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生徒全体の英語力の傾向 読むこと 聞くこと は A1 CEFR 上位からA2 下位レベルに集中 書くこと ( 得点者約 70% 無回答:29.2%) 話すこと 約 ( 85%; 無回答 :13.3%) で 課題が大きい 第 2 期教育振興基本計画においては 生徒の英語力の目標を 中学校卒業段階 :

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(1)

技能統合的スピーキング

活動と評価

平井明代

(筑波大学)

全国英語教育学会

2015年8月23日 熊本学園大学

シンポジウム:日本の英語教育の将来:「話すこと」の評価方法

1

大学入学者選抜改革の全体像(イメージ)

(文科省 別途資料2)

背景

2006年からのセンターリスニングテストの影響

1.リスニング能力への効果はあったと思われる。しかし、当初

の目標である「英語が使える日本人の育成」には結びついて

いない。

→スピーキングテストなどのパフォーマンステストの必要性

2.一定の授業時間内で、リスニング以外の技能の指導が減る

というマイナスの影響があったのではないか。

→指導時間やその配分の改善

3

e.g., 平井・藤田・伊藤・松崎・大木、2012; 平井・藤田・大木,2013; 山村・大津・宮埜、

2012 in 『独立行政法人大学入試センターリスニングテスト検証研究会』、2012, 2013)

平成

26年度英語力調査(高校3年生)結果の概要

(文科省、

2015)

1 調査の目的

・英語の4技能がバランスよく育成されているか

2 調査の内容・対象

・対象: 旧学習指導要領(平成20年改訂前)で学んだ高校3年生

・テスト:L, R, W: 約7万人(国公立約480校)

S:約1.7万人(音読、即興での質疑応答、意見陳述問題)

・ 英語学習・指導状況(質問紙)

(2)

生徒全体の英語力の傾向 ○「読むこと」「聞くこと」は、CEFRA1上位からA2下位レベルに集中。 ○「書くこと」(得点者約70%、無回答:29.2%)、「話すこと」(約85%;無回答:13.3%)で、課 題が大きい。 ※第2 期教育振興基本計画においては、生徒の英語力の目標を、中学校卒業段階:英検3 級程度(CEFRのA1 レベル)以上、高等学校 卒業段階:英検準2 級程度∼2 級程度(同A2∼B1 レベル)以上)を達成した中高校生の割合が50%としている。 5 6 7

技能統合的活動と評価

 複数技能を統合して行う活動

(integrated activities)

 「聞くこと」または「読むこと」、あるいはその両技能で

得た情報を基に、「話すこと」または「書くこと」、あるい

はその両技能を通して課題を遂行する活動

 課題が遂行できたか(最終のパフォーマンス)を評価

8

(3)

現実の英語使用場面と教室での活動と評価

 アカデミックな英語使用場面

・講義を聞いて、質問したり、意見交換をする。

→TOEFL iBTのような問題、ディスカッション)

・複数の資料から必要な情報を集め、効果的なプレゼンテーションをする。

→プレゼンテーション、プロジェクト活動)

 それ以外の英語使用場面

・本やテレビ番組、電話のメッセージの内容を他者に伝える。

→リテリング、口頭要約)

・資料を基に、商談する。

→問題解決型活動)

現実的なタスクの評価

(authentic assessment)

→ 現実の一連の行為が出来るかを推測

9

技能統合的活動と評価

Input

(Listen/ Read)

Output

(Speak/ Write)

Information transfer

認知能力

Assessment

Task

ねらい

①受容能力の向上

②文法事項を実際に使えるように

認知段階別のスピーキング活動と評価

スピーキング活動 (認知能力) ・音読、シャドーイング(知覚) ・リード・アンド・ルックアップ(知覚・記憶) ・穴あき音読 、レシテーション(記憶) ・リテリング(記憶、理解、表現) ・口頭要約(理解、情報統合、表現) ・プレゼンテーション(論理的思考、表現) ・道案内タスク、ショー&テル(応用、表現) ・異なる情報源の比較(分析) ・問題解決型タスク(分析、判断、説得、交渉など) ・プロジェクト型タスク(分析、判断、論理的思考) ・ディスカッション(表現、判断、インタラクション) ・ ディベート(論理的・批評的思考、判断、表現) ・即興スピーチ(創造、表現) ・スキット創作(創造、表現) 11

1. Remember

(記憶する)

2. Understand

(理解する)

3. Apply

(応用する)

4. Analyze

(分析する)

5. Evaluate

(評価する)

6. Create

(創造する)

The Structure of Cognitive Process Dimension

(the Revised Bloom’s Taxonomy)

→認知能力(思考力、判断力、表現力等)を鍛える

Krathwohl, D. , 2002 ; 『平成26 年度教育研究員研究報告書 高等学校 外国語』を参考)

文部科学省(2014)『言語活動の充

指導事例一覧

(4)

