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エグゼクティブ サマリ 2030年までにグラン パリ プロジェク パリのオフィス サブマーケットは構造変化 の恩恵をビジネス中央地区(BD)以上に受け る見込み 億ユーロ拡大へ トが km 交通ネットワークが 延伸 それによる経済効果は 290億 特にサン ドニ(Saint Denis

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グラン・パリ・プロジェクト:

CBDオフィスを越えた投資機会

機関投資家向け資料

(2)

パリのオフィス・サブマーケットは構造変化

の恩恵をビジネス中央地区(CBD)以上に受け

る見込み

特にサン・ドニ(Saint Denis)とサン・トゥアン

(Saint Ouen)は、CBDと比較するとリスク対比の

リターンが高い。

マラコフ(Malakoff)とジュネヴィリエ

(Gennevillers)への恩恵は相対的に小さく、CBD

と比較してリスク対比のリターンは低い。

エグゼクティブ・サマリ

2030年までにグラン・パリ・プロジェク

トが

260

億ユーロ拡大へ

交通ネットワークが

200

km

延伸。それによる経済効果は

290

億米ドルと見込まれる

(3)

はじめに

パリはEU28カ国のNUTS 2レベル地域単位1の中で最大の経済 圏で、260億ユーロ規模のグラン・パリ・プロジェクトが地域 経済のサプライ・チェーンに与えるネット経済効果は290億米ド ルに上ると見積もられています。これは、世界中の他のインフラ ストラクチャー開発プロジェクトと比較しても、素晴らしいもの となっています。 図1: 世界の主な交通インフラストラクチャー・スキームの経済 効果 都市 プロジェクト名 経済効果(億米ドル) パリ グラン・パリ・プロジェクト 290 ニューヨーク 地下鉄2番街線 270 ロンドン クロスレール 230 ドバイ 地下鉄 60 このインフラストラクチャー改善プロジェクトでは、2030年まで に首都の交通ネットワークを200km延伸し、68の地下鉄・RER (高速鉄道)駅を新設・改良する計画です。パリ全体としては6つの 地下鉄新路線建設と複数の路線の延伸の恩恵を受ける見込みで す2。これにより2百万人の乗客の日々の移動が改善するだけでは なく、ビジネス中央地区(CBD)外にある複数の機能特化したハブの 成長がサポートされます。例としてはヴィルジュイフ(Villejuif)の 医療関係ハブやサン・ドニ(Saint Denis)のテレビ・映画関係ハブが あります。

Magnify Grand Paris Project 

3

2024年には、パリ北部のサン・ドニ地区でオリンピックも開か れます。JLLによればオリンピックの経済効果は53∼107億ユー ロで、119,000∼247,000人の新規雇用が見込まれています。 不動産市場 投資家にとって、パリのオフィス市場は欧州最大のストック(1,760 万平方メートル)を抱え、ロンドン中心部に次ぐ第2位の流動性を (それぞれ年間平均70億、116億ユーロ)有します32017年の動き を振り返ると、最高水準の物件を巡る競争が高まったことからプ ライム・オフィスの利回りは低下が続き、CBD(3.0%)とラ・デファン ス (La Défense) (4.1%)地区ではグローバル金融危機(GFC)以前を 下回る水準まで低下しました。 さらに、2001年以降の市場成長トレンドから考えると、パリCBD 市場の利回りは今後中期的に上方シフトする可能性があると見ら れます。したがって弊社では、CBDよりもその境界付近に位置する サブマーケットにより高い価値があり、とくにグラン・パリ・プロジ ェクトのメリットを受ける地区が有望だと考えています。弊社では コストに対して敏感になっている物件借手は、賃料が安くより大 きなスペースを借りることのできる境界地区に需要をシフトさせ るものと見ています。各不動産会社によれば、借手の統合が進ん でいることや5,000平方メートル以上の高品質なスペースに対する 引き合いが強まっていることが、こうしたトレンドを後押ししてい ます。物件の借手はCBDよりも妥当な賃料でスペースを確保する ために、ロケーション面で妥協する覚悟を固めているのです。

