋸 は 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム ( 2 ~ 4 % ) と ホ ル マ リ ン ( 2 ~
4 % ) の 等 量 混 液 を 使 用 直 前 に 作 っ て 、 こ れ で 消 毒 す
る 。 ま た 、 簡 便 な 方 法 と し て 、 台 所 用 漂 白 剤 『 ハ イ タ
ー 』 で 洗 う こ と で 消 毒 が 可 能 で あ る が 、 開 封 後 6 ヶ 月
以 内 の も の を 使 用 す る 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(7)5 . 灰 色 か び 病
B o t r y t i s c i n e r e a
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
ハ ウ ス 栽 培 で 特 に 発 病 が 目 立 ち 、 被 害 が 大 き い 。
多 犯 性 病 害 で 、 カ ン キ ツ 以 外 で も ブ ド ウ 、 カ キ 、 そ の 他 施 設 野 菜 ( ト マ
ト 、 ナ ス 、 イ チ ゴ 、 キ ュ ウ リ な ど ) に も 発 生 す る 。 開 花 期 前 後 に 多 湿 な 気 象
状 態 が 続 く と 空 中 の 胞 子 が 枯 死 し た 花 弁 に 寄 生 し 、 幼 果 に 傷 害 を 生 じ 外 観 を
損 な う 。
防 除 に 当 た っ て は 、 ハ ウ ス 栽 培 で は 開 花 期 前 後 に 多 湿 に な ら ぬ よ う 施 設 の
管 理 を 行 う こ と が 重 要 で 、 多 湿 状 態 で 薬 剤 防 除 し て も 効 果 が 上 が り に く い 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) ハ ウ ス 栽 培 で は 施 設 の 湿 度 管 理 を 徹 底 し 、 過 湿 に な ら な い よ う に す る 。
( 2 ) 落 花 期 の 花 弁 を 努 め て 落 と す よ う に す る 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
花 弁 の 発 病 成 果
(8)6 . 貯 蔵 病 害
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
貯 蔵 病 害 に は 、 青 か び 病 、 緑 か び 病 、 軸 腐 病 、 黒 腐 病 、 黒 斑 病 、 灰 色 か び
病 、 炭 疽 病 、 菌 核 病 、 虎 斑 病 な ど が あ る が 、 中 で も 発 病 が 多 く 重 要 な の は 前
記 の 灰 色 か び 病 ま で の 6 種 の 病 害 で あ る 。
な お 、 虎 斑 病 は ミ ド リ ヒ メ ヨ コ バ イ や 生 理 的 原 因 に よ っ て 発 生 す る 。
青 か び 病 、 緑 か び 病 は 未 熟 果 や 傷 口 以 外 か ら は 感 染 し な い 。 一 般 に 9 月 中
旬 以 降 の 風 傷 や 吸 汁 性 害 虫 の 食 痕 部 な ど か ら 腐 敗 す る 。 緑 か び 病 は 貯 蔵 初 期
か ら 発 生 す る が 、 青 か び 病 は 2 月 以 降 か ら 発 生 す る 傾 向 が あ る 。 こ れ ら の
発 生 比 率 は 年 に よ り 、 場 所 に よ っ て 異 な り 、 夏 か ら 秋 に か け て 乾 燥 す る 年 、
果 汁 中 の 糖 度 が 高 い 年 に は 青 か び 病 の 発 生 が 多 く な る 。 ま た 青 か び 病 は 腐 敗
果 に 健 全 果 が 接 触 し て 感 染 す る こ と も あ る 。
軸 腐 病 は 黒 点 病 菌 に よ っ て お こ り 、 黒 点 病 の 多 発 生 園 で は 被 害 が 大 き い 。
病 原 菌 は 果 実 が 樹 上 に あ る 間 に 感 染 の 機 会 が あ り 、 果 梗 部 や へ タ の 部 分 に 潜
伏 し 、 貯 蔵 が 長 く な り 果 実 の 消 耗 が は げ し く な る と 果 梗 部 か ら 維 管 束 を 通 っ
て 果 実 内 部 に 侵 入 し 腐 敗 を 起 こ す 。
黒 腐 病 は 、 病 原 菌 が 柱 頭 よ り 侵 入 し 、 ま た は 幼 果 期 の 傷 口 か ら 潜 伏 し 貯 蔵
中 に 発 病 す る 。 収 穫 前 に 雪 や 雹 が 降 る と 、 発 病 が 多 く な る 。 ま た 立 木 中 に も
発 病 し 生 理 落 果 を 助 長 す る こ と が あ る 。
黒 斑 病 は 一 般 に 貯 蔵 中 期 か ら 後 期 に 発 生 す る 。 本 病 菌 は 普 段 は 果 実 の 組 織
中 に 潜 伏 し て 病 徴 を 出 さ な い が 、 組 織 が 弱 っ た と き に 、 貯 蔵 中 は と く に 過 乾
燥 の と き に 、 発 病 が 多 い 。 ま た 収 穫 前 に 霜 害 を 受 け る と 発 病 が 多 く な る 。
灰 色 か び 病 は 、 各 種 の 野 菜 類 な ど 広 範 に 寄 生 す る 病 原 菌 に よ っ て お き る 。
本 病 は 接 触 感 染 す る た め 一 度 発 病 す る と 甚 大 な 被 害 を も た ら す 。
多 湿 の 貯 蔵 状 態 で 発 生 し や す く 、 貯 蔵 庫 内 の 湿 度 は ミ カ ン で は 8 0 ~ 8 5 % 、
中 晩 柑 で は 9 0 % が 良 い 。
貯 蔵 病 害 の 防 除 に は 、 ま ず 適 正 な 肥 培 管 理 に よ り 貯 蔵 性 の 高 い 果 実 を 作 る
こ と が 必 要 で あ る 。
ま た 収 穫 、 貯 蔵 時 に 傷 を つ け な い よ う 取 り 扱 い に 十 分 注 意 し 、 充 分 な 予 措
と 適 切 な 貯 蔵 管 理 と 腐 敗 果 の 点 検 を 行 う こ と に 留 意 す る 。 果 実 腐 敗 防 止 剤 の
散 布 は 収 穫 前 に 1 回 行 う 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 果 皮 に 傷 を つ け な い よ う に 注 意 す る 。
( 2 ) 収 穫 果 実 の 貯 蔵 予 措 を 行 う 。
( 3 ) 貯 蔵 庫 内 の 管 理 、 と く に 湿 度 を 適 性 に 保 つ 。
(9)( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
7 . 褐 色 腐 敗 病
P h y t o p h t o r a c i t r o p h t h o r a , P . c i t r i c o l a , P . n i c o t i a n a e , P . p a l m i v o l a
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
土 壌 に 一 次 伝 染 源 が 存 在 し 、 発 病 果 を 介 し て 二 次 伝 染 を 行 う 。 土 壌 中 に 生
息 し て い る 病 原 菌 は 雨 水 等 の 水 中 で 遊 走 子 を 放 出 し 、 風 雨 な ど に よ っ て 果 実
に 運 ば れ 、 感 染 す る 。 成 熟 期 に 降 雨 が 多 い と 多 発 す る 。 特 に 、 台 風 や 集 中 豪
雨 時 に は 注 意 が 必 要 で あ る 。
〈 防 除 法 〉
〇 耕 種 的 防 除 法
( 1 ) 園 内 の 排 水 対 策 や 通 風 を よ く し 、 地 表 面 を 乾 か す 。
( 2 ) マ ル チ 栽 培 を し て 雨 水 の 跳 ね 返 り を 抑 制 す る 。
( 3 ) 果 実 の 吊 り 上 げ 等 を 行 い 、 果 実 に 泥 水 が 付 か な い よ う に す る 。
青 か び 病 緑 か び 病 軸 腐 病 黒 腐 病
黒 斑 病
(10)1 . ミ カ ン ハ ダ ニ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
年 間 、 1 0 世 代 以 上 を く り 返 し 、 条 件 さ え よ け れ ば い つ で も 増 殖 す る こ と が
で き る 。 一 般 の ほ 場 で は 例 年 7 ~ 8 月 と 1 0 月 頃 多 発 す る 傾 向 に あ る 。 冬 期 の
マ シ ン 油 乳 剤 の 効 果 が 高 く 、 的 確 に 防 除 し た 場 合 は 梅 雨 明 け 頃 ま で ハ ダ ニ の
発 生 を 抑 え る こ と が で き る 。 経 済 的 被 害 許 容 水 準 は メ ス 成 虫 の 寄 生 葉 率 3 0 ~