入試や外部資格試験と教室のスピーキングテスト

 外部テスト

熟達度テストとして 妥当性と信頼性の確保

 教室でのテスト

1)学習のための評価:

テストで如何に学習させるか

(波及効果)

2)タスクの到達度:

構成概念のとらえ方(妥当性)

3) 形成的評価 → 総括的評価

13

1.妥当性の高いテストを作成する

1.学習評価を学習指導の目標に一致させる

指導の目標→学習内容→評価規準→評価方法

(国立教育政策研究所

, 2012)

→ 評価結果が評価の対象である資質と能力を適切に反映している

ことになる。

※教員同士の協力体制で行う。

2.内容妥当性

年間計画の中で、

・ 異なるスピーキングタスク(口頭要約、面接、プレゼンテーションなど)

・ スピーキング能力の側面(発音、流暢さ、正確さ、複雑さ、表情など)と

タスクに特化した側面(思考力・判断力・表現力など)

14

年間計画案

15 「指導と評価の年間計画・評価基準の作成について 10 外国語」 http://www.gifu-net.ed.jp/ssd/sien/hyouka_kou/hyoukaPDF/10_eigo_hyouka.pdf

2.波及効果の高いテスト

学習効果を上げる工夫

--1.テスト準備が十分前からできるようにする

使える表現、テストの目標、準備方法、実施方法、評価方法(ルーブリック)を

プリントで説明

→何をすべきかわかる

→授業外の練習時間を自然に促す

2.イベント的テストはやりがいのあるように(配役、難易度、大げさな実施)

教員同士の協力体制、ビデオに撮る

1.保護者を巻き込む(劇の発表に招待、衣装づくりなどのボランティア)

2. 英語の歌を老人ホーム訪問のボランティア活動の一環にする

3.劇やスピーチをコンテストにする。

(北原, 2012参考)

16

(5)

2.波及効果の高いテスト

学習効果を上げる工夫2

--3.観察、ペア・自己・集団評価→ 形を変えて出題する

スピーキング→ライティング

①定着を促す

②授業で頑張る

③採点しやすい形になる

4.フィードバックの質を高める

①フィードバックは早くする(Black & William, 1998;Rucker & Thomson, 2003)

②テスト結果の分析 (e.g., Bachman, 2010; Messick, 1996)

・できたことを褒める、具体的な今後の目標を与える (accountability)

・目標の達成度を調べ、指導に繋げる(consequential validity)

5.外部試験の受験を促す

・自分の実力を客観的に把握

(教室での形成的評価→ 外部テストによる総括的評価)

17

3.信頼性の高いテスト

1.評価回数を年間で確保する

1問テスト:3

4問テスト:(3 + 5 + 6 + 4)/4=4.5

2.ピア評価・グループ評価・ALTとの評価の際の工夫

・評価基準の解釈の確認、ICレコーダの活用、

・平均点、匿名評価

(e.g., Fukazawa, 2010; Hirai, Ito, & O’ki, 2011)

3.具体的でわかりやすい基準が明記されているルーブリックの活用

・一貫した採点ができる(信頼性)

・到達目標を示すことできる(妥当性・波及効果)

評価 状況 評価のポイント A 十分満足できる 文法・語法等の誤りが少なく、多様な表現を用いて適切 に内容を伝えることができる。 B おおむね満足できる 文法・語法等の誤りはあるが、3つのキーワードを全て 入れて、おおよその内容を要約することができている。 C 努力を要する 評価Bの基準を満たしていない。

口頭要約の判定基準例

(

国立教育政策研究所,

2012, pp.46-49)

(深澤, 2015, p. 88より抜粋) 19

全体評価

ペア・集団での寸劇

①発音(単語の発音、イントネーション):

A+ ・ A ・ B ・ C

②演技(声の大きさ、表情):

A+ ・ A ・ B ・ C

③内容(長さ、表現の豊富さ、創造性):

A+ ・ A ・ B ・ C

A+

ネイティブ・プロ並み!

A

日本人中(高)校正としては素晴らしい

B

日本人中(高)校生としては合格

分析評価

課題:単元XXXの本文をペア(または3人)の寸劇にしなさい。少しは脚色しても

構いません。パフォーマンスの時間は4分以内です。

(6)

Let’s keep on speaking for minutes!