インフラストラクチャー開発の恩恵を

受けるオフィス・サブマーケットに目を

向ける

交通網が大きく改善するのを受け、弊社ではパリにおける10のサ ブマーケット(下記の表参照)における投資機会をCBDと比較して みました。 1 地域統計分類単位. GDPは2015年現在: パリ地区6,597.96億ユーロ vs NUTS 2地域平均502.34億ユーロ。出所: ユーロスタット 2 新路線は地下鉄11、14、15、16、17、18号線。延伸は RER B線、E線及び地下鉄1、4、10、12号線。 3 10年間の平均。出所: PMA、2017年秋 4 CBRE IDF 2017年第3四半期レポート 調査対象のオフィスサブマーケット 1 Gennevilliers 6 Suresnes

2 Saint Denis 7 Montrouge

3 Saint Ouen 8 Malakoff

4 La Défense 9 Bagneux 5 Nanterre 10 Villejuif 出所: JLL 出所: JLL、M&Gリアル・エステート、2017年12月現在

2: グラン・パリ・プロジェクトと調査対象の各サブマーケ

ット

5 1 2 3 4 6 7 9 10 8

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各サブマーケットのポテンシャルを評価する

弊社では、調査対象サブマーケットの今後5年間の対CBDトータル・リターン見通しを算出することを目的に、ロケーションと不動産の 観点から様々なパフォーマンス基準を評価しました。その概要を以下の表に示しています。 今回調査対象とした10のサブマーケットの内、赤くハイライト した8つが(前頁の地図参照)グラン・パリ・プロジェクトの直接 的な対象地区で、地下鉄新駅が計画されています。そのうち7つ については新設される15号線上にあります。さらにヴィルジュイ フ(Villejuif)のオフィス・サブマーケットは15線だけではなく14号線 の新設の恩恵も受けます。またサン・ドニ(Saint Denis)は将来的 に14、15、16、17号線の乗換駅となります。CBDに対してマラコフ

3: グラン・パリ・プロジェクトの各フェーズ完工予定日と調査対象サブマーケット

グラン・パリ・プロジェクト 路線延伸 最も早い 14号線北側 14号線南側 15号線南側 15号線東側 15号線西側 16 17 RER E線 4 完工予定日 Saint Ouen 2019 2019 Bagneux 2022 2020 2020 Montrouge 2022 2022 Villejuif 2023 2022 2022 Saint Denis 2025 2027 2023 2023 2023 La Défense 2027 2024 2024 Nanterre 2025 2024 2024 Suresnes 2025 2025 GennevilliersMalakoff – (Malakoff)は南側、ジェヌヴィリエ(Gennevillers)は北側となります が、この二つの緑でハイライトした地区のみが建設予定の15号線 から若干離れた隣接地区となります。 弊社の行うトータル・リターン予測の対象期間は5年間となってい ますので、2022年に予定されているグラン・パリ・プロジェクトは 調査対象のサブマーケットのパフォーマンス見通しを向上させる 可能性が高いです。

図4: 調査対象サブマーケットのスコア基準

ロケーション指標 ウェイト(%) スコア基準 説明 住宅の状況 5.0 (i) 民間住宅の割合(%) (ii) アパートの一平方メートル当たり価格 数値が高いほどプラス アクセス 7.5 (i) 車でオスマン大通りに到着するのに要する時間(ii)公共交通機関で サン・ ラザール駅に到着するのに要する時間(iii)車ででシャルル・ド・ゴール空港 (CDG)に到着するのに要する時間 数値が低いほどプラス 現在のインフラ ストラクチャー状況 10.0 (i) 車でパリA86環状道路に到着するまでに要する時間(ii)利用可能な公共交通 機関の種類の数: :地下鉄、RER船、バス(iii)空港への接続 (CDG, ロワシー等) 数値が多いほどプラス インフラ ストラクチャー計画 15.0 (i) グラン・パリ・プロジェクト:そのサブマーケットに何本の地下鉄 新線が通ることになるか (ii) その他の交通関係計画:既存路線の延伸 種類が多い/完工が早 いほどプラス 都市開発 5.0 既存及び計画中の協議整備区域(ZACs)*の数 ポイント制を適用