4 0 % で あ り 、 こ れ を 一 応 の 目 安 と し て 防 除 の 要 否 を 決 定 す る 。
現 在 、 各 種 殺 ダ ニ 剤 に 対 す る 抵 抗 性 ハ ダ ニ が 各 地 に 発 生 し て い る の で 、 抵
抗 性 の 検 定 又 は 今 ま で の 防 除 効 果 か ら 抵 抗 性 の 有 無 を 確 か め 、 適 切 な 殺 ダ ニ
剤 を 導 入 す る 。 今 後 抵 抗 性 ハ ダ ニ の 出 現 を 少 な く す る た め 、 共 同 防 除 又 は 一
斉 防 除 を 推 進 し 、 年 間 の 防 除 回 数 を 少 な く す る 。
ま た 、 散 布 に あ た っ て は か け む ら の な い よ う に 、 十 分 な 散 布 量 で 葉 の 表 裏
に て い ね い に 散 布 す る 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
成 虫 と 卵 被 害 葉
(11)2 . チ ャ ノ キ イ ロ ア ザ ミ ウ マ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
本 種 は カ ン キ ツ の 他 、 チ ャ 、 ブ ド ウ 、 カ キ な ど 多 く の 作 物 を 加 害 す る こ と
が 知 ら れ て い る 。
カ ン キ ツ で は 、 幼 果 期 の 6 ~ 1 0 月 ま で の 長 期 に わ た っ て 寄 生 加 害 す る が 、
主 な 加 害 期 間 は 6 月 下 旬 ~ 9 月 上 旬 で あ る 。
被 害 は 果 梗 部 周 辺 が 同 心 円 状 の 灰 白 色 の リ ン グ と な る 他 、 果 頂 部 及 び 果 側
部 に 茶 褐 色 の 雲 形 状 又 は 不 規 則 な 傷 と な り 、 著 し く 外 観 を 損 な う が 、 一 般 に
は 他 の 傷 害 と 混 同 さ れ や す い 。
ま た 、 本 種 の 被 害 は 、 春 か ら 夏 に か け て 降 雨 が 少 な く 、 比 較 的 乾 燥 す る 年
に 多 発 す る 傾 向 が あ る 。
な お 、 本 種 の 主 た る 発 生 源 は チ ャ 及 び マ サ キ 、 マ キ 等 で あ り 、 そ れ ら の 発
生 源 を 含 め た 防 除 を 行 う と 効 果 的 で あ る 。
薬 剤 防 除 は 、 加 害 時 期 が 長 期 に わ た る の で 、 6 月 上 旬 ~ 9 月 上 旬 に 3 ~ 4
回 行 う 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
ミ カ ン 園 に 混 植 さ れ て い る チ ャ を 伐 採 し 、 園 内 の 発 生 源 を 処 分 す る 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
成 虫 前 期 被 害 果 後 期 被 害 果
(12)3 . ミ カ ン ハ モ グ リ ガ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
成 虫 態 で ミ カ ン の 樹 冠 内 や 草 む ら 内 で 越 冬 す る 。 春 新 芽 の 発 生 と と も に 産
卵 加 害 す る が 、 こ の 時 期 に は 虫 の 密 度 が 低 い た め 被 害 は ご く 少 な い 。 し か
し 、 春 葉 で 次 々 と 繁 殖 す る た め 6 月 頃 に は 密 度 が 高 く な り 、 夏 葉 以 降 に は 多
大 の 被 害 が 発 生 す る 。
幼 虫 期 間 は 、 6 ~ 7 月 は 3 ~ 4 日 、 4 ~ 5 月 と 9 ~ 1 0 月 は 1 0 ~ 1 5 日 で あ
り 、 蛹 期 間 は 7 ~ 8 日 で 、 年 間 7 ~ 8 回 発 生 す る こ と に な る 。 防 除 は 夏 秋 梢
の 被 害 防 止 に 重 点 を お く 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
4 . ゴ マ ダ ラ カ ミ キ リ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
近 年 各 地 で 発 生 が 多 く な っ て い る 。 通 常 1 世 代 に 1 年 を 要 す る が 2 年 を 要
す る も の も あ る 。
成 虫 は 5 ~ 9 月 の 長 期 間 に わ た っ て 見 ら れ る が 、 特 に 多 い の は 6 ~ 7 月 で
あ る 。
産 卵 は 7 ~ 8 月 頃 に 多 く 、 地 際 か ら 4 0 c m ま で の 枝 幹 部 に 多 い 。
防 除 は 成 虫 発 生 時 期 ( 6 ~ 7 月 ) と 若 齢 幼 虫 の 食 入 期 を 狙 っ て 行 う 。 幼 虫
の 発 生 が 少 な い 場 合 は 、 8 月 中 下 旬 の 1 回 散 布 で よ い が 、 多 い 場 合 に は 7 月
下 旬 と 8 月 下 旬 の 2 回 散 布 す る 。
〈 防 除 法 〉
O 耕 種 的 防 除
( 1 ) 樹 冠 下 の 周 辺 を 清 潔 に す る 。
( 2 ) 捕 殺 に 努 め る 。
被 害 葉
被 害 果
(13)5 . ア ブ ラ ム シ 類
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
カ ン キ ツ に 寄 生 す る ア ブ ラ ム シ の 主 な 種 類 は ミ カ ン ク ロ ア ブ ラ ム シ 、 ユ キ
ヤ ナ ギ ア ブ ラ ム シ 、 ワ タ ア ブ ラ ム シ の 3 種 で あ る 。 最 も 普 通 に 見 ら れ る ミ カ
ン ク ロ ア ブ ラ ム シ は 、 ト リ ス テ ザ ウ イ ル ス の 媒 介 や ス ス 病 の 原 因 と な る だ け
で な く 、 果 梗 部 を 集 中 加 害 し 落 果 さ せ る こ と も あ る の で 、 早 め に 防 除 す る 必
要 が あ る が 、 薬 剤 に は 弱 い の で 簡 単 に 防 除 出 来 る 。 淡 緑 色 の 体 色 を し た ユ キ
ヤ ナ ギ ア ブ ラ ム シ は 薬 剤 に 対 し て 強 い が 、 新 梢 の 先 端 部 に 群 生 し 寄 生 葉 が 内
側 に 湾 曲 す る 程 度 で 、 幼 木 や 高 接 ぎ 樹 を 除 い て 実 害 は あ ま り な い の で 、 機 械
的 に 防 除 し な い で 天 敵 の 活 用 を 図 る 。 ワ タ ア ブ ラ ム シ は 体 色 が 黒 色 、 緑 色 、
黄 土 色 と 変 化 に 富 み 、 や や 硬 化 し た 新 葉 に も 寄 生 す る 。 近 年 、 従 来 効 果 が 高
か っ た 合 成 ピ レ ス ロ イ ド 系 薬 剤 の 効 か な い ワ タ ア ブ ラ ム シ の 発 生 が 増 加 し て
い る の で 、 そ の 場 合 は 他 の 薬 剤 で 防 除 を 行 う 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
ミ カ ン ク ロ ア ブ ラ ム シ ユ キ ヤ ナ ギ ア ブ ラ ム シ
(14)6 . ヤ ノ ネ カ イ ガ ラ ム シ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
年 2 ~ 3 回 発 生 す る 。 幼 虫 は 第 1 世 代 5 月 中 旬 ~ 7 月 下 旬 、 2 世 代 7 月 下
旬 ~ 1 1 月 、 第 3 世 代 1 0 ~ 1 1 月 に 発 生 し 、 繁 殖 力 は 旺 盛 で あ る 。
防 除 の 主 体 は 第 1 世 代 幼 虫 発 生 期 に お く が 、 こ の 期 の 防 除 を 失 し た 場 合 に
は 第 2 世 代 幼 虫 発 生 期 の 防 除 で も よ い 。 防 除 適 期 の 目 安 と し て は 、 第 1 世 代
幼 虫 期 の 1 回 防 除 の 場 合 は 幼 虫 初 発 生 日 か ら 4 5 日 目 、 2 回 防 除 の 場 合 は 幼 虫
初 発 生 日 か ら 1 か 月 後 と 2 か 月 後 で あ る 。 第 2 世 代 幼 虫 期 で は 初 発 生 日 か ら
3 5 日 頃 が 適 期 と な る 。
本 種 に 対 す る 有 効 な 天 敵 と し て ヤ ノ ネ キ イ ロ コ バ チ と ヤ ノ ネ ツ ヤ コ バ チ が
中 国 よ り 導 入 さ れ 、 各 地 の 無 防 除 園 で は 定 着 し て い る 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 整 枝 ・ せ ん 定 の 際 に 、 薬 剤 の か か り や す い よ う な 樹 形 づ く り に 努 め る 。