Evaluation

Point

1 min. Speech 時間内にスピーチができた。

1

Memorization

メモを見ずにスピーチができた。

1

First Question

1つ目の質問に答えることができた。

1

Second Question

2つ目の質問に答えることができた。

1

Third Question

3つ目の質問に答えることができた。

1

Total Points

/5 points

Topics: Three things about me / My favorite thing / Picture explanation

Interviewer’s possible questions:各トピックに6つほど準備

佐藤(2014, p.52)

チェックリストタイプ

21 22 再話の採点 採点項目 レベル (ターゲット・意見交換版 (平井2015) 5. 発音 (強勢・イント ネー ショ ン含む ) 間違いや訛りが、なく自然 6 6 . 意見交換 意見が、な い 0 ※ターゲットがあれば記入する リテ リング  合計点 7. 態度 (音声録音の場合は評価しない) 適度な声の大きさである+1 相手を見て話している+1 自然なジェスチャーがある+1 4. 内容 内 容が違 う 0 大枠だけで詳細 がな い 2 詳細も少しある 4 ほぼ全てある 間違いが、少 し気にな る 2 間違いが、ほ とん ど な い 4 間違いや訛りが、少な く聞 きやす い 4 間違いがほとんどなく、様々 な語彙 や表 現を使 おう としている 6 間違いや訛りが、ひ ど く聞 きづ ら い 0 間違いや訛りが、ある が聞 きやす い 2 2. タ ーゲッ ト表現・文法 (      ) 適切に、使 えていな い 0 適切に、1 つ使 えている 2 3. 表現・文法 (2がある場合はそれ以外) 間違いが、か なり多 い 0 ※発話が1文以下の場合は評価せず、 合計点0にする。 ※当てはまるレベルに○をつけなさい。 ※具体的に間違いなど、気がついた 事を指摘してあげてください。 言い淀みが多く、聞 きづ ら い 0 1. 流暢さ 単語ごとに頻繁に切れるのが、気にな る 2 言い淀みが、少な い 4 意見が、少しある 2 意見を述べるだけでなく、質問 が1 ,2 回ある 4 質問・意見とも複数回あるが、内 容に乏 しい 6 質問・意見とも複数回あり、内容 も 素晴 ら しい 8 コ メ ント 適切に、ほ とん ど 使 えている 4 言い淀みが、ほとん ど なく流暢 で自然 6 6 ストーリー・リテリング 評価シート (ターゲット項目・意見交換 バージョン, 平井 2015) 1. Communicative efficiency(伝達能力)

With some fluency (流暢さはややある) No Yes

1 Coherent story retell with no long awkward pauses (話に一貫性があり、長く不自然なポーズがない)

No Yes

2 Elaborations of the story with sufficient opinions (話の詳細を含み、意見を十分に述べている) No Yes

3 With few hesitations and self-corrections (言いよどみや言い直しがほとんどない) No Yes

4 5 定義・目安

■ Communicative efficiency の中には、coherence, fluency, volume, content の観点が入っている。 ■ coherent story:so, then,など物語の流れを正しくつかみやすく話している。

基本的に時間の流れ順に言っていて、流れがとりやすいものは、so などがなくても coherent と判断してよい ■ Elaboration of the story:最低限の物語の骨格 (key storylines) に加え、詳しく述べている。 ■ sufficient opinions:ストーリーに関する自分の意見を (最低 3 文以上で)、適切に述べている。 ■ long awkward pauses :約 4、5 秒以上の不自然なポーズ。

retelling と opinion の間のポーズなど、4, 5 秒以上あっても不自然でなければ、long と考えない ■ fluency (speed, pause, hesitation を含めた流暢さ。単語ごとに発音せず、決まり文句はまとめて話す、 frequent long pauses がない、frequent hesitation がない)

■ few hesitations :話すペースが一貫しており、内容を理解するのに妨げになるほどの hesitation がない。

EBB scale for SRST (e.g., Hirai & Koizumi, 2013, p.420)

23

プレゼンテーション用ルーブリック1

(囲む、各観点別に評価)

24

(7)

まとめ

1.4技能のバランスから見ると、S、Wに課題があり、もう少し比重を置く必要がある。

2.技能統合的スピーキング活動と評価を行う利点は大きい。

(1) 認知能力(思考力、判断力、表現力など)を鍛える

(2) 受容能力、学習した文法・語彙の定着、発信能力が鍛えられる

(3) 現実の英語使用場面で使えるかを評価することができる

3.スピーキング能力と認知能力のさまざまな側面をカバーできるように、指導と評価

を対応させて年間計画を立てておく必要がある。

4.教室でのテストとフィードバックは、最大限の学習効果が上がる工夫をする。

5.用途に合ったルーブリックを利用する効果は大きい。

→信頼性・妥当性・実用性・波及効果が高まる

25

大学や企業では,現実の諸問題に対処できる思考力、

判断力、表現力などを兼ね備えた優れたコミュニケー

ション能力のある人材を求めている。それを鍛える技能

統合的活動とその評価は重要である。

最後に

ご清聴ありがとうございました。

27

平井明代(

[email protected]

)

http://www.u.tsukuba.ac.jp/~hirai.akiyo.ft/

本発表の一部は、それぞれ『大塚フォーラム』第

33号(2015

年12月頃予定)、及び『JLTA20周年記念特別号』(2016年12

4日発行予定)の「技能統合的スピーキングの評価」に掲

載される予定です。

参照

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