イメージ 5.0 (i) 治安 (ii) 歩行者に対する配慮(iii)住宅の質(iv)娯楽の機会 値が高いほどプラス。ポイント制を適用。数

ビジネス・ミックス 7.5 オフィス・ワークに従事する人の割合(%) 数値が高いほどプラス

物件借手に対する

インセンティブ 5.0 Taxe sur les bureaux – スペースを借りるテナントに対する課税 数値が低いほどプラス

デベロッパーに対

するインセンティブ 5.0

Redevance sur la création de bureaux – オフィス・ビルを

建設するディベロッパーに対する課税 数値が低いほどプラス 不動産指標 ウェイト(%) スコア基準 説明 物件確保の 容易さ 10.0 2015年時点の空室率% – 全サブマーケットで入手可能な最も新しい数値 数値が低いほ どプラス 供給物件の 充足状況 15.0 現在のストック及び供給予定物件が満室稼動するまでに要する年数 少ないと予想されるほ どプラス プライム物件の 賃料 10.0 2005∼2015年における最高水準 数値が高いほ どプラス 100 *集中計画地区 出所: M&Gリアル・エステート、2017年第3四半期 出所: M&Gリアル・エステート

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ロケーション基準には、イメージや都市開発ポテンシャルといった 主観的な指標が含まれていますが、道路アクセスや現在・将来の 公共交通インフラストラクチャーといった指標も盛り込まれてい ます。不動産基準には物件ストックの確保の容易さや供給物件の 充足状況(過去の平均実績から満室稼動までに要する年数を推計 したもの)といった市場のファンダメンタル的な指標が含まれてい ます。この二つの種類の基準は物件の借手にとって望ましいイン センティブやテナントが移転を考える上で魅力的な利用環境を 調査対象サブマーケットが備えているかどうかを評価することを 目的に考案したものです。 各指標を評価した後、それぞれのサブマーケットに対するパーセ ンタイル・スコア(最高評価が100、最低評価が1)を算出し順位付 2位となったのはサン・ドニ(Saint Denis)で、総合加重パーセンタイ ル・スコアは83でした。同地区は、4つの地下鉄新線の乗換駅とな る交通インフラストラクチャー計画、都市開発(約120万平方メー トルの既存・計画オフィス、複合利用スペースを含む8つの協議 整備区域(ZAC))、物件借手に対するインセンティブ(テナントのオ フィス・スペース利用に対する税率は当地区が最も低い(4.92ユー ロ/一平方メートル当たり/年間))を含む、多くの指標でパーセン タイル・スコアが最高の100となりました。対照的にサン・ドニ地区 の物件確保の容易さを示す指標は2015年の空室率が8.7%(入手 可能な最新のデータ)と、残念なものとなりました。 3位はサン・トゥアン(Saint Ouen)で、総合加重パーセンタイル・ス コアは56でした。サン・トゥアンの強みはオスマン大通り、サン・ラ ザール駅、シャルル・ドゴール空港といった主要な交通ハブまでの 到着時間が短いこと(最高でも30分以内)です。また地下鉄14号線 の北側部分は2019年に完工することから、同サブマーケットは 比較的早期にメリットを受けます。不動産関連指標の観点から は、既存・計画中のオフィス・スペースの満室稼動までに要する 年数は5.2年と推計されます。 4位に入ったのはヴィルジュイフ(Villejuif)で、総合加重パーセンタ イル・スコアは50でした。このオフィス・サブマーケットは2本の

図5: ロケーション及び不動産ウェイト加重のパーセンタイル・スコア (100 = 最高、1 = 最低) と順位

ロケーション・ ウェイト加重パー センタイル・スコア 順位 不動産ウェイト 加重パー センタイル・スコア 順位 総合ウェイト加重パー センタイル・スコア 順位 CBD 70 2 100 1 100 1 Saint Denis 100 1 49 7 83 2 Saint Ouen 67 3 40 10 56 3 Villejuif 42 4 55 4 50 4 Bagneux 36 5 59 2 49 5 La Défense 27 6 55 3 41 6 Nanterre 20 8 47 9 31 7 Suresnes 13 9 49 6 27 8 Montrouge 9 10 48 8 24 9 Malakoff 1 11 53 5 22 10 Gennevilliers 24 7 1 11 1 11 出所: M&Gリアル・エステート、2017年第3四半期 けを行います(CBDを含む1位から11位まで)。各指標は、グラン・パ リ・プロジェクトによる影響を考慮し、計画されている交通インフ ラストラクチャーのウェイトが最大の15%となるようウェイト付け されます。最終的には各サブマーケットのリスク(ハードル・レート) と比の較を行い、最も魅力的な投資機会を特定します。