( 2 ) 寄 生 の 多 い 枝 は せ ん 定 の 際 な ど に 努 め て 除 去 し 、 処 分 す る 。
○ 生 物 的 防 除
殺 虫 剤 の 散 布 を 極 力 少 な く し 、 ヤ ノ ネ キ イ ロ コ バ チ と ヤ ノ ネ ツ ヤ コ バ チ を
保 護 す る 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
雄 の コ ロ ニ ー 果 実 で の 寄 生 ( 雌 成 虫 )
寄 生 部 位 の 緑 色 斑
(15)7 . ナ シ マ ル カ イ ガ ラ ム シ ( サ ン ホ ー ゼ カ イ ガ ラ ム シ )
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
カ ン キ ツ の 他 、 ナ シ 、 リ ン ゴ 、 モ モ 、 ビ ワ 、 ブ ド ウ な ど 多 く の 作 物 を 加 害
す る 。
主 に 樹 幹 や 枝 で 幼 虫 が 越 冬 す る 。 年 3 回 発 生 し 、 第 1 世 代 幼 虫 は 6 月 上 ~
中 旬 、 第 2 世 代 幼 虫 は 7 月 下 旬 ~ 8 月 上 旬 、 第 3 世 代 幼 虫 は 9 ~ 1 0 月 に 多 く
発 生 が み ら れ る 。
防 除 は 幼 虫 の 発 生 が 比 較 的 そ ろ う 第 1 世 代 の 幼 虫 発 生 期 を 主 体 に 薬 剤 散 布
を 行 う 。
な お 、 ヤ ノ ネ カ イ ガ ラ ム シ と は 発 生 時 期 が 必 ず し も 一 致 し な い の で 、 園
内 で の 発 生 を 観 察 し 、 発 生 の 多 い 方 に 重 点 を 置 い て 防 除 す る
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 整 枝 ・ せ ん 定 の 際 に 、 薬 剤 の か か り や す い よ う な 樹 形 づ く り に 努 め る 。
( 2 ) 寄 生 の 多 い 枝 は せ ん 定 の 際 な ど に 努 め て 除 去 し 処 分 す る 。
ナ シ マ ル カ イ ガ ラ ム シ ナ シ マ ル カ イ ガ ラ ム シ
に よ る 被 害 果
(16)9 . 訪 花 害 虫 類
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
主 な 訪 花 害 虫 は コ ア オ ハ ナ ム グ リ と ケ シ キ ス イ 類 で あ る 。
コ ア オ ハ ナ ム グ リ は 成 虫 が 土 中 で 越 冬 し 、 4 月 中 旬 頃 よ り 出 現 し て 各 種 の
花 に 飛 来 す る 。 ケ シ キ ス イ 類 の 生 態 は 不 明 な 点 が 多 い が 、 カ ン キ ツ 園 で は 冬
期 を 除 い て 1 年 中 見 ら れ 特 に 開 花 期 に 多 い 。
被 害 の 多 い の は 主 に 中 晩 柑 類 で 、 温 州 の 被 害 は 少 な い 。 両 種 は 主 に カ ン キ
ツ 類 の 開 花 初 期 か ら 盛 期 に か け て 加 害 す る の で 、 こ の 時 期 に 1 ~ 2 回 防 除 を
行 う 。
本 種 は 各 種 の 花 に 寄 生 し 、 飛 翔 距 離 が 長 い の で 広 域 一 斉 防 除 で な い と 効 果
が 上 が り に く い 。 な お 、 こ の 時 期 は 蜜 蜂 の 放 飼 時 期 と 重 な る の で 、 養 蜂 家 と
の 連 絡 を 密 に し て 蜜 蜂 の 保 護 に 留 意 す る 。
ケ シ キ ス イ 成 虫 ケ シ キ ス イ 被 害 果
コ ア オ ハ ナ ム グ リ 成 虫 コ ア オ ハ ナ ム グ リ 被 害 果
(17)1 0 . ロ ウ ム シ 類
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
カ ン キ ツ を 加 害 す る ロ ウ ム シ 類 に は ル ビ ー ロ ウ ム シ 、 ツ ノ ロ ウ ム シ 、 カ メ
ノ コ ロ ウ ム シ の 3 種 が 知 ら れ て い る 。 い ず れ も 成 虫 態 で 越 冬 し 、 幼 虫 が 6 月
中 旬 ~ 7 月 下 旬 に 年 1 回 発 生 す る 。
防 除 は 幼 虫 の 発 生 が ほ ぼ 終 了 し 発 育 が 進 ん で い な い 時 期 ( 7 月 中 下 旬 ) を
ね ら っ て 散 布 す る 。
な お 、 上 記 の ロ ウ ム シ 類 に は 自 然 発 生 の 寄 生 蜂 が い る の で 、 薬 剤 の 種 類 と
散 布 時 期 を 工 夫 し て 天 敵 の 保 護 利 用 を は か る 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 寄 生 の 多 い 枝 は 剪 定 の 際 な ど に 努 め て 除 去 し 、 処 分 す る 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
ル ビ ー ロ ウ ム シ 雌 成 虫 ル ビ ー ロ ウ ム シ
雌 成 虫 と 孵 化 幼 虫
ツ ノ ロ ウ ム シ
(18)11 . ウ ス カ ワ マ イ マ イ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
通 常 1 年 に 1 世 代 の 発 生 で あ る が 、 ま れ に 秋 季 に 第 2 世 代 が 発 生 す る こ と
も あ る 。 成 貝 で 越 冬 し た 個 体 は 、 3 ~ 4 月 頃 よ り 活 動 を 始 め 産 卵 す る 。 第 1
世 代 は 5 月 頃 よ り 見 ら れ 、 6 ~ 7 月 に 最 大 に 達 す る 。 通 常 の 年 は 以 上 の よ う
な 発 生 経 過 を た ど る が 、 そ の 発 生 経 過 と 発 生 量 は そ の 年 の 天 侯 状 況 、 特 に 降
水 状 況 及 び 冬 期 間 の 気 温 に よ り 差 異 が 大 き く 、 年 に よ っ て は 秋 に 幼 虫 が 発 生
し 、 大 き な 被 害 を 与 え る こ と が あ る 。
防 除 は そ の 年 の 発 生 状 況 に よ っ て 異 な る が 、 5 月 下 旬 ~ 7 月 の 幼 貝 期 の 防
除 を 徹 底 し 、 さ ら に 多 い 場 合 は 秋 季 に も 防 除 す る 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 捕 殺 に 努 め る 。
( 2 ) 樹 冠 下 の 敷 か ら を 9 月 以 降 除 去 す る 。
( 3 ) 下 枝 、 下 垂 枝 を 吊 り あ げ る 。
加 害 中 の ウ ス カ ワ マ イ マ イ 被 害 果
(19)12 . ミ カ ン ネ コ ナ カ イ ガ ラ ム シ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
幼 虫 態 で 越 冬 し 4 月 下 旬 に 産 卵 す る 。 第 1 世 代 幼 虫 は 6 月 上 中 旬 か ら 発
生 、 第 2 世 代 は 8 月 上 旬 か ら 、 第 3 世 代 は 1 0 月 上 中 旬 か ら 発 生 す る が 、 第 2
世 代 以 降 の 発 生 は 不 揃 い で あ り 各 態 の 虫 が 見 ら れ る 。
本 虫 の 発 生 は 、 腐 植 が 多 く 膨 軟 で 、 か つ 排 水 が 良 好 で 乾 燥 気 味 の 園 に 多 い
傾 向 が あ る 。 特 に ハ ウ ス ミ カ ン で は 増 殖 が 著 し く 、 大 き な 問 題 と な る こ と が
あ る 。 殺 虫 剤 に 比 較 的 弱 く 、 卵 期 を 除 い て 薬 剤 が 接 触 し さ え す れ ば 簡 単 に 死
ぬ が 、 主 に 土 壌 中 の 細 根 に 寄 生 し て い る の で 、 薬 剤 を 虫 の い る と こ ろ ま で 到
達 さ せ る こ と は 容 易 で は な く 、 薬 剤 だ け の 防 除 は 困 難 で あ る 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 冬 季 に 中 耕 し 越 冬 場 所 を 破 壊 す る 。
( 2 ) 客 土 を 行 う 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
13 . ミ カ ン サ ビ ダ ニ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
芽 の 鱗 片 の 間 隙 に 成 虫 態 で 越 冬 し 、 新 芽 の 伸 長 と と も に 葉 上 で 産 卵 繁 殖 し
始 め る 。 6 月 中 旬 頃 か ら 急 激 に 密 度 が 上 昇 し 、 果 実 を 加 害 し 始 め る 。 7 月 に
な る と 果 実 上 で の 繁 殖 が 盛 ん に な り 秋 季 ま で 加 害 す る が 、 1 0 月 上 旬 頃 か ら 芽
の 鱗 片 間 隙 に 潜 入 し 始 め 、 1 0 月 下 旬 ~ 1 1 月 中 旬 に は ほ と ん ど が 越 冬 に 入 る 。
従 来 、 黒 点 病 の 防 除 に 有 機 硫 黄 剤 を 使 用 す れ ば サ ビ ダ ニ を 対 象 と し た 防 除
を 行 う 必 要 は な か っ た が 、 近 年 、 各 地 で 抵 抗 性 の 系 統 が 発 生 し て お り 、 殺 ダ
ニ 剤 に よ る 防 除 が 必 要 と な っ て い る 。 6 月 上 ~ 中 旬 と 8 月 下 旬 ~ 9 月 上 旬 に
防 除 す る 必 要 が あ る 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
根 部 に 寄 生 す る 成 虫
成 虫 ( 一 部 幼 虫 ) 被 害 果
(20)14 . ミ カ ン キ イ ロ ア ザ ミ ウ マ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
本 種 は 「 ミ カ ン 」 と い う 種 名 を 冠 さ れ て い る が 、 花 き 類 の 被 害 が 最 も 大 き
い 。 本 種 の 加 害 範 囲 は 広 く 、 果 菜 類 や 雑 草 上 で も 多 く み ら れ る 。 果 樹 で は カ
ン キ ツ 以 外 に ブ ド ウ 、 モ モ 、 カ キ で 被 害 が 報 告 さ れ て い る が 、 い ず れ も 施 設
栽 培 に 限 定 さ れ て い る 。
カ ン キ ツ で は 、 ハ ウ ス ミ カ ン が 着 色 期 以 降 に 加 害 を 受 け る 。 加 害 部 は 油 胞
を 残 し て や や 白 っ ぽ い 斑 絞 に な る 。 被 害 程 度 の 高 い 果 実 で は 果 頂 部 か ら 果 側
部 に か け て 広 範 囲 に 加 害 痕 が 残 り 、 そ こ か ら 腐 敗 す る こ と が あ る 。 本 種 の 加
害 痕 は ミ カ ン ハ ダ ニ の も の と 類 似 す る が 、 脱 皮 殼 が な い 、 被 害 痕 は 果 頂 部 に
ま と ま ら な い 等 の 点 で 区 別 で き る 。 ま た 、 ヒ ラ ズ ハ ナ ア ザ ミ ウ マ の 加 害 痕 と
も 似 る が 、 本 種 に よ る 被 害 は 果 実 と 果 実 が 接 し た 部 分 に 偏 っ て 出 る こ と は 少
な い 。
本 種 は ハ ウ ス 周 辺 の 雑 草 の 花 な ど で 繁 殖 し た 個 体 が 飛 来 し て 加 害 す る の
で 、 青 色 粘 着 シ ー ト を 用 い て 飛 来 を モ ニ タ ー し 、 防 除 の 要 否 を 決 定 す る 。 ハ
ウ ス ミ カ ン で は 果 実 の 油 胞 が 着 色 す る 頃 か ら 寄 生 が 始 ま る の で 、 こ の 時 期 以
降 を 防 除 時 期 の 目 安 と す る 。 た だ し 、 着 色 期 以 降 の ハ ウ ス ミ カ ン は 薬 液 の 付
着 に よ る 着 色 遅 延 斑 ( 緑 色 リ ン グ 状 ) を 生 じ や す い の で 注 意 す る 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) ハ ウ ス 周 辺 の 雑 草 の 管 理 を 徹 底 し 、 飛 び 込 み を 少 な く す る 。
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
成 虫 被 害 果
(21)15 . ク ワ ゴ マ ダ ラ ヒ ト リ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
幼 虫 は 黒 地 に 黄 白 色 の 小 斑 点 を 散 在 す る 毛 虫 で 、 老 熟 す る と 4 5 m m に も 達 す
る 。 成 虫 は 雄 と 雌 で は 体 長 、 色 が 全 く 異 な り 、 雄 成 虫 は 前 翅 長 1 8 ~ 2 1 m m で 全
体 が 濃 褐 色 を 呈 す る 。 一 方 、 雌 成 虫 は そ れ よ り 大 き く 、 前 翅 長 2 5 ~ 2 7 m m で ク
リ ー ム 色 を し て い る 。 年 1 回 の 発 生 で 、 若 齢 幼 虫 で 越 冬 す る 。 越 冬 し た 幼 虫
は 春 季 か ら 活 動 を 始 め 、 多 く の 植 物 を 加 害 し て 成 長 し 、 5 月 中 旬 以 降 蛹 と な
り 、 8 月 中 旬 頃 か ら 羽 化 、 産 卵 し 、 9 月 下 旬 頃 か ら 幼 虫 が 発 生 す る 。 本 種 幼
虫 は 多 食 性 で 、 1 0 0 種 以 上 の 植 物 を 食 害 す る が 、 産 卵 植 物 は カ ラ ス ザ ン シ ョ
ウ 、 ク ワ 、 ア カ メ ガ シ ワ 、 ニ セ ア カ シ ア な ど に 限 ら れ る 。 極 ま れ に ミ カ ン 、
ア ケ ビ カ シ 、 サ ク ラ 、 イ ヌ ビ ワ 、 ク サ ギ な ど に も 産 卵 す る 。 産 卵 数 は 極 め て
多 く 、 1 雌 当 た り 5 0 0 ~ 1 0 0 0 個 の 卵 を 葉 裏 に 卵 塊 と し て 産 む た め 、 条 件 が 揃
う と 大 発 生 す る 。
カ ン キ ツ で の 被 害 は 、 9 月 下 旬 頃 か ら 発 生 し た 幼 虫 が 群 生 し て 果 実 表 面 を
な め る よ う に か じ っ た り 、 果 実 に 穴 を 開 け 内 部 に 侵 入 し て 果 肉 を 加 害 す る 。
薬 剤 防 除 は 、 秋 季 お よ び 早 春 の 発 生 に 注 意 し 、 分 散 す る 前 の 若 齢 幼 虫 期 を
ね ら っ て 周 辺 の 雑 木 、 雑 草 を 含 め て 行 う 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 本 種 の 産 卵 樹 は 樹 種 が ほ ぼ 限 定 さ れ る の で 、 果 樹 園 か ら 5 0 m 以 内 に あ る
産 卵 樹 を で き る だ け 除 去 す る 。
( 2 ) 産 下 さ れ た 卵 塊 や 群 生 し て い る 幼 虫 を 枝 葉 ご と 処 分 す る
加 害 中 の 幼 虫 被 害 果 幼 虫 の 群 生 ( ア カ メ カ ゙ シ ワ )
成 虫 ( 上 : オ ス 、 下 : メ ス ) 産 卵 中 の 雌 成 虫
(22)17 . ワ タ ミ ヒ ゲ ナ ガ ゾ ウ ム シ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
成 虫 は 体 長 3 . 5 m m 程 度 、 暗 褐 色 か ら 黒 褐 色 の ま だ ら 模 様 で 、 幼 虫 は 白 色 の
ウ ジ 状 、 終 齢 幼 虫 で は 5 m m 程 度 に 達 す る 。 成 虫 は 果 実 に 産 卵 し 、 ふ 化 幼 虫 は
果 実 内 部 を 食 害 す る 。 果 実 内 の 表 皮 に 近 い と こ ろ で 蛹 化 し 、 果 皮 に 2 ~ 3 m m 程
度 の 穴 を あ げ て 羽 化 す る 。
ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン で は 、 幼 虫 が 幼 果 や 成 熟 果 を 加 害 し 、 幼 果 が 加 害 さ れ た
場 合 、 果 実 は 黄 変 し 落 下 す る 。 発 生 初 期 は 生 理 落 果 や 摘 果 し た 果 実 で 増 殖
し 、 そ こ か ら 発 生 し た 成 虫 が 健 全 果 実 に も 産 卵 す る 。 被 害 は 露 地 栽 培 園 で も
確 認 さ れ て い る が 、 ハ ウ ス 栽 培 園 で 多 い 。 薬 剤 防 除 は 成 虫 発 生 時 期 に 行 う 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
生 理 落 果 や 摘 果 し た 果 実 は 発 生 源 と な る の で 、 園 外 に 持 ち 出 す 。
ワ タ ミ ヒ ゲ ナ ガ ゾ ウ ム シ の 成 虫 幼 虫 に よ る 果 実 へ た 部 の 被 害
( ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン )
(23)18 . チ ャ ノ ホ コ リ ダ ニ
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
体 長 は 0 . 2 m m 程 度 と か な り 微 小 で あ る 。極 め て 雑 食 性 で 、カ ン キ ツ 類 の ほ か
ナ ス 、 キ ュ ウ リ 、 チ ャ 、 シ ク ラ メ ン な ど を 加 害 し 、 カ ン キ ツ 類 で は レ モ ン や ラ
イ ム 、宮 内 伊 予 柑 で 多 発 す る 傾 向 が あ る 。チ ャ で は 雌 成 虫 が 芽 の 中 で 越 冬 す る 。
本 種 に 加 害 さ れ る と 灰 白 色 の か さ ぶ た 状 の 傷 が 果 梗 部 周 辺 か ら 放 射 状 に 連
続 し て 発 生 す る こ と が 多 い 。チ ャ ノ キ イ ロ ア ザ ミ ウ マ に よ る 傷 と 似 る が 、果 面
全 体 に 被 害 が 発 生 す る 場 合 は 本 種 に よ る 被 害 の 可 能 性 が 高 い 。
虫 が 微 小 で 発 見 が 難 し い 上 、加 害 か ら 症 状 が 発 現 す る ま で に 時 間 が か か る こ
と か ら 、 症 状 が 認 め ら れ た 頃 に は 高 密 度 に な っ て い る こ と が 多 い 。 こ の た め 、
予 防 散 布 が 重 要 で あ る 。前 年 に 発 生 が 認 め ら れ た 園 で は 落 弁 期 か ら 7 月 に か け
て 薬 剤 防 除 を 行 う 。
チ ャ ノ ホ コ リ ダ ニ
成 虫 ( 上 ) と 卵 ( 下 )
チ ャ ノ ホ コ リ ダ ニ
に よ る 被 害 果
チ ャ ノ キ イ ロ ア ザ ミ ウ マ
に よ る 被 害 果
(24)19 . ヨ モ ギ エ ダ シ ャ ク
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
本 種 は 幼 虫 が チ ャ や ク ワ 、ナ シ 、ダ イ ズ な ど 様 々 な 植 物 を 食 害 す る 。カ ン キ
ツ で は 葉 や 蕾 、幼 果 が 加 害 さ れ る 。幼 虫 は 黄 緑 色 ~ 暗 褐 色 な ど 体 色 が 様 々 だ が 、
背 面 に あ る 一 対 の 小 突 起 が 特 徴 的 で あ る 。卵 は 緑 色 で 、樹 皮 下 な ど に 1 0 0 粒 程
度 の 卵 塊 で 産 下 さ れ る 。ふ 化 幼 虫 は 2 m m 程 度 、糸 を 吐 き な が ら 風 に 乗 っ て 分 散
す る 。 成 長 す る と 5 0 m m 程 度 に も 達 し 、 落 葉 下 ま た は 土 中 で 蛹 化 す る 。 蛹 で 越
冬 し 、 県 内 で は 年 間 3 回 程 度 発 生 し て い る と 考 え ら れ る 。 効 果 を 高 め る た め 、
薬 剤 防 除 は 幼 虫 の 体 長 が 2 0 m m に 達 す る ま で に 行 う 。
〈 防 除 法 〉
○ 耕 種 的 防 除
摘 果 時 に 食 害 痕 を 見 つ け た ら 虫 を 探 し て 捕 殺 す る 。
20 . ハ ナ ア ザ ミ ウ マ 類
〈 生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
カ ン キ ツ を 加 害 す る ハ ナ ア ザ ミ ウ マ 類 に は 、ハ ナ ア ザ ミ ウ マ 、ヒ ラ ズ ハ ナ ア
ザ ミ ウ マ 、ビ ワ ハ ナ ア ザ ミ ウ マ な ど 複 数 種 が 含 ま れ る 。2 5 ℃ 前 後 が 生 育 ・ 繁 殖
の 適 温 で 、 年 間 数 世 代 発 生 す る 。 成 ・ 幼 虫 は 主 に 花 粉 を 食 べ る が 、 植 物 組 織 も
吸 汁 加 害 し 、カ ン キ ツ で は 果 皮 に ケ ロ イ ド 状 の 被 害 を 呈 す る 。主 に 施 設 栽 培 で
問 題 に な る が 、梅 雨 明 け 以 降 高 温 少 雨 が 続 く と 露 地 で も 密 度 が 高 く な る 。被 害
は 着 色 初 期 以 降 発 生 し 、早 期 に 着 色 す る 早 生 品 種 や 、秋 が 高 温 の 年 に 多 く 、気
温 の 低 下 に 伴 い 減 少 す る 。
〈 防 除 法 〉
(25)1 . 炭 疽 病
C o l l e t o t r i c h u m h o r i i
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
伝 染 源 は 病 枝 上 の 病 斑 が 主 で あ る が 、 潜 伏 感 染 し た 芽 や 落 葉 跡 等 も 関 係 が
あ る 。 越 冬 病 斑 上 の 胞 子 形 成 は 4 月 中 旬 頃 か ら 見 ら れ 、 梅 雨 期 に 最 も 多 く な
る 。 感 染 に は 気 温 2 0 ~ 2 7 ℃ で 、 多 湿 条 件 が 好 適 で あ る 。 果 実 の 潜 伏 期 間 は 夏
季 ま で が 約 7 日 で 、 着 色 期 は 2 ~ 3 日 で あ る 。 発 生 は 降 水 量 と 密 接 な 関 係 が
あ り 、 4 ~ 6 月 や 秋 期 に 降 雨 が 多 い と 多 発 す る 。 特 に 枝 で は 4 ~ 5 月 に 長 雨
が 続 く と 新 梢 の 緑 枝 に 多 発 し 、 ひ ど い 場 合 は 新 梢 が 黒 変 枯 死 す る 。 ま た 、 果
実 で は 幼 果 に 発 生 す る と 早 期 に 落 果 す る が 、 秋 期 の 発 病 果 で は 落 果 せ ず に 樹
上 に 残 り 、 他 の 果 実 へ の 伝 染 源 と な る 。
防 除 と し て は 、 罹 病 枝 を 極 力 除 去 し 、 施 肥 、 排 水 、 整 枝 せ ん 定 等 を 適 切 に
行 う こ と が 重 要 で 、 梅 雨 期 と 秋 期 の 薬 剤 防 除 を 徹 底 す る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 罹 病 苗 を 持 込 ま な い よ う に す る 。
( 2 ) 施 肥 管 理 を 適 正 に 行 い 、 枝 梢 仲 長 の 停 止 を 早 く す る と 同 時 に 枝 梢 の 充 実
を よ く す る 。
( 3 ) 病 枝 、 病 果 を 処 分 す る 。
( 4 ) 防 風 林 、 防 風 垣 を 設 置 す る 。
越 冬 病 枝 新 梢 の 病 枝
幼 果 の 被 害 熟 果 の 被 害
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(26)2 . う ど ん こ 病
P h y l l a c t i n i a k a k i c o l a
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
被 害 葉 に で き た 病 原 菌 の 子 の う 殼 が 、 落 葉 前 に 枝 や 幹 に 付 着 し て 越 冬 す
る 。 5 ~ 6 月 頃 よ り 子 の う 胞 子 が 飛 散 し て 第 一 次 伝 染 源 と な る 。 こ の 頃 の
症 状 は 葉 に 黒 色 の 円 形 斑 点 を 生 じ る の み で あ る が 、 8 月 下 旬 頃 よ り 葉 の 裏 面
に 白 色 粉 状 の 分 生 子 を 多 数 生 じ 、 う ど ん こ 病 症 状 を 呈 し て く る 。 ま た 、 1 0 月
上 旬 頃 よ り 発 病 葉 の 裏 面 に 黄 色 ~ 黒 褐 色 の 子 の う 殼 を 多 数 形 成 す る 。
防 除 は 梅 雨 時 期 と 8 月 下 旬 が 重 要 で あ り 、 葉 裏 に も 十 分 散 布 す る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 落 葉 を 集 め 処 分 す る 。
子 の う 殻 ( 葉 裏 ) 葉 裏 の 病 斑 ( 前 期 ) 葉 表 の 病 斑 ( 前 期 )
葉 裏 の 病 斑 ( 後 期 )
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(27)3 . 灰 色 か び 病
B o t r y t i s c i n e r e a
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
若 葉 と 幼 果 に 発 生 し 、 若 葉 で は 葉 先 ま た は 葉 縁 部 が 水 気 を 失 っ て 灰 褐 色 と
な り 、 そ の 後 、 病 斑 の 周 縁 部 は 波 状 と な り 、 巻 葉 し て 落 葉 し や す く な る 。 幼