スコアと順位

ロケーション基準と不動産基準両方のパフォーマンス指標を用 いた分析では、当然ではありますが、この調査のベンチマークで あり成熟地域であるCBD市場が総合パーセンタイル・スコア100 で1位となり、明白な勝者となりました。 地下鉄新線の恩恵により、ディベロッパー(93.15ユーロ/一平方メ ートル当たり/年間)と物件利用者(4.92ユーロ/一平方メートル当 たり/年間)が支払うコスト点で良好なパフォーマンスを収めまし た。さらにヴィルジュイフ空室率1.7%と、物件確保が最も困難で あることが点数を押し上げました。 総合加重パーセンタイル・スコアが最低で、ランキング最下位とな ったのはジェヌヴィリエ(Gennevilliers)でした。このオフィス・サブ マーケットにはグラン・パリ・プロジェクトによる地下鉄新線が 通過する予定がなく、ロケーション指標で最もウェイトの高いイ ンフラストラクチャー計画のスコアが最低となったのが響きまし た。さらに不動産関連指標の3つ全てについても最低の結果とな りました。

今後

5年間のトータル・リターン予測

賃料上昇を予測する 不動産パフォーマンス・スコアは調査対象オフィス・サブマーケッ トの将来的な賃料上昇率に対する見方を確立する上で重要な 検討事項となりました。とくに、満室稼動までの予想年数を用い た供給物件の充足状況に関する弊社の分析によれば、ジェヌヴィ リエ(Gennevilliers)とヴィルジュイフ(Villejuif)がそれぞれ満室稼動

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まで14年、7年かかると見積もられ、最も短期的に賃料下落リス クが高いサブマーケットと評価されました。逆に、CBD、バニュー (Bagneux)、シュレンヌ(Suresnes)地区は最も需給がタイトな部類に 入り、満室稼動まで2年以下しか要さないと推計されました。弊社 ではより主観的なロケーション関連指標の結果も加味し、将来の 賃料水準に対する見通しを立てました。 分析の結果、調査対象の10のオフィス・サブマーケットのうちの4 つが、今後5年間で賃料が下落する見通しであることが分かりまし た。調査対象サブマーケットのうち5年間平均賃料上昇見通しが 最も芳しくないのは当然ながらジェヌヴィリエ(Gennevilliers)でし た。同サブマーケットはロケーションと不動産の両面でランキング が低いという結果になっています。またヴィルジュイフ(Villejuif) についても全体のランキングは4位と高かったにもかかわらず、 家賃は下落する見込みと予測しています。ただし、地下鉄15号線 の南側部分が開通する2022年以降は賃料も上昇に転ずると見て います。 モンルージュ(Montrouge)がグラン・パリ・プロジェクトの恩恵を受 けられるのは2022年の前半からになりますが、総合ランキングを 見るとそれほどパフォーマンスが良くありません。調査対象の中 でも比較的確立したサブマーケットの中で、モンルージュの税率 は物件利用者(17.26ユーロ/一平方メートル当たり/年間)に対し てもディベロッパー(372.58ユーロ/一平方メートル当たり/年間) に対しても最も高い部類となっています。2015年現在の空室率は 13.1%と高く、予測対象期間中の賃料の動きは安定的なものとなる と見ています。

図7: 調査対象オフィス・サブマーケットの予想賃料上昇率

2017∼2022年

調査対象サブマーケット 5年平均予想賃料上昇率 Gennevilliers -2.5%以下 -1.1%∼-2.5% Nanterre, Villejuif, Malakoff -0.1%∼-1.0%