果 で は ヘ タ 片 や 花 弁 が 侵 さ れ 、 落 弁 後 、 果 実 の 表 面 に 小 黒 点 を 生 ず る 。
病 原 菌 は 被 害 葉 上 の 菌 核 及 び 菌 糸 の 状 態 で 越 冬 し 、 翌 春 に な っ て 分 生 胞 子
を 作 り 、 第 一 次 伝 染 源 と な る 。
本 病 原 菌 は カ キ を は じ め 、 極 め て 多 く の 作 物 を 侵 す 多 犯 性 の 菌 の た め 、 カ
キ の 被 害 葉 ば か り で な く 、 周 辺 の 各 種 作 物 や 枯 葉 で 形 成 さ れ た 分 生 子 か ら も
飛 散 し て 伝 染 す る 。 そ し て 、 カ キ の 若 葉 に 発 病 す る と 、 新 し い 病 斑 上 に 分 生
胞 子 を 生 じ て 二 次 伝 染 源 と な り 、 展 葉 中 の 若 葉 に 次 々 と 伝 染 を 繰 り 返 す 。
葉 で の 発 病 は “ 伊 豆 ” で 特 異 的 に 多 発 し 、 特 に 4 月 上 旬 ~ 中 旬 の 発 芽 期 に
降 雨 が 続 く と 大 発 生 し 、 早 期 落 葉 の た め 被 害 は 甚 大 で あ る 。 幼 果 で の 発 病 は
“ 西 村 早 生 ” に 多 く 、 4 月 下 旬 ~ 5 月 上 旬 の 開 花 期 ~ 落 弁 期 に 降 雨 が 続 く
と 、 幼 果 の ガ ク 片 や 果 実 の 表 面 に 小 黒 点 を 生 じ 、 商 品 価 格 を 低 下 さ せ る 。
い ず れ も 窒 素 肥 料 過 多 の 軟 弱 徒 長 の 樹 で 被 害 が 大 き い 。
防 除 対 策 と し て 、“ 伊 豆 ” で は 4 月 上 旬 ~ 中 旬 に 降 雨 が 続 く 年 は 、 展 葉 直 後
か ら 薬 剤 防 除 を 行 い 、 二 次 伝 染 を 防 ぐ た め 被 害 葉 は 早 急 に 除 去 す る 。“ 西 村 早
生 ” で は 4 月 下 旬 ~ 5 月 上 旬 に 降 雨 が 続 く 年 は 、 開 花 期 か ら 落 弁 期 に か け て
薬 剤 防 除 を 行 い 、 罹 病 花 弁 は 早 急 に 除 去 す る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 落 葉 を 集 め 処 分 す る 。
( 2 ) 被 害 葉 や 罹 病 花 弁 は 早 急 に 除 去 す る 。
( 3 ) 窒 素 肥 料 過 多 に よ る 軟 弱 徒 長 枝 を 発 生 さ せ な い よ う に す る 。
葉 の 発 病 幼 果 の 発 病 幼 果 の 被 害
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(28)4 . 角 斑 落 葉 病 ・ 円 星 落 葉 病
C e r c o s p o r a k a k i・ M y c o s p h a e r e l l a n a w a e
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
従 来 、 角 斑 落 葉 病 が 主 で あ っ た が 、 最 近 は 円 星 落 葉 病 も 多 い 傾 向 が あ る 。
( 1 ) 角 斑 落 葉 病 : 病 原 菌 は 罹 病 落 葉 の 中 で 越 冬 し 、 開 花 期 頃 か ら 7 月 中 旬 に
か け て 風 雨 に よ り 新 葉 に 伝 染 し 、 気 孔 か ら 侵 入 す る 。 潜 伏 期 間 は 約 3 0
日 で あ る 。 一 度 発 病 す る と 病 斑 に 胞 子 を 形 成 し 秋 ま で 伝 染 を く り 返
す 。
( 2 ) 円 星 落 葉 病 : 病 原 菌 は 罹 病 落 葉 の 中 で 越 冬 し 、 翌 春 、 落 葉 中 に 子 の う 殼
及 び 子 の う 胞 子 を 形 成 す る 。 子 の う 胞 子 の 飛 散 は 5 月 下 旬 ~ 7 月 中 旬
に 起 こ り 、 病 原 菌 は 若 葉 の 気 孔 か ら 侵 入 し 、 約 6 0 ~ 8 0 日 の 潜 伏 期 間 を
経 て 発 病 す る 。 こ の 病 原 菌 は 二 次 伝 染 し な い 。
防 除 は 、 い ず れ も 、 罹 病 落 葉 を 処 分 す る こ と が 重 要 で あ る 。
ま た 、 い ず れ も 樹 勢 の 弱 い 樹 に 発 病 が 多 い の で 、 適 正 な 肥 培 管 理 を 行 い 樹
勢 の 維 持 、 増 進 を は か る 。 ま た 感 染 期 間 中 、 数 回 薬 剤 散 布 を 行 う が 、 防 除 適
期 を 失 し な い こ と が 大 切 で あ る 。 ま た 、 病 原 菌 は 葉 裏 の 気 孔 か ら 侵 入 す る の
で 、 薬 剤 は 葉 裏 に 十 分 か か る よ う 散 布 す る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 落 葉 を 集 め 焼 却 又 は 埋 没 す る 。
( 2 ) 冬 季 に 中 耕 す る 。
角 斑 落 葉 病 斑 円 星 落 葉 病 斑
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(29)1 . カ メ ム シ 類
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
カ キ を 加 害 す る カ メ ム シ 類 に は 多 く の 種 類 が あ る が 、 本 県 で 特 に 発 生 が 多
い の は チ ャ バ ネ ア オ カ メ ム シ と ツ ヤ ア オ カ メ ム シ 、 ク サ ギ カ メ ム シ で あ る 。
中 で も チ ャ バ ネ ア オ カ メ ム シ は 普 遍 的 に 発 生 し 、 最 優 占 種 で あ る 。
チ ャ バ ネ ア オ カ メ ム シ は 年 1 ~ 3 回 の 発 生 で 、 主 と し て 落 葉 下 等 で 越 冬 す
る 。 越 冬 成 虫 は 4 月 に な る と 越 冬 場 所 を 移 動 し 、 好 適 な 餌 を 求 め て 各 種 の 植
物 間 を 転 食 す る 。 そ の 主 な 植 物 に は 、 ク ワ 、 ヤ マ モ モ 、 サ ク ラ 、 キ リ な ど が
あ る 。 こ れ ら の 植 物 上 で の 寄 生 状 況 を 調 査 す る こ と に よ っ て 成 虫 密 度 が 把 握
で き る 。 幼 虫 の 主 た る 繁 殖 植 物 は ヒ ノ キ と ス ギ で あ り 、 こ の 植 物 上 の 寄 生 状
況 が 果 樹 の 被 害 と 大 い に 関 係 し て い る 。 こ れ ら の 植 物 で の 寄 生 状 況 及 び 予 察
灯 で の 誘 殺 状 況 、 さ ら に は 果 樹 園 内 で の 発 生 状 況 に 十 分 注 意 し 、 早 期 発 見 に
努 め 、 防 除 の 徹 底 を は か る こ と が 大 切 で あ る 。
( 指 導 資 料 参 照 )
チ ャ バ ネ ア オ カ メ ム シ 被 害 果 被 害 果 断 面
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(30)2 . フ ジ コ ナ カ イ ガ ラ ム シ
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
本 種 は 年 3 回 発 生 し 、 主 と し て 幹 の 粗 皮 間 隙 や 切 り 口 に 幼 虫 態 で 越 冬 す
る 。 越 冬 幼 虫 は 4 月 に 越 冬 場 所 か ら 新 梢 へ 移 動 し 、 5 月 に は 成 虫 に 発 育 し て
産 卵 を 開 始 す る 。 第 1 世 代 幼 虫 は 5 月 中 下 旬 ~ 6 月 中 旬 、 第 2 世 代 幼 虫 は 7
月 下 旬 ~ 8 月 中 下 旬 に 発 生 、 第 3 世 代 幼 虫 は 9 月 下 旬 頃 か ら 発 生 し そ の ま ま
越 冬 す る 。 第 2 世 代 以 降 は 齢 期 が 乱 れ 、 各 ス テ ー ジ が 同 時 に み ら れ る 。
防 除 は 、 越 冬 場 所 か ら 離 脱 す る 幼 虫 及 び 比 較 的 齢 期 の 揃 っ た 第 1 世 代 幼 虫
を 中 心 に 行 う 。 第 2 世 代 以 降 は 齢 期 の 乱 れ に よ り 防 除 効 果 が 低 下 す る 。 防 除
効 果 は 散 布 方 法 と 散 布 タ イ ミ ン グ に よ っ て 決 ま る と い っ て も 過 言 で は な い 。
本 種 は 、 粗 皮 間 隙 、 へ 夕 の 下 や 葉 と 重 な っ た 果 実 の 表 面 な ど 薬 液 が 付 着 し に
く い 部 分 に 多 く 寄 生 す る の で 、 十 分 な 薬 量 を 鉄 砲 ノ ズ ル 等 の 高 圧 散 布 が 可 能
な 器 材 で 手 散 布 す る の が 望 ま し い 。 ス ピ ー ド ス プ レ ー ヤ に よ る 散 布 で は 防 除
効 果 が あ が り に く い 。 現 在 使 用 さ れ て い る 薬 剤 は 、 若 齢 幼 虫 に は 効 果 が 高 い
も の の 卵 塊 及 び 老 齢 幼 虫 以 降 に は 効 果 が 劣 る の で 、 卵 塊 の み 化 を 確 認 し 、 約
1 0 日 間 隔 で 2 回 散 布 す る 。 ま た 、 越 冬 幼 虫 は 、 水 圧 式 粗 皮 剥 ぎ 機 等 で 相 皮 剥
ぎ を 行 う こ と に よ り 密 度 が 低 下 す る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 水 圧 式 粗 皮 剥 ぎ 機 等 で 冬 期 に 粗 皮 剥 ぎ を 行 う 。
( 2 ) 誘 引 バ ン ド で 虫 を 集 め 、 バ ン ド ご と 焼 き 捨 て る 。
被 害 果 ( 火 ぶ く れ 症 ) 被 害 果 ( ス ス 果 )
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(31)3 . ハ マ キ ム シ 類
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
カ キ を 加 害 す る ハ マ キ ム シ と し て 数 種 が 如 ら れ て い る が 、 本 県 で 多 い の は
チ ャ ノ コ カ ク モ ン ハ マ キ と チ ャ ハ マ キ の 2 種 で あ る 。 い ず れ も 幼 虫 態 で 越 冬
し 、 チ ャ ノ コ カ ク モ ン ハ マ キ は 年 間 4 ~ 5 回 、 チ ャ ハ マ キ は 3 ~ 4 回 発 生 す
る 。 発 生 期 間 が 長 い の で 常 に 各 態 の 虫 が 混 発 し て い る 。 そ の た め 、 は っ き り
し た 防 除 適 期 を 知 る こ と は 困 難 で あ る 。
防 除 は 幼 虫 加 害 期 で あ る 開 花 期 ~ 9 月 に 3 ~ 4 回 行 う 。 幼 虫 は 葉 と 葉 が 重
な っ た 部 分 や 、 ヘ タ と 果 実 の 間 に 多 く 潜 ん で い る た め 、 高 圧 で 十 分 に 散 布 す
る こ と が 大 切 で あ る 。
な お 、 茶 や 観 賞 樹 に も 多 く 寄 生 し 、 こ れ が 発 生 源 と な っ て い る 場 合 が 多 い
の で 、 こ れ ら の 発 生 に も 注 意 し 、 同 時 防 除 を は か る 。
被 害 果
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(32)4 . カ キ ク ダ ア ザ ミ ウ マ
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
寄 主 植 物 は カ キ の み で あ る 。 越 冬 は 成 虫 態 で 行 い 、 カ キ 、 マ ツ 、 ス ギ 等 の
樹 皮 下 に 潜 伏 す る 。 越 冬 成 虫 は 4 月 中 旬 ご ろ か ら カ キ 新 梢 に 飛 来 し 、 未 展 開
葉 を 加 害 す る 。 加 害 を 受 け た 葉 は 葉 縁 が カ ー ル し 、 激 し い 場 合 は 完 全 に 巻 き
込 む 。 被 害 葉 か ら は 6 月 上 旬 頃 に 第 1 世 代 成 虫 が 出 現 し 、 こ の 一 部 が 夏 新 梢
に 移 っ て 第 2 世 代 成 虫 が 出 現 す る こ と が あ る 。 越 冬 場 所 へ の 移 動 は 6 月 下 旬
頃 か ら 始 ま り 、 夏 前 か ら 潜 伏 す る 。 葉 上 で 増 殖 し た 成 ・ 幼 虫 は 果 実 を 加 害 し
て 赤 褐 色 ~ 黒 褐 色 の 斑 点 を 生 じ さ せ 、 被 害 の 激 し い 場 所 は 斑 点 が 帯 状 に な
る 。 本 種 に 対 す る 防 除 は 果 実 被 害 の 発 生 す る 6 月 を 中 心 に 行 う 。 巻 葉 中 に 寄
生 す る の で 浸 透 性 の 高 い 薬 剤 の 効 果 が 高 い 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 被 害 葉 を つ み と り 焼 却 す る 。
幼 虫 成 虫 新 葉 の 被 害
幼 果 の 被 害 熟 果 の 被 害
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(33)5 . カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ ( カ キ ミ ガ )
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
成 虫 は 5 月 中 旬 ~ 6 月 中 旬 と 7 月 中 旬 ~ 8 月 中 旬 の 年 2 回 発 生 す る 。 卵 を
主 と し て 芽 部 付 近 に 産 付 し 、 1 週 間 内 外 で ふ 化 す る 。 ふ 化 幼 虫 は 芽 に 食 入
し 、 1 ~ 2 齢 は 芽 を 転 食 し て す ご し た 後 、 果 実 に 移 動 し 、 果 梗 や ヘ タ 部 か ら
食 入 す る 。
な お 、 幼 虫 の 発 生 期 は 年 に よ り 変 動 す る の で 発 生 予 察 を 行 い 、 的 確 な 防 除
時 期 を 把 握 す る こ と が 大 切 で あ る 。 防 除 時 期 と し て は 、 発 蛾 最 盛 期 の 約 1 0 日
後 に 1 回 散 布 す る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 水 圧 式 粗 皮 は ぎ 機 や 器 具 を 使 っ て 冬 季 に 粗 皮 を 削 り 、 越 冬 密 度 の 低 下 を
は か る 。
( 2 ) 被 害 果 は 初 期 に 処 分 す る 。
成 虫 被 害 果
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(34)6 . ア ザ ミ ウ マ 類
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
カ キ を 加 害 す る ア ザ ミ ウ マ 類 と し て チ ャ ノ キ イ ロ ア ザ ミ ウ マ 、 ハ ナ ア ザ ミ
ウ マ 類 な ど 数 種 が 知 ら れ て い る 。
被 害 は 品 種 間 差 が 大 き く 、 一 般 に 渋 柿 や 授 粉 用 柿 が 多 く 、 甘 柿 で は 少 な い
と さ れ て い た が 、 最 近 、 西 村 早 生 や 伊 豆 で も 被 害 が 目 立 っ て き た 。 こ れ ら の
品 種 で は 、 開 花 期 の ハ ナ ア ザ ミ ウ マ 類 に よ る 加 害 が 主 体 で あ る た め 、 防 除 は
開 花 期 前 後 を 重 点 に 行 う 。
ハ ナ ア ザ ミ ウ マ 成 虫 ハ ナ ア ザ ミ ウ マ 被 害 果
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(35)7 . フ タ モ ン マ ダ ラ メ イ ガ ( カ キ ノ キ マ ダ ラ メ イ ガ )
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
カ キ の 粗 皮 下 の 食 入 部 に 灰 白 色 で う す い 長 だ 円 形 の マ ユ を つ く っ て 老 熟 幼
虫 態 で 越 冬 す る 。 成 虫 は 4 月 中 下 旬 と 6 月 中 下 旬 、 8 月 中 旬 ~ 9 月 の 年 3 回
発 生 し 、 伊 豆 に 発 生 が 多 い 。 カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ と 同 時 防 除 で き る が 、 特 に 本
虫 の 防 除 を 目 的 と す る 場 合 に は 、 枝 幹 の 分 岐 部 に 重 点 的 に 散 布 す る よ う に す
る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 水 圧 式 粗 皮 は ぎ 機 や 器 具 を 使 っ て 粗 皮 を 削 り 、 越 冬 密 度 の 低 下 を は か
る 。
( 2 ) 幼 虫 の 刺 殺 。
被 害 枝 蛹 成 虫
(36)8 . ミ ノ ガ 類
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