Suresnes, Montrouge, 0.0%

CBD, Bagneux 0.1∼1.0%

Saint Ouen, La Défense 1.1%∼2.5%

Saint Denis 2.5%以上 出所: M&Gリアル・エステート、2017年第3四半期 相対リターン予測 パリCBDのオフィス市場のサイクルは欧州全体と比べると進んだ 状態にあり、また利回りも低位で推移してきたました。このことを 考えれば、調査対象サブマーケットの全てで予測対象期間のリタ ーンがCBDを上回ると予想したとしても、おそらく驚くべきことで はないでしょう。構造変化があることを考えればなおさらです。 弊社のトータル・リターン予測の基本となる賃料上昇の要因につ いては既に見た通りです。その他、利回りの変化の影響について も、将来的な物件の借手側の需要と投資家側の投資意欲に対す る見通しの基本となるロケーション関連と不動産関連のパフォー マンス・ランキングに左右されます。 出所: M&Gリアル・エステート、2017年第3四半期、PMA CB D La D éf en se N an te rre Sur es ne s G en ne vil lie rs Vil le jui f Sa in t D en is Ba gneux M alak of f Mon tr ou ge Sa in t O ue n 満 室 稼 動 達 成 まで の 年 数 提 供 可能な オ フ ィ ス 面 積 ( 平 方 メ ー ト ル ) 提案中 建設中 現在提供可能 満期稼働までに要する年数 0 2 4 6 8 10 12 14 16 過去10年の平均年間成約面積 計画中 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900

図6: 満室稼動達成までの予想年数

バンド CBDに対する5年間平均 トータル・リターン・プレミアム(bps) A Gennevilliers 150~249 B Malakoff 250~399

C Nanterre, Montrouge, Suresnes, La Défense, Bagneux 400~499

D Saint Ouen, Villejuif 500~599

E Saint Denis 600~750 出所: JLL、M&Gリアル・エステート、2017年12月現在 シュレンヌ(Suresnes)は、現在のアクセス状況(サン・ラザール(Saint Lazare)駅まで公共交通機関で約10分)、イメージ(治安と住宅の質 が「とても良い」)、供給物件の充足状況(満室稼動まで1.8年)とい った多くの指標で良好なパフォーマンスとなりました。ただし、こ のサブマーケットがグラン・パリ・プロジェクトの恩恵を受けるの は2025年以降です。一方で賃料水準については安定的に推移する と見ています。 弊社ではグラン・パリ・プロジェクトの恩恵を最も受けるサン・ ドニ(Saint Denis)では、CBDに対する超過リターンは最大年率約 750bpsとなるものと予測しています。ジェヌヴィリエ(Gennevilliers) とマラコフ(Malakoff)では地下鉄新線が予定されていないことか らリターンは若干下がり、両サブマーケットのCBDに対する超過 リターンは最大でも年率約399bpsとなると見ています。

図8: CBDに対する5年間平均トータル・リターン・プレミアム

C A E D C C C C D B

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図9: CBDと比較した調査対象サブマーケットのハードル・

レート・プレミアム

調査対象サブマーケット プレミアム(bps)