果 樹 を 加 害 す る ミ ノ ガ 類 と し て 数 種 が 知 ら れ て い る が 、 県 内 で 多 い の は オ
オ ミ ノ ガ と チ ャ ミ ノ ガ の 2 種 で あ っ た 。 し か し 、 オ オ ミ ノ ガ は オ オ ミ ノ ガ ヤ
ド リ バ エ の 発 生 に よ り 極 め て 少 な く な っ た 。
オ オ ミ ノ ガ は 老 熟 し た 幼 虫 で 越 冬 し 、 主 と し て 5 月 下 旬 ~ 7 月 上 旬 頃 成 虫
と な る 。 幼 虫 は 年 1 回 の 発 生 で 、 6 月 下 旬 ~ 7 月 中 旬 に か け 親 ミ ノ よ り 脱 出
す る 。 な お 、 秋 季 に 発 生 す る 個 体 も あ る が 、 ご く 稀 で あ る 。 チ ャ ミ ノ ガ は 中
齢 幼 虫 で 越 冬 し 、 翌 春 し ば ら く 摂 食 し た 後 、 6 月 下 旬 ~ 7 月 中 旬 に か け て 成
虫 と な る 。 幼 虫 は 前 種 よ り や や 遅 く 、 7 月 下 旬 ~ 8 月 上 旬 に 発 生 す る 。
薬 剤 防 除 は ふ 化 幼 虫 発 生 終 期 頃 ( オ オ ミ ノ ガ は 、 7 月 中 下 旬 、 チ ャ ミ ノ ガ
で は 8 月 上 中 旬 ) に 行 う と 効 果 的 で あ る が 、 ミ ノ の 大 き さ が 1 5 m m 以 上 に 発 育
す る と 効 果 が 劣 る 傾 向 に あ る の で 、 早 期 発 見 し 早 期 防 除 を 行 う こ と が 大 切 で
あ る 。 防 風 樹 及 び 周 辺 の 雑 木 で の 発 生 に 注 意 し 、 そ れ ら の 防 除 も 併 せ て 行
う 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 捕 殺 に 努 め る 。
被 害 果 被 害 葉
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(37)9 . イ ラ ガ 類
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
果 樹 を 加 害 す る イ ラ ガ 類 と し て 、 ヒ ロ ヘ リ ア オ イ ラ ガ 、 イ ラ ガ 、 ヒ メ ク ロ
イ ラ ガ 、 テ ン グ イ ラ ガ 、 ア オ イ ラ ガ 、 ク ロ シ タ ア オ イ ラ ガ 等 多 く の 種 類 が 知 ら
れ て い る が 、 特 に 本 県 で 発 生 が 多 い の は 、 前 4 種 で あ る 。 最 近 、 各 地 で ヒ ロ
ヘ リ ア オ イ ラ ガ の 発 生 が 目 立 ち 、 問 題 と な っ て い る 。 ヒ ロ ヘ リ ア オ イ ラ ガ は
硬 い マ ユ 内 で 前 蛹 態 で 越 冬 し 、 成 虫 は 6 月 と 8 ~ 9 月 中 旬 の 年 2 回 発 生 す
る 。
他 の 種 類 も ほ ぼ 同 じ 発 生 経 過 を た ど る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 冬 期 に 越 冬 し て い る マ ユ を 捕 殺 す る 。
( 2 ) 若 齢 幼 虫 時 は 集 合 し て い る の で 、 寄 生 葉 を 取 り 除 く 。
イ ラ ガ イ ラ ガ 繭 ヒ ロ ヘ リ ア オ イ ラ ガ ヒ ロ ヘ リ ア オ イ ラ ガ 繭
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(38)1 0 . カ ン ザ ワ ハ ダ ニ
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
本 種 は 春 先 の 展 葉 直 後 よ り 発 生 し 、 葉 を 吸 汁 加 害 す る が 、 そ の 加 害 痕 は う
ど ん こ 病 の 初 期 病 斑 と 区 別 し 難 い 。 こ の た め 、 本 種 の 被 害 と の 区 別 は 、 卵 や
虫 の 存 在 に よ っ て 行 う 以 外 に は 方 法 が な い 。 発 生 が 多 い の は 豆 葉 か ら 2 ~ 3
葉 で 、 上 位 の 葉 に は 少 な い が 、 多 発 し た 場 合 に は 上 位 の 葉 も 加 害 す る こ と が
あ る 。 本 種 の カ キ に 対 す る 寄 生 性 は 低 く 、 園 内 の 広 葉 雑 草 か ら 一 時 的 に カ キ
に 移 動 し て 加 害 す る の で 、 防 除 と し て は 園 内 の 除 草 に 努 め る こ と が 最 も 大 切
で あ る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
( 1 ) 園 内 の 除 草 を 徹 底 す る 。
成 虫 と 卵 被 害 葉
( 写 真 : 福 岡 県 園 芸 ・ 茶 病 害 虫 図 鑑 よ り )
(39)1 1 . ヒ メ コ ス カ シ バ
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
本 種 の 被 害 は フ タ モ ン マ ダ ラ メ イ ガ と 酷 似 し て お り 、 幼 虫 が 主 枝 、 亜 主 枝
の 分 岐 部 や 太 枝 か ら 出 た 新 梢 基 部 の 樹 皮 下 を 加 害 す る 。 発 生 回 数 は 通 常 年 2
回 と 考 え ら れ 、 5 月 上 旬 ~ 6 月 下 旬 、 7 月 中 旬 ~ 9 月 下 旬 に 成 虫 が 発 生 す
る 。
幼 虫 は 白 色 で 、 黒 褐 色 の 俵 状 の 繭 を 作 っ て 蛹 化 す る 。 羽 化 後 の 蛹 殼 は 樹 幹
表 面 に 出 て 残 る 。 フ タ モ ン マ ダ ラ メ イ ガ の 幼 虫 は 淡 褐 色 で 、 白 色 の 繭 を 作 っ
て 蛹 と な り 、 蛹 殼 が 表 面 に 出 な い の で 、 ヒ メ コ ス カ シ バ と 区 別 で き る 。
防 除 対 策 と し て は 、 冬 期 の 粗 皮 剥 ぎ が 有 効 で 、 越 冬 幼 虫 の 密 度 を 低 下 さ せ
る と 同 時 に 生 息 場 所 を 減 ら す こ と が で き る 。
性 フ ェ ロ モ ン を 利 用 し た 防 除 法 と し て 、 交 信 撹 乱 剤 の ス カ シ バ コ ン が あ る
が 使 用 面 積 や ほ 場 の 立 地 条 件 に よ っ て 効 果 に 差 が 出 て く る の で 、 使 用 に 当 た
っ て は 注 意 が 必 要 で あ る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除
粗 皮 剥 ぎ : 水 圧 式 粗 皮 剥 ぎ 機 や 器 具 を 使 っ て 、 越 冬 密 度 の 低 下 を は か る 。
○ 性 フ ェ ロ モ ン に よ る 防 除
交 信 撹 乱 剤 : 小 面 積 で の 設 置 や 傾 斜 地 等 の 立 地 条 件 で は 効 果 が 低 下 し や す
い 。
成 虫 幼 虫
蛹 樹 に 残 っ た 脱 皮 殼
(40)1 2 . カ キ ノ ヒ メ ヨ コ バ イ
< 生 態 と 防 除 の ね ら い >
成 虫 は 体 長 約 3 m m で 淡 青 緑 色 を 呈 し 、 サ ツ キ 、 ツ バ キ 、 サ ザ ン カ な ど の 常
緑 広 葉 樹 で 越 冬 す る 。 成 虫 は 4 月 頃 か ら カ キ 園 に 飛 来 し 、 新 芽 に 産 卵 す る 。
5 月 中 旬 頃 か ら 幼 虫 が ふ 化 し 、 第 1 世 代 幼 虫 の ピ ー ク は 6 月 上 旬 頃 で あ る 。
そ の 後 、 年 間 5 ~ 6 世 代 を 繰 り 返 す が 、 茎 葉 が 硬 化 す る と 少 な く な る 。 加 害
か ら 被 害 の 発 現 ま で の 期 間 か 長 く 、 加 害 直 後 は 気 が つ か な い 場 合 が 多 い 。 加
害 さ れ た 新 芽 は 展 葉 後 に 先 端 や 葉 縁 部 か ら 枯 れ 込 み を 生 じ 内 側 に 巻 葉 し 、 灰
色 か び 病 の 症 状 に 酷 似 す る が 、 症 状 が 目 立 っ て く る の は 6 月 以 降 で あ る 。 防
除 は 越 冬 成 虫 飛 来 時 期 と 第 1 世 代 幼 虫 発 生 時 期 を 重 点 に 実 施 す る 。
< 防 除 法 >
○ 耕 種 的 防 除 法
( 1 ) 越 冬 成 虫 が カ キ 園 に 侵 入 す る 前 に 、 園 周 辺 の 越 冬 植 物 に 対 し 害 虫 防 除 を
実 施 す る 。
( 2 ) 園 内 の 雑 草 に も 生 息 す る の で 草 刈 り を ま め に 実 施 す る 。
被 害 葉