La Défense, Saint Ouen 10∼20

Saint Denis, Montrouge, Nanterre 21∼30

Suresnes 31∼40

Malakoff, Villejuif, Bagneux 41∼50

Gennevilliers 51∼55 出所: M&Gリアル・エステート、2017年第3四半期

リスクを考慮する

5年間平均トータル・リターンが出 ったところで、次にそれらを 各調査対象サブマーケットのハードル・レートと比較しました。 定量的には、ハードル・レートは、各サブマーケットのリスクプレ ミアムとリスク・フリー・レートとの和になります。 弊社の社内モデルでは、弊社が予測を行う世界中の全市場につい てリスク・プレミアムを用います。リスク・プレミアムは、流動性、 賃料上昇のボラティリティ、その市場における物件借主に対するコ ベナンツの強度、開発計画に対する制限等、多くの不動産パフォ ーマンス・リスク関連指標を考慮して算出されます。今回調査対象 としたサブマーケットのリスク・プレミアム算出に当たっては、同じ モデルに対して2005∼2015年(入手可能な最新データ)の実績値を 適用して行いました。 結果のチェックについては、弊社がモニターしている他の欧州オフ ィス市場のリスク・プレミアム、とくにパリCBDのものと比較するこ とにより、常識を持って行うことができました。 ハードル・レートの算出結果を見ると、比較的確立した市場で あるラ・デファンス(La Défense)とサン・トゥアン(Saint Ouen)では CBDを10∼20bps上回っています。両サブマーケットでは弊社の 社内モデルでテストした各指標自体の変動が小さめでした。 一方、マラコフ(Malakoff)、ヴィルジュイフ(Villejuif)、バニュー (Bagneux)、ジェヌヴィリエ(Gennevilliers)のサブマーケットは調査 対象期間(2005∼2015年)中のいくつかの年でまったく投資が行 われておらず、オフィス物件のストックも25万平方メートル以下と 多くなかったことから、これらのサブマーケットのハードル・レー トはCBDよりも41bps以上高くなりました。 最高の投資機会はどこに? 最終的に、今後5年間の平均予測トータル・リターンとハードル・ レートのCBDに対するプレミアムを比較すると、サン・ドニ(Saint Denis)やサン・トゥアン(Saint Ouen)といった比較的確立したサブマ ーケットが最もリスクが低いにもかかわらず、リターンが最も高く なる見込みであるという結果が出ました。 また、ヴィルジュイフ(Villejuif)とバニュー(Bagneux)のリターン見通 しは魅力的ですが、CBD対比のリスクは調査対象サブマーケット の中で最も高い部類に入ります。またマラコフ(Malakoff)とジェヌ ヴィリエ(Gennevillers)は調査対象サブマーケットの中では比較的 小さなメリットしか受 ることができず、リスクが最も高いのに対し て予測リターンは最も低いという結果になりました。 残りのラ・デファンス(La Défense,)、シュレンヌ(Suresnes)、ナンテー ル(Nanterre)、モンルージュ(Montrouge)の平均トータル・リターン は、CBDを年率400∼499bps上回る見込みです。ラ・デファンス(La Défense)は例外となりますが、パフォーマンスに対するリスクは、サ ン・トゥアン(Saint Ouen)やサン・ドニ(Saint Denis)といった比較的 確立した地区とマラコフ(Malakoff)、ヴィルジュイフ(Villejuif)、バニュ ー(Bagneux)、ジェヌヴィリエ(Gennevilliers)といった比較的リスクの 高い地区の中間程度となります。 弊社では、グラン・パリ・プロジェクトがCBD域外のオフィス・セクタ ーがアウトパフォームするための重要な構造的要因となることを 確認することができました。独自の分析方法によりこれらの市場の リスク/リターン特性をCBDと比較した結果、今後5年の期間では、

サン・ドニ(Saint Denis)とサン・トゥアン(Saint Ouen)が最も小さなリ スクで最高のリターンをあげるものと結論付けました。 グラン・パリ・プロジェクトの後期フェーズが完了する頃には、ハー ドル・レートに示されるリスクは一段と低下する見込みです。これは とくに2025年までに最大2線の地下鉄新線が通過する予定の新興 サブマーケットであるシュレンヌ(Suresnes)、ヴィルジュイフ(Villejuif)、 バニュー(Bagneux)で顕著となるでしょう。 以上のリサーチが示すように、投資家が優れたリスク調整後リター ンにアクセスする機会は多く存在していると弊社は考えています。

11: CBDに対するプレミアム一覧

CBD5年間平均トータル・ リターン・プレミアム(bps) CBDハードル・レート・ プレミアム(bps) Saint Denis 600∼700 CBD 0 Villejuif 500∼599 La Défense 10~20 Saint Ouen Saint Ouen

Bagneux 400∼499 Saint Denis 21~30 La Défense Montrouge Suresnes Nanterre Montrouge Suresnes 31~40 Nanterre Malakoff 41~50 Malakoff 250∼399 Villejuif Gennevilliers 150∼249 Bagneux CBD 0 Gennevilliers 51~55 出所: M&Gリアル・エステート、2017年第3四半期 サ ブ マ ー ケ ット 投 資 金 額 全 体 に 占 め る シ ェ ア 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 CBD La Défense Nanterre Suresnes Gennevilliers Villejuif Saint Denis Bagneux Malakoff Montrouge Saint Ouen 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

図表10: 流動性 (シェア%)

出所: PMA、CBRE

要約

欧州オフィス市場では、その一部でプライム物件利回りが史上最低 に近づいている中、投資家はCBD市場から一歩踏み出すことで 相対価値を獲得することを考え始めています。